JPH0625151A - オルソベンゼンジチオール類の製造方法 - Google Patents

オルソベンゼンジチオール類の製造方法

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JPH0625151A
JPH0625151A JP4184909A JP18490992A JPH0625151A JP H0625151 A JPH0625151 A JP H0625151A JP 4184909 A JP4184909 A JP 4184909A JP 18490992 A JP18490992 A JP 18490992A JP H0625151 A JPH0625151 A JP H0625151A
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dithiols
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JP4184909A
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Seiji Obuchi
省二 大淵
Yasushi Fukuiri
福入  靖
Masahiro Ota
正博 太田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式(1) で表されるハロゲン置換ベンゼン類(XはCl,Br,
〜RはH,Cl,C1〜9のアルキル基、アルケ
ニル基、アルコキシ基、アリール基等(互いに縮合環を
形してもよい))、例えば1,2,3,4,5−ペンタ
クロロベンゼンを硫黄及び鉄又は鉄塩類の存在下、極性
溶媒中で水硫化物を一括装入あるいは逐次添加反応させ
得られる鉄又は鉄塩類とジチオール類との錯体を、金属
酸化物、アルカリ水酸化物で処理した後、鉱酸にて酸析
した後、有機溶媒で抽出し取り出すことを特徴とする一
般式(2)のオルソベンゼンジチオール類、例えば3,
4,6−トリクロロベンゼン−1,2−ジチオールの製
造方法。 【効果】 高品質、高収率で目的物を得ることが出来
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オルソベンゼンジチオ
ール類の製造方法に関する。さらに詳しくは、一般式
(3)(化3)
【0002】
【化3】
【0003】〔式中、R1〜R4はそれぞれ同一又は独立
に水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜9のアル
キル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有して
もよいアリール基、もしくは、R1とR2、R2とR3、R
3とR4で互いに結合し縮合環を形成してもよい。〕で表
される鉄又は鉄塩類とジチオール類との錯体を、金属酸
化物、アルカリ水酸化物で処理した後、得られるジチオ
ール類のアルカリ金属塩を鉱酸に加え酸析によってジチ
オール類を得る方法において、酸析した後、ジチオール
類を有機溶媒に溶解し無機塩を除去すると共に、有機溶
媒に不溶な不純物を濾別することで一般式(2)(化
4)
【0004】
【化4】
【0005】〔式中、 〕で表されるオルソベンゼン
ジチオール類を高収率、高純度で得る方法に関する。
【0006】
【従来の技術】オルソベンゼンジチオール類は、金属イ
オンと反応してベンゼンジチオール金属錯体を生成す
る。これらの錯体は、近赤外領域に特異な吸収スペクト
ルを示し近赤外吸収剤の重要な合成中間体であることは
既に公知である〔(Tluene−3,4−dithi
ol und rerwan die 1,2−Dit
hiolen als Chelatbildner
fur Metalle),モナチェフト・フィア・ヘ
ミー 102巻,308〜320ページ,1971年、
及び(Charactarization and E
lectronicStractures of Me
tal Complexs Containing B
enzene−1,2−dithiolate and
Related Ligandos)ジャーナル・オ
ブ・アメリカン・ソサイェティ,88巻,4870〜4
875ページ,1966年;特公昭52−7454、特
開昭56−13551〕。
【0007】これら中間体の合成法としては、現在まで
種々の方法が知られている。例えば、塩化スルホニルベ
