JPH07316555A - 液晶材料、液晶組成物および液晶素子 - Google Patents

液晶材料、液晶組成物および液晶素子

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JPH07316555A
JPH07316555A JP6117270A JP11727094A JPH07316555A JP H07316555 A JPH07316555 A JP H07316555A JP 6117270 A JP6117270 A JP 6117270A JP 11727094 A JP11727094 A JP 11727094A JP H07316555 A JPH07316555 A JP H07316555A
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liquid crystal
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tetrahydro
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JP6117270A
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English (en)
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Tsuneaki Koike
池 恒 明 小
Chiho Tanaka
中 千 穂 田
Hideo Yamaoka
岡 英 雄 山
Shinichi Nishiyama
山 伸 一 西
Yuuichirou Tatsuki
木 悠一郎 達
Junichi Kawabata
端 潤 一 川
Toru Yamanaka
中 徹 山
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次式[I]で表わされる液晶材料; R-X-A1-
Y1-A2-COO-R* …[I]{式[I]中、Rは、アルキル基また
はポリフルオロアルキル基であり、XおよびY1は、特
定の結合基であり、A1は特定の環状基であり、A2はテ
トラリン環であり、かつR*は、次式[II]で表される
基を表す;-Q1-C*H(Q2)-Q3…[II](式[II]中、C*はこ
の基が光学活性を示すことを表し、かつQ3は炭素原子1
〜5個のアルキル基またはポリフルオロアルキル基であ
る)}。 【効果】 作動温度範囲が広く、スイッチング速度が大
きく、消費電力が極めて少ない等の利点を有する液晶素
子を形成し得る新規液晶材料を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、分子中にテトラリン骨格
を有するカルボン酸エステル化合物からなる新規な液晶
材料、これを含む液晶組成物、およびこれを用いた液晶
素子に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、広汎に使用されている液晶
化合物を用いた表示デバイスは、通常はTN(ツイスト
ネマチック)モードによって駆動されている。
【0003】しかしながら、この方式を採用した場合、
表示されている画像を変えるためには、素子中における
液晶化合物の分子の位置を変える必要があるために、駆
動時間が長くなり、液晶化合物の分子位置を変えるため
に必要とする電圧、すなわち消費電力も大きくなるとい
う問題点がある。
【0004】強誘電性液晶化合物を用いたスイッチング
素子は、TNモードあるいはSTNモードを利用したス
イッチング素子とは異なり、液晶化合物の分子の配向方
向を変えるだけでスイッチング素子として機能させるこ
とができるため、スイッチング時間が非常に短縮され
る。さらに、強誘電性液晶化合物のもつ自発分極(P
s)と電界強度(E)とにより与えられるPs×Eの値
は、液晶化合物の分子の配向方向を変えるための実効エ
ネルギー強度であるので、消費電力も非常に少なくな
る。そして、このような強誘電性液晶化合物は、印加電
界の方向によって二つの安定状態、すなわち双安定性を
持つので、スイッチングのしきい値特性も非常に良好で
あり、動画用の表示デバイスなどとして用いるのに特に
適している。
【0005】
【従来技術における問題点】このような強誘電性液晶化
合物を光スイッチング素子等に使用する場合、強誘電性
液晶化合物には、例えば動作温度範囲が常温付近あるい
はそれ以下にあること、動作温度幅が広いこと、スイッ
チング速度が大きい(速い)ことおよびスイッチングし
きい値電圧が適正な範囲内にあることなど多くの特性が
要求される。殊にこれらのうちでも、動作温度範囲は強
誘電性液晶化合物を実用化する際に特に重要な特性であ
る。
【0006】しかしながら、これまで知られている強誘
電性液晶化合物では、例えば、R.B.Meyer,et.al.,の論
文[ジャーナル・デ・フイジーク(J.de Phys.)36巻L-
69頁、1975年]、田口雅明、原田隆正の論文[第11回液
晶討論会予稿集168頁、1985年]に記載されているよう
に、一般に動作温度範囲が狭く、また動作温度範囲が広
い強誘電性液晶化合物であっても動作温度範囲が室温を
含まない高温度域であるなど、強誘電性液晶化合物とし
て実用上満足できるものは得られていない。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記したような従来技術に伴
う問題点を解決するためになされたものであり、カルボ
ン酸エステル化合物からなる新規液晶材料、これを含む
新規な液晶組成物、およびこれを用いた液晶素子を提供
することを目的としている。さらに詳しくは、本発明
は、作動温度範囲が広く、スイッチング速度が大きく、
消費電力が極めて少なく、しかも安定したコントラスト
が得られる液晶素子を形成し得る新規液晶材料、液晶組
成物、およびこれを用いた液晶素子を提供することを目
的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明の液晶材料は、次式[I]で表す
テトラリン骨格を有するカルボン酸エステル化合物から
なる。
【0009】 R−X−A1−Y1−A2−COO−R* …[I] ただし、上記式[I]において、Rは、炭素原子数3〜
20のアルキル基またはポリフルオロアルキル基であ
り、該基中の-CH2-基または-CF2-基の1部が-O-基で置
換されていてもよく、かつ、-O-基とXとが直接結合す
ること、または-O-基同士が直接結合することはなく、
Xは、-O-基または単結合のいずれか一方を表し、A
1は、
【0010】
【化9】
【0011】よりなる群から選ばれる基を表し、A
2は、
【0012】
【化10】
【0013】のいずれか一方の基を表し、Y1は、-COO
-、-CH2-CH2-、および-CH2O-よりなる群から選ばれる基
を表し、かつR*は、次式[II]で表される基を表す; −Q1−C*H(Q2)−Q3 …[II] (上記式[II]中、C*は不斉炭素を表し、この不斉炭
素を光学中心とした光学活性を示すことを表し、Q1
単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基またはオ
キサアルキレン基を表し、Q2は、CF3またはCH3を表
し、Q3は炭素原子1〜5個のアルキル基またはポリフ
ルオロアルキル基であって、前記基Q2と異なる基を表
す)。
【0014】本発明に係る液晶組成物は、上記式[I]
に示されるカルボン酸エステル化合物を含むことを特徴
とする。また、本発明に係る液晶素子は、隙間を設けて
互いに対抗する2枚の基板から構成されるセルと、前記
基板間の間隙に充填される液晶組成物とを有する液晶素
子であって、前記液晶組成物が、上記式[I]で示され
るカルボン酸エステル化合物を含有することを特徴とし
ている。
【0015】本発明に係る液晶材料、液晶組成物および
これを用いた液晶素子によれば、動作温度範囲が広く、
スイッチング速度が大きく、消費電力がきわめて少な
く、しかも安定したコントラストが得られるなどの優れ
た特性を有する各種デバイスを得ることができる。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る液晶材料、液
晶組成物および液晶素子を具体的に説明する。
【0017】本発明に係る液晶材料は、次式[I]で表
されるカルボン酸エステル化合物からなる。 R−X−A1−Y1−A2−COO−R* …[I] 上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアルキ
ル基またはポリフルオロアルキル基を表す。
【0018】ここで、Rがアルキル基である場合には、
このアルキル基は、直鎖状、分枝状および脂環状のいず
れの形態であってもよいが、Rが直鎖状のアルキル基で
あるカルボン酸エステル化合物の分子は、まっ直ぐに伸
びた剛直構造をとるため、優れた液晶性を示す。このよ
うな直鎖状のアルキル基の具体的な例としては、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデ
シル基およびオクタデシル基などを挙げることができ
る。
【0019】また、ポリフルオロアルキル基の例として
は、上記のようなアルキル基の水素原子の一部、もしく
はすべてが、F原子で置換された基を挙げることができ
る。さらに、本発明では、それらの基中に存在する-CH2
-基または-CF2-基の1部が-O-基で置換されていてもよ
く、この場合には、-O-基とXとが直接結合すること、
または-O-基同士が直接結合することはない。例えば、
アルキル基において、-CH2-あるいは-CF2-基が、-O-基
で置換された基の具体例としては、2-ヘキシルオキシエ
トキシ基、(2'-ブトキシ)-2-エトキシエトキシ基、3,6-
ジオキサー1ーデシル基およびノニルオキシメチル基など
を挙げることができる。
【0020】さらに、上記式[I]において、Xは、-O
-あるいは単結合よりなる群から選ばれる基あるいは結
合を表す。Y1は、-COO-、-CH2CH2-および-CH2O-よりな
る群から選ばれる基を表す。これらの内、本発明のエス
テルを液晶化合物として使用する場合、Y1は、-COO-、
-CH2CH2-および-CH2O-よりなる群から選ばれる基である
ことが好ましく、さらに、これらの内でも、-C00-が特
に好ましい。
【0021】A1は、以下の式で示される基から選択さ
れる基を表す。
【0022】
【化11】
【0023】また、A1は、好ましくは以下の式、
【0024】
【化12】
【0025】で表される基よりなる群から選ばれる基を
表す。さらに、A2は、
【0026】
【化13】
【0027】基を表す。即ち、A2は、このようなテト
ラリン骨格部分(テトラヒドロナフチル基)である。A
2が上記式の前者の基、即ち1,2,3,4-テトラヒドロナフ
チル基である場合には、そのさらに具体的な例として
は、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,5-ナフチル基、1,2,3,4-
