JPH06249297A

JPH06249297A - 遊星歯車減速装置

Info

Publication number: JPH06249297A
Application number: JP6471393A
Authority: JP
Inventors: Akihiro Tanaka; 章弘田中; Nobuo Uzawa; 信夫鵜沢; Shinobu Yamamoto; 忍山本; Yuji Igawa; 裕二井川
Original assignee: Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Current assignee: Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date: 1993-03-01
Filing date: 1993-03-01
Publication date: 1994-09-06

Abstract

(57)【要約】【目的】遊星歯車減速装置おいて、最終段のキャリア
と支持部材との固定を簡単な構造で行なうと共に、軸受
の軸方向の位置決めを行なうナットの廻止めを確実に行
なう。【構成】最終段のキャリア４７の当接面４７Ａと支持
部材４１の当接面４１Ｂとを当接することで軸方向の位
置決めを行なう。最終段の遊星歯車４４を支持するピン
４６を長尺にして、キャリア４７の当接面４７Ａから突
出させる。そして、このピン４６の突出部を支持部材４
１の係合凹部４１Ｃに係合させ、キャリア４７の回転方
向の位置決めを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば油圧ショベル、
油圧クレーン等の履帯駆動装置、油圧クレーン用ロープ
ウィンチ等に用いられる遊星歯車減速装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ここで、図６ないし図８に従来技術によ
る遊星歯車減速装置として、油圧ショベルや油圧クレー
ン等の履帯駆動装置を例に挙げて説明する。

【０００３】図中、１は車体の機枠等に固着される円筒
状の支持部材を示し、該支持部材１は一端側はモータ取
付部、他端側は筒状のキャリア固定部１Ａとなり、その
内周側には雌スプライン１Ｂが形成されると共に、外周
側には雄ねじ１Ｃが形成されており、前記モータ取付部
には回転源としての油圧モータ２が固着されている。

【０００４】３は回転体となる有底筒状のハウジングを
示し、該ハウジング３は支持部材１の外周側に位置する
ドラム４と、内周側に内歯車５Ａが設けられたリングギ
ア５と、同じく内歯車６Ａが設けられた他のリングギア
６と、該リングギア６を施蓋する底蓋７とから大略構成
されている。そして、前記ドラム４は一対の円錐ころ軸
受からなる軸受８を介して支持部材１に回転自在に支持
されると共に、その外周側にスプロケット９が取付けら
れ、リングギア５，６はボルト１０を介してドラム４に
固着され、底蓋７はボルト１１を介して他のリングギア
６に固着されている。また、前記底蓋７にはボルト１１
を岩石等から保護するためのガード７Ａが形成されてい
ると共に、内面側の軸中心位置には軸方向の位置決めを
行なう位置決め突起７Ｂが設けられている。なお、軸受
８には円錐ころ軸受を用いているから、適度の予圧を後
述するナット３１により与えるようになっている。

【０００５】１２は油圧モータ２の出力回転を導出する
回転軸を示し、該回転軸１２は一端は油圧モータ２と連
結され、その他端は底蓋７側まで延在し、その他端には
後述する太陽歯車１４が形成されていると共に、位置決
め突起７Ｂに当接し軸方向の位置決めがなされている。

【０００６】１３は１段目の減速歯車機構を示し、該減
速歯車機構１３は回転軸１２の先端に一体形成された太
陽歯車１４と、該太陽歯車１４とリングギア６の内歯車
６Ａとに噛合するように該太陽歯車１４の周囲に（例え
ば３個）配設された遊星歯車１５（１個のみ図示）と、
該遊星歯車１５を軸受１６を介して回転自在に支持する
ピン１７と、該ピン１７が固着され、遊星歯車１５と一
体に公転してこの公転のみを次段の太陽歯車２０に伝達
するキャリア１８とから構成されている。なお、前記太
陽歯車１４は回転軸１２と別部材とし、これに取付けて
もよい。

