JPH1067613A - 昆虫病原性糸状菌を用いた害虫駆除方法およびこれに用いる害虫駆除用製剤 - Google Patents

昆虫病原性糸状菌を用いた害虫駆除方法およびこれに用いる害虫駆除用製剤

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JPH1067613A
JPH1067613A JP8225555A JP22555596A JPH1067613A JP H1067613 A JPH1067613 A JP H1067613A JP 8225555 A JP8225555 A JP 8225555A JP 22555596 A JP22555596 A JP 22555596A JP H1067613 A JPH1067613 A JP H1067613A
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pest
entomopathogenic
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chitosan
insect
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JP8225555A
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Toshio Higuchi
俊男 樋口
Katsuyuki Okubo
勝之 大久保
Takeshi Saiga
健 雜賀
Shuji Senda
修治 千田
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 害虫に対して優れた殺虫効果を発揮する生物
農薬を用いた害虫駆除方法および害虫駆除用製剤を提供
する。 【構成】 カミキリムシ類やコガネムシ類、アブラムシ
類などの害虫を昆虫病原性糸状菌と接触させることによ
って感染、致死させる害虫駆除方法であって、糸状菌を
接触させる前もしくは接触と同時にプロテアーゼやキチ
ナーゼ、リパーゼなどから選ばれる酵素を用いて酵素処
理を施す。キチンおよび/またはキトサン、並びに糖を
含む培地で培養した昆虫病原性糸状菌を害虫に接触させ
ることが簡便な駆除方法である。培養は多孔質シートか
らなる担持体内で行うことが好ましく、該シートは害虫
駆除用製剤となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は昆虫病原性糸状菌を
用いた害虫駆除方法、およびこれに用いる害虫駆除用製
剤に関し、詳しくはカミキリムシ類やコガネムシ類、ア
ブラムシ類などの害虫に対して優れた殺虫効果を発揮す
ることができる害虫駆除方法および害虫駆除用製剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】害虫を駆除する方法としては化学農薬を
用いる方法が従来から採用されているが、近年、人体へ
の安全性や環境汚染などの問題が社会的に注目されてい
ると共に、害虫自体も化学農薬に対する抵抗性を有する
ようになり、既存の化学農薬での害虫駆除が次第に困難
となってきている。
【0003】このような実情下で、いくつかの有効な防
除・駆除手段を組み合わせた総合害虫管理(Integrated
Pests Management)が重視されるようになり、その一つ
の方法として、自然界に存在して特定の害虫のみに感染
し罹病死させる天敵微生物の開発および利用が注目、期
待されている。
【0004】例えば、微小害虫であるアブラムシ類をVe
rticillium lecaniiに感染、致死させる方法や、この方
法に用いる製剤についても種々検討されており、欧州で
は既に販売されている。一方、本発明者らも、昆虫病原
性糸状菌であるBeauveria brongniartiiなどを用いて、
桑畑や柑橘園などに存在する穿孔性害虫としてのカミキ
リムシを駆除する害虫駆除用製剤(生物農薬)を既に提
案、上市している(特公平7−108212号公報)。
【0005】一般に、昆虫病原性糸状菌の培養は、フス
マなどを用いた固体培養が主であるが、上記特公平7−
108212号公報に記載の方法では、各種培地成分を
含有する培養液をパルプ不織布のような天然崩壊性不織
布に含浸させて培養し、乾燥した状態で使用に供するも
のである。しかしながら、昆虫病原性糸状菌の接触によ
る害虫の致死機構は極めて複雑であるので、有効な接触
方法が充分に解明されていないのも実情である。また、
実際に害虫がこのような糸状菌に接触感染しても、致死
に至るまでには相当の時間がかかり、即効性という点で
は未だ改良の余地がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記実情
に鑑み、害虫に対して昆虫病原性糸状菌を有効に接触さ
せる方法を検討したところ、害虫への感染、致死機構
