JPH0625044B2 - 害虫駆除用発泡体およびそれを用いた害虫駆除法 - Google Patents

害虫駆除用発泡体およびそれを用いた害虫駆除法

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JPH0625044B2
JPH0625044B2 JP62093978A JP9397887A JPH0625044B2 JP H0625044 B2 JPH0625044 B2 JP H0625044B2 JP 62093978 A JP62093978 A JP 62093978A JP 9397887 A JP9397887 A JP 9397887A JP H0625044 B2 JPH0625044 B2 JP H0625044B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は害虫駆除用発泡体およびそれを用いた害虫駆除
法,特に,カミキリムシ類,コガネムシ類などの害虫に
対し優れた殺虫効果を有する害虫駆除用発泡体およびそ
れを用いた害虫駆除法に関する。
(従来の技術) 近年,カミキリムシ類による農作物の被害が増加する傾
向にある。例えば,クワ,イチジクに対しキボシカミキ
リ,ナシ,リンゴに対しゴマダラカミキリ,ウドに対し
センノカミキリが寄生し,大きな被害を与えている。他
に,マダラカミキリ,スギカミキリなどが樹木に寄生す
る。特に,クワの被害が大きく,広範囲にわたってい
る。カミキリムシはクワの樹皮下に産卵し,ふ化幼虫は
木質部に深く穴をあけて食害する。食害孔の長さは,例
えば,60cm以上にも達する。寄生密度の高いクワ樹は生
理機能を失い,枯死する。
カミキリムシの駆除には,化学殺虫剤の使用が考えられ
る。しかし,カミキリムシは穿孔性害虫であるため,化
学殺虫剤が樹幹内の幼虫に到達し難い。それゆえ,カミ
キリムシを効果的に駆除し得ない。クワ葉はカイコの飼
育に用いられるため,化学殺虫剤の使用はカイコに好ま
しくない影響を及ぼす。イチジク,ナシ,リンゴは食用
であり,化学殺虫剤の使用は人畜に害を与える。
このような欠点を解決するために,化学殺虫剤に代え
て,カミキリムシの天敵微生物である糸状菌(例えば,
ボーベリア・テネラ)を用いる試みがなされている。糸
状菌はカミキリムシ,特にキボシカミキリによく寄生す
るうえにカイコに病原性を有しない。この糸状菌を用い
たカミキリムシの駆除は,糸状菌を例えばフスマ培地で
培養し,培養菌を培地とともに直接クワなどの樹木に散
布して行われる。培養菌の散布は、カミキリムシの羽化
時間に合わせて実施される。しかし,この方法では,培
養菌が培地成分を充分に吸収できないため,休眠細胞に
近い状態であり,糸状菌の所望の殺虫効果が発現され得
ない。散布された培養菌のうち,樹木に付着せずに土壌
に吸収される菌が多く,樹木に付着した菌も害虫との長
時間の接触が得られないため、殺虫効率が悪い。しか
も,自然条件(雨,風など)により洗い流されるおそれ
もある。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来の問題点を解決するものであり,その
目的とするところは,殺虫効果に優れた害虫駆除用発泡
体およびそれを用いた害虫駆除法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は,害虫の定着が得られるため,
殺虫効率の高い害虫駆除用発泡体およびそれを用いた害
虫駆除法を提供することにある。本発明のさらに他の目
的は,人畜に害のない害虫駆除用発泡体およびそれを用
いた害虫駆除法を提供することにある。本発明のさらに
他の目的は,容易になされ得る害虫駆除法を提供するこ
とにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、糸状菌のような害虫感染用菌を培地成分とと
もに発泡体マトリックス内で培養させることにより,培
養菌が培地成分を充分に吸収し得る;それにより,殺虫
効果に優れかつ菌体の剥離や流出が少ない害虫駆除用発
泡体が得られる;この発泡体に害虫定着物質を含有させ
れば,発泡体と害虫との接触時間が長くなる;それによ
