JP3484225B2 - 帯電防止ポリエステルフィルム - Google Patents

帯電防止ポリエステルフィルム

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JP3484225B2
JP3484225B2 JP12373194A JP12373194A JP3484225B2 JP 3484225 B2 JP3484225 B2 JP 3484225B2 JP 12373194 A JP12373194 A JP 12373194A JP 12373194 A JP12373194 A JP 12373194A JP 3484225 B2 JP3484225 B2 JP 3484225B2
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雄三 大谷
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三菱化学ポリエステルフィルム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止ポリエステル
フィルムに関するものであり、詳しくは、優れた帯電防
止性を有するとともに磁気塗料、印刷インクに対して優
れた接着性を有し、さらに優れた耐熱性を有し、屑フィ
ルムの再生利用に適した帯電防止ポリエステルフィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】芳香
族ポリエステル系フィルムは優れた機械的特性を有する
ことから、磁気記録材料、印刷材料等に広く使用されて
いるが、当該フィルムは帯電しやすく、帯電による搬送
機への密着や放電によるトラブルを起こしやすい。ま
た、磁気塗料や印刷インクの接着性に乏しいという問題
も抱えている。すなわち、テレホンカード、プリペイド
カード等の磁気カード用としてポリエステルフィルムが
使用されているが、磁気塗料やUVインクに対する接着
力、静電性等に難点がある。例えば、UVインクは硬化
時の応力歪みが大きいため、ポリエステルフィルムとの
界面破壊によるインク層の脱落を起こしやすい。また、
フィルムの帯電による張り付きで作業性を著しく低下さ
せたり、火花放電による発火事故等の問題を起こしたり
する。
【0003】従来、ポリエステルフィルムの表面に易接
着性を付与する方法としてアクリル樹脂、ウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂等の易接着性樹脂のプライマー層
を形成する方法が提案され、かつ使用されている。ま
た、帯電防止性を付与させる方法として、有機スルホン
酸塩等の低分子量のアニオン性界面活性剤タイプの化合
物を練り込む方法、金属化合物を蒸着する方法、アニオ
ン性化合物やカチオン性化合物、あるいはいわゆる導電
性粒子を表面に塗布する方法等が知られている。
【0004】アニオン性化合物を練り込む方法は、安価
に製造できるという利点があるものの、帯電防止効果に
おいて限界がある。さらに、低分子化合物を用いるため
耐水性が悪く、ブルーミングによって接着性の経時的な
低下や、化合物の転着による帯電防止性能の低下を起こ
しやすく、耐久性に問題がある。金属化合物を蒸着する
方法は、帯電防止性が優れ、近年は透明導電性フィルム
として用途が拡大しているものの、製造コストが高く、
特定の用途には向いているが、一般の帯電防止フィルム
としては利用しがたい。
【0005】導電性化合物を塗布する方法は、前記易接
着性樹脂と混合物の形で同時に塗布できるので簡便な方
法である。さらに、塗布層を有する二軸延伸ポリエステ
ルフィルムの製造方法として、塗布液をシートまたはフ
ィルムに塗布した後、フィルムを延伸、熱処理する塗布
延伸法(インラインコーティング法)といわれる方法が
あるが、この方法を使用すれば、フィルムの製膜と塗布
を同時に実施するため、幅広の製品が安価に得られる利
点がある。しかし、易接着性、帯電防止性等を同時に満
足させる塗布層を選ぶには、配合処方にかなりの困難が
伴う。例えば、導電性カーボンなどの導電性粒子を用い
る方法では、帯電防止効果が比較的良好であるとともに
比較的安価に製造できる利点があるものの、フィルムの
透明性や光沢度を悪化させる欠点がある。低分子量のア
ニオン系化合物や、カチオン系化合物を用いる方法で
は、練り込み法と同様に、耐水性やブルーミングによる
接着性の経時的な低下やブロッキングの悪化の問題を有
する。
【0006】高分子量のアニオン性帯電防止剤としてポ
リスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の高分子量の帯電
防止剤を塗布したフィルムが知られているが、ポリスチ
レンスルホン酸ナトリウム塩は、塗布延伸法に適用した
場合、塗布層が不連続となり、やすく、帯電防止効果が
十分発揮されないことが多い。さらに、塗布層に無数の
クラックが入ることでフィルムの光沢度がばらつく欠点
がある。また、高分子量のアニオン系帯電防止剤は帯電
防止能が低いためUVインクに易接着なバインダーの配
合の余地が小さく、帯電防止性、易接着性を兼ね備えた
塗布層を一回の塗布のみで得ることが困難である。
【0007】また、高分子量のカチオン系帯電防止剤
は、アニオン性帯電防止剤に比べ帯電防止能は優れる
が、熱的安定性に劣るため、通常の条件で塗布延伸を実
施した場合は、延伸、熱処理工程で揮散あるいは熱分解
が生じて、期待された帯電防止効果が発揮されない場合
がある。また、カチオン系帯電防止剤の塗布されたフィ
ルム屑の再利用に際しては、フィルムの溶融時にカチオ
ン系帯電防止剤の熱分解による着色が著しく、磁気カー
ド等外観が重視される用途においてポリエステルフィル
ムの価値を著しく損ねる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する塗布層に
よれば、特にUVインクや磁気塗料層との優れた接着性
と耐水性のある優れた帯電防止性を有し、加えて屑フィ
ルムが再利用可能で経済的にも優れた帯電防止ポリエス
テルフィルムできることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面に、当該ポリエステルフィル
ムの製造工程内で設けられた塗布層を有し、当該塗布層
が(1)リン酸塩基を有する樹脂を50〜90重量%、
(2)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリ
ウレタン系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
を5〜45重量%、および(3)オキサゾリン基を有す
る重合体を5〜45重量%含有し、かつ塗布層厚さが
0.02〜0.5μmであることを特徴とする帯電防止
ポリエステルフィルムに存する。
【0010】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明において、ベースとなるポリエステルフィルムを構
