JPH06255056A - 積層ポリエステルフイルム - Google Patents

積層ポリエステルフイルム

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JPH06255056A
JPH06255056A JP5047997A JP4799793A JPH06255056A JP H06255056 A JPH06255056 A JP H06255056A JP 5047997 A JP5047997 A JP 5047997A JP 4799793 A JP4799793 A JP 4799793A JP H06255056 A JPH06255056 A JP H06255056A
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polyester film
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Hagumu Takada
育 高田
Takashi Mimura
尚 三村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルフイルムの少なくとも片面に帯電
防止性を有する積層膜が設けられた積層ポリエステルフ
イルムにおいて、該積層膜の深さ方向における二次イオ
ン質量分析法によるP/C強度比が積層膜深部(フイル
ム側)に向かって減少し、かつ積層膜表面の表面自由エ
ネルギ−の水素結合成分が13dyn/cm以下である
ことを特徴とする積層ポリエステルフイルム。 【効果】本発明によって得られる積層ポリエステルフイ
ルムは帯電防止性と接着性のいずれにも優れた特性を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層ポリエステルフイル
ムに関し、更に詳しくは、易接着性、帯電防止性にの両
特性を同時に満足させた積層ポリエステルフイルムに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフイルムは、その
優れた機械特性、電気特性、寸法安定性、透明性、耐熱
性などから磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各
種写真用途、グラフィツクアーツ用途などの多くの分野
の基材フイルムとして使用されている。しかし反面、二
軸配向ポリエステルフイルムは表面が高度に結晶配向し
ているため接着性に乏しい、摩擦による静電気を帯びや
すいなどの欠点がある。これを改良するため従来多くの
提案がなされてきた。例えば接着性を付与するため各種
ガス雰囲気下でのコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外
線照射処理などの物理的方法やアルカリ、トリクロロ酢
酸、アミン、フェノールなどによる化学的処理、あるい
はこれらを併用した処理方法などが試みられているがい
ずれも十分な密着性が得られなかったり、経時的に処理
効果が薄れるなどの欠点があった。
【0003】一方ポリエステルフイルムの表面にプライ
マー層を設けることによる易接着処理が近年盛んに行な
われており、特にポリエステルフイルム製造工程中で一
気にプライマー処理を行なう方法(インラインコート
法)が工程簡略化や製造コスト、環境保全などの点で有
力視され盛んに実施されている。これに使用されるプラ
イマー層として易接着性を目的とした有機スルホン酸塩
基含有ポリエステル樹脂(特開昭58−1727号公
報)、有機スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂とアニ
オン性ウレタン樹脂の混合物(特開昭58−78761
号公報)などがある。また帯電防止性の付与を目的とし
て帯電防止剤を添加する方法(特開昭60−14152
5号公報)やスチレンスルホン酸共重合体を塗布する方
法(特開昭61−204240号公報)などが提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述した従来の
技術では二律背反性を持つ帯電防止性と易接着性を両立
させることは困難であった。すなわち有機スルホン酸塩
基含有ポリエステルや、これとウレタン樹脂を混合して
用いたものは所望の接着性が得られたとしても帯電防止
効果がなく、易接着層上へ被覆層を設ける過程において
工程中の塵埃が付着し、精度の良い被覆層が得られない
欠点がある。
【0005】また帯電防止剤を添加する方法においては
帯電防止剤自身が一種の界面活性剤のようなもので構成
されているため、帯電防止効果は得られるが、表面にブ
リードアウトしやすく接着性付与の点では不十分であ
る。またスチレンスルホン酸共重合体は帯電防止性を高
次元で付与するため添加量を増大すると接着性が不十分
となったり、インラインコート法に適用した場合には塗
膜の亀裂が発生し、帯電防止性や接着性の低下が著しい
ものとなる欠点がある。
【0006】本発明はこれらの欠点を解消せしめ接着
性、帯電防止効果の両特性に優れた積層ポリエステルフ
