JP3636522B2 - エーテル基を有するフェニルピリミジン化合物、液晶材料、液晶組成物および液晶素子 - Google Patents

エーテル基を有するフェニルピリミジン化合物、液晶材料、液晶組成物および液晶素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、キラル部末端にエーテル基を有すると共に、フェニルピリミジン骨格を有する新規な化合物、この化合物からなる新規な液晶材料、これを含む液晶組成物、およびこれを用いた液晶素子に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
現在、液晶化合物を用いた表示素子は、その低電圧駆動性、低消費電力性および小型・薄型化の観点から広く利用され、通常はTN(ツイストネマチック)モードによって駆動されている。
【0003】
しかしながら、この方式を採用した場合、表示されている画像を変えるためには、素子中における液晶化合物の分子の位置を変える必要があるために、駆動時間が長くなり、液晶化合物の分子位置を変えるために必要とする電圧、すなわち消費電力も大きくなるという問題点がある。
【0004】
こうした液晶素子の中で強誘電性液晶化合物を用いたスイッチング素子は、TNモードあるいはSTNモードを利用したスイッチング素子とは異なり、強誘電性液晶化合物のもつ自発分極(Ps)と電界強度(E)とにより与えられるPs×Eの値が液晶化合物の分子の配向方向を変えるための実効エネルギー強度であるので、スイッチング時間が非常に短縮される。そして、このような強誘電性液晶化合物は、印加電界の方向によって二つの安定状態、すなわち双安定性を持つので、スイッチングのしきい値特性も非常に良好であり、動画用の表示デバイスなどとして用いるのに特に適している。
【0005】
しかしながら、このような強誘電性液晶化合物を光スイッチング素子などに使用する場合、上記のような問題点の他に次のような問題点が指摘されている。
その第一は、自発分極に起因する残像現象(スイッチング不良)である。すなわち、こうした強誘電性液晶化合物の有する二つの一様状態を利用して表示を行おうとする場合には、セルの基板間で双極子を配向させ、ある一定時間この配向状態を保持させる必要がある。このセルの基板間に生じた電荷の分極によって形成された内部電場は、強誘電性液晶化合物が他の一様状態に移行してスイッチングを行う際の障害になる。
【0006】
第二は機械的ショックに対する安定性の悪さである。スメクチック液晶はネマチック液晶と異なり、層構造を有する一次元結晶であるので、一度乱れた配向の修復は基本的に困難である。また、セル内で液晶層がくの字に屈曲したシェブロン構造や分子がねじれたツイスト構造をとりやすく、高いコントラストとメモリー性が得られない。
【0007】
このように強誘電性液晶化合物の有する特性を利用して光スイッチング素子などを駆動させようとする場合、こうした光スイッチング素子等には上記のような本質的な問題点があることも認識されてきている。
【0008】
【従来技術における問題点】
それに対して、反強誘電性液晶は、強誘電性液晶に匹敵する高速応答性を有すると共に、単純マトリックス駆動に適したダブルヒステリシス特性を有し、しかも安定に配向するという特長を有する液晶であり、動作モードは電場誘起相転移スイッチングモードである。すなわち、電場ゼロのときには、隣接する分子が相互に反対方向に双極子を向けた反強誘電状態をとり、自発分極はゼロであるが、しきい値以上の電圧を印加すると、電場の極性に応じて二つの強誘電状態が誘起される。そして、この反強誘電状態から強誘電状態への電場によるスイッチング時間(立上り時間)が強誘電性液晶に匹敵する程度に高速である。一方、強誘電状態から反強誘電状態へのスイッチング時間(立下り時間)は立上り時間より一桁以上遅いのがほとんどである。このように反強誘電性液晶は、この電場において用いた反強誘電性液晶が有する特異的なダブルヒストリシス曲線と急峻なしきい値特性を示し、これらの特性を利用することにより反強誘電性液晶を用いた三状態スイッチングを行うことができるのである。
【0009】
反強誘電性液晶を表示デバイスに用いる場合、立上り時間はフレーム周波数、表示ライン数や表示の明るさに係わる重要な材料物性である。立上り時間が大きい(遅い)とライン数を多くとれず高精細な画像を表示できない。また書き込み時間内に十分なスイッチングか起こらないため、所望の明るさに到達できない。従って高精細で明るいなど、高画質を達成するためには、立上り時間は小さい(速い)ことが望ましい。
【0010】
さらに、反強誘電状態から強誘電状態への電場によるスイッチングのしきい値は、駆動条件に係わる重要な材料物性である。しきい値電圧が大きいと、駆動回路に必要とされる電圧が大きくなり、駆動波形の選択許容範囲が狭まり、構成回路のコスト高となる。従って駆動波形を容易に設計し、かつ安価に回路を作製するためには、しきい値は小さいことが望ましい。
【0011】
しかしながら、これまでに開発された反強誘電性液晶の中にはデバイスとして用いた場合、立上り時間が大きく、またはしきい値電圧が十分低くないものが、かなりあった。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、上記したような従来技術に伴う問題点を解決するためになされたものであり、エーテル基を有するフェニルピリミジン化合物、これを含む液晶材料、これを含む新規な液晶組成物、およびこれを用いた液晶素子を提供することを目的としている。さらに詳しくは、本発明は、作動温度が広く、スイッチング速度が大きく、消費電力が極めて少なく、画質が高く、駆動が容易でありしかも安定したコントラストが得られる液晶素子を形成し得る新規液晶材料、液晶組成物、およびこれを用いた液晶素子を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明の化合物は、次式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなる。
【0014】
【化5】
Figure 0003636522
【0015】
