JPH06249244A - 玉軸受と玉軸受用保持器の製造方法 - Google Patents

玉軸受と玉軸受用保持器の製造方法

Info

Publication number
JPH06249244A
JPH06249244A JP26242793A JP26242793A JPH06249244A JP H06249244 A JPH06249244 A JP H06249244A JP 26242793 A JP26242793 A JP 26242793A JP 26242793 A JP26242793 A JP 26242793A JP H06249244 A JPH06249244 A JP H06249244A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cage
lubricating oil
ball bearing
viscosity
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26242793A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3625489B2 (ja
Inventor
Akira Suzuki
晃 鈴木
Yoshimi Gama
佳麋 蒲
Magozo Hamamoto
孫三 浜本
Kazuo Akagami
和夫 赤上
Michiharu Naka
道治 中
Masahiro Takahashi
正広 高橋
Mamoru Aoki
護 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP26242793A priority Critical patent/JP3625489B2/ja
Priority to US08/174,041 priority patent/US5401105A/en
Priority to GB9326486A priority patent/GB2274140B/en
Publication of JPH06249244A publication Critical patent/JPH06249244A/ja
Priority to US08/367,424 priority patent/US5640769A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3625489B2 publication Critical patent/JP3625489B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な耐久性を確保しつつ、回転に要するト
ルクを低減させると共に、このトルクの変動を少なく抑
える。且つ、安価で発塵量並びに音響の低い玉軸受を得
る。 【構成】 合成樹脂製の保持器7により、複数の玉5、
5を転動自在に保持する。保持器7中に、40℃での粘
度が10〜150mm2/s である潤滑油を、保持器7の重
量に対して0.1〜1.0重量%含浸させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る玉軸受は、ハード
ディスクドライブ(HDD)、ビデオテープレコーダ
(VTR)、ディジタルオーディオテープレコーダ(D
AT)、レーザビームプリンタ(LBP)等の回転支持
部分に組み込んだ状態で使用する。又、玉軸受用保持器
の製造方法は、この様な玉軸受に組み込む保持器を造る
為に利用する。
【0002】
【従来の技術】各種回転部分を支持する為に、図1に示
す様な玉軸受が広く使用されている。この玉軸受は、外
周面に内輪軌道1を有する内輪2と、内周面に外輪軌道
3を有する外輪4とを同心に配置し、上記内輪軌道1と
外輪軌道3との間に複数個の玉5、5を転動自在に設け
る事で構成されている。上記外輪4の両端部内周面に
は、それぞれ円輪状のシール板6、6の外周縁を係止
し、両シール板6、6によって、上記玉5、5設置部分
に存在するグリースや発生したダスト(発塵)が外部に
漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥がこの設置部分に
進入したりするのを防止している。
【0003】又、上記複数個の玉5、5は、図2〜3に