テトラヒドロ-1,6-ナフチル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-
2,6-ナフチル基および1,2,3,4-テトラヒドロ-1,7-ナフ
チル基を挙げることができる。
【0028】特に本発明に用いられるカルボン酸エステ
ル化合物では、分子全体が直線状になることが好まし
く、このため1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基として
は、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,6-ナフチル基が特に好ま
しい。
【0029】また、A2が後者の基、即ち5,6,7,8-テト
ラヒドロナフチル基である場合には、同様の理由から、
5,6,7,8-テトラヒドロ-2,6-ナフチル基が特に好まし
い。また、式[I]において、R*は、不斉炭素を少な
くとも1個有する光学活性基であり、具体的には、次式
[II]で表される基である。
【0030】 −Q1−C*H(Q2)−Q3 …[II] 上記式[II]中、Q1は-(CH2)1-を表し、1は0〜6の
整数を表す。ただし、これらの基中に存在するCH2
は、-O-基により置き換えられていてもよく、かつ2個
以上のCH2基が-O-基により置き換えられる場合には、こ
の複数の-O-基は直接結合することはない。
【0031】またQ2は、CF3、CH3を表し、Q3はC原子
1〜5個を有するアルキル基またはポリフルオロアルキ
ル基を表す。ただし、Q3とQ2は、常に相互に異なる基
であり、両者が同一になることはない。
【0032】このような式[II]で表されるR*として
は、例えば、 -C*H(CF3)-C5H11、-C*H(CF3)-C4H9、-C*H(CF3)-C3H7、 -C*H(CH3)-C5H11、-C*H(CH3)-C4H9、-C*H(CH3)-C3H7 などを例示することができる。
【0033】これらの基のうち、本発明の液晶材料で
は、その液晶物質としての特性を考慮すると、以下に示
す基が好ましい。 -C*H(CF3)-C5H11、-C*H(CF3)-C4H9 以上説明したように、本発明に係る液晶材料は、上記式
[I]のテトラリン骨格を有するカルボン酸エステル化
合物(以下、テトラリン化合物と記すこともある)から
なり、このような、液晶材料としては、具体的には、次
表1に記載した化合物を挙げることができる。
【0034】なお、以下に記載する表において、R、R
*、A1、A2、XおよびY1は、上記式[I]式中の基で
あり、テトラリンの結合状態は、特に限定されない。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】
【表13】
【0048】
【表14】
【0049】
【表15】
【0050】
【表16】
【0051】
【表17】
【0052】
【表18】
【0053】上記のような本発明の液晶材料を構成する
カルボン酸エステル化合物は、公知の合成技術を組み合
わせて利用することにより製造することができる。例え
ば、上記のカルボン酸エステル化合物は、以下に示す合
成経路に従って合成することができる。
【0054】
【化14】
【0055】すなわち、例えば、6-アルコキシナフタレ
ン-2-カルボン酸と1,2-ジエトキシエタンとの混合物を
金属ナトリウムの存在下にイソアミルアルコールを滴下
しながら還流することにより、1,2,3,4-テトラヒドロ-6
-アルコキシナフタレン-2-カルボン酸を得る。
【0056】こうして得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6
-アルコキシナフタレン-2-カルボン酸を、酢酸および臭
化水素酸と反応させることにより、1,2,3,4-テトラヒド
ロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸を得る。
【0057】上記のようにして得られた1,2,3,4-テトラ
ヒドロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸と臭化ベ
ンジルとを水酸化カリウムの存在下に反応させることに
より1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジルオキシナフタレ
ン-2-カルボン酸を得る。
【0058】次いで、4-N,N-ジメチルアミノピリジンお
よび溶剤として塩化メチレンを用い、N,N'-ジシクロヘ
キシルカルボジイミド溶液を滴下しながら、不斉炭素を
有するアルコールと、上記工程で得られた1,2,3,4-テト
ラヒドロ-6-ベンジルオキシナフタレン-2-カルボン酸と
を反応させることにより1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベン
ジルオキシナフタレン-2-カルボン酸エステルを得る。
【0059】得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジ
ルオキシナフタレン-2-カルボン酸エステルを、テトラ
ヒドロフラン等の溶媒に投入し、パラジウム/炭素等の
還元触媒の存在下に水素ガスを用いて還元することによ
り、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-
カルボン酸エステルを得る。
【0060】次いで、4-N,N-ジメチルアミノピリジンお
よび溶剤として塩化メチレンを用い、N,N'-ジシクロヘ
キシルカルボジイミド溶液を滴下しながら、別途常法に
より合成した4-アルコキシビフェニル-4'-カルボン酸
と、上記工程で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒド
ロキシナフタレン-2-カルボン酸エステルを反応させる
ことにより本発明のテトラリン化合物を得ることができ
る。
【0061】なお、上記方法は、本発明で用いられるカ
ルボン酸エステル化合物の製造方法の一例であり、この
カルボン酸エステル化合物は、この製造方法によって限
定されるものではない。
【0062】以下、上述したような方法で製造できる本
発明のテトラリン化合物の具体例を、その構造式ととも
に示す。下記構造式中、水素原子に付された番号は、図
示された1H−NMRチャートの各ピークに付された番
号と対応している。また、(e)はエカトリアル、
(a)はアキシャルの立体配座を示す。
【0063】6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニル)カル
ボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカ
ルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステル
[例示化合物(4)、1H−NMRチャート:図1参
照]
【0064】
【化15】
【0065】6-[(4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェニル)
カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレ
ンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエス
テル[例示化合物(5)、1H−NMRチャート:図2
参照]
【0066】
【化16】
【0067】6-[(4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニル)カ
ルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレン
カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステ
ル[例示化合物(6)、1H−NMRチャート:図3参
照]
【0068】
【化17】
【0069】6-[(4'-ドデシル-4-ビフェニル)カルボニ
ルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボ
ン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステル[例
示化合物(14)、1H−NMRチャート:図4参照]
【0070】
【化18】
【0071】6-[(4'-オクチルオキシ-4-ビフェニル)カ
ルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレン
カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステ
ル[例示化合物(18)、1H−NMRチャート:図5
参照]
【0072】
【化19】
【0073】6-[(4'-ノニルオキシ-4-ビフェニル)カル
ボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカ
ルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル
[例示化合物(19)、1H−NMRチャート:図6参
照]
【0074】
【化20】
【0075】6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニル)カル
ボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカ
ルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル
[例示化合物(20)、1H−NMRチャート:図7参
照]
【0076】
【化21】
【0077】6-[(4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェニル)
カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレ
ンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエス
テル[例示化合物(21)、1H−NMRチャート:図
8参照]
【0078】
【化22】
【0079】6-[(4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニル)カ
ルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレン
カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステ
ル[例示化合物(22)、1H−NMRチャート:図9
参照]
【0080】
【化23】
【0081】6-[(4'-ノニル-4-ビフェニル)カルボニル
オキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン
酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示
化合物(27)、1H−NMRチャート:図10参照]
【0082】
【化24】
【0083】6-[(4'-ウンデシル-4-ビフェニル)カルボ
ニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカル
ボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル
[例示化合物(29)、1H−NMRチャート:図11
参照]
【0084】
【化25】
【0085】6-[(4'-ドデシル-4-ビフェニル)カルボニ
ルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボ
ン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル[例
示化合物(30)、1H−NMRチャート:図12参
照]
【0086】
【化26】
【0087】6-[(4'-テトラデシル-4-ビフェニル)カル
ボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカ
ルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル
[例示化合物(31)、1H−NMRチャート:図13
参照]
【0088】
【化27】
【0089】上記のようにして得られた式[I]で表さ
れるカルボン酸エステル化合物からなる液晶材料は、強
誘電性液晶化合物または反強誘電性液晶化合物として使
用することができる。
【0090】そして、このような液晶材料の内、次式
[4]、[5]、[6]、[14]、[18]、[1
9]、[20]、[21]、[22]、[27]、[2
9]、[30]、[31]でそれぞれ表される化合物が
特に優れた液晶特性を示す。
【0091】
【化28】
【0092】このように液晶化合物として特に優れてい
る、式[4]、[5]、[6]、[14]、[18]、
[19]、[20]、[21]、[22]、[27]、
[29]、[30]、[31]でそれぞれ表される化合
物の相転移温度を表2に示す。なお、以下に示す表2に
おいて、Crystは結晶相を、SmCA*は反強誘電相
を、SmC*は強誘電相を、SmAはスメクチックA相
を、そして、Isoは等方性液体を表す。
【0093】
【表19】
【0094】本発明の液晶材料は、表2に示したよう
に、広い温度範囲で、スメクチック相を呈する化合物が
多い。従来、液晶化合物を単独で使用した場合に、上記
の化合物のように広い温度範囲でスメクチック相を呈す
る液晶化合物はほとんど知られていない。
【0095】そして、本発明の液晶材料は、スメクチッ
ク相を示す温度が広いだけでなく、これを用いて製造さ
れた光スイッチング素子は、高速応答性にも優れてい
る。本発明の液晶材料は単独で使用することもできる
が、他の液晶材料と混合することにより液晶組成物とし
て使用することもできる。例えば、本発明の液晶材料
は、反強誘電性液晶組成物の主剤あるいは他のスメクチ
ック相を呈する化合物を主剤とする液晶組成物の助剤と
して使用することができる。すなわち、本発明のカルボ
ン酸エステル化合物の内、スメクチック相を呈する化合
物は、液晶組成物の主剤として、あるいは他の液晶材料
を主剤とする液晶組成物の助剤として使用することがで
き、またスメクチック相を示さない化合物は、他の液晶
材料を主剤とする液晶組成物の助剤として使用すること
ができる。
【0096】本発明において式[I]で表される化合物
と共に使用することができる液晶化合物の例としては、
【0097】
【化29】
【0098】のような液晶化合物の他、
【0099】
【化30】
【0100】あるいは
【0101】
【化31】
【0102】のような環状構造を有するとともに光学活
性を有する化合物を挙げることができる。さらに、
【0103】
【化32】
【0104】のようなシッフ塩基系液晶化合物、
【0105】
【化33】
【0106】のようなアゾキシ系液晶化合物、
【0107】
【化34】
【0108】のような安息香酸エステル系液晶化合物、
【0109】
【化35】
【0110】のようなシクロヘキシルカルボン酸エステ
ル系液晶化合物、
【0111】
【化36】
【0112】のようなビフェニル系液晶化合物、
【0113】
【化37】
【0114】のようなターフェノール系液晶化合物、
【0115】
【化38】
【0116】のようなシクロヘキシル系液晶化合物、お
よび
【0117】
【化39】
【0118】のようなピリミジン系液晶化合物を挙げる
ことができる。特に式[I]で表される化合物と共に使
用できる液晶化合物の内で好ましい例としては、
【0119】
【化40】
【0120】あるいは
【0121】
【化41】
【0122】本発明の液晶組成物は上記式[I]で表さ
れる液晶材料および上記例示した化合物をはじめとする
他の化合物を含有している。この液晶組成物中に、式
[I]で表されるテトラリン化合物の配合割合は、得ら
れる液晶組成物の特性等を考慮して任意に配合すること
ができる。本発明の組成物は、この組成物中における液
晶性成分の総量100重量部中に、上記式[I]で表さ
れるテトラリン化合物をその合計量が、通常は1〜99
重量部、好ましくは5〜75重量部の範囲内になる量で
含有している。
【0123】この液晶組成物中には、本発明の液晶材料
に加えて、さらに、例えば電導性賦与剤および寿命向上
剤等、通常の液晶組成物に配合される添加剤が配合され
ていてもよい。
【0124】本発明で使用される液晶組成物は、上記の
ようなテトラリン化合物ならびに所望により他の液晶材
料および添加剤を混合することにより製造することがで
きる。
【0125】上述した液晶材料を含有する液晶組成物
(液晶物質)は、電圧を印加することにより、光スイッ
チング現象を起こすので、この現象を利用して応答性の
良い表示装置を作成することができる。本発明におい
て、このような現象を利用した素子あるいは素子の駆動
方法に関しては、例えば特開昭56-107216号および同59-
118744号公報を参照することができる。
【0126】このような表示装置で使用される液晶物質
としては、スメクチックC相、F相、G相、H相、I
相、J相およびK相のいずれかの相を示す化合物を使用
することができるが、スメクチックC相以外では、この
ような液晶物質を用いた表示素子の応答速度が一般に遅
くなる(低くなる)ため、従来から、実用上は、応答速
度の高いスメクチックC相で駆動させることが有効であ
るとされていた。
【0127】しかしながら、本発明者が特開平2-918号
公報で既に提案したようなスメクチックA相における表
示装置の駆動方法を利用することにより、本発明におい
てはスメクチックC相だけでなく、スメクチックA相で
使用することもできる。すなわち、この駆動方法を利用
することにより、本発明の液晶素子を広い範囲で駆動さ
せることができるようになると共に、電気光学応答性の
高速化を図ることができる。
【0128】本発明の液晶素子は、液晶物質が充填され
たセルと偏光板とからなる。すなわち、本発明の液晶素
子は、例えば、図9に示すように、液晶物質を充填する
間隙14を形成するように配置された二枚の透明基板11a,
11bと、この二枚の透明基板11a,11bの液晶物質12に対面
する面に形成された透明電極15a,15bとからなるセル13
と、このセル13の間隙14に充填された液晶物質12および
このセル13の両外側に一枚ずつ配置された偏光板(図示
なし)から形成されている。
【0129】本発明において、透明基板としては、例え
ば、ガラスおよび透明高分子板等を用いることができ
る。透明基板の厚さは、例えばガラス基板の場合には通
常は0.01〜1.0mmの範囲内にある。
【0130】また、本発明においては、透明基板とし
て、可撓性透明基板を用いることもできる。この場合、
透明基板の少なくとも一方の基板として可撓性透明基板
を用いることができ、さらに両者とも可撓性基板であっ
てもよい。このような可撓性透明基板としては、高分子
フィルム等を用いることができる。
【0131】このような透明基板の表面には透明電極が
設けられている。透明電極は、例えば酸化インジウムあ
るいは酸化スズ等で透明基板表面をコーティングするこ
とにより形成される。透明電極の厚さは通常は100〜
2000オングストロームの範囲内にある。
【0132】このような透明電極が設けられた透明基板
には、さらに透明電極上に配向層あるいは強誘電体層が
設けられていてもよい。配向層としては、例えば有機シ
ランカップリング剤あるいはカルボン酸多核錯体等を化
学吸着させることにより形成される有機薄膜および無機
薄膜を挙げることができる。有機薄膜の例としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリビニルアルコール(ポバール)およびポリイミ
ドのような高分子薄膜を挙げることができる。
【0133】また、無機薄膜の例としては、酸化珪素、
酸化ゲルマニウムおよびアルミナ等の酸化物薄膜、窒化
珪素のような窒化物薄膜並びに他の半導体薄膜を挙げる
ことができる。
【0134】さらに、上記のような薄膜に配向性を賦与
する方法には、膜成形時に薄膜自体に異方性あるいは形
状特異性を賦与する方法、薄膜作成後に外部から配向性
を賦与する方法がある。具体的には、透明電極上にポリ
イミド樹脂等の高分子物質を塗布して薄膜を形成した
後、この薄膜を一定方向にラビングする方法、高分子フ
ィルムを延伸して配向性を賦与する方法、酸化物を斜方
蒸着する方法等を挙げることができる。
【0135】上記のような透明基板を、それぞれの透明
電極が対面し、そしてこの透明基板により液晶物質を充
填する間隙が形成されるように二枚配置する。上記のよ
うにして形成される間隙の幅は、通常は1〜10μm、
好ましくは1〜5μmである。このような間隙は、例え
ば、スペーサを挟持するように二枚の基板を配置するこ
とにより形成することができる。このようなスペーサと
しては、例えば、感光性ポリイミド前駆体をパターニン
グして得られるポリイミド系高分子物質等を用いること
ができる。スペーサを用いることにより、このスペーサ
と液晶物質との界面効果によってモノドメインが形成さ
れる。
【0136】また、図10に示すように、上記のような
スペーサの他に、液晶物質43中にファイバー46を配合し
て、このファイバーにより、透明電極45が付設された透
明基板47が一定の間隙を形成するように保持することも
できる。
【0137】さらに、上記ファイバーの代わりに、ある
いは上記ファイバーと共に粒状物を配合することもでき
る。このような粒状物としては、メラミン樹脂、尿素樹
脂あるいはベンゾグアナミン樹脂等からなる粒子径が1
〜10μmの粒状物を挙げることができる。
【0138】上記のようにして間隙を形成して配置され
た二枚の透明基板は、通常は周辺をシール材でシールす
ることにより貼り合わされる。シール材としては、エポ
キシ系樹脂およびシリコン系樹脂等を用いることができ
る。このエポキシ樹脂等はアクリル系材料あるいはシリ
コン系ゴム等で変性されていてもよい。
【0139】上記のような構成を有する液晶セルの間隙
には、上述したような式[I]で表される化合物を含む
液晶物質が充填されている。液晶セルの間隙に充填され
たこのような液晶物質は、たとえばスペーサエッジを利
用した温度勾配法あるいは配向膜を用いた表面処理法等
の一軸配向制御方法を利用して配向させることができ
