JPH08157423A - 液晶化合物、液晶組成物および液晶素子 - Google Patents

液晶化合物、液晶組成物および液晶素子

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JPH08157423A
JPH08157423A JP6298667A JP29866794A JPH08157423A JP H08157423 A JPH08157423 A JP H08157423A JP 6298667 A JP6298667 A JP 6298667A JP 29866794 A JP29866794 A JP 29866794A JP H08157423 A JPH08157423 A JP H08157423A
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Japan
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liquid crystal
group
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compound
carbon atoms
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Application number
JP6298667A
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English (en)
Inventor
Takahiro Fujiyama
山 高 広 藤
Chiho Tanaka
中 千 穂 田
Yuuichirou Tatsuki
木 悠一郎 達
Tsuneaki Koike
池 恒 明 小
Shinichi Nishiyama
山 伸 一 西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温を含む広い温度範囲でスメクチック相、
特にキラルスメクチック相を示す液晶化合物または液晶
組成物、高速で光スイッチングが行え、かつ、電気光学
的に変化させるのに必要なしきい値電圧の絶対値が低い
液晶素子を提供する。 【構成】 2価のテトラリン結合の一方と、トリフルオ
ロメチル基、水素原子およびアルコキシまたはポリフル
オロアルコキシアルキレン基が結合した不斉整炭素原子
を有する特定の光学活性基とが−COO−基を介して結
合した特定のカルボン酸エステルからなる液晶化合物、
前記カルボン酸エステル化合物を含む液晶組成物、およ
びこれらが充填された液晶セルを備えた液晶素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、分子中にテトラリン骨格
を有するカルボン酸エステル類から選択された液晶化合
物、これを含む液晶組成物、およびこれらの液晶材料を
用いた液晶素子に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、液晶素子は、その低電圧駆
動性、低消費電力性および液晶素子を用いた表示装置な
どの小型化、薄型化が可能であるという点からディジタ
ル表示時計、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュー
タなどの表示部、あるいはカメラの電動シャッターなど
の様々な分野で広く利用されている。また、現在利用さ
れている液晶素子の主流は、TN(ツイストネマチッ
ク)液晶素子である。
【0003】このTN液晶素子は、光スイッチング時間
が数十ミリ秒と長い。これに対し、強誘電性液晶素子や
反強誘電性液晶素子は、電気光学的応答が速く、TN液
晶素子(STN液晶素子を含む)に比較して光スイッチ
ング時間が大幅に短縮でき、しかも安定なコントラスト
が得られるという特長がある。
【0004】このため、最近では、強誘電性液晶素子、
反強誘電性液晶素子、およびこれらの素子で用いられる
液晶材料の開発が盛んに行われている。また、近年、T
N液晶素子に比較して高速で光スイッチングが行える液
晶素子として、スメクチックA相の電気光学効果を利用
した液晶素子が提案されている(特開昭64−3634
号公報、特開平2−918号公報など)。
【0005】しかしながら、従来、強誘電性または反強
誘電性を示す液晶化合物の多くは、たとえば、R.B.Meye
r,et.al.,の論文[ジャーナル・デ・フイジーク(J.de
Phys.)36巻L-69頁、1975年]、Y.Suzuki,et al.,の論
文[リキッドクリスタルズ(liquid Crystals)6巻 16
7頁、1989年]に記載されているように、一般にキラル
スメクチック相を示す温度範囲が狭く、また、この温度
範囲が広くても、この温度範囲が室温を越える高温度域
にあった。このため、液晶化合物がキラルスメクチック
相を示す温度範囲まで強誘電性液晶素子や反強誘電性液
晶素子を加熱したり、あるいは、このキラルスメクチッ
ク相を示す温度範囲を越えないようにこの加熱温度をコ
ントロールしたりするなど、強誘電性液晶素子や反強誘
電性液晶素子は、作動温度の調整が必要であるという問
題点があった。
【0006】このような状況下で、特開昭64−315
4号公報には、下記式(α)で表される液晶化合物が提
案されている。
【0007】
【化9】
【0008】(式中、R1 は炭素原子数6〜12のアル
コキシ基であり、R2 は低級アルキル基を表し、pは0
または1、mは0または1、nは2または3を示す。) また、特開平5−163208号公報には、下記式
(β)で表される液晶化合物が提案されている。
【0009】
【化10】
【0010】(式中、R1 は炭素原子数1〜12のアル
キル基であり、R2 は炭素原子数1〜20のアルキルま
たはアルコキシ基を表し、mは4〜12の整数であ
る。) さらに、特開平5−186402号公報には、下記式
(γ)で表される液晶化合物が提案されている。
【0011】
【化11】
【0012】(式中、R1 は炭素原子数1〜20のアル
キルまたはアルコキシ基であり、R2は炭素原子数1〜
12のアルキル基であり、nは4〜12の整数であ
る。) しかしながら、これらの液晶化合物(α)〜(γ)を用
いた液晶素子でも、作動温度、光スイッチング速度、消
費電力、スイッチングコントラストなどの面で総合的に
必ずしも満足できるものではなかった。
【0013】ところで、強誘電性液晶素子または反強誘
電性液晶素子を表示素子として用いる場合、これらの液
晶素子を電気光学的に変化させるためには、これら液晶
素子に備えられたセルの駆動電圧は、通常のCMOSが
使用可能な20V以下であることが好ましい。
【0014】しかしながら、従来の強誘電性液晶素子、
反強誘電性液晶素子では、ほとんどの場合、セルギャッ
プが2μm程度であって、これらの素子を電気光学的に
変化させるために必要なしきい値電界の絶対値が20〜
30V/2μmであるようなセルが用いられていた。こ
のようなしきい値電界の絶対値の大きなセルを用いた液
晶素子では、セルをCMOSで駆動させることは困難で
ある。
【0015】また、前記しきい値電圧は、低ければ低い
程、駆動電圧との差、すなわち実効電圧が大きくなり、
したがって表示素子の電気光学的応答を高速化できるの
で、好ましい。
【0016】このような点から、液晶素子を電気的に変
化させる際に必要とされるしきい値電圧の絶対値ができ
るだけ低い値、例えば20V以下、特にしきい値電界の
絶対値が20V/2μm以下であって、大きな実効電圧
でセルが駆動できるような強誘電性または反強誘電性液
晶素子の提供が望まれている。
【0017】
【発明の目的】本発明は、上述したような従来技術に伴
う問題点を解決するためになされたものであって、室温
を含む広い温度範囲でスメクチック相、特にキラルスメ
クチック相を示す液晶化合物または液晶組成物を提供す
ることを目的としている。
【0018】また、本発明は、高速で光スイッチングが
行え、かつ、液晶素子を電気光学的に変化させるために
必要なしきい値電圧の絶対値ができるだけ低い値、例え
ば20V以下、そしてしきい値電界の絶対値が20V/
2μm以下であって、大きな実効電圧で駆動できるよう
なセルを備えた液晶素子を提供することをも目的として
いる。
【0019】
【発明の概要】本発明に係る液晶化合物は、次式〔I〕
で表されるカルボン酸エステル化合物である。
【0020】 R−X−A1 −Y−A2 −COO−R* …〔I〕 上記式〔I〕中、Rは、炭素原子数3〜20のアルキル
基または炭素原子数3〜20のポリフルオロアルキル基
(ただし、これらの基中に存在する−CH2 −または−
CF2 −の一部は2価の酸素原子で置換されていてもよ
いが、2価の酸素原子同士が直接結合することはな
い。)を表し、Xは、2価の酸素原子または単結合を表
し、A1 は、
【0021】
【化12】
【0022】から選ばれる2価の基を表し、A2 は、
【0023】
【化13】
【0024】であり、Yは、−COO−、−CH2 CH
2 −および−CH2 O−から選ばれる2価の基を表し、
* は、下記式〔II〕: −Q1 −C* H(CF3 )−Q2 −O−Q3 …〔II〕 〔上記式〔II〕中、C* は、不斉炭素原子を示し、Q
1 は、単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基
(ただし、基中に存在する−CH2 −の一部は2価の酸
素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子同士
が直接結合することはない。)を表し、Q2 は、炭素原
子数1〜8のアルキレン基または炭素原子数1〜8のポ
リフルオロアルキレン基を表し、Q3 は、炭素原子数1
〜4のアルキル基または炭素原子数1〜4のポリフルオ
ロアルキル基を表す。〕で表される光学活性基である。
【0025】本発明に係る液晶組成物は、上記式〔I〕
で表されるカルボン酸エステル化合物を含有しているこ
とを特徴としている。また、本発明に係る液晶素子は、
一対の電極付基板を備え、前記電極同士は隙間を開けて
互いに対向しており、前記隙間に上記式〔I〕で表され
るカルボン酸エステル化合物または該カルボン酸エステ
ル化合物を含む液晶組成物が充填されたセルを備えてい
ることを特徴としている。
【0026】
【発明の具体的説明】液晶化合物 まず、本発明に係る液晶化合物について具体的に説明す
る。
【0027】本発明に係る液晶化合物は、下記式〔I〕
で表されるカルボン酸エステル化合物である。 R−X−A1 −Y−A2 −COO−R* …〔I〕 上記式〔I〕において、Rは、炭素原子数3〜20のア
ルキル基または炭素原子数3〜20のポリフルオロアル
キル基を表す。
【0028】ここで、Rが炭素原子数3〜20のアルキ
ル基である場合には、このアルキル基は、直鎖状、分岐
状および環状のいずれの形態であってもよいが、直鎖状
であることが好ましい。Rが直鎖状アルキル基である場
合、上記式〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物
は、分子が真っ直ぐに伸びた剛直構造をとるため、優れ
た液晶性を示す。炭素原子数3〜20の直鎖状アルキル
基としては、具体的にはヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル
基、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびオクタデシ
ル基などが挙げられる。
【0029】炭素原子数3〜20のポリフルオロアルキ
ル基の例としては、上に例示したアルキル基の水素原子
