JP2584125Y2 - 触指繰り出し式シャープペンシル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、筆記時に芯が消耗した
場合などに、筆記状態を維持したまま軸の先端部に設け
られた触指部に指先で軽く後方へ引いて放すという操作
を加えることによって、必要量の芯の繰り出しを可能と
する触指繰り出し式シャープペンシルの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来例として、当出願人は実公昭６４ー
１１０７号公報で触指繰り出し式シャープペンシルを開
示している。それによれば、チャックケース２の前端部
外周には接合筒６が軸筒７に圧入固定されており、この
接合筒６の前端内径部に軸継ぎ手８が螺着されている。
軸継ぎ手８の前端外径部には螺子部が形成されており、
ここに先端パイプ９を固定した口金１０が螺着してい
る。軸継ぎ手８の内径部には保持チャック１２を中心に
嵌装した繰り出し体１３の中心部１４が内装されてお
り、繰り出し体１３はこの中心部から外方に片部１５を
突出させその先端に短筒状の触指部１６を構成してい
る。繰り出し体１３の片部１５は軸継ぎ手８の先端から
後方に向かって軸方向に設けられたスリ割り１７を貫通
しておりその触指部１６を軸継ぎ手８の外周部に露呈さ
せている。触指繰り出しとは別に、普通に芯を繰り出す
場合には、ノック操作部に連結する芯ガイド１が接合筒
６との間に介装されたコイルスプリング２０を圧縮しな
がらチャックケース２を軸継ぎ手８の後端に衝合するま
で前進させ、次いで芯固定チャック４が開放されて芯の
繰り出しが行われる。ノックを解除するとチャックケー
ス２が後退するが、その時には芯固定チャック４が開放
されたまま後退する必要がある。その為に、芯ガイド１
はチャックケース２の外周にコイルスプリング５より強
い力で摩擦係合するように構成される必要がある。以上
示したように、従来例は軸継ぎ手８の螺子部にスリ割り
１７を設けたことにより変形し易い欠点がある。その
為、繰り出し体１３の摺動不良や口金１０の緩みが起き
やすい。従って、実際上それらの部材は金属加工品で設
けられており部材費が割り高と成っている。又、従来例
は部品点数も多く、螺合部が多いので更にコストアップ
という問題がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】そこで本考案は、従来
例の構造上の欠点を改良すると共に、主要部材のほとん
どを樹脂化可能として、且つ部材の省略を計り大幅なコ
ストダウンにより安価な触指繰り出し式シャープペンシ
ルを提供せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為
に、本考案の触指繰り出し式シャープペンシルは、芯固
定用のチャックをボールで締めつける構造により筆記に
対しては充分な芯の保持力を有するが、芯のチャックか
らの引出しには僅かな力しか必要としないシャープペン
シルであって、軸筒、口金、繰り出し体、触指操作体、
チャックケース、芯ケース等は夫々合成樹脂成形品とし
て形成され、軸側面の中央やや前方に透孔を穿設した口
金を軸筒の先端に螺合又は圧入等により固定して口金の
内部に、透孔に嵌入して摺動自在な係止片を有した繰り
出し体を嵌装し、繰り出し体の中心に芯保持体を設ける
と共に、係止片に設けた係止凹部に弾性変形により係合
して、繰り出し体と一体に連動するリング状の触指操作
体を口金の外部に露呈して、触指操作体の内部で、触指
操作体と口金との間にスプリングを介在させて触指操作
体を前方に押圧状態に成し、チャックケースの後方側面
に後端閉塞状のスリットとスリット部を穿設すると共
に、スリット部内に芯ケース２の先方外周に突設した弾
性変形可能な突起を嵌入させて、芯ケースの前進で突起
がスリット部に摺接した範囲で係合してチャックケース
が前進するように構成したことを特徴とする。

【０００５】

【実施例】図示した実施例を説明すると、軸筒１の後端
より適宜突出した芯ケース２の後端孔に消しゴム３を取
付けた消しゴム受け４が止着され、芯ケース２の後端外
周にはノックカバー５が着脱自在に嵌着されている。
又、軸筒１の後端側面にはスリット９ａ、テーパー部を
有して小スリット９ｂ、段部１１を経てスリット９ｃで
構成されたスリット９が穿設され、同位置で、芯ケース
２の側面には前端に突起１０を有した膨出状のリブ７が
設けられて、突起１０がスリット９ａに嵌装されテーパ
ー部を弾性変形させて突起１０の後端がスリット９ｃの
段部１１に当接して芯ケース２が軸筒１の後方に抜け止
めされている。又、ノックカバー５の側面にはクリップ
６が一体に設けられ、芯ケース２に嵌着する孔部の一側
には溝８が設けられて膨出状のリブ７が嵌入し、ノック
カバー５、芯ケース２、軸筒１は回転方向で一体化され
ている。