り,害虫の定着が得られるため,害虫の殺虫効率が高ま
る;この発泡体は,害虫定着物質を含むため,駆除すべ
き害虫の生息域付近に配置するだけで,害虫が誘引され
て定着し,所望の殺虫効果が得られる,との発明者の知
見にもとづいて完成された。
本発明の害虫駆除用発泡体は,発泡体マトリックス内に
培地成分を含有する微生物培養用発泡体に,害虫感染用
菌を培養させた害虫駆除用発泡体であって, さらに,害虫定着物質を含有してなり,そのことにより
上記目的が達成される。
本発明の害虫駆除法は,上記害虫駆除用発泡体を,駆除
すべく害虫の生息域およびその付近に配置することを包
含し,そのことにより上記目的が達成される。
発泡体マトリックスには,例えば,ポリウレタンフォー
ム,ポリスチレン発泡体,塩化ビニル発泡体,ポリエチ
レン発泡体,ポリエステル発泡体がある。特にポリウレ
タンフォームが好ましい。
害虫感染用菌には,例えば,ボーベリア・テネラ(Beau
veria tenella )、例えば、ボーベリア・テネラNo.0
8-30015株および同08−30018株,ボーベリア・
バシーナ(Beauveria bassiana)、例えばボーベリア
・バシーナ ATCC9453, ATCC9835, ATCC18514, ATCC2209
7, ATCC22199, ATCC24318, ATCC26037, ATCC26156, ATC
C26851, ATCC28299, ATCC28462, ATCC28701, ATCC3447
2, ATCC34473, ATCC48023, ATCC48585, ATCC48586,メ
タリジウム・アニソプリエ(Metarrhizium anisoplia
e)、例えばメタリジウム・アニソプリエ ATCC22099, A
TCC24398, ATCC24458, ATCC26467, ATCC26468, ATCC264
69, ATCC26470, ATCC26471, ATCC26472, ATCC26473,ATC
C26474, ATCC38249, ATCC38630, および ATCC56096,ベ
ルチシリウム・リカーニ(Verticillium lecanii)、例
えばベルチシリウム・リカーニ ATCC26854, ATCC44615,
および ATCC46578,シネマチウム・ジョネシー(Synne
matium jonesii)、例えばシネマチウム・ジョネシー
ATCC34474 および ATCC44767がある。カミキリムシ類
の駆除には,ボーベリア・テネラ(Beauveria tenell
a )が特に好ましい。
培地成分には,同化可能な炭素源と同化可能な窒素源に
無機塩類および天然有機物が含有される。炭素源には,
例えば,グルコース,サッカロース,ラクトース,マル
トース,グリセリン,デンプン,糖蜜がある。窒素源に
は,例えば,硫酸アンモニウム,塩化アンモニウム,硝
酸アンモニウムがある。無機塩類には,例えば,リン酸
二水素カリウムなどのリン酸塩,硫酸マグネシウム,マ
グネシウム,カリウム,カルシウムがある。天然有機物
には,例えば,肉エキス,魚肉抽出液,サナギ粉などの
動物組織抽出物または粉砕物;麦芽エキス,コーンスチ
ープリカー,大豆油などの植物組織抽出物;乾燥酵母,
酵母エキス,ポリペプトンなどの微生物菌体またはその
抽出物がある。このような培地成分からなる培地として
は,ツァペックの培地などの合成培地やサナギ粉培地,
寒天培地などの天然培地が用いられる。
本発明の害虫駆除用発泡体には,上記発泡体マトリック
ス,害虫感染用菌および培地成分のほかに,害虫定着物
質が含有される。害虫定着物質により,害虫がこの発泡
体に接触した際,発泡体に長時間定着する。このような
害虫定着物質は,例えば,害虫の寄主植物に由来する。
害虫定着物質としては,キボシカミキリ(成虫)の産卵
刺激物質が挙げられる。この物質は,クワ,イチジクの
枝皮層部にある。ゴマダラカミキリの定着物質は果樹木
に,そしてセンノカミキリの定着物質はウドに含まれ
る。マツノマダラカミキリやスギカミキリの定着物質
も,それぞれの寄主植物に存在する。ドウガネブイブイ
の定着物質は,イヌマキやダイズに含まれている。これ
