JPH0625682A - 冷凍機作動流体用組成物 - Google Patents

冷凍機作動流体用組成物

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JPH0625682A
JPH0625682A JP4205929A JP20592992A JPH0625682A JP H0625682 A JPH0625682 A JP H0625682A JP 4205929 A JP4205929 A JP 4205929A JP 20592992 A JP20592992 A JP 20592992A JP H0625682 A JPH0625682 A JP H0625682A
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JP
Japan
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acid
ester
methyl
carbon atoms
production example
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Application number
JP4205929A
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English (en)
Inventor
Akimitsu Sakai
章充 酒井
Toshiya Hagiwara
敏也 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】第1ヒドロキシ基を有する脂肪族多価アルコー
ルと、飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体とから
得られるエステル、第1ヒドロキシ基を有する脂肪族多
価アルコールと、飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘
導体と、飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とから
得られるエステル、及び第1ヒドロキシ基を有する脂肪
族多価アルコールと、飽和脂肪族1価アルコールと、多
価カルボン酸又はその誘導体とから得られるエステルか
らなる群より選ばれた一種以上のエステルで、該エステ
ルに含まれる炭素、水素、酸素以外の元素が20ppm 以
下であるエステルを基油とする冷凍機油及びハイドロフ
ルオロカーボンを含有する冷凍機作動流体用組成物。 【効果】本発明の冷凍機作動流体用組成物は、特定のエ
ステルを含有するため、相溶性、潤滑性、電気絶縁性、
熱安定性、耐加水分解性、エポキシ系添加剤の安定性に
優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機作動流体用組成
物に関し、更に詳しくは、電気冷蔵庫用等の圧縮式冷凍
機の作動流体用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】最近、
オゾン層保護のため冷蔵庫やカークーラーに使用されて
いるジクロロジフルオロメタン(CFC12)の使用が
禁止されることが決まり、続いてルームエアコン等に使
用されているクロロジフルオロメタン(HCFC22)
の使用も規制されようとしている。そのため、このCF
C12やHCFC22の代替品として、オゾン層を破壊
することのないハイドロフルオロカーボン、例えば1,1,
1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)やジフル
オロメタン(HFC32)が開発されている。
【0003】しかし、ハイドロフルオロカーボンはCF
C12に比べて極性が高いため、冷凍機油として従来よ
り一般に使用されているナフテン系鉱油やポリ- α- オ
レフィン、アルキルベンゼン等の潤滑油を用いると、こ
れらの潤滑油とハイドロフルオロカーボンとの相溶性が
悪く、低温において二層分離を起こす。二層分離を起こ
すと、オイル戻りが悪くなり、熱交換器としての凝縮器
や蒸発器の付近に厚い油膜が付着して伝熱を妨げ、また
潤滑不良や起動時の泡の発生等の重要欠陥の原因とな
る。そのため、従来の冷凍機油はこれらの新しい冷媒雰
囲気下で冷凍機油として使用することができない。
【0004】潤滑性についてもCFC12においては、
それが一部分解して塩化水素を発生させ、この塩化水素
が摩擦面と反応して、塩化物皮膜を形成し潤滑性を良好
にするという効果があった。しかしながら、塩素原子を
含んでいないハイドロフルオロカーボンにはこのような
効果が期待できないため、ハイドロフルオロカーボンと
共に使用する冷凍機油には従来のものより一層優れた潤
滑性が求められる。
【0005】また、更にハイドロフルオロカーボンと共
に用いられる冷凍機油としては、ハイドロフルオロカー
ボン共存下での熱安定性の良いことが必要である。ま
た、この他、電気冷蔵庫の圧縮式冷凍機には、絶縁材や
エナメル線などモーターに用いられている有機材料が存
在するため、ハイドロフルオロカーボンと冷凍機油から
なる作動流体としては、これらの有機材料に悪影響を及
ぼさないことが必要であるし、電気絶縁性も良好である
ことが必要である。
【0006】ハイドロフルオロカーボン、例えば、1,1,
1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)と共に用
いることができる冷凍機油として、米国特許第4,755,31
6 号(特開平2-502385号公報)明細書や、特開平1-1986
94号公報、特開平1-256594号公報等にポリエーテル化合
物が開示されている。ポリエーテル化合物はナフテン系
鉱油に比べ極性が高いので、HFC134aとの低温で
の相溶性はたしかに良好である。しかしながら、米国特
許第4,755,316 号明細書に述べられているように、ポリ
エーテル化合物は逆に温度が上昇すると二層分離を起こ
すという問題があり、冷凍機油として安心して使用する
ことができない。
【0007】また、ポリエーテル化合物にはこの外にも
いくつかの問題がある。1つは、電気絶縁性が劣るとい
うことである。これは、非常に大きな問題であり、電気
冷蔵庫用冷凍機には用いることができない。もう1つの
問題は吸湿性の大きいことである。ポリエーテル化合物
中の水分のために、HFC134a共存下での熱安定性
を悪くしたり、有機材料であるPETフィルム等を加水
分解させたりする。このような電気絶縁性、吸湿性等の
ポリエーテル化合物の問題点を改善するためにエステル
系化合物が開発されている。
【0008】例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン
(HFC134a)と共に用いることができる冷凍機油
として、米国特許第4,851,144 号明細書(特開平2-2768
94号公報)や特開平2-15693 号公報に、ポリエーテル油
とエステル油の混合油が開示され、英国特許第2,216,54
1 号明細書、米国特許5,021,179 号明細書、ヨーロッパ
特許445,610 号及び445,611 号明細書、国際公開90/128
49号(特表平3-505602号公報)、特開平3-88892 号公
報、特開平3-128991号公報、特開平3-128992号公報、特
開平3-179091号公報、特開平3-200895号公報、特開平3-
200896号公報、特開平3-217494号公報、特開平3-227397
号公報、特開平3-252497号公報、特開平4-4294号公報等
にエステル油が開示されている。これらのエステル系化
合物はハイドロフルオロカーボンとの相溶性に優れ、ハ
イドロフルオロカーボン共存下での熱安定性にも優れて
いる。また、ポリエーテル系化合物に比べ、電気絶縁性
が極めて優れており、また吸湿性もかなり低いことが知
られている。
【0009】しかしながら、従来の作動流体であるCF
C12−鉱物油系に比べ、ハイドロフルオロカーボン−
エステル油系では、シールドチューブ試験やコンプレッ
サーの運転による熱安定性の評価においては、色相の悪
化、酸価の上昇が見られ、冷凍機作動流体として満足で
きるものではないことが指摘されており、当業界におい
て耐加水分解性、電気絶縁性、熱安定性に優れたエステ
ルの開発が要請されているのが実情である。本発明の目
的は、特定のエステルを含有させることによって、ハイ
ドロフルオロカーボンとの相溶性、電気絶縁性、吸湿性
に優れるとともに、従来のものより特に耐加水分解性、
熱安定性に優れた冷凍機作動流体用組成物を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ある種のエス
テル化合物が、前記課題を達成し得ることを見い出し、
本発明を完成するに至った。即ち本発明は、 A)(a) 第1ヒドロキシ基1〜6個を有する脂肪族
多価アルコールと、(b) 炭素数2〜9の直鎖又は分
岐鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体とから
得られるエステル B)(a) 第1ヒドロキシ基1〜6個を有する脂肪族
多価アルコールと、(b) 炭素数2〜9の直鎖又分岐
鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体と、
(c) 炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族
ジカルボン酸又はその誘導体とから得られるエステル、
及び C)(a) 第1ヒドロキシ基1〜6個を有する脂肪族
多価アルコールと、(d) 炭素数1〜10の直鎖又は
分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールと、(e) 炭素数
2〜10の多価カルボン酸又はその誘導体とから得られ
るエステルからなる群より選ばれた一種以上のエステル
であって、該エステルに含まれる炭素、水素、酸素以外
の元素が20ppm 以下であるエステルを基油とする冷凍
機油及びハイドロフルオロカーボンを含有する冷凍機作
動流体用組成物を提供するものである。
【0011】本発明の冷凍機作動流体用組成物は、エス
テルを基油とする冷凍機油を含有するが、該エステルを
得るために用いる(a)〜(e)成分について以下に詳
述する。 (a)成分は、そのヒドロキシ基の1〜6個が第1ヒド
ロキシ基となった脂肪族多価アルコールであり、具体的
には、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-メチル-1,
3- プロパンジオール、2-イソプロピル-2- メチル-1,3-
プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3- プロパンジオ
ール、2-n-ブチル-2- エチル-1,3- プロパンジオール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールノナン、ジトリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール及びジペンタエリスリトール等のヒンダ