成するポリエステルとしては、代表的には、例えば、構
成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであ
るポリエチレンテレフタレート、構成単位の80モル%
以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチ
レン−2,6−ナフタレート、構成単位の80モル%以
上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート
であるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフ
タレート等が挙げられる。そのほかには、ポリエチレン
イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げ
られる。
【0011】上記の優位構成成分以外の共重合成分とし
ては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成
分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、
5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸およびオキシモノカルボン酸などの
エステル形成性誘導体を使用することができる。また、
ポリエステルとしては、単独重合体または共重合体のほ
かに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することが
できる。
【0012】これらポリエステルは白色顔料、特に酸化
チタンおよび/または硫酸バリウムを含有してもよく、
このほかに酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシ
ウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等のような無
機フィラー、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂等のような有機フィラー、ポリエステ
と非相溶な樹脂、例えば、ポリプロピレンのようなボイ
ド形成剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光線遮断剤、着色剤等
を必要に応じ含有することもできる。また、本発明のポ
リエステルフィルムは、多層構造になっていてもよく、
この場合、その一部の層はポリエステル以外のポリマー
で形成されていてもよい。本発明の塗布層を得るための
塗布液の媒体として溶剤系、水系のどちらでもよいが、
安全性や衛生性の点から水を主たる媒体とするものが好
ましい。
【0013】本発明において、使用する帯電防止剤は
ン酸塩基を有する高分子量のものである。当該帯電防
止剤としては、リン酸基またはリン酸塩基を有するアク
リル系またはビニル系モノマー(A)からなる重合体、
または(A)を必須成分とし、少なくとも一つの不飽和
基を有し(A)と共重合可能なモノマー(B)および/
またはこれらと共重合可能なポリマー(C)からなる共
重合体が挙げられる。
【0014】ン酸塩基を有するアクリル系またはビニ
ル系モノマー(A)としては、好ましくはアクリロイル
オキシアルキルホスフェート(例えば、アクリロイルオ
キシエチルホスフェート、アクリロイルオキシプロピル
ホスフェート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−
ホスフェート、4−アクリロイルオキシブチルホスフェ
ート、アクリロイルオキシエトキシエチルホスフェー
ト、1−アクリロイルオキシ−3−クロロプロピル−2
−ホスフェート等)、メタクリロイルオキシアルキルホ
スフェート(例えば、メタクリロイルオキシエチルホス
フェート、メタクリロイルオキシプロピルホスフェー
ト、1−メタクリロイルオキシ−2−ホスフェート、4
−メタクリロイルオキシブチルホスフェート、2−メタ
クリロイルオキシエトキシエチルホスフェート、1−メ
タクリロイルオキシ−3−クロロプロピル−2−ホスフ
ェート等)、アクリルアミドアルキルホスフェート(例
えば、2−アクリルアミドエチルホスフェート等)、メ
タクリルアミドアルキルホスフェート(例えば、2−メ
タクリルアミドエチルホスフェート等)、ビニルベンジ
ルホスフェート等が挙げられるが、これらに限られるも
のではない。
【0015】これらのモノマーは単独で用いてもよい
が、必要に応じて二種以上を併用してもよい。また、こ
れらと塩を形成する対イオンについて特に限定はない
が、好ましくはアルカリ金属イオン(例えば、リチウム
イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アン
モニウムイオン等が挙げられる。対イオンは、これらに
限定されるものではないが、特に好ましくはカリウムイ
オンが挙げられる。少なくとも一つの不飽和基を有する
モノマー(B)としては、(A)と共重合可能なもので
あれば特に限定はないが、好ましくはアクリル酸エステ
ル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メ
タクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、
ビニルエステル類、ビニル異節環化合物、スチレン類、
マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、イタコン
酸エステル類、オレフィン類、クロトン酸エステル類、
不飽和ニトリル等が挙げられる。これらの共重合モノマ
ーは単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。
これらのうち特に好ましくいものとしては、アクリル酸
エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエーテル
類およびスチレン類が挙げられる。
【0016】共重合可能なポリマー(C)としては、
(A)または(A)+(B)とグラフトまたはブロック
等の共重合可能なものであれば特に限定はないが、例え
ばポリエステル類、ポリウレタン類、エポキシ樹脂類、
アクリル樹脂類、ビニル樹脂類、シリコーン樹脂類等が
挙げられる。これらのうち特に、ポリエステル類、ポリ
ウレタン類が好ましい。
【0017】本発明に用いられるリン酸塩基を有するア
クリルまたはビニルモノマー(A)のリン酸基は、重合
時に隣接または遊離等のリン酸成分と重合し側鎖部にポ
リリン酸を形成しやすい。ポリリン酸の形成等により、
水分散性、濾過性、造膜性、帯電防止性等の低下を引き
起こすため、本発明においては、高分子量帯電防止剤中
のリン酸基は、特定の一価の陽イオンで中和した場合、
リンと中和イオンとのモル比(イオン/リン)が、1.