上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアルキル基またはペルフルオロアルキル基を表す。ただし、このR基中に存在する1個、または隣接していない2個以上の-CH2-基、または-CF2-基は、-O-基で置き換えられていてもよい。
【0016】
また、Xは、-O-基または単結合を表し、
2は、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表す。
さらに、mは2〜6のいずれかの整数を表す。
【0017】
また、本発明の液晶材料は、上記式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなる。
また、本発明の液晶組成物は、上記式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を含有することを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明の液晶素子は、隙間を設けて互いに対抗する2枚の基板から構成されるセルと、前記基板間の間隙に充填される液晶組成物とを有する液晶素子であって、前記液晶組成物が、上記[I]で示されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を含有することを特徴としている。
【0019】
本発明により新規なエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物が提供される。このエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を用いて良好な液晶材料を得ることができる。そして、この液晶材料を含む液晶組成物およびこれを用いた液晶素子によれば、動作温度範囲が広く、スイッチング速度が大きく(高速であり)、消費電力がきわめて少なく、画質が高く、駆動が容易であり、しかも安定したコントラストが得られるなどの優れた特性を有する各種デバイスを得ることができる。
【0020】
【発明の具体的説明】
以下、本発明のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物、この化合物からなる液晶材料、この液晶材料を含む液晶組成物および液晶素子を具体的に説明する。
【0021】
まず、本発明の液晶材料について説明する。
本発明に係る化合物は、次式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなる。
【0022】
【化6】
Figure 0003636522
【0023】
ここで、Rが炭素数3〜20のアルキル基である場合には、このアルキル基は、直鎖状、分枝状および脂環状のいずれの形態であってもよいが、Rが直鎖状のアルキル基であるカルボン酸エステル化合物の分子は、まっ直ぐに伸びた剛直構造をとるため、優れた液晶性を示す。このような直鎖状のアルキル基の具体的な例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびオクタデシル基などを挙げることができる。
【0024】
また、Rが炭素数3〜20のポリフルオロアルキル基の例としては、上記のようなアルキル基の水素原子の一部、もしくはすべてが、F原子で置換された基を挙げることができる。
【0025】
また、それらの基中に存在する1個、または隣接していない2個以上の-CH2-あるいは-CF2-基が、-O-基で置き換えられているアルキル基として、(2-ヘキシルオキシ)エトキシ基、[(2'-ブトキシ)-2-エトキシ]エトキシ基およびノニルオキシメチル基などを挙げることができる。
【0026】
さらに、上記式[I]において、Xは、-O-あるいは単結合よりなる群から選ばれる基あるいは結合を表す。
また、式[I]において、mは、2〜6のいずれかの整数を表す。
【0027】
さらに、上記式[I]において、R2は、炭素数1〜4の直鎖状のアルキル鎖を表す。
本発明の液晶材料は、上記式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなり、このような液晶材料としては、具体的には次表1に記載した化合物を挙げることができる。
【0028】
なお、以下に記載する表において、R、X、m、R2は、上記式[I]式中の基である。
【0029】
【化7】
Figure 0003636522
【0030】
【表1】
Figure 0003636522
【0031】
上記のような化合物を構成するエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物は、公知の合成技術を組み合わせて利用することにより製造することができる。例えば、上記のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物は、以下に示す合成経路に従って合成することができる。
【0032】
式中、Rは炭素数3〜20のアルキル基であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基である。
【0033】
【化8】
Figure 0003636522
【0034】
即ち、本発明のエーテル化合物は、例えば上記のようにして製造することができる。トリフルオロメチル基を含むケトン(v)を還元剤で還元するすることにより含フッ素アルコール(vi)を得る。ここで用いられる還元剤としては、カルボニル基をヒドロキシ基に変換できる試薬であれば特に制限されることはなく、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムを挙げることができる。また、ここで使用される反応溶媒は、還元剤として例えば水素化アルミニウムリチウムを用いる場合ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を用いることが好ましい。この反応温度には特に制限はないが、通常は室温付近で反応させる。さらに、含フッ素アルコール(vi)を常法によりエステル化してエステル化合物(vii)を得る。ここで使用されるエステル化剤としては、カルボン酸塩化物が好ましく、具体的には、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリルなどを使用することができる。