らの害虫定着物質は,寄主植物を細断および/または抽
出して得られる。害虫定着物質は,害虫の摂食刺激因子
であってもよい。また,ショ糖などの通常の昆虫定着因
子も害虫定着物質として用いられる。
微生物培養用発泡体は,例えば,発泡体組成物を培地成
分および害虫定着物質とともに発泡させて得られる。害
虫定着物質は,寄主植物を細断した細片や粉砕物,また
は寄主植物の抽出物(必要に応じて濃縮された)として
用いられる。こうすることにより,発泡体マトリックス
内に培地成分が組み込まれるため,発泡体表面だけでな
く内部での培養がなされ得,それにより,害虫感染用菌
の培養が効果的に行われる。しかも,害虫定着物質は,
発泡体マトリックス内に長時間にわたって保持されるた
め,害虫の誘引が効果的になされる。害虫感染用菌は,
発泡体マトリックス内に存在する培地成分を充分に吸収
し得るため,菌が休眠細胞とならず,殺虫効果が高めら
れる。培地成分は,発泡体組成物の発泡の際に,主とし
て発泡体マトリックス内に物理的に組み込まれる。しか
し,例えば、培地成分がアミノ基,カルボキシル基を有
し,発泡体組成物がイソシアネート基を有する場合に
は,培地成分と発泡体マトリックスとが化学的に反応す
る。それにより,培地成分が尿素結合や酸アミド結合に
よって,発泡体マトリックス内に化学結合で担持され
る。他方,害虫定着物質も,その組成によって,発泡体
マトリックス内に化学結合でまた,場合によっては物理
的に担持されることが考えられる。このように,培地成
分は発泡体マトリックスに強固に担持される。それとと
もに培養菌が発泡体マトリックスの内部に組み込まれ
る。従って,培養菌が自然条件により剥離したり流出す
ることは少ない。害虫定着物質も発泡体マトリックス内
に組み込まれるため、殺虫効率が高められる。培地成分
の水酸基は,イソシアネート基と反応して炭酸ガスを発
生し,発泡を促進する。
ポリウレタンフォームは,ポリエーテルまたはポリエス
テルと,分子内に2個以上のイソシアネート基を有する
イソシアネート化合物と,水や他の発泡体とを反応させ
発泡させて得られる。イソシアネート化合物としては,
通常の多官能イソシアネートが用いられ,例えば、トリ
レンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネ
ート,ジフェニルジイソシアネート,ナフタレンジイソ
シアネート,キシレンジイソシアネート,ブタンジイソ
シアネート,トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイ
ソシアネートがある。ポリエーテルまたはポリエステル
はイソシアネート化合物と反応してプレポリマーとさ
れ,このプレポリマーと水とを反応させることにより,
炭酸ガスが発生して発泡し、ポリウレタンフォームが形
成される。ポリスチレン発泡体は,ポリスチレンプレポ
リマーに発泡剤(ペンタン,ヘキサン,ヘプタンなど)
を加え,水中乳化重合により形成される。塩化ビニル発
泡体は,熱分解法やガス吹き込み法により得られる。ポ
リエチレン発泡体は,ポリエチレンプレポリマーに石油
エーテル,ガスフレオン12などの発泡剤を加え,混練,
加熱発泡させて得られる。
いずれの発泡体を用いる場合でも,発泡前のプレポリマ
ーに対し発泡剤とともに培地成分および害虫定着物質を
加えて発泡させることにより,培地成分および害虫定着
物質が発泡体マトリックス内に組み込まれる。しかし,
可溶性コラーゲン,ゼラチン,アルブミンなどのヘプタ
イドを用いて発泡体マトリックス(ペプタイドマトリッ
クス)を形成し,これに培地成分や害虫定着物質を含浸
させてもよい。この場合,害虫定着物質は,寄主植物を
水やアルコールで抽出した抽出物として用いられる。ま
た,発泡体組成物に,培地成分および害虫定着物質のい
ずれかを加えて発泡させた後,得られた発泡体マトリッ
クスに他の物質を含浸させてもよい。発泡体マトリック
スに,害虫定着物質としての樹木細片や樹皮細片を突き
刺してもかまわない。害虫定着物質の抽出物を発泡体に
散布してもよい。ペプタイドマトリックスは,ペプタイ
ドの水溶液と分子内に2個以上のイソシアネート基を有