5以上であることが好ましい。
【0018】本発明の塗布層を得るための塗布液は、帯
電防止剤とともに塗布層のUVインク接着性および磁性
塗料層との接着性を高めるためにアクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂の中から選ば
れる少なくとも1種の樹脂を含有する。塗布液が水系の
場合は、これらの樹脂が界面活性剤等によって強制分散
化させたものを用いてもよいが、好ましくはポリエーテ
ル類または水酸基等のような非イオン性親水性成分、さ
らに好ましくはアニオン性親水基を有する水溶性または
自己分散型樹脂から成る水性塗布剤を使用するのが良
い。アクリル系樹脂としては、アルキルアクリレートあ
るいはアルキルメタクリレートを主要な成分とするもの
が好ましく、さらにこれらの成分が30〜90モル%
で、かつ官能基を有するビニル単量体成分を70〜10
モル%を共重合した水溶性あるいは水分散性樹脂が好ま
しい。
【0019】アルキルアクリレートあるいはアルキルメ
タクリレートと共重合可能で官能基を有するビニル単量
体は、樹脂に親水性を付与して樹脂の水分散性を良好に
したり、あるいは樹脂とポリエステルフィルムや、塗布
層上に設ける他の塗布層との接着性を良好にしたり、あ
るいは塗布剤として配合する他の樹脂との親和性やオキ
サゾリン基との反応性が良好な官能基を有するものが好
ましく、かかる官能基としては、カルボキシル基または
その塩、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミ
ド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基
(置換アミノ基を含む)またはアルキロール化されたア
ミノ基あるいはそれらの塩、水酸基、エポキシ基などが
挙げられ、特にカルボキシル基またはその塩、酸無水物
基、エポキシ基などが好ましい。これらの基は、樹脂中
に二種類以上含有されていてもよい。
【0020】アクリル系樹脂中のアルキルアクリレート
あるいはアルキルメタクリレートが30モル%以上のと
き、塗布形成性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が特に
良好になる。アクリル系樹脂中のアルキルアクリレート
あるいはアルキルメタクリレートが90モル%以下のと
き、共重合成分として特定の官能基を有する化合物を有
する化合物をアクリル系樹脂に導入することにより、水
溶化、水分散化しやすくするとともにその状態を長期に
わたり安定にすることができ、さらに塗布層とポリエス
テルフィルム層との接着性の改善、塗布層内での反応に
よる塗布層の強度、耐水性、耐薬品性の改善、さらに本
発明のフィルムと他の材料との接着性の改善などをはか
ることができる。
【0021】アルキルアクリレートおよびアルキルメタ
クリレートのアルキル基の例としては、メチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル
基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0022】アルキルアクリレートあるいはアルキルメ
タクリレートと共重合する官能基を有するビニル系単量
体は、反応性官能基、自己架橋性官能基、親水性基など
の官能基を有する化合物類が使用できる。具体的には、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸な
どのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモ
ニウム塩あるいは無水マレイン酸などが挙げられる。ス
ルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、ビニ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらのスルホン
酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム塩などが
挙げられる。アミド基あるいはアルキロール化されたア
ミド基を有する化合物としては、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロー
ル化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、
ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニ
ルエーテル、ウレイドエチルアクリレートなどが挙げら
れる。
【0023】アミノ基またはアルキロール化されたアミ
ノ基あるいはそれらの塩を有する化合物としては、ジエ
チルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビ
ニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2
−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチル
メタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテ
ル、それらのアミノ基をメチロール化したもの、ハロゲ
ン化アルキル;ジメチル硫酸、サルトンなどにより4級
化したものなどが挙げられる。
【0024】水酸基を有する化合物としては、β−ヒド
ロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシ
ビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテ
ル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタク
リレートなどが挙げられる。エポキシ基を有する化合物
としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレートなどが挙げられる。
【0025】さらに上記以外に次に示すような化合物を
併用してもよい。すなわち、アクリロニトリル、スチレ
ン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノあるいは
ジアルキルエステル、フマル酸モノあるいはジアルキル
エステル、イタコン酸モノあるいはジアルキルエステ
ル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、
ビニルトリメトキシシランなどが挙げられるがこれらに