【0035】
次いで、得られたエステル化合物(vii)を加水分解酵素を用いて不斉加水分解を行い光学活性アルコール(viii)を得る。ここで使用される加水分解酵素としては、例えばリパーゼP、リパーゼMY、リパーゼOF、セルラーゼ等を挙げることができる。この加水分解酵素は、通常、原料のエステル化合物(vii)1ミリモルあたり、500〜5000unitの範囲内の量で使用される。この反応は、通常は、水中あるいはメタノール、エタノール等の水性溶媒と水との混合溶媒中で行われる。原料のエステル化合物(vii)は、これらの溶媒に対して、通常は、1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%の範囲内の量で使用される。反応混合物のpH値は、6〜8の範囲内にあることが好ましく、反応温度は、通常は、10〜40℃程度である。
【0036】
次に市販のアルコキシフェニルピリミジン化合物(iv)とを脱水縮合剤と触媒の存在下に、塩化メチレン、クロロホルム等の溶媒中で反応させることができる。ここで脱水縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどを用いることができる。また、触媒としては、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン等の有機塩を用いることができる。
【0037】
以上、上記式[I]においてmが2である含フッ素エーテル化合物の合成方法について説明したが、式[I]において、mが3〜6即ちメチレン基が3〜6の整数である光学活性アルコールを使用すれば上記との同様にして合成することができる。
【0038】
なお、上記の方法は、エーテル基を有するフェニルピリミジン化合物[I]の製造法の一例であり、本発明のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物[I]は、この方法により限定されるものではない。
【0039】
上記のようにして得られた式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物およびこの化合物からなる液晶材料は、強誘電性液晶化合物または反強誘電性液晶化合物として使用することができる。
【0040】
そして、本発明のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなる液晶材料、または液晶組成物を用いれば、動作温度範囲が広く、スイッチング速度が大きく(高速であり)、消費電力がきわめて少なく、画質が高く、駆動が容易であり、しかも安定したコントラストが得られるなどの優れた特性を有する各種デバイスを得ることができる。このような液晶化合物を用いて製造された液晶素子、例えば光スイッチング素子は、高速応答性にも優れており、また安定したコントラストが得られる。
【0041】
本発明の液晶材料は単独で使用することもできるが、他の液晶材料と混合することにより液晶組成物として使用することもできる。例えば、本発明の液晶材料は、反強誘電性液晶組成物もしくは強誘電性液晶組成物の主剤、あるいは他のスメクチック相を呈する化合物を主剤とする液晶組成物の助剤として使用することができる。すなわち、本発明のエーテル化合物の内、スメクチック相を呈する化合物は、液晶組成物の主剤として、あるいは他の液晶材料を主剤とする液晶組成物の助剤として使用することができ、またスメクチック相を示さない化合物は、他の液晶材料を主剤とする液晶組成物の助剤として使用することができる。
【0042】
特に、本発明の式[I]で表される化合物と共に使用できる液晶化合物のうちで特に好ましい例を以下に示す。
【0043】
【化9】
Figure 0003636522
【0044】
【化10】
Figure 0003636522
【0045】
本発明の液晶組成物は上記式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物および上記例示した化合物をはじめとする他の化合物を含有している。この液晶組成物中における式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物の配合割合は、得られる液晶組成物の特性等を考慮して任意に設定することができる。本発明の組成物は、この組成物中における化合物の総量100重量部中に式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を、通常は0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜12重量部の範囲内の量で含有している。
【0046】
この液晶組成物中には、本発明の液晶材料に加えて、さらに、例えば電導性賦与剤および寿命向上剤等、通常の液晶組成物に配合される添加剤が配合されていてもよい。
【0047】
本発明で使用される液晶組成物は、上記のような液晶化合物ならびに所望により他の液晶材料および添加剤を混合することにより製造することができる。
上述した液晶材料を含有する液晶組成物は、電圧を印加することにより、光スイッチング現象を起こすので、この現象を利用して応答性の良い表示装置を作成することができる。本発明において、このような現象を利用した素子あるいは素子の駆動方法に関しては、例えば特開昭56-107216号、同59-118744号公報を参照することができる。
【0048】
このような表示装置で使用される液晶材料は、スメクチックC相、F相、G相、H相、I相、J相およびK相のいずれかの相を示す化合物を使用することができるが、一般にスメクチックC相以外では、このような液晶物質を用いた表示素子の応答速度が一般に遅くなる(低くなる)ため、従来から、実用上は応答速度の高いスメクチックC相で駆動させることが有効であるとされていた。
【0049】