【０００７】一方、１９は中間段の減速段となる２段目
の減速歯車機構を示し、該減速歯車機構１９は回転軸１
２に遊嵌され、１段目のキャリア１８と噛合して公転の
みが伝達される太陽歯車２０と、該太陽歯車２０とリン
グギア６の内歯車６Ａとに噛合するように該太陽歯車２
０の周囲に（例えば３個）配設された遊星歯車２１（１
個のみ図示）と、該遊星歯車２１を軸受２２を介して回
転自在に支持するピン２３と、該ピン２３が固着され、
遊星歯車２１と一体に公転してこの公転のみを次段の太
陽歯車２６に伝達するキャリア２４とから構成されてい
る。

【０００８】そして、２５は最終段の遊星歯車減速段と
なる３段目の減速歯車機構を示し、該減速歯車機構２５
は回転軸１２に遊嵌され、２段目のキャリア２４と噛合
して該キャリア２４の公転のみが伝達される太陽歯車２
６と、該太陽歯車２６とリングギア５の内歯車５Ａとに
噛合するように該太陽歯車２６の周囲に（例えば３個）
配設された遊星歯車２７（１個のみ図示）と、該遊星歯
車２７を軸受２８を介して回転自在に支持するピン２９
と、該ピン２９を支持すると共に、左端側が支持部材１
の雌スプライン１Ｂと噛合する雄スプライン３０Ａとな
って回転方向に位置決めがなされ、支持部材１のキャリ
ア固定部１Ａに固定されたキャリア３０とから構成され
ている。

【０００９】ここで、前記キャリア３０は前記ピン２９
を支持している両側の側板３０Ｂ，３０Ｃと、該側板３
０Ｂ，３０Ｃ間に延設され、これらを連結しているリブ
３０Ｄとからなり、前記側板３０Ｂは前記雄スプライン
３０Ａに隣接して径方向に突設され、側板３０Ｃと共に
板状に形成されており、該側板３０Ｂは前記支持部材１
のキャリア固定部１Ａの端面に当接されるようになって
いる。これにより、各段の減速歯車機構１３，１９，２
５は前記底蓋７の位置決め突起７Ｂと支持部材１のキャ
リア固定部１Ａの端面との間で、軸方向の位置決めを行
うようになっている。

【００１０】さらに、３１は支持部材１のキャリア固定
部１Ａの外周に設けられた雄ねじ１Ｃに螺着され、軸受
８を軸方向に位置決めする大径筒状のナットを示し、該
ナット３１はキープレート３２とボルト３３，３３とに
よって廻止めされている。即ち、キープレート３２は円
弧状の板体により形成され、該キープレート３２には図
７，図８に示す如く、径方向内側に向けて爪部３２Ａが
突設され、該爪部３２Ａを支持部材１のキャリア固定部
１Ａに形成した切欠部３４に係合させた状態で、各ボル
ト３３により該キープレート３２をナット３１に固定し
ている。

【００１１】このように構成される従来技術の遊星歯車
減速装置では、油圧モータ２を回転駆動すると、その回
転は太陽歯車１４，遊星歯車１５，キャリア１８等から
なる１段目の減速歯車機構１３によって所定の減速比で
減速され、遊星歯車１５の公転のみがキャリア１８から
出力される。そして、該キャリア１８は太陽歯車２０と
噛合しているから、該キャリア１８の公転は太陽歯車２
０，遊星歯車２１，キャリア２４等からなる２段目の減
速歯車機構１９によって所定の減速比で減速され、遊星
歯車２１の公転のみがキャリア２４から出力される。さ
らに、該キャリア２４の公転は太陽歯車２６，遊星歯車
２７，キャリア３０等からなる３段目、即ち、最終段の
減速歯車機構２５によってさらに所定の減速比で減速さ
れる。ここで、該最終段のキャリア３０は各スプライン
１Ｂ，３０Ａを介して支持部材１の回転方向に位置決め
されているから、ドラム４，リングギア５，６等からな
るハウジング３は最終段の遊星歯車２７の周囲を公転す
るようになり、油圧モータ２の回転出力は各減速歯車機
構１３，１９，２５で順次減速され、大きなトルクとな
ってハウジング３に伝達され、スプロケット９に巻回さ
れた履帯を駆動するようになっている。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、最終段のキャリア３０には雄スプライン３
０Ａを形成し、支持部材１のキャリア固定部１Ａには雌
スプライン１Ｂを形成し、スプライン１Ｂ，３０Ａを噛
合することにより、支持部材１に対してキャリア３０の
廻止めを行なうようにしている。このため、スプライン
１Ｂ，３０Ａの製造と加工が複雑になるという問題があ
る。