限定されるものではない。
【0026】アクリル系樹脂は、界面活性剤を含有して
いてもよいが、低分子量の界面活性剤では造膜過程で濃
縮され、粒子と粒子の界面に蓄積されたり、塗布層の界
面に移行するなどして、塗布層の機械的強度、耐水性、
積層体との接着性に問題を生じる場合がある。このよう
な場合には、界面活性剤を含有しない、いわゆるソープ
フリー重合による重合物を利用できる。
【0027】界面活性剤を含有しないアクリル系樹脂の
製造方法は、経営開発センター出版部編集、経営開発セ
ンター出版部昭和56年1月発行、「水溶性高分子・水
分散型樹脂総合技術資料」第309頁あるいは産業技術
研究会主催「〜最新の研究成果から将来を展望する〜エ
マルジョンの新展開と今後の技術課題」講演会テキスト
(昭和56年12月)などに示された方法を用いること
ができる。例えば、低分子量体の界面活性剤の代わりに
オリゴマーあるいは高分子界面活性剤の利用、過硫酸カ
リウムや過硫酸アンモニウムなどの重合開始剤の利用に
よる親水基の重合体中への導入、親水基を有するモノマ
ーの共重合、反応性界面活性剤の利用、分散体粒子の内
部層と外部層の組織を変化させたいわゆるシェル−コア
型重合体などが、いわゆる界面活性剤を含有しない水分
散性アクリル系樹脂の製造技術として用いることができ
る。
【0028】本発明で用いるポリエステル系樹脂は、主
な構成成分として例えば下記のような多価カルボン酸お
よび多価ヒドロキシ化合物からなる。すなわち、多価カ
ルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オル
トフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボ
ン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウム
スルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク
酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、
無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安
息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらの
エステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒ
ドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,5−
ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレングリコ−
ル、ビスフェノ−ルA−エチレングリコ−ル付加物、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテ
トラメチレングリコ−ル、ポリテトラメチレンオキシド
グリコ−ル、ジメチロ−ルプロピオン酸、グリセリン、
トリメチロ−ルプロパン、ジメチロ−ルエチルスルホン
酸ナトリウム、ジメチロ−ルプロピオン酸カリウムなど
を用いることができる。
【0029】これらの化合物の中から、それぞれ適宜1
つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル
系樹脂を合成する。なお、上記のほか、特開平1−16
5633号公報に記載されている、いわゆるアクリルグ
ラフトポリエステルや、ポリエステルポリオールをイソ
シアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなど
のポリエステル成分を有する複合高分子も本発明で用い
るポリエステル系樹脂に含まれる。本発明で用いるポリ
ウレタン系樹脂として、特公昭42−24194号公
報、特公昭46−7720号公報、特公昭46−101
93号公報、特公昭49−37839号公報、特開昭5
0−123197号公報、特開昭53−126058号
公報、特開昭54−138098号公報等で公知のポリ
ウレタン系樹脂あるいはこれらに準じたポリウレタン樹
脂を用いることができる。ポリウレタン樹脂の主要な構
成成分は、ポリイソシアネート、ポリオール、鎖長延長
剤、架橋剤などである。
【0030】ポリイソシアネートの例としては、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等がある。ポリオール
の例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオ
キシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレン
グリコール、のようなポリエーテル類、ポリエチレンア
ジペート、ポリエチレンーブチレンアジペート、ポリカ
プロラクトンポリエステル類、アクリル系ポリオール、
ひまし油などがある。鎖長延長剤あるいは架橋剤の例と
しては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水な
どがある。
【0031】これらの化合物の中から、それぞれ適宜1
つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリウレタン
系樹脂を合成する。本発明で用いるポリエステル系樹脂
およびポリウレタン系樹脂は、水を媒体とする塗布剤で
あることが望ましい。水を媒体とする場合は、界面活性
剤などによって強制分散化した塗布剤であってもよい
が、好ましくはポリエ−テル類のような親水性のノニオ
ン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン性基を
有する自己分散型塗布剤であり、さらに好ましくは、ア
ニオン性基を有する水溶性または水分散性樹脂塗布剤で
ある。アニオン性基を有する樹脂とは、アニオン性基を
有する化合物を共重合やグラフトなどにより樹脂に結合
させたものであり、スルホン酸、カルボン酸、リン酸お
よびそれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、
アンモニウム塩等から適宜選択される。かかるアニオン
性基の樹脂固形分に対する割合は、0.05〜8重量%
の範囲が好ましい。アニオン性基量が0.05重量%未
満では、樹脂の水溶性あるいは水分散性が悪くなる傾向
があり、アニオン性基量が8重量%を超えると、塗布層
の耐水性が劣ったり、吸湿してフィルムが相互に固着し
たりすることがある。