イルムを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はポリエステルフ
イルムの少なくとも片面に帯電防止性を有する積層膜が
設けられた積層ポリエステルフイルムにおいて、該積層
膜の深さ方向における二次イオン質量分析法によるP/
C強度比が積層膜深部(フイルム側)に向かって減少
し、かつ積層膜表面の表面自由エネルギーの水素結合成
分が13dyn/cm以下であることを特徴とする積層
ポリエステルフイルムをその骨子とするものである。
【0008】本発明でいうポリエステルフイルムのポリ
エステルとはエステル結合を主鎖の主要な結合成分とす
る高分子の総称であって、特に好ましいポリエステルと
してはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,
6ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどであ
りこれらの中でも品質、経済性などを総合的に勘案する
とポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。従って
以後はポリエチレンテレフタレート(以下ポリエチレン
テレフタレートをPETと略称する。)をポリエステル
の代表例として記述を進める。
【0009】PETとは80モル%以上、好ましくは9
0モル%以上がエチレンテレフタレートを繰り返し単位
とするものであるが、この限定範囲内で他のジカルボン
酸成分、ジオール成分を共重合しても良い。またこのP
ET中に本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加
剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫
外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無
機の微粒子、帯電防止剤、核剤などを配合しても良い。
【0010】上述したPETの極限粘度(25℃のオル
ソクロロフェノール中で測定)は0.40〜1.20d
l/gが好ましく、さらに好ましくは0.50〜0.8
0dl/gの範囲にあるものが本発明の内容に適したも
のである。
【0011】上記PETを使用したPETフイルムは積
層膜が設けられた状態においては、二軸配向されたもの
であり、二軸配向PETフイルムとは、無延伸状態のP
ETシートまたはフイルムを長手方向および幅方向にそ
れぞれ約2.5〜5.0倍程度延伸され、その後150
〜250℃で熱処理を施し、結晶配向を完了させたもの
であり、広角X線回折で二軸配向パターンを示すものを
いう。
【0012】PETフイルムの厚みは特に限定されず用
途に応じて適宜選択される。
【0013】本発明においてポリエステルフイルムの少
なくとも片面には帯電防止性を有する積層膜が設けられ
るが、ここで帯電防止性とは表面比抵抗が常態(25℃
60%RH)において5×1011Ω/□以下が好まし
く、さらに好ましくは5×1010Ω/□以下のものをい
う。
【0014】また積層膜の深さ方向における二次イオン
質量分析法で測定されたP/C強度比が積層膜深部(フ
イルム側)に向かって減少、すなわち積層膜表面に向か
って増大する構成をとるものであり、これにより優れた
帯電防止機能を発現するものである。P/Cが積層膜の
深部に向かって均一、あるいは増大する場合には所望の
帯電防止効果と接着性を両立させることができない。
【0015】また本発明においては積層膜の表面自由エ
ネルギーの水素結合成分が13dyn/cm以下が好ま
しく、さらに好ましくは12dyn/cm以下、より好
ましくは11dyn/cm以下である。水素結合成分が
13dyn/cmを越える場合には該積層膜上に設ける
被覆材との密着性が不十分となる。
【0016】また積層膜表面の表面自由エネルギーの分
散力成分が20dyn/cmを越え、32dyn/cm
未満とし、更に極性力成分が3dyn/cmを越え、1
5dyn/cm未満とした場合にはより接着性が向上す
るので特に好ましい。
【0017】このような積層膜は積層する組成物として
分子の末端あるいは側鎖に燐酸塩基を有するアクリル樹
脂と他の樹脂を混合して塗布、乾燥することによって得
ることができるが、好ましくは塗布後、乾燥し、さらに
延伸、熱処理を施す方法、すなわちインラインコート法
により、より顕著に発現する。
【0018】このインラインコート法によって積層膜を
設ける場合には上記燐酸塩基含有アクリル樹脂の構成成
分として分子内にアルキレンオキシドを導入したものが
延伸追従性の点で好ましく、特にアクリル樹脂の側鎖に
アルキレンオキシドを介して燐酸塩基を有する構造のも
のが特に好ましい。アルキレンオキシドと燐酸塩基を有
するアクリル樹脂とは樹脂を構成するモノマのいずれか
にアルキレンオキシドと燐酸基を含有し、下記の他のモ
ノマと共重合後、陽イオンを付加する方法あるいはアル
キレンオキシドと燐酸基を有するモノマの燐酸基をあら
かじめ中和法によって燐酸塩化したものをモノマの1成
分とすることによって得ることができるが、中でもアル