は、下記のプロセスからなるものであると推測できる。
【0007】昆虫病原性糸状菌は、まず分生子(胞
子)の状態で害虫の外皮に付着する。 付着した分生子から発芽管が出て、発芽する。 発芽した糸状菌は害虫の体表を突き抜けて、害虫の体
内に侵入する。 体内に侵入した糸状菌は菌糸となって分岐し、短菌糸
の状態で増殖を始める。この時に害虫の体内から水分や
養分を吸収し、害虫は死に至る。 害虫の死後、体内で菌糸は成長し、害虫の体表を突き
抜けて害虫の外皮に出てくる。 外皮に出た菌糸は、その先端に分生子を形成し、再び
他の害虫に対する感染源として作用する。
【0008】また、上記致死機構において、菌糸が害虫
の体表を突き抜ける際に、糸状菌が生産するプロテアー
ゼやキチナーゼ、リパーゼなどの酵素が害虫の体表に何
らかの作用をし、その結果、害虫の体内に菌糸が侵入し
やすくなることも推定される。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは鋭
意検討を行なった結果、害虫に接触させる上記酵素の量
を増加させることによって、害虫の体内への菌糸の侵入
が早まり、害虫が死に至るまでの致死期間を短縮するこ
とができることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】即ち、本発明は昆虫病原性糸状菌を接触さ
せて害虫を感染致死によって駆除する方法において、上
記糸状菌を接触させる前もしくは接触と同時に害虫に酵
素処理を施すことを特徴とする害虫駆除方法を提供する
ものである。
【0011】また、酵素処理を施すための酵素は、プロ
テアーゼ、キチナーゼ、リパーゼからなる少なくとも一
種が好ましく、昆虫病原性糸状菌としては、Beauveria
brongniartiiBeauveria bassianaVerticillium lec
aniiから選ばれる少なくとも一種が好ましいものであ
る。
【0012】さらに、酵素処理としては、キチンおよび
/またはキトサン、並びに糖を含む培地で昆虫病原性糸
状菌を培養した培養液から分離した酵素による前処理す
る方法や、キチンおよび/またはキトサン、並びに糖を
含む培地で培養した昆虫病原性糸状菌に害虫を接触させ
る処理が好ましいものである。
【0013】さらに、本発明はキチンおよび/またはキ
トサン、並びに糖を培地成分として含む培地にて昆虫病
原性糸状菌を培養してなる害虫駆除用製剤を提供するも
のであり、好ましい製剤形状としては培養した昆虫病原
性糸状菌を不織布、織布、編布、発泡体から選ばれる多
孔質のシート状担持体に含有させるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の害虫防除方法に用いるこ
とができる昆虫病原性糸状菌としては、具体的にはBeau
veria brongniartii(ボーベリア・ブロンニアティ
ー)、Beauveriabassiana(ボーベリア・バッシア
ナ)、Verticillium lecanii(バーチシリウム・レカニ
ー)、Metarhizium anisopliae(メタリジウム・アニソ
プリエ)、Synnematium jonesii (シネマチウム・ジョ
ネシー)などの糸状菌が挙げられ、これらのうちBeauve
ria brongniartiiBeauveria bassianaVerticillium
lecaniiから選ばれる少なくとも一種を用いることが好
ましい。
【0015】上記昆虫病原性糸状菌はカミキリムシ類や
コガネムシ類、アブラムシ類などの害虫に接触させるこ
とによって、害虫の体表に付着する。これらの害虫の体
表組織はキチンやタンパク質、脂質などから構成されて
いるが、これらを基質して酵素反応を起こすキチナーゼ
やプロテアーゼ、リパーゼなどの酵素を用いて害虫を処
理することによって体表組織が分解され、上記昆虫病原
性糸状菌が害虫の体内に侵入しやすくなる。
【0016】本発明はこの点に着目したものであって、
上記酵素によって害虫を前処理する方法や、昆虫病原性
糸状菌自体も上記酵素を生産していると推定できるの
で、キチンやキトサン、必要に応じてグルコースなどの
糖成分を添加した培地で糸状菌を培養することにより、
プロテアーゼ活性やキチナーゼ活性を高めた糸状菌を得
ることができ、この糸状菌を直接、目的害虫に接触させ
る方法などを採用することができる。
【0017】従って、本発明における酵素処理に用いる
酵素としては、昆虫病原性糸状菌から得られる酵素であ
ればその起源に関わらず用いることができ、その中でも
キチンやタンパク質、脂質を効果的に分解することがで
きるキチナーゼやプロテアーゼ、リパーゼなどを用いる
ことが好ましい。
【0018】よって、本発明の害虫駆除方法は、基本的
に以下の方法が包含されるのである。
【0019】プロテアーゼやキチナーゼ、リパーゼな
どの酵素にて害虫を処理したのち、昆虫病原性糸状菌と