【００１３】一方、軸受８には円錐ころ軸受を使用して
いるから、ナット３１を適正トルクで締込むことによ
り、所定の予圧を与える構造になっている。ここで、一
定の与圧を与えるためには、一定のトルクで締込むこと
になるが、一定トルクでナット３１が締込まれたときに
支持部材１の切欠部３４とキープレート３２の爪部３２
Ａとの相対位置が必ず一致するものではない。そして、
キープレート３２がナット３１に固着できる位置にする
ため、ナット３１を適正トルク以上の力で、キープレー
ト３２が固着できる位置まで締込む。このため、軸受８
に余分な負荷がかかり、該軸受８の寿命を著しく低下さ
せるという問題がある。

【００１４】本発明は上述した従来技術の問題点に鑑み
なされたもので、本発明は簡単な構造で最終段のキャリ
アを支持部材に軸方向および回転方向の位置決めを行な
うと共に、ハウジングを回転自在に支持する軸受の軸方
向の位置決めを確実に行なうことのできる遊星歯車減速
装置を提供することを目的としている。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明が採用する構成の特徴は、最終段となる減
速歯車機構のキャリアを支持部材の端面に当接させるこ
とによって該減速歯車機構をハウジング内で軸方向に位
置決めし、該最終段のキャリアに設けたピンを該キャリ
アから前記支持部材に向けて突出させ、該支持部材の外
周側には前記ピンの突出端側を係合させることによって
前記最終段のキャリアを該支持部材に対して回転方向に
位置決めする凹部を設けたことにある。

【００１６】また、前記支持部材とハウジングとの間に
設けられた前記軸受を前記支持部材の外周側に螺合する
ナットによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止め
を行なうキープレートは前記支持部材に形成した切欠部
に爪部を係合させた状態で前記ナットに２本のボルトで
固着する構成とし、前記キープレートの爪部は該キープ
レートに形成された２本のボルト挿通穴に対して不均等
な位置に形成することが望ましい。

【００１７】また、前記支持部材とハウジングとの間に
設けられた前記軸受を前記支持部材の外周側に螺合する
ナットによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止め
を行なうキープレートは前記支持部材の外周側に不均等
に形成した複数の切欠部のうち、いずれか一の切欠部に
爪部を選択的に係合させた状態で前記ナットに固着する
構成にすることが望ましい。

【００１８】さらに、前記支持部材とハウジングとの間
に設けられた前記軸受を前記支持部材の外周側に螺合す
るナットによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止
めを行なうキープレートは前記支持部材の外周側に不均
等に形成した複数の切欠部のうち、いずれか一の切欠部
に爪部を選択的に係合させた状態で前記ナットに２本の
ボルトで固着する構成とし、前記キープレートの爪部は
該キープレートに形成された２本のボルト挿通穴に対し
て不均等な位置に形成することが望ましい。

【００１９】

【作用】上記構成により、最終段のキャリアを支持部材
の端面に当接させることにより、減速歯車機構の軸方向
の位置決めを行ない、支持部材に形成した凹部に該キャ
リアから前記支持部材に向けて突出させたピンを係合す
ることにより、回転方向の位置決めを行なうことができ
る。

【００２０】さらに、ナットに固着されるキープレート
の爪部と支持部材の切欠部との係合位置を種々設定で
き、その中の１つを選択的に選ぶことにより、軸受に適
度の予圧を与えた状態で、該軸受の軸方向の位置決めを
行なうことができる。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１ないし図５に基
づき説明する。