キレンオキシドと燐酸基が1つのモノマ中に存在してい
るのが好ましく、更には重合後においてアクリル樹脂の
側鎖にアルキレンオキシドを介在して燐酸塩基が存在す
るのがより好ましい。
【0019】アルキレンオキシドはC2 〜C8 の範囲で
任意に選定できその繰り返し単位は限定しない。特に好
ましい例としてエチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの両方を含
むものが好適である。このようなモノマとしてはアシッ
ドホスホオキシエチルアクリレート、アシッドホスホオ
キシエチルメタクリレート、3クロロ2アシッドホスホ
オキシエチルアクリレート、3クロロ2アシッドホスホ
オキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプ
ロピルアクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメ
タクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレ
ングリコールモノアクリレート、アシッドホスホオキシ
ポリオキシエチレングリコールモノアクリレート、アシ
ッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメ
タクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピ
レングリコールモノアクリレート、アシッドホスホオキ
シポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート
などをその代表例として挙げることができる。
【0020】アクリル樹脂を構成する他のモノマ成分と
しては公知のものを使用することができる。例えばアル
キルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル
基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル
基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル
基、シクロヘキシル基など)を基本骨格とし、更に架橋
性官能基を付与する目的で以下のモノマと共重合するの
が好ましい。このような官能基としてはカルボキシル
基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド
基またはメチロール化されたアミド基、アミノ基(置換
アミノ基を含む)、あるいはアルキロール化されたアミ
ノ基、水酸基、エポキシ基などを例示することができ
る。
【0021】上記官能基を有するモノマを例示するとア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスル
ホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メ
チロール化メタクリルアミド、ジエチルアミノエチルビ
ニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−
アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニ
ルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、お
よび上記アミノ基をメチロール化したもの、β−ヒドロ
キシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタク
リレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−
ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビ
ニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテ
ル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレートなどを挙げることができるが必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0022】さらに上記以外に次のような化合物、例え
ばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン
類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸およびイタコン
酸のモノあるいはジアルキルエステル、メチルビニルケ
トン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニ
ルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル基を有するアル
コキシシランなどを共重合成分としても良い。
【0023】本発明に用いるアクリル樹脂は上記モノマ
および架橋性官能基含有モノマなどを任意の比率で共重