接触させる方法。
【0020】昆虫病原性糸状菌を培養した際の上澄み
液にて害虫を処理したのち、昆虫病原性糸状菌と接触さ
せる方法。
【0021】昆虫病原性糸状菌を培養する際に、予め
プロテアーゼやキチナーゼ、リパーゼなどの酵素を培地
に添加して活性を高めた糸状菌を培養し、この糸状菌を
害虫と接触させる方法。
【0022】昆虫病原性糸状菌を培養する際に、予め
キチンおよび/またはキトサン、並びに糖を培地に添加
してプロテアーゼ活性やキチナーゼ活性を高めた糸状菌
を培養し、この糸状菌を害虫と接触させる方法。
【0023】本発明の害虫駆除方法に用いる害虫駆除用
製剤は、キチンおよび/またはキトサン、並びに糖を培
地成分として含有する培地にて昆虫病原性糸状菌を培養
してなるものであって、基本的な培地成分としては同化
が可能な炭素源と、窒素源としての無機塩類や天然有機
物を含んだものである。
【0024】炭素源としては、例えばグルコースやフラ
クトース、サッカロース、ラクトース、マルトース、デ
ンプン、セルロース、糖蜜などの糖類を用いる。また、
窒素源としての無機塩類としては、例えば硫酸アンモニ
ウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げ
られ、天然有機物としては、例えば肉エキス、魚肉抽出
液、サナギ粉などの動物組織抽出液または粉砕物、コー
ンスチープリカー、大豆油、麦芽エキス、大豆粉などの
植物組織抽出物または粉砕物、乾燥酵母、酵母エキス、
ポリペプトンなどの微生物菌体またはその抽出物などが
挙げられる。また、窒素源以外の無機塩類としては、例
えばリン酸二水素カリウム、リン酸一カリウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウムなどを含有
させることができる。
【0025】本発明における培地は培地成分にキチンお
よび/またはキトサン、並びに糖を必須成分として含有
させてなるものである。キチンやキトサンの含有量は、
全培地成分中0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜2
重量%の範囲とすることが糸状菌のプロテアーゼ活性や
キチナーゼ活性を高める点から望ましい。
【0026】また、上記培地成分に含有させる糖類の含
有量は、糸状菌のプロテアーゼ活性やキチナーゼ活性を
高める点から、全培地成分中5重量%以下、好ましくは
1〜3重量%の範囲で添加することが望ましい。本発明
の害虫駆除用製剤は上記培地にて糸状菌を培養したもの
であれば、液状であっても、固体状であっても、製剤形
態に限定されないが、害虫を駆除する際の施用しやすさ
の点からは、特公平7−108212号公報に記載され
ているようなシート状の担持体に培養した昆虫病原性糸
状菌を含有させた形態が好ましい。また、シート状担持
体としては、不織布や織布、編布、発泡体などの多孔質
シートを用いることが糸状菌の担持性や保水性、培養効
率の点から好ましい。
【0027】上記多孔質シート状の担持体のうち、取扱
性などの点からは不織布が好ましく、特に、環境保全の
点からはパルプ、レーヨンなどの天然崩壊性の不織布が
好ましい。不織布を担持体として用いた場合、培地成分
の含浸性の点や培養効率の点からは、厚みはできるだけ
薄い方が好ましく、通常、0.3mm以上、特に0.5
〜2mm程度の厚みのものを採用することができる。ま
た、坪量としては20g/m2 以上、好ましくは40〜
200g/m2 の範囲のものを使用できる。
【0028】本発明の害虫駆除用製剤は、例えば以下の
ような方法にて製造することができる。
【0029】培地成分としてキチンおよび/またはキト
サン、並びに糖を含む培地を作製し、この中で前記した
昆虫病原性糸状菌を培養して本発明の害虫駆除用製剤を
得る。培養は静置培養であっても振盪培養であってもよ
いが、酵素の量産化の点からは振盪培養が好ましい。ま
た、上記培地成分を担持体としての不織布などの多孔質
シートに含有させて固相培地として、これを用いて糸状
菌を培養して、本発明の害虫駆除用製剤を得ることもで
きる。培地成分を担持体に含有させる方法としては、担
持体上に塗布含浸する方法や担持体を培地成分中に浸漬
する方法が挙げられる。
【0030】以上のようにして培養された糸状菌は、不
織布を担持体として用いた場合、不織布表面が菌糸と分
生子(胞子)で覆われた状態となる。害虫に対する殺虫
効果は菌糸よりも分生子の方が高く、好ましい分生子の
数は不織布の表面積1cm2当たり約1×107 セル以
上である。
【0031】本発明の害虫駆除方法は前記したように、
培養した糸状菌に害虫を接触させる前もしくは接触と同
時に害虫に対して酵素処理を施すことを特徴としている
が、酵素処理を施したのちは糸状菌を噴霧接触させた
り、害虫の通り道に設置しておくなどの方法によって接
触させ、害虫を感染、致死させるのである。