ンゼンをジスルフィドと反応させ、一旦ビス(オルソハ
ロゲン化スルホニルベンゼン)ジチオエーテルを経由
し、ジチオールを得る方法(Pol,PL 12539
8)、p−ハロゲン化ベンゼンチオールをヨウ化メチル
で処理した後、塩化スルホン酸と反応させジチオールを
得る方法(特開昭51−70740)、オルソ−ジスル
ホニルベンゼンを還元する方法(特開昭63−1859
55)等が開示されている。しかしながら、これらの方
法は、複雑な多段階の合成反応を経なければならないた
め、反応収率は低く、おのずから高価なものにならざる
を得なかった。
【0008】我々は先に、ハロゲン化ベンゼン類を硫
黄、鉄の存在下、水硫化物と反応させ、一旦鉄錯体を経
由させ更に酸化亜鉛等の金属酸化物で処理した後、水酸
化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属及び
アルカリ土類金属の水酸化物で処理することにより、ジ
チオール類を金属塩とした後、酸析することによって高
収率でジチオール類を得る方法を開示している(特開昭
58−105960)。
【0009】しかし、該方法によって得られたジチオー
ル類は、酸析の際に生成する無機塩類、更にハロゲン化
ベンゼン類と水硫化物との反応の際に副生したポリチオ
ール類の有機不純物が含まれ、該方法で得られるジチオ
ール類は不純物の混入は免れなかった。該方法で得られ
るジチオール類を用い金属イオンと反応させ得られる近
赤外吸収剤の品質としては、純度あるいは近赤外吸収剤
の特性であるモル吸光係数は低く、まだ満足のゆく物で
はなかった。従って、該方法で得られたジチオール類を
近赤外吸収剤の合成中間体として使用する際は、得られ
たジチオールをあらかじめ再結晶あるいは蒸留等の精製
を行う必要があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】一般的にジチオール類は
安定性が悪く、通常の精製法を適応しても安定に且つ収
率良く取り出すことが出来ない。例えば、前述した方法
で得られた粗ジチオール類に蒸留精製を適応しても、蒸
留時に熱劣化を起こしポリチオール類に変性するため回
収率が低下する。
【0011】また、抽出再結晶等の一旦有機溶媒に溶解
しその溶液から取り出す方法を適応しても回収率は低
く、更に化合物によっては有機溶媒中の長期安定性が悪
くポリチオール類等に変性し、得られたものの純度はか
えって低くなることがあり、これまで必ずしも満足する
ジチオール類の取り出し方法はなかった。
【0012】本発明者らは、上記ジチオール類の製造方
法において、酸析した後のジチオール類の取り出し方法
に関し鋭意検討を行った結果、ジチオール類をある特定
の条件下に抽出することで、ジチオール類を安定に且つ
収率良く取り出せることを見出した。更に、抽出溶媒に
不溶な前記ポリチオール類を濾別することによって有機
不純物を除去し、又結晶中に取り込んだ無機塩類は抽出
溶媒に溶解後、水洗浄を繰り返すことによって容易に除
去でき、実質上、高純度・高品質のジチオール類を高収
率で得ることが可能となった。
【0013】すなわち、本発明はハロゲン置換ベンゼン
類と水硫化物とを硫黄、鉄又は鉄塩類の存在下、極性溶
媒中で反応させ、得られる鉄又は鉄塩類とジチオール類
との錯体を、金属酸化物、アルカリ金属水酸化物あるい
はアルカリ土類金属水酸化物で処理し、鉱酸を加え酸析
した後、ジチオール類を有機溶媒で抽出し取り出す事を
特徴とするオルソベンゼンジチオール類の製造方法であ
る。
【0014】本発明の目的はジチオール類中に含まれる
無機塩やポリチオール類の有機不純物を効率よく除去す
ることにより、再結晶、蒸留等の精製を必要としない近
赤外吸収剤の合成中間体として満足する、実質的に高純
度のジチオール体を工業的に収率良く且つ安価に得る製
造方法を提供するものである。
【0015】以下、本発明の方法について詳細に説明す
る。本発明で使用される原料のハロゲン置換ベンゼン類
は、下記式(1)(化5)で表されるもので、
【0016】
【化5】
【0017】〔式中、Xは塩素原子又は臭素原子を示
し、R1〜R4はXが臭素原子の時、それぞれ同一又は独
立に水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜9のア
ルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有し
てもよいアリール基、もしくは、R1とR2、R2とR3