合したものを用いることができるが、架橋性官能基を有
するモノマの共重合比が1〜30重量%が好ましく、さ
らに好ましくは3〜20重量%であるのが接着性の点で
望ましい。
【0024】また本発明のアクリル樹脂の分子量は10
万以上好ましくは30万以上とするのが易接着性の点で
望ましい。
【0025】更に架橋性官能基を架橋させる目的で官能
基と反応する架橋剤、例えばメラミン樹脂、イソシアネ
ート基を有するポリマなどを添加するとより好ましい。
上記アルキレンオキシドと燐酸塩基を有するモノマと他
のモノマとは任意の比率で共重合し得るが、好ましくは
前記モノマが30重量%以上、さらに好ましくは40重
量%以上、より好ましくは50重量%以上であるのが帯
電防止性の点で好ましい。燐酸塩基は1価の陽イオンの
付加により形成されたものであれば任意に選ばれるが、
中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムお
よびアンモニウムが帯電防止性の点で好ましく更にはカ
リウム、ルビジウムが帯電防止性の点で特に好ましい。
【0026】本発明のアクリル樹脂は公知のアクリル樹
脂の重合方法によって得ることができるが、インライン
コート法に適用する場合には水に溶解あるいは分散した
ものが好ましいため、乳化重合、懸濁重合などの方法に
よって作成した水分散体であるのが好ましい。
【0027】また本発明のP/C強度比、水素結合成分
を達成するには上記燐酸塩基含有アクリル樹脂は他の樹
脂と混合して用いる必要がある。すなわち燐酸塩基含有
ポリマが積層膜中において表面近傍に局在化するために
は他のポリマと混合するのが有効であり、更に水素結合
成分を13dyn/cm以下とするためには架橋性官能
基を共重合した燐酸塩基含有アクリル樹脂と他の樹脂成
分とを架橋させるのが有効である。
【0028】ここで他の樹脂成分としてはポリエステ
ル、アクリル、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミドな
ど任意に選ぶことができるが、中でも架橋性官能基を有
するアクリル樹脂が特に好ましい。他の樹脂成分と燐酸
塩基含有アクリル樹脂との混合比は積層膜を構成する樹
脂成分中燐酸塩基含有アクリルポリマの重量比率が30
重量%以上95重量%以下が好ましく、さらに好ましく
は40重量%以上90重量%以下であるのが望ましい。
【0029】また架橋は熱による自己架橋でも良いが、
架橋剤による架橋が特に好ましい。架橋剤の具体例を挙
げればメチロール化、あるいはアルキロール化された尿
素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系、
およびエポキシ化合物、ブロックされたイソシアネート
化合物などがある。この中でも本発明の要件を顕著に発
現させるメチロール化されたメラミン樹脂が特に好まし
い。
【0030】積層膜の厚みは特に限定しないが本発明に
おいては0.01〜2.0μmが好ましく、さらに好ま
しくは0.04〜1.0μm、より好ましくは0.06
〜0.5μmであるのが望ましい。
【0031】本発明においては該積層膜は基材のポリエ
ステルフイルムの結晶配向が完了する前に塗布され、そ
の後、少なくとも1方向に延伸された後、PETフイル
ムの結晶配向を完了させる方法によって製造されるのが
本発明の効果をより顕著に発現させることができるので
好ましい方法である。すなわち無延伸あるいは長手方向
に延伸された基材PETフイルムの片面あるいは両面に
コロナ放電処理を施し、水分散塗剤を塗布する。その
後、連続的にクリップで把持しながら約80〜130℃
の熱風ゾーンに導き乾燥後、あるいは乾燥しつつ幅方向
に延伸し、更に約160〜250℃の熱風ゾーンに導
き、約1〜30秒の熱処理を行ない、結晶配向を完了さ
せる方法である。また幅方向の延伸後であって熱処理前
の段階において更に長手方向に1.1〜1.8倍の延伸
を施しても良い。
【0032】本発明の積層膜中には本発明の効果を阻害
しない範囲において公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、
耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑
剤、有機、無機の微粒子などを添加しても良い。塗布の
方法は公知の塗布方法、例えばリバースコート法、グラ
ビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法など任意
の方法を用いることができる。
【0033】次に本発明の積層ポリエステルフイルムの
製造方法の一例について説明するが当然これに限定され
るものではない。実質的に粒子を含有しないPETのペ
レットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約2
80℃でシート状に溶融押出し、冷却固化せしめて未延
伸PETシートを作成する。このシートを80〜120
℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5倍延伸して