【0032】糸状菌を害虫に接触させるためのより効果
的で簡便な方法としては、担持体を用いて糸状菌を培養
し、この担持体を害虫の通り道に設置する。例えば、カ
ミキリムシの駆除の場合には、担持体を適当な大きさに
裁断し、クワなどの樹木の枝や幹に配置する。配置手段
としては、巻きつけ(例えば、紐やストリップ状にす
る)や、係止(例えば、ホッチキスなどによる)、吊り
下げ(例えば、紐やストリップ状にする)などの手段が
選択できるが、不織布は比較的厚みが薄いので、巻きつ
け手段を用いた場合には樹木の凹凸面にも密着しやす
く、害虫との接触効率が向上する。なお、害虫は昆虫病
原性糸状菌と接触するだけで、一定期間の経過後には体
表が糸状菌に覆われて死に至るので、害虫と接触する確
率の高い場所に製剤を設置すればよい。
【0033】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的
に説明する。なお、以下の文中で%とは、重量%を意味
する。
【0034】実施例1 カミキリムシに対して特異的に感染する糸状菌であるBe
auveria brongniartiiを、下記表1および表2に示す培
地にて7日間、25℃で振盪培養した。なお、表中で基
本培地とは、塩化アンモニウム0.2%、リン酸一カリ
ウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、酵母エキ
ス0.05%、ポリペプトン0.5%からなる組成の培
地である。
【0035】培養終了後、得られたBeauveria brongnia
rtiiのキチナーゼ活性および比活性、並びにプロテアー
ゼ活性および非活性を測定し、その結果それぞれ表1お
よび表2に併記した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】上記表1および表2の結果から明らかなよ
うに、グルコースと共にキチンやキトサンを含有した培
地にて培養したBeauveria brongniartiiのキチナーゼ活
性およびプロテアーゼ活性は、明らかに高まっていた。
【0039】比較例1 グルコース2%、サナギ粉4%からなる培地にて、Beau
veria brongniartiiを培養した。培養条件は実施例1と
同様にした。その結果、キチナーゼ活性は3.6μgG
luNAc/ml・hで、プロテアーゼ活性は7.1μ
gTyr/ml・minであった。
【0040】実施例2 図1のA法に従って、実施例1および比較例1にて得ら
れた培養後の液にキボシカミキリを1分間浸漬(酵素処
理)した。浸漬後、キボシカミキリを飼育して致死期間
を調べ、その結果を表3に示した。表中の値はキボシカ
ミキリ5頭についての致死日数および平均致死日数であ
る。
【0041】
【表3】
【0042】上記表3の結果から明らかなように、グル
コースと共にキチンやキトサンを含有した培地にて得た
培養液を用いて酵素処理を行ったところ、キボシカミキ
リの致死期間は比較例よりも短縮することができた。な
お、実施例品における致死日数7日は、7日目の早朝に
は死亡しており、サナギ粉培地(比較例)の7日とは、
7日目の遅くに死亡していたので、有意差はあった。
【0043】実施例3 図1のB法に従って、基本培地にグルコース2%とキト
サン0.5%を加えた培地でBeauveria brongniartii
振盪培養した。培養条件は実施例1と同様である。培養
後、遠心分離にて分離した上澄み液を硫安分画し、画分
のキチナーゼ活性およびプロテアーゼ活性を調べた。そ
の結果、表4および表5に示すように、何れの活性も6
0〜90%の画分で最も高い値を示した。
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】実施例4 実施例3における60〜90%画分を用いて、キボシカ
ミキリ5頭を1昼夜酵素処理した。その結果、処理した
5頭の何れも触角や足の動きが鈍くなり、その内、4頭
は触角や足の一部に切断が見られた。
【0047】比較例2 実施例3における60〜90%画分以外の画分を用い
て、実施例4と同様に処理を行ったが、キボシカミキリ
の外観には全く変化は生じなかった。
【0048】実施例5 実施例4および比較例2にて処理したキボシカミキリ
を、キチンおよびキトサンを含まない培地でBeauveria
brongniartiiを培養したシート状の製剤と接触させたの
ち、飼育して致死期間を調べた。その結果を表6に示
す。
【0049】
【表6】
【0050】上記表6から明らかなように、60〜90
%画分を用いると致死日数が短縮されることが判る。
【0051】実施例6 グルコース20g/l、サナギ粉40g/lおよびキト
サン5g/lからなる培地を用いて、Beauveria brongn
iartiiを25℃で5日間振盪して前培養を行った。
【0052】次に、前培養したBeauveria brongniartii