【００２２】まず、図１および図２に第１の実施例を示
す。なお、実施例では前述した従来技術と同一の構成要
素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとす
る。

【００２３】図中、４１は従来技術による支持部材１に
代わる本実施例による支持部材を示し、該支持部材４１
は従来技術の支持部材１とほぼ同様に、車体の機枠等に
固着される円筒状に形成され、一端側には油圧モータ２
が取付けられるモータ取付部が、他端側には筒状のキャ
リア固定部４１Ａが形成されているものの、本実施例の
支持部材４１はキャリア固定部４１Ａの端面を後述する
キャリア４７の軸方向の位置決めを行なう平坦な当接面
４１Ｂとし、前記支持部材４１の外周側で該当接面４１
Ｂ寄り位置には半円状の係合凹部４１Ｃ，４１Ｃ，４１
Ｃが均等距離をもって離間するように３個形成され、該
各係合凹部４１Ｃの奥部側外周面にはナット４８が螺合
される雄ねじ４１Ｄが形成されている。

【００２４】４２は従来技術による最終段の減速歯車機
構２５に代わる減速歯車機構を示し、該減速歯車機構４
２は従来技術の減速歯車機構２５とほぼ同様に、２段目
のキャリア２４の公転のみが伝達される太陽歯車４３
と、該太陽歯車４３の周囲に（例えば３個）配設された
遊星歯車４４（１個のみ図示）と、該遊星歯車４４を軸
受４５を介して回転自在に支持する長尺なピン４６と、
該ピン４６を支持すると共に、左端側が支持部材４１の
当接面４１Ｂに当接する平坦な当接面４７Ａとなって軸
方向に位置決めがなされた固定のキャリア４７とから構
成されている。また、該キャリア４７は前記ピン４６を
支持している両側の側板４７Ｂ，４７Ｃと、該側板４７
Ｂ，４７Ｃ間に延設され、これらを連結しているリブ４
７Ｄとからなっている。

【００２５】ここで、本実施例によるピン４６は従来技
術のピン２９と比較して長尺に形成され、キャリア４７
の当接面４７Ａから支持部材４１に向けて突出するよう
に該キャリア４７に支持され、該キャリア４７の当接面
４７Ａを支持部材４１の当接面４１Ｂに当接したとき
に、各係合凹部４１Ｃに各ピン４６の突出端側を係合さ
せ、キャリア４７の支持部材４１に対する回転方向の位
置決めを行なうようになっている。

【００２６】４８は支持部材４１のキャリア固定部４１
Ａの外周に設けられた雄ねじ４１Ｄに螺着され、軸受８
の軸方向の位置決めを行なう本実施例のナットを示し、
該ナット４８は後述するキープレート４９とボルト５
０，５０とによって廻止めされている。なお、前記ナッ
ト４８には所定距離だけ離間した寸法を有するねじ穴４
８Ａ，４８Ａ，…が全周に亘って１２個形成されてい
る。

【００２７】４９はキープレートを示し、該キープレー
ト４９は図２に示す如く、円弧状の板体に形成され、長
さ方向の中心部から片側に寄って径方向内側に向け突設
された爪部４９Ａと、前記ナット４８のねじ穴４８Ａの
間隔と同じ離間寸法を有して形成された４個のボルト挿
通穴４９Ｂ，４９Ｂ，…とからなる。そして、該キープ
レート４９は爪部４９Ａを支持部材４１のキャリア固定
部４１Ａに形成した切欠部５１に係合させた状態で、２
本のボルト５０によりキープレート４９の各ボルト挿通
穴４９Ｂおよびナット４８の各ねじ穴４８Ａのうち、２
個をそれぞれ選択し、該キープレート４９をナット４８
に固着することで、ナット４８の廻止めを行なってい
る。