するイソシアネート化合物とを反応させて形成される。
このイソシアネート化合物には,前記多官能イソシアネ
ートが用いられる。
イソシアネート化合物の一部は水と反応して炭酸ガスを
発生し,一部はペプタイドのアミノ基,カルボキシル基
と反応して尿素結合および酸アミド結合を生じる。その
結果,分子中にペプタイドマトリックスを有するポリウ
レタンフォームが得られる。得られたポリウレタンフォ
ームは,分子中に含まれるペプタイドの性質に応じて,
一般のポリウレタンフォームに比して優れた親水性,水
保持性を有しており,かつ,タンパク分解酵素による優
れた天然崩壊性を有している。ペプタイドマトリックス
の一部は,培地成分および/または害虫定着物質のタン
パク成分によっても,形成され得る。従って,このポリ
ウレタンフォームに培地成分および/または害虫定着物
質を含浸させれば,培地成分や害虫定着物質が発泡体マ
トリックス内に強固に担持される。
培地成分や害虫定着物質を,発泡体組成物とともに発泡
させつつペプタイドを添加してもよい。それにより,培
地成分および/または害虫定着物質が,発泡体マトリッ
クスとペプタイドマトリックスの両者により,さらに強
固に組み込まれる。
発泡体マトリックスがポリウレタンフォームであれば、
プレポリマー(ポリエーテルまたはポリエステルとイソ
シアネート化合物との反応物)と水や他の発泡剤に培地
成分および/または害虫定着物質が加えられ,反応に供
される。水溶性の培地成分は、水溶液にしてプレポリマ
ーと混合される。水不溶性の培地成分は,プレポリマー
の溶液に分散される。水の量は,プレポリマー 100重量
部に対し,10〜 100重量部の範囲が好ましい。10重量部
を下まわると,発泡反応が遅延し,所望の発泡密度の発
泡体が得られない。プレポリマーと培地成分や害虫定着
物質との反応や,発泡体マトリックス中への培地成分や
害虫定着物質の担持も充分になされない。 100重量部を
上まわると,水とプレポリマーとの反応が優先して,培
地成分や害虫定着物質が発泡体マトリックス内に取り込
まれにくい。培地成分は,プレポリマー 100重量部に対
し,20〜 500重量部,好ましくは50〜 200重量部とされ
る。20重量部を下まわると,培地成分が発泡体マトリッ
クス内に充分に含有されない。 500重量部を上まわる量
の培地成分は,発泡体マトリックス内に担持され得な
い。害虫定着物質は,プレポリマー 100重量部に対し,
20重量部以上,好ましくは50〜 500重量部とされる。20
重量部を下まわると,害虫定着物質が発泡体マトリック
ス内に充分に含有されない。そのために,害虫の定着が
なされない。害虫定着物質は,発泡体マトリックス内に
担持されれば,量は多い方が好ましいが, 500重量部を
上まわると,担持されにくくなる。発泡体マトリックス
内には,保水力を上げるべく,必要に応じて親水性ポリ
マーが含有される。親水性ポリマーの含有により,発泡
体マトリックスへの水分の補給がほとんど必要でなくな
る。親水性ポリマーには,例えば,寒天,ポリビニルア
ルコール,ポリアクリルアミドがある。
このように得られた微生物培養用発泡体は,適当量の水
分を含有させた後,オートクレーブ(120℃,1.2atm)
などにより滅菌して害虫感染用菌が接種される。次い
で,この発泡体は,例えば,25℃で約2週間培養に供さ
れる。培養により,発泡体の表面は菌糸と胞子でおおわ
れ,害虫駆除用発泡体が形成される。胞子は菌糸よりも
カミキリムシ類などの害虫に対する殺虫効果が高い。胞
子数は発泡体の表面積1cm2当たり10個以上生育し得
る。胞子数は通常10〜10個/cm2となる。
得られた害虫駆除用発泡体は,主として,カミキリムム
シ類の駆除に用いられる。
カミキリムシ類は樹木の幹や枝をはう習性がある。この
習性は,樹木に含まれる害虫定着物質に起因する。従っ
て,この害虫定着物質を発泡体に含有させれば,カミキ
リムシ類は発泡体に誘引され、発泡体と長期間接触す
る。それにより,カミキリムシ類の発泡体での定着が得
られ,殺虫効率が向上する。害虫定着物質を含まない発
泡体のように,害虫との接触時間が短いために感染が不
足することはない。接触時間を多くするため,発泡体の