ードアルコール、あるいは、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオ
ール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メ
チル-1,2- プロパンジオール、2-メチル-1,3- プロパン
ジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオー
ル、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,
2-へキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキ
サンジオール、3,3-ジメチル-1,2- ブタンジオール、1,
7-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3- ヘキサンジオー
ル、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、2,
2,4-トリメチル-1,3- ペンタンジオール、1,9-ノナンジ
オール、1,2-デカンジオール、1,10- デカンジオール、
グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグ
リセリン、ポリグリセリン、1,2,4-ブタントリオール、
1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロー
ル、ソルビトール及びマンニトール等の多価アルコール
が挙げられる。
【0012】これらの脂肪族多価アルコールの炭素原子
数は2〜30、好ましくは2〜20、更に好ましくは2
〜10である。炭素原子数が30より多いと、粘度が高
くなり、ハイドロフルオロカーボン系冷媒との相溶性も
悪くなるため好ましくない。また、これらの脂肪族多価
アルコールのヒドロキシ基数は2〜6個であり、好まし
くは2〜4個であり、さらに好ましくは2〜3個であ
る。ヒドロキシ基が6個より多いと粘度が高くなりすぎ
るため好ましくない。また耐熱性の面から、ヒンダード
アルコールが特に優れている。
【0013】(b)成分は、炭素原子数が2〜9の直鎖
又は分岐鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸であり、更に好
ましい炭素原子数は5〜9である。炭素原子数が9より
多くなると、ハイドロフルオロカーボン系冷媒との相溶
性が悪くなるため好ましくない。また炭素原子数が2よ
り小さいと金属に対する腐食性が大きくなる可能性があ
る。
【0014】これらのモノカルボン酸の具体例として
は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、バレリン
酸、イソバレリン酸、ピバリン酸、2-メチル酪酸、カプ
ロン酸、2-メチルバレリン酸、3-メチルバレリン酸、4-
メチルバレリン酸、2,2-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、
tert- ブチル酢酸、シクロペンタンカルボン酸、エナン
ト酸、2,2-ジメチルペンタン酸、2-エチルペンタン酸、
3-エチルペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、3-メチルヘ
キサン酸、4-メチルヘキサン酸、5-メチルヘキサン酸、
シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンチル酢酸、カプ
リル酸、2-エチルヘキサン酸、3,5-ジメチルヘキサン
酸、2,2-ジメチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、3-
メチルヘプタン酸、4-メチルヘプタン酸、2-プロピルペ
ンタン酸、3,4-ジメチルヘキサン酸、シクロヘキシル酢
酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、ペラルゴン酸、2,
2-ジメチルヘプタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、
2-メチルオクタン酸、2-エチルヘプタン酸、3-メチルオ
クタン酸、2-エチル-2,3,3- トリメチル酪酸、2,2,4,4-
テトラメチルペンタン酸、2,2-ジイソプロピルプロピオ
ン酸等が挙げられる。また、モノカルボン酸の誘導体と
しては、これらのメチルエステル、エチルエステル等の
低級アルキルエステル、酸無水物等が挙げられる。ハイ
ドロフルオロカーボン系冷媒との相溶性や耐加水分解性
の点から直鎖飽和脂肪酸よりも分岐飽和脂肪酸の方が好
ましい。また耐熱性の面から不飽和結合を持つものは好
ましくない。
【0015】(c)成分は、炭素原子数が2〜10の直
鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族ジカルボン酸であり、炭素原
子数が10より多いとハイドロフルオロカーボン系冷媒
との相溶性が悪くなるため好ましくない。これらのジカ
ルボン酸又はその誘導体の具体例としては、シュウ酸、
マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、エチルマロン
酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハ
ク酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、ブチ
ルマロン酸、ジエチルマロン酸、2,2-ジメチルグルタル
酸、2,4-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル
酸、2-エチル-2- メチルコハク酸、3-メチルアジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、2,2-ジメチルアジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、あるいはこれらのメチ
ルエステル、エチルエステル等の低級アルキルエステ
ル、酸無水物等が挙げられる。
【0016】(d)成分は、炭素原子数が1〜10の直
鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールであり、更に
好ましい炭素原子数は5〜9である。炭素原子数が10
より多いとハイドロフルオロカーボン系冷媒との相溶性
が悪くなるため好ましくない。これらの1価アルコール
の具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパ
ノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノー
ル、2-メチル-1- プロパノール、2-メチル-2- プロパノ
ール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノー
ル、2-メチル-1- ブタノール、3-メチル-1- ブタノー
ル、3-メチル-2- ブタノール、2-メチル-2- ブタノー
ル、2,2-ジメチル-1- プロパノール、シクロペンタノー
ル、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノー
ル、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2- ペンタノ
ール、2-メチル-3- ぺンタノール、3-メチル-1- ペンタ
ノール、3-メチル-2- ペンタノール、3-メチル-3- ペン
タノール、4-メチル-1- ペンタノール、4-メチル-2- ペ
ンタノール、2,3-ジメチル-1- ブタノール、2,3-ジメチ
ル-2- ブタノール、3,3-ジメチル-1- ブタノール、3,3-
ジメチル-2- ブタノール、2-エチル-1- ブタノール、2,
2-ジメチルブタノール、シクロヘキサノール、シクロペ
ンチルメタノール、メチルシクロペンタノール、1-ヘプ
タノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、2-メチル
-1- ヘキサノール、2-メチル-2- ヘキサノール、2-メチ
ル-3- ヘキサノール、5-メチル-2- ヘキサノール、3-エ
チル-3- ペンタノール、2,2-ジメチル-3- ペンタノー
ル、2,3-ジメチル-3- ペンタノール、2,4-ジメチル-3-
ペンタノール、4,4-ジメチル-2- ペンタノール、3-メチ
ル-1- ヘキサノール、4-メチル-1- ヘキサノール、5-メ
チル-1- ヘキサノール、2-エチルペンタノール、シクロ
ヘプタノール、シクロヘキシルメタノール、メチルシク
ロヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-
オクタノール、4-メチル-3- ヘプタノール、6-メチル-2
- ヘプタノール、2-エチル-1- ヘキサノール、2-プロピ
ル-1- ペンタノール、2,4,4-トリメチル-1- ペンタノー
ル、3,5-ジメチル-1- ヘキサノール、2-メチル-1- ヘプ
タノール、2,2-ジメチル-1- ヘキサノール、シクロオク
タノール、1-シクロヘキシルエタノール、2-シクロヘキ
シルエタノール、ジメチルシクロヘキサノール、エチル
シクロヘキサノール、1-ノナノール、2-ノナノール、3,
5,5-トリメチル-1- ヘキサノール、2,6-ジメチル-4- ヘ
プタノール、3-エチル-2,2- ジメチル-3- ペンタノー
ル、3-シクロヘキシルプロパノール、5-メチルオクタノ
ール、1-デカノール、2-デカノール、4-デカノール、3,
7-ジメチル-1- オクタノール、2,4,6-トリメチルヘプタ
ノール、4-シクロヘキシルブタノール、ブチルシクロヘ
キサノール、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノール
等が挙げられる。
【0017】(e)成分は、炭素原子数が2〜10の多
価カルボン酸又はその誘導体であり、炭素原子数が10
より多いとハイドロフルオロカーボン系冷媒との相溶性
が悪くなるため好ましくない。これらの多価カルボン酸
又はその誘導体の具体例としては、(c)成分の飽和脂
肪族ジカルボン酸や、1,2,3-トリカルボキシプロパン、
β- メチルトリカルボン酸、1,3,6-トリカルボキシヘキ
サンなどの直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族多価カルボン酸
や、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメ
リット酸等の芳香族多価カルボン酸、あるいはこれらの
メチルエステル、エチルエステル等の低級アルキルエス
テル、酸無水物等が挙げられる。
【0018】本発明の冷凍機作動流体用組成物は、エス
テルを基油とする冷凍機油を含有するが、該エステルは
前記(a)〜(e)をある一定の組み合わせとすること
により得られるエステル、すなわち、(a)と(b)
