JPH0625098A - カルボン酸エステル化合物、液晶材料、液晶組成物及び液晶素子 - Google Patents

カルボン酸エステル化合物、液晶材料、液晶組成物及び液晶素子

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JPH0625098A
JPH0625098A JP5087301A JP8730193A JPH0625098A JP H0625098 A JPH0625098 A JP H0625098A JP 5087301 A JP5087301 A JP 5087301A JP 8730193 A JP8730193 A JP 8730193A JP H0625098 A JPH0625098 A JP H0625098A
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JP
Japan
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liquid crystal
group
carboxylic acid
acid ester
present
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JP5087301A
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English (en)
Inventor
Junichi Kawabata
端 潤 一 川
Hideo Yamaoka
岡 英 雄 山
Yuuichirou Tatsuki
木 悠一郎 達
Shinichi Nishiyama
山 伸 一 西
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明のカルボン酸エステル化合物は、次式
[I]で表わされる。 【化1】 ここでRは炭素数3〜20のアルキル基であり、nは0
または1であり、A1、A2およびA3の少なくとも1の
基はテトラリン構造を有する基であると共に、残余の基
は特定の芳香族環状構造を有する基であり、Y1および
2は、-COO-、-CH2CH2-または-CH2O-であり、Q1は、-
CH3、-CF3、-C2H5または-C2F5であり、qは4〜12の
いずれかの整数である。この化合物は、反強誘電性液晶
として使用することができ、他の液晶材料等を配合して
液晶組成物として使用することができる。また、これを
互いに対抗する二枚の基板間に充填した液晶素子も提供
する。 【効果】 この液晶素子はスイッチング速度の高いな
ど、反強誘電性液晶素子として優れた特性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、新規なカルボン酸エステ
ル化合物、この化合物からなる液晶材料、このカルボン
酸エステル化合物を含有する液晶組成物およびこの液晶
材料を用いた液晶素子に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、広汎に使用されている液晶
化合物を用いた表示デバイスは、通常はTN(ツイスト
ネマチック)モードによって駆動されている。
【0003】しかしながら、この方式を採用した場合、
表示されている画像を変えるためには、素子中における
液晶化合物の分子の位置を変える必要があるために、駆
動時間が長くなり、液晶化合物の分子位置を変えるため
に必要とする電圧、すなわち消費電力も大きくなるとい
う問題点がある。
【0004】強誘電性液晶化合物を用いたスイッチング
素子は、TNモードあるいはSTNモードを利用したス
イッチング素子とは異なり、液晶化合物の分子の配向方
向を変えるだけでスイッチング素子として機能させるこ
とができるため、スイッチング時間が非常に短縮され
る。さらに、強誘電性液晶化合物のもつ自発分極(P
s)と電界強度(E)とにより与えられるPs×Eの値
が液晶化合物の分子の配向方向を変えるための実効エネ
ルギー強度であるので、消費電力も非常に少なくなる。
そして、このような強誘電性液晶化合物は、印加電界の
方向によって二つの安定状態、すなわち双安定性を持つ
ので、スイッチングのしきい値特性も非常に良好であ
り、動画用の表示デバイス等として特に適している。
【0005】
【従来技術における問題点】このような強誘電性液晶化
合物を光スイッチング素子等に使用する場合、強誘電性
液晶化合物には、例えば動作温度範囲が常温付近あるい
はそれ以下にあること、動作温度幅が広いこと、スイッ
チング速度が大きい(速い)ことおよびスイッチングし
きい値電圧が適正な範囲内にあること等多くの特性が要
求される。殊にこれらのうちでも、動作温度範囲は強誘
電性液晶化合物を実用化する際に特に重要な特性であ
る。
【0006】しかしながら、これまで知られている強誘
電性液晶化合物では、例えば、R.B.Meyer,et.al.,の論
文[ジャーナル・デ・フイジーク(J.de Phys.)36巻L-
69頁、1975年]、田口雅明、原田隆正の論文[第11回液
晶討論会予稿集168頁、1985年]に記載されているよう
に、一般に動作温度が狭く、また動作温度範囲が広い強
誘電性液晶化合物であっても動作温度範囲が室温を含ま
ない高温度域である等、強誘電性液晶化合物として実用
上満足できるものは得られていない。
【0007】
【発明の目的】本発明は、新規なカルボン酸エステル化
合物、この化合物からなる液晶材料、この化合物を含有
する液晶組成物、およびこれを含有する液晶素子を提供
することを目的としている。さらに詳しくは、本発明
は、作動温度が広く、スイッチング速度が大きく、消費
電力が極めて少なく、しかも安定したコントラストが得
られる液晶素子を形成することができる新規なカルボン
酸エステル化合物およびこの用途を提供することを目的
としている。
【0008】
【発明の概要】本発明のカルボン酸エステル化合物は、
次式[I]で表すことができる。
【0009】
【化20】
【0010】上記式[I]において、Rは炭素数3〜2
0のアルキル基であり、nは、0または1であり、式
[I]中に存在するA1、A2およびA3の少なくとも1の
基は、
【0011】
【化21】
【0012】のいずれかの基であると共に、残余の
1、A2およびA3は、それぞれ独立に、
【0013】
【化22】
【0014】よりなる群から選ばれる基であり、Y1
よびY2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-および-C
H2O-よりなる群から選ばれる基であり、そして、Q
1は、-CH3、-CF3、-C2H5および-C2F5よりなる群から選
ばれるいずれかの基であり、qは4〜12のいずれかの
整数である。
【0015】また、本発明の液晶材料は、上記式[I]
で表されることを特徴としている。さらに、本発明の液
晶組成物は、上記式[I]で表されるカルボン酸エステ
ル化合物を含有することを特徴としている。
【0016】またさらに、本発明の液晶素子は、互いに
対抗する二枚の基板と該基板によって構成される間隙と
からなるセル、および該セルの間隙に充填された液晶材
料より構成される液晶素子であって、該液晶材料が上記
式[I]で表されるカルボン酸エステル化合物を含有す
ることを特徴としている。
【0017】さらに、本発明の液晶素子は、互いに対抗
する二枚の基板と該基板によって構成される間隙とから
なるセル、および該セルの間隙に充填された液晶組成物
より構成される液晶素子であって、該液晶組成物が上記
式[I]で表されるカルボン酸エステル化合物とそれ以
外の液晶化合物からなることを特徴としている。
【0018】本発明により新規なカルボン酸エステル化
合物が提供される。このカルボン酸エステル化合物は液
晶材料としての有用性が高い。従って、この化合物を含
有する液晶組成物およびこのカルボン酸エステル化合物