3とR4で互いに結合し縮合環を形成してもよい。更
に、Xが塩素原子の時、R1〜R4はそれぞれ同一又は独
立に水素原子、塩素原子、炭素数1〜9のアルキル基、
アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有してもよいア
リール基、もしくは、R1とR2、R2とR3、R3とR4
互いに結合し縮合環を形成してもよい。〕
【0018】具体的には、ヘキサクロロベンゼン、ペン
タクロロベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロベン
ゼン、1,2,3,5−テトラクロロベンゼン、1,
2,4,5−テトラクロロベンゼン、1,2,3−トリ
クロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、
1,2−ジクロロベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ペ
ンタブロモベンゼン、1,2,3,4−テトラブロモベ
ンゼン、1,2,3,5−テトラブロモベンゼン、1,
2,4,5−テトラブロモベンゼン、1,2,3−トリ
ブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、
1,2−ジブロモベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類、
1,2−ジクロロ−3−メチルベンゼン、1,2−ジク
ロロ−3−エチルベンゼン、1,2−ジクロロ−3−プ
ロピルベンゼン、1,2−ジクロロ−3−isoプロピ
ルベンゼン、1,2−ジクロロ−3−ブチルベンゼン、
1,2−ジクロロ−3−secブチルベンゼン、1,2
−ジクロロ−3−tertブチルベンゼン、1,2−ジ
クロロ−3−オクチルベンゼン、1,2−ジクロロ−6
−ノニルベンゼン、及びこれらアルキル基の位置異性
体、1,2,3−トリクロロ−4−メチルベンゼン、
1,2,3−トリクロロ−4−エチルベンゼン、1,
2,3−トリクロロ−4−プロピルベンゼン、1,2,
3−トリクロロ−4−isoプロピルベンゼン、1,
2,3−トリクロロ−4−ブチルベンゼン、1,2,3
−トリクロロ−4−secブチルベンゼン、1,2,3
−トリクロロ−4−tertブチルベンゼン、1,2,
3−トリクロロ−4−オクチルベンゼン、1,2,3−
トリクロロ−4−ノニルベンゼン、及びこれらアルキル
基の位置異性体、1,2,3,4−テトラクロロ−5−
メチルベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−5−
エチルベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−5−
プロピルベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−5
−isoプロピルベンゼン、1,2,3,4−テトラク
ロロ−5−ブチルベンゼン、1,2,3,4−テトラク
ロロ−5−secブチルベンゼン、1,2,3,4−テ
トラクロロ−5−tertブチルベンゼン、1,2,
3,4−テトラクロロ−5−オクチルベンゼン、1,
2,3,4−テトラクロロ−5−ノニルベンゼン、及び
これらアルキル基の位置異性体、1,2,3,4,5−
ペンタクロロ−6−メチルベンゼン、1,2,3,4,
5−ペンタクロロ−6−エチルベンゼン、1,2,3,
4,5−ペンタクロロ−6−プロピルベンゼン、1,
2,3,4,5−ペンタクロロ−6−isoプロピルベ
ンゼン、1,2,3,4,5−ペンタクロロ−6−ブチ
ルベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタクロロ−6−
secブチルベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタク
ロロ−6−オクチルベンゼン、1,2,3,4,5−ペ
ンタクロロ−6−ノニルベンゼン等のアルキル基置換ハ
ロゲン化ベンゼン類、1,2−ジクロロ−3−エテニル
ベンゼン、1,2−ジクロロ−3−(2−プロペニル)
ベンゼン、1,2−ジクロロ−3−(2−isoプロペ
ニル)ベンゼン、1,2−ジクロロ−3−(2−ブテニ
ル)ベンゼン、及びこれらアルケニル基の位置異性体、
1,2,3−トリクロロ−4−エテニルベンゼン、1,
2,3−トリクロロ−4−(2−プロペニル)ベンゼ