【0032】本発明で用いるオキサゾリン基を有する重
合体として、特公昭63−48884号公報、特開平2
−60941号公報、特開平2−99537号公報等で
公知の重合体あるいはこれらに準じた重合体を挙げるこ
とができる。具体的には、下記一般式(1)で表される
付加重合性オキサゾリン(a)
【0033】
【化1】 (上記式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独
立して、水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、フェ
ニルまたは置換フェニル基であり、R5 は付加重合性不
飽和結合を持つ非環状有機基である)
【0034】および必要に応じて少なくとも1種の他の
モノマー(b)を重合させて得られる重合体が挙げられ
る。付加重合性オキサゾリン(a)の具体例としては、
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチ
ル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−
オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリ
ン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上
の混合物を使用することができる。これらの中でも2−
イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手し
やすく好適である。
【0035】上記モノマー(b)としては、付加重合性
オキサゾリンモノマー(a)と共重合可能なモノマーで
あれば制限なく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−
エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽
和カルボン酸類;(メタ)アクリルニトリル等の不飽和
ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、等の不飽和アミド類;酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン
類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含
ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メ
チルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を
挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合
物を使用することができる。
【0036】付加重合性オキサゾリン(a)および必要
に応じて少なくとも1種以上の他のモノマー(b)を用
いて重合体を得るには、従来公知の重合法によって重合
すればよい。例えば乳化重合法では、重合触媒、水、界
面活性剤およびモノマーを一括混合して重合する方法、
モノマー滴下法、多段重合法、プレエマルジョン法など
の各種の手法を採用できる。重合触媒は、従来公知のも
のを使用することができ、例えば過酸化水素、過硫酸カ
リウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩
酸塩等通常のラジカル重合開始剤を挙げることができ
る。また、界面活性剤としては従来公知のアニオン系、
ノニオン系、カチオン系および両性界面活性剤や反応性
界面活性剤を挙げることができる。重合温度としては通
常0〜100℃、好ましくは50〜80℃、重合時間は
通常1〜10時間である。付加重合性オキサゾリン
(a)および必要に応じて少なくとも1種以上の他のモ
ノマー(b)を用いて重合体を得るに際して、付加重合
性オキサゾリン(a)の使用量は全モノマー中0.5重
量%以上の範囲内で適宜決めることができる。付加重合
性オキサゾリン(a)の使用量が0.5重量%未満で
は、得られる重合体から密着性の良好なコーティング層
を形成することが困難となることがあり、結果的に耐水
性や接着性に優れたポリエステルフィルム得難くなる傾
向がある。
【0037】このように、乳化重合法によって得られる
重合体は水分散体の形態で得られるため、そのままコー
ティング剤として用いることができる。その他にイソプ
ロピルアルコール等の溶媒を用いた溶液重合法で得られ
た重合体を水媒体に置換して水系コーティング剤を得る
方法も考えられるが、経済的に優れた方法とは言えな
い。本発明の塗布層を得るための塗布液には、塗布層の
滑り性改良のために粒子を含有していてもよい。粒子と
してはコロイダルシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、
酸化チタン等の無機粒子と、ポリスチレン系樹脂、ポリ
アクリル系樹脂あるいはポリビニル系樹脂による単独あ
るいは共重合体を含む微粒子、またはこれらと架橋成分
を複合した架橋粒子に代表される有機粒子が例示され
る。さらに本発明フィルムの塗布層を得るための塗布液
は、塗布層の固着性(耐ブロッキング性)や耐水性、耐
溶剤性、機械的強度の改良のために、架橋剤を含有して
いてもよい。架橋剤としてはメチロール化あるいはアル
キロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、ア
クリルアミド系、ポリアミド系等の化合物、エポキシ化
合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、ブロッ
クイソシアネート化合物、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリン
グ剤、過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感
光性樹脂等が挙げられる。
【0038】さらに塗布層を得るための塗布液は、必要
に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、低分子帯電
防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発
泡剤、染料、顔料等を含有していてもよい。本発明のフ
ィルムの塗布層に配合されるリン酸塩基を有する樹脂の
配合量は50〜90重量%、好ましくは60〜80重量
%である。50重量%未満では十分な帯電防止性が発揮
されず、90重量%を超えると十分な接着力が発揮され