からなる液晶材料が二枚の基板の間に充填された液晶素
子は優れた液晶特性を有している。
【0019】このような本発明のカルボン酸エステル化
合物を液晶材料として用いることにより、動作温度範囲
が広く、スイッチング速度が大きく、消費電力がきわめ
て少なく、しかも安定したコントラストが得られる等の
優れた特性を有する各種デバイスを得ることができる。
【0020】
【発明の具体的説明】次に本発明について具体的に説明
する。まず、本発明のカルボン酸エステル化合物および
液晶材料について説明する。
【0021】本発明のカルボン酸エステル化合物は、次
式[I]で表すことができる。
【0022】
【化23】
【0023】ただし、上記式[I]において、Rは、炭
素数3〜20のアルキル基である。ここでアルキル基
は、直鎖状、分枝状および脂環状のいずれの形態であっ
てもよいが、Rが直鎖状のアルキル基であるカルボン酸
エステルの分子は、分子がまっ直ぐに伸びた剛直構造を
とるため、優れた液晶性を示す。このような直鎖状のア
ルキル基の具体的な例としては、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、
ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびオ
クタデシル基を挙げることができる。
【0024】上記式[I]において、nは0または1で
ある。従って、n=0のときには上記式中のY2および
3は存在しない。そして、上記式[I]中に存在するA
1、A2およびA3の内の少なくとも1の基は、次式で表
される基である。
【0025】
【化24】
【0026】すなわち、nが0の場合にはA1およびA2
の内の少なくともいずれか一方が上記式で表される基で
あることが必要である。またnが1の場合にはA1、A2
およびA3の少なくともいずれか1の基が上記式で表さ
れる基であり、さらに2個以上の基が上記式で表される
基であってもよい。
【0027】上記式で示される1,2,3,4-テトラヒドロナ
フチル基には、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,5-ナフチル
基、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチル基、1,2,3,4-
テトラヒドロ-2,6-ナフチル基および1,2,3,4-テトラヒ
ドロ-1,7-ナフチル基がある。
【0028】特に本発明のカルボン酸エステル化合物を
液晶化合物として使用する場合には、分子全体が直線状
になることが好ましく、このため1,2,3,4-テトラヒドロ
ナフチル基としては、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,6-ナフ
チル基が特に好ましい。
【0029】また、5,6,7,8-テトラヒドロナフチル基に
ついても、同様に5,6,7,8-テトラヒドロ-2,6-ナフチル
基が特に好ましい。A1、A2およびA3が上記の基であ
る場合における式[I]で表されるカルボン酸エステル
化合物の構造の例を以下に示す。なお、以下に示す式に
おいては、テトラヒドロナフチル基が、1,2,3,4-テトラ
ヒドロ-2,6-ナフチル基または5,6,7,8-テトラヒドロ-2,
6-ナフチル基の例が示されている。
【0030】
【化25】
【0031】
【化26】
【0032】上記式において、R*は、式[I]における
-C*(Q1)H-(CH2q-CH3を表している。上記
構造の例において(1)および(2)で示される群の構
造は式[I]においてnが0の場合の構造の例であり、
(3)および(4)で示される群の構造は式[I]にお
いてnが1の場合の構造の例である。
【0033】そして、式[I]で表される式中に存在す
ると共に、上記条件によっては特定されずに残存してい
るA1、A2およびA3は、それぞれ独立に以下に記載す
る基を表す。
【0034】
【化27】
【0035】さらに上記式[I]において、Y1およびY
2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-および-CH2O-よ
りなる群から選ばれる基である。これらの内、本発明の
カルボン酸エステル化合物を液晶材料として使用する場
合、Y1およびY2の内、少なくともいずれか一方、好適
には両者が-COO-である。
【0036】また、式[I]においてQ1は、-CH3、-C
F3、-C2H5および-C2F5よりなる群から選ばれるいずれか
の基であり、qは4〜12のいずれかの整数である。光
学活性基であるR*は、-C*H(CF3)-C6H13、-C*H(CH3)-C6
H13、-C*H(CH3)-C5H 11、-C*H(C2H5)-C5H11および-C*H(C
2H5)-C6H13よりなる群から選ばれる基であることが好ま
しい。
【0037】これらの基の内、本発明のカルボン酸エス
テル化合物を液晶材料として使用する場合にその特性を
考慮すると、以下に示すいずれかの基であることが好ま
しい。
【0038】-C*H(CF3)-C6H13、 -C*H(CH3)-C6H13 。 従って、上記式[I]で表されるカルボン酸エステル化
合物としては、具体的には次表1-1〜表1−3および
表2に記載した化合物を挙げることができる。
【0039】すなわち、式[I]で表される化合物の
内、n=0である次式[I-A]で表される化合物の具体
的な例としては次表1−1〜表1−3に示す化合物を挙
げることができる。
【0040】R−COO−A1−Y1−A2−COO−R*・・・ [I-A]
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】また、上記式[I]で表される化合物の
内、n=1である次式[I-B]で表される化合物の具体
的な例としては次表2に示す化合物を挙げることができ
る。 R−COO−A1−Y1−A2−Y2−A3−COO−R*・・・ [I-B]
【0045】
【表4】
【0046】本発明のカルボン酸エステル化合物は、次
表3に示すように、前記式[I]においてRで表される
アルキル基が−COO−基を介して基A1
【0047】
【化28】
【0048】で表される環状構造部分)と結合している
ので、例えばRが上記基A1と直接結合している化合物
またはRが−O−基を介して上記基A1と結合している
化合物よりも液晶素子のスイッチング速度を高速化させ
ることができる。
【0049】
【表5】
【0050】註)上記表3において、R*は次式で表さ
れる−C*(CF3)H-C613基である。上記表3から
明らかなように1で示した本発明のカルボン酸エステル
化合物は、2および3で示す他のカルボン酸エステル化
合物よりもスイッチング速度が高速になり、また、4で
表される化合物も6で示す化合物よりもスイッチング速
度が高速になる。なお、上記表3において、化合物4と
5のスイッチング時間は逆転しているが、この実際のス
イッチング速度には実質上差が見られない程度の微差で
ある。
【0051】上記表において、スイッチング時間は下記
の方法で測定したものであり、ここでは立ち上がり時間
を示している。スイッチング時間の測定 反強誘電状態から強誘電状態へのスイッチングを「立上
り(Swiching from theAF-state to the F-state)」、強
誘電状態から反強誘電状態へのスイッチングを「立下り
(Swiching from the F-state to the AF-state)」とし
た。図9に示すパルス波を試験セルに印加し、その時の
透過係数をモニターする。得られたチャートから下式に
より立上り時間および立下り時間を得ることができる。
なお、上記のスイッチング時間を求めた際の条件は、電
圧30V/2μm、パルス幅10m秒、パルス間隔90
m秒である。
【0052】立上り時間=t r90 − t r0 立上り時間=t d100 − t r10 また、本発明のカルボン酸エステル化合物は、表4に示