とから得られるエステル(以下、Aのエステル)、
(a)と(b)と(c)とから得られるエステル(以
下、Bのエステル)、及び(a)と(d)と(e)と
から得られるエステル(以下、Cのエステル)からなる
群より選ばれた一種以上のエステルであり、かつ該エス
テルに含まれる炭素、水素、酸素(以下、CHOと略
す)以外の元素が20ppm 以下のものである。
【0019】CHO以外の元素として考えられるもの
は、一つにはエステルの合成触媒に由来するTi,S
n,S,Cl,Na,N,P等があげられる。また、エ
ステル合成の原料に由来するP,S,Cl,N,Fe等
があげられる。これらのヘテロ原子が該エステルに含ま
れると、耐加水分解性や熱安定性を悪化させるため好ま
しくない。また、該エステルを基油とする冷凍機作動流
体用組成物中にエポキシ系添加剤を添加した場合、エポ
キシ系添加剤の自己縮合を促進し、消費を早めてしまう
ため好ましくない。
【0020】本発明において冷凍機油の基油とされるエ
ステルは、本発明に用いる上記A〜Cの三種のエステル
からなる群から選択されるエステルをそれぞれ単独で用
いてもよく、これらの二種以上を混合したものでもよ
い。二種以上を混合する場合、それぞれのエステルに含
まれるCHO以外の元素が20ppm 以下であることが好ま
しいが、仮に20ppm を越えているものがあっても混合し
たエステル中に含まれるCHO以外の元素が全体として
20ppm 以下であればよい。
【0021】本発明に用いるエステルに含まれるCHO
以外の元素は低ければ低い程耐加水分解性、絶縁性、熱
安定性が向上するため好ましく、該エステルに含まれる
CHO以外の元素は好ましくは10ppm 以下、さらに好ま
しくは5ppm以下である。このように、エステルに含まれ
るCHO以外の元素を低くすることによって、エステル
系化合物の特徴であるハイドロフルオロカーボンとの相
溶性、吸湿性を生かしつつ、該エステル及びハイドロフ
ルオロカーボンを含有する冷凍機作動流体用組成物の耐
加水分解性、絶縁性、熱安定性を改善することができ
る。また、該エステルを基油とする冷凍機作動流体用組
成物中に含まれるエポキシ系添加剤の自己縮合を抑え、
効果を持続させる。
【0022】ここで、本発明に用いるエステルに含まれ
るCHO以外の元素の測定方法としては特に限定されな
いが、誘導結合型高周波プラズマ(ICP)を光源に用
いた発光分光分析は、極めて高感度で検出限界が低く、
また同時に多成分を分析できるため有効な分析手段であ
る。
【0023】本発明においてエステルに含まれるCHO
以外の元素を20ppm 以下に調整する方法としては特に限
定する必要はないが、例えばエステル合成時に使用する
触媒の除去を完全に行うことが挙げられる。除去方法と
しては特に限定しないが、使用する触媒に応じて適当と
考えられる方法を用いれば良い。例えば塩酸,硫酸,燐
酸,p-トルエンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸等のブ
レンステット酸を触媒として用いた場合には、中和して
完全に失活した後、沈澱した塩を濾過等の処理を行い除
去すれば良い。又、塩化アルミニウム,三酸化二硼素,
三弗化硼素等のルイス酸を触媒として用いた場合には、
加水分解等で失活させた後助剤を用いて濾過するか、溶
剤洗浄,抽出等を行う等の処理を行い除去すれば良い。
更に、酸化ベリリウム,酸化トリウム,酸化チタン,酸
化錫,チタンテトライソプロポキシド等の金属触媒を用
いた場合には、必要により加水分解等を行った後、濾過
を行い除去すれば良い。また、別の方法としては、N,
S,P,Cl,Fe等のヘテロ元素の不純物をできるだ
け含まない原料を用いる事が挙げられる。
【0024】本発明に用いるエステルは、ハイドロフル
オロカーボン系冷媒との低温における相溶性が、一般に
粘度が高くなるにつれて悪くなる傾向がある。従って、
相溶性の面で好ましいエステルは100 ℃における動粘度
が1cSt以上100cSt以下のものであり、さらに好ましくは
1cSt以上30cSt 以下である。またハイドロフルオロカー
ボン系冷媒との相溶性という点から、本発明におけるエ
ステルの鹸化価は、前記Aのエステルでは、250mgKOH/g
以上が好ましく、280mgKOH/g以上がさらに好ましい。B
およびCのエステルでは、330mgKOH/g以上が好ましく、
350mgKOH/g以上がさらに好ましい。
【0025】本発明におけるエステルは、金属に対する
腐食防止性や加水分解安定性という点から、エステルの
原料である(a)脂肪族多価アルコール、(b)飽和脂
肪族モノカルボン酸又はその誘導体、(c)飽和脂肪族
ジカルボン酸又はその誘導体、(d)飽和脂肪族1価ア
ルコール、(e)多価カルボン酸又はその誘導体、のい
ずれかが分岐構造であれば好ましく、アルコール部分お
よびカルボン酸部分のいずれも分岐構造であることが更
に好ましい。
【0026】また、本発明に用いるAのエステルのう
ち、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2- メチル-1,3
- プロパンジオール、2-イソプロピル-2- メチル-1,3-
プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3- プロパンジオー
ル、2-n-ブチル-2- エチル-1,3- プロパンジオール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールノナン、ペンタエリスリトール及びジペンタエ
リスリトール等のヒンダードアルコールと、炭素数7〜
9の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸、とりわけ2-メチ
ルヘキサン酸、3-メチルヘキサン酸、5-メチルヘキサン
酸、2-エチルヘキサン酸、3,5-ジメチルヘキサン酸、3,
5,5-トリメチルヘキサン酸よりなる群から選ばれた少な
くとも1種のカルボン酸より得られるエステルはハイド
ロフルオロカーボン系冷媒との相溶性、耐加水分解性、
熱安定性の面で優れている。
【0027】Aのエステルとして好ましいものは、具体
的には、ネオペンチルグリコールジ-2- メチルヘキサネ
ート、トリメチロールプロパントリ-2- メチルヘキサネ
ート、ペンタエリスリトールテトラ-2- メチルヘキサネ
ート、ネオペンチルグリコールジ-3,5,5- トリメチルヘ
キサネート、トリメチロールプロパントリ-3,5,5- トリ
メチルヘキサネート、ネオペンチルグリコールジ-2- エ
チルヘキサネート、トリメチロールプロパントリ-2- エ
チルヘキサネート、ペンタエリスリトールテトラ-3,5-
ジメチルヘキサネート、2-メチルヘキサン酸/3,5,5-ト
リメチルヘキサン酸=約35/65(重量比)の混合カ
ルボン酸とトリメチロールプロパンを反応させて得られ
るエステル、2-メチルヘキサン酸/3,5-ジメチルヘキサ
ン酸=約80/20(重量比)の混合カルボン酸とペン
タエリスリトールを反応させて得られるエステル、2-メ
チルヘキサン酸/3,5,5-トリメチルヘキサン酸=約90
/10(重量比)の混合カルボン酸とペンタエリスリト
ールを反応させて得られるエステル、2-メチルヘキサン
酸/2-エチルヘキサン酸=約60/40(重量比)の混
合カルボン酸とペンタエリスリトールを反応させて得ら
れるエステル、3-メチルヘキサン酸/5-メチルヘキサン
酸=約70/30(重量比)の混合カルボン酸とトリメ
チロールプロパンを反応させて得られるエステル、3-メ
チルヘキサン酸/5-メチルヘキサン酸=約70/30
(重量比)の混合カルボン酸とペンタエリスリトールを
反応させて得られるエステル、3-メチルヘキサン酸/5-
メチルヘキサン酸/3,5,5-トリメチルヘキサン酸=約2
7/13/60(重量比)の混合カルボン酸とトリメチ
ロールプロパンを反応させて得られるエステル、3-メチ
ルヘキサン酸/5-メチルヘキサン酸/3,5,5-トリメチル
ヘキサン酸=約60/30/10(重量比)の混合カル
ボン酸とトリメチロールプロパンを反応させて得られる
エステル、3-メチルヘキサン酸/5-メチルヘキサン酸/
2-エチルヘキサン酸=約33/17/50(重量比)の
混合カルボン酸とペンタエリスリトールを反応させて得
られるエステル等が挙げられる。
【0028】また、本発明に用いるBのエステルのう
ち、 (f):前記(a)成分のうち、第1ヒドロキシ基を1
〜2個有する脂肪族2価アルコールと、 (b):炭素数2〜9の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族モ
ノカルボン酸又はその誘導体と、 (g):前記(c)成分のうち、炭素数2〜8の直鎖又
は分岐鎖の飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とか
ら得られるエステルは、ハイドロフルオロカーボン系冷
媒との低温での相溶性、潤滑性に特に優れている。
【0029】また、本発明に用いるCのエステルのう
ち、 (f):(a)成分のうち、第1ヒドロキシ基を1〜2
個有する脂肪族2価アルコールと、 (d):炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族
1価アルコールと、 (g):(e)成分のうち、炭素数2〜8の直鎖又は分
岐鎖の飽和脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とから得
られるエステルは、同様にハイドロフルオロカーボン系
冷媒との低温での相溶性、潤滑性に特に優れている。
【0030】上記(f)成分の具体的な例としては、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジ
オール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,
4-ブタンジオール、2-メチル-1,2- プロパンジオール、
2-メチル-1,3- プロパンジオール、1,2-ペンタンジオー
ル、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,
5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキ
サンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3-ジメチル-
1,2- ブタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2-エチ
ル-1,3- ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,
8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3- ペンタン
ジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、
1,10- デカンジオール等の2価アルコールや、下記式
(I)で示されるヒンダードアルコールが挙げられる。
ヒンダードアルコールの具体的な例としては、ネオペン