る。また、本発明においては、例えば、液晶物質を加熱
しながら、直流バイアス電圧を用いて電界を印加するこ
とにより、液晶物質の初期配向を行うこともできる。
【0140】このようにして液晶物質が充填され、初期
配向された液晶セルは、二枚の偏光板の間に配置され
る。さらに図11に示すように、上記のようにして調製
された二枚の透明基板57、透明電極55および液晶物質53
からなるセル58を、この二枚の偏光板56の間に二個以上
配置することもできる。
【0141】本発明の液晶素子において、それぞれの偏
光板の偏光面のなす角度(回転角)が70〜110度に
なるように配置することができる。そして、この二枚の
偏光板の偏光方向が直交するように、すなわち上記角度
が90度になるように偏光板を配置することが好まし
い。
【0142】このような偏光板としては、例えばポリビ
ニルアルコール樹脂フィルム、ポリビニルブチラール樹
脂フィルム等の樹脂フィルムをヨウ素等の存在下で延伸
することによりフィルム中にヨウ素を吸収させて偏光性
を賦与した偏光フィルムを用いることができる。このよ
うな偏光フィルムは、他の樹脂等で表面を被覆して多層
構造にすることもできる。
【0143】本発明において、上記のような液晶セル
は、上記のように配置された偏光板の間に、透過する光
量が最も少ない状態(すなわち、最暗状態)から±10
度の範囲内の角度(回転角度)を形成するように、好ま
しくは最暗状態になるように二枚の偏光板の間に配置す
ることができる。さらに、上記のように配置された偏光
板の間に、透過する光量が最も多い状態(すなわち、最
明状態)から±10度の範囲内の角度(回転角度)を形
成するように、好ましくは最明状態になるように二枚の
偏光板の間に配置することができる。
【0144】本発明の液晶素子は、例えば図9に示すよ
うに、上記のような液晶物質15をセル13の間隙14に充填
して、この液晶物質15を初期配向させることにより製造
することができる。
【0145】液晶物質15は、通常、溶融状態になるまで
加熱され、この状態で内部が減圧にされているセルの間
隙14に充填(注入)される。このように液晶物質を充填
した後、セル13に設けられている液晶物質の注入口は密
封される。
【0146】次いで、このように注入口が密封されたセ
ル13をセル内に充填された液晶物質15が等方相を示す温
度以上の温度に加熱し、その後、この液晶物質15が液晶
を示す温度にまで冷却する。
【0147】そして、本発明においては、この冷却の際
の降温速度を2℃/分以下にすることが好ましい。特に
降温速度を0.1〜2.0℃/分の範囲内にすることが好
ましく、さらに0.1〜0.5℃/分の範囲内にすること
が特に好ましい。このような冷却速度でセル13を冷却す
ることにより、液晶物質15の初期配合状態が改善され、
配向欠陥の少ないモノドメインからなる液晶相を有する
液晶素子を容易に形成することができる。ここで初期配
向性とは、液晶素子に電圧の印加等を行って液晶物質の
配向ベクトルを変える前の液晶物質の配列状態をいう。
【0148】このようにして形成される本発明の液晶素
子は、従来の液晶素子と比較して、コントラスト等の特
性が著しく優れ、例えば表面安定化強誘電性液晶素子、
ヘリカル変調素子、過度散乱型素子、ゲストホスト型素
子、垂直配向液晶素子等として好適に使用することがで
きる。
【0149】例えば、本発明の液晶素子に、電界を印加
することによりこの液晶素子を駆動させる場合には、周
波数が通常は1Hz〜100KHz、好ましくは10H
z〜10KHz、電界が通常は0.01〜60Vp-p/μ
mt(厚さ1μm当たりの電圧)、好ましくは0.05〜3
0Vp-p/μmtに制御された電界をかけることにより駆
動させることができる。
【0150】そして、前記式[I]で表されるテトラリ
ン化合物を使用した本発明の液晶素子は、電界を印加し
て駆動する際に印加する電界の波形(駆動波)の幅を変
えることにより、この液晶素子を透過する光量が2種類
のヒステリシス曲線を描くようになる。このうち一方
は、いわゆる双安定型を利用する駆動方法であり、もう
一方は、いわゆる三安定型を利用する駆動方法である。
【0151】上記のような光学活性を有する液晶材料が
充填された液晶セルを、偏光面が直交するように配置さ
れた二枚の偏光板の間に、電界を印加しない状態で最暗
状態になるように配置した本発明の液晶素子に、例えば
周波数50Hz〜100KHz、好ましくは70Hz〜
10KHzの矩形波(あるいはパルス波)、三角波、正
弦波およびこれらを組み合わせた波形の内のいずれかの
波形の電界を印加することによりこの液晶素子を駆動さ
せることができる。例えば、矩形波(あるいはパルスま
たは両者の組み合わせ波)を印加する場合には、電界の
幅を10ミリ秒以下、好ましくは0.01〜10ミリ秒
の範囲内にすることにより、液晶素子の駆動速度を高く
することができ、この領域では本発明の液晶素子を双安
定型液晶素子として使用することができる。また、この
電界の幅を10ミリ秒より大きくすることにより、好ま
しくは33〜1000ミリ秒の範囲内にすることによ
り、それほど高速で駆動することが必要でない領域で、
本発明の液晶素子を三安定型液晶素子として使用するこ
とができる。ここで、電界の幅とは、例えば矩形波で
は、所定の電圧に維持される電界の長さ(すなわち時
間)を意味する。
【0152】本発明の液晶素子を用いて各種の液晶表示
装置および電気光学表示装置を製造することができる。
また、本発明の液晶素子の内、スメクチック相を呈する
液晶物質が充填された液晶素子は、熱書き込み型液晶表
示素子、レーザー書き込み型液晶表示素子等の記憶型液
晶表示装置のような液晶表示装置あるいは電気光学表示
装置を製造することができる。さらに、強誘電性を示
し、かつテトラリン環および鎖状部に光学活性炭素を有
する液晶材料を用いることにより、上記のような用途の
他、光シャッターあるいは液晶プリンター等の光スイッ
チング素子、圧電素子および焦電素子のような液晶表示
装置(あるいは電気光学表示装置)を製造することがで
きる。
【0153】すなわち、本発明で使用される液晶物質
は、三安定または双安定性を示すため、双安定状態を達
成するように電界を反転することにより、本発明の液晶
素子に光スイッチング機能あるいは表示機能をもたせる
ことができる。
【0154】また、上記の液晶物質が双安定を示す場
合、この液晶物質は自発分極を有するから、本発明の液
晶素子は一度電圧を印加すると電界消去後もメモリー効
果を有する。そして、このメモリーを維持するために液
晶素子に電界を印加し続ける必要がなく、本発明の液晶
素子を用いた表示装置では消費電力の低減を図ることが
できる。また、三安定を示す場合もメモリー性を維持す
ることができる。しかもこの表示装置は、安定したコン
トラストを有しているので非常に鮮明である。
【0155】さらに、前記式[I]で表されるテトラリ
ン化合物を用いた本発明のスイッチング素子では、分子
の配向方向を変えるだけでスイッチング操作が可能にな
り、この場合、電界強度の一次項がこのスイッチング素
子の駆動に作用するため、スイッチング素子では低電圧
駆動が可能になる。
【0156】そして、このスイッチング素子を用いるこ
とにより、数十μ秒以下の高速応答性を実現することが
できるので、素子の操作時間は大幅に短縮される。従っ
て、本発明の液晶素子を用いることにより走査線の多い
大画面のディスプレイ(液晶表示装置)を容易に製造す
ることができる。しかも、このディスプレイは、室温あ
るいはそれ以下の温度で駆動させることができるので、
駆動温度をコントロールするための補助手段を用いるこ
となくこのディスプレイを駆動させることができる。
【0157】さらに、本発明で使用されるテトラリン化
合物は、一般には双安定性を示さないとされているスメ
クチックA相においても、電界が印加されると誘起的に
分子が傾くので、この性質を利用して光スイッチングを
行うことできる。すなわち、従来強誘電性液晶化合物を
用いる場合には実用的な応答速度を達成できないため、
通常は使用されていなかったスメクチックA相において
も、本発明者が既に特開昭64-3634号および特開平2-918
号で提案した駆動法および装置を利用することにより、
本発明の液晶素子を用いた表示装置を駆動させることが
可能である。さらに、本発明で使用されるテトラリン化
合物は、スメクチックC相よりもさらに高い秩序を有す
るスメクチックF相等においても、二つ以上の安定状態
を示すので、これらの相における複数の安定状態を利用
して上記と同様にして光スイッチングを行うことができ
る。
【0158】本発明の液晶素子を用いた表示装置は、種
々の方法で駆動させることができるが、この駆動方法の
具体的な例としては以下に記載する方法を挙げることが
できる。
【0159】第1の方法は、本発明の液晶素子を二枚の
偏光板の間に介在させ、この液晶素子に外部電圧を印加
し、液晶物質の配向ベクトルを変えることにより、二枚
の偏光板と液晶物質の複屈折とを利用して表示を行う方
法である。
【0160】第2の方法は、二色性色素が配合された液
晶物質を用いて色素の二色性を利用する方法である。こ
の方法は液晶化合物の配向方向を変えることにより色素
による光の吸収波長を変えて表示を行う方法である。こ
の場合に使用される色素は、通常は二色性色素であり、
このような二色性色素の例としては、アゾ色素、ナフト
キノン色素、シアニン系色素およびアントラキノン系色
素等を挙げることができる。
【0161】本発明の液晶素子を用いて製造される表示
デバイスは、スタチィック駆動、単純マトリックス駆動
および複合マトリックス駆動等の電気アドレス表示方
式、光アドレス表示方式、熱アドレス表示方式並びに光
ビーム表示方式により駆動させることができる。
【0162】また、本発明の表示装置を電界駆動する際
には各画素を駆動させるための素子として、非線形素子
あるいは能動素子を用いることができる。より具体的に
は、2端子素子の非線形素子としては、例えば図14
(a)に示すように一方の透明基板上にバリスタ、MIM
(Metal Insulator Metal)、ダイオード等を配置して、
これらの非線形性を利用した素子を挙げることができ
る。また、3端子素子の能動素子としては、例えば図1
4(b)に示すように、TFT(薄膜トランジスタ)、S
i-MOS(Si-metal oxide semi conductor field-eff
ect transistor)およびSOS(Sillicon on Sapphir
e)等が画素に配置された素子を挙げることができる。
【0163】
【発明の効果】本発明によりテトラリン化合物を用いた
新規な液晶材料が提供される。このテトラリン化合物
は、光学的に活性であり、しかも室温を含む広範な温度
範囲においてスメクチック相を示し、また強誘電性液晶
材料あるいは反強誘電性液晶材料として使用することも
できる。
【0164】このような本発明の液晶材料に、同種およ
び/または他種の液晶物質を配合することにより、本発
明の液晶材料の強誘電性あるいは反強誘電性を損なうこ
となく、液晶を使用できる温度範囲を広域化することが
できる。
【0165】従って、このような液晶材料を用いること
により、広い温度範囲において高速応答性を有する液晶