しかしながら、本発明者が特開平2-918号公報で既に提案したようなスメクチックA相における表示装置の駆動方法を利用することにより、本発明においてはスメクチックC相だけでなく、スメクチックA相で使用することもできる。すなわち、この駆動方法を利用することにより、本発明の液晶素子を広い範囲で駆動させることができるようになると共に、電気光学対応性の高速化を図ることができる。
【0050】
本発明の液晶素子は、液晶組成物が充填されたセルと偏光板とからなる。すなわち、本発明の液晶素子は、例えば、図1に示すように、液晶組成物を充填する間隙14を形成するように配置された二枚の透明基板11a,11bと、この二枚の透明基板11a,11bの液晶組成物12に対面する面に形成された透明電極15a,15bとからなるセル13と、このセル13の間隙14に充填された液晶組成物12およびこのセル13の両外側に一枚ずつ配置された偏光板(図示なし)から形成されている。
【0051】
本発明において、透明基板としては、例えば、ガラスおよび透明高分子板等を用いることができる。透明基板の厚さは、例えばガラス基板の場合には通常は0.01〜1.0mmの範囲内にある。
【0052】
また、本発明においては、透明基板として、可撓性透明基板を用いることもできる。この場合、透明基板の少なくとも一方の基板として可撓性透明基板を用いることができ、さらに両者とも可撓性基板であってもよい。このような可撓性透明基板としては、高分子フィルム等を用いることができる。
【0053】
このような透明基板の表面には透明電極が設けられている。透明電極は、例えば酸化インジウム、酸化スズ等で透明基板表面をコーティングすることにより形成される。透明電極は、公知の方法により形成することができる。透明電極の厚さは通常は100〜2000オングストロームの範囲内にある。
【0054】
このような透明電極が設けられた透明基板には、さらに透明電極上に配向層あるいは強誘電体層が設けられていてもよい。配向層としては、例えば有機シランカップリング剤あるいはカルボン酸多核錯体等を化学吸着させることにより形成される有機薄膜および無機薄膜を挙げることができる。有機薄膜の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール(ポバール)およびポリイミドなどの高分子薄膜を挙げることができる。このような有機薄膜は、塗布、接着、蒸着、基板上での重合(例えばプラズマ重合)等の方法を利用することにより形成することができる。
【0055】
また、無機薄膜の例としては、酸化珪素、酸化ゲルマニウムおよびアルミナ等の酸化物薄膜、窒化珪素のような窒化物薄膜並びに他の半導体薄膜を挙げることができる。このような無機薄膜は、蒸着(例えば斜方蒸着)およびスパッタリングなどの方法を利用して形成することができる。
【0056】
さらに、上記のような薄膜に配向性を賦与する方法としては、膜成形時に薄膜自体に異方性あるいは形状特異性を賦与する方法、薄膜作成後に外部から配向性を賦与する方法がある。具体的には、透明電極上にポリイミド樹脂などの高分子物質を塗布して薄膜を形成した後、この薄膜を一定方向にラビングする方法、高分子フィルムを延伸して配向性を賦与する方法、酸化物を斜方蒸着する方法などを挙げることができる。
【0057】
このような薄膜、例えば配向層等は後述のスペーサを兼ねるように形成されていてもよい。
上記のような透明基板を、透明電極が対面し、そしてこの透明基板により液晶組成物を充填する間隙が形成されるように二枚配置する。上記のようにして形成される間隙の幅は、通常は1〜10μm、好ましくは1〜5μmである。このような間隙は、例えば、スペーサを挟持するように二枚の基板を配置することにより、容易に形成することができる。このようなスペーサとしては、例えば、感光性ポリイミド前駆体をパターニングして得られるポリイミド系高分子物質等を用いることができる。スペーサを用いることにより、このスペーサと液晶分子との界面効果により、モノドメインが形成される。また、このスペーサは、例えば図2および図3に示すような形態であってもよい。図2(a)には、同心円状のスペーサ26を有する液晶素子の例であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。図2(a)および(b)において、27は透明基板であり、25は透明電極であり、26はスペーサの断面であり、23は充填された液晶組成物である。また、図3(a)およびこの断面を示す図3(b)には櫛形スペーサ36を有する液晶素子が示されている。図3(a)および(b)において、37は透明基板であり、35は透明電極であり、36はスペーサの断面であり、33は充填された液晶組成物である。
【0058】
また、本発明では上記のようなスペーサの他に、図4に示すように液晶材料43中にファイバー46を配合して、このファイバー46により、透明電極45が付設された透明基板47が一定の間隙を形成するように保持することもできる。
【0059】
さらに、上記ファイバーの代わりに、あるいは上記ファイバーと共に粒状物を配合することもできる。
このような粒状物としては、メラミン樹脂、尿素樹脂あるいはベンゾグアナミン樹脂等からなる粒子径が1〜10μmの粒状物を挙げることができる。
【0060】
上記のようにして間隙を形成して配置された二枚の透明基板は、通常は周辺をシール材でシールすることにより貼り合わされる。シール材としては、エポキシ系樹脂およびシリコン系樹脂等を用いることができる。さらに、このエポキシ樹脂等がアクリル系材料あるいはシリコン系ゴム等で変性されていてもよい。
【0061】
上記のような構成を有する液晶セルの間隙には、上述したような式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリジン化合物を含む液晶組成物が充填されている。
【0062】
液晶セルの間隙に充填されたこのような液晶組成物は、たとえばスペーサエッジを利用した温度勾配法あるいは配向膜を用いた表面処理法等の一軸配向制御方法を利用して配向させることができる。また、本発明においては、例えば、液晶組成物を加熱しながら、直流バイアス電圧を用いて電界を印加することにより、液晶化合物の初期配向を行うこともできる。