すように、テトラリン環を有することにより、他の芳香
族環を有するカルボン酸化合物よりも、室温付近に液晶
相を形成しやすくなる。
【0053】
【表6】
【0054】註)R*は、表3におけるのと同じ意味で
ある。上記表4から明らかなように1及び3で示した本
発明のカルボン酸エステル化合物は、テトラリン環を有
するので、こうした構造を有しない例えば2で示す他の
カルボン酸エステル化合物よりも反強誘電相の温度範囲
が低く、その温度範囲が室温付近にあり、液晶材料とし
ての有用性が高い。
【0055】上記のようなカルボン酸エステル化合物
は、公知の合成技術を組み合わせて製造することができ
る。例えば、上記のカルボン酸エステル化合物は、以下
に示す合成経路に従って合成することができる。
【0056】
【化29】
【0057】すなわち、例えば、6-アルコキシナフタレ
ン-2-カルボン酸と1,2-ジエトキシエタンとの混合物を
金属ナトリウムの存在下にイソアミルアルコールを滴下
しながら還流することにより、1,2,3,4-テトラヒドロ-6
-アルコキシナフタレン-2-カルボン酸を得る。
【0058】こうして得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6
-アルコキシナフタレン-2-カルボン酸を、酢酸および臭
化水素酸と反応させることにより、1,2,3,4-テトラヒド
ロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸を得る。
【0059】上記のようにして得られた1,2,3,4-テトラ
ヒドロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸と臭化ベ
ンジルとを水酸化カリウム存在下に反応させることによ
り1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジルオキシナフタレン-
2-カルボン酸を得る。
【0060】次いで、4-N,N-ジメチルアミノピリジンお
よび溶剤として塩化メチレンを用い、N,N'-ジシクロヘ
キシルカルボジイミド溶液を滴下しながら、不整炭素を
有するアルコールと、上記工程で得られた1,2,3,4-テト
ラヒドロ-6-ベンジルオキシナフタレン-2-カルボン酸を
反応させることにより1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジ
ルオキシナフタレン-2-カルボン酸エステルを得る。
【0061】得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジ
ルオキシナフタレン-2-カルボン酸エステルを、テトラ
ヒドロフラン等の溶媒に投入し、パラジウム/炭素等の
還元触媒の存在下に水素ガスを用いて還元することによ
り、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-
カルボン酸エステルを得る。
【0062】次いで、4-N,N-ジメチルアミノピリジンお
よび溶剤として塩化メチレンを用い、N,N'-ジシクロヘ
キシルカルボジイミド溶液を滴下しながら、別途常法に
より合成した4-アルキルカルボニルオキシ安息香酸と、
上記工程で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキ
シナフタレン-2-カルボン酸エステルを反応させること
により本発明のカルボン酸エステルを得ることができ
る。
【0063】なお、上記方法は、本発明のカルボン酸エ
ステル化合物の製造方法の一例であり、本発明のカルボ
ン酸エステル化合物は、この製造方法によって限定され
るものではない。
【0064】本発明のカルボン酸エステル化合物の内、
次式で表される6-(4'-デカノイルオキシビフェニル-4'-
カルボニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2
-カルボン酸R-1"'-トリフルオロメチルヘプチルエステ
ル[例示化合物(3)]の1H−NMRのチャートを図
1に示す。
【0065】なお、以下の式中「eq」はエカトリア
ル、[ax」はアキシャルの立体配座を示す。
【0066】
【化30】
【0067】なお、上記式中において1〜13の番号
は、水素原子を示し、この番号は図1におけるピークに
付した番号と対応している。また、本発明のカルボン酸
エステル化合物の内、次式で表される4-[4'-(6"-デカ
ノイルオキシ-1",2",3",4"-テトラヒドロ-2"-ナフトイ
ルオキシ)ベンゾイルオキシ]安息香酸R-1"'-トリフル
オロメチルヘプチルエステル[例示化合物(31)]の
1H−NMRのチャートを図2に示す。
【0068】
【化31】
【0069】なお、上記式中において1〜13の番号
は、水素原子を示し、この番号は図2におけるピークに
付した番号と対応している。上記のようにして得られた
式[I]で表されるカルボン酸エステル化合物は、例え
ば液晶材料として使用することができる。
【0070】特に光学活性を有するカルボン酸エステル
化合物は、強誘電性液晶化合物または反強誘電性液晶化
合物として使用することができる。そして、このような
カルボン酸エステル化合物の内、次式[3]および[3
1]で表される化合物が特に優れた液晶特性を示す。
【0071】
【化32】
【0072】このように液晶化合物として特に優れてい
る、式[3]および[31]でそれぞれ表される化合物
の相転移温度を表5に示す。なお、以下に示す表5にお
いて、Cryは結晶相を、Sm CA *は反強誘電相を、Sm
AはスメクチックA相を、そして、Isoは等方性液体を
表す。
【0073】
【表7】
【0074】本発明の液晶化合物中には、表5に示した
ように、広い温度範囲で、スメクチック相を呈する化合
物が多い。従来、液晶化合物を単独で使用した場合に、
上記の化合物のように広い温度範囲でスメクチック相を
呈する液晶材料はほとんど知られていない。
【0075】そして、本発明の液晶材料は、スメクチッ
ク相を示す温度範囲が広いだけでなく、このような液晶
材料が充填されている液晶素子、例えば光スイッチング
素子は、高速応答性にも優れている。
【0076】本発明の液晶材料は単独で使用することも
できるが、他の液晶材料と混合して液晶組成物として使
用することもできる。例えば、本発明の液晶材料は、強
誘電性液晶組成物あるいは反強誘電性液晶組成物の主剤
あるいは他のスメクチック相を呈する化合物を主剤とす
る液晶組成物の助剤として使用することができる。すな
わち、本発明のカルボン酸エステル化合物の内、スメク
チック相を呈する化合物は、液晶組成物の主剤として、
あるいは他の液晶材料を主剤とする液晶組成物の助剤と
して使用することができ、またスメクチック相を示さな
い化合物は、他の液晶材料を主剤とする液晶組成物の助
剤として使用することができる。
【0077】本発明において式[I]で表される化合物
と共に使用することができる液晶化合物の例としては、
(+)-4'-(2"-メチルブチルオキシ)フェニル-6-オクチル
オキシナフタレン-2-カルボン酸エステル、4'-デシルオ
キシフェニル-6-((+)-2"-メチルブチルオキシ)ナフタ
レン-2-カルボン酸エステル、
【0078】
【化33】
【0079】のような液晶化合物の他、
【0080】
【化34】
【0081】あるいは
【0082】
【化35】
【0083】のような環状構造を有するとともに光学活
性を有する化合物を挙げることができる。さらに、
【0084】
【化36】
【0085】のようなシッフ塩基系液晶化合物、
【0086】
【化37】
【0087】のようなアゾキシ系液晶化合物、
【0088】
【化38】
【0089】のような安息香酸エステル系液晶化合物、
【0090】
【化39】
【0091】のようなシクロヘキシルカルボン酸エステ
ル系液晶化合物、
【0092】