チルグリコール、2-エチル-2-メチル-1,3- プロパンジ
オール、2-イソプロピル-2- メチル-1,3- プロパンジオ
ール、2,2-ジエチル-1,3- プロパンジオール、2-n-ブチ
ル-2- エチル-1,3- プロパンジオール等が挙げられる。
これらの脂肪族2価アルコールの炭素原子数は2〜3
0、好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜10で
ある。耐熱性の面から、下記の一般式(I)で示される
ヒンダードアルコールが特に優れている。
【0031】
【化1】
【0032】(式中、R1 、R2 はそれぞれ炭素数1〜
6のアルキル基を示す。)上記(g)成分の具体的な例
としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハ
ク酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、2,2-ジメチルコハク
酸、2,3-ジメチルコハク酸、2-メチルグルタル酸、3-メ
チルグルタル酸、ブチルマロン酸、ジエチルマロン酸、
2,2-ジメチルグルタル酸、2,4-ジメチルグルタル酸、3,
3-ジメチルグルタル酸、2-エチル-2-メチルコハク酸、3
-メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、2,2-ジ
メチルアジピン酸が挙げられる。
【0033】上記の化合物を用いて得られる、相溶性、
潤滑性に特に優れる本発明に用いるBのエステルの好ま
しい具体例としては、2-メチルヘキサン酸/アジピン酸
=約70/30(重量比)の混合カルボン酸とネオペン
チルグリコールを反応させて得られるエステル、あるい
は2-メチルヘキサン酸/アジピン酸=約72/28(重
量比)の混合カルボン酸と2,2-ジエチル-1,3- プロパン
ジオールを反応させて得られるエステル、あるいは2-エ
チルヘキサン酸/グルタル酸=約57/43(重量比)
の混合カルボン酸とネオペンチルグリコールを反応させ
て得られるエステル、あるいは2-メチルヘキサン酸/グ
ルタル酸=約43/57(重量比)の混合カルボン酸と
ネオペンチルグリコールを反応させて得られるエステ
ル、2-エチルヘキサン酸/アジピン酸=約64/36
(重量比)の混合カルボン酸とネオペンチルグリコール
を反応させて得られるエステル、3-メチルヘキサン酸/
5-メチルヘキサン酸/アジピン酸=約50/20/30
(重量比)の混合カルボン酸とネオペンチルグリコール
を反応させて得られるエステル、2-エチルヘキサン酸/
アジピン酸=約25/75(重量比)の混合カルボン酸
とネオペンチルグリコールを反応させて得られるエステ
ル等が挙げられる。また、Cのエステルの好ましい具体
例としては、アジピン酸とネオペンチルグリコール/2-
エチルヘキサノール=約47/53(重量比)の混合ア
ルコールを反応させて得られるエステル、グルタル酸と
2,2-ジエチル-1,3- プロパンジオール/2-メチルヘプタ
ノール=約35/65(重量比)の混合アルコールを反
応させて得られるエステル等が挙げられる。
【0034】本発明に用いられるAのエステルは、前記
(a)成分(多価アルコール)1種以上と、前記(b)
成分(モノカルボン酸又はその低級アルキルエステル、
酸無水物等)1種以上とにより、通常のエステル化反応
やエステル交換反応によって得ることができる。
【0035】本発明に用いられるBのエステルは、前記
(a)成分(多価アルコール)1種以上と、前記(b)
成分(モノカルボン酸又はその低級アルキルエステル、
酸無水物等)1種以上と、前記(c)成分(ジカルボン
酸又はその低級アルキルエステル、酸無水物等)1種以
上とにより、通常のエステル化反応やエステル交換反応
によって得ることができる。この際、(a)成分である
多価アルコール1モルに対して(c)成分であるジカル
ボン酸又はその誘導体0.9 モル以下を反応させることが
好ましい。また、更に好ましくは0.8 モル以下である。
0.9 モルより多量に(c)成分を反応させると粘度が高
くなるので好ましくない。また、(a)成分の多価アル
コール1モルに対する(b)成分のモノカルボン酸又は
その誘導体のモル数は、先に述べた(c)成分のジカル
ボン酸又はその誘導体のモル数及び得ようとするエステ
ルの水酸基価によって決定される。
【0036】本発明に用いられるCのエステルは、前記
(a)成分(多価アルコール)1種以上と、前記(d)
成分(1価アルコール)1種以上と、前記(e)成分
(多価カルボン酸又はその低級アルキルエステル、酸無
水物等)1種以上とにより、通常のエステル化反応やエ
ステル交換反応によって得ることができる。この際、
(e)成分である多価カルボン酸またはその誘導体1モ
ルに対して(a)成分である多価アルコール1.5 モル以
下を反応させることが好ましい。更に好ましくは0.9 モ
ル以下である。1.5 モルより多量に(a)成分を反応さ
せると粘度が高くなるので好ましくない。(e)成分で
ある多価カルボン酸又はその誘導体1モルに対する
(d)成分の1価アルコールのモル数は、先に述べた
(a)成分の多価アルコールのモル数及び得ようとする
エステルの水酸基価によって決定される。
【0037】以上の本発明に用いるA〜Cのエステルの
酸価は低いほど好ましく、通常0.1mgKOH/g以下、特に0.
05mgKOH/g 以下が好ましい。酸価が0.1mgKOH/gより大き
いと金属に対する腐食性が大きくなる可能性があるので
好ましくない。
【0038】また、これらのエステルの水酸基価は通常
0.1mgKOH/g以上50mgKOH/g 以下であり、好ましくは0.1m
gKOH/g以上30mgKOH/g 以下である。さらに好ましくは、
0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g 以下である。水酸基価が50mg
KOH/g より大きいと吸湿性が大きくなり0.1mgKOH/gより
小さいと耐摩耗性が悪くなるので好ましくない。
【0039】本発明に用いられるA〜Cのエステルは、
ハイドロフルオロカーボンとの二相分離温度が低いこと
が望ましく、−10℃以下、好ましくは−30℃以下、
特に好ましくは−50℃以下であることが望ましい。ま
た、本発明に用いられるA〜Cのエステルを基油とする
冷凍機油は、ハイドロフルオロカーボンとの相溶性を損
なわない範囲で、鉱物油やポリ- α- オレフィン、アル
キルベンゼン、上記以外のエステルやポリエーテル、パ
ーフルオロポリエーテル、リン酸エステル等の合成油を
混合することができる。
【0040】本発明における冷凍機油には、必要に応じ
て、組成物中に水、あるいは生成したカルボン酸をトラ
ップするためにエポキシ基を有する化合物、オルトエス
テルやアセタールを添加したり、カルボン酸が金属を腐
食しないよう金属表面を保護するためにベンゾトリアゾ
ール及び/又はベンゾトリアゾール誘導体を添加した
り、潤滑性を向上させるためにトリアリールフォスフェ
ート及び/又はトリアリールフォスファイトを添加した
り、熱安定性を向上させるために、ラジカルトラップ能
を有するフェノール系化合物やキレート能を有する金属
不活性剤を添加することも有効である。これらの添加剤
の中で、エポキシ基を有する化合物、オルトエステルや
アセタールを添加することが好ましく、中でもエポキシ
基を有する化合物を添加することが特に好ましい。
【0041】エポキシ基を有する化合物としては、フェ
ニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、
2-エチルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエー
テル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリ
ントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパント
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグ
リシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシ
ジルエーテル等のグリシジルエーテル類や、フタル酸ジ
グリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグ
リシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル等
のグリシジルエステル類や、エポキシ化ステアリン酸メ
チル、エポキシ化ステアリン酸ブチル等のエポキシ化脂
肪酸モノエステル類や、エポキシ化大豆油、エポキシ化
アマニ油等のエポキシ化植物油類や、エポキシシクロオ
クタン、エポキシシクロヘプタン、後に述べるエポキシ
シクロヘキシル基を有する化合物、エポキシシクロペン
チル基を有する化合物等の脂環式エポキシ化合物が挙げ
られる。
【0042】塩素原子を含むCFC12やモノクロロジ
フルオロメタン(HCFC22)の系では、フロンの分
解により塩酸が発生するのでこれをトラップするため
に、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテ
ル類、エポキシ化脂肪酸モノエステル類やエポキシ化植
物油類をナフテン油等の油に広く添加している。特開昭
57-63395号公報に示されているようにエポキシシクロオ
クタンのようなエポキシシクロアルキル基を有する化合
物をポリエーテル化合物に添加して塩酸によるポリエー
テル化合物の劣化を防いでいる例もある。
【0043】しかし、本発明におけるハイドロフルオロ
カーボンと前記エステルの組成物で生じる酸は塩酸の様
な強酸ではなく、飽和脂肪族モノカルボン酸であるため
に、前記に示したような通常のエポキシ化合物ではあま
り効果がなく、本発明においては、脂環式エポキシ化合
物、特にエポキシシクロヘキシル基を有する化合物及び
/又はエポキシシクロペンチル基を有する化合物を添加
することが好ましい。
【0044】本発明に用いられるエポキシシクロヘキシ
ル基を有する化合物、エポキシシクロペンチル基を有す
る化合物は、炭素数5〜40、好ましくは炭素数5〜2
5のものであり、具体的には1,2-エポキシシクロヘキサ
ン、1,2-エポキシシクロペンタン、ビス(3,4-エポキシ
シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキ
シ-6- メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-
エポキシシクロヘキシルメチル-3,4- エポキシシクロヘ
キサンカルボキシレート、エキソ-2,3- エポキシノルボ
ルナン、2-(7-オキサビシクロ[4.1.0 ]ペプト-3- イ
ル)- スピロ(1,3-ジオキサン-5,3'-[7 ]オキサビシ
クロ[4.1.0 ]ヘプタン)、4-エポキシエチル-1,2- エ
ポキシシクロヘキサン、4-(1'- メチルエポキシエチ
ル)-1,2-エポキシ-2- メチルシクロヘキサン等が挙げ
られ、特に限定されるものでもないが好ましくは1,2-エ
ポキシシクロヘキサン、1,2-エポキシシクロペンタン、
ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペー
ト、ビス(3,4-エポキシ-6- メチルシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-
3,4- エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(7
-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト-3- イル)- スピロ
(1,3-ジオキサン-5,3'-[7 ]オキサビシクロ[4.1.0
]ヘプタン)である。
【0045】本発明においては、これらのエポキシシク
ロヘキシル基を有する化合物の単独又は2種以上を併用
してもよく、またエポキシシクロペンチル基を有する化
合物の単独又は2種以上を併用してもよい。さらにエポ
キシシクロヘキシル基を有する化合物とエポキシシクロ
ペンチル基を有する化合物を併用してもよい。その添加
量は、本発明に用いるエステル100 重量部に対し、通常
0.05〜2.0 重量部、好ましくは0.1 〜1.5 重量部、さら
に好ましくは0.1 〜1.0 重量部である。また、場合によ
りこれらのエポキシシクロヘキシル基を有する化合物や
エポキシシクロペンチル基を有する化合物とグリシジル
エーテルのような他のエポキシ化合物を併用してもよ
い。
【0046】本発明に用いられるオルトエステルは炭素
数4〜70のものであり、さらに好ましくは炭素数4〜
50のものである。具体的には、オルトギ酸メチル、オ
ルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸イソ
プロピル、オルトギ酸ブチル、オルトギ酸イソブチル、
オルトギ酸ペンチル、オルトギ酸ヘキシル、オルトギ酸
-2- エチルヘキシル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エ
チル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸イソプロピル、
オルト酢酸ブチル、オルト酢酸イソブチル、オルト酢酸
ペンチル、オルト酢酸ヘキシル、オルト酢酸-2- エチル
ヘキシル、オルト-2- エチルヘキサン酸メチル、オルト
-2- エチルヘキサン酸エチル、オルト-2- エチルヘキサ
ン酸プロピル、オルト-2- エチルヘキサン酸イソプロピ
ル、オルト-2- エチルヘキサン酸ブチル、オルト-2- エ
チルヘキサン酸イソブチル、オルト-2- エチルヘキサン
酸ペンチル、オルト-2- エチルヘキサン酸ヘキシル、オ
ルト-2- エチルヘキサン酸-2- エチルヘキシルである。
【0047】ここで、オルトエステルの添加量は、本発
明に用いるエステル100 重量部に対し通常0.01〜100 重
量部であり、好ましくは0.05〜30重量部である。
【0048】本発明に用いられるアセタールは炭素数4
〜70のものであり、さらに好ましくは炭素数4〜50
のものである。具体的には、シクロヘキサノンエチレン
ケタール、シクロヘキサノンメチルエチレンケタール、
シクロヘキサノン-2,2- ジメチルトリメチレンケター
ル、シクロヘキサノンジメチルアセタール、シクロヘキ
サノンジエチルアセタール、アセトンエチレンケター
ル、アセトンメチルエチレンケタール、アセトン-2,2-
ジメチルトリメチレンケタール、アセトンジメチルアセ
タール、アセトンジエチルアセタール、メチルエチルケ
トンエチレンケタール、メチルエチルケトンメチルエチ
レンケタール、メチルエチルケトン-2,2- ジメチルトリ
メチレンケタール、メチルエチルケトンジメチルアセタ
ール、メチルエチルケトンジエチルアセタール、メチル
イソブチルケトンエチレンケタール、メチルイソブチル
ケトンメチルエチレンケタール、メチルイソブチルケト
ン-2,2- ジメチルトリメチレンケタール、メチルイソブ
チルケトンジメチルアセタール、メチルイソブチルケト
ンジエチルアセタール、ジイソプロピルケトンエチレン
ケタール、ジイソプロピルケトンメチルエチレンケター
ル、ジイソプロピルケトン-2,2- ジメチルトリメチレン
ケタール、ジイソプロピルケトンジメチルアセタール、
ジイソプロピルケトンジエチルアセタール、ベンザルデ
ヒドエチレンケタール、ベンザルデヒドメチルエチレン
ケタール、ベンザルデヒド-2,2- ジメチルトリメチレン
ケタール、ベンザルデヒドジメチルアセタール、ベンザ
ルデヒドジエチルアセタールである。
【0049】ここで、アセタールの添加量は、本発明に
用いるエステル100 重量部に対し通常0.01〜100 重量部
であり、好ましくは0.05〜30重量部である。
【0050】本発明に用いられるベンゾトリアゾール、
ベンゾトリアゾール誘導体は炭素数6〜50のものであ
り、好ましくは6〜30のものである。具体的には、ベ
ンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、
1-ジオクチルアミノメチルベンゾトリアゾール、1-ジオ
クチルアミノメチル-5- メチルベンゾトリアゾール、2-
(5'- メチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2-[2'- ヒドロキシ-3',5'- ビス(α,α- ジメ
チルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-
(3',5'-ジ-t- ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2-(3'-t- ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロ
キシフェニル)-5- クロロベンゾトリアゾール、2-
(3',5'-ジ-t- ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5- ク
ロロベンゾトリアゾール、2-(3',5'-ジ-t- アミル-2'-
ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-
ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2'- ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2-(2'- ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2-[2'- ヒドロキシ-3'-(3",4",
5",6"-テトラヒドロフタリミドメチル)-5'-メチルフェ
ニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられ、好ましくはベ
ンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール等
である。
【0051】ここで、ベンゾトリアゾール及び/又はベ
ンゾトリアゾール誘導体の添加量は、本発明に用いるエ
ステル100 重量部に対し、通常0.001 〜0.1 重量部であ
り、好ましくは0.003 〜0.03重量部である。
【0052】本発明に用いられるトリアリールフォスフ
ェートやトリアリールフォスファイトは、炭素数18〜
70のものであり、さらに好ましくは炭素数18〜50
のものである。具体的には、トリフェニルフォスフェー
ト、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォ
スフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、キシ
レニルジフェニルフォスフェート、トリス(トリブロモ
フェニル)フォスフェート、トリス(ジブロモフェニ
ル)フォスフェート、トリス(2,4-ジ-t- ブチルフェニ
ル)フォスフェート、トリノニルフェニルフォスフェー
ト等のトリアリールフォスフェートや、トリフェニルフ
ォスファイト、トリクレジルフォスファイト、トリキシ
レニルフォスファイト、クレジルジフェニルフォスファ
イト、キシレニルジフェニルフォスファイト、トリス
(2,4-ジ-t- ブチルフェニル)フォスファイト、トリノ
ニルフェニルフォスファイト、トリス(トリブロモフェ
ニル)フォスファイト、トリス(ジブロモフェニル)フ
ォスファイト等のトリアリールフォスファイトが挙げら
れ、好ましいのはトリフェニルフォスフェート、トリク
レジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェー
ト、トリス(2,4-ジ-t- ブチルフェニル)フォスフェー
ト、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォス
ファイト、トリキシレニルフォスファイト、トリス(2,
4-ジ-t- ブチルフェニル)フォスファイトである。
【0053】ここで、トリアリールフォスフェート及び
/又はトリアリールフォスファイトの添加量は、本発明
に用いるエステル100 重量部に対し通常0.1 〜5.0 重量
部であり、好ましくは0.5 〜2.0 重量部である。
【0054】本発明に用いられるラジカルトラップ能を
有するフェノール系化合物は、炭素数が6〜100のも
のであり、好ましくは10〜80のものである。具体的
には、2,6-ジ-t- ブチルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル
-4- メチルフェノール、4,4'ーメチレンビス(2,6-ジ-t
- ブチルフェノール)、4,4'- ブチリデンビス(3-メチ
ル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4-
エチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス
(4-メチル-6-t- ブチルフェノール)、4,4'-イソプロ
ピリデンビスフェノール、2,4-ジメチル-6-t- ブチルフ
ェノール、テトラキス[メチレン-3- (3,5-ジ-t- ブチ
ル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
1,1,3-トリス(2-メチル-4- ヒドロキシ-5-t- ブチルフ
ェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6- トリス(3,
5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,
2'- ジヒドロキシ-3,3'-ジ(α- メチルシクロヘキシ
ル)-5,5'-ジメチル- ジフェニルメタン、2,2'- イソブ
チリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、ビス[3,3-
ビス- (4'- ヒドロキシ-3'-t-ブチルフェニル)ブチリ
ックアシッドグリコールエステル、2,6-ビス(2'- ヒド
ロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルベンジル)-4- メチルフ