の一部、または全部がF原子で置換された基などが挙げ
られる。
【0030】前記アルキル基中に存在する−CH2 −の
一部は2価の酸素原子で置換されていてもよく、また、
前記ポリフルオロアルキル基中に存在する−CH2 −お
よび/または−CF2 −の一部も2価の酸素原子で置換
されていてもよいが、2価の酸素原子同士が直接結合し
ていることはない。このような置換アルキル基の具体例
としては、2−ヘキシルエトキシ基、(2’−ブトキ
シ)−2−エトキシ基、3,6−ジオキサ−1−デシル
基、ノニルオキシメチル基などが挙げられる。
【0031】上記式〔I〕において、Xは、単結合また
は2価の酸素原子を表す。また、Yは、−COO−、−
CH2 CH2 −および−CH2 O−から選ばれる2価の
基であり、−COO−であることが好ましい。
【0032】A1 は、下記式:
【0033】
【化14】
【0034】で示される2価の基であり、好ましくは下
記式:
【0035】
【化15】
【0036】で示される2価の基である。A2 は、
【0037】
【化16】
【0038】である。A2 が、1,2,3,4−テトラ
ヒドロナフチル基である場合、A2 の具体例としては
1,2,3,4−テトラヒドロ−1,5−ナフチル基、
1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチル基、
1,2,3,4−テトラヒドロ−2,6−ナフチル基お
よび1,2,3,4−テトラヒドロ−1,7−ナフチル
基が挙げられる。
【0039】本発明では、式〔I〕で表されるカルボン
酸エステル化合物の分子全体が直線状になることが好ま
しく、このような点から、A2 が、1,2,3,4−テ
トラヒドロナフチル基である場合、A2 は1,2,3,
4−テトラヒドロ−2,6−ナフチル基であることが特
に好ましい。
【0040】A2 が5,6,7,8−テトラヒドロナフ
チル基である場合、上記点からA2は5,6,7,8−
テトラヒドロ−2,6−ナフチル基が特に好ましい。R
* は、不斉炭素原子を少なくとも1個有する光学活性基
であり、具体的には下記式〔II〕で表される基であ
る。
【0041】 −Q1 −C* H(CF3 )−Q2 −O−Q3 …〔II〕 上記式中、C* は、不斉炭素原子を示し、Q1 は、単結
合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。ただ
し、アルキレン基中に存在する−CH2 −の一部は2価
の酸素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子
同士が直接結合することはない。
【0042】また、Q2 は、炭素原子数1〜8のアルキ
レン基または炭素原子数1〜8のポリフルオロアルキレ
ン基を表し、Q3 は、炭素原子数1〜4のアルキル基ま
たは炭素原子数1〜4のポリフルオロアルキル基を表
す。
【0043】このような式〔II〕で表されるR* とし
て好ましい基を例示すると、−C* H(CF3 )−(C
2 5 OC2 5 、−C* H(CF3 )−(CH2
4 OCH3 、−C* H(CF3 )−(CH2 3 OC2
5 、−C* H(CF3 )−(CH2 2 OCH3 およ
び−C* H(CF3 )−(CH2 2 OC2 5などが
挙げられる。
【0044】これらのうちで、−C* H(CF3 )−
(CH2 5 OC2 5 または−C* H(CF3 )−
(CH2 3 OC2 5 が特に好ましい。本発明では、
液晶材料として、上記式〔I〕で表されるテトラリン骨
格を有するカルボン酸エステル化合物(以下、テトラリ
ン化合物と記することもある。)が用いられる。
【0045】本発明に係る液晶化合物を具体的に例示す
ると、下記表1に示す化合物が挙げられる。なお、下記
表1において、R、X、A1 、Y、A2 およびR* は、
それぞれ上記式〔I〕中に示された基であり、A2で示
されるテトラリンと前後の基との結合状態は、特に限定
されないが、テトラリン核の2,6−位にそれぞれ2価
の基Yおよび−COO−が結合していることが好まし
い。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】さらには、下記式〔I−1〕〜〔I−
4〕:
【0052】
【化17】
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】(ただし、上記式〔I−1〕〜〔I−4〕
中、Rは、−C7 15、−C8 17、−C9 19、−C
1021、−C1123、−C1225、−C1327、−C14
29、−C1531または−C1633−であり、R* は、
−C* H(CF3 )−(CH2 5 OC2 5 、−C*
H(CF3 )−(CH2 4 OCH3 、−C* H(CF
3 )−(CH2 3 OC2 5 、−C* H(CF3 )−
(CH2 2 OCH3 または−C* H(CF3 )−(C
2 2 OC2 5である)で表されるテトラリン化合
物も、上記式〔1〕で表されるテトラリン化合物に包含
され、本発明で液晶材料として用いることができる。
【0057】上記式〔1〕で表されるテトラリン化合物
は、たとえば下記に示す合成経路に従って製造されう
る。なお、下記合成経路で式中、R* は、上記式〔I〕
で示されたR* を意味し、R0 は、光学活性を示さない
以外はR* と同様の基を表し、R1 、R2 は、それぞれ
炭素数1〜20のアルキル基または炭素数1〜20のア
ルコキシ基である。
【0058】
【化21】
【0059】上記合成経路に示された本発明で液晶材料
として用いられるテトラリン化合物の製造方法をさらに
詳しく説明すると下記の通りである。 a)まず、例えばトリフルオロメチル基を含むケトン
(R1 −CO−R0 )を還元剤で還元して含フッ素アル
コール(HO−R0 )を得る。ここで用いられる還元剤
としては、カルボニル基をヒドロキシ基に変換できるも
のであれば特に限定されることはなく、具体的には水素
化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムなど
が挙げられる。例えば還元剤として水素化アルミニウム
リチウムを用いる場合、上記還元反応は、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフランなどの溶媒中で行われる。こ
の反応温度は、トリフルオロメチル基を含むケトンおよ
び還元剤の種類などに応じて適宜調整され、特に限定さ
れるものではないが、室温または室温付近であることが
好ましい。
【0060】次いで、上記のようにして得られた含フッ
素アルコール(HO−R0 )を常法によりエステル化
し、エステル化合物(R2 COO−R0 )を得る。エス
テル化剤としては、カルボン酸塩化物(例えば塩化アセ
チル、塩化プロピオニル、塩化ブチリルなど)が好まし
い。
【0061】しかる後、このようにして得られたエステ
ル化合物(R2 COO−R0 )はd−体とl−体とが等
量混合したラセミ混合物であるが、このエステル化合物
を加水分解酵素(例えばリパーゼP、リパーゼMY、リ
パーゼOF、セルラーゼなど)を用いて不斉加水分解を
行い、光学活性アルコール(d−またはl−アルコー
ル;HO−R* )を得る。この際、加水分解酵素は、原
料のラセミエステル化合物1ミリモル当り500〜2
0,000単位、好ましくは100〜5,000単位の
量で用いられる。上記不斉加水分解反応は、通常、水
中、またはメタノール、エタノールなどのような水と相
溶性のよい溶媒と水との混合溶媒中で行われる。原料と
して用いられるラセミエステル化合物の量は、溶媒中に
1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%存在するよ
うに調整される。また、上記不斉加水分解反応が行われ
る液中のpHは6〜8の範囲に調整されていることが好
ましく、この反応温度は、10〜40℃に保持されてい
ることが好ましい。
【0062】b)他方、6−アルコキシナフタレン−2
−カルボン酸と1,2−ジエトキシエタンとの混合物を
金属ナトリウムの存在下でイソアミルアルコールを滴下
しながら還流することにより、1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−6−アルコキシナフタレン−2−カルボン酸を
得る。
【0063】このようにして得られた1,2,3,4−
テトラヒドロ−6−アルコキシナフタレン−2−カルボ
ン酸に、酢酸および臭化水素酸を反応させることによ
り、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ヒドロキシナ
フタレン−2−カルボン酸を得る。
【0064】次いで、得られた1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸に
臭化ベンジルを水酸化カリウムの存在下で反応させるこ
とにより1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ベンジル
オキシナフタレン−2−カルボン酸を得る。
【0065】c)4−N,N−ジメチルアミノピリジン
を含む塩化メチレン溶媒中で、N,N’−ジシクロヘキ
シルカルボジイミド溶液(溶媒;塩化メチレン)を滴下
しながら、上記工程a)で得られた光学活性アルコール
(HO−R* )と上記工程b)で得られた1,2,3,
4−テトラヒドロ−6−ベンジルオキシナフタレン−2
−カルボン酸とを反応させることにより1,2,3,4
−テトラヒドロ−6−ベンジルオキシナフタレン−2−
カルボン酸 R* −エステルを得る。
【0066】この1,2,3,4−テトラヒドロ−6−
ベンジルオキシナフタレン−2−カルボン酸 R* −エ
ステルを、溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、パラ
ジウム/炭素などの還元触媒の存在下で水素ガスを用い
て還元することにより、1,2,3,4−テトラヒドロ
−6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸 R*
エステルを得る。
【0067】d)4−N,N−ジメチルアミノピリジン
を含む塩化メチレン溶媒中で、N,N’−ジシクロヘキ
シルカルボジイミド溶液(溶媒;塩化メチレン)を滴下
しながら、アルキルまたはアルコキシビフェニルカルボ
ン酸と、上記工程c)で得られた1,2,3,4−テト
ラヒドロ−6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸
* −エステルとを反応させることにより、本発明で液
晶材料として用いられるテトラリン化合物が得られる。
【0068】なお、上記方法は本発明で液晶材料として
用いられるテトラリン化合物の製造方法の一例であっ
て、本発明で液晶材料として用いられるテトラリン化合
物は、この製造方法でのみ得られるテトラリン化合物に
限定されるものではない。
【0069】本発明に係る液晶化合物は、上述したよう
な式〔I〕で表されるテトラリン化合物である。このよ
うな式〔I〕で表されるテトラリン化合物を液晶材料と
して用いる以前には、他の液晶材料と混合することなく
室温を含む広い温度範囲、あるいは室温近くの広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物はほとんど知ら
れていなかった。ここで、スメクチック相とは、キラル
スメクチック相(スメクチックC相、F相、G相、I
相,J相およびI相から選ばれる1種)またはスメクチ
ックA相)を意味する。
【0070】本発明に係る液晶化合物は、前記〔I〕で
表されるテトラリン化合物であり、低い温度範囲、例え