【０００６】又、芯ケース２の先端には芯ガイド２ａが
一体に形成され、芯ガイド２ａの外周には突起１５が内
方に弾性変形可能な状態で弾性片１５ａが設けられてい
る。又、後述するチャックケース１２の後方側面には後
端部１４ａで閉塞されてスリット１３が穿設され、スリ
ット１３は後方に段部１４を有してやや幅狭のスリット
部１３ａが形成されている。芯ガイド２ａはチャックケ
ース１２の後端孔に嵌入して突起１５が弾性変形により
スリット１３に嵌装し、突起１５はスリット部１３ａに
位置した状態に於いて、その側面がスリット部１３ａの
側面に適宜摩擦係合して芯ケース２が前進状態でチャッ
クケース１２は連動して前進する。又、芯ケース２はそ
の外面鍔部３５と軸筒１の内面段部１６との間でスプリ
ング１７により常時は後方に附勢されている。

【０００７】ところで、前記チャックケース１２の先端
には締め筒１８が固着されている。締め筒１８の前端内
径部はテーパー状を呈しており、そのテーパー面に接触
するボール２２を凹部２１に嵌入した芯固定用のチャッ
ク１９が内装され、このチャック１９は締め筒１８の後
端で形成される段部との間に介装されたスプリング２４
により後方へ押圧されている。尚、芯固定用のチャック
１９は弾性にすぐれ、耐磨耗性に強い合成樹脂成形品で
二つ割り状の筒体を合わせた状態で構成される。又、芯
に筆記圧が働くとボール２２が転動してチャック１９は
楔効果により締まり芯は保持されるが、芯を前方へ引き
出す場合には上記スプリング２４のばね力を弱く設定し
ておくことにより数グラム程度の小さい力により可能と
なるように構成されている。ところで、上記チャックケ
ース１２は樹脂成形品で形成され締め筒１８は金属加工
で形成される。本来、チャックケースと締め筒は一体で
形成されるものであるが、加工が複雑な為に金属だとコ
スト高となる。又、樹脂製だと耐久性不足となる。締め
筒１８を金属としている理由はボールの転動による耐磨
耗性とテーパー部の剛性を配慮したことによる。尚、耐
久性を妥協することと、肉厚を十分とれば一体の樹脂成
形品でもよい。（但し、肉厚を増した分軸径が太くなる
不都合はある。）

【０００８】又、軸筒１の前端内径部には螺子部が形成
されており、ここに先端パイプ２６を固定した樹脂製の
口金２５が螺着している。尚、口金２５は軸筒１の前端
外径部に圧入する場合もある。又、口金２５に先端パイ
プを一体に形成する場合もある。又、口金２５の軸側面
の中央やや前方に透孔２７が穿設されており、口金２５
の内部には繰り出し体２８が摺動自在に嵌装されてい
る。繰り出し体２８は中心に芯保持体２９が固定されて
設けられ、後端側外周には上記透孔２７に対応する所定
位置で、係止凹部３１を有した係止片３０が一体に形成
され、係止片３０は透孔２７に嵌入して摺動自在と成さ
れている。又、前記締め筒１８の先端と繰り出し体２８
が口金２５の最前端位置にある時の対向面との間には、
ノック操作による繰り出し量だけの間隔が設けられてい
る。

【０００９】又、触指操作体３２はリング状を呈した樹
脂製で、略先端の内周部には前記係止凹部３１に対応し
た箇所で係止凸部３３が形成されている。触指操作体３
２は口金２５の外部に嵌装され、係止凸部３３は弾性的
に係止凹部３１に嵌入して相互が係合されて触指操作体
３２と繰り出し体２８は一体に連動する。又、触指操作
体３２の後端と口金２５の対向する段部との間には触指
繰り出しの為の間隔が設けられている。

【００１０】又、触指操作体３２の内部で、触指操作体
３２と口金２５との間にスプリング３４を介在させて触
指操作体３２を前方に押圧状態に附勢している。このス
プリングのばね力は芯固定用のチャック１９から芯を引
き出す力よりも大きくて構わないので１０グラム乃至２
０グラム程度に設定できる。