【0063】
このようにして液晶組成物が充填され、初期配向された液晶セルは、二枚の偏光板の間に配置される。さらに図5に示すように、上記ようにして調製された二枚の透明基板57、透明電極55および液晶組成物53からなるセル58を、この二枚の偏光板56の間に二個以上配置することもできる。
【0064】
本発明の液晶素子において、それぞれの偏光板の偏光面のなす角度が70〜110度になるように配置することができる。そして、この二枚の偏光板の偏光方向が直交するように、すなわち上記角度が90度になるように偏光板を配置することが好ましい。
【0065】
このような偏光板としては、例えばポリビニルアルコール樹脂フィルム、ポリビニルブチラール樹脂フィルム等の樹脂フィルムをヨウ素等の存在下で延伸することによりフィルム中にヨウ素を吸収させて偏光性を賦与した偏光フィルムを用いることができる。このような偏光フィルムは、他の樹脂などで表面を被覆して多層構造にすることもできる。
【0066】
本発明において、上記のような液晶セルは、上記のように配置された偏光板の間に、透過する光量が最も少ない状態(すなわち、最暗状態)から±10度の範囲内の角度(回転角度)を形成するように、好ましくは最暗状態になるように二枚の偏光板の間に配置することができる。さらに、上記のように配置された偏光板の間に、透過する光量が最も多い状態(すなわち、最明状態)から±10度の範囲内の角度(回転角度)を形成するように、好ましくは最明状態になるように二枚の偏光板の間に配置することができる。
【0067】
本発明の液晶素子は、図1に示すように、上記のような液晶物質12をセル13の間隙14に充填して、この液晶物質12を初期配向させることにより製造することができる。
【0068】
液晶組成物12は、通常、溶融状態になるまで加熱され、この状態で内部が減圧にされているセルの間隙14に充填(注入)される。このように液晶組成物を充填した後、セル13に設けられている液晶物質の注入口は密封される。
【0069】
次いで、このように注入口が密封されたセル13をセル内に充填された液晶組成物12が等方相を示す温度以上の温度に加熱し、その後、この液晶組成物12が液晶を示す温度にまで冷却する。
【0070】
そして、本発明においては、この冷却の際の降温速度を2℃/分以下にすることが好ましい。特に降温速度を0.1〜2.0℃/分の範囲内にすることが好ましく、さらに0.1〜0.5℃/分の範囲内にすることが特に好ましい。このような冷却速度でセル13を冷却することにより、液晶化合物12の初期配合状態が改善され、配向欠陥の少ないモノドメインが形成された液晶素子を容易に製造することができる。ここで初期配向性とは、液晶素子に電圧の印加等を行って液晶化合物の配向ベクトルを変える前の液晶材料の配列状態をいう。
【0071】
このようにして形成される本発明の液晶素子は、従来の液晶素子と比較して、コントラスト等の特性が著しく優れ、例えば表面安定化強誘電性液晶素子、表面安定化反強誘電性液晶素子、ヘリカル変調素子、過渡光散乱型素子、ゲストホスト型素子、垂直配向液晶素子などとして好適に使用することができる。
【0072】
例えば、本発明の液晶素子に、電界を印加することによりこの液晶素子を駆動させる場合には、周波数が通常は1Hz〜100KHz、好ましくは10Hz〜10KHz、電界が通常は0.01〜60Vp-p/μmt(厚さ1μm当たりの電圧)、好ましくは0.05〜30Vp-p/μmtに制御された電界をかけることにより駆動させることができる。
【0073】
そして、前記式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を使用した本発明の液晶素子は、電界を印加して駆動する際に印加する電界の波形(駆動波)の幅を変えることにより、この液晶素子を透過する光量が2種類のヒステリシス曲線を描くようになる。このうち一方は、いわゆる双安定型を利用する駆動方法であり、もう一方は、いわゆる三安定型を利用する駆動方法である。
【0074】
上記のような光学活性を有する液晶組成物が充填された液晶セルを、偏光面が直交するように配置された二枚の偏光板の間に、電界を印加しない状態で最暗状態になるように配置した本発明の液晶素子に、例えば周波数50Hz〜100KHz、好ましくは70Hz〜10KHzの矩形波(あるいはパルス波)、三角波、正弦波およびこれらを組み合わせた波形の内のいずれかの波形の電界を印加することによりこの液晶素子を駆動させることができる。例えば、矩形波(あるいはパルスまたは両者の組み合わせ波)を印加する場合には、電界の幅を10ミリ秒以下、好ましくは0.01〜10ミリ秒の範囲内にすることにより、液晶素子の駆動速度を高くすることができ、この領域では本発明の液晶素子を双安定型液晶素子として、または、三安定型液晶素子として使用することができる。ここで、電界の幅とは、例えば矩形波においては、所定の電圧に維持される電界の長さ(すなわち時間)を意味する。
【0075】
本発明の液晶素子を用いて各種の液晶表示装置および電気光学表示装置を製造することができる。また、本発明の液晶素子の内、スメクチック相を呈する液晶組成物が充填された液晶素子は、熱書き込み型液晶表示素子、レーザー書き込み型液晶表示素子等の記憶型液晶表示装置のような液晶表示装置あるいは電気光学表示装置を製造することができる。さらに、反強誘電性を有する含フッ素カルボン酸エステル化合物を含有する液晶材料を用いることにより、上記のような用途の他、光シャッターあるいは液晶プリンターなどの光スイッチング素子、圧電素子および焦電素子のような液晶表示装置あるいは電気光学表示装置を製造することができる。すなわち、本発明で使用される液晶素子は、三安定または双安定性を示すため、双安定状態を達成するように液晶にかける電界を反転させることにより、本発明の液晶素子に光スイッチング機能あるいは表示機能をもたせることができる。
【0076】
さらに、前記式[I]で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を用いた本発明のスイッチング素子では、分子の配向方向を変えるだけでスイッチング操作が可能になり、この場合、電界強度の一次項がこのスイッチング素子の駆動に作用するため、本発明のスイッチング素子では低電圧駆動が可能になる。