ば室温を含む広い温度範囲、あるいは室温近くの広い温
度範囲で、他の液晶材料と混合することなくスメクチッ
ク相を示すだけではなく、本発明に係る液晶化合物をセ
ルに用いて液晶素子を作成すると、電気光学的応答が速
く、コントラストが安定した液晶素子が提供でき、しか
もセルが低い電圧、例えば絶対値20V以下の領域で大
きな実効電圧で駆動できるという特長がある。
【0071】本発明に係る液晶化合物のうち、特に上述
したような優れた性質を示す材料を具体的に例示する
と、下記の通りである。
【0072】
【化22】
【0073】
【化23】
【0074】液晶組成物 次いで、本発明に係る液晶組成物について説明する。本
発明に係る液晶組成物は、1種または2種以上の上記
〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物を含んでい
る。
【0075】上記〔I〕で表されるカルボン酸エステル
化合物の中には、スメクチック相を示す下限温度が室温
を越える化合物、あるいはスメクチック相を示さない化
合物もあるが、このような化合物であっても、上記
〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物を主剤とし
て、あるいは助剤として他の液晶材料(主剤と種類の異
なる上記〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物で
あっても差し支えない)と混合することにより、低い温
度範囲、例えば室温を含む広い温度範囲でスメクチック
相を示し、かつ、上述したような優れた特性を有する液
晶素子を提供することもできる。特に上記〔I〕で表さ
れるカルボン酸エステル化合物がスメクチック相を示さ
ない場合には、上記〔I〕で表されるカルボン酸エステ
ル化合物を助剤としてスメクチック相を示す他の液晶材
料と混合することが好ましい。
【0076】本発明に係る液晶組成物は、上記〔I〕で
表されるカルボン酸エステル化合物を主剤として含む場
合、上記〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物を
助剤として含む場合に関わりなく、上記〔I〕で表され
るカルボン酸エステル化合物と他の液晶材料との組合せ
によって、低い温度範囲、例えば室温を含む広い温度範
囲でスメクチック相を示すだけではなく、本発明に係る
液晶組成物をセルに用いて液晶素子を作成すると、電気
光学的応答が速く、コントラストが安定した液晶素子が
提供でき、しかもセルが低い電圧、例えば絶対値20V
以下の領域で大きな実効電圧で駆動できるという特長が
ある。
【0077】上記のような優れた特長を有する液晶組成
物を提供するためには、上記〔I〕で表されるカルボン
酸エステル化合物としては、上記〔I〕において、A1
【0078】
【化24】
【0079】から選ばれる2価の基であり、かつA2
【0080】
【化25】
【0081】であることが好ましく、R* は−C*
(CF3 )−(CH2 5 OC2 5 、−C* H(CF
3 )−(CH2 4 OCH3 、−C* H(CF3 )−
(CH2 3 OC2 5 、−C* H(CF3 )−(CH
2 2 OCH3 および−C* H(CF3 )−(CH2
2 OC2 5から選ばれる2価の基であることが好まし
く、またYは−COO−であることが好ましい。
【0082】また、上記〔I〕で表されるカルボン酸エ
ステル化合物以外の本発明に係る液晶組成物の成分とし
ては、下記式〔III 〕で表される液晶化合物が挙げられ
る。 R’−L−E1 −M−E2 −COO−R0 * …〔III 〕 {上記式〔III 〕において、R’は、炭素原子数3〜2
0のアルキル基または炭素原子数3〜20のポリフルオ
ロアルキル基(ただし、これらの基中に存在する−CH
2 −または−CF2−の一部は2価の酸素原子で置換さ
れていてもよいが、2価の酸素原子同士が直接結合する
ことはない。)を表し、Lは、2価の酸素原子または単
結合を表し、E1 は、
【0083】
【化26】
【0084】から選ばれる2価の基を表し、E2 は、
【0085】
【化27】
【0086】から選ばれる2価の基を表し、Mは、−C
OO−、−CH2 CH2 −および−CH2 O−から選ば
れる2価の基を表し、R0 * は、 i)E2
【0087】
【化28】
【0088】である場合、下記式〔IV〕: −G1 −C* H(CF3 )−G2 …〔IV〕 〔上記式〔IV〕中、C* は、不斉炭素原子を示し、G
1 は、単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基
(ただし、基中に存在する−CH2 −の一部は2価の酸
素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子同士
が直接結合することはない。)を表し、G2 は、炭素原
子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8のポリ
フルオロアルキル基を表す。〕で表される光学活性基で
あり、 ii)その他の場合は、上記式〔IV〕または下記式V: −T1 −C* H(CF3 )−T2 −O−T3 …〔V〕 〔上記式〔V〕中、C* は、不斉炭素原子を示し、T1
は、単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基(た
だし、基中に存在する−CH2 −の一部は2価の酸素原
子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子同士が直
接結合することはない。)を表し、T2 は、炭素原子数
1〜8のアルキレン基または炭素原子数1〜8のポリフ
ルオロアルキレン基を表し、T3 は、炭素原子数1〜4
のアルキル基または炭素原子数1〜4のポリフルオロア
ルキル基を表す。〕で表される光学活性基(ただし、光
学活性基が上記式〔IV〕で表される場合、式中の
* 、G1 およびG2 はそれぞれ前記意味を表す。)で
ある。} 上記式〔III 〕で表される液晶化合物を具体的に例示す
ると、下記式〔III −1〕〜〔III −9〕で表される化
合物が挙げられる。
【0089】
【化29】
【0090】(ただし、上記式中、Rは、n-C1021
またはn-C1021O−であり、R* は、−C* H(CF
3 )−(CH2 5 CH3 、−C* H(CF3 )−(C
2 4 CH3 または−C* H(CF3 )−(CH2
3 CH3である。)
【0091】
【化30】
【0092】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0093】
【化31】
【0094】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0095】
【化32】
【0096】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0097】
【化33】
【0098】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0099】
【化34】
【0100】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0101】
【化35】
【0102】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0103】
【化36】
【0104】 (R* =C* H(CH3 )−(CH2 5 CH3 またはC* H(CF3 )−(CH2 3 CH3
【0105】
【化37】
【0106】(ただし、上記式中、Aは、
【0107】
【化38】
【0108】を表し、R* は、−C* H(CF3 )−
(CH2 5 OC2 5 、−C* H(CF3 )−(CH
2 4 OCH3 、−C* H(CF3 )−(CH2 3
2 5 、−C* H(CF3 )−(CH2 2 OC
3 、−C* H(CF3 )−(CH2 2 OC2 5
たは−C* H(CF3 )−(CH2 5 CH3であ
る。) 本発明に係る液晶組成物中に含まれている上記〔I〕で
表されるカルボン酸エステル化合物の量は、この化合物
が主剤として液晶組成物中に含まれている場合と、助剤
として液晶組成物中に含まれている場合とで異なり、主
剤および助剤の種類に応じても異なる。また、液晶組成
物中に上記〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物
と他の液晶材料とが、等量含まれている場合もある。
【0109】以上の点から、本発明に係る液晶組成物中
に、上記式〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物
が、液晶材料の総量100重量部に対して、1〜99重
量部、好ましくは5〜75重量部の量で含有されている
ことが望ましい。
【0110】さらに、発明に係る組成物中には、従来よ
り知られている他の液晶化合物、或いは液晶添加剤、例
えば電導性賦与剤および寿命向上剤など、通常の液晶組
成物に配合される添加剤が配合されていてもよい。
【0111】本発明の液晶組成物は、上記式〔I〕で表
されるカルボン酸エステル化合物の1種または2種以
上、さらに所望により上述したような他の液晶材料およ
び/または添加剤を混合して製造される。
【0112】液晶素子 本発明に係る液晶素子は、一対の電極付基板を備え、前
記電極同士は隙間を開けて互いに対向しており、前記隙
間に上記式〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物
または該化合物を含む液晶組成物が充填されたセルを備
えていることを特徴としている。
【0113】以下、図面を用い、本発明に係る液晶素子
について、さらに詳しく説明する。図1は、本発明に係
る液晶素子の一例を示している。この図1に示された液
晶素子1は、セル10を備えている。
【0114】このセル10は、一対の透明基板11a、
11bを備えている。透明基板11a、11bには、そ
れぞれ、例えば、ガラス板および透明プラスチック板な
どが用いられる。透明基板11a、11bのうち、少な
くとも一方が可撓性であることが必要とされる場合、こ
の可撓性透明基板としては、透明高分子フィルムなどが
用いられる。
【0115】透明基板11a、11bの片面には、それ
ぞれ透明電極12a、12bが形成されている。なお、
本発明では、透明電極12aが形成された透明基板11
a、透明電極12bが形成された透明基板12bの一方
を通してセル10内部が光学的に観察または検出できれ
ばよく、電極12a付基板11a、電極12b付基板1
1bの一方は透明でなくともよい。
【0116】これらの透明電極12a、12bとして
は、例えば、厚さ100〜2,000オングストローム
の酸化インジウム、酸化スズなどの透明導電性被膜が挙
げられる。例えば上述したような透明導電性被膜で透明
電極12aを透明基板11a上に形成する場合、例え
ば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空
蒸着法などの公知の方法で透明電極12aを透明基板1
1a上に形成することができる。
【0117】さらに、透明電極12a、12b上には、
それぞれ、液晶化合物と接して該液晶化合物分子の配向
方向を制御する配向層または強誘電体層(いずれも図示
されていない)が形成されていてもよい。配向層として
は、例えば有機シランカップリング剤あるいはカルボン
酸多核錯体などを化学吸着させることにより得られる有
機薄膜および無機薄膜が採用される。配向層として好ま