【００２８】本実施例による遊星歯車減速装置は、上述
の如く構成されるが、その基本的作動については従来技
術によるものと格別差異はない。

【００２９】然るに、本実施例によれば、最終段の減速
歯車機構４２のキャリア４７と支持部材４１のキャリア
固定部４１Ａとの軸方向の固定を、該キャリア固定部４
１Ａの当接面４１Ｂとキャリア４７の当接面４７Ａとを
当接することにより行ない、該キャリア４７の回転方向
の廻止めは、減速歯車機構４２の各ピン４６を長尺に形
成し、キャリア４７の当接面４７Ａから突出させ、この
突出部分を支持部材４１のキャリア固定部４１Ａに形成
した各係合凹部４１Ｃに係合させることにより行なうよ
うしている。

【００３０】これにより、支持部材４１へのキャリア４
７の固定を簡単な構造で確実に行なうことができる。そ
して、本実施例では、従来技術のようなスプライン加工
を省略でき、支持部材４１およびキャリア４７の製造工
程を簡略化することができ、製造コストを低減すること
ができる。

【００３１】一方、図２に示すように、キープレート４
９の爪部４９Ａを、長さ方向（周方向）の中心部から片
側に寄って突設すると共に、ボルト挿通穴４９Ｂを４個
形成している。このため、支持部材４１の雄ねじ４１Ｄ
にナット４８を螺着した後に、該支持部材４１に形成さ
れた切欠部５１に爪部４９Ａを係合させ、このときにボ
ルト挿通穴４９Ｂがナット４８のねじ穴４８Ａに一致す
る位置を選択し、２本のボルト５０でナット４８にキー
プレート４９を固着する。なお、各ボルト挿通穴４９Ｂ
と各ねじ穴４８Ａとを一致させるときには、キープレー
ト４９を裏返しにしてもよい。

【００３２】かくして、キープレート４９のナット４８
への固着位置を種々選択することができ、ナット４８の
支持部材４１の雄ねじ４１Ｄへのねじ込み過ぎを防止で
き、軸受８に適度な予圧を与え、該軸受８の軸方向の位
置決めを確実に行なうことができる。そして、軸受８に
余分な負荷が加わるのを防止でき、該軸受８の寿命を効
果的に延ばすことができる。

【００３３】次に、第２の実施例を図３ないし図５に示
し説明するに、本実施例の特徴は、支持部材の外周側に
不均等に形成した複数の切欠部のうち、いずれか一の切
欠部にキープレートを選択的に係合させたことにある。
なお、前記第１の実施例と同一の構成要素に同一の符号
を付し、その説明を省略するものとする。

【００３４】図中、６１は第１の実施例によるナット４
８に代わる本実施例によるナットを示し、該ナット６１
は第１の実施例で述べたナット４８と同様に形成され、
支持部材４１のキャリア固定部４１Ａの外周面に形成さ
れた雄ねじ４１Ｄに螺着され、軸受８の軸方向の位置決
めをなすもので、後述するキープレート６２とボルト５
０，５０とによって廻止めされている。また、該ナット
６１には所定距離だけ離間した寸法を有するねじ穴６１
Ａ，６１Ａ，…が全周に亘って１２個形成され、各ねじ
穴６１Ａのそれぞれのなす角度θ1 は３０°となってい
る。

【００３５】６２は本実施例に適用されるキープレート
を示し、該キープレート６２は円弧状の板体により形成
され、径方向内側に向け突設された爪部６２Ａと、前記
ナット６１のねじ穴６１Ａの間隔と同じ離間寸法を有し
て形成された２個のボルト挿通穴６２Ｂ，６２Ｂとから
なる。そして、該キープレート６２の各ボルト挿通穴６
２Ｂ間のなす角度θ2 は前記ナット６１の各ねじ穴６１
Ａの角度θ1 と同一の３０°となっており、該各ボルト
挿通穴６２Ｂと爪部６２Ａとのなす角度θ3 ，θ4 はそ
れぞれ１２．５°，１７．５°となっている。

【００３６】６３，６３，６３は支持部材４１のキャリ
ア固定部４１Ａの外周側に不均等に形成された切欠部を
示し、該各切欠部６３のそれぞれのなす角度θ5 ，θ6
，θ7 はそれぞれ１１０°，１４０°，１１０°とな
っている。