示す様な保持器7に、転動自在に保持されている。この
保持器7は、合成樹脂を射出成形する事により、一体に
形成されている。即ち、この保持器7は、円環状の主部
8と、この主部8の片面に設けられた複数組の保持部
9、9とを備えている。各保持部9、9は、互いに間隔
をあけて配置された1対の弾性片10、10から成る。
各保持部9、9を構成する1対の弾性片10、10の互
いに対向する面は、互いに同心の球状又は円筒状の凹面
をなしている。上記各玉5、5は、各弾性片10、10
の間隔を弾性的に押し広げつつ、上記1対の弾性片1
0、10の間に押し込む事により、各保持部9、9に転
動自在に保持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の玉軸受と玉軸
受用保持器の製造方法は、十分な耐久性を確保しつつ、
回転に要するトルクを低減させると共に、このトルクの
変動を小さくし、且つ回転に伴なって発生する塵の量
(発塵量)並びに音響の低減を図れる玉軸受を、安価に
得る事を目的としている。
【0005】シール板6、6の間に充填したグリースに
より、玉5、5の転動部分の潤滑を図る玉軸受の場合、
グリースの撹拌抵抗の為、玉軸受により支持された軸等
を回転させる為に要するトルクが大きく、しかも回転に
伴なってこのトルクが変動し易かった。しかも、やはり
グリースの存在に起因して、玉軸受の周囲に比較的多量
の塵が浮遊する状態となり易い。そして、この様な塵の
発生が少ないグリースを使用すると、回転時に音響(軸
受音響)が発生し易い。
【0006】この様な大トルク、トルク変動、多発塵、
軸受音響発生は、HDD、VTR、DAT、LBP等に
組み込まれる、内径が6mm以下の小径の玉軸受に於い
て、実用上問題となりがちである。特にHDDに於いて
は、多発塵に起因する清浄度の劣化は、ヘッドの損傷や
読み取り及び書き込みエラーに結び付く為、好ましくな
い。
【0007】この様な事情に鑑みて従来から、例えば特
開昭61−6429号公報、特開平1−93623号公
報には、保持器に潤滑油を含浸させる事でグリースを省
略した玉軸受が、特開昭64−46011号公報には、
潤滑油としてグリース以外の微量のオイルを使用した回
転支持装置が、それぞれ記載されている。
【0008】ところが、特開昭61−6429号公報、
特開平1−93623号公報に記載された、保持器に潤
滑油を含浸させた玉軸受の場合、含浸量が多い為、保持
器自体を多孔質なものや油を含み易い、特殊なものとす
る必要があり、製作費が嵩む事が避けられない。又、特
開昭64−46011号公報に記載された回転支持装置
の場合、潤滑油の量が必ずしも十分に確保できず、使用
状態によっては十分な耐久性を確保できない場合が考え
られる。
【0009】本発明の玉軸受と玉軸受用保持器の製造方
法は、上述の様な事情に鑑みて発明されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の玉軸受は、前述
した従来の玉軸受と同様に、内周面に外輪軌道を有する
外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌
道と内輪軌道との間に設けられた複数の玉と、この複数
の玉を転動自在に保持する合成樹脂製の保持器とを備え
ている。
【0011】特に、本発明の玉軸受に於いては、上記保
持器は、40℃での粘度が10〜150mm2/s の潤滑油
を、保持器の重量に対して0.1〜1.0重量%含浸さ
せたものである事を特徴としている。
【0012】又、本発明の玉軸受用保持器の製造方法
は、合成樹脂を射出成形して所望形状とした後、40℃
での粘度が10〜150mm2/s の加温された潤滑油中に
浸漬して内部にこの潤滑油を含浸させた後、表面に付着
した余分な潤滑油を除去するものである。尚、mm2/s
(=cSt )で表わされる粘度は、ISO VGで同じ数値で表
わされる粘度範囲(中央値に±10%)の中央値に一致
する。
【0013】
【作用】上述の様に構成される本発明の玉軸受用保持器
の製造方法により造られる保持器を組み込んだ、本発明
の玉軸受の場合、回転に要するトルク、そのトルク変
動、発塵量、軸受音響の何れもが小さくなる。しかも、
保持器に含浸した潤滑油が長期間に亙って染み出すの
