JPH0624985U - 触指繰り出し式シャープペンシル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸の先端部に設けられた触指部を指先で軽く
後方に引いて放すという操作によって芯の繰り出しを可
能とする触指繰り出し式シャープペンシルであって、残
芯を無くすことを含め従来の構造上の欠点を改良すると
共に、主要部材を樹脂化することで部材の単純化を図り
大幅なコストダウンを可能とする。 【構成】 先端チャック２４を係合し軸側面にガイドス
リット２１を穿設した口金２０を軸筒１の先端に固定
し、口金２０の内部にはガイドスリット２１に嵌入する
係止片２８を有する連結体２７を嵌装し、該連結体２７
をチャックケース１１の先端に固着し、該チャックケー
ス１１は芯固定チャック１７をその内部に係合すると共
に、口金２０との間に介装したコイルスプリングで３３
後方に付勢され、係止片２８と係止して連結体２７と一
体に連動するリング状の触指部３０を口金２０の外部に
露呈して設けて成す。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、筆記時に芯が消耗した場合などに、筆記状態を維持したまま軸の先 端部に設けられた触指部に指先で操作を加えることによって、必要量の芯の繰り 出しを可能とする触指繰り出し式シャープペンシルの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来例として、当出願人は実公昭６４ー１１０７号公報で触指繰り出し式シャ ープペンシルを開示している。それによれば、従来例は部材の強度或いは機能面 などから主要部材は金属加工品で設けられており部材費が割り高と成っている。 又、部品点数も多く、螺合部が多いので更にコストアップという問題がある。さ らに、繰出しが進み芯固定チャックを外れた芯は筆記には不向きなため残芯とし て排出しなければならずムダがあった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、残芯を無くすことを含め従来例の構造上の欠点を改良すると 共に、主要部材のほとんどを樹脂化可能として、且つ部材の省略を図り大幅なコ ストダウンにより安価な触指繰り出し式シャープペンシルを提供せんとするもの である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成する為に、本考案の触指繰り出し式シャープペンシルは、芯固 定チャックをボールで締めつける構造により筆記に対しては充分な芯の保持力を 有するが、芯の当該チャックからの引出しには僅かな力しか必要としないシャー プペンシルに於いて、軸筒（１）、芯ケース（５）、口金（２０）、連結体（２ ７）、触指部（３０）等の主要部品が夫々合成樹脂成型品として形成され、くさ び作用により芯を軸方向の後方に対しては強く保持する先端チャック（２４）の 後端内径部に保持チャック（２５）を装着し、該先端チャック（２４）を先端に 固着した先金（２３）に先端スプリング（２６）により軸方向の後方に対して付 勢して係合すると共に軸側面の中央やや前方にガイドスリット（２１）を穿設し た口金（２０）を軸筒（１）の先端に螺合又は圧入等により固定し、口金（２０ ）の内部に該ガイドスリット（２１）に嵌入して摺動自在で且つ内径方向に弾性 変形可能な係止片（２８）を有する連結体（２７）を嵌装し、該連結体（２７） を内径テーパー部（１４）にボール（１８、１８’）と芯固定チャック（１７） をチャックスプリング（１９）により軸方向の後方に対して付勢して係合したチ ャックケース（１１）の先端に固着し、該チャックケース（１１）を口金（２０ ）の内径段部（２２）との間に介装したコイルスプリング（３３）により軸方向 の後方に対して付勢し、上記係止片（２８）と係止して連結体（２７）と一体に 連動するリング状の触指部（３０）を口金（２０）の外部に露呈して設けて成し たことを特徴とする。

【０００５】

【実施例】

図１は本考案の実施例を示している。先ず、軸筒１の前端外径部には螺子部が 形成されており、ここに樹脂製の口金２０が螺着している。該口金２０は先端に 先金２３を固着すると共に、該先金２３の内径部とのくさび作用により芯を軸方 向の後方に対しては強く保持する先端チャック２４を先端スプリング２６により 軸方向の後方に対して付勢させて配置している。該先端チャック２４の後端内径 部にはゴム製の保持チャック２５が装着されている。尚、口金２０は軸筒１の前 端外径部に圧入する場合もある。又、口金２０の軸側面の中央やや前方にガイド スリット２１が穿設されている。

【０００６】 次に、軸筒１の後端より適宜突出した芯ケース５の後端孔に消しゴム３６を取 付けた消しゴム止め具３５が止着され、芯ケース５の後端外周にはノックカバー ３７が着脱自在に嵌着されている。軸筒１の後端側面にはスリット２が穿設され 、該スリット２の略中央にはテーパー部を有した段部３が形成され、同位置で、 芯ケース５の側面に基部８で一体に接続したクリップ９が設けられて、基部８が スリット２に嵌装され段部３を弾性変形させて基部８の後端が段部３に当接して 芯ケース５が軸筒１の後方に抜け止めされている。