【００３７】このように構成される本実施例の遊星歯車
減速装置においても、前述した第１の実施例と同様の作
用効果を得ることができる。

【００３８】然るに、本実施例においては、キープレー
ト６２の爪部６２Ａと各ボルト挿通穴６２Ｂとのなす角
度θ3 ，θ4 との差を５°としているから、ナット６１
を一定のトルクで締込んだ後に、例えばキープレート６
２が図３のような状態で取付けられない場合、即ち爪部
６２Ａを１つの切欠部６３を選択して係合させた後に、
キープレート６２の各ボルト挿通穴６２Ｂとナット６１
の各ねじ穴６１Ａとが一致しない場合には、図４のよう
に該キープレート６２を裏返しに取付けることにより、
ナット６１の締込み位置を図３の位置よりも５°締込ん
だ位置で固定することができる。

【００３９】また、支持部材４１のキャリア固定部４１
Ａに形成された各切欠部６３のなす角度θ5 ，θ6 ，θ
7 を不均等にすることで、ナット６１を図４の位置より
も５°締込んだ場合には、図５に示すように、図４の係
合位置とは異なり、θ7 だけ移動した紙面左側の切欠部
６３にキープレート６２を係合し、ナット６１に固着す
ることができる。

【００４０】さらに、図４の位置でもキープレート６２
をナット６１に各ボルト５０で固着できない場合には、
前述した如く、キープレート６２を裏返しにしてナット
６１をサーキュレーションラインに５°締込んだ位置
で、各穴６１Ａ，６２Ｂを一致させるようにする。

【００４１】このように、本実施例では、支持部材４１
のキャリア固定部４１Ａに形成した３個の切欠部６３，
６３，…とキープレート６２の表裏を使い分けることに
よって、ナット６１を５°刻みで締込んだとき状態を設
定し、ナット６１の締込み位置の選択度を増加させ、ナ
ット６１へのキープレート６２の固着を確実に行なうよ
うにできる。そして、軸受８に余分な負荷が加わるのを
防止し、該軸受８の寿命をより効果的に延ばすことがで
きる。

【００４２】なお、前記第２の実施例においては、キー
プレート６２の爪部６２Ａと各ボルト挿通穴６２Ｂとの
なす角度θ3 ，θ4 との差を５°としたが、本発明はこ
れに限らず、θ3 ＝θ4 ＝１５°とすれば、ナット６１
の締込みは１０°刻みで締込んだときの位置合わせを行
なうことができる。

【００４３】また、前記各実施例では、油圧ショベルや
油圧クレーン等の履帯駆動装置として用いられる場合を
例に挙げたが、本発明はこれに限らず、油圧クレーン用
ロープウィンチ等、種々の用途の遊星歯車減速装置にも
適用できるものである。

【００４４】さらに、前記実施例では、３段の減速歯車
機構を有する遊星歯車減速装置について述べたが、１
段，２段または４段以上の減速歯車機構を有する遊星歯
車減速装置に用いてもよいことは勿論である。

【００４５】

【発明の効果】以上詳述した如く、本発明によれば、最
終段となる減速歯車機構のキャリアを支持部材の端面に
当接させると共に、前記キャリアに設けたピンを該キャ
リアから前記支持部材に向けて突出させ、該支持部材に
前記ピンの突出端側が係合する凹部を設ける構成とした
から、前記キャリアと支持部材の軸方向および回転方向
の位置決めを簡単な構造で確実に行なうことができ、該
キャリアおよび支持部材の製造工程を簡略化することが
できる。

【００４６】さらに、支持部材とハウジングとの間に設
けられる軸受は、前記支持部材の外周側に螺合するナッ
トによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止めを行
なうキープレートは、前記支持部材の外周側に形成した
切欠部に爪部を係合させた状態で前記ナットに固着する
構成とし、前記ナットに固着されるキープレートの爪と
支持部材の切欠部との係合位置を種々設定し、その中の
一の切欠部を選択することにより、ナットの締込みを一
定のトルクで行なった状態でキープレートをナットに固
着することができ、軸受の軸方向の位置決めを確実に行
なうことができると共に、軸受に余分な負荷を加えずに
適度な予圧を与え、該軸受の寿命を延ばすことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例による遊星歯車減速装置を示す縦
断面図である。