【００１１】

【作用】繰り出し体２８は外部の触指操作体３２を指で
もって軽く後方に引いて係止片３０を透孔２７に沿わせ
ることによって後方に摺動させることができる。次に、
指を放すと芯保持体２９が芯を保持して前方へ戻るので
芯を繰り出すことができる。この繰り出し量は触指操作
体３２の後端が対向する口金２５の段部に当接する間隔
の値となる。尚、普通に芯を繰り出す場合は、ノックカ
バー５の後端をノックすればよく、ノックカバー５に連
結した芯ケース２先端の芯ガイド２ａが外面鍔部３５と
軸筒１の内面段部１６との間に介装されたスプリング１
７を圧縮しながらチャックケース１２と一体の締め筒１
８を前進して、（前記突起１５がスリット部１３ａに適
宜摩擦係合するので芯ガイド２ａとチャックケース１２
は連動する。尚、芯保持体２９の芯保持力より上記摩擦
係合力は強めに設定されている。）その先端を対向する
繰り出し体２８の段部に衝合するこの状態でチャックケ
ース１２の前進が阻止されるので突起１５がスリット部
１３ａを相対的に滑って段部１４を越えた位置まで前進
するので、芯ガイド２ａの先端が芯固定用のチャック１
９の後端に当接してチャック１９が開放されて芯の繰り
出しが行われる。次いで、ノックカバー５の後端ノック
を解除すると、突起１５が段部１４に当接して、チャッ
ク１９は開放されたまま芯ケース２と共にチャックケー
ス１２が後退して、チャックケース１２が軸筒１の内段
１｀で後退を阻止されると、芯ケース２、即ち芯ガイド
２ａのみが後退して再び突起１５が滑ってスリット部１
３ａの領域に係合する。

【００１２】

【考案の効果】本考案は以上の通りであり、従来の軸継
ぎ手の先端まで切欠いたスリ割りがないので触指部の摺
動不良や螺合部の緩み等の構造上の欠点が解消される。
又、軸筒、口金、繰り出し体、触指操作体、チャックケ
ース、芯ケース等を夫々合成樹脂成形品として形成し、
部材の単純化、組立て性の工夫を計ったことにより大幅
なコストダウンが可能となる。又、従来の複雑な金属加
工や螺合部は加工ばらつきによる品質の問題が存在する
が、本願では金型による樹脂成形で形成できるので部材
間のばらつきが無く品質が安定化する効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例である触指繰り出し式シャープ
ペンシルの縦断面図で、一部が半断面されている。

【図２】本考案の実施例である触指繰り出し式シャープ
ペンシルの外観を示す正面図である。

【図３】本考案の芯ガイドとチャックケースとの係合部
位正面を示す要部図である。

【図４】本考案の芯ケースと軸筒との止着部位を示す要
部図である。

【図５】本考案の繰り出し体、口金、触指操作体の構成
を示す夫々の断面図である。

【図６】図３に対応した芯ガイドとチャックケースの係
合状態を示した要部拡大の断面図である。

【符号の説明】

１ 軸筒 １｀ 内段 ２ 芯ケース ２ａ 芯ガイド ３ 消しゴム ４ 消しゴム受け ５ ノックカバー ６ クリップ ７ リブ ８ 溝 ９ スリット ９ａ スリット ９ｂ 小スリット ９ｃ スリット １０ 突起 １１ 段部 １２ チャックケース １３ スリット １３ａ スリット部 １４ 段部 １４ａ 後端部 １５ 突起 １５ａ 弾性片 １６ 内面段部 １７ スプリング １８ 締め筒 １９ チャック ２０ 芯把持部 ２１ 凹部 ２２ ボール ２３ テーパー部 ２４ スプリング ２５ 口金 ２６ 先端パイプ ２７ 透孔 ２８ 繰り出し体 ２９ 芯保持体 ３０ 係止片 ３１ 係止凹部 ３２ 触指操作体 ３３ 係止凸部 ３４ スプリング ３５ 外面鍔部 ３６ 段部 ３７ 段部 ３８ 内面突出部

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B43K 21/16

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チャック１９の芯把持部２０をボール２
   ２で締めつける構造により筆記に対しては充分な芯の保
   持力を有するが、芯の当該チャックからの引出しには僅
   かな力しか必要としないシャープペンシルに於いて、軸
   筒１、口金２５、繰り出し体２８、触指部操作体３２、
   チャックケース１２、芯ケース２の主要部材が夫々合成
   樹脂成形品として形成され、軸側面の中央やや前方に透
   孔２７を穿設した口金２５を軸筒１の先端に螺合又は圧
   入等により固定して、口金２５の内部に透孔２７に嵌入
   して摺動自在な係止片３０を有した繰り出し体２８を嵌
   装し、該繰り出し体２８の中心に芯保持体２９を設ける
   と共に、上記係止片３０に設けた係止凹部３１に弾性変
   形により係合する係止凸部３３を有して、繰り出し体２
   ８と一体に連動するリング状の触指操作体３２を口金２
   ５の外部に露呈して設け、該触指操作体３２の内部で、
   触指操作体３２と口金２５との間にスプリング３４を介
   在させて触指操作体３２を前方に押圧状態に成し、チャ
   ックケース１２の後方側面に後端閉塞状のスリット１
   ３、スリット部１３ａを穿設すると共に、該スリット部
   １３ａ内に芯ケース２の先方外周に突設した弾性変形可
   能な突起１５を嵌入させて、芯ケース２の前進で突起１
   ５がスリット部１３ａに摺接した範囲で係合してチャッ
   クケース１２が前進するように構成したことを特徴とす
   る触指繰り出し式シャープペンシル。