しい有機薄膜としては、例えば、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアル
コール(ポバール)およびポリイミドのような高分子薄
膜を挙げることができる。このような有機薄膜は、塗
布、接着、蒸着、あるいは、基板上での重合(たとえば
プラズマ重合)などの方法で透明電極12aおよび/ま
たは透明電極12b上に形成することができる。また、
配向層として好ましい無機薄膜としては、例えば、酸化
珪素、酸化ゲルマニウムおよびアルミナなどの酸化物薄
膜、窒化珪素のような窒化物薄膜並びに他の半導体薄膜
を挙げることができる。
【0118】また、上記配向層に、これと接する液晶化
合物分子が所定の方向に配向するように液晶化合物分子
の配向方向を制御する能力を賦与する方法としては、膜
成形時に薄膜自体に異方性あるいは形状特異性を賦与す
る方法、薄膜作成後に外部から配向性を賦与する方法が
ある。具体的には、透明電極上にポリイミド樹脂などの
高分子物質を塗布して薄膜を形成した後、この薄膜を一
定方向にラビングする方法、高分子フィルムを延伸して
配向性を賦与する方法、酸化物を斜方蒸着する方法など
を挙げることができる。
【0119】これらの配向層または強誘電体層に段差を
形成し、この段差の凸部で後述するようなセルギャップ
14を一定にすることもできる。セル10中では、透明
基板11aと透明基板11bとが、それぞれの片面に形
成された透明電極12aと透明電極12bとを対面さ
せ、液晶材料13が充填される間隔(セルギャップ;1
4)ができうる限り一定となるように離間して配置され
ている。本発明では、このセルギャップ14は、1〜1
0μm、好ましくは1〜5μmである。上述したような
配向層でセル10中に含まれている液晶化合物分子の配
向方向を制御する場合、この液晶化合物分子の配向性の
点から、セルギャップ14は、通常、2μm程度に調整
されるが、後述するような所定値以上の直流バイアス電
圧をセル10の透明電極12a/12b間に印加する方
法でセル10中に含まれている液晶化合物分子の配向方
向を制御する場合には、セルギャップ14を10μm程
度にしても、セル10中に含まれている液晶化合物分子
の配向性を良好にすることができる。
【0120】このセルギャップ14を一定にする方法と
しては、透明基板11a/11b間のセル10周縁部に
一定厚さのスペーサ15を介設する方法(図1)、図2
に示すように液晶材料13中に一定径を有する繊維片お
よび/またはメラミン樹脂、尿素樹脂またはベンゾグア
ナミン樹脂などの粒子をスペーサ15として分散させ、
スペーサ15の径でセルギャップ14を一定にする方法
が挙げられる。
【0121】図1に示されたスペーサ15は、透明電極
および必要に応じて配向層または強誘電体層が形成され
たどちらか一方の透明基板、例えば透明基板11aの透
明電極11b側周縁部に、例えば感光性ポリイミド前駆
体をパターニングして、この上に他方の透明基板例えば
透明基板12aの透明電極12b側を接着させ、前記感
光性ポリイミド前駆体を硬化させてポリイミド系高分子
スペーサ層を形成することによって得られる。このよう
にして得られたポリイミド系高分子スペーサ層は、これ
と接する液晶材料13のモノドメインを形成する上で、
スペーサ15として好ましい。
【0122】このようにしてセルギャップ14が一定に
なるように配置された透明基板11aと透明基板11b
との周縁部は、通常、シール材16でシールされてい
る。シール材16としては、例えばエポキシ系樹脂、シ
リコン系樹脂などが用いられる。これらの樹脂は、アク
リル系材料、シリコン系ゴムなどで変性されていてもよ
い。
【0123】また、セル10のセルギャップ14には、
液晶材料13が充填されている。液晶材料13をセルギ
ャップ14に充填する際には、通常、予めセルギャップ
14を減圧しておき、液晶材料13が、加熱溶融状態で
セル10の周縁部に設けられた注入口(図示されていな
い)から減圧セルギャップ14中に注入される。このよ
うにして液晶物質13をセルギャップ14中に充填した
後、前記注入口が密封される。
【0124】次いで、このようにして注入口が密封され
たセル10を、その中に充填された液晶材料13が等方
相を示す温度以上の温度に加熱し、次いでスメクチック
相を示す温度にまで冷却する。
【0125】この冷却の際の降温速度は、好ましくは2
℃/分以下、より好ましくは0.1〜2.0℃/分、特
に好ましくは0.1〜0.5℃/分であることが望まし
い。セル10中の液晶物質13は、所望のスメクチック
相、すなわちスメクチックA相、C相、F相、G相、H
相、I相、J相およびK相から選ばれるいずれかの相を
示すまでの前記冷却過程で初期配向するようになるが、
上記冷却速度は、液晶材料13の初期配向性を改善し、
配向欠陥の少ないモノドメインからなるスメクチック相
を形成する上で好ましい冷却速度である。ここで初期配
向性とは、例えばセル10の透明電極12a/12b間
に電圧を印加するなどして配向ベクトルを変える前の液
晶材料13の配列状態を意味している。
【0126】セル10中の液晶材料13を所望の方向に
初期配向させるためには、例えばスペーサエッジを利用
した温度勾配法、前記配向膜による表面処理法などの一
軸配向制御方法が採用される。また、セル10を加熱し
ながら、所定値以上の直流バイアス電圧をセル10の透
明電極12a/12b間に印加することによっても、液
晶物質13を所望の方向に初期配向させることができ
る。
【0127】本発明では、この液晶材料13として上述
したような本発明に係る液晶化合物または本発明に係る
液晶組成物が用いられている。この本発明に係る液晶化
合物と本発明に係る液晶組成物とは、いずれも上述した
ように室温を含む広い温度範囲でスメクチック相を示す
ので、セル10は、室温で作動できる。すなわち、液晶
素子1は、セル10を加熱したり、セル10の温度制御
をしなくても駆動できるという特長がある。しかし、必
要に応じてセル10を加熱してもよい。
【0128】また、セル10中に液晶材料13として本
発明に係る液晶化合物または本発明に係る液晶組成物が
用いられているので、セル10の透明電極12a/12
b間に絶対値が20V以下の極めて低い電圧を印加する
だけで、セル10中に含まれている液晶材料13の配向
状態を電圧の印加前後で変化させることができる。した
がって、セル10を絶対値20V以下の領域で大きな実
効電圧で駆動できるという特長もある。しかし、セル1
0に印加する電圧を制限するものではなく、セル10に
絶対値20Vを越える電圧を印加してもよい。
【0129】セル10をこのような低電圧で駆動させる
ためには、周波数が、通常、1Hz〜100KHz、好
ましくは10Hz〜10KHzであり、電界が、0.0
1〜20Vp-p /μmt (厚さ1μm当たりの電圧)、
好ましくは0.05〜15Vp-p /μmt であるような
電圧をセル10の透明電極12a/12b間に印加する
とよい。
【0130】上記透明電極12a/12b間に印加され
る電圧の波形としては、例えば矩形波、パルス波、三角
波、正弦波およびこれらの2種以上を合成して得られる
波形などが挙げられる。例えば上記透明電極12a/1
2b間にパルス電圧を印加する場合、その周波数は、5
0Hz〜100KHz、好ましくは70Hz〜10KH
zであることが望ましい。液晶素子1を高速光スイッチ
ング素子として用いる場合、前記パルス電圧のパルス幅
は、10ミリ秒以下、好ましくは0.01〜10ミリ秒
の範囲内にすることが望ましい。液晶素子1でこのよう
な高速光スイッチングを行う場合、液晶素子1は強誘電
性を示す。また、前記パルス電圧のパルス幅が10ミリ
秒より大きい場合、好ましくは33〜1000ミリ秒の
範囲内にある場合、液晶素子1は反強誘電性を示す。
【0131】このようにセル10中の液晶材料13がキ
ラルスメクチック相を示している場合には、セル10の
透明電極12a/12b間に印加する電圧の波形(駆動
波)の幅(例えば上記パルス幅)を変えることにより、
この液晶材料13は強誘電性または反強誘電性を示す。
そして、液晶材料13が強誘電性を示す場合には液晶素
子1の電気光学特性は双安定型のヒステリシス曲線を描
くようになり、液晶材料13が反強誘電性を示す場合に
は三安定型のダブルヒステリシス曲線を描くようにな
る。
【0132】セル10中の液晶材料13が強誘電性を示
す場合、この液晶材料13は、セル10の透明電極12
a/12b間に電圧を印加し、次いでこの印加電圧をゼ
ロにしても、絶対値でしきい値以上の値を有する反対極
性の電圧を印加しない限り、電圧印加により誘起された
液晶材料13の自発分極が維持され、液晶素子1は、電
気光学的にメモリー性を示す。このため、この電圧印加
によって変化した光学特性を維持するためにセル10の
透明電極12a/12b間に電圧を印加し続ける必要が
ない。したがって、強誘電性を示す液晶材料13を含む
セル10を備えた液晶素子1を表示素子として用いた表
示装置は、消費電力の低減が図れる。
【0133】また、セル10中の液晶材料13が反強誘
電性を示す場合、従来の液晶素子に比較して液晶素子1
の光学特性を維持するのに必要とされるしきい値電圧の
絶対値が小さいので、液晶素子1を表示素子として用い
た表示装置は、従来の液晶素子を表示素子として用いた
表示装置に比較して消費電力の低減が図れるという特長
がある。
【0134】また、セル10中に液晶材料13として本
発明に係る液晶化合物または本発明に係る液晶組成物を
用いた場合、数十μ秒以下の電気光学的応答速度を有す
る液晶素子1を提供することができる。
【0135】そして、このような高速で電気光学的に応
答する液晶素子1を表示素子として用いると、表示画像
の高速切り替えなどが可能となり、走査線の多い大画面
液晶表示装置、動画用液晶表示装置などが提供できるよ
うになる。また、液晶素子1に備えられたセル10中に
液晶材料13として本発明に係る液晶化合物または本発
明に係る液晶組成物が用いられ、液晶材料13が室温あ
るいはそれ以下の温度でスメクチック相を示すので、こ
れらの液晶表示装置は、室温あるいはそれ以下の温度で
駆動させることができ、駆動温度をコントロールするた
めの補助手段を必要としないという特長もある。
【0136】従来の液晶材料を用いた表示装置は、スメ
クチックC相以外のキラルスメクチック相では電気光学
的応答速度が一般的に低く、実用上、スメクチックC相
で駆動させることが多かった。しかしながら、液晶素子
1を用いれば、スメクチックC相だけでなく、スメクチ
ックA相で駆動する表示装置を提供こともできる。
【0137】液晶素子1に備えられたセル10中に液晶
材料13として用いられている本発明に係る液晶化合物
または本発明に係る液晶組成物は、一般には双安定性を
示さないとされているスメクチックA相においても、電
界が印加されると誘起的に上記式〔I〕で表されるテト
ラリン化合物分子が傾くので、この性質を利用して液晶
素子1で光スイッチングを行うなどのことが可能であ
る。また、本発明者が既に特開昭64−3634号公報
および特開平2−918号公報で提案した構成および駆
動法を採用すれば、このようなスメクチックA相で電気
光学に作動する液晶素子の提供が可能である。さらに、
本発明に係る液晶化合物または本発明に係る液晶組成物
は、スメクチックC相よりもさらに高い秩序を有するス
メクチックF相などにおいても二つ以上の安定状態を示
すので、本発明では、これらの相における複数の安定状
態を利用した液晶素子の提供が可能である。
【0138】液晶素子1は、これに備えられたセル10
の特性に関連して、上述した特長に加え、さらに従来の
液晶素子と比較して電気光学的コントラストが良好であ
るなどの特長がある。