ない。
【0039】本発明のフィルムの塗布層に配合されるポ
リエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂の配合量は、合計で5〜45重量%、好ましくは10
〜30重量%の範囲である。かかる配合量が5重量%未
満では、UVインクや磁性塗料との接着性が不十分であ
り、45重量%を超えると下塗り層の耐溶剤性や耐ブロ
ッキング性が不十分となる。本発明のフィルムの塗布層
に配合されるオキサゾリン基を有する重合体の配合量は
5〜45重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲で
ある。かかる配合量が5重量%未満では、耐溶剤性や耐
ブロッキング性の改良効果が不十分であり、45重量%
を超えると下塗り層のUVインクや磁性塗料との接着性
が不十分となる。
【0040】本発明のフィルムの塗布層は、(1)リ
酸塩基を有する樹脂、(2)アクリル系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ポリウレタン系樹脂の中から選ばれる少な
くとも1種の樹脂、および(3)オキサゾリン基を有す
る重合体の3種を必須成分として構成する。特に(2)
の配合量Aと(3)の配合量Bとの関係が下記式を満
足するとき、ブロッキング性およびUVインクや磁性塗
料の接着性が最も良好となる。
【0041】
【数1】
【0042】さらに本発明のフィルムの塗布層には、リ
ン酸塩基に起因するリン元素が通常1〜15重量%含有
されており、かかる含有量は好ましくは2〜12重量
%、さらに好ましくは3〜9重量%、特に好ましくは4
〜7重量%である。リン元素量が1重量%未満では、塗
布層の帯電防止能力が不十分となる傾向があり、15重
量%を超えると、塗布液の安定性が悪化したり耐水性が
悪化したりすることがある。
【0043】さらに本発明の塗布層を得るための塗布液
は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を
改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の
有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒
体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲
で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−
ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール
等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリ
コール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミ
ル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等の
ケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げら
れるが、これらに限られるのものではない。これらの有
機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上
を併用してもよい。
【0044】本発明のフィルムの塗布層厚みは、最終的
な乾燥厚さで0.02〜0.5μmの範囲であり、好ま
しくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚
さが0.02μm未満では、本発明の効果が享受され
ず、0.5μmを超えると、フィルムが相互にブロッキ
ングしやすくなったり、特にフィルムの高強度化を目的
として塗布処理フィルムを再延伸する場合には、工程中
にロールに粘着しやすくなったりして好ましくない。ブ
ロッキングの問題は、特にフィルムの両面に同一の帯電
防止層を設ける場合に顕著に現れる。
【0045】上述した塗布液をポリエステルフィルムに
塗布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年
発行、「コーティング方式」に示されるリバースロール
コーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアド
クターコーター等を用いることができる。本発明におい
ては、これらの塗布装置を用いて塗布される塗布フィル
ムは塗布後、少なくとも一軸方向に延伸されること、さ
らには塗布前に少なくとも一軸方向に延伸され、塗布後
少なくとも一軸方向に延伸されることが好ましい。塗布
後延伸処理をしない場合、形成される塗布層とポリエス
テルフィルムとの密着力が弱く、実用に適した接着性を
得られない恐れがある。これらを工業的有利に達成する
ためには、二軸延伸フィルム製造工程内で塗布するが好
ましい。かかる方法の例として、製膜工程の長手方向に
一軸延伸されたフィルムに塗布し、乾燥または未乾燥の
状態でさらに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸した
後、熱処理を施す方法が製造コスト面の点から採用され
るが、これらに限定されるわけではない。
【0046】上述のフィルムを得るための延伸工程は、
好ましくは60〜140℃で行われ、延伸倍率は、面積
倍率で少なくとも4倍以上、好ましくは6〜20倍であ
る。延伸されたフィルムは通常150〜250℃で熱処
理される。さらに、熱処理の最高温度ゾーンおよびまた
は熱処理出口のクーリングゾーンにおいて縦方向および
横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましく採用さ
れる。特に、60〜100℃でロール延伸法によりフィ
ルム長手方向に2〜6倍延伸された一軸延伸ポリエステ
ルフィルムに塗布液を塗布し、適当な乾燥を施し、ある
いは乾燥を施さず、次いで当該塗布フィルムを横方向に
80〜140℃で2〜6倍に延伸し、150〜250℃
で1〜600秒間熱処理を行う方法が好ましく採用され
る。本方法によるならば、延伸と同時に塗布層の乾燥が
可能になるとともに、塗布層の厚さを延伸倍率に応じて
薄くすることができ、ポリエステルフィルム基材として
好適なフィルムを比較的安価に製造できる。
【0047】本発明における塗布液は、ポリエステルフ
ィルムの片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布して