【化40】
【0093】のようなビフェニル系液晶化合物、
【0094】
【化41】
【0095】のようなターフェノール系液晶化合物、
【0096】
【化42】
【0097】のようなシクロヘキシル系液晶化合物、お
よび
【0098】
【化43】
【0099】のようなピリミジン系液晶化合物を挙げる
ことができる。本発明の液晶組成物は上記式[I]で表
されるカルボン酸エステル化合物および上記例示した化
合物をはじめとする他の化合物を含有している。この液
晶組成物中における式[I]で表されるカルボン酸エス
テル化合物の配合割合は、得られる液晶組成物の特性等
を考慮して任意に設定することができる。本発明の組成
物は、この組成物中における液晶材料の総量100重量
部中には、上記式[I]で表されるカルボン酸エステル
化合物の合計量が、通常は1〜99重量部、好ましくは
5〜75重量部の範囲内の量で含有されている。
【0100】この液晶組成物中には、上記液晶材料に加
えて、さらに、例えば電導性賦与剤および寿命向上剤
等、通常の液晶組成物に配合される添加剤が配合されて
いてもよい。
【0101】本発明で使用される液晶組成物は、上記の
ようなカルボン酸エステル化合物ならびに所望により他
の液晶材料および添加剤を混合することにより製造する
ことができる。
【0102】上述した液晶材料を含有する液晶組成物
(液晶物質)は、電圧を印加することにより、光スイッ
チング現象を起こすので、この現象を利用して応答性の
良い表示装置を作成することができる。本発明におい
て、このような現象を利用した素子あるいは素子の駆動
方法に関しては、例えば特開昭56-107216号および同59-
118744号公報を参照することができる。
【0103】このような表示装置で使用される液晶物質
としては、スメクチックC相、スメクチックF相、スメ
クチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、
スメクチックJ相およびスメクチックK相のいずれかの
相を示す化合物を使用することができるが、スメクチッ
クC相以外では、このような液晶物質を用いた表示素子
の応答速度が一般に遅くなる(低くなる)ため、従来か
ら、実用上は、応答速度の高いスメクチックC相で駆動
させることが有効であるとされていた。
【0104】しかしながら、本発明者が特開昭69-3632
号公報および特開平2-918号公報で既に提案したような
スメクチックA相における表示装置の駆動方法を利用す
ることにより、本発明においてはスメクチックC相だけ
でなく、スメクチックA相で使用することもできる。す
なわち、この駆動方法を利用することにより、本発明の
液晶素子を広い範囲で駆動させることができるようにな
ると共に、電気光学応答性の高速化を図ることができ
る。
【0105】本発明の液晶素子は、液晶物質が充填され
たセルと偏光板とからなる。すなわち、本発明の液晶素
子は、例えば、図3に示すように、液晶物質を充填する
間隙14を形成するように配置された二枚の透明基板11a,
11bと、この二枚の透明基板11a,11bの液晶物質12に対面
する面に形成された透明電極15a,15bとからなるセル13
と、このセル13の間隙14に充填された液晶物質12および
このセル13の両外側に一枚ずつ配置された偏光板(図示
なし)から形成されている。
【0106】本発明において、透明基板としては、例え
ば、ガラスおよび透明高分子板等を用いることができ
る。なお、ガラス基板を用いる場合には、アルカリ成分
の溶出による液晶物質の劣化を防止するために、ガラス
基板表面に、例えば酸化珪素等を主成分とするアンダー
コート層(不要成分透過防止層)を設けることもでき
る。透明基板の厚さは、例えばガラス基板の場合には通
常は0.01〜1.0mmの範囲内にある。
【0107】また、本発明においては、透明基板とし
て、可撓性透明基板を用いることもできる。この場合、
透明基板の少なくとも一方の基板として可撓性透明基板
を用いることができ、さらに両者とも可撓性基板であっ
てもよい。このような可撓性透明基板としては、高分子
フィルム等を用いることができる。透明基板として可撓
性透明基板を使用する場合、可撓性透明基板の厚さt(m
m)、弾性率E(Kgf/m2)およびセルに形成されている間隙
の幅a(mm)が次式で示される関係を有していることが好
ましい。
【0108】
【数1】
【0109】このような透明基板の表面には透明電極が
設けられている。透明電極は、例えば酸化イリジウムあ
るいは酸化スズ等で透明基板表面をコーティングするこ
とにより形成される。透明電極は、公知の方法により形
成することができる。透明電極の厚さは通常は100〜
2000オングストロームの範囲内にある。
【0110】このような透明電極が設けられた透明基板
には、さらに透明電極上に配向層あるいは強誘電体層が
設けられていてもよい。配向層としては、例えば有機シ
ランカップリング剤あるいはカルボン酸多核錯体等を化
学吸着させることにより形成される有機薄膜および無機
薄膜を挙げることができる。有機薄膜の例としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリビニルアルコール(ポバール)およびポリイミ
ドのような高分子薄膜を挙げることができる。このよう
な有機薄膜は、塗布、接着、蒸着、あるいは、基板上で
の重合(例えばプラズマ重合)等の方法で形成すること
ができる。
【0111】また、無機薄膜の例としては、酸化珪素、
酸化ゲルマニウムおよびアルミナ等の酸化物薄膜、窒化
珪素のような窒化物薄膜並びに他の半導体薄膜を挙げる
ことができる。このような無機薄膜は、蒸着(例えば斜
方蒸着)およびスパッタリング等の方法で形成すること
ができる。
【0112】さらに、上記のような薄膜に配向性を賦与
する方法には、膜成形時に薄膜自体に異方性あるいは形
状特異性を賦与する方法、薄膜作成後に外部から配向性
を賦与する方法がある。具体的には、透明電極上にポリ
イミド樹脂等の高分子物質を塗布して薄膜を形成した
後、この薄膜を一定方向にラビングする方法、高分子フ
ィルムを延伸して配向性を賦与する方法、酸化物を斜方
蒸着する方法等を挙げることができる。
【0113】このような薄膜(例;配向層)は 後述のス
ペーサを兼ねるように形成されていてもよい。上記のよ
うな透明基板を、それぞれの透明電極が対面し、そして
この透明基板により液晶物質を充填する間隙が形成され
るように二枚配置する。上記のようにして形成される間
隙の幅は、通常は1〜10μm、好ましくは1〜5μm
である。このような間隙は、例えば、スペーサを挟持す
るように二枚の基板を配置することにより形成すること
ができる。このようなスペーサとしては、例えば、感光
性ポリイミド前駆体をパターニングして得られるポリイ
ミド系高分子物質等を用いることができる。スペーサを
用いることにより、このスペーサと液晶物質との界面効
果によってモノドメインが形成される。
【0114】また、図4(a)およびこのA−A断面図で
ある図(b)に示すように、例えば、配向膜として作用す
る同心円形状のスペーサ26を用いて配向膜とスペーサと
を一体化することもできる。図4(a)および(b)におい
て、透明基板は27で、透明電極は25で、液晶物質は23で
示されている。
【0115】また、図5(a)およびこのA−A断面図で
ある(b)に示すように、例えば、配向膜として作用する
クシ状のスペーサ36を用いて配向膜とスペーサとを一体
化することもできる。図5(a)および(b)において、透明
基板は37で、透明電極は35で、液晶物質は33で示されて
いる。
【0116】また、図6に示すように、上記のようなス
ペーサの他に、液晶物質43中にファイバー46を配合し
て、このファイバーにより、透明電極45が付設された透
明基板47が一定の間隙を形成するように保持することも
できる。
【0117】ここで使用されるファイバーは、平均直径