素子等を得ることができる。さらに、このような素子を
用いて製造した液晶ディスプレイでは、操作時間を大幅
に短縮することができる。このようなディスプレイで
は、消費電力の低減を図ることができると共に、高いコ
ントラスト、安定したコントラストが得られる。また、
低電圧駆動も可能である。
【0166】また、本発明のテトラリン化合物を反強誘
電性液晶化合物として使用する場合、メモリー性の実現
が容易になり、配向性を向上させる等の特性を付与する
ことができる。
【0167】このような本発明の液晶材料を用いること
により、動作温度範囲が広く、スイッチング速度が大き
く、消費電力がきわめて少なく、しかも安定したコント
ラストが得られる等の優れた特性を有する各種デバイス
を得ることができる。
【0168】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。なおR、Sは光
学活性体のR体、S体を表わす。
【0169】
【実施例1】 6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]
-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1
-トリフルオロメチルヘキシルエステル[例示化合物
(4)]の合成
【0170】
【化42】
【0171】第1段階 6-デシルオキシナフタレン-2-カルボン酸3.86g(1
1.8ミリモル)および1,2-ジエトキシエタン130mlの
混合物に、窒素雰囲気下、120℃で攪拌下に金属ナト
リウム3.0g(130ミリグラム原子)を加え、さらに還
流温度にまで加熱した。
【0172】この混合物にイソアミルアルコール10g
(114ミリモル)を1時間かけて滴下し、さらに11時
間還流下に反応させた。室温に冷却後、残存する金属ナ
トリウムをエタノールを加えて分解した後、反応混合物
を20%塩酸を用いて、酸性にした。
【0173】この反応混合物に水100mlを加えた後、
有機相を分離し、さらにこの有機相を水洗した。有機相
を減圧下に濃縮して固体4.25gを得た。この固体
を、トルエンにて再結晶処理することにより、1,2,3,4-
テトラヒドロ-6-デシルオキシナフタレン-2-カルボン
酸、2.95g(8.89ミリモル)を得た。
【0174】第2段階 第1段階の方法で得られた6-デシルオキシナフタレン-2
-カルボン酸16.6g(50ミリモル)、酢酸250mlお
よび47%臭化水素酸86.5g(0.5モル)を130℃
で7時間加熱還流した。反応混合物に蒸留水を添加した
後、減圧下に濃縮することにより、1,2,3,4-テトラヒド
ロ-6-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸10.60g
(50ミリモル)を得た。
【0175】第3段階 第2段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキ
シナフタレン-2-カルボン酸10.60g(50ミリモ
ル)、臭化ベンジル12.85g(75ミリモル)、85
%水酸化カリウム6.6g(100ミリモル)、ヨウ化ナト
リウム0.525g(3.5ミリモル)、エタノール200
ml、蒸留水25mlの混合物を100℃で12時間加熱還
流した。さらに10%水酸化カリウム50mlを添加し2
時間加熱還流を続けた。室温まで放冷後冷水中に加え、
反応混合物を、36%塩酸にて酸性にした。析出物を濾
過により分別し、これをトルエンにて再結晶処理するこ
とにより、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジルオキシナ
フタレン-2-カルボン酸13.08g(46.4ミリモル)を
得た。
【0176】第4段階 第3段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジル
オキシナフタレン-2-カルボン酸0.85g(3.0ミリモ
ル)、(R)-1-トリフルオロメチルヘキサノール0.51
g(3.0ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.
04g(0.3ミリモル)および塩化メチレン10mlの混
合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.74
g(3.6ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、室
温で、攪拌下に1.5時間かけて滴下した。
【0177】さらに室温下で15時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
白色固体である1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジルオキ
シナフタレン-2-カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチル
ヘキシルエステル1.11g(2.6ミリモル)を得た。
【0178】第5段階 第4段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジル
オキシナフタレン-2-カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメ
チルヘキシルエステル1.11g(2.6ミリモル)、5%
パラジウム/炭素0.22gおよびテトラヒドロフラン
10mlの混合物中に、室温で、常圧攪拌下に水素を16
時間吹き込んだ。反応混合物を濾過助剤であるセライト
を用いて濾過し、さらに得られた濾液を濃縮し、白色固
体である1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシナフタレ
ン-2-カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエ
ステル0.89g(2.6ミリモル)を得た。
【0179】第6段階 4'ーデシルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.36g
(1ミリモル)、第3段階で得られた1,2,3,4-テトラヒ
ドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-ト
リフルオロメチルヘキシルエステル0.35g(1ミリ
モル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.012g
(0.1ミリモル)および塩化メチレン10mlの混合物
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25g
(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、室温
で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0180】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.52gを得た。
【0181】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=680であった。図1にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-デシルオキシ-4-
ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-
2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘ
キシルエステル[上記例示化合物(4)]であると同定
した。
【0182】
【実施例2】 6-[(4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオ
キシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸
(R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステル[例示化合
物(5)]の合成
【0183】
【化43】
【0184】第1段階 4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.37
g(1ミリモル)、実施例1の第5段階で得られた1,2,
3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン
酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステル0.35
g(1ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.
012g(0.1ミリモル)および塩化メチレン15mlの
混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.2
5g(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、
室温で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0185】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.50gを得た。
【0186】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=694であった。図2にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-ウンデシルオキ
シ-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒ
ドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチ
ルヘキシルエステル[上記例示化合物(5)]であると
同定した。
【0187】
【実施例3】 6-[(4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオキ
シ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸
(R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステル[例示化合
物(6)]の合成
【0188】
【化44】
【0189】第1段階 4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.25g
(0.65ミリモル)、実施例1の第5段階で得られた1,2,
3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン
酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステル0.22
g(0.6ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.