【0077】
そして、このスイッチング素子を用いることにより、数十μ秒以下の高速応答性を実現することができるので、素子の操作時間は大幅に短縮される。従って、本発明の液晶素子を用いることにより走査線の多い大画面のディスプレイ(液晶表示装置)を容易に製造することができる。しかも、このディスプレイは、室温あるいはそれ以下の温度で駆動させることができるので、駆動温度をコントロールするための補助手段を用いることなくこのディスプレイを駆動させることができる。
【0078】
さらに、本発明で使用される含フッ素カルボン酸エステル化合物は、一般には双安定性を示さないとされているスメクチックA相においても、電界が印加されると誘起的に分子が傾くので、この性質を利用して光スイッチングを行うことできる。すなわち、従来強誘電性液晶化合物を用いる場合には実用的な応答速度を達成できないために通常は使用されていなかったスメクチックA相においても、本発明者が既に特願昭64-3634号および特開平2-918号で提案した駆動法および装置を利用することにより、本発明の液晶素子からなる表示装置を駆動させることが可能である。さらに、本発明で使用される含フッ素カルボン酸エステル化合物は、スメクチックC相よりもさらに高い秩序を有するスメクチックF相などにおいても、二つ以上の安定状態を示すので、これらの相における複数の安定状態を利用して上記と同様にして光スイッチングを行うことができる。
【0079】
本発明の液晶素子を用いた表示装置は、種々の方法で駆動させることができるが、この駆動方法の具体的な例としては以下に記載する方法を挙げることができる。
【0080】
第1の方法は、本発明の液晶素子を二枚の偏光板の間に介在させ、この液晶素子に外部電圧を印加し、液晶材料の配向ベクトルを変えることにより、二枚の偏光板と液晶材料との複屈折を利用して表示を行う方法である。
【0081】
第2の方法は、二色性色素が配合された液晶材料を用いて色素の二色性を利用する方法である。この方法は液晶化合物の配向方向を変えることにより色素による光の吸収波長を変えて表示を行う方法である。この場合に使用される色素は、通常二色性色素であり、このような二色性色素の例としては、アゾ色素、ナフトキノン色素、シアニン系色素およびアントラキノン系色素等を挙げることができる。
【0082】
本発明の液晶素子を用いて形成される表示装置は、スタティック駆動、単純マトリックス駆動および複合マトリックス駆動等の電気アドレス表示方式、光アドレス表示方式、熱アドレス表示方式並びに光ビーム表示方式により駆動させることができる。
【0083】
また、本発明の表示装置を電界駆動する際には各画素を駆動させるための素子として、非線形素子あるいは能動素子を用いることができる。より具体的には、2端子素子の非線形素子としては、例えば図6(a)に示すように一方の透明基板上にバリスタ、MIM(Metal Insulator Metal)、ダイオードなどを配置し、これらの非線形性を利用した素子を挙げることができる。また、3端子素子の能動素子としては、例えば図6(b)に示すように、TFT(薄膜トランジスタ)、Si-MOS(Si-metal oxide semi conductor field-effect transistor)、SOS(Sillicon on Sapphire)などが画素に配置された素子を挙げることができる。
【0084】
【発明の効果】
本発明によりエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を用いた新規な液晶材料が提供される。
【0085】
このエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物は、光学的に活性であり、強誘電性液晶化合物あるいは反強誘電性液晶化合物として使用することもできる。
【0086】
このような本発明の液晶材料に、同種および/または他種の液晶物質を配合することにより、本発明の液晶材料の反強誘電性あるいは強誘電性を損なうことなく、立上り時間を低減でき、またはしきい値を低減できる。
【0087】
従って、このような液晶材料を用いることにより、広い温度範囲において高速応答性を有する液晶素子等を得ることができる。
さらに、このような素子を用いて製造した液晶ディスプレイにおいては、操作時間を大幅に短縮することができる。このようなディスプレイでは、消費電力の低減を図ることができる。また立上り時間が小さいため高画質の実現が可能となり、しきい値が小さいことから駆動回路を安価に製造することができる。
【0088】
また、本発明のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を反強誘電性液晶化合物として使用する場合、メモリー性の実現が容易になり、配向性を向上させるなどの特性を付与することができる。
【0089】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、化合物名中に記載した「R」、「S」は光学活性体のR体、S体を表わす。また、実施例中の相転移温度の測定、および相の同定は、DSCならびに液晶素子を作製し、その電場応答を偏光顕微鏡で観察する方法により実施した。
【0090】
【実施例1】
2-(5-オクチルオキピリミジン-2-イル-4-安息香酸 (R)-1-トリフルオロメチル-4-メトキシプロピエステル[例示化合物(3)]の合成
【0091】
【化11】
Figure 0003636522
【0092】
第1段階
みどり化学(株)製PB−08、2-(5-オクチルオキピリミジン-2-イル-4-安息香酸0.33g(1.0ミリモル)、(R)-1-トリフルオロメチル-4-メトキシプロパノール0.15g(1.0ミリモル)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン0.02g(0.2ミリモル)および塩化メチレン10mlの混合物に、ジシクロヘキシルカルボジイミド0.25g(1.2ミリモル)を含有する塩化メチレン溶液5mlを室温で、攪拌下に4時間かけて滴下した。滴下後さらに室温で15時間反応させた。