もよい。片面にのみ塗布した場合、その反対面には必要
に応じて本発明の塗布層と異なる塗布層を形成させ、本
発明のポリエステルフィルムにさらに他の特性を付与す
ることもできる。なお、塗布液のフィルムへの塗布性、
接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や
放電処理を施してもよい。また、本発明の二軸延伸ポリ
エステルフィルムの表面特性をさらに改良するために、
塗布層形成後放電処理を施しても良い。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明におけ
る各種の物性および特性の測定方法、定義は下記のとお
りである。また、実施例および比較例中、「部」および
「%」とあるのは、各「重量部」および「重量%」を意
味する。 (1)表面固有抵抗(帯電防止性) 横河・ヒューレット・パッカード社の同心円型電極「1
6008A(商品名)」(内側電極50mm径、外側電
極70mm径)に23℃、50%RHの雰囲気下で試料
を設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵抗計
「4329A(商品名)」で試料の表面固有抵抗を測定
した。帯電防止性としての判定基準は、表面固有抵抗値
の対数により、以下のとおりである。
【表1】 10未満 :A(良好) 10以上,13未満 :B(普通) 13以上 :C(不良)
【0049】(2)帯電防止性能の耐水性 サンプルフィルムを50℃の温水に1分間浸した後、付
着した水分をTOYOアドヴァンテック製定性濾紙N
o.2で軽く挟んで取り除き、サンプルを室温で一昼夜
乾燥させた後の表面固有抵抗を測定し、処理前の値との
差で評価した。塗膜の帯電防止性能の耐水性としての判
定基準は以下のとおりである。
【表2】 0.5未満 :A(良好) 0.5以上1未満 :B(普通) 1以上 :C(不良)
【0050】(3)UV硬化型インクとの接着性 東洋インキ製造社製UV硬化型オフセットインク”FD
OL藍APNロ”を、明製作所製のオフセット印刷テス
ト機である”RIテスター RI−2”にて2μmの厚
さとなるようフィルムに転写させ、これをウシオ電機社
製UV照射装置”UVC−402/1HN:302/1
MH”に通し、水銀灯出力120W/cm、ラインスピ
ード10m/min、ランプ〜フィルム間隔100mm
の条件にてインクを硬化させ、直ちにセロテープ剥離試
験を行い、剥離面積により評価した。判定基準は以下の
とおりである。
【表3】 剥離なし :A(良好) 一部剥離箇所有り :B(普通) 全面剥離 :C(不良)
【0051】(4)磁気塗料との接着性 サンプルフィルムに下記評価用塗料をワイヤーバーで乾
燥後の膜厚が5μmとなるように塗布し、80℃で2分
間乾燥させ、その後60℃で24時間エージングした。
磁性層接着力は、サンプルの磁性層(下記評価用塗料を
使用)面にニチバン(株)製セロテープ(18mm巾)
を気泡の入らぬように7cmの長さに貼り、この上を3
kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与え密着後、フ
ィルムを固定し、セロハンテープの一端を500gの錘
に接続し、錘が45cmの距離を自然落下後に、180
°方向の剥離試験が開始する方法で評価した。接着性
は、次の3段階の基準で評価した。
【表4】 塗料が全く剥離しない :A 10%未満の部分の塗料が剥離する :B 10%以上の部分の塗料が剥離する :C
【0052】評価用塗料 磁性微粉末X6000(チタン工業)500部、ポリウ
レタン樹脂ニッポラン2304(日本ポリウレタン製)
30部、塩酢ビ共重合体1000GKT(電気化学製)
50部、レシチン(キシダ化学試薬)5部、シクロヘキ
サノン246部、メチルイソブチルケトン246部およ
びメチルエチルケトン738部をサンドミルにて1時間
混合分散後、架橋剤のコロネートL10部を加えてよく
攪拌したもの
【0053】(5)耐熱性(溶融着色性) 内容量50mlのガラス試験管に約10gのサンプルを
入れ、高真空下で160℃で2時間乾燥後、窒素ガスに
て100mmHgまで復圧し、ガラス試験管を溶封後、
290℃で2時間熱処理を行い、熱処理後のサンプルの
着色を東京電色(株)製カラーアナライザーTC−18
00MK2型を用いて、JIS Z−8722の方法に
したがって測定した、黄色味の程度を示すb値について
以下の基準で評価した。この評価は屑フィルムのリサイ
クル利用適性を表す代用評価法である。
【表5】 12未満 :A 12以上15未満 :B 15以上 :C
【0054】また、以下の例において、帯電防止剤およ
びそれとともに使用した樹脂は、下記のとおりである。 (1)帯電防止剤A メタクリロイルオキシエチルリン酸カリウム塩、エチル
アクリレート、メチルアクリレートからなるアクリル系
樹脂(カリウム/リン比=1.6 リン元素含有率7
%) (2)帯電防止剤B ジフェニルエーテルジスルホン酸 (3)ポリエステル樹脂 イソフタル酸、ピロメリット酸、ネオペンチルグリコー
ル、ジネオペンチルグコールからなるポリエステル樹脂
【0055】(4)ポリウレタン樹脂 イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネー
ト、ポリオール成分としてテレフタル酸、イソフタル
酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールより構
成されるポリエステルポリオール、鎖延長剤として2,
2−ジメチロールプロピオン酸からなるポリウレタン樹
脂 (5)アクリル樹脂 アクリル酸エチル51部、メタクリル酸メチル40部、
メタクリル酸9部の混合物を乳化重合し、アンモニア水
でpH7.5に調節したアクリル樹脂 (6)オキサゾリン含有重合体 2−プロペニル−2−オキサゾリン、スチレン、メタク
リル酸ブチル、ジビニルベンゼンからなる重合体
【0056】実施例1 ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール
60部および酢酸マグネシウム4水塩0.09部を加熱
昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反
応を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇
温し、実質的にエステル交換反応を終了させた。次い
で、エチルアシッドホスフェート0.04部を添加し、
さらに、三酸化アンチモン0.04部を加えて280
℃、高真空下重縮合反応を行い、4時間30分後、極限