表面に段などを設けて,表面積を増す必要もない。
このようなことから,害虫駆除法としては,害虫駆除用
発泡体を害虫生息域またはその付近に配置するだけでよ
い。この発泡体を樹木の幹や枝に巻きつける必要はな
い。
本発明の害虫駆除用発泡体およびそれを用いた害虫駆除
法は,カミキリムシ類のほかにコガネムシ類にも適用さ
れ得る。コガネムシ類は,樹木苗畑や造林地など林業関
係だけでなく,イチゴ,サツマイモ,ラッカセイなど農
作物にも被害が多い。本発明の発泡体を用いて糸状菌を
コガネムシ類の成虫に寄生させれば,たとえ成虫自体を
殺虫し得なくても,成虫の産卵した卵がふ化しなくな
る。さらに本発明の害虫駆除は,カミキリムシ,コガネ
ムシばかりでなく,生きた植物に寄生して害を及ぼす線
虫などにも有効である。その場合は,糸状菌でなくその
線虫の天敵微生物である細菌,パスツレラ・ペネトラン
スを用いることができる。
(実施例) 以下に本発明を実施例について述べる。
実施例1 樹齢1年のクワの枝皮層部 700gを細断し,80%エタノ
ール2に加え,80℃にて3時間抽出した。この抽出液
を減下にて70℃で 200mlまで濃縮した。これに水 600ml
を加えてさらに濃縮し,抽出物30gを得た。
ウレタンプレポリマー(イソシアネート化合物,ソフラ
ンネート,東洋ゴム工業製造)1000gに対し,サナギ粉
300g,グルコース 150gおよび寒天 100gを混合し
た。混合物に上記クワ枝皮層部の抽出物および5%ゼラ
チン水溶液 300gを加えて発泡させ,微生物培養用発泡
体を得た。
この発泡体を(10mm角,長さ16mmの直方体)に切断し,
オートクレーブ(121℃,1.2atm)にて20分間滅菌し
た。水1にサナギ粉40gを加えてエキスを抽出し,さ
らにグルコース20gを加えて基本培地を得た。上記発泡
体にこの基本培地5mlを含浸させた。この発泡体に,ボ
ーベリア・テネラNo.08-30015株(Beauveria tenella
)の液体培養液5mlを接種して25℃で2週間培養し
た。培養後、胞子数を測定したところ,1.9 ×106cells
/cm2であった。発泡体の表面は,一部目視できたもの
の,菌糸数は約10cells/cm2であった。
実施例2 クワ枝皮層部の抽出物に代えてクワ枝皮層部の粉砕物を
用いたこと以外は,実施例1と同様の微生物培養用発泡
体を得た。この微生物培養用発泡体に,実施例1と同様
の方法により,ボーベリア・テネラNo.08-30015株を接
種し培養したところ,実施例1と同程度の胞子数および
菌糸数が得られた。
実施例3 実施例1で得られた微生物培養用発泡体を,クワの小枝
(長さ約15cm)とともに透明ガラス容器(1)に入
れ,これに羽化後20日のキボシカミキリの成虫(オス,
メス各1匹ずつ)を入れた。この容器を,温度25℃のイ
ンキュベータに入れ,24時間放置した。その結果,クワ
の小枝には,約30〜40箇所の噛み跡が認められた。発泡
体にも噛み跡があり,産卵痕も見出された。
このキボシカミキリにハチミツと水を与えて22℃で飼育
を続けたところ,いずれも13〜14日目で死んだ。死後4
日目に体表がボーベリア・テネラNo.08-30015株でおお
われた。
実施例4 実施例2で得られた微生物培養用発泡体を用いたこと以
外は,実施例3と同様の方法によりキボシカミキリを飼
育した。その結果,クワの小枝には,約70〜 110箇所の
噛み跡が認められた。発泡体にも噛み跡が見出された。
実施例5 キボシカミキリに代えてゴマダラカミキリを用い,クワ
に代えてミカンの木に用いたこと以外は,実施例3と同
様の方法により飼育を行った。その結果,ミカンの小枝
には,約50〜70箇所の噛み跡が認められた。
このスギカミキリにハチミツと水を与えて22℃で飼育を
続けたところ,いずれも7〜10日間で死んだ。死後4日
目に体表がボーベリア・テネラNo.08-30015株でおおわ
れた。
比較例 クワ枝皮層部の抽出物を加えなかったこと以外は,実施
例1と同様にして微生物培養用発泡体を得た。
この微生物培養用発泡体を倫いて,実施例3と同様の方
法によりキボシカミキリを飼育した。その結果,クワの
小枝には,約80〜 150箇所の噛み跡が認められたもの