【0093】
反応混合物を濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、半固体0.29gを得た(収率:61%)。
【0094】
この半固体のFD−マススペクトルの値はM/e=468であった。
図9にこの化合物の1H−NMRスペクトルのチャ−トを示す。
これらの分析の結果より、この化合物は目的とする2-(5-オクチルオキピリミジン-2-イル-4-安息香酸 (R)-1-トリフルオロメチル-4-メトキシプロピエステル[例示化合物(3)]であると同定した。
【0095】
この液晶化合物の相転移温度を以下に示す。
【0096】
【表2】
Figure 0003636522
【0097】
【実施例2】
次式[3]で表される例示化合物(3)と、次式[A][B1]で表される化合物とを、(3):[A]:[B1]=8:72:20のモル比で混合して本発明の液晶組成物を製造した。この組成物の立上り時間、しきい値、5℃での立上り時間と相転移温度を測定した結果を表3に示す。
【0098】
なお、本発明において立上り時間は下記の方法で測定した値である。
立上り時間の測定
強誘電状態から反強誘電状態へのスイッチング(Switching from the F-state to the AF-state)に要する時間を立上り時間とした。図7に示すパルス波を試験セルに印加し、その時の透過係数をモニターする。得られたチャートから下式により立上り時間を求めることができる。なお、上記立上り時間を求めた際の条件は、±30V/2μm、パルス幅50m秒、パルス間隔450m秒である。
【0099】
立上り時間 = tr90 − tr0
また、しきい値は下記の方法で測定した値である。
しきい値
電圧無印加状態で暗視野となるように直交ニコルの偏光子間に試験セルを配置する。この試験セルに±30V/2μm、0.01Hzの三角波電圧を印加し、その時の透過係数をモニターする。モニターして得られたチャート(図8)からしきい値を求めることができる。
【0100】
【化12】
Figure 0003636522
【0101】
【比較例1】
実施例2で用いた式[3]で示される化合物の代わりに式[C]で示される化合物を用いた以外は、実施例2と全く同様にして組成物を作製し測定を行った。
【0102】
【化13】
Figure 0003636522
【0103】
【表3】
Figure 0003636522
【0104】
表3から、上記式(3)で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物(3)を含む本発明の液晶組成物は、上記式[C]で表されるフェニルピリミジン化合物を含む液晶組成物に比べて、立上り時間が小さく(すなわち高速であり)、しきい値が小さいことがわかる。
【0105】
【実施例3】
次式[3]で表される例示化合物(3)と、次式[A][B2]で表される化合物とを、(3):[A]:[B2]=8:72:20のモル比で混合して本発明の液晶組成物を製造した。この組成物の立上り時間、しきい値、5℃での立上り時間と相転移温度を測定した結果を表4に示す。
【0106】
【化14】
Figure 0003636522
【0107】
【比較例2】
実施例3で用いた式[3]で示される化合物の代わりに式[C]で示される化合物を用いた以外は、実施例3と全く同様にして組成物を作製し測定を行った。
【0108】
【化15】
Figure 0003636522
【0109】
【表4】
Figure 0003636522
【0110】
表4から、上記式(3)で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物(3)を含む本発明の液晶組成物は、上記式[C]で表されるフェニルピリミジン化合物を含む液晶組成物に比べて、立上り時間が小さく(すなわち高速であり)、しきい値が小さいことがわかる。
【0111】
【実施例4】
次式[3]で表される例示化合物(3)と、次式[A][B3]で表される化合物とを、(3):[A]:[B3]=8:72:20のモル比で混合して本発明の液晶組成物を製造した。この組成物の立上り時間、しきい値、5℃での立上り時間と相転移温度を測定した結果を表4に示す。
【0112】
【化16】
Figure 0003636522
【0113】
【比較例3】
実施例3で用いた式[3]で示される化合物の代わりに式[C]で示される化合物を用いた以外は、実施例3と全く同様にして組成物を作製し測定を行った。
【0114】
【化17】
Figure 0003636522
【0115】
【表5】
Figure 0003636522
【0116】
表5から、上記式(3)で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物(3)を含む本発明の液晶組成物は、上記式[C]で表されるフェニルピリミジン化合物を含む液晶組成物に比べて、立上り時間が小さく(すなわち高速であり)、しきい値が小さいことがわかる。
【0117】
【実施例5】
次式[3]で表される例示化合物(3)と、次式[A][B4]で表される化合物とを、(3):[A]:[B4]=8:72:20のモル比で混合して本発明の液晶組成物を製造した。この組成物の立上り時間、しきい値、5℃での立上り時間と相転移温度を測定した結果を表5に示す。
【0118】
【化18】
Figure 0003636522
【0119】
【比較例4】
実施例4で用いた式[3]で示される化合物の代わりに式[C]で示される化合物を用いた以外は、実施例4と全く同様にして組成物を作製し測定を行った。
【0120】
【化19】
Figure 0003636522
【0121】
【表6】
Figure 0003636522
【0122】
表6から、上記式(3)で表されるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物(3)を含む本発明の液晶組成物は、上記式[C]で表されるフェニルピリミジン化合物を含む液晶組成物に比べて、立上り時間が小さく(すなわち高速であり)、しきい値が小さいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の液晶素子の断面形状を模式的に例示する図である。