粘度0.660のポリエチレンテレフタレートを得た。
得られたポリエステルを乾燥後、290℃で溶融押出
し、無定形シートとした後、縦方向に90℃で3.5倍
延伸後、フィルムの片面に帯電防止剤Aを70部ポリエ
ステル樹脂を15部、オキサゾリン含有重合体を15
部、固形分濃度8%の水性の塗布液を塗布量4.7g/
2 (wet)で塗布した。塗布後直ちに90℃の乾燥
炉に導き、次に横方向に110℃で3.8倍延伸し、2
30℃で熱処理を行い、0.1μmの塗布層を有する厚
さ188μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0057】実施例2 実施例1において、ポリエステル樹脂をポリウレタン樹
脂に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポ
リエステルフィルムを得た。 実施例3 実施例1において、ポリエステル樹脂をアクリル樹脂に
変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエ
ステルフィルムを得た。
【0058】比較例1 実施例1において、塗布を行わない以外は、実施例1と
同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。この
フィルムの溶融着色性はb値で9.0であった。 比較例2 実施例1において、塗布液の組成を帯電防止剤A100
部に変更した以外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリ
エステルフィルムを得た。 比較例3 比較例2において、塗布液の組成を帯電防止剤A70部
とポリエステル塗布剤30部に変更した以外は、比較例
2と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0059】比較例4 比較例2において、塗布液の組成を帯電防止剤A70部
とオキサゾリン含有重合体30部に変更した以外は、比
較例2と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得
た。 比較例5 実施例1において、塗布層の厚さを0.01μmに変更
した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステ
ルフィルムを得た。 比較例6 実施例1において、帯電防止剤Aを帯電防止剤Bに変更
した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステ
ルフィルムを得た。 比較例7 実施例1において、帯電防止剤Aを10部ポリエステル
樹脂を45部、オキサゾリン含有重合体を45部に変更
した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステ
ルフィルムを得た。
【0060】
【表6】 表1 ──────────────────────────────────── 例 帯電 樹脂 架橋 リン 塗膜 帯電防止性 耐水性 接着性 耐熱性 防止剤 剤 含量 膜厚 UV 磁気 A or B *1 % μm logρs Δlogρs インク 塗料 b値 ──────────────────────────────────── 実施例1 70 15 15 4.9 0.1 A A A A A A PES 9.8 -0.4 9.8 実施例2 70 15 15 4.9 0.1 A A A A A A PU 8.4 0.0 9.9 実施例3 70 15 15 4.9 0.1 A A A A A A PAc 8.4 0.0 9.7 比較例1 − − − 0 0.0 C − C C A >16 9.0 比較例2 100 0 0 7.0 0.1 A A B A B A 8.2 -0.1 12.5 比較例3 70 30 0 4.9 0.1 A A B A B A PES 9.2 0.2 11.4 比較例4 70 0 30 4.9 0.1 A A C B B A 8.8 -0.2 10.4 比較例5 70 15 15 4.9 0.01 C A C C A A PES 14.3 0.1 9.0 比較例6 70 15 15 0 0.1 A C A A C B PES 8.5 2.5 14.2 比較例7 10 45 45 0.7 0.1 C A A A C B PES 14.8 0.2 13.8 ──────────────────────────────────── *1 : PES:ポリエステル,PU:ポリウレタン,P
Ac:ポリアクリレート
【0061】
【発明の効果】本発明の帯電防止ポリエステルフィルム
は、UVインク接着性、磁性塗料層接着性、耐水性を有
する優れた帯電防止性を有し、さらに再生利用に適し、
環境面、経済面に優れており、その工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−135345(JP,A) 特開 昭53−26874(JP,A) 特開 平2−99537(JP,A) 特開 平2−115238(JP,A) 特開 平5−147180(JP,A) 特開 平5−295275(JP,A) 特開 平3−229726(JP,A) 特開 平3−216383(JP,A) 特開 平6−313010(JP,A) 特開 平6−255055(JP,A) 特開 平6−255056(JP,A) 特開 平7−24982(JP,A) 特開 平7−132695(JP,A) 特開 平7−81015(JP,A) 特開 平7−299892(JP,A) 特開 平9−57930(JP,A) 特開 平2−60941(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、当該ポリエステルフィルムの製造工程内で設けられ
    た塗布層を有し、当該塗布層が(1)リン酸塩基を有す
    る樹脂を50〜90重量%、(2)アクリル系樹脂、ポ
    リエステル系樹脂およびポリウレタン系樹脂の中から選
    ばれる少なくとも1種の樹脂を5〜45重量%、および
    (3)オキサゾリン基を有する重合体を5〜45重量%
    含有し、かつ塗布層厚さが0.02〜0.5μmである
    ことを特徴とする帯電防止ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 塗布層がリン酸塩基に起因するリン元素
    を1〜15重量%含むことを特徴とする請求項1に記載
    の帯電防止ポリエステルフィルム。
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