で、長期間に亙って良好な潤滑が行なわれ、優れた耐久
性を得られる。
【0014】尚、保持器に含浸させる潤滑油の40℃で
の粘度を10〜150mm2/s とし、含浸量を0.1〜
1.0重量%としたのは、次の理由による。
【0015】先ず、40℃での粘度が10mm2/s 未満の
場合、保持器に含浸させた潤滑油の保持性が悪く(早期
に保持器から染み出し)、早期に潤滑油が不足すると考
えられる。反対に、40℃での粘度が150mm2/s を越
える様な、高粘度の潤滑油を使用した場合には、この潤
滑油が保持器を構成する合成樹脂中に含浸しづらくな
り、この保持器中に含浸する潤滑油が不足する。即ち、
40℃での粘度が10〜150mm2/s の範囲から何れの
側に外れた場合にも、保持器から玉の転動部分に供給さ
れる潤滑油が早期に不足し、玉軸受の耐久性を損なう。
そこで、保持器に含浸させる潤滑油の40℃での粘度を
10〜150mm2/s とした。
【0016】次に、含浸量が0.1重量%未満の場合に
は、絶対的に潤滑油の量が不足し、保持器から玉の転動
部分に供給される潤滑油が早期に枯渇して、玉軸受の耐
久性を損なう。反対に、1.0重量%を越えて含浸させ
ても、実用上必要な耐久性向上を図れないにも拘らず、
保持器を構成する合成樹脂中に潤滑油を含浸させる為に
要する時間が徒に長くなる。この様に、含浸時間が長く
なると、保持器の生産効率を悪化させ、玉軸受の価格高
騰の原因となる。そこで、保持器に含浸させる潤滑油の
量を、保持器の重量に対して0.1〜1.0重量%とし
た。
【0017】
【実施例】次に、本発明の効果を確認する為に、本発明
者が行なった実験に就いて説明する。実験は、内径が5
mm、外径が13mm、幅が4mmのミニアチュア玉軸受を使
用して行なった。保持器7は、ポリアミド樹脂製で、図
1〜3に示す様な冠型のものを使用した。本発明の玉軸
受を構成する場合、この保持器7を、40℃での粘度が
46mm2/s である、ポリアルファオレフィン系合成油で
ある潤滑油中に浸漬し、この潤滑油の温度を100℃に
保持した状態で、3時間放置した。この結果、上記保持
器7には、この保持器7の重量に対して0.37重量%
の潤滑油が含浸された。又、比較の為に使用した従来品
は、グリースにより潤滑を行なった。グリースとして
は、一般的に使用されているNS7グリース(リチウム
石鹸グリース、商品名『NSハイリューブ』)とAKC
グリース(ナトリウム石鹸グリース、商品名『アンドッ
クC』)とを使用した。グリースの充填量は、何れも1
5mgとした。
【0018】先ず、第一の実験では、この様にして得ら
れた保持器7を組み込んだ本発明の玉軸受と、グリース
により潤滑される従来の玉軸受との回転トルクを測定し
た。この結果を、図4に示す。図4の(A)はNS7グ
リースにより潤滑された従来品の回転トルクを、(B)
はAKCグリースにより潤滑された従来品の回転トルク
を、(C)は本発明品の回転トルクを、それぞれ表わし
ている。この図4から明らかな通り、本発明の玉軸受
は、回転に要するトルク並びにそのトルク変動が、従来
品に比べて小さくなる。
【0019】次に、第二の実験では、上記3種類の玉軸
受を回転させた場合に於ける発塵量を測定した。玉軸受
の回転は、予圧を2kgf 付与した状態で、内輪2を36
00r.p.m.で回転させる事により行なった。又、発塵量
は、0.1cf(立方フィート)中に存在する、粒径が
0.1μm以上の塵の数をカウントする事で行なった。
この結果を図5に示す。図5の(A)はNS7グリース
により潤滑された従来品の発塵量を、(B)はAKCグ
リースにより潤滑された従来品の発塵量を、(C)は本
発明品の発塵量を、それぞれ表わしている。この図5か
ら明らかな通り、本発明の玉軸受は、代表的な低発塵グ
リースであるAKCグリースを使用した玉軸受よりも発
塵量が少ない。
【0020】次に、第三の実験では、上記3種類の玉軸
受を回転させた場合に発生する音響を測定した。玉軸受
の回転は、予圧を2kgf 付与した状態で、内輪2を36
00r.p.m.で回転させる事により行なった。この結果を
図6に示す。この図6の縦軸は、軸受の音響特性に関し
て一般的に使用されているアンデロン値を表わしてい
る。又、図6(A)は周波数が1000Hz前後の、所謂
Mid Bandの音響特性を、(B)は1000Hzを越える、