ェノール、1,1'- ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン、2,5-ジ-t- アミルヒドロキノン、2,5-ジ-t-
ブチルヒドロキノン、1,4-ジヒドロキシアントラキノ
ン、3-t-ブチル-4- ヒドロキシアニソール、2-t-ブチル
-4- ヒドロキシアニソール、2,4-ジベンゾイルレゾルシ
ノール、4-t-ブチルカテコール、2,6-ジ-t- ブチル-4-
エチルフェノール、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフ
ェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒ
ドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,4,5-トリヒド
ロキシベンゾフェノン、α-トコフェロール、ビス[2-
(2-ヒドロキシ-5- メチル-3-t- ブチルベンジル)-4-
メチル-6-t- ブチルフェニル]テレフタレート、トリエ
チレングリコール- ビス[3-(3-t-ブチル-5- メチル-4
- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサ
ンジオール- ビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス[2-(3-t-ブ
チル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニロ
キシ]-1,1- ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサ
スピロ[5.5 ]ウンデカン等が挙げられ、好ましくは、
2,6-ジ-t- ブチルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル-4- メ
チルフェノール、4,4'- メチレンビス(2,6-ジ-t- ブチ
ルフェノール)、4,4'- ブチリデンビス(3-メチル-6-t
- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4-エチル
-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4-メ
チル-6-t- ブチルフェノール)、4,4'- イソプロピリデ
ンビスフェノール、2,4-ジメチル-6-t- ブチルフェノー
ル、テトラキス[メチレン-3- (3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3-
トリス(2-メチル-4- ヒドロキシ-5-t- ブチルフェニ
ル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-
t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ-
t- ブチル-4- エチルフェノール、2,6-ビス(2'- ヒド
ロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルベンジル)-4- メチルフ
ェノール、ビス[2-(2-ヒドロキシ-5- メチル-3-t- ブ
チルベンジル)-4- メチル-6-t- ブチルフェニル]テレ
フタレート、トリエチレングリコール- ビス[3-(3-t-
ブチル-5- メチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、1,6-ヘキサンジオール- ビス[3-(3,5-ジ-t-
ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等で
ある。
【0055】ここで、フェノール系化合物の添加量は、
本発明に用いるエステル100 重量部に対し、通常0.05〜
2.0 重量部であり、好ましくは0.05〜0.5 重量部であ
る。
【0056】本発明に用いられる金属不活性剤はキレー
ト能を持つものが好ましく、炭素数が5〜50のもので
あり、好ましくは5〜20である。具体的には、N,N'-
ジサリチリデン-1,2-ジアミノエタン、N,N'- ジサリチ
リデン-1,2-ジアミノプロパン、N-サリチリデン-N'-ジ
メチル-1,2- ジアミノエタン、N,N'- ジサリチリデンヒ
ドラジン、N,N'- ビス(α,5- ジメチルサリチリデン)
-1,2- ジアミノエタン、N,N'- ビス(α,5- ジメチルサ
リチリデン)-1,3- プロパンジアミン、N,N'-ビス
(α,5-ジメチルサリチリデン)-1,6- ヘキサンジアミ
ン、N,N'- ビス(α,5- ジメチルサリチリデン)-1,10-
デカンジアミン、N,N'- ビス(α,5- ジメチルサリチリ
デン)エチレンテトラミン、サリチルアルドキシム、2-
ヒドロキシ-5- メチルアセトフェノオキシム、アセチル
アセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸-2- エチルヘ
キシル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン
酸ジ-2- エチルヘキシル、アントラニル酸、ニトリロ三
酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチル
エチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢
酸、エチレンジアミン、3-メルカプト-1,2- プロパンジ
オール、アリザリン、キニザリン、メルカプトベンゾチ
アゾール等が挙げられ、好ましくはN,N'- ジサリチリデ
ン-1,2- ジアミノエタン、N,N'- ジサリチリデン-1,2-
ジアミノプロパン、アセチルアセトン、アセト酢酸エチ
ル、アセト酢酸-2- エチルヘキシル、アリザリン、キニ
ザリン等である。
【0057】ここで、金属不活性剤の添加量は、本発明
に用いるエステル100 重量部に対し、通常0.001 〜2.0
重量部であり、好ましくは0.003 〜0.5 重量部である。
【0058】また、必要に応じて前記に示した以外の通
常使用される酸化防止剤、極圧剤、油性向上剤、消泡剤
等の潤滑油添加剤を添加することもできる。例えば、酸
化防止剤として使用可能なものは、p,p-ジオクチルフェ
ニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチ
アジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、フェニル-1-
ナフチルアミン、フェニル-2- ナフチルアミン、アルキ
ルフェニル-1- ナフチルアミン、アルキルフェニル-2-
ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤や、アルキルジ
サルファイド、チオジプロピオン酸エステル、ベンゾチ
アゾール等の硫黄系酸化防止剤や、ジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛などである。こ
れらの添加量は通常エステル100 重量部に対し0.05〜2.
0 重量部である。
【0059】極圧剤、油性向上剤として使用可能なもの
は、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジ
チオリン酸亜鉛などの亜鉛化合物や、チオジプロピオン
酸エステル、ジアルキルサルファイド、ジベンジルサル
ファイド、ジアルキルポリサルファイド、アルキルメル
カプタン、ジベンゾチオフェン、2,2'- ジチオビス(ベ
ンゾチアゾール)等の硫黄化合物、トリアルキルフォス
ファイトやトリアルキルフォスフェート等の燐化合物、
塩素化パラフィン等の塩素化合物、モリブデンジチオカ
ーバメイト、モリブデンジチオフォスフェート、二硫化
モリブデン等のモリブデン化合物、パーフルオロアルキ
ルポリエーテルや、三弗化塩化エチレン重合物、フッ化
黒鉛などの弗素化合物、脂肪酸変成シリコーンなどのケ
イ素化合物、グラファイト等である。その添加量は本発
明に用いるエステル100 重量部に対し0.05〜10重量部で
ある。
【0060】消泡剤としての使用されるものは、ジメチ
ルポリシロキサン等のシリコーン油やジエチルシリケー
ト等のオルガノシリケート類等である。その添加量は本
発明に用いるエステル100 重量部に対し0.0005〜1 重量
部である。また、有機錫化合物、ホウ素化合物等のフロ
ン冷媒を安定させる添加剤を加えてもよい。その添加量
はエステル100 重量部に対し0.001 〜10重量部である。
【0061】本発明の冷凍機作動流体用組成物は、ハイ
ドロフルオロカーボンと本発明に用いるエステルあるい
は本発明に用いるエステルに前述の添加剤を加えた油と
を常法により配合することにより容易に調製することが
できる。その配合比率は、通常、ハイドロフルオロカー
ボン/油=5 /1 〜1 /10(重量比)、好ましくは2/1
〜1 /5 (重量比)である。 また、A〜Cのエステ
ルの二種以上を混合して用いる場合、これらの配合比率
は特に限定されることはない。本発明に用いられるハイ
ドロフルオロカーボンとは、ジフルオロメタン(HFC32
)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a )、1,1,1-トリ
フルオロエタン(HFC143a )、1,1,1,2-テトラフルオロ
エタン(HFC134a )、1,1,2,2-テトラフルオロエタン
(HFC134)、ペンタフルオロエタン(HFC125)等であ
り、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ジフルオロメ
タンが好ましい。
【0062】
【実施例】以下、本発明を製造例および試験例により具
体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定され
るものではない。なお、試験例では、以下に示す製造例
に従って合成した本発明品に用いるエステル(1) 〜(7)
及び比較品に用いるエステルa〜hを用いた。残留触媒
量及び微量不純物元素の測定は、誘導結合型高周波プラ
ズマ(ICP)を光源に用いた発光分光分析機((株)
日本分光社製)を用いて行った。また、40℃及び100 ℃
における動粘度、並びに粘度指数はJIS K-2283に準拠し
て測定を行い、流動点はJIS K-2269に準拠して測定を行
った。さらに、1,1,1,2-テトラフルオロエタン及びジフ
ルオロメタンに対する試料濃度10vol%における低温での
二相分離温度を測定した。なお、以下の製造例に示す原
料において、CHO以外の元素の含有量の記述が特にな
いものは、全て2 ppm 以下である。
【0063】製造例1 1リットルの4つ口フラスコに攪拌機、温度計、窒素吹
き込み管、及び冷却器付きの脱水管を取り付けた。トリ
メチロールプロパン134g(1.00mol )、2-メチルヘキサ
ン酸110.2g(0.85mol )、2-エチルペンタン酸44.1g
(0.34mol )、3,5,5-トリメチルヘキサン酸286.5g(1.