の培養液1lと、グルコース100g/lと、サナギ粉
40g/lと、キトサン5g/lを混合した培地4l
を、パルプ不織布(坪量300g/m2 、5.0mm
厚)の表面から流し込んで充分に含浸させ、25℃で1
週間本培養を行い、送風乾燥して本発明の害虫駆除用製
剤を得た。
【0053】この製剤における分生子数(菌糸体を除
く)は、不織布1cm2 当り、2×108 セルであっ
た。
【0054】比較例3 キトサンを前培養および本培養で添加しなかった以外
は、実施例6と同様にして害虫駆除用製剤を作製した。
この製剤における分生子数(菌糸体を除く)は、不織布
1cm2 当り、2×108 セルであった。
【0055】実施例7 実施例6および比較例3にて得た害虫駆除用製剤に、キ
ボシカミキリを5頭ずつ接触させたのち飼育を行い、致
死期間を測定した。
【0056】その結果、平均致死日数は実施例6の製剤
では6.2日、比較例3では7.4日であり、実施例品
では明らかに致死期間が短縮された。
【0057】実施例8 ペプトン10g/l、グリコース40g/l、酵母エキ
ス2g/lおよびキトサン5g/lからなる培地を用い
て、Verticillium lecaniiを25℃で5日間振盪培養を
行った。
【0058】次に、この培養液にモモアカアブラムシ1
0頭を浸漬したのち、キャベツ葉にて飼育した。その結
果、モモアカアブラムシ10頭のうち、7頭が3日で感
染し、残りの3頭は4日で感染した。
【0059】比較例4 キトサンを添加しなかった以外は、実施例8と同様にし
てモモアカアブラムシを飼育したところ、モモアカアブ
ラムシ10頭のうち、5頭が4日で感染し、残りの3頭
は5日、2頭は6日で感染した。
【0060】
【発明の効果】本発明の昆虫病原性糸状菌を用いた害虫
駆除方法は、害虫を糸状菌に接触する前もしくは同時に
酵素処理を施すので、糸状菌が害虫の体内へ侵入しやす
くなり、その結果、死に至るまでの期間が短縮すること
ができる。さらに、糸状菌を培養する際にキチンやキト
サン、糖を含有させておくことによって、培養された糸
状菌のプロテアーゼ活性やキチナーゼ活性を高めること
ができるので、酵素による前処理を行わずとも、糸状菌
の接触と同時に酵素処理が可能となり、実用的な方法で
ある。
【0061】また、糸状菌の培養を多孔質シートなどの
シート状担持体中で行うことによって、取り扱い性に優
れた害虫駆除用製剤とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 害虫に酵素処理を施す方法、および糸状菌と
接触させる方法を示す概念図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昆虫病原性糸状菌を接触させて害虫を感
    染致死によって駆除する方法において、上記糸状菌を接
    触させる前もしくは接触と同時に害虫に酵素処理を施す
    ことを特徴とする害虫駆除方法。
  2. 【請求項2】 酵素処理を施すための酵素が、プロテア
    ーゼ、キチナーゼ、リパーゼから選ばれる少なくとも一
    種である請求項1記載の害虫駆除方法。
  3. 【請求項3】 昆虫病原性糸状菌が、Beauveria brongn
    iartiiBeauveria bassianaVerticillium lecanii
    ら選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の害虫駆
    除方法。
  4. 【請求項4】 酵素処理が、キチンおよび/またはキト
    サン、並びに糖を含む培地で昆虫病原性糸状菌を培養し
    た培養液から分離した酵素による前処理である請求項1
    記載の害虫駆除方法。
  5. 【請求項5】 酵素処理が、キチンおよび/またはキト
    サン、並びに糖を含む培地で培養した昆虫病原性糸状菌
    に害虫を接触させる処理である請求項1記載の害虫駆除
    方法。
  6. 【請求項6】 キチンおよび/またはキトサン、並びに
    糖を培地成分として含む培地にて昆虫病原性糸状菌を培
    養してなる害虫駆除用製剤。
  7. 【請求項7】 培養した昆虫病原性糸状菌をシート状担
    持体に含有させた請求項6記載の害虫駆除用製剤。
  8. 【請求項8】 シート状担持体が不織布、織布、編布、
    発泡体から選ばれる多孔質シートである請求項7記載の
    害虫駆除用製剤。
JP8225555A 1996-08-27 1996-08-27 昆虫病原性糸状菌を用いた害虫駆除方法およびこれに用いる害虫駆除用製剤 Pending JPH1067613A (ja)

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Cited By (4)

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