【0139】また、本発明によれば、上記のようなセル
10に含まれている液晶材料13の特性を利用して、表
面安定化強誘電性液晶素子、ヘリカル変調素子、過渡散
乱型素子、ゲストホスト型素子、垂直配向液晶素子など
のような様々な液晶素子を形成することができる。
【0140】例えば、二色性色素をゲストとして用い、
セル10中の液晶材料13に配合すれば、ゲストホスト
型の液晶素子1が形成される。このゲストホスト型の液
晶素子1では、セル10の透明電極12a/12b間に
絶対値でしきい値以上の電圧を印加すると、液晶材料1
3を構成している液晶化合物分子の配向方向が変化する
ことに伴って、二色性色素により特定波長の吸光度が変
化する。この吸光度の変化は目視によって観察できるの
で、二色性色素を用いたゲストホスト型素子では偏光板
などは不要である。なお、二色性色素としては、例えば
アゾ色素、ナフトキノン色素、シアニン系色素およびア
ントラキノン系色素などが用いられる。
【0141】これに対し、上記液晶化合物分子の配向方
向が変化することに伴ってセル10中を透過する光の偏
光方向が変化するが、この光偏光方向の変化を利用して
光スイッチング素子などを形成する場合には、図3に示
すように、液晶素子1にセル10に加えて、例えば2枚
の偏光板20、20が設けられ、一方の偏光板20、セ
ル10および他方の偏光板20を光が透過できるように
セル10、および2枚の偏光板20、20が配置され
る。
【0142】以上のように、本発明に係る液晶素子は、
その種類に応じて構成が異なる。上記図3に示す構成の
液晶素子1につき、さらに詳しく説明すると、下記の通
りである。
【0143】図3に示す液晶素子1では、2枚の偏光板
20、20は、それぞれの偏光面のなす角度(回転角)
が70〜110度、好ましくは90度になる(二枚の偏
光板20、20の偏光方向が直交する)ように配置され
ている。
【0144】偏光板20としては、例えばポリビニルア
ルコール樹脂フィルム、ポリビニルブチラール樹脂フィ
ルムなどの樹脂フィルムを、ヨウ素などの存在下で延伸
することによりフィルム中にヨウ素を吸収させて偏光性
を賦与した偏光フィルムが用いられる。この偏光フィル
ムの表面には他の樹脂などが積層されていてもよい。
【0145】セル10は、偏光板20、セル10および
偏光板20を透過する光量が最も少ない状態(すなわ
ち、最暗状態)あるいは最も多い状態(すなわち、最明
状態)を基準にして、セル10とそれぞれの偏光板20
との偏光角度差(回転角度差)が±10度の範囲内、好
ましくは0度となるように偏光板20、20間に配置さ
れる。
【0146】液晶素子1は、上記のような構成の差異に
起因する機能の違いを利用して、ワードプロセッサ、パ
ーソナルコンピューターなどの表示部の用いられる他、
熱書き込み型液晶表示素子、レーザー書き込み型液晶表
示素子などのような記憶型液晶表示素子として、あるい
は、カメラのシャッター部位やレーザープリンターなど
の光電変換部に光スイッチング素子として、さらには圧
電素子、焦電素子などとして用いられうる。
【0147】液晶素子1を備えた表示装置は、スタチィ
ック駆動、単純マトリックス駆動および複合マトリック
ス駆動などの電気アドレス方式、光アドレス方式、熱ア
ドレス方式並びに光ビーム表示方式により駆動させるこ
とができる。
【0148】また、液晶素子1を備えた表示装置を電界
駆動する際には各画素を駆動させるための素子として、
非線形素子あるいは能動素子を用いることができる。よ
り具体的には、2端子素子の非線形素子としては、たと
えば一方の透明基板上にバリスタ、MIM(Metal Insu
lator Metal)、ダイオードなどが配置されていて、これ
らの非線形特性を利用した素子を挙げることができる。
また、3端子素子の能動素子としては、たとえばTFT
(薄膜トランジスタ)、Si-MOS(Si-metal oxide
semi conductor field-effect transistor)およびSO
S(Sillicon on Sapphire)などが画素に配置された素
子を挙げることができる。
【0149】
【発明の効果】本発明に係る液晶化合物および本発明に
係る液晶組成物は、ともに低い温度範囲、例えば室温を
含む広い温度範囲でスメクチック相を示すことができ
る。
【0150】また、本発明に係る液晶素子は、本発明に
係る液晶化合物または本発明に係る液晶組成物が用いら
れているので低電圧駆動が可能であり、例えば温度をコ
ントロールしなくても室温で、しかも低電圧、例えば2
0V以下の領域で大きな実効電圧でセルがで駆動でき、
しかも電気光学的応答速度が速く、消費電力の低減が図
れ、安定したコントラストが得られるなどの特長を有し
ている。
【0151】また、本発明によれば、強誘電性液晶素
子、反強誘電性液晶素子が提供できる他、スメクチック
A相の電気光学効果を利用した液晶素子も提供できる。
【0152】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。なおR、Sは光
学活性体のR体、S体を表す。また、以下の実施例にお
いて、各液晶材料につき、相転移温度の測定、および相
の同定を、DSC法、および各液晶材料を含むセルを備
えた液晶素子を作成して電気光学的に変化させた後の液
晶材料の配向状態を偏光顕微鏡で測定する方法で行っ
た。
【0153】
【実施例1】 a)6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−6−エトキシヘキシルエステル〔例示化合物
(4)〕の合成 (R)−1−トリフルオロメチル−6−エトキシヘキサ
ノール 0.24g(1.1ミリモル)、6−〔(4’
−デシルオキシ−4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕
−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフタレンカル
ボン酸 0.54g(1.1ミリモル)、N,N−ジメ
チル−4−アミノピリジン0.01g(0.1ミリモ
ル)および塩化メチレン 10ミリリットルの混合液を
室温で攪拌しながら、この混合液中にN,N’−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド 0.247g(1.2ミリ
モル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリットルを2時間
かけて滴下した。さらに室温下で48時間かけて混合液
中の(R)−1−トリフルオロメチル−6−エトキシヘ
キサノールと6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェ
ニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−2−ナフタレンカルボン酸とを反応させた。
【0154】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体0.47gが得られた。この半
固体のFD−マススペクトル値はM/e=724であっ
た。
【0155】図4に、この半固体化合物の1 H−NMR
スペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、この
化合物は、目的とする6−〔(4’−デシルオキシ−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル
〔例示化合物(4)〕であると同定された。
【0156】図4に示された1 H−NMRスペクトルと
対応させて例示化合物(4)の化学構造式を以下に示
す。
【0157】
【化39】
【0158】b)相転移温度 この例示化合物(4)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(4)が室温を含む広い温度範
囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示し
ている。
【0159】c)液晶素子の作成および評価 透明基板11a、11bとしてガラス板を用い、それぞ
れの透明基板11a、11b上にITO(Indium tin o
xide)で透明電極12a、12bを形成し、さらにこの
透明電極12a、12b上にそれぞれポリイミド(日立
化成(株)製;PIQ 5400)で配向膜(厚さ;300オン
グストローム)を形成した。それぞれの配向膜に、これ
と接する液晶化合物分子が所定の方向に配向するように
ラビング処理を施した後、それぞれの配向膜の前記配向
制御方向が互いに逆方向で、かつ略平行となるように図
1に示すセル10を組み付けた。なお、スペーサ15で
セルギャップ14を2μmに調整した。
【0160】次いでこのセルギャップ14中に液晶材料
13として上記例示化合物(4)を等方性液相状態で注
入した後、シール材16でセル10をシールし、1℃/
分の冷却速度でセル10を室温まで徐々に冷却した。
【0161】このセル10を用いて図3に示す液晶素子
1を作成した。なお、2枚の偏光板20、20は、それ
ぞれの偏光方向が互いに直交するように配置されてい
る。また、透明電極12a/12b間に電圧が印加され
ていない時に一方の偏光板20、セル10および他方の
偏光板20を順次透過した光の光量(以下、液晶素子1
の透過光量という)が最暗状態(Tr0)となるよう
に、セル10が偏光板20/20間に配置されている。
【0162】室温でこの図3に示す液晶素子1に三角波
電圧(周波数;0.01Hz、ピーク電圧;30V/μ
t )を印加し、液晶素子1の透過光量(光透過率;T
r)をモニターした。
【0163】液晶素子1では、図5に示すように反強誘
電状態から強誘電状態への光スイッチング(Swiching f
rom the AF-state to the F-state)がなされていた。
この図5を用いて、反強誘電状態における印加電圧Vと
液晶素子1の光透過率Trとの関係を示す曲線の接線
(lA )と、反強誘電状態から強誘電状態へ移行する際
の印加電圧Vと液晶素子1の光透過率Trとの関係を示
す曲線の接線(lR )との交点Pを求め、この交点Pの
電圧値VP をしきい値電圧として評価した。
【0164】この結果、液晶素子1の透過光量を変化さ
せるためのしきい値電圧の絶対値は6.8V/2μmで
あった。また、室温で液晶素子1に図6に示すパルス電
圧(電圧30V/2μm、パルス幅10m秒、パルス間
隔90m秒)を印加し、液晶素子1の透過光量(光透過
率;Tr)をモニターした。
【0165】この透過光量の変化から次式に従って光ス
イッチング時間を評価した。 スイッチング時間=tr90−tr0 この結果、液晶素子1の光スイッチング時間は700μ
秒であった。
【0166】
【実施例2】 a)6−〔(4’−ウンデシル−4−ビフェニル)カル
ボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−
ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメチ
ル−6−エトキシヘキシルエステル〔例示化合物(1
4)〕の合成 4’−ウンデシル−4−ビフェニルカルボン酸 0.2
4g(0.7ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒド
ロ−6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸
(R)−1−トリフルオロメチル−6−エトキシヘキシ
ルエステル 0.24g(0.62ミリモル)、N,N
−ジメチル−4−アミノピリジン 0.009g(0.