81mol )と触媒としてチタンテトライソプロポキシドを
0.6g(仕込原料に対し0.1 重量%)を前記フラスコに取
った。窒素気流下常圧で250 ℃で2 時間反応を行った
後、150Torr で6 時間減圧反応を行った。その後、未反
応のモノカルボン酸を減圧蒸留した後一担90℃まで冷却
し、蒸留水を11.5g (仕込原料に対し2 重量%)追加
し、1 時間攪拌して触媒を加水分解し、減圧脱水により
水分を除去した後濾過により触媒を除去する事により、
残留Ti濃度が2 ppm 以下、40℃及び100 ℃の動粘度が
各々32.0 cSt及び5.31 cSt、粘度指数が102 、流動点が
-55 ℃以下、1,1,1,2-テトラフルオロエタンとの二相分
離温度が-56 ℃、ジフルオロメタンとの二相分離温度が
-14 ℃であるエステル(1) を得た。
【0064】製造例2 製造例1と同様のフラスコに同様の原料と触媒を取り、
窒素気流下常圧で240℃で2 時間反応を行った後、150To
rr で6 時間減圧反応を行った。その後、未反応のモノ
カルボン酸を減圧蒸留した後一担90℃まで冷却し蒸留水
を0.3g(仕込原料に対し0.05重量%)追加し、5 分間攪
拌して触媒を一部加水分解し、減圧脱水により水分を除
去した後濾過することにより、残留Ti濃度が86ppm で
あるエステルaを得た。その後さらに蒸留水を0.3g(仕
込原料に対し0.05重量%)追加し、5 分間攪拌して触媒
を一部加水分解し、減圧脱水により水分を除去した後濾
過することにより、製造例1と同様の物性で残留Ti濃
度が35ppm であるエステルbを得た。
【0065】製造例3 製造例1と同様のフラスコに、ペンタエリスリトール13
6g(1.00mol )、3-メチルヘキサン酸343.2g(2.60mol
)、5-メチルヘキサン酸184.8g(1.40mol )、触媒と
してチタンテトライソプロポキシドを0.9g(仕込原料に
対し0.1 重量%)を取り、製造例1と同様の方法で240
℃で反応した後製造例1と同様の方法で触媒を除去する
ことにより、残留Ti濃度が2 ppm 以下、40℃及び100
℃の動粘度が各々32.1 cSt及び5.51 cSt、粘度指数が10
8 、流動点が-55 ℃以下、1,1,1,2-テトラフルオロエタ
ンとの二相分離温度が-48 ℃、ジフルオロメタンとの二
相分離温度が-5℃であるエステル(2) を得た。
【0066】製造例4 製造例1と同様のフラスコに製造例3と同様の原料と触
媒を取り、製造例2と同様の方法で260 〜270 ℃で反応
した。その後一担90℃まで冷却し、蒸留水を1.4g(仕込
原料に対し0.2 重量%)追加し、15分間攪拌して触媒を
加水分解し、減圧脱水により水分を除去した後濾過によ
り触媒を除去する事により、製造例3と同様の物性で残
留Ti濃度が39ppm であるエステルcを得た。
【0067】製造例5 製造例1と同様のフラスコに、ネオペンチルグリコール
104g(1.00mol )、2-エチルヘキサン酸172.8g(1.20mo
l )と精製アジピン酸(N含有量5ppm以下,Cl含有量
10ppm 以下)51.1g (0.35mol )と触媒として酸化錫を
0.3g(仕込原料に対して0.1 重量%)を取った。99.999
%以上の高純度窒素ガスを用いて窒素気流下常圧240 ℃
で2 時間反応を行った後、150Torr で10時間減圧反応を
行った。その後、約100 ℃まで冷却し、活性白土を3.2g
(仕込原料に対して1.0 重量%)加えて減圧下で1 時間
攪拌後濾過する事により、残留Sn濃度が2 ppm 以下、
N濃度が5 ppm 以下、Cl濃度が10ppm 以下、40℃及び
100 ℃の動粘度が各々22.6cSt及び4.41 cSt、粘度指数
が104 、流動点が-55 ℃以下、1,1,1,2-テトラフルオロ
エタンとの二相分離温度が-60 ℃以下、ジフルオロメタ
ンとの二相分離温度が-40 ℃以下であるエステル(3)を
得た。
【0068】製造例6 製造例1と同様のフラスコに、ネオペンチルグリコール
104g(1.00mol ),2-エチルヘキサン酸172.8g(1.20mo
l )、粗アジピン酸(N含有量72ppm,Cl含有量15ppm
)51.1g (0.35mol )と酸化錫0.3g(仕込原料に対し
て0.1 重量%)を取った。99.99 %以上の標準窒素ガス
を用いて、窒素気流下常圧240 ℃で2 時間反応を行った
後、150Torr で10時間減圧反応を行った。その後、約10
0 ℃まで冷却し活性白土を0.3g(仕込原料に対して0.1
重量%)加えて10分間減圧攪拌後濾過することにより、
製造例5と同様の物性で残留Sn濃度が39ppm 、N濃度
が14ppm 、Cl濃度が10ppm 以下であるエステルdを得
た。
【0069】製造例7 製造例1と同様のフラスコに2,2-ジエチル-1,3- プロパ
ンジオール132g(1.00mol ),グルタル酸ジメチル(N
含有量14ppm,Cl含有量10ppm 以下)320g(2.00mol
)、2-メチルヘプタノール280.8g(2.16mol )と酸化
錫0.7g(仕込原料に対して0.1 重量%)を取り、製造例
5と同様の方法で240 ℃で反応を行い、製造例5と同様
の方法で濾過することにより、残留Sn濃度が2 ppm 以
下、N濃度が5 ppm 以下、Cl濃度が10ppm 以下、40℃
及び100 ℃の動粘度が各々30.7 cSt及び5.70 cSt、粘度
指数が128 、流動点が-55 ℃以下、1,1,1,2-テトラフル
オロエタンとの二相分離温度が-60 ℃以下であるエステ
ル(4) を得た。ジフルオロメタンとの二相分離温度は測
定しなかった。
【0070】製造例8 製造例1と同様のフラスコに、2,2-ジエチル-1,3- プロ
パンジオール132g(1.00mol )、粗グルタル酸(N含有
量194ppm, Cl含有量24ppm )264g(2.00mol)、2-メ
チルペプタノール280.8g(2.16mol )と酸化錫0.7g(仕
込原料に対して0.1 重量%)を取り、製造例6と同様の
方法で240 ℃で反応を行った。その後約100 ℃まで冷却
し、活性白土を0.7g(仕込原料に対して0.1 重量%)加
えて減圧下で15分攪拌後濾過することにより、製造例7
と同様の物性で残留Sn濃度が41ppm 、N濃度が75ppm
、Cl濃度が11ppm であるエステルeを得た。
【0071】製造例9 製造例1と同様のフラスコに、トリメチロールプロパン
134g(1.00mol )、3,5,5-トリメチルヘキサン酸474g
(3.00mol )、p-トルエンスルホン酸0.6g(仕込原料に
対して0.1 重量%)を取り、窒素気流下常圧190 ℃で2
時間反応を行った後、150Torr で10時間減圧反応を行っ
た。その後未反応のモノカルボン酸を減圧蒸留した後p-
トルエンスルホン酸をアルカリで中和し、水洗除去する
事により、残留S濃度が2 ppm 以下、40℃及び100 ℃の
動粘度が各々51.9 cSt及び7.13 cSt粘度指数が94、流動
点が-45 ℃、1,1,1,2-テトラフルオロエタンとの二相分
離温度が-52 ℃、ジフルオロメタンとの二相分離温度が
-6℃であるエステル(5) を得た。
【0072】製造例10 製造例1と同様のフラスコに、製造例9と同様の原料
と、p-トルエンスルホン酸0.3g(仕込原料に対して0.05
重量%)を取り、窒素気流下常圧190 ℃で2 時間反応を
行った後、150Torr で15時間減圧反応を行った。その後
未反応のモノカルボン酸を減圧蒸留する事により、製造
例9と同様の物性で、残留S濃度が91ppmであるエステ
ルfを得た。
【0073】製造例11 製造例1と同様のフラスコに、トリメチロールプロパン
134g(1.00mol )、2-エチルヘキサン酸432g(3.00mol
)、燐酸1.1g(仕込原料に対し0.2 重量%)に取り、
製造例9と同様の方法で反応、減圧蒸留、触媒除去を行
う事により、残留P濃度が2 ppm 以下、40℃及び100 ℃
の動粘度が各々24.4 cSt及び4.27 cSt、粘度指数が62、
流動点が-55 ℃以下、1,1,1,2-テトラフルオロエタンと
の二相分離温度が-42 ℃、ジフルオロメタンとの二相分
離温度が 0℃であるエステル(6) を得た。
【0074】製造例12 製造例1と同様のフラスコに、製造例11と同様の原料
と、燐酸0.1g(仕込原料に対し0.02重量%)を取り、製
造例10と同様の反応及び減圧蒸留を行う事により、製
造例11と同様の物性で、残留P濃度が61ppm であるエ
ステルgを得た。