007g(0.06ミリモル)および塩化メチレン10mlの
混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.1
5g(0.7ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、
室温で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0190】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.29gを得た。
【0191】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=708であった。図3にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-ドデシルオキシ-
4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒド
ロ-2-ナフタレンカルボン酸(R)-1-トリフルオロメチル
ヘキシルエステル[上記例示化合物(6)]であると同
定した。
【0192】
【実施例4】 6-[(4'-ドデシル-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,
2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-ト
リフルオロメチルヘキシルエステル[例示化合物(1
4)]の合成
【0193】
【化45】
【0194】第1段階 4'-ドデシル-4-ビフェニルカルボン酸0.25g(0.67
ミリモル、帝国化学産業株式会社製)、実施例1の第5
段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-
ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキ
シルエステル0.34g(1ミリモル)、4-N,N-ジメチ
ルアミノピリジン0.012g(0.1ミリモル)および塩
化メチレン10mlの混合物に、N,N'-ジシクロヘキシル
カルボジイミド0.25g(1.2ミリモル)を含む塩化メ
チレン溶液5mlを、室温で、攪拌下に2時間かけて滴下
した。
【0195】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.40gを得た。
【0196】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=692であった。図4にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-ドデシル-4-ビフ
ェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナ
フタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシ
ルエステル[上記例示化合物(14)]であると同定し
た。
【0197】
【実施例5】 6-[(4'-オクチルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオキ
シ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸
(R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合
物(18)]の合成
【0198】
【化46】
【0199】第1段階 実施例1の第3段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6
-ベンジルオキシナフタレン-2-カルボン酸0.85g
(3.0ミリモル)、(R)-1-トリフルオロメチルペンタノ
ール0.47g(3.0ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノ
ピリジン0.04g(0.3ミリモル)および塩化メチレン
10mlの混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド0.47g(3.6ミリモル)を含む塩化メチレン溶液
5mlを、室温で、攪拌下に1.5時間かけて滴下した。
【0200】さらに室温下で17時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
白色固体である1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジルオキ
シナフタレン-2-カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチル
ペンチルエステル1.08g(2.6ミリモル)を得た。
【0201】第2段階 第1段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ベンジル
オキシナフタレン-2-カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメ
チルペンチルエステル1.08g(2.6ミリモル)、5%
パラジウム/炭素0.22gおよびテトラヒドロフラン
10mlの混合物に、室温で、常圧攪拌下に水素を16時
間吹き込んだ。反応混合物を濾過助剤であるセライトを
用いて濾過し、さらに得られた濾液を濃縮し、白色固体
である1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシナフタレン-
2-カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエス
テル0.91g(2.74ミリモル)を得た。
【0202】第3段階 4'-オクチルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.36g
(1.1ミリモル)、第2段階で得られた1,2,3,4-テトラ
ヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-
トリフルオロメチルペンチルエステル0.33g(1.1ミ
リモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.012g
(0.1ミリモル)および塩化メチレン10mlの混合物
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25g
(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、室温
で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0203】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.51gを得た。
【0204】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=638であった。図5にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-オクチルオキシ-
4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒド
ロ-2-ナフタレンカルボン酸(R)-1-トリフルオロメチル
ペンチルエステル[上記例示化合物(18)]であると
同定した。
【0205】
【実施例6】 6-[(4'-ノニルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]
-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1
-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合物
(19)]の合成
【0206】
【化47】
【0207】第1段階 4'-ノニルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.346g
(1.0ミリモル)、実施例5の第2段階で得られた1,2,
3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン
酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル0.33
g(1.1ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.
012g(0.1ミリモル)および塩化メチレン10mlの
混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.2
5g(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、
室温で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0208】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.387gを得た。
【0209】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=652であった。図6にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-ノニルオキシ-4-
ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-
2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペ
ンチルエステル[上記例示化合物(19)]であると同
定した。
【0210】
【実施例7】 6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]
-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1
-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合物
(20)]の合成
【0211】
【化48】
【0212】第1段階 4'-デシルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.36g
(1ミリモル)、実施例5の第2段階で得られた1,2,3,
4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸
(R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル0.33g
(1ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.0
12g(0.1ミリモル)および塩化メチレン10mlの混
合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25
g(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、室
温で、攪拌下に2時間かけて滴下した。 さらに室温下
で48時間反応させた。
【0213】反応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮
した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離
することにより、無色の半固体0.51gを得た。この
半固体のFD−マススペクトルの値はM/e=666で
あった。
【0214】図7にこの化合物の1H−NMRスペクト
ルのチャートを示す。これらの分析の結果より、この化
合物は目的とする6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニル)
カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレ
ンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエス
テル[上記例示化合物(20)]であると同定した。
【0215】
【実施例8】 6-[(4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオ
キシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸
(R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合
物(21)]の合成
【0216】
【化49】
【0217】第1段階 4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.40
g(1.1ミリモル)、実施例5の第2段階で得られた1,
2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボ
ン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル0.3
3g(1.1ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン
0.012g(0.1ミリモル)および塩化メチレン10ml
の混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.
25g(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5ml
を、室温で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0218】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.387gを得た。
【0219】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=680であった。図8にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-ウンデシルオキ
シ-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒ
ドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチ
ルペンチルエステル[上記例示化合物(21)]である
と同定した。
【0220】
【実施例9】 6-[(4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニル)カルボニルオキ
シ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸
(R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合
物(22)]の合成
【0221】
【化50】
【0222】第1段階 4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニルカルボン酸0.23g
(0.6ミリモル)、実施例5の第2段階で得られた1,2,
3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン
酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステル0.19
g(0.6ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.
007g(0.06ミリモル)および塩化メチレン10mlの
混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.1
5g(0.7ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、
室温で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0223】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.31gを得た。
【0224】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=694であった。図9にこの化合物の1H−N
MRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結果
より、この化合物は目的とする6-[(4'-ドデシルオキシ-
4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒド
ロ-2-ナフタレンカルボン酸(R)-1-トリフルオロメチル
ペンチルエステル[上記例示化合物(22)]であると
同定した。
【0225】
【実施例10】 6-[(4'-ノニル-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,
3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリ
フルオロメチルペンチルエステル[例示化合物(2
7)]の合成
【0226】
【化51】
【0227】第1段階 4'-ノニル-4-ビフェニルカルボン酸0.324g(1.0ミ
リモル)、実施例5の第2段階で得られた1,2,3,4-テト
ラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1
-トリフルオロメチルペンチルエステル0.33g(1.1
ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.012
g(0.1ミリモル)および塩化メチレン10mlの混合物
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25g
(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、室温
で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0228】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.53gを得た。
【0229】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=636であった。図10にこの化合物の1H−
NMRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結
果より、この化合物は目的とする6-[(4'-ノニル-4-ビフ
ェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナ
フタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチ
ルエステル[上記例示化合物(27)]であると同定し
た。
【0230】
【実施例11】 6-[(4'-ウンデシル-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-
1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-
トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合物(2
9)]の合成
【0231】
【化52】
【0232】第1段階 4'-ウンデシル-4-ビフェニルカルボン酸0.36g(1.0
ミリモル)、実施例5の第2段階で得られた1,2,3,4-テ
トラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)
-1-トリフルオロメチルペンチルエステル0.33g(1.