07ミリモル)および塩化メチレン 10ミリリットル
の混合液を室温で攪拌しながら、この混合液中にN,
N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.17g
(0.84ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリ
ットルを2時間かけて滴下した。さらに室温下で48時
間かけて混合液中の4’−ウンデシル−4−ビフェニル
カルボン酸と1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ヒド
ロキシ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリ
フルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステルとを反
応させた。
【0167】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.20gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=722であ
った。
【0168】図7に、この半固体化合物の1 H−NMR
スペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、この
化合物は、目的とする6−〔(4’−ウンデシル−4−
ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−
トリフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル
〔例示化合物(14)〕であると同定された。
【0169】図7に示された1 H−NMRスペクトルと
対応させて例示化合物(14)の化学構造式を以下に示
す。
【0170】
【化40】
【0171】b)相転移温度 この例示化合物(14)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(14)が室温を含む広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0172】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記例示化合物(14)を用いた以
外は実施例1と同様にして、液晶素子を作成し、液晶素
子の透過光量を変化させるためのしきい値電圧(絶対
値)および液晶素子の光スイッチング時間を評価した。
【0173】この結果、前記しきい値電圧は9.3V/
2μmであり、液晶素子の光スイッチング時間は150
μ秒であった。
【0174】
【実施例3】 a)6−〔(4’−ドデシル−4−ビフェニル)カルボ
ニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナ
フタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメチル
−6−エトキシヘキシルエステル〔例示化合物(1
5)〕の合成 4’−ドデシル−4−ビフェニルカルボン酸 0.30
g(0.82ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒド
ロ−6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸
(R)−1−トリフルオロメチル−6−エトキシヘキシ
ルエステル 0.32g(0.82ミリモル)、N,N
−ジメチル−4−アミノピリジン 0.02g(0.1
6ミリモル)および塩化メチレン 10ミリリットルの
混合液を室温で攪拌しながら、この混合液中にN,N’
−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.21g(1.0
ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリットルを2
時間かけて滴下した。さらに室温下で48時間かけて混
合液中の4’−ドデシル−4−ビフェニルカルボン酸と
1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ヒドロキシ−2−
ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメチ
ル−6−エトキシヘキシルエステルとを反応させた。
【0175】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.37gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=736であ
った。
【0176】図8に、この半固体化合物の1 H−NMR
スペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、この
化合物は、目的とする6−〔(4’−ドデシル−4−ビ
フェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−ト
リフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル〔例
示化合物(15)〕であると同定された。
【0177】図8に示された1 H−NMRスペクトルと
対応させて例示化合物(15)の化学構造式を以下に示
す。
【0178】
【化41】
【0179】b)相転移温度 この例示化合物(15)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(15)が室温を含む広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0180】
【実施例4】 a)6−〔(4’−テトラデシル−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−6−エトキシヘキシルエステル〔例示化合物(1
7)〕の合成 4’−テトラデシル−4−ビフェニルカルボン酸 0.
276g(0.7ミリモル)、1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸
(R)−1−トリフルオロメチル−6−エトキシヘキシ
ルエステル 0.24g(0.62ミリモル)、N,N
−ジメチル−4−アミノピリジン 0.009g(0.
07ミリモル)および塩化メチレン 10ミリリットル
の混合液を室温で攪拌しながら、この混合液中にN,
N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.17g
(0.84ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリ
ットルを2時間かけて滴下した。さらに室温下で48時
間かけて混合液中の4’−テトラデシル−4−ビフェニ
ルカルボン酸と1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ヒ
ドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−ト
リフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステルとを
反応させた。
【0181】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体0.36gが得られた。この半
固体のFD−マススペクトル値はM/e=764であっ
た。
【0182】図9に、この半固体化合物の1 H−NMR
スペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、この
化合物は、目的とする6−〔(4’−テトラデシル−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル
〔例示化合物(17)〕であると同定された。
【0183】図9に示された1 H−NMRスペクトルと
対応させて例示化合物(17)の化学構造式を以下に示
す。
【0184】
【化42】
【0185】b)相転移温度 この例示化合物(17)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(17)が室温を含む広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0186】
【実施例5】 a)6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−5−メトキシペンチルエステル〔例示化合物(2
2)〕の合成 6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カルボ
ニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナ
フタレンカルボン酸 0.67g(1.3ミリモル)、
(R)−1−トリフルオロメチル−5−メトキシペンタ
ノール 0.6g(1.3ミリモル)、N,N−ジメチ
ル−4−アミノピリジン 0.03g(0.25ミリモ
ル)および塩化メチレン 10ミリリットルの混合液を
室温で攪拌しながら、この混合液中にN,N’−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド 0.37g(1.8ミリモ
ル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリットルを2時間か
けて滴下した。さらに室温下で48時間かけて混合液中
の(R)−1−トリフルオロメチル−5−メトキシペン
タノールと6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニ
ル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−2−ナフタレンカルボン酸とを反応させた。
【0187】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体0.30gが得られた。この半
固体のFD−マススペクトル値はM/e=696であっ
た。
【0188】図10に、この半固体化合物の1 H−NM
Rスペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、こ
の化合物は、目的とする6−〔(4’−デシルオキシ−
4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4
−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−
1−トリフルオロメチル−5−メトキシペンチルエステ
ル〔例示化合物(22)〕であると同定された。
【0189】図10に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(22)の化学構造式を以下に
示す。
【0190】
【化43】
【0191】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記例示化合物(22)を用いた以
外は実施例1と同様にして、液晶素子を作成し、液晶素
子の光スイッチング時間を評価した。
【0192】この結果、液晶素子の光スイッチング時間
は200μ秒であった。
【0193】
【実施例6】 a)6−〔(4’−ウンデシル−4−ビフェニル)カル
ボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−
ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメチ
ル−5−メトキシペンチルエステル〔例示化合物(2
3)〕の合成 4’−ウンデシル−4−ビフェニルカルボン酸 0.3
7g(1.0ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒド
ロ−6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸
(R)−1−トリフルオロメチル−5−メトキシペンチ
ルエステル 0.36g(1.0ミリモル)、N,N−
ジメチル−4−アミノピリジン 0.02g(0.16
ミリモル)および塩化メチレン 10ミリリットルの混
合液を室温で攪拌しながら、この混合液中にN,N’−
ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.27g(1.3
ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリットルを2
時間かけて滴下した。さらに室温下で48時間かけて混
合液中の4’−ウンデシル−4−ビフェニルカルボン酸
と1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ヒドロキシ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−5−メトキシペンチルエステルとを反応させた。
【0194】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.30gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=710であ
った。
【0195】図11に、この半固体化合物の1 H−NM
Rスペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、こ
の化合物は、目的とする6−〔(4’−ウンデシル−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−5−メトキシペンチルエステル
〔例示化合物(23)〕であると同定された。
【0196】図11に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(23)の化学構造式を以下に
示す。
【0197】
【化44】
【0198】b)相転移温度 この例示化合物(23)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(23)が室温近くの広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0199】
【実施例7】 a)6−〔(4’−テトラデシル−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−5−メトキシペンチルエステル〔例示化合物(3
5)〕の合成 4’−ウンデシル−4−ビフェニルカルボン酸に代えて
4’−テトラデシル−4−ビフェニルカルボン酸 0.