所謂Hi Band の音響特性を、それぞれ表わしている。そ
れぞれの図で、左側の線はNS7グリースにより潤滑さ
れた従来品の音響特性を、中央の線はAKCグリースに
より潤滑された従来品の音響特性を、右側の線は本発明
品の音響特性を、それぞれ表わしている。又、各線の上
端は発生した音響の最大値を、下端は最小値を、中間の
黒点は平均値を、それぞれ表わしている。
【0021】この図6の記載から明らかな通り、本発明
の玉軸受は、AKCグリースを使用した玉軸受に比べて
音響特性が遥かに優れているだけでなく、NS7グリー
スを使用した玉軸受と比較しても、同等かそれ以上に優
れた音響特性を得られる。
【0022】次に、第四の実験では、上記3種類の耐久
性を測定した。耐久試験は、温度が60℃、軸受予圧が
2kgf の条件の下で、内輪2を3600r.p.m.で100
00時間回転させる事で行なった。この耐久試験の結
果、アンデロン値がMid Band、Hi Band の何れか一方で
も3を越えた場合に、その玉軸受が寿命に達したものと
判定する事にした。この結果を、図7に示す。図7の
(A)はNS7グリースにより潤滑された従来品のアン
デロン値の変化を、(B)はAKCグリースにより潤滑
された従来品のアンデロン値の変化を、(C)は本発明
品のアンデロン値の変化を、それぞれ表わしている。
又、図7で+はMid Bandのアンデロン値を、◇はHi Ban
d のアンデロン値を、それぞれ表わしている。
【0023】この図7から明らかな通り、何れの玉軸受
も、耐久性は十分である。即ち、何れの玉軸受も、10
000時間経過した時点でのアンデロン値が3に達しな
いだけでなく、10000時間経過した時点でアンデロ
ン値が増加傾向にある事もなかった。この事から、何れ
の玉軸受も、10000時間を遥かに越える寿命を有す
る事が推定される。
【0024】次に、保持器7に含浸させる潤滑油の粘度
が玉軸受の耐久性に及ぼす影響を知る為に行なった実験
に就いて説明する。試験品として次の(1)(2)に示す2種
類のものを用意した。玉軸受の大きさ、保持器7の材質
等は前述の通りである。 (1) 40℃での粘度が46mm2/s である潤滑油を0.3
7重量%含浸させた保持器7を組み込んだ玉軸受。 (2) 40℃での粘度が10mm2/s である潤滑油を0.4
5重量%含浸させた保持器7を組み込んだ玉軸受。
【0025】上記(1)(2)の試験品を、前述と同様の耐久
試験(温度:60℃、軸受予圧:2kgf 、内輪回転速
度:3600r.p.m.、10000時間連続回転)に供し
た。この耐久試験の結果を、図8に示す。図8の(A)
は上記(1) に示した試験品のアンデロン値の変化を、
(B)は上記(2) に示した試験品のアンデロン値の変化
を、それぞれ表わしている。又、図8で+はMid Bandの
アンデロン値を、◇はHi Band のアンデロン値を、それ
ぞれ表わしている。
【0026】この図8の記載から明らかな通り、保持器
7に含浸させる潤滑油の40℃での粘度を10mm2/s 以
上にすれば、この保持器7を組み込んだ玉軸受の耐久性
を十分に確保できる。
【0027】次に、保持器7に含浸させる潤滑油の量が
玉軸受の耐久性に及ぼす影響を知る為に行なった実験に
就いて説明する。試験品として次の(3)(4)に示す2種類
のものを用意した。玉軸受の大きさ、保持器7の材質等
は前述の通りである。 (3) 40℃での粘度が150mm2/s である潤滑油を0.
07重量%含浸させた保持器7を組み込んだ玉軸受。 (4) 40℃での粘度が150mm2/s である潤滑油を0.
11重量%含浸させた保持器7を組み込んだ玉軸受。
【0028】上記(3)(4)の試験品を、上述と同様の耐久
試験(温度:60℃、軸受予圧:2kgf 、内輪回転速
度:3600r.p.m.、10000時間連続回転)に供し
た。この耐久試験の結果を、図9に示す。図9の(A)
は上記(3) に示した試験品のアンデロン値の変化を、
(B)は上記(4) に示した試験品のアンデロン値の変化
を、それぞれ表わしている。又、図9で+はMid Bandの
アンデロン値を、◇はHi Band のアンデロン値を、それ
ぞれ表わしている。
【0029】この図9の記載から明らかな通り、保持器
7に含浸させる潤滑油の量が0.10重量%を下回った