【図2】図2は、同心円状のスペーサを有する本発明の液晶素子の例を示す図である。
【図3】図3は、櫛形のスペーサを有する本発明の液晶素子の例を示す図である。
【図4】図4は、スペーサとしてファイバーを用いた本発明の液晶素子の断面構造を示す図である。
【図5】図5は、二枚の偏光板をセルに配置した本発明の液晶素子の断面構造を示す図である。
【図6】図6は、非線形素子および3端子素子の例を示す図である。
【図7】図7は、立上り時間を測定するために印加したパルス波を示すチャートである。
【図8】図8は、ヒステリシスの急峻性をチャートから求める方法の例を示す図である。
【図9】図9は、2-(5-オクチルオキピリミジン-2-イル-4-安息香酸 (R)-1-トリフルオロメチル-4-メトキシプロピエステル[例示化合物(3)]の1H−NMRスペクトルのチャ−トである。
【符号の説明】
11a,11b,27,37,47,57・・・透明基板
12,23,33,43,53・・・液晶材料(組成物)
13,58・・・セル
14・・・間隙
15a,15b,25,35,45,55・・・透明電極
26・・・同心円形状のスペーサ
36・・・クシ型スペーサ
46・・・ファイバー
56・・・偏光板

Claims (8)

  1. 次式[I]で表わされるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物;
    Figure 0003636522
    [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアルキル基またはペルフルオロアルキル基を表し(ただし、これらの基中に存在する1個、または隣接していない2個以上の-CH2-基または-CF2-基は、-O-基で置き換えられていてもよい)、
    Xは、-O-基または単結合を表し、
    2は、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基であり、
    mは2〜6のいずれかの整数である]。
  2. 上記式[I]において
    Rは、炭素数6〜18のアルキル基を表し、
    Xは、-O-基を表し、
    2は、−CH3基であり、
    mは、2であることを特徴とする請求項第1項記載のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物。
  3. 次式[I]で表わされるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなる液晶材料;
    Figure 0003636522
    [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアルキル基またはペルフルオロアルキル基を表し(ただし、これらの基中に存在する1個、または隣接していない2個以上の-CH2-基、または-CF2-基は、-O-基で置き換えられていてもよい)、
    Xは、-O-基または単結合を表し、
    2は、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、
    mは2〜6のいずれかの整数である]。
  4. 上記式[I]において、
    Rは、炭素数6〜18のアルキル基を表し、
    Xは、-O-基を表し、
    2は、−CH3基を表し、
    mは、2であることを特徴とする請求項第3項記載のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物からなる液晶材料。
  5. 次式[I]で表わされるエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を含有する液晶組成物;
    Figure 0003636522
    [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアルキル基またはペルフルオロアルキル基を表し(ただし、これらの基中に存在する1個、または隣接していない2個以上の-CH2-基、または-CF2-基は、-O-基で置き換えられていてもよい)、
    Xは、-O-基または単結合を表し、
    2は、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を
    mは2〜6のいずれかの整数を表す]。
  6. 上記式[I]において、
    Rは、炭素数6〜18のアルキル基を表し、
    Xは、-O-基を表し、
    2は、−CH3基を表し、
    mは、2であることを特徴とする請求項第5項記載のエーテル基を有するフェニルピリミジン化合物を含有する液晶組成物。
  7. 隙間を設けて互いに対向する二枚の基板と該基板によって構成されるセルと、前記基板間の間隙に充填される液晶組成物とを有する液晶素子であって、
    該液晶組成物が下記式[I]で表されるカルボン酸エステル化合物を含有することを特徴とする液晶素子;
    Figure 0003636522
    [上記式[I]において、Rは、炭素数3〜20のアルキル基またはペルフルオロアルキル基を表し(ただし、これらの基中に存在する1個、または隣接していない2個以上の-CH2-基、または-CF2-基は、-O-基で置き換えられていてもよい)、
    Xは、-O-基または単結合を表し、
    2は、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、
    mは2〜6のいずれかの整数である]。
  8. 上記式[I]において、
    Rは、炭素数6〜18のアルキル基を表し、
    Xは、-O-基を表し、
    2は、−CH3基を表し、
    mは、2であることを特徴とする請求項第7項記載の液晶素子。
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