39g(1.0ミリモル)を用いた以外は実施例6と同
様にして無色の半固体 0.24gが得られた。
【0200】この半固体のFD−マススペクトル値はM
/e=736であった。図12に、この半固体化合物の
1 H−NMRスペクトルのチャートを示す。上記分析結
果から、この化合物は、目的とする6−〔(4’−テト
ラデシル−4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,
2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸
(R)−1−トリフルオロメチル−5−メトキシペン
チルエステル〔例示化合物(35)〕であると同定され
た。
【0201】図12に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(35)の化学構造式を以下に
示す。
【0202】
【化45】
【0203】b)相転移温度 この例示化合物(35)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(35)が室温近くの広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0204】
【実施例8】 a)6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−4−エトキシブチルエステル〔例示化合物(4
0)〕の合成 (R)−1−トリフルオロメチル−4−エトキシブタノ
ール 0.19g(1.0ミリモル)、6−〔(4’−
デシルオキシ−4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−
1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボ
ン酸 0.53g(1.0ミリモル)、N,N−ジメチ
ル−4−アミノピリジン 0.02g(0.16ミリモ
ル)および塩化メチレン 10ミリリットルの混合液を
室温で攪拌しながら、この混合液中にN,N’−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド 0.27g(1.8ミリモ
ル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリットルを2時間か
けて滴下した。さらに室温下で48時間かけて混合液中
の(R)−1−トリフルオロメチル−4−エトキシブタ
ノールと6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニ
ル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−2−ナフタレンカルボン酸とを反応させた。
【0205】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.42gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=696であ
った。
【0206】図13に、この半固体化合物の1 H−NM
Rスペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、こ
の化合物は、目的とする6−〔(4’−デシルオキシ−
4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4
−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−
1−トリフルオロメチル−4−エトキシブチルエステル
〔例示化合物(40)〕であると同定された。
【0207】図13に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(40)の化学構造式を以下に
示す。
【0208】
【化46】
【0209】b)相転移温度 この例示化合物(40)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(40)が室温近くで広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0210】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記例示化合物(40)を用いた以
外は実施例1と同様にして液晶素子を作成し、実施例1
と同様にして液晶素子の透過光量を変化させるためのし
きい値電圧の絶対値および液晶素子の光スイッチング時
間を評価した。
【0211】この結果、前記しきい値電圧は1.4V/
2μmであり、液晶素子の光スイッチング時間は800
μ秒であった。
【0212】
【実施例9】 a)6−〔(4’−ドデシル−4−ビフェニル)カルボ
ニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナ
フタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメチル
−4−エトキシブチルエステル〔例示化合物(51)〕
の合成 4’−ドデシル−4−ビフェニルカルボン酸 0.41
g(1.1ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒドロ
−6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(R)−
1−トリフルオロメチル−4−エトキシブチルエステル
0.40g(1.1ミリモル)、N,N−ジメチル−
4−アミノピリジン 0.013g(0.1ミリモル)
および塩化メチレン 10ミリリットルの混合液を室温
で攪拌しながら、この混合液中にN,N’−ジシクロヘ
キシルカルボジイミド 0.27g(1.3ミリモル)
を含む塩化メチレン溶液5ミリリットルを2時間かけて
滴下した。さらに室温下で48時間かけて混合液中の
4’−ドデシル−4−ビフェニルカルボン酸と1,2,
3,4−テトラヒドロ−6−ヒドロキシ−2−ナフタレ
ンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメチル−4−
エトキシブチルエステルとを反応させた。
【0213】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.55gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=708であ
った。
【0214】図14に、この半固体化合物の1 H−NM
Rスペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、こ
の化合物は、目的とする6−〔(4’−ドデシル−4−
ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−
トリフルオロメチル−4−エトキシブチルエステル〔例
示化合物(51)〕であると同定された。
【0215】図14に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(51)の化学構造式を以下に
示す。
【0216】
【化47】
【0217】b)相転移温度 この例示化合物(51)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(51)が室温近くの広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0218】
【実施例10】 a)6−〔(4’−テトラデシル−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−4−エトキシブチルエステル〔例示化合物(5
3)〕の合成 4’−デシルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸に代え
て4’−テトラデシル−4−ビフェニルカルボン酸
0.44g(1.1ミリモル)を用いた以外は実施例9
と同様にして無色の半固体 0.56gが得られた。
【0219】この半固体のFD−マススペクトル値はM
/e=736であった。図15に、この半固体化合物の
1 H−NMRスペクトルのチャートを示す。上記分析結
果から、この化合物は、目的とする6−〔(4’−テト
ラデシル−4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,
2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸
(R)−1−トリフルオロメチル−4−エトキシブチ
ルエステル〔例示化合物(53)〕であると同定され
た。
【0220】図15に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(53)の化学構造式を以下に
示す。
【0221】
【化48】
【0222】b)相転移温度 この例示化合物(53)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(53)が室温近くの広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0223】
【実施例11】 a)6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−3−メトキシプロピルエステル〔例示化合物(5
8)〕の合成 (R)−1−トリフルオロメチル−3−メトキシプロパ
ノール 0.079g(0.5ミリモル)、6−
〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カルボニル
オキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフタ
レンカルボン酸 0.264g(0.5ミリモル)、
N,N−ジメチル−4−アミノピリジン 0.06g
(0.05ミリモル)および塩化メチレン 10ミリリ
ットルの混合液を室温で攪拌しながら、この混合液中に
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.12g
(0.6ミリモル)を含む塩化メチレン溶液5ミリリッ
トルを2時間かけて滴下した。さらに室温下で48時間
かけて混合液中の(R)−1−トリフルオロメチル−3
−メトキシプロパノールと6−〔(4’−デシルオキシ
−4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,
4−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸とを反応
させた。
【0224】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.22gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=668であ
った。
【0225】図16に、この半固体化合物の1 H−NM
Rスペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、こ
の化合物は、目的とする6−〔(4’−デシルオキシ−
4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4
−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−
1−トリフルオロメチル−3−メトキシプロピルエステ
ル〔例示化合物(58)〕であると同定された。
【0226】図16に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(58)の化学構造式を以下に
示す。
【0227】
【化49】
【0228】b)相転移温度 この例示化合物(58)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(58)が室温を含む広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0229】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記例示化合物(58)を用いた以
外は実施例1と同様にして、液晶素子を作成し、液晶素
子の透過光量を変化させるためのしきい値電圧(絶対
値)および液晶素子の光スイッチング時間を評価した。
【0230】この結果、前記しきい値電圧は14.8V
/2μmであり、液晶素子の光スイッチング時間は1.
6m秒であった。
【0231】
【実施例12】 a)6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビフェニル)カ
ルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2
−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロメ
チル−3−エトキシプロピルエステル〔例示化合物(7
6)〕の合成 4’−デシルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸0.3
6g(1ミリモル)、1,2,3,4−テトラヒドロ−
2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフルオロ
メチル−3−エトキシプロピルエステル0.36g(1
ミリモル)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
0.02g(0.16ミリモル)および塩化メチレン1
0ミリリットルの混合液を室温で攪拌しながら、この混
合液中にN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
0.12g(0.6ミリモル)を含む塩化メチレン溶液
5ミリリットルを2時間かけて滴下した。さらに室温下
で48時間かけて反応させた。
【0232】反応後の混合液をろ過し、得られたろ液を
濃縮した。この濃縮物をカラムクロマトグラフィーで分
離すると、無色の半固体 0.42gが得られた。この
半固体のFD−マススペクトル値はM/e=682であ
った。
【0233】図17に、この半固体化合物の1 H−NM
Rスペクトルのチャートを示す。上記分析結果から、こ
の化合物は、目的とする6−〔(4’−デシルオキシ−
4−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4
−テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−
1−トリフルオロメチル−3−エトキシプロピルエステ
ル〔上記例示化合物(76)〕であると同定された。
【0234】図17に示された1 H−NMRスペクトル
と対応させて例示化合物(76)の化学構造式を以下に
示す。
【0235】
【化50】
【0236】b)相転移温度 この例示化合物(76)の相転移温度を以下に示す。 上記結果は、例示化合物(76)が室温近くの広い温度
範囲でスメクチック相を示す液晶化合物であることを示
している。
【0237】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記例示化合物(76)を用いた以
外は実施例1と同様にして、液晶素子を作成し、液晶素
子の透過光量を変化させるためのしきい値電圧(絶対
値)および液晶素子の光スイッチング時間を評価した。
【0238】この結果、前記しきい値電圧は2.4V/
μmであり、液晶素子の光スイッチング時間は1.8m
秒であった。
【0239】
【実施例13、比較例1】 a’)液晶組成物の調製 実施例1で得られた例示化合物(4)と、次式〔A〕で
表される化合物とを90:10の重量比で混合して実施
例13の組成物を調製した。
【0240】
【化51】
【0241】上記例示化合物(4)に代えて次式〔B〕
で表される化合物を用いた以外は実施例13と同様にし
て比較例1の組成物を調製した。
【0242】
【化52】
【0243】b)相転移温度 上記実施例13の組成物の相転移温度、および比較例1
の組成物の相転移温度を下記表2に示す。
【0244】
【表6】
【0245】表2の結果は、 i)実施例13の組成物、比較例1の組成物がともに室
温を含む温度範囲でスメクチック相を示す液晶組成物で
あること ii)実施例13の液晶組成物の方が比較例1の液晶組成
物に比較してスメクチック相を示す温度範囲が広いこと を示している。
【0246】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記実施例13の液晶組成物、比較