ン、1,2,3−トリクロロ−4−(2−isoプロペ
ニル)ベンゼン、1,2,3−トリクロロ−3−(2−
ブテニル)ベンゼン、及びこれらアルケニル基の位置異
性体、1,2,3,4−テトラクロロ−5−エテニルベ
ンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−5−(3−プ
ロペニル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラクロロ−
5−(2−プロペニル)ベンゼン、1,2,3,4−テ
トラクロロ−5−(2−ブテニル)ベンゼン、及びこれ
らアルケニル基の位置異性体、1,2,3,4,5−ペ
ンタクロロ−6−エテニルベンゼン、1,2,3,4,
5−ペンタクロロ−(3−プロペニル)ベンゼン、1,
2,3,4,5−ペンタクロロ−6−(2−プロペニ
ル)ベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタクロロ−6
−(2−ブテニル)ベンゼン等のアルケニル基置換ハロ
ゲン化ベンゼン類、1,2−ジクロロ−4−メトキシベ
ンゼン、1,2−ジクロロ−4−エトキシベンゼン、
1,2−ジクロロ−3,4,5−トリメトキシベンゼン
等のアルコキシ基置換ハロゲン化ベンゼン類、2,3−
ジクロロビフェニル、3,4−ジクロロビフェニル等の
アリール基置換ハロゲン化ベンゼン類、2,3−ジクロ
ロナフタレン、1,2−ジクロロ−4,5−(メチレン
オキシ)ベンゼン等の縮合環置換ハロゲン化ベンゼン類
等が挙げられる。
【0019】本発明で使用される鉄粉あるいは鉄塩類は
いずれでも良く、例えば、鉄粉、塩化鉄、臭化鉄等のハ
ロゲン化鉄、及び硝化鉄、燐酸鉄等が挙げられる。ま
た、その使用量としては、ハロゲン置換ベンゼン類に対
して0.4〜2.0モル倍、その中でも0.5〜1.1
モル倍が好ましい。0.4モル未満では収率が著しく低
下し、2.0モルを越えて用いると経済的に不利であ
る。
【0020】本発明で使用される硫黄の反応に作用する
機構は明らかではないが、オルソベンゼンジチオール類
の反応収率が硫黄の添加量に依存する実験事実から、硫
黄の効果はただ単に触媒的効果ではなく、硫黄と水硫化
物からポリスルフィドが生成し、これがハロゲン化ベン
ゼンから生成したハロゲン置換ベンゼンモノチオールを
攻撃し、オルソベンゼンジチオール類の生成反応をし易
くしていると推測される。硫黄の使用量はハロゲン置換
ベンゼンに対して1〜20重量%、好ましくは3〜10
重量%である。使用量が1重量%未満では所望のオルソ
ベンゼンジチオール類の収率が低下し、逆に20重量%
を越えると反応後に硫黄が遊離し、後処理が困難にな
る。
【0021】本発明に使用される水硫化物としては、ア
ルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水硫化物であ
り、工業的に安価且つ入手しやすい水硫化ソーダがより
好ましい。また、その使用量としては、ハロゲン化ベン
ゼン類1モルに対し1.5〜4.0モル倍であり、好ま
しくは1.8〜2.5モル倍である。使用量が1.5モ
ル倍より少ないと不完全反応生成物(モノチオール体)
の生成量が増加し、逆に4.0モル倍より多くなると原
料のハロゲン置換ベンゼンのハロゲン数が3以上の場
合、トリチオール体・テトラチオール体などの副生成物
が増加し、収率、純度が低下する。
【0022】また、反応温度は40℃以上が良く、好ま
しくは60〜140℃である。反応温度が低いと水硫化
物の反応速度が遅くなるため未反応原料を回収したり、
一旦反応が進行し始めると、その自己発熱により反応液
の温度が上昇し、温度制御が難しく反応を制御できなく
なる、更に突沸の恐れが生じる等、種々問題が生じる。
【0023】本発明で使用される金属酸化物としては、
酸化リチウム、、酸化ナトリウム、酸化ベリリュウム、
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられ、特に酸化亜鉛、酸
化鉄が好ましい。その使用量はジチオール類の鉄又は鉄
塩類の錯体に対して0.5〜2.0モル%、より好まし
くは0.8〜1.5モル%が良い。0.5モル%より少
ないと未反応錯体が回収され収率が低下し、逆に多いと
濾過等の後処理が問題となる。
【0024】本発明で使用する鉱酸としては、塩酸、硫
酸、リン酸、臭酸、硝酸等が挙げられる。その使用量
は、ジチオール類のアルカリ塩に対して1.5〜3.0