および平均長さが次式で表される関係を有していること
が好ましい。
【0118】
【数2】
【0119】ただし、上記式において、dはファイバー
の平均直径を表し、qはファイバーの平均長さを表す。
ここで使用されるファイバーとしては、種々のものを挙
げることができるが、特にアルカリガラスを紡糸するこ
とにより形成されるファイバーが好ましい。
【0120】さらに、上記ファイバーの代わりに、ある
いは上記ファイバーと共に粒状物を配合することもでき
る。このような粒状物としては、メラミン樹脂、尿素樹
脂あるいはベンゾグアナミン樹脂等からなる粒子径が1
〜10μmの粒状物を挙げることができる。
【0121】上記のようにして間隙を形成して配置され
た二枚の透明基板は、通常は周辺をシール材でシールす
ることにより貼り合わされる。シール材としては、エポ
キシ系樹脂およびシリコン系樹脂等を用いることができ
る。さらに、このエポキシ樹脂等がアクリル系材料ある
いはシリコン系ゴム等で変性されていてもよい。
【0122】上記のような構成を有する液晶セルの間隙
には、上述したような式[I]で表されるカルボン酸エ
ステル化合物を含む液晶物質が充填されている。液晶セ
ルの間隙に充填されたこのような液晶物質は、たとえば
スペーサエッジを利用した温度勾配法あるいは配向膜を
用いた表面処理法等の一軸配向制御法方法を利用して配
向させることができる。また、本発明においては、例え
ば、液晶物質を加熱しながら、直流バイアス電圧を用い
て電界を印加することにより、液晶物質の初期配向を行
うこともできる。
【0123】このようにして液晶物質が充填され、初期
配向された液晶セルは、二枚の偏光板の間に配置され
る。さらに図7に示すように、上記のようにして調製さ
れた二枚の透明基板57、透明電極55および液晶物質53か
らなるセル58を、この二枚の偏光板56の間に二個以上配
置することもできる。
【0124】本発明の液晶素子において、それぞれの偏
光板の偏光面のなす角度が70〜110度になるように
配置することができる。そして、この二枚の偏光板の偏
光方向が直交するように、すなわち上記角度が90度に
なるように偏光板を配置することが好ましい。
【0125】このような偏光板としては、例えばポリビ
ニルアルコール樹脂フィルム、ポリビニルブチラール樹
脂フィルム等の樹脂フィルムをヨウ素等の存在下で延伸
することによりフィルム中にヨウ素を吸収させて偏光性
を賦与した偏光フィルムを用いることができる。このよ
うな偏光フィルムは、他の樹脂等で表面を被覆して多層
構造にすることもできる。
【0126】本発明において、上記のような液晶セル
は、上記のように配置された偏光板の間に、透過する光
量が最も少ない状態(すなわち、最暗状態)から±10
度の範囲内の角度(回転角度)を形成するように、好ま
しくは最暗状態になるように二枚の偏光板の間に配置す
ることができる。さらに、上記のように配置された偏光
板の間に、透過する光量が最も多い状態(すなわち、最
明状態)から±10度の範囲内の角度(回転角度)を形
成するように、好ましくは最明状態になるように二枚の
偏光板の間に配置することができる。
【0127】本発明の液晶素子は、図3に示すように、
上記のような液晶物質15をセル13の間隙14に充填して、
この液晶物質15を初期配向させることにより製造するこ
とができる。
【0128】液晶物質15は、通常、溶融状態になるまで
加熱され、この状態で内部が減圧にされているセルの間
隙14に充填(注入)される。このように液晶物質を充填
した後、セル13に設けられている液晶物質の注入口は密
封される。
【0129】次いで、このように注入口が密封されたセ
ル13をセル内に充填された液晶物質15が等方相を示す温
度以上の温度に加熱し、その後、この液晶物質15が液晶
を示す温度にまで冷却する。
【0130】そして、本発明においては、この冷却の際
の降温速度を2℃/分以下にすることが好ましい。特に
降温速度を0.1〜2.0℃/分の範囲内にすることが好
ましく、さらに0.1〜0.5℃/分の範囲内にすること
が特に好ましい。このような冷却速度でセル13を冷却す
ることにより、液晶物質15の初期配合状態が改善され、
配向欠陥の少ないモノドメインからなる液晶相を有する
液晶素子を容易に形成することができる。ここで初期配
向性とは、液晶素子に電圧の印加等を行って液晶物質の
配向ベクトルを変える前の液晶物質の配列状態をいう。
【0131】このようにして形成される本発明の液晶素
子は、従来の液晶素子と比較して、コントラスト等の特
性が著しく優れ、例えば表面安定化強誘電性液晶素子、
ヘリカル変調素子、過度散乱型素子、ゲストホスト型素
子、垂直配向液晶素子等として好適に使用することがで
きる。
【0132】例えば、本発明の液晶素子に、電界を印加
することによりこの液晶素子を駆動させる場合には、周
波数が通常は1Hz〜100KHz、好ましくは10H
z〜10KHz、電界が通常は0.01〜60Vp-p/μ
mt(厚さ1μm当たり電圧)、好ましくは0.05〜30
Vp-p/μmtに制御された電界をかけることにより駆動
させることができる。
【0133】そして、前記式[I]で表されるカルボン
酸エステル化合物を含有する光学活性を有する液晶物質
を使用することにより、本発明の液晶素子は、電界を印
加して駆動する際に印加する電界の波形(駆動波)の幅
を変えることにより、この液晶素子を透過する光量が2
種類のヒステリシス曲線を描くようになる。このうち一
方は、いわゆる双安定型を利用する駆動方法により形成
される曲線であり、もう一方は、いわゆる三安定型を利
用する駆動方法より形成される曲線である。
【0134】上記のような光学活性を有する液晶物質が
充填された液晶セルを、偏光面が直交するように配置さ
れた二枚の偏光板の間に、電界を印加しない状態で最暗
状態になるように配置した本発明の液晶素子に、例えば
周波数50Hz〜100KHz、好ましくは70Hz〜
10KHzの矩形波(あるいはパルス波)、三角波、正
弦波およびこれらを組み合わせた波形の内のいずれかの
波形の電界を印加することによりこの液晶素子を駆動さ
せることができる。例えば、矩形波(あるいはパルスま
たは両者の組み合わせ波)を印加する場合には、電界の
幅を10ミリ秒以下、好ましくは0.01〜10ミリ秒
の範囲内にすることにより、液晶素子の駆動速度を高く
することができ、この領域では本発明の液晶素子を双安
定型液晶素子として使用することができる。また、この
電界の幅を10ミリ秒より大きくすることにより、好ま
しくは33〜1000ミリ秒の範囲内にすることによ
り、それほど高速で駆動することが必要でない領域で、
本発明の液晶素子を三安定型液晶素子として使用するこ
とができる。ここで、電界の幅とは、例えば矩形波にお
いては、所定の電圧に維持される電界の長さ(すなわち
時間)を意味する。
【0135】本発明の液晶素子を用いて各種の液晶表示
装置および電気光学表示装置を製造することができる。
また、本発明の液晶素子の内、スメクチック相を呈する
液晶物質が充填された液晶素子は、熱書き込み型液晶表
示素子、レーザー書き込み型液晶表示素子等の記憶型液
晶表示装置のような液晶表示装置(あるいは電気光学表
示装置)を製造することができる。さらに、強誘電性を
示すカルボン酸エステル化合物を含有する液晶材料を用
いることにより、上記のような用途の他、光シャッター
あるいは液晶プリンター等の光スイッチング素子、圧電
素子および焦電素子のような液晶表示装置(あるいは電
気光学表示装置)を製造することができる。
【0136】すなわち、本発明で使用される液晶物質
は、三安定または双安定性を示すため、双安定状態を達
成するように電界を反転することにより、本発明の液晶
素子に光スイッチング機能あるいは表示機能をもたせる
ことができる。
【0137】また、上記の液晶物質が双安定を示す場
合、この液晶物質は自発分極を有するから、本発明の液
晶素子は一度電圧を印加すると電界消去後もメモリー効