例1の液晶組成物をそれぞれ用い、実施例1と同様にし
て、液晶素子を作成し、液晶素子の透過光量を変化させ
るためのしきい値電圧(絶対値)を評価した。
【0247】この結果、液晶材料13として上記実施例
13の液晶組成物が用いられている液晶素子(実施例1
3の液晶素子)では前記しきい値電圧が4.2V/2μ
mであり、液晶材料13として上記比較例1の液晶組成
物が用いられている液晶素子(比較例1の液晶素子)で
は前記しきい値電圧が8.3V/2μmであった。
【0248】このことは、 iii)実施例13の液晶素子の方が比較例1の液晶素子よ
りも低電圧で駆動できること iv)例示化合物(4)は、上記化合物〔B〕に比較して
前記しきい値電圧を低減する上で効果的であること を示している。
【0249】
【実施例14、比較例2】 a’)液晶組成物の調製 実施例5で得られた例示化合物(22)と、次式〔C〕
で表される化合物とを80:20の重量比で混合して実
施例14の組成物を調製した。
【0250】
【化53】
【0251】上記例示化合物(22)に代えて次式
〔D〕で表される化合物を用いた以外は実施例14と同
様にして比較例2の組成物を調製した。
【0252】
【化54】
【0253】b)相転移温度 上記実施例14の組成物の相転移温度、および比較例2
の組成物の相転移温度を下記表3に示す。
【0254】
【表7】
【0255】表3の結果は、 i)実施例14の組成物、比較例2の組成物がともに室
温を含む温度範囲でスメクチック相を示す液晶組成物で
あること ii)実施例14の液晶組成物の方が比較例2の液晶組成
物に比較してスメクチック相を示す温度範囲が広いこと iii)請求項5に示された式〔1〕で表される化合物を用
いれば、この式〔1〕で表される化合物が室温を含む温
度範囲でスメクチック相を示さなくても、室温を含む温
度範囲でスメクチック相を示す液晶組成物が提供される
こと を示している。
【0256】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記実施例14の液晶組成物、比較
例2の液晶組成物をそれぞれ用い、実施例1と同様にし
て、液晶素子を作成し、液晶素子の透過光量を変化させ
るためのしきい値電圧(絶対値)を評価した。
【0257】この結果、液晶材料13として上記実施例
14の液晶組成物が用いられている液晶素子(実施例1
4の液晶素子)では前記しきい値電圧が7.6V/2μ
mであり、液晶材料13として上記比較例2の液晶組成
物が用いられている液晶素子(比較例2の液晶素子)で
は前記しきい値電圧が9.4V/2μmであった。
【0258】このことは、 iv)実施例14の液晶素子の方が比較例2の液晶素子よ
りも低電圧で駆動できること v)例示化合物(22)は、上記化合物〔D〕に比較し
て前記しきい値電圧を低減する上で効果的であること を示している。
【0259】
【実施例15、比較例3】 a’)液晶組成物の調製 実施例6で得られた例示化合物(23)と、次式〔E〕
で表される化合物とを40:60のモル比で混合して実
施例15の組成物を調製した。
【0260】
【化55】
【0261】上記例示化合物(22)に代えて次式
〔F〕で表される化合物を用いた以外は実施例15と同
様にして比較例3の組成物を調製した。
【0262】
【化56】
【0263】b)相転移温度 上記実施例15の組成物の相転移温度、および比較例3
の組成物の相転移温度を下記表4に示す。
【0264】
【表8】
【0265】表4の結果は、 i)実施例15の組成物、比較例3の組成物がともに室
温を含む温度範囲でスメクチック相を示す液晶組成物で
あること ii)実施例15の液晶組成物の方が比較例3の液晶組成
物に比較してスメクチック相を示す温度範囲が広いこと iii)請求項5に示された式〔1〕で表される化合物を用
いれば、この式〔1〕で表される化合物が室温を含む温
度範囲でスメクチック相を示さなくても、室温を含む温
度範囲でスメクチック相を示す液晶組成物が提供される
こと を示している。
【0266】c)液晶素子の作成および評価 液晶材料13として上記実施例15の液晶組成物、比較
例3の液晶組成物をそれぞれ用い、実施例1と同様にし
て、液晶素子を作成し、液晶素子の透過光量を変化させ
るためのしきい値電圧(絶対値)を評価した。
【0267】この結果、液晶材料13として上記実施例
15の液晶組成物が用いられている液晶素子(実施例1
5の液晶素子)では前記しきい値電圧が6.8V/2μ
mであり、液晶材料13として上記比較例3の液晶組成
物が用いられている液晶素子(比較例3の液晶素子)で
は前記しきい値電圧が10.4V/2μmであった。
【0268】このことは、 iv)実施例15の液晶素子の方が比較例3の液晶素子よ
りも低電圧で駆動できること v)例示化合物(23)は、上記化合物〔F〕に比較し
て前記しきい値電圧を低減する上で効果的であること を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る液晶素子の一例を示す概
略断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る液晶素子の一例を示す概
略断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る液晶素子の一例を示す概
略断面図である。
【図4】図4は、6−〔(4’−デシルオキシ−4−ビ
フェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−ト
リフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル(例
示化合物4)の 1H-NMRスペクトルのチャートであ
る。
【図5】図5は、本発明に係る液晶素子の電圧−光透過
率曲線の一例を示し、液晶素子の透過光量を変化させる
ための最低電圧(しきい値電圧)の評価方法を説明する
ための図面である。
【図6】図6は、液晶素子の光スイッチング時間の評価
方法を説明するための図面である。
【図7】図7は、6−〔(4’−ウンデシル−4−ビフ
ェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラ
ヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリ
フルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル〔例示
化合物(14)〕の 1H-NMRスペクトルのチャート
である。
【図8】図8は、6−〔(4’−ドデシル−4−ビフェ
ニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−トリフ
ルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル〔例示化
合物(15)〕の 1H-NMRスペクトルのチャートで
ある。
【図9】図9は、6−〔(4’−テトラデシル−4−ビ
フェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−ト
リフルオロメチル−6−エトキシヘキシルエステル〔例
示化合物(17)〕の 1H-NMRスペクトルのチャー
トである。
【図10】図10は、6−〔(4’−デシルオキシ−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−5−メトキシペンチルエステル
〔例示化合物(22)〕の 1H-NMRスペクトルのチャ
ートである。
【図11】図11は、6−〔(4’−ウンデシル−4−
ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−
トリフルオロメチル−5−メトキシペンチルエステル
〔例示化合物(23)〕の 1H-NMRスペクトルのチ
ャートである。
【図12】図12は、6−〔(4’−テトラデシル−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−5−メトキシペンチルエステル
〔例示化合物(35)〕の 1H-NMRスペクトルのチャ
ートである。
【図13】図13は、6−〔(4’−デシルオキシ−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−4−エトキシブチルエステル
〔例示化合物(40)〕の 1H-NMRスペクトルのチ
ャートである。
【図14】図14は、6−〔(4’−ドデシル−4−ビ
フェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−テト
ラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1−ト
リフルオロメチル−4−エトキシブチルエステル〔例示
化合物(51)〕の 1H-NMRスペクトルのチャート
である。
【図15】図15は、6−〔(4’−テトラデシル−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−4−エトキシブチルエステル
〔例示化合物(53)〕の 1H-NMRスペクトルのチ
ャートである。
【図16】図16は、6−〔(4’−デシルオキシ−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−3−メトキシプロピルエステル
〔例示化合物(58)〕の 1H-NMRスペクトルのチャ
ートである。
【図17】図16は、6−〔(4’−デシルオキシ−4
−ビフェニル)カルボニルオキシ〕−1,2,3,4−
テトラヒドロ−2−ナフタレンカルボン酸 (R)−1
−トリフルオロメチル−3−エトキシプロピルエステル
〔例示化合物(76)〕の 1H-NMRスペクトルのチャ
ートである。
【符号の説明】
1 … 液晶素子 10 … セル 11a 、11b … 透明基板 12a 、12b … 透明電極 13 … 液晶材料 14 … セルギャップ 15 … スペーサ 16 … シール材 20 … 偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 19/32 9279−4H 19/34 9279−4H 19/42 9279−4H G02F 1/13 500 (72)発明者 小 池 恒 明 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 西 山 伸 一 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式〔I〕: R−X−A1 −Y−A2 −COO−R* …〔I〕 で表されるカルボン酸エステル化合物であり、上記式
    〔I〕において、 Rは、炭素原子数3〜20のアルキル基または炭素原子
    数3〜20のポリフルオロアルキル基(ただし、これら
    の基中に存在する−CH2 −または−CF2 −の一部は
    2価の酸素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素
    原子同士が直接結合することはない。)を表し、 Xは、2価の酸素原子または単結合を表し、 A1 は、 【化1】 から選ばれる2価の基を表し、 A2 は、 【化2】 であり、 Yは、−COO−、−CH2 CH2 −および−CH2
    −から選ばれる2価の基を表し、 R* は、下記式〔II〕: −Q1 −C* H(CF3 )−Q2 −O−Q3 …〔II〕 〔上記式〔II〕中、C* は、不斉整炭素原子を示し、
    1 は、単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基
    (ただし、基中に存在する−CH2 −の一部は2価の酸
    素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子同士
    が直接結合することはない。)を表し、Q2 は、炭素原
    子数1〜8のアルキレン基または炭素原子数1〜8のポ
    リフルオロアルキレン基を表し、Q3 は、炭素原子数1
    〜4のアルキル基または炭素原子数1〜4のポリフルオ
    ロアルキル基を表す。〕で表される光学活性基であるこ
    とを特徴とする液晶化合物。
  2. 【請求項2】A1 が 【化3】 から選ばれる2価の基であり、A2 が 【化4】 である請求項1に記載の液晶化合物。
  3. 【請求項3】R* が −C* H(CF3 )−(CH2 5 OC2 5 、 −C* H(CF3 )−(CH2 4 OCH3 、 −C* H(CF3 )−(CH2 3 OC2 5 、 −C* H(CF3 )−(CH2 2 OCH3 および −C* H(CF3 )−(CH2 2 OC2 5 から選ばれる2価の基である請求項1または2に記載の
    液晶化合物。
  4. 【請求項4】Yが−COO−である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の液晶化合物。
  5. 【請求項5】 1種または2種以上の下記式〔I〕で表
    されるカルボン酸エステル化合物を含有することを特徴
    とする液晶組成物。 R−X−A1 −Y−A2 −COO−R* …〔I〕 {上記式〔I〕において、 Rは、炭素原子数3〜20のアルキル基または炭素原子
    数3〜20のポリフルオロアルキル基(ただし、これら
    の基中に存在する−CH2 −または−CF2 −の一部は
    2価の酸素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素
    原子同士が直接結合することはない。)を表し、 Xは、2価の酸素原子または単結合を表し、 A1 は、 【化5】 から選ばれる2価の基を表し、 A2 は、 【化6】 であり、 Yは、−COO−、−CH2 CH2 −および−CH2
    −から選ばれる2価の基を表し、 R* は、下記式〔II〕: −Q1 −C* H(CF3 )−Q2 −O−Q3 …〔II〕 〔上記式〔II〕中、C* は、不斉炭素原子を示し、Q
    1 は、単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基
    (ただし、基中に存在する−CH2 −の一部は2価の酸
    素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子同士
    が直接結合することはない。)を表し、Q2 は、炭素原
    子数1〜8のアルキレン基または炭素原子数1〜8のポ
    リフルオロアルキレン基を表し、Q3 は、炭素原子数1
    〜4のアルキル基または炭素原子数1〜4のポリフルオ
    ロアルキル基を表す。〕で表される光学活性基であ
    る。}
  6. 【請求項6】 一対の電極付基板を備え、前記電極同士
    は隙間を開けて互いに対向しており、前記隙間に下記式
    〔I〕で表されるカルボン酸エステル化合物または該カ
    ルボン酸エステル化合物を含む液晶組成物が充填された
    セルを備えていることを特徴とする液晶素子。 R−X−A1 −Y−A2 −COO−R* …〔I〕 {上記式〔I〕中、 Rは、炭素原子数3〜20のアルキル基または炭素原子
    数3〜20のポリフルオロアルキル基(ただし、これら
    の基中に存在する−CH2 −または−CF2 −の一部は
    2価の酸素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素
    原子同士が直接結合することはない。)を表し、 Xは、2価の酸素原子または単結合を表し、 A1 は、 【化7】 から選ばれる2価の基を表し、 A2 は、 【化8】 であり、 Yは、−COO−、−CH2 CH2 −および−CH2
    −から選ばれる2価の基を表し、 R* は、下記式〔II〕: −Q1 −C* H(CF3 )−Q2 −O−Q3 …〔II〕 〔上記式〔II〕中、C* は、不斉炭素原子を示し、Q
    1 は、単結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基
    (ただし、基中に存在する−CH2 −の一部は2価の酸
    素原子で置換されていてもよいが、2価の酸素原子同士
    が直接結合することはない。)を表し、Q2 は、炭素原
    子数1〜8のアルキレン基または炭素原子数1〜8のポ
    リフルオロアルキレン基を表し、Q3 は、炭素原子数1
    〜4のアルキル基または炭素原子数1〜4のポリフルオ
    ロアルキル基を表す。〕で表される光学活性基であ
    る。}
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