倍モルが良く、より好ましくは1.8〜2.2倍モルが
良い。1.8倍モルより少ないとジチオール類の酸析が
不十分となりジチオール類の収率が低下する。3.0倍
モルより多いと酸析に使用されない残存濃度が高くな
り、ジチオール類は酸に対して不安定であるため、収率
が低下する。
【0025】本発明に使用される抽出溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類、
ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−
ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン、1,1−ジクロロエタン、クロルベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセ
ルソルブ等のエステル類、メチルエーテル、エチルエー
テル、ブチルエーテル等のエーテル類等が挙げられ、水
に不溶且つジチオール類を溶解する物であればいずれで
も良い。好ましくはジチオール類に対する溶解度の大き
いジクロロメタン、ベンゼンなどである。
【0026】また、これら抽出溶媒の量としては、ジチ
オール類に対して1〜15倍、好ましくは2〜10倍が
良い。溶媒量が少ないと抽出が不十分となりジチオール
類の回収率が低下し、逆に多くなると、その後の取り出
し収率が低下し、また工業的に不利である。
【0027】ジチオール類を安定且つ収率良く取り出す
為には、抽出時のpHを2〜10にすることが好まし
く、より好ましくは3〜7が良い。pHが2より低いと
ジチオール類の安定性が急激に悪くなりポリチオール体
に変性する。また逆にpHが10より高いとチオール基
がナトリウム塩となり、これとチオール基との反応を引
き起こすため好ましくない。従って、抽出する際の水層
のpHがこの範囲外である場合は、抽出時の水層のpH
をアルカリ性物質、あるいは酸性物質によってこの範囲
内に調節する必要がある。
【0028】pHを調節するアルカリ性物質としては、
一般的に用いられるアルカリ金属及びアルカリ土類金属
等の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等を用いることがで
き、特に好ましくは工業的に安価な水酸化ナトリウムな
どを用いることができる。また、酸性物質としては、一
般的に用いられる硫酸、リン酸、硝酸等が良く、特に工
業的に安価な塩酸、硫酸が好ましい。
【0029】オルソベンゼンジチオール類を得るために
は、前記したような反応条件のもとで行った反応マスに
水を加え、濾過し、得られる黒色固体のジチオール類の
鉄錯体をアルカリの存在下で金属酸化物と加熱処理す
る。これを濾過し、ろ液に鉱酸を加え結晶を析出させ、
これに抽出溶媒を加え溶解・水洗浄・濾過した後、該溶
液を濃縮あるいは貧溶媒により結晶を析出させ、所望の
オルソベンゼンジチオール体を得ることができる。
【0030】このようにして得られるオルソベンゼンジ
チオール類は、適当な溶媒に溶解または分散させ、ニッ
ケル、パラジウム、白金等の塩類と反応させ、更にアル
キル第4級アンモニウムを配位させる事で、化学的に安
定な有機金属錯体とすることができ、近赤外吸収剤とし
て用いることができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。尚、実施例中の部は重量部を示す。 実施例1 N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)300部に
1,2,3,4,5−ペンタクロロベンゼン100部、
Fe12.0部、S6.0部、70%NaSH77部を
加え、窒素を緩やかに通じながら90℃まで昇温した。
さらに2時間熟成したのち冷却し、水1000部を加え
析出した黒色固体を濾別乾燥した。次いでこの固体にメ
タノール700部、酸化亜鉛50部、NaOH125
部、水500部を加え、1時間加熱還流させた後冷却
し、濾過して得られたろ液を水1000部と98%H2
SO4500部を混合した液に滴下し淡黄色の結晶(粗
ジチオール)を析出させた。この結晶にジクロロメタン
400部、水200部を加え撹拌溶解しながら水層のp
Hが約4になるように1N−NaOH溶液を加えた。水
層を分離し有機層を2回水洗した後、溶媒を除去して得
られた結晶を乾燥した。得られた結晶は、3,4,6−
トリクロロベンゼンジチオール96.1部(収率98.