場合には、高粘度(150mm2/s )の潤滑油を使用した
場合でも、玉軸受の耐久性が不十分になる。
【0030】上述の実験は、本発明の玉軸受として、保
持器7に潤滑油を含浸させたのみで、予め内輪軌道1、
外輪軌道3、玉5、5の転動面には特に潤滑油を付着さ
せない場合に就いて行なったが、これら内輪軌道1、外
輪軌道3、玉5、5の転動面に予め適当な潤滑油を適量
付着させておく事もできる。以下、この様に予め付着さ
せておく(所謂オイルプレーティングを施す)潤滑油の
粘度と量との適正値を求める為に行なった実験に就いて
説明する。
【0031】先ず、付着させる潤滑油の粘度の適正値を
求める為に行なった実験に就いて説明する。実験は、内
径が5mmのミニアチュア玉軸受を使用して行ない、保持
器7として、ポリアミド樹脂製で、40℃での粘度が4
6mm2/s のポリアルファオレフィン系合成油を0.37
重量%含浸させた、冠型の保持器7を使用した。
【0032】オイルプレーティングは、上記保持器7を
使用して組み立てられた玉軸受を、オイルプレーティン
グ用の潤滑油(鉱油)を溶かし込んだ揮発性溶媒に浸漬
した後引き上げ、この揮発性溶媒を蒸発させる事で行な
った。内輪2の両端面及び内周面、並びに外輪4の両端
面及び外周面に付着した潤滑油及び揮発性溶媒は、引き
上げ直後に拭き取った。溶媒中への潤滑油の混入割合は
3重量%とした。この作業により、玉軸受には1.5mm
3 の鉱油が付着した。
【0033】鉱油の粘度を変えて複数種類の玉軸受を造
り、各玉軸受の回転トルク(動トルク)と粘度との関係
を測定したところ、図10に示す様な結果を得られた。
この図10で、直線aはAKCグリースによる潤滑を行
なう従来品の回転トルクを、直線bは同じくNS7グリ
ースによる潤滑を行なう従来品の回転トルクを、それぞ
れ表わしている。この図10から明らかな通り、オイル
プレーティングに使用する潤滑油の40℃での粘度を1
00mm2/s 以下に規制すれば、従来品よりも低い回転ト
ルクを得られる。
【0034】次に、オイルプレーティングにより玉軸受
に付着させる潤滑油の量と、この玉軸受の回転に伴なう
発塵量との関係に就いて測定した実験に就いて説明す
る。使用する潤滑油としては、40℃での粘度が68mm
2/s の鉱油を使用した。又、付着量の調節は、揮発性溶
媒に混入する鉱油の量(重量%)を変える事で行なっ
た。この実験の結果を図11に示す。この図11で直線
イは、AKCグリースを使用した従来品の発塵量を示し
ている。この図11から明らかな通り、付着量を5mm3
以下にすれば、発塵量を上記従来品より少なくできる。
尚、オイルプレーティングによる付着量の違いは、玉軸
受の回転トルク並びにその変動に対して、殆ど影響を及
ぼさなかった。
【0035】尚、40℃での粘度が68mm2/s の鉱油を
1.5mm3 付着させ、40℃での粘度が46mm2/s であ
る、ポリアルファオレフィン系合成油である潤滑油を
0.37重量%含浸させた保持器7を組み込んだ、内径
が5mmの玉軸受の回転トルク、発塵量、音響特性、寿命
に就いて、オイルプレーティングを施さない玉軸受と同
様の試験を施した結果、ほぼ同様の結果を得られた。但
し、オイルプレーティングを施す事により、保持器から
潤滑油が染み出す以前から、回転トルク、音響特性の面
から良好な性能を得られる。
【0036】次に、合成樹脂製の保持器7に所定量の潤
滑油を含浸させる為の方法の発明に関する、7種類の実
施例に就いて説明する。図12並びに下記の表1に示し
た〜は、保持器の製造方法に関する、この7種類の
実施例の工程を、それぞれ示している。
【0037】
【表1】
【0038】尚、の方法を除いて行なっている乾燥工
程は、成形後に大気中に放置した保持器7内に進入した
水分(水蒸気)を取り除いて、この保持器7内に潤滑油
が含浸し易くする為に行なった。上記の方法の場合に
は、成形直後、内部に水分が入り込む前に、保持器7を
潤滑油等の油脂に浸漬する為、上記乾燥工程は不要とな
る。
【0039】又、重量測定工程は、保持器7中に潤滑油
が含浸した割合(含油率)を知る為に行なった。従っ
て、この重量測定工程は、実際に保持器7を大量生産す
る際に、全数に就いて行なう必要はない。又、洗浄工程
は、保持器7内に潤滑油を含浸させる含油工程の後、こ