1ミリモル)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン0.012
g(0.1ミリモル)および塩化メチレン10mlの混合物
に、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25g
(1.2ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5mlを、室温
で、攪拌下に2時間かけて滴下した。
【0233】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.56gを得た。
【0234】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=664であった。図11にこの化合物の1H−
NMRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結
果より、この化合物は目的とする6-[(4'-ウンデシル-4-
ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-
2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペ
ンチルエステル[上記例示化合物(29)]であると同
定した。
【0235】
【実施例12】 6-[(4'-ドデシル-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,
2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-ト
リフルオロメチルペンチルエステル[例示化合物(3
0)]の合成
【0236】
【化53】
【0237】第1段階 4'-ドデシル-4-ビフェニルカルボン酸0.37g(1ミ
リモル、帝国化学産業株式会社製)、実施例5の第2段
階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキシ-2-ナ
フタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチ
ルエステル0.33g(1ミリモル)、4-N,N-ジメチル
アミノピリジン0.01g(0.1ミリモル)および塩化メ
チレン10mlの混合物に、N,N'-ジシクロヘキシルカル
ボジイミド0.25g(1.2ミリモル)を含む塩化メチレ
ン溶液10mlを、室温で、攪拌下に2時間かけて滴下し
た。
【0238】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.54gを得た。
【0239】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=678であった。図12にこの化合物の1H−
NMRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結
果より、この化合物は目的とする6-[(4'-ドデシル-4-ビ
フェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-
ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペン
チルエステル[上記例示化合物(30)]であると同定
した。
【0240】
【実施例13】 6-[(4'-テトラデシル-4-ビフェニル)カルボニルオキシ]
-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1
-トリフルオロメチルペンチルエステル[例示化合物
(31)]の合成
【0241】
【化54】
【0242】第1段階 4'-テトラデシル-4-ビフェニルカルボン酸0.39g
(1ミリモル、帝国化学産業株式会社製)、実施例5の
第2段階で得られた1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ヒドロキ
シ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチル
ペンチルエステル0.33g(1.1ミリモル)、4-N,N-ジ
メチルアミノピリジン0.012g(0.1ミリモル)およ
び塩化メチレン10mlの混合物に、N,N'-ジシクロヘキ
シルカルボジイミド0.25g(1.2ミリモル)を含む塩
化メチレン溶液5mlを、室温で、攪拌下に2時間かけて
滴下した。
【0243】さらに室温下で48時間反応させた。反応
混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をカ
ラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、
無色の半固体0.52gを得た。
【0244】この半固体のFD−マススペクトルの値は
M/e=706であった。図13にこの化合物の1H−
NMRスペクトルのチャートを示す。これらの分析の結
果より、この化合物は目的とする6-[(4'-テトラデシル-
4-ビフェニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒド
ロ-2-ナフタレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチル
ペンチルエステル[上記例示化合物(31)]であると
同定した。
【0245】
【実施例14】次式[4]で表される例示化合物[4]
と、次式[A]で表される化合物とを、20:80の重
量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0246】
【化55】
【0247】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表3に示す。
【0248】
【表20】
【0249】註)上記表3において、[4]は上記例示
化合物[4]を表し、[A]は上記の例示化合物[A]
を表す。
【0250】
【実施例15】次式[5]で表される例示化合物[5]
と、次式[A]で表される化合物[A]とを、20:8
0の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0251】
【化56】
【0252】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表4に示す。
【0253】
【表21】
【0254】註)上記表4において、[5]は上記例示
化合物[5]を表し、[A]は上記の例示化合物[A]
を表す。
【0255】
【実施例16】次式[6]で表される例示化合物[6]
と、次式[B]で表される化合物[B]とを、20:8
0の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0256】
【化57】
【0257】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表5に示す。
【0258】
【表22】
【0259】註)上記表5において、[6]は上記例示
化合物[6]を表し、[B]は上記の例示化合物[B]
を表す。
【0260】
【実施例17】次式[14]で表される例示化合物[1
4]と、次式[B]で表される化合物とを、20:80
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0261】
【化58】
【0262】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表6に示す。
【0263】
【表23】
【0264】註)上記表6において、[14]は上記例
示化合物[14]を表し、[B]は上記の例示化合物
[B]を表す。
【0265】
【実施例18】次式[20]で表される例示化合物[2
0]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0266】
【化59】
【0267】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表7に示す。
【0268】
【表24】
【0269】註)上記表7において、[20]は上記例
示化合物[20]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0270】
【実施例19】次式[22]で表される例示化合物[2
2]と、次式[D]で表される化合物とを、10:90
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0271】
【化60】
【0272】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表8に示す。
【0273】
【表25】
【0274】註)上記表8において、[22]は上記例
示化合物[22]を表し、[D]は上記の例示化合物
[D]を表す。
【0275】
【実施例20】次式[30]で表される例示化合物[3
0]と、次式[D]で表される化合物とを、10:90
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0276】
【化61】
【0277】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表9に示す。
【0278】
【表26】
【0279】註)上記表9において、[30]は上記例
示化合物[30]を表し、[D]は上記の例示化合物
[D]を表す。
【0280】
【実施例21】次式[31]で表される例示化合物[3
1]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0281】
【化62】
【0282】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表10に示す。
【0283】
【表27】
【0284】註)上記表10において、[31]は上記
例示化合物[31]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0285】
【実施例22】次式[18]で表される例示化合物[1
8]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0286】
【化63】
【0287】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表11に示す。
【0288】
【表28】
【0289】註)上記表11において、[18]は上記
例示化合物[18]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0290】
【実施例23】次式[19]で表される例示化合物[1
9]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0291】
【化64】
【0292】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表12に示す。
【0293】
【表29】
【0294】註)上記表12において、[19]は上記
例示化合物[19]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0295】
【実施例24】次式[21]で表される例示化合物[2
1]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0296】
【化65】
【0297】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表13に示す。
【0298】
【表30】
【0299】註)上記表13において、[21]は上記
例示化合物[21]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0300】
【実施例25】次式[27]で表される例示化合物[2
7]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0301】
【化66】
【0302】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表14に示す。
【0303】
【表31】
【0304】註)上記表14において、[27]は上記
例示化合物[27]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0305】
【実施例26】次式[29]で表される例示化合物[2
9]と、次式[C]で表される化合物とを、25:75
の重量比で混合して液晶組成物を製造した。
【0306】
【化67】
【0307】この組成物の相転移温度を測定した結果を
表15に示す。
【0308】
【表32】
【0309】註)上記表15において、[29]は上記
例示化合物[29]を表し、[C]は上記の例示化合物
[C]を表す。
【0310】
【実施例27】実施例14で得られた液晶組成物[4]
+[A]を図11に示すセルに充填して液晶素子を以下
のようにして製造した。
【0311】まず、図11に示すようなITO(Indium
Tin Oxide)透明電極55の内面に、配向制御方向が逆
方向で、かつ略平行となるように2枚のラビングしたポ
リイミド(日立化成(株)製;PIQ 5400)からなる配向
制御膜(厚さ;300オングストローム)が形成されてい
るセルに、実施例14において得られた液晶組成物
[4]+[A]を等方性液体状態にして注入した後、液
体状態となるまで1℃/分以下の速度で徐々に冷却し
た。
【0312】これを透過軸が直交するように配置された
偏光子と検光子とで挟み、印加電圧が0Vの時に、透過
光量が最小となるように偏光子に対するセルの角度を調
製した。50℃において印加電圧を0Vから30Vまで
瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答時間
は1060μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイッ
チングの高速性が認められた。
【0313】
【比較例1】実施例27で液晶組成物[4]+[A]を
液晶化合物[A]単独に代えた以外は、実施例27と同
様にして液晶素子を製造した。
【0314】50℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
速度は7575μ秒であった。
【0315】
【実施例28】実施例27において、液晶組成物[4]
+[A]を実施例15の液晶組成物[5]+[A]に代
えた以外は、実施例27と同様にして液晶素子を製造し
た。
【0316】50℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は420μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【0317】
【実施例29】実施例28において、液晶組成物[5]
+[A]を実施例16の液晶組成物[6]+[B]に代
えた以外は、実施例28と同様にして液晶素子を製造し
た。
【0318】50℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は49450μ秒であり、印加電圧に対する状態間
スイッチングの高速性が認められた。
【0319】
【比較例2】実施例29で液晶組成物[6]+[B]を
液晶化合物[B]単独に代えた以外は、実施例29と同
様にして液晶素子を製造した。
【0320】50℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
速度は93000μ秒であった。
【0321】
【実施例30】実施例29において、液晶組成物[6]
+[B]を実施例17の液晶組成物[14]+[B]に
代えた以外は、実施例29と同様にして液晶素子を製造
した。