【0075】製造例13 製造例1と同様のフラスコに、ネオペンチルグリコール
104g(1.00mol )、2-エチルヘキサン酸288g(2.00mol
)、ベンゼンスルホン酸0.4g(仕込原料に対し0.1 重
量%)に取り、製造例9と同様の方法で反応、減圧蒸
留、触媒除去を行う事により、残留S濃度が2 ppm 以
下、40℃及び100 ℃の動粘度が各々7.41 cSt及び2.05 c
St、粘度指数が54、流動点が-55 ℃以下、1,1,1,2-テト
ラフルオロエタンとの二相分離温度が-60 ℃、ジフルオ
ロメタンとの二相分離温度が-38 ℃であるエステル(7)
を得た。
【0076】製造例14 製造例1と同様のフラスコに、製造例13と同様の原料
と、ベンゼンスルホン酸0.2g(仕込原料に対して0.05重
量%)を取り、製造例10と同様の反応及び減圧蒸留す
る事により、製造例13と同様の物性で、残留S濃度が
99ppm であるエステルhを得た。
【0077】試験例1 エステル(1) 〜(7) の体積抵抗率(JIS C-2101-23 に基
づいて測定)をそれぞれ測定した。その結果を表1に示
す。同様にエステルa〜hについても同様の方法で測定
を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】試験例2 製造例で得られたエステル(1) 〜(7) と、1,1,1,2-テト
ラフルオロエタン(HFC134a)を配合して得られ
る冷凍機作動流体用組成物(本発明品(1) 〜(7) )につ
いて熱安定性を調べるために以下に示す条件でシールド
チューブ試験を行った。すなわち、予め水分濃度を10pp
m 以下、酸価を0.01 mgKOH/g以下に調整したエステル
(1) 〜(7) を10g 、及びHFC134aを5gガラス管に
取り、触媒として鉄,銅,アルミニウムを加えて封管し
た。175 ℃で14日間試験した後封管を開け、HFC13
4aを除去した後、エステル(1) 〜(7) の酸価を調べ
た。結果を表2に示す。同様にエステルa〜hについて
も同様の方法で試験を行い、同様の測定を行った。その
結果を併せて表2に示す。酸価は、JIS K−250
1に準拠して測定した。
【0080】
【表2】
【0081】表2から明らかなように、CHO以外の元
素が20ppm 以下であるエステルを用いた本発明品は、C
HO以外の元素が20ppm より大きいエステルを用いた比
較品より試験後のエステルの酸価が低く、熱安定性に優
れていることがわかる。
【0082】試験例3 製造例で得られたエステル(1) 〜(7) と、1,1,1,2-テト
ラフルオロエタン(HFC134a)を配合して得られ
る冷凍機作動流体用組成物(本発明品(1) 〜(7) )につ
いて、耐加水分解性を調べるために以下に示す条件でシ
ールドチューブ試験を行った。即ち、予め水分濃度を30
00ppm 、酸価を0.01 mgKOH/g以下に調整したエステル
(1) 〜(7) を10g 、及びHFC134aを5gガラス管に
取り、触媒として鉄,銅,アルミニウムを加えて封管し
た。175 ℃で3 日間試験した後、封管を開け、HFC1
34aを除去した後、エステル(1) 〜(7) の酸価を測定
した。結果を表3に示す。同様にエステルa〜hについ
ても同様の方法で試験を行い、同様の測定を行った。そ
の結果を併せて表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】表3から明らかなように、同一物性のエス
テルを用いた場合で比較すると、CHO以外の元素が20
ppm 以下であるエステルを用いた本発明品(例えば本発
明品(1) )は、CHO以外の元素が20ppm より大きいエ
ステルを用いた比較品(例えば比較品a,b)より試験
後のエステルの酸価が低く、耐加水分解性に優れている
ことがわかる。
【0085】試験例4 製造例で得られたエステル(1) 〜(7) にエポキシ系添加
剤イ〜ハを0.5 重量%配合したものと、1,1,1,2-テトラ
フルオロエタン(HFC134a)を配合して得られる
冷凍機作動流体用組成物(本発明品(8) 〜(14))につい
て、添加剤の安定性を調べるために以下に示す条件でシ
ールドチューブ試験を行った。即ち、予め水分濃度を20
0 ppm 、酸価を0.01 mgKOH/g以下に調整したエステルに
エポキシ系添加剤をエステルに対して0.5 重量%添加し
た油を10g 、及びHFC134aを5gガラス管に取り、
触媒として鉄,銅,アルミニウムを加えて封管した。17
5 ℃で7 日間試験した後封管を開け、HFC134aを
除去した後、油のオキシラン価の減少率及び酸価を測定
した。結果を表4に示す。同様にエステルa〜hについ
ても同様の方法で試験を行い、同様の測定を行った。そ
の結果を併せて表4に示す。オキシラン価の測定はOrga
nic Analysis Vol.1に基づいて行った。
【0086】
【表4】
【0087】表4から明らかなように、CHO以外の元
素が20ppm 以下であるエステルを用いた本発明品は、C
HO以外の元素が20ppm より大きいエステルを用いた比
較品より試験後のエステルのオキシラン価の減少率が少
なく、又酸価の上昇も少なくエポキシ系添加剤の安定性
に優れ、エステルの加水分解抑制効果に優れていること
がわかる。
【0088】
【発明の効果】本発明の冷凍機作動流体用組成物は、特
定のエステルを含有するため、相溶性および潤滑性に優
れるとともに、従来の物と比較してとりわけ電気絶縁
性、熱安定性、耐加水分解性、エポキシ系添加剤の安定
性に優れたものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正内容】
【0067】製造例5 製造例1と同様のフラスコに、ネオペンチルグリコール
104g(1.00mol)、2−エチルヘキサン酸1
72.8g(1.20mol)と精製アジピン酸(N含
有量5ppm以下,Cl含有量10ppm以下)51.
1g(0.35mol)と触媒として酸化錫を0.3g
(仕込原料に対して0.1重量%)を取った。99.9
99%以上の高純度窒素ガスを用いて窒素気流下常圧2
40℃で2時間反応を行った後、150Torrで10
時間減圧反応を行った。その後、約100℃まで冷却
し、活性白土を3.2g(仕込原料に対して1.0重量
%)加えて減圧下で1時間攪拌後濾過する事により、残
留Sn濃度が2ppm以下、N濃度が5ppm以下、C
l濃度が10ppm以下、40℃及び100℃の動粘度
が各々22.6cSt及び4.41cSt、粘度指数が
104、流動点が−55℃以下、1,1,1,2−テト
ラフルオロエタンとの二相分離温度が−60℃以下、ジ
フルオロメタンとの二相分離温度が−40℃であるエス
テル(3)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C10N 30:00 A 8217−4H C 8217−4H D 8217−4H Z 8217−4H 30:08 40:30

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A)(a) 第1ヒドロキシ基1〜6個を
    有する脂肪族多価アルコールと、(b) 炭素数2〜9
    の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸又はその
    誘導体とから得られるエステル B)(a) 第1ヒドロキシ基1〜6個を有する脂肪族
    多価アルコールと、(b) 炭素数2〜9の直鎖又は分
    岐鎖の飽和脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体と、
    (c) 炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族
    ジカルボン酸又はその誘導体とから得られるエステル、
    及び C)(a) 第1ヒドロキシ基1〜6個を有する脂肪族
    多価アルコールと、(d) 炭素数1〜10の直鎖又は
    分岐鎖の飽和脂肪族1価アルコールと、(e) 炭素数
    2〜10の多価カルボン酸又はその誘導体とから得られ
    るエステルからなる群より選ばれた一種以上のエステル
    であって、該エステルに含まれる炭素、水素、酸素以外
    の元素が20ppm 以下であるエステルを基油とする冷凍
    機油及びハイドロフルオロカーボンを含有する冷凍機作
    動流体用組成物。
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