【図２】図１中の矢示II−II方向からみた横断面図であ
る。

【図３】第２の実施例による図２と同位置の横断面図で
ある。

【図４】図３よりナットを５°締込んだ状態を示す横断
面図である。

【図５】図４よりナットを５°締込んだ状態を示す横断
面図である。

【図６】従来技術による遊星歯車減速装置を示す縦断面
図である。

【図７】図６中の要部を拡大して示す図８中の矢示VII
−VII 方向断面図である。

【図８】図６中のキープレートをボルトで固定した状態
を示す右側面図ある。

【符号の説明】

２油圧モータ（回転軸）３ハウジング５，６リングギア５Ａ，６Ａ内歯車８軸受１２回転軸１３，１９，４２減速歯車機構１４，２０，４３太陽歯車１５，２１，４４遊星歯車１８，２４，４７キャリア４１支持部材４１Ｂ，４７Ａ当接面４１Ｃ係合凹部（凹部）４６ピン４８，６１ナット４８Ａ，６１Ａねじ穴４９，６２キープレート４９Ａ，６２Ａ爪部４９Ｂ，６２Ｂボルト挿通穴５０ボルト５１，６３切欠部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者井川裕二茨城県土浦市神立町650番地日立建機エンジニアリング株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転源が設けられた支持部材と、該支持
部材に軸受を介して回転自在に支持され、内周側に内歯
車が設けられた有底筒状のハウジングと、前記回転源の
回転出力を導出すべく、一端側が前記回転源に連結さ
れ、他端側が該ハウジングの底部側に延在する回転軸
と、該回転軸の回転を減速して前記ハウジングに伝達す
るため、太陽歯車、該太陽歯車と前記内歯車とに噛合す
る遊星歯車、該遊星歯車をピンを介して支持するキャリ
アからなる一段または複数段の減速歯車機構とを備えて
なる遊星歯車減速装置において、最終段となる減速歯車
機構のキャリアを前記支持部材の端面に当接させること
によって該減速歯車機構を前記ハウジング内で軸方向に
位置決めし、該最終段のキャリアに設けたピンを該キャ
リアから前記支持部材に向けて突出させ、該支持部材の
外周側には前記ピンの突出端側を係合させることによっ
て前記最終段のキャリアを該支持部材に対して回転方向
に位置決めする凹部を設けたことを特徴とする遊星歯車
減速装置。
【請求項２】前記支持部材とハウジングとの間に設け
られた前記軸受を前記支持部材の外周側に螺合するナッ
トによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止めを行
なうキープレートは前記支持部材に形成した切欠部に爪
部を係合させた状態で前記ナットに２本のボルトで固着
する構成とし、前記キープレートの爪部は該キープレー
トに形成された２本のボルト挿通穴に対して不均等な位
置に形成してなる請求項１記載の遊星歯車減速装置。
【請求項３】前記支持部材とハウジングとの間に設け
られた前記軸受を前記支持部材の外周側に螺合するナッ
トによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止めを行
なうキープレートは前記支持部材の外周側に不均等に形
成した複数の切欠部のうち、いずれか一の切欠部に爪部
を選択的に係合させた状態で前記ナットに固着する構成
としてなる請求項１記載の遊星歯車減速装置。
【請求項４】前記支持部材とハウジングとの間に設け
られた前記軸受を前記支持部材の外周側に螺合するナッ
トによって軸方向に位置決めし、該ナットの廻止めを行
なうキープレートは前記支持部材の外周側に不均等に形
成した複数の切欠部のうち、いずれか一の切欠部に爪部
を選択的に係合させた状態で前記ナットに２本のボルト
で固着する構成とし、前記キープレートの爪部は該キー
プレートに形成された２本のボルト挿通穴に対して不均
等な位置に形成してなる請求項１記載の遊星歯車減速装
置。