【0322】50℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は3830μ秒であり、印加電圧に対する状態間ス
イッチングの高速性が認められた。
【0323】
【実施例31】実施例30において、液晶組成物[1
4]+[B]を実施例18の液晶組成物[20]+
[C]に代えた以外は、実施例30と同様にして液晶素
子を製造した。
【0324】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は639μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【0325】
【比較例3】実施例31で液晶組成物[20]+[C]
を液晶化合物[C]単独に代えた以外は、実施例31と
同様にして液晶素子を製造した。
【0326】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
速度は32600μ秒であった。
【0327】
【実施例32】実施例31において、液晶組成物[2
0]+[C]を実施例19の液晶組成物[22]+
[D]に代えた以外は、実施例31と同様にして液晶素
子を製造した。
【0328】30℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は363μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【0329】
【比較例4】実施例32で液晶組成物[22]+[D]
を液晶化合物[D]単独に代えた以外は、実施例32と
同様にして液晶素子を製造した。
【0330】30℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
速度は435μ秒であった。
【0331】
【実施例33】実施例32において、液晶組成物[2
2]+[D]を実施例21の液晶組成物[31]+
[C]に代えた以外は、実施例32と同様にして液晶素
子を製造した。
【0332】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は244μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【0333】
【実施例34】実施例33において、液晶組成物[3
1]+[C]を実施例22の液晶組成物[18]+
[C]に代えた以外は、実施例33と同様にして液晶素
子を製造した。
【0334】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は3090μ秒であり、印加電圧に対する状態間ス
イッチングの高速性が認められた。
【0335】
【実施例35】実施例34において、液晶組成物[1
8]+[C]を実施例23の液晶組成物[19]+
[C]に代えた以外は、実施例34と同様にして液晶素
子を製造した。
【0336】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は222μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【0337】
【実施例36】実施例35において、液晶組成物[1
9]+[C]を実施例24の液晶組成物[21]+
[C]に代えた以外は、実施例35と同様にして液晶素
子を製造した。
【0338】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は228μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【0339】
【実施例37】実施例36において、液晶組成物[2
1]+[C]を実施例25の液晶組成物[27]+
[C]に代えた以外は、実施例36と同様にして液晶素
子を製造した。
【0340】40℃において印加電圧を0Vから30V
まで瞬時に変化させたとき、暗状態から明状態への応答
時間は119μ秒であり、印加電圧に対する状態間スイ
ッチングの高速性が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、6-[4'-デシルオキシ-4-ビフェニル)
カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレ
ンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエス
テルの1H−NMRチャートである。
【図2】 図2は、6-[(4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェ
ニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフ
タレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシル
エステルの1H−NMRチャートである。
【図3】 図3は、6-[(4'-ドデシルオキシ-4-ビフェニ
ル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタ
レンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエ
ステルの1H−NMRチャートである。
【図4】 図4は、6-[(4'-ドデシル-4-ビフェニル)カ
ルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレン
カルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルヘキシルエステ
ルの1H−NMRチャートである。
【図5】 図5は、6-[(4'-オクチルオキシ-4-ビフェニ
ル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタ
レンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエ
ステルの1H−NMRチャートである。
【図6】 図6は、6-[(4'-ノニルオキシ-4-ビフェニ
ル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタ
レンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエ
ステルの1H−NMRチャートである。
【図7】 図7は、6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニ
ル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタ
レンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエ
ステルの1H−NMRチャートである。
【図8】 図8は、6-[(4'-ウンデシルオキシ-4-ビフェ
ニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフ
タレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチル
エステルの1H−NMRチャートである。
【図9】 図9は、6-[(4'-デシルオキシ-4-ビフェニ
ル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタ
レンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエ
ステルの1H−NMRチャートである。
【図10】 図10は、6-[(4'-ノニル-4-ビフェニル)
カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレ
ンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエス
テルの1H−NMRチャートである。
【図11】 図11は、6-[(4'-ウンドデシル-4-ビフェ
ニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフ
タレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチル
エステルの1H−NMRチャートである。
【図12】 図12は、6-[(4'-ドデシル-4-ビフェニ
ル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタ
レンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチルエ
ステルの1H−NMRチャートである。
【図13】 図13は、6-[(4'-テトラデシル-4-ビフェ
ニル)カルボニルオキシ]-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフ
タレンカルボン酸 (R)-1-トリフルオロメチルペンチル
エステルの1H−NMRチャートである。
【図14】 図14は、本発明の液晶素子の断面形状を
模式的に示す図である。である。
【図15】 図15は、スペーサとしてファイバーを用
いた本発明の液晶素子の断面構造を示す図である。
【図16】 図16は、2枚の偏光板のセルを配置した
本発明の液晶素子の断面構造を示す図である。
【図17】 図17は、非線形素子および3端子素子の
例を示す図である。
【符号の説明】
11a,11b,47,57・・・透明基板 12,43,53・・・液晶物質 13,58・・・セル 14・・・間隙 15a,15b,45,55・・・透明電極 46・・・ファイバー 56・・・偏光板
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 19/30 9279−4H 19/32 9279−4H 19/34 9279−4H G02F 1/13 500 1/141 (72)発明者 西 山 伸 一 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 達 木 悠一郎 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 川 端 潤 一 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 山 中 徹 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式[I]で表わされる液晶材料; R−X−A1−Y1−A2−COO−R* …[I] {上記式[I]において、 Rは、炭素原子数3〜20のアルキル基またはポリフル
    オロアルキル基であり、該基中の-CH2-基または-CF2-基
    の1部が-O-基で置換されていてもよく、かつ、-O-基と
    Xとが直接結合すること、または-O-基同士が直接結合
    することはなく、 Xは、-O-基または単結合のいずれか一方を表し、 A1は、 【化1】 よりなる群から選ばれる基を表し、 A2は、 【化2】 のいずれか一方の基を表し、 Y1は、-COO-、-CH2-CH2-、および-CH2O-よりなる群か
    ら選ばれる基を表し、かつR*は、次式[II]で表され
    る基を表す; −Q1−C*H(Q2)−Q3 …[II] (上記式[II]中、C*は不斉炭素を表し、この不斉炭
    素を光学中心とした光学活性を示すことを表し、Q1
    単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基またはオ
    キサアルキレン基を表し、Q2は、CF3またはCH3を表
    し、Q3は炭素原子1〜5個のアルキル基またはポリフ
    ルオロアルキル基であって、前記基Q2と異なる基を表
    す)}。
  2. 【請求項2】 上記式[I]において、A1は、 【化3】 よりなる群から選ばれる基を表し、かつA2は、 【化4】 であることを特徴とする請求項1に記載の液晶材料。
  3. 【請求項3】 上記式[I]において、R*が、 -C*H(CF3)-C5H11、-C*H(CF3)-C4H9、-C*H(CF3)-C3H7、 -C*H(CH3)-C5H11、-C*H(CH3)-C4H9、-C*H(CH3)-C3H7 よりなる群から選ばれる基であることを特徴とする請求
    項2に記載の液晶材料。
  4. 【請求項4】 上記式[I]において、Y1が、-COO-で
    あることを特徴とする請求項1〜3に記載の液晶材料。
  5. 【請求項5】 次式[I]で表わされるカルボン酸エス
    テル化合物を含有する液晶組成物: R−X−A1−Y1−A2−COO−R* …[I] {上記式[I]において、 Rは、炭素原子数3〜20のアルキル基またはポリフル
    オロアルキル基であり、該基中の-CH2-基または-CF2-基
    の1部が-O-基で置換されていてもよく、かつ、-O-基と
    Xとが直接結合すること、または-O-基同士が直接結合
    することはなく、 Xは、-O-基または単結合のいずれか一方を表し、 A1は、 【化5】 よりなる群から選ばれる基を表し、 A2は、 【化6】 のいずれか一方の基を表し、 Y1は、-COO-、-CH2-CH2-、および-CH2O-よりなる群か
    ら選ばれる基を表し、かつR*は、次式[II]で表され
    る基を表す; −Q1−C*H(Q2)−Q3 …[II] (上記式[II]中、C*は不斉炭素を表し、この不斉炭
    素を光学中心とした光学活性を示すことを表し、Q1
    単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基またはオ
    キサアルキレン基を表し、Q2は、CF3またはCH3を表
    し、Q3は炭素原子1〜5個のアルキル基またはポリフ
    ルオロアルキル基であって、前記基Q2と異なる基を表
    す)}。
  6. 【請求項6】 隙間を設けて互いに対抗する2枚の基板
    から構成されるセルと、前記基板間の間隙に充填される
    液晶組成物とを有する液晶素子であって、 前記液晶組成物が、下記式[I]で表されるカルボン酸
    エステル化合物を含有することを特徴とする液晶素子; R−X−A1−Y1−A2−COO−R* …[I] {上記式[I]において、 Rは、炭素原子数3〜20のアルキル基またはポリフル
    オロアルキル基であり、該基中の-CH2-基または-CF2-基
    の1部が-O-基で置換されていてもよく、かつ、-O-基と
    Xとが直接結合すること、または-O-基同士が直接結合
    することはなく、 Xは、-O-基または単結合のいずれか一方を表し、 A1は、 【化7】 よりなる群から選ばれる基を表し、 A2は、 【化8】 のいずれか一方の基を表し、 Y1は、-COO-、-CH2-CH2-、および-CH2O-よりなる群か
    ら選ばれる基を表し、かつR*は、次式[II]で表され
    る基を表す; −Q1−C*H(Q2)−Q3 …[II] (上記式[II]中、C*は不斉炭素を表し、この不斉炭
    素を光学中心とした光学活性を示すことを表し、Q1
    単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基またはオ
    キサアルキレン基を表し、Q2は、CF3またはCH3を表
    し、Q3は炭素原子1〜5個のアルキル基またはポリフ
    ルオロアルキル基であって、前記基Q2と異なる基を表
    す)}。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6128064A (en) * 1999-07-14 2000-10-03 Canon Kabushiki Kaisha Liquid crystal device and liquid crystal display apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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