【０００７】 芯ケース５の先端には芯ガイド６が一体に形成され、芯ガイド６の外周にはリ ブ７が設けられている。又、後述するチャックケース１１の後端側面にはスリ割 り部１２が形成され、その内径部には凸部１３が設けられている。芯ガイド６は チャックケース１１の後端内径部内に配置される。さらに、チャックケース１１ は口金２０の内径段部２２とチャックケース１１の外径段部１６との間に介装さ れたコイルスプリング３３により軸方向の後方に付勢され、該外径段部１６を軸 筒１に当接させて配置されている。ここでチャックケース１１が芯ケース５に対 して相対的に前進する場合（触指繰り出し時）には、チャックケース１１の凸部 １３と芯ケース５のリブ７は干渉せず抵抗なく前進する。即ち、触指繰り出し時 には芯ケース５は動かない。逆に、芯ケース５がチャックケース１１に対して相 対的に前進する場合（後端ノック時）には、チャックケース１１の凸部１３と芯 ケース５のリブ７が衝合し、口金２０の内径段部２２とチャックケース１１の外 径段部１６との間に介装されたコイルスプリング３３を圧縮しつつ一体に連動し て前進するが、設定量だけ前進するとコイルスプリング３３のばね力がチャック ケース１１の凸部１３と芯ケース５のリブ７との摩擦係合力を上回り、凸部１３ がリブ７を乗り越える。尚、芯ケース５とチャックケース１１の摩擦係合の手段 は種々あるが、この部位の構成は本願の要旨ではないのでそれ以上の説明は省略 する。又、芯ケース５は軸筒１の内径段部４との間に介装されたコイルスプリン グ１０により軸方向の後方に付勢されている。

【０００８】 ところで、前記チャックケース１１の内径テーパー部１４には、そのテーパー 面に接触するボール１８、１８’を外面凹部に嵌入した芯固定チャック１７が内 装され、この芯固定チャック１７はチャックケース１１の内径段部１５との間に 介装されたチャックスプリング１９により後方へ押圧されている。尚、芯固定チ ャック１７は弾性にすぐれ、耐磨耗性に強い合成樹脂成形品で二つ割り状の筒体 を合わせた状態で構成される。又、芯に筆記圧が働くとボール１８、１８’が転 動して芯固定チャック１７はくさび効果により締まり芯は保持されるが、芯を前 方へ引き出す場合には上記チャックスプリング１９のばね力を弱く設定しておく ことにより数グラム程度の小さい力により可能となるように構成されている。尚 、本願では芯に加わる筆記圧力は後述の先端チャック２４が受け持つため、ボー ル１８、１８’が接触するチャックケース１１にはさほど負担がかからないため 、チャックケース１１は合成樹脂成形品で形成されている。

【０００９】 さらに、チャックケース１１の先端には連結体２７が固着されている。連結体 ２７の外周には前述の口金２０のガイドスリット２１に対応する所定位置で、内 径方向に弾性変形可能な突部２９を有した係止片２８が一体に形成され、係止片 ２８は口金２０のガイドスリット２１に嵌入して摺動自在となり、突部２９は口 金２０のガイドスリット２１から外方に適宜突出状態となる。

【００１０】 又、触指部３０はリング状を呈した樹脂製で、略中央の外周部には凹溝３１が 形成され、凹溝３１内には前記連結体２７の突部２９に対応した箇所で孔部３２ が設けられている。触指部３０は口金２０の外部に嵌装され、突部２９が弾性的 に孔部３２に嵌入して相互が係止され、触指部３０と連結体２７を先端に固着し たチャックケース１１は一体に連動する。尚、上記凹溝３１内にはＯリング３４ が嵌着される。Ｏリング３４は触指部３０を指先で操作するときの滑り止めとし て有効である。