一軸配向PETフイルムを得る。このフイルムの片面に
コロナ放電処理を施し、所定の濃度に希釈した本発明に
記載の水分散体塗剤を塗布する。塗布後フイルムの端部
をクリップで把持して80〜130℃に加熱された熱風
ゾーンに導き幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引
続き160℃〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜1
0秒間の熱処理を行ない、結晶配向を完了させる。この
熱処理工程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に
3〜12%の弛緩処理を施しても良い。かくして得られ
た積層ポリエステルフイルムは接着性、帯電防止性に優
れたものであり、磁気記録材料用、写真用、印刷用ベー
スフイルムなどに好適に使用できる。
【0034】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりで
ある。
【0035】(1)塗布層の厚み 日立製作所製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積
層フイルムの塗布層の断面を観察した写真から求めた。
厚みは測定視野内の平均値とし、30個の平均値とし
た。
【0036】(2)表面比抵抗 25℃、60%RHの雰囲気中でデジタル超高抵抗/微
小電流計R8340(アドバンテスト(株)製)を用い
て測定した。
【0037】(3)接着性−1(基材フイルムと積層膜
との接着性) 積層膜に1mm2 のクロスカットを100個入れ、ニチ
バン(株)製セロハンテープをその上に貼付け指で強く
押し付けた後、180度方向に急速に剥離し、残存した
個数で判定した。残存個数が80個以上を接着性良好と
判定した。
【0038】(4)接着性−2(磁性塗料との接着性) ダイフェラコートCAD4301(大日精化工業(株)
製)100重量部にスミジュールN75(住友バイエル
(株)製)1重量部を加え固形分濃度20重量%の塗料
を作成しバーコーターを用いて塗布し、100℃で5分
間乾燥した。接着性の評価は上記(3)と同様の方法に
よった。
【0039】(5)接着性−3(紫外線硬化型塗料との
接着性) 紫外線硬化型塗料としてFLASH DRY(FDOL
墨)(東洋インキ製造(株)製)を用い、ロールコート
法で積層膜上に約1.5μm厚みに塗布した。その後照
射強度80W/cm2 の紫外線を照射距離9cmで8秒
間照射し硬化させた。接着性の評価は上記(3)と同様
の方法によった。
【0040】(6)二次イオン質量分析法によるP/C
強度比 二次イオン質量分析法により一次イオン種としてCs+
を用い、積層膜の深さ方向の12- 31- を測定し
た。その測定値から31- 12- 強度比を求めた。
【0041】なお本方法の信頼度の点から表面から50
オングストロームまでの深さのデータは除外し、それ以
下の深さ方向でのプロファイルで同定した。
【0042】(7)表面自由エネルギー 表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力、極性
力、水素結合力)が既知の4種の液体(本発明ではPa
nzerによる方法IV(日本接着協会誌vol.1
5、No.3、p96に記載の水、エチレングリコー
ル、ホルムアミド、ヨウ化メチレンの数値を用いた)を
用い、20℃、50%RHの条件下で接触角計CA−D
型(協和界面科学(株)製)にて各液体の積層膜上での
接触角を測定した。この値を拡張Fowkes式とYo
ungの式より導入される下記式を用いて各成分を計算
した。
【0043】 (γS d ・γL d 1/2 +(γS p ・γL p 1/2
(γS h ・γL h 1/2=γL (1+cosθ)/2 ここでγL d 、γL p 、γL h 、γL は測定液の分散
力、極性力、水素結合力の各成分および各成分のトータ
ルの表面自由エネルギーを示し、γS d 、γS p、γS
h は測定面上の分散力、極性力、水素結合力の各成分を
示す。またθは測定面上での測定液の接触角を表わす。
1つの測定面に対し5個測定を行ないその平均値をθと
した。既知の値およびθを上記の式に代入し、連立方程
式により測定面の3成分を求める。なお計算は数値計算
ソフトである「Mathematica」の「Find
Minimum」のコマンドを用いた。
【0044】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明するが必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0045】実施例1 実質的に粒子を含まないPET(極限粘度0.65dl
/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加
熱された押出機に供給しT字型口金よりシート状に押出
した。このシートを表面温度50℃の鏡面ドラムに巻き
付けて冷却固化せしめて未延伸PETフイルムを作成し