果を有する。そして、このメモリーを維持するために液
晶素子に電界を印加し続ける必要がなく、本発明の液晶
素子を用いた表示装置では消費電力の低減を図ることが
できる。また、三安定を示す場合もメモリー性を維持す
ることができる。しかもこの表示装置は、安定したコン
トラストを有しているので非常に鮮明である。
【0138】さらに、前記式[I]で表される液晶材料
を用いた本発明のスイッチング素子では、分子の配向方
向を変えるだけでスイッチング操作が可能になり、この
場合、電界強度の一次項がこのスイッチング素子の駆動
に作用するため、本発明のスイッチング素子では低電圧
駆動が可能になる。
【0139】そして、このスイッチング素子を用いるこ
とにより、数十μ秒以下の高速応答性を実現することが
できるので、素子の操作時間は大幅に短縮される。従っ
て、本発明の液晶素子を用いることにより走査線の多い
大画面のディスプレイ(液晶表示装置)を容易に製造す
ることができる。しかも、このディスプレイは、室温あ
るいはそれ以下の温度で駆動させることができるので、
駆動温度をコントロールするための補助手段を用いるこ
となくこのディスプレイを駆動させることができる。
【0140】さらに、本発明で使用される液晶物質は、
一般には双安定性を示さないとされているスメクチック
A相においても、電界が印加されると誘起的に分子が傾
くので、この性質を利用して光スイッチングを行うこと
できる。すなわち、従来強誘電性液晶化合物を用いる場
合には実用的な応答速度を達成できないため、通常は使
用されていなかったスメクチックA相においても、本発
明者が既に特開昭64-3634号および特開平2-918号で提案
した駆動法および装置を利用することにより、本発明の
液晶素子を用いた表示装置を駆動させることが可能であ
る。さらに、本発明で使用される液晶物質は、スメクチ
ックC相よりもさらに高い秩序を有するスメクチックF
相等においても、二つ以上の安定状態を示すので、これ
らの相における複数の安定状態を利用して上記と同様に
して光スイッチングを行うことができる。
【0141】本発明の液晶素子を用いた表示装置は、種
々の方法で駆動させることができるが、この駆動方法の
具体的な例としては以下に記載する方法を挙げることが
できる。
【0142】第1の方法は、本発明の液晶素子を二枚の
偏光板の間に介在させ、この液晶素子に外部電圧を印加
し、液晶物質の配向ベクトルを変えることにより、二枚
の偏光板と液晶物質の複屈折とを利用して表示を行う方
法である。
【0143】第2の方法は、二色性色素が配合された液
晶物質を用いて色素の二色性を利用する方法である。こ
の方法は液晶化合物の配向方向を変えることにより色素
による光の吸収波長を変えて表示を行う方法である。こ
の場合に使用される色素は、通常は二色性色素であり、
このような二色性色素の例としては、アゾ色素、ナフト
キノン色素、シアニン系色素およびアントラキノン系色
素等を挙げることができる。
【0144】本発明の液晶素子を用いて製造される表示
デバイスは、スタチィック駆動、単純マトリックス駆動
および複合マトリックス駆動等の電気アドレス表示方
式、光アドレス表示方式、熱アドレス表示方式並びに光
ビーム表示方式により駆動させることができる。
【0145】また、本発明の表示装置を電界駆動する際
には各絵素を駆動させるための素子として、非線形素子
あるいは能動素子を用いることができる。より具体的に
は、2端子素子の非線形素子としては、例えば図8(a)
に示すように一方の透明基板上にバリスタ、MIM(Me
tal Insulator Metal)、ダイオード等を配置して、これ
らの非線形性を利用した素子を挙げることができる。ま
た、3端子素子の能動素子としては、例えば第8図(b)
に示すように、TFT(薄膜トランジスタ)、Si-M
OS(Si-metal oxide semi conductor field-effect t
ransistor)、およびSOS(Sillicon on Sapphire)
等が絵素に配置された素子を挙げることができる。
【0146】
【発明の効果】本発明により新規なカルボン酸エステル
化合物が提供される。この新規なカルボン酸エステル化
合物は、光学的に活性であり、しかも1,2,3,4-テトラヒ
ドロナフタレン環とベンゼン環とがエステル結合で結合
されているため、さらにベンゼン環が2個ある場合には
これらのベンゼン環同士もエステル結合で結合されてい
るため、室温を含む広範な温度範囲においてスメクチッ
ク相を示し、また強誘電性液晶材料あるいは反強誘電性
液晶材料として使用することもできる。
【0147】このような本発明の液晶材料に、同種およ
び/または他種の液晶物質を配合することにより、本発
明の液晶材料の強誘電性あるいは反強誘電性を損なうこ
となく、液晶を使用できる温度範囲を広域化することが
できる。
【0148】従って、このような液晶材料を用いること
により、広い温度範囲において高速応答性を有する液晶
素子等を得ることができる。さらに、このような素子を
用いて製造した液晶ディスプレイでは、操作時間を大幅
に短縮することができる。このようなディスプレイで
は、消費電力の低減を図ることができると共に、高いコ
ントラスト、安定したコントラストが得られる。また、
低電圧駆動も可能である。
【0149】また、本発明のカルボン酸エステル化合物
を反強誘電性液晶化合物として使用する場合、メモリー
性の実現が容易になり、配向性を向上させる等の特性を
付与することができる。
【0150】このような本発明の液晶材料を用いること
により、動作温度範囲が広く、スイッチング速度が大き
く、消費電力がきわめて少なく、しかも安定したコント
ラストが得られる等の優れた特性を有する各種デバイス
を得ることができる。
【0151】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。なおR、Sは光
学活性体のR体、S体を表わす。
【0152】
【実施例1】 6-(4'-デカノイルオキシビフェニル-4"-カルボニルオキ
シ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-カルボン酸R-
1"'-トリフルオロメチルヘプチルエステル[例示化合物
(3)]の合成
【0153】
【化44】
【0154】第1段階 6-デシルオキシ-ナフタレン-2-カルボン酸3.86g(1
1.8ミリモル)および1,2-ジエトキシエタン130mlの
混合物に、窒素雰囲気下、120℃で攪拌下に金属ナト
リウム3.0g(130ミリグラム原子)を加え、さらに混
合物を還流温度にまで加熱した。
【0155】この混合物にイソアミルアルコール10g
(114ミリモル)を1時間かけて滴下し、さらに11時
間還流下に反応させた。室温に冷却後、残存する金属ナ
トリウムをエタノールを加えてナトリウムアルコラート
に変えた後、反応混合物を20%塩酸を用いて、酸性に
した。
【0156】この反応混合物に水100mlを加えた後、
有機相を分離し、さらにこの有機相を水洗した。有機相
を減圧下に濃縮して固体4.25gを得た。この固体を
トルエンを用いた再結晶することにより、1,2,3,4-テト
ラヒドロ-6-デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸2.
95g(8.89ミリモル)を得た。
【0157】第2段階 第1段階の方法で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-デ
シルオキシナフタレン-2-カルボン酸16.6g(50ミリ
モル)、酢酸250mlおよび47%臭化水素酸86.5
g(0.5モル)を130℃で7時間加熱還流した。蒸留
水を添加後減圧下に濃縮することにより、1,2,3,4-テト
ラヒドロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸10.