の,発泡体には噛み跡がほとんど見出されなかった。
このキボシカミキリにハチミツと水を与えて22℃で飼育
を続けたところ,いずれも13〜14日目で死んだ。死後4
日目に体表がボーベリア・テネラNo.08-30015株でおお
われた。
実施例および比較例から明らかなように,本発明の害虫
駆除用発泡体は,カミキリムシ類の殺虫効果に優れるだ
けでなく、定着効果にも優れている(試験後には,発泡
体にもカミキリムシ類の噛み跡が認められる)。この発
泡体では,糸状菌のような害虫感染用菌は発泡体マトリ
ックス内で培養されるため,培養効率が高い。この害虫
駆除用発泡体を害虫の生息域付近に放置しても,菌糸が
剥離したり流されることはない。害虫定着物質を含有し
ない害虫駆除用発泡体は,殺虫効果には優れるものの,
害虫の定着が得られない(試験後に,発泡体にはカミキ
リムシ類の噛み跡がほとんどない)。
(発明の効果) 本発明の害虫駆除用発泡体は,このように,害虫感染用
菌が発泡体マトリックス内で培養されるため,培養効率
が高く殺虫効果に優れている。特に,カミキリムシ類に
対する殺虫効果が高い。しかも,この発泡体は,害虫定
着物質を含有するため,害虫との長時間の接触が得られ
る。それにより,害虫が定着し殺虫効率が向上する。培
養菌は発泡体マトリックス内に強固に担持されており,
自然条件などにより剥離したり流されることはない。し
かも,菌体を用いて殺虫されるため,化学殺虫剤に比べ
人畜に害を及ぼさない。
本発明の害虫駆除法は、この害虫駆除用発泡体を害虫の
生息域およびその付近に配置してなされる。発泡体を樹
木の幹や枝に巻きつける必要はない。これは、害虫駆除
用発泡体が害虫定着物質を含有することによる。そのた
めに,発泡体の形状が限定されず,害虫駆除操作も容易
となる。その結果,本発明の害虫駆除用発泡体およびそ
れを用いた害虫駆除法は,カミキリムシ類やコガネムシ
類の駆除に有効に利用され得る。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡体マトリックス内に培地成分を含有す
    る微生物培養用発泡体に,害虫感染用菌を培養させた害
    虫駆除用発泡体であって, さらに,害虫定着物質を含有する害虫駆除用発泡体。
  2. 【請求項2】前記発泡体マトリックスが,ポリウレタン
    フォームである特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除
    用発泡体。
  3. 【請求項3】前記害虫感染用菌が,ボーベリア・テネラ
    (Beauveria tenella ),ボーベリア・バシーナ(Beau
    veria bassiana),メタリジウム・アニソプリエ(Meta
    rrhizium anisopliae ),ベルチシリウム・リカーニ
    (Verticillium lecanii)およびシネマチウム・ジョネ
    シー(Synnematium jonesii)のうち少なくとも一種で
    ある特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除用発泡体。
  4. 【請求項4】前記害虫定着物質が,害虫の寄主植物に由
    来する特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除用発泡
    体。
  5. 【請求項5】前記害虫定着物質が,寄主植物を細断およ
    び/または抽出して得られる特許請求の範囲第1項に記
    載の害虫駆除用発泡体。
  6. 【請求項6】前記害虫定着物質が,害虫の摂食刺激因子
    である特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除用発泡
    体。
  7. 【請求項7】前記微生物培養用発泡体が,発泡性組成物
    を培地成分および/または害虫定着物質とともに発泡さ
    せて得られる特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除用
    発泡体。
  8. 【請求項8】前記微生物培養用発泡体が,発泡体マトリ