0%、純度98.2%)であった。
【0032】実施例2〜5 表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にし
て行い、表1に示す結果を得た。
【0033】比較例1、3 ハロゲン化ベンゼンと抽出時にpHを調節しない他は、
実施例1と同様の方法で行い、表1に示す結果を得た。
【0034】比較例2 実施例1で得られた粗ジチオールを蒸留精製を行い、黄
色結晶の3,4,6−トリクロロベンゼンジチオール6
6.7部(収率68.0%、純度96.7%)を得た。
【0035】応用例1 実施例1で得らたジチオール9.0部にメタノール25
0部、塩化ニッケル6水塩4.7部、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド6.7部を加え、空気を吹込
みながら反応させ、対応する金属錯体14.2部(収率
98.3%、純度99.8%、モル吸光係数1500
0)を得た。
【0036】応用例2〜8 表1に示す条件を変更した以外は、応用例1と同様な方
法で行い、それぞれオルソベンゼンジチオール体に対応
する金属錯体を得た。金属錯体の収率、純度、モル吸光
係数を応用例1の結果と併せて表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の方法は実施例からも判る様に、
簡単な操作で目的物を高収率、高純度で得ることがで
き、近赤外吸収剤の中間体として精製することなく使用
出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 27/25 9342−4G C07C 319/08 323/09 7419−4H // C07B 61/00 300

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)(化1) 【化1】 〔式中、Xは塩素原子又は臭素原子を示し、R1〜R4
    Xが臭素原子の時、それぞれ同一又は独立に水素原子、
    塩素原子、臭素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アル
    ケニル基、アルコキシ基、置換基を有してもよいアリー
    ル基、もしくは、R1とR2、R2とR3、R3とR4で互い
    に結合し縮合環を形成してもよい。更に、Xが塩素原子
    の時、R1〜R4はそれぞれ同一又は独立に水素原子、塩
    素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アルケニル基、ア
    ルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、もしく
    は、R1とR2、R2とR3、R3とR4で互いに結合し縮合
    環を形成してもよい。〕で表されるハロゲン置換ベンゼ
    ン類を硫黄及び鉄又は鉄塩類の存在下、極性溶媒中で水
    硫化物を一括装入あるいは逐次添加反応させ得られる鉄
    又は鉄塩類とジチオール類との錯体を、金属酸化物及び
    アルカリ水酸化物で処理し、鉱酸にて酸析した後、有機
    溶媒で抽出し取り出すことを特徴とする一般式(2)
    (化2) 【化2】 〔式中、R1〜R4はXが臭素原子の時、それぞれ同一又
    は独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜9
    のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を
    有してもよいアリール基、もしくは、R1とR2、R2
    3、R3とR4で互いに結合し縮合環を形成してもよ
    い。〕で表されるオルソベンゼンジチオール類の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 抽出液を水洗浄する際、水相のpHが3
    から7の範囲である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応系内に装入する際の水硫化物が、水
    硫化ソーダである請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 極性溶媒がN,N−ジメチルフォルムア
    ミドである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 極性溶媒の使用量が、ハロゲン置換ベン
    ゼンに対して1〜5重量倍の範囲である請求項1記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 硫黄の使用量が、ハロゲン置換ベンゼン
    に対して1〜10重量%の範囲である請求項1記載の方
    法。
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