た。このPETフイルムを95℃の加熱ロール群を通過
させながら長手方向に3.5倍延伸し、一軸配向フイル
ムとした。このフイルムの片面にコロナ放電処理を施
し、以下に示す水分散液を結晶配向完了後において積層
厚みが0.1μmになるように塗布した。塗布後、連続
的に端部をクリップで把持しながら110℃の加熱ゾー
ンに導き乾燥、予熱を経て幅方向に4.0倍延伸し、更
に220℃の加熱ゾーンで3秒間熱処理を施し、基材P
ETフイルム厚みが50μm、積層厚みが0.1μmの
積層二軸配向PETフイルムを得た。
【0046】「水分散体組成」 (a)あらかじめ水酸化カリウムで中和したアシッドホ
スホオキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート
/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミドを75/
20/3/2(重量%)の比率で乳化重合させた分子量
約15万のアクリル樹脂水分散体。
【0047】(b)メチルメタクリレート/エチルアク
リレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミド
(65/30/3/2重量%)で乳化重合させた分子量
約25万のアクリル樹脂水分散体。
【0048】(c)ヘキサメチロール化メラミン (a)/(b)/(c)を固形分重量比で60/35/
5に混合し、更に水で希釈して、3.5重量%の水分散
体を作成した。
【0049】この積層ポリエステルフイルムの積層膜の
P/C強度比は積層膜の表層が最も高く深さ方向に向か
って減少し、かつ表面の水素結合力成分は11dyn/
cmであった。この積層ポリエステルフイルムは表面比
抵抗が5×109 Ω/□であり、基材フイルム、磁性塗
料、紫外線硬化塗料のいずれも接着性の良好なものであ
った。
【0050】比較例1 実施例1の水分散体において(a)の成分のみを使用し
た以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフイル
ムを作成した。この積層フイルム水素結合力成分が17
dyn/cmであり、積層膜の深さ方向でのP/Cがほ
とんど均一で紫外線硬化型塗料との接着性が不十分であ
った。
【0051】実施例2 実施例1の水分散体の(a)としてあらかじめ水酸化カ
リウムで中和したアシッドホスホオキシエチルメタクリ
レート/ブチルアクリレート/アクリル酸/N−メチロ
ールアクリルアミドを65/20/10/5(重量%)
としたアクリル樹脂(分子量約15万)の水分散体を用
いた以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフイ
ルムを作成した。この積層フイルムの積層膜は深さ方向
にP/C強度比が減少しており、かつ水素結合力成分が
9dyn/cm,分散力成分が26dyn/cm、極性
力成分が8dyn/cmであった。この積層ポリエステ
ルフイルムは表面比抵抗が7×109 Ω/□で帯電防止
性に優れており、かつ基材フイルムや磁性塗料、紫外線
硬化塗料への接着性が極めて優れたものであった。
【0052】実施例3 実施例1の(a)、(b)の塗剤を用い(a)/(b)
=65/35(重量比)とし、(c)を添加せず実施例
1と同様にして積層ポリエステルフイルムを作成し、更
に120℃で24時間熱処理を行なった。この積層ポリ
エステルフイルムの積層膜は深さ方向にP/C強度比が
減少しており、かつ積層膜の表面自由エネルギーの水素
結合成分が12dyn/cmであった。この積層ポリエ
ステルフイルムの表面比抵抗は4×109 Ω/□であ
り、基材フイルム、磁性塗料、紫外線硬化塗料との接着
性も十分なものであった。
【0053】
【発明の効果】本発明はポリエステルフイルム上に特定
の積層膜を設けることにより、従来二律背反特性であっ
た帯電防止性と易接着性を両立させたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 CFD // B29K 67:00 B29L 9:00 4F

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に帯電防止性を有する積層膜が設けられた積層ポリエス
    テルフイルムにおいて、該積層膜の深さ方向における二
    次イオン質量分析法によるP/C強度比が積層膜深部
    (フイルム側)に向かって減少し、かつ積層膜表面の表
    面自由エネルギーの水素結合成分が13dyn/cm以
    下であることを特徴とする積層ポリエステルフイルム。
  2. 【請求項2】 積層膜表面の表面自由エネルギーにおい
    て極性力成分と分散力成分が以下の範囲であることを特
    徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフイルム。 20dyn/cm<分散力成分<32dyn/cm 3dyn/cm<極性力成分<15dyn/cm
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