    ックスに培地成分および/または害虫定着物質を含浸さ
    せて得られる特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除用
    発泡体。
  9. 【請求項9】前記微生物培養用発泡体がペプタイドマト
    リックスを有し,該ペプタイドマトリックスが,培地成
    分および/または害虫定着物質のタンパク成分によって
    形成される特許請求の範囲第1項に記載の害虫駆除用発
    泡体。
  10. 【請求項10】前記発泡体マトリックス内に,保水性を
    上げるべく親水性ポリマーが含有された特許請求の範囲
    第1項に記載の害虫駆除用発泡体。
  11. 【請求項11】カミキリムシ類および/またはコガネム
    シ類の駆除に用いられる特許請求の範囲第1項に記載の
    害虫駆除用発泡体。
  12. 【請求項12】発泡体マトリックス内に培地成分を含有
    する微生物培養用発泡体に,害虫定着物質を含有させか
    つ害虫感染用菌を培養させた害虫駆除用発泡体を用いる
    害虫駆除法であって, 該害虫駆除用発泡体を,駆除すべき害虫の生息域および
    その付近に配置することを包含する害虫駆除法。
  13. 【請求項13】前記発泡体マトリックスが,ポリウレタ
    ンフォームである特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆
    除法。
  14. 【請求項14】前記害虫感染用菌が,ボーベリア・テネ
    ラ(Beauveria tenella ),ボーベリア・バシーナ(Be
    averia bassiana),メタリジウム・アニソプリエ(Met
    arrhizium anisopliae ),ベルチシリウム・リカーニ
    (Verticillium lecanii)およびシネマチウム・ジョネ
    シー(Synnematium jonesii)のうち少なくとも一種あ
    る特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆除法。
  15. 【請求項15】前記害虫定着物質が,害虫の寄主植物に
    由来する特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆除法。
  16. 【請求項16】前記害虫定着物質が,寄主植物を細断お
    よび/または抽出して得られる特許請求の範囲第12項に
    記載の害虫駆除法。
  17. 【請求項17】前記害虫定着物質が,害虫の摂食刺激因
    子である特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆除法。
  18. 【請求項18】前記微生物培養用発泡体が,発泡性組成
    物を培地成分および/または害虫定着物質とともに発泡
    させて得られる特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆除
    法。
  19. 【請求項19】前記微生物培養用発泡体が,発泡体マト
    リックスに培地成分および/または害虫定着物質を含浸
    させて得られる特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆除
    法。
  20. 【請求項20】前記微生物培養用発泡体がペプタイドマ
    トリックスを有し,該ペプタイドマトリックスが,培地
    成分および/または害虫定着物質のタンパク成分によっ
    て形成される特許請求の範囲第12項に記載の害虫駆除
    法。
  21. 【請求項21】前記発泡体マトリックス内に,保水性を
    上げるべく親水性ポリマーが含有された特許請求の範囲
    第12項に記載の害虫駆除法。
  22. 【請求項22】カミキリムシ類および/またはコガネム
    シ類の駆除に用いられる特許請求の範囲第12項に記載の
    害虫駆除法。
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