【００１１】

【作用】

先ず、図１の状態から芯繰り出しのため触指部３０を指先で軽く前方に押すと 、連結体２７を先端に固着したチャックケース１１が一体に連動して前進する。 この時、芯は芯固定チャック１７に把持されているために繰り出される（図２） 。次に、指を放すと口金２０の内径段部２２とチャックケース１１の外径段部１ ６との間に介装されたコイルスプリング３３によりチャックケース１１が後退す る。この時、先端チャック２４が芯を保持しているため芯は後退しない。この繰 り出し量は連結体２７の先端が対向する先端チャック２４の後端に当接する間隔 の値となる。尚、普通に芯を繰り出す場合はノックカバー３７の後端をノックす ればよい。即ち、ノックカバー３７に連結した芯ケース５を軸筒１の内径段部４ との間に介装されたコイルスプリング１０を圧縮しながら前進させると、チャッ クケース１１は芯ケース５のリブ７とチャックケース１１の凸部１３が係止して いるので芯ケース５と連動し、口金２０とチャックケース１１との間に介装され たコイルスプリング３３を圧縮しつつ一体に連動し前進するが、設定量だけ前進 するとコイルスプリング３３のばね力が芯ケース５のリブ７とチャックケース１ １の凸部１３との摩擦係合力を上回り、凸部１３がリブ７を乗り越え、芯ケース ５のみが前進し芯固定チャック１７が開放されて芯の繰り出しが行われる（図３ ）。次いで、ノックカバー３７の後端ノックを解除すると、凸部１３が芯ケース ５のリブ７に摩擦係合しているので芯固定チャック１７は開放されたまま芯ケー ス５と共にチャックケース１１が後退し、チャックケース１１が軸筒１の前端で 後退を阻止されると、軸筒１と芯ケース５との間に介装されたコイルスプリング １０のばね力により凸部１３がリブ７を再び乗り越え、芯ケース５のみが後退す る。又、先端チャック２４より突出した芯を軸内に戻すためには、ノックカバー ３７の後端を前述の繰り出し時よりさらにノックすればよく、芯固定チャック１ ７が開放されたままチャックケース１１を前進させて、その先端に固着した連結 体２７の先端を対向する先端チャック２４の後端に衝合し、該先端チャック２４ を前進させ先金２３との係合を開放させる（図４）。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は以上の通りであり、軸筒、芯ケース、口金、連結体、触指部等を夫々 合成樹脂成形品として形成し部材の単純化を図ったことに加え、触指繰り出しの 操作方向を従来と逆の押す動作として部品点数の削減を図ったことでより大幅な コストダウンが可能となる。又、従来の複雑な金属加工や螺合部は加工ばらつき による品質の問題が存在するが、本願では金型による樹脂成形で形成できるので 部材間のばらつきが無く品質が安定化する効果も奏する。さらに、先端チャック を備えたことにより従来残芯として廃棄されていた芯のムダを無くすことができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例である触指繰り出し式シャープ
ペンシルの筆記時における縦断面図を示している。

【図２】本考案の実施例である触指繰り出し式シャープ
ペンシルの触指繰り出しによる芯繰り出し動作時におけ
る縦断面図を示している。

【図３】本考案の実施例である触指繰り出し式シャープ
ペンシルの後端ノックによる芯繰り出し動作時における
縦断面図を示している。

【図４】本考案の実施例である触指繰り出し式シャープ
ペンシルの後端ノックによる芯戻し動作時における縦断
面図を示している。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ 軸筒のスリット ３ 軸筒のスリット段部 ４ 軸筒の内径段部 ５ 芯ケース ６ 芯ケースの芯ガイド ７ 芯ケースのリブ ８ 芯ケースの基部 ９ 芯ケースのクリップ １０ コイルスプリング １１ チャックケース １２ チャックケースのスリ割り部 １３ チャックケースの凸部 １４ チャックケースの内径テーパー部 １５ チャックケースの内径段部 １６ チャックケースの外径段部 １７ 芯固定チャック １８、１８’ ボール １９ コイルスプリング ２０ 口金 ２１ 口金のガイドスリット ２２ 口金の内径段部 ２３ 先金 ２４ 先端チャック ２５ 保持チャック ２６ 先端スプリング ２７ 連結体 ２８ 連結体の係止片 ２９ 連結体の突部 ３０ 触指部 ３１ 触指部の凹溝 ３２ 触指部の孔部 ３３ コイルスプリング ３４ Ｏリング ３５ 消しゴム止め具 ３６ 消しゴム ３７ ノックカバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 芯固定チャックをボールで締めつける構
   造により筆記に対しては充分な芯の保持力を有するが、
   芯の当該チャックからの引出しには僅かな力しか必要と
   しないシャープペンシルに於いて、軸筒（１）、芯ケー
   ス（５）、口金（２０）、連結体（２７）、触指部（３
   ０）等の主要部品が夫々合成樹脂成型品として形成さ
   れ、くさび作用により芯を軸方向の後方に対しては強く
   保持する先端チャック（２４）の後端内径部に保持チャ
   ック（２５）を装着し、該先端チャック（２４）を先端
   に固着した先金（２３）に先端スプリング（２６）によ
   り軸方向の後方に対して付勢して係合すると共に軸側面
   の中央やや前方にガイドスリット（２１）を穿設した口
   金（２０）を軸筒（１）の先端に螺合又は圧入等により
   固定し、口金（２０）の内部に該ガイドスリット（２
   １）に嵌入して摺動自在で且つ内径方向に弾性変形可能
   な係止片（２８）を有する連結体（２７）を嵌装し、該
   連結体（２７）を内径テーパー部（１４）にボール（１
   ８、１８’）と芯固定チャック（１７）をチャックスプ
   リング（１９）により軸方向の後方に対して付勢して係
   合したチャックケース（１１）の先端に固着し、該チャ
   ックケース（１１）を口金（２０）の内径段部（２２）
   との間に介装したコイルスプリング（３３）により軸方
   向の後方に対して付勢し、上記係止片（２８）と係止し
   て連結体（２７）と一体に連動するリング状の触指部
   （３０）を口金（２０）の外部に露呈して設けて成る触
   指繰り出し式シャープペンシル。