60g(50ミリモル)を得た。
【0158】第3段階 第2段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキ
シナフタレン-2-カルボン酸10.60g(50ミリモ
ル)、臭化ベンジル12.85g(75ミリモル)、85
%水酸化カリウム6.6g(100ミリモル)、ヨウ化ナト
リウム0.525g(3.5ミリモル)、エタノール20
0mlおよび蒸留水25mlの混合物を100℃で12時間
加熱還流した。さらに10%水酸化カリウム50mlを添
加し2時間加熱還流を続けた。
【0159】次いで室温まで放冷し、反応物を冷水中に
加え、この反応混合物に36%塩酸を添加して液を酸性
にした。析出物を濾過により分別し、これをトルエンを
用いて再結晶することにより1,2,3,4-テトラヒドロ-6-
ベンジルオキシナフタレン-2-カルボン酸13.08g
(46.4ミリモル)を得た。
【0160】第4段階 第3段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジル
オキシナフタレン-2-カルボン酸8.46g(30ミリモ
ル)、R-1-トリフルオロメチルヘプタノール5.52g
(30ミリモル)および4-N,N-ジメチルアミノピリジン
0.37g(3ミリモル)および塩化メチレン80mlの混
合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド6.80
g(33ミリモル)を含む塩化メチレン溶液30mlを室温
で、攪拌下に2.5時間かけて滴下した。
【0161】さらに室温下で15時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
淡黄色透明液体である1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジ
ルオキシ-2-ナフタレンカルボン酸R-1'-トリフルオロメ
チルヘプチルエステル12.11g(27.03ミリモル)を
得た。
【0162】第5段階 第4段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジル
オキシ-2-ナフタレンカルボン酸R-1'-トリフルオロメチ
ルヘプチルエステル12.11g(27.03ミリモル)、5
%パラジウム/炭素触媒1.21gおよびテトラヒドロ
フラン80mlの混合物中に室温、常圧攪拌下に水素ガス
を48時間吹きこんだ。
【0163】次いで、反応混合物を濾過助剤であるセラ
イトを用いて濾過し、さらに得られた濾液を濃縮し、淡
黄色液体である1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-
ナフタレンカルボン酸R-1'-トリフルオロメチルヘプチ
ルエステル9.65g(26.95ミリモル)を得た。
【0164】第6段階 第5段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキ
シ-2-ナフタレンカルボン酸R-1'-トリフルオロメチルヘ
プチルエステル0.36g(1ミリモル)、別途常法によ
り合成した4-ノナノイルオキシ安息香酸0.37g(1ミ
リモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.02g
(0.16ミリモル)および塩化メチレン15mlの混合物
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25g
(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液3mlを室温
で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0165】さらに室温下で18時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.45gを得た。
【0166】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=752であった。図1にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-(4'-デカノイルオキシ
ビフェニル-4"-カルボニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒド
ロナフタレン-2-カルボン酸R-1"'-トリフルオロメチル
ヘプチルエステル[例示化合物(3)]であると同定し
た。
【0167】
【実施例2】 4-[4'-(6"-デカノイルオキシ-1",2",3",4"-テトラヒド
ロ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイルオキシ]安息香酸R
-1"'-トリフルオロメチルヘプチルエステル[例示化合
物(31)]の合成
【0168】
【化45】
【0169】第1段階 4-ベンジルオキシ安息香酸9.12g(40ミリモル)、R
-1-トリフルオロメチルヘプタノール7.36g(40ミリ
モル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.49g(4ミ
リモル)および塩化メチレン200mlの混合物に、N,N'
-ジシクロヘキシルカルボジイミド9.06g(44ミリモ
ル)を含む塩化メチレン溶液43mlを室温で、攪拌下に
1時間かけて滴下した。
【0170】さらに室温下で7時間反応させた。反応混
合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカラ
ムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、無
色液体である4-ベンジルオキシ安息香酸R-1'-トリフル
オロメチルヘプチルエステル12.00g(30.1ミリモ
ル)を得た。
【0171】第2段階 第1段階で得られた4-ベンジルオキシ安息香酸R-1'-ト
リフルオロメチルヘプチルエステル12.00g(30.1
ミリモル)、5%パラジウム/炭素触媒2.4gおよび
テトラヒドロフラン50mlの混合物中に室温、常圧攪拌
下に水素ガスを19時間吹きこんだ。反応混合物を濾過
助剤であるセライトを用いて濾過し、さらに得られた濾
液を濃縮し、淡黄色透明液体である4-ヒドロキシ安息香
酸R-1'-トリフルオロメチルヘプチルエステル9.12g
(30.0ミリモル)を得た。
【0172】第3段階 第2段階で得られた4-ヒドロキシ安息香酸R-1'-トリフ
ルオロメチルヘプチルエステル1.52g(5ミリモ
ル)、4-ベンジルオキシ安息香酸1.14g(5ミリモ
ル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.06g(0.5ミ
リモル)および塩化メチレン30mlの混合物に、N,N'-
ジシクロヘキシルカルボジイミド1.03g(5ミリモ
ル)を含む塩化メチレン溶液5mlを室温で、攪拌下に
1.5時間かけて滴下した。
【0173】さらに室温下で6.5時間反応させた。反
応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物を
カラムクロマトグラフィーを用いて分離することによ
り、白色固体である4-(4'-ベンジルオキシ-ベンゾイル
オキシ)安息香酸R-1"-トリフルオロメチルヘプチルエス
テル2.06g(4.0ミリモル)を得た。
【0174】第4段階 第3段階で得られた4-(4'-ベンジルオキシ-ベンゾイル
オキシ)安息香酸R-1"-トリフルオロメチルヘプチルエス
テル2.06g(4.0ミリモル)、5%パラジウム/炭素
触媒1.0gおよびテトラヒドロフラン20mlの混合物
中に室温、常圧攪拌下に水素を7.5時間吹きこんだ。
反応混合物を濾過助剤であるセライトを用いて濾過し、
さらに得られた濾液を濃縮し、白色固体である4-(4'-ヒ
ドロキシ-ベンゾイルオキシ)安息香酸R-1"-トリフルオ
ロメチルヘプチルエステル1.70g(4.0ミリモル)を
得た。
【0175】第5段階 第4段階で得られた4-(4'-ヒドロキシ-ベンゾイルオキ
シ)安息香酸R-1"-トリフルオロメチルヘプチルエステル
0.59g(1.4ミリモル)、実施例1の第3段階で得ら
れた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジルオキシナフタレ
ン-2-カルボン酸0.40g(1.4ミリモル)、4-N,N-ジ
メチルアミノピリジン0.03g(0.25ミリモル)およ
び塩化メチレン20mlの混合物に、N,N'-ジシクロヘキ
シルカルボジイミド0.37g(1.8ミリモル)を含む塩
化メチレン溶液3mlを室温で、攪拌下に1時間かけて滴
下した。
【0176】さらに室温下で4時間反応させた。反応混
合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカラ
ムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、白
色固体である4-[4'-(6"-ベンジルオキシ-1",2",3",4"-
テトラヒドロ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイルオキ
シ]安息香酸R-1"'-トリフルオロメチルヘプチルエステ
ル0.82g(1.2ミリモル)を得た。第6段階 第5段階で得られた4-[4'-(6"-ベンジルオキシ-1",2",
3",4"-テトラヒドロ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイル
オキシ]安息香酸R-1"'-トリフルオロメチルヘプチルエ
ステル0.82g(1.2ミリモル)、5%パラジウム/炭
素触媒0.40gおよびテトラヒドロフラン10mlの混
合物中に室温、常圧攪拌下に水素を16時間吹きこん
だ。反応混合物を濾過助剤であるセライトを用いて濾過
し、さらに得られた濾液を濃縮し、白色固体である4-
[4'-(6"-ヒドロキシ-1",2",3",4"-テトラヒドロ-2"-ナ
フトイルオキシ)ベンゾイルオキシ]安息香酸R-1"'-ト
リフルオロメチルヘプチルエステル0.69g(1.15ミ
リモル)を得た。
【0177】第7段階 第6段階で得られた4-[4'-(6"-ヒドロキシ-1",2",3",
4"-テトラヒドロ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイルオキ
シ]安息香酸R-1"'-トリフルオロメチルヘプチルエステ
ル0.69g(1.15ミリモル)、デカン酸0.21g(1.
22ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.02
g(0.16ミリモル)および塩化メチレン20mlの混合物
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.31g
(1.5ミリモル)を含む塩化メチレン溶液3mlを室温
で、攪拌下に1時間かけて滴下した。
【0178】さらに室温下で1時間反応させた。反応混
合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカラ
ムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、無
色の半固体0.63gを得た。
【0179】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=708であった。図2にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする4-[4'-(6"-デカノイル
オキシ-1",2",3",4"-テトラヒドロ-2"-ナフトイルオキ
シ)ベンゾイルオキシ]安息香酸R-1"'-トリフルオロメ
チルヘプチルエステル[例示化合物(31)]であると
同定した。
【0180】
【実施例3】実施例2で得られた次式で表わされる例示
化合物[31]と次式で表わされる化合物[A]とを5
0:50の重量比で混合して本発明の液晶組成物を製造
した。
【0181】
【化46】
【0182】この組成物の相転移温度を測定した。結果
を表6に示す。さらに表6に例示化合物[31]及び上
記式[A]で表わされる化合物の相転移温度も併せて記
載する。
【0183】
【表8】
【0184】<註>上記表6において、[31]は上記
例示化合物[31]を、また[A]は、上記式[A]で
表される化合物を表す。
【0185】
【実施例4】実施例2で得られた次式で表わされる例示
化合物[31]と次式で表わされる化合物[B]とを9
0:10の重量比で混合して本発明の液晶組成物を製造
した。
【0186】
【化47】
【0187】この組成物の相転移温度を測定した。結果
を表7に示す。さらに例示化合物[31]及び上記式
[B]で表わされる化合物の相転移温度も併せて記載す
る。
【0188】
【表9】 <註>上記表7において、[31]は上記例示化合物
[31]を、また[B]は、上記式[B]で表される化
合物を表す。
【0189】
【実施例5】実施例2で得られた次式で表わされる例示
化合物[31]と次式で表わされる化合物[C]とを2
5:75の重量比で混合して本発明の液晶組成物を製造
した。
【0190】
【化48】
【0191】この組成物の相転移温度を測定した。結果
を表8に示す。さらに表8に例示化合物[31]及び上
記式[C]で表わされる化合物の相転移温度も併せて記
載する。
【0192】
【表10】
【0193】<註>上記表8において、[31]は上記
例示化合物[31]を、また[C]は、上記式[C]で
表される化合物を表す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、6-(4'-デカノイルオキシビフェニル
-4"-カルボニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレ
ン-2-カルボン酸R-1"'-トリフルオロメチルヘプチルエ
ステル[例示化合物(3)]の1H-NMRスペクトルの
チャートである。
【図2】 図2は、4-[4'-(6"-デカノイルオキシ-1",
2",3",4"-テトラヒドロ-2"-ナフトイルオキシ)ベンゾイ
ルオキシ]安息香酸R-1"'-トリフルオロメチルヘプチル
エステル[例示化合物(31)]の1H-NMRスペクト
ルのチャートである。
【図3】 図3は、本発明の液晶素子の断面形状を模式
的に示す図である。
【図4】 図4は、同心円形状のスペーサーを有する液
晶素子およびそのA−A断面図である。
【図5】 図5は、クシ型スペーサを有する液晶素子お
よびそのA−A断面図である。
【図6】 図6は、スペーサとしてファイバーを用いた
本発明の液晶素子の断面構造を示す図である。
【図7】 図7は、二枚の偏光板のセルを配置した本発
明の液晶素子の断面構造を示す図である。
【図8】 図8は、非線形素子および3端子素子の例を
示す図である。
【図9】 図9は、本発明においてスイッチング速度を
測定する方法の説明図である。
【符号の説明】
11a,11b,27a,27b,37,47,57・・・透明基板 12,23,33,43,53・・・液晶物質 13,58・・・セル 14・・・間隙 15a,15b,25a,25b,35,45,55・・・透明電極 26・・・同心円形状のスペーサ 36・・・クシ型スペーサ 46・・・ファイバー 56・・・偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/86 9279−4H 69/94 9279−4H C07D 239/26 8615−4C 239/34 8615−4C C09K 19/32 7457−4H 19/34 7457−4H (72)発明者 西 山 伸 一 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式[I]で表わされるカルボン酸エス
    テル化合物; 【化1】 [上記式[I]において、Rは炭素数3〜20のアルキ
    ル基であり、nは、0または1であり、式[I]中に存
    在するA1、A2およびA3の少なくとも1の基は、 【化2】 のいずれかの基であると共に、残余のA1、A2およびA
    3は、それぞれ独立に、 【化3】 よりなる群から選ばれる基であり、 Y1およびY2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-お
    よび-CH2O-よりなる群から選ばれる基であり、そして、
    1は、-CH3、-CF3、-C2H5および-C2F5よりなる群から
    選ばれるいずれかの基であり、qは4〜12のいずれか
    の整数である]。
  2. 【請求項2】 上記式[I]において、A1が、 【化4】 であり、A2が、 【化5】 であり、 Y1が-COO-であり、Q1が-CF3であり、nが0であるこ
    とを特徴とする請求項第1項記載のカルボン酸エステル
    化合物。
  3. 【請求項3】 上記式[I]において、A1が、 【化6】 であり、 A2が、 【化7】 のいずれかであり、 Y1が-COO-であり、Q1が-CF3であり、nが0であるこ
    とを特徴とする請求項第1項記載のカルボン酸エステル
    化合物。
  4. 【請求項4】 次式[I]で表わされるカルボン酸エス
    テル化合物からなる液晶材料; 【化8】 [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアル
    キル基であり、nは、0または1であり、式[I]中に
    存在するA1、A2およびA3の少なくとも1の基は、 【化9】 のいずれかの基であると共に、残余のA1、A2およびA
    3は、それぞれ独立に、 【化10】 よりなる群から選ばれる基であり、 Y1およびY2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-お
    よび-CH2O-よりなる群から選ばれる基であり、そして、
    1は、-CH3、-CF3、-C2H5および-C2F5よりなる群から
    選ばれるいずれかの基であり、qは4〜12のいずれか
    の整数である]。
  5. 【請求項5】 次式[I]で表わされるカルボン酸エス
    テル化合物とこれ以外の液晶化合物とからなる液晶組成
    物; 【化11】 [上記式[I]において、Rは炭素数3〜20のアルキ
    ル基であり、nは、0または1であり、式[I]中に存
    在するA1、A2およびA3の少なくとも1の基は、 【化12】 のいずれかの基であると共に、残余のA1、A2およびA
    3は、それぞれ独立に、 【化13】 よりなる群から選ばれる基であり、 Y1およびY2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-お
    よび-CH2O-よりなる群から選ばれる基であり、そして、
    1は、-CH3、-CF3、-C2H5および-C2F5よりなる群から
    選ばれるいずれかの基であり、qは4〜12のいずれか
    の整数である]。
  6. 【請求項6】 互いに対抗する二枚の基板と該基板によ
    って構成される間隙とからなるセルおよび該セルの間隙
    に充填された液晶材料より構成される液晶素子であっ
    て、 該液晶材料が下記式[I]で表されるカルボン酸エステ
    ル化合物を含有することを特徴とする液晶素子; 【化14】 [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアル
    キル基であり、nは、0または1であり、式[I]中に
    存在するA1、A2およびA3の少なくとも1の基は、 【化15】 のいずれかの基であると共に、残余のA1、A2およびA
    3は、それぞれ独立に、 【化16】 よりなる群から選ばれる基であり、 Y1およびY2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-お
    よび-CH2O-よりなる群から選ばれる基であり、そして、
    1は、-CH3、-CF3、-C2H5および-C2F5よりなる群から
    選ばれるいずれかの基であり、qは4〜12のいずれか
    の整数である]。
  7. 【請求項7】 互いに対抗する二枚の基板と該基板によ
    って構成される間隙とからなるセルおよび該セルの間隙
    に充填された液晶組成物より構成される液晶素子であっ
    て、 該液晶組成物が下記式[I]で表されるカルボン酸エス
    テル化合物とこれ以外の液晶化合物とからなることを特
    徴とする液晶素子; 【化17】 [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアル
    キル基であり、nは、0または1であり、式[I]中に
    存在するA1、A2およびA3の少なくとも1の基は、 【化18】 のいずれかの基であると共に、残余のA1、A2およびA
    3は、それぞれ独立に、 【化19】 よりなる群から選ばれる基であり、 Y1およびY2は、それぞれ独立に、-COO-、-CH2CH2-お
    よび-CH2O-よりなる群から選ばれる基であり、そして、
    1は、-CH3、-CF3、-C2H5および-C2F5よりなる群から
    選ばれるいずれかの基であり、qは4〜12のいずれか
    の整数である]。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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