の保持器7の表面に付着した余分の潤滑油を取り除き、
更に保持器7中に含浸した潤滑油の重量を正確に測定す
る為に行なった。
【0040】更に、上記含油工程での潤滑油の含浸作業
は、〜、、に就いては図13に示す様な装置に
より、に就いては図14に示す様な装置により、それ
ぞれ行なった。
【0041】先ず、図13に示した装置により潤滑油の
含浸作業を行なう場合には、上方が開放されたオイルバ
ス11内に貯溜された潤滑油12(40℃での粘度が1
0mm2/s である、エステル系合成油)を、ヒータ13に
より80℃に加温する。そして、金網により造られた籠
14に入れた保持器7を、上記潤滑油12中に5時間浸
漬する。この潤滑油12は、上記保持器7を浸漬してい
る間中、モータ15により駆動される撹拌翼16によっ
て攪拌し続ける。
【0042】又、図14に示した装置により潤滑油の含
浸作業を行なう場合には、外部とは遮断されたオイルバ
ス11a内に貯溜された潤滑油12(40℃での粘度が
10mm2/s である、エステル系合成油)を、ヒータ13
a、13aにより80℃に加温する。そして、金網によ
り造られた籠14に入れた保持器7を、上記潤滑油12
中に5時間浸漬する。この潤滑油12は、上記保持器7
を浸漬している間中、モータ15により駆動される撹拌
翼16によって攪拌し続ける。尚、上記オイルバス11
a内には、給気管17を通じて高圧(8kgf/cm2 )の窒
素ガス(N2 )を送り込み、浸漬している間中、上記オ
イルバス11a内を上記高圧に維持する。
【0043】上述の様な装置を使用して、図12並びに
前記表1に記載した様な〜に示す様な方法で合成樹
脂製の保持器7中に潤滑油を含浸させたところ、次の表
2に示す様な割合(含油率)で、保持器7内に潤滑油が
含浸した。尚、この表2に示した含油率(重量%)は、
次式で表わされる。 含油率=(含油工程及び洗浄工程後の重量−完全乾燥重
量)×100/完全乾燥重量
【0044】
【表2】
【0045】この表2の記載から明らかな通り、本発明
の方法によれば、保持器7を組み込んだ玉軸受の耐久性
を向上させるべく、合成樹脂製の保持器7内に十分な量
の潤滑油を含浸させる事ができる。
【0046】
【発明の効果】本発明の玉軸受と玉軸受用保持器の製造
方法は、以上に述べた通り構成され作用する為、十分な
耐久性を確保しつつ、回転に要するトルクを低減させる
と共に、このトルクの変動を小さくし、且つ発塵量並び
に音響の低減を図れる玉軸受を、安価に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる玉軸受の1例を示す断面
図。
【図2】保持器の1例を示す半部拡大平面図。
【図3】同じく拡大斜視図。
【図4】回転トルクの測定値を示す線図。
【図5】発塵量の測定値を示す線図。
【図6】音響特性の測定値を示す線図。
【図7】耐久性試験の結果の第1例を示す経過時間と音
響特性との関係を示す線図。
【図8】同じく第2例を示す経過時間と音響特性との関
係を示す線図。
【図9】同じく第3例を示す経過時間と音響特性との関
係を示す線図。
【図10】オイルプレーティングに使用する潤滑油の粘
度と回転トルクとの関係を示す線図。
【図11】オイルプレーティングに使用する潤滑油の付
着量と発塵量との関係を示す線図。
【図12】保持器に潤滑油を含浸させる方法の7例を示
す工程図。
【図13】保持器に潤滑油を含浸させる為の装置の第1
例を示す略縦断面図。
【図14】同じく第2例を示す略縦断面図。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 内輪 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6 シール板 7 保持器 8 主部 9 保持部 10 弾性片 11、11a オイルバス 12 潤滑油 13、13a ヒータ 14 籠 15 モータ 16 撹拌翼 17 給気管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤上 和夫 神奈川県藤沢市本鵠沼2−8−29 羽柴荘 (72)発明者 中 道治 神奈川県小田原市小竹882−21 さつきが 丘8−16 (72)発明者 高橋 正広 神奈川県横須賀市阿部倉町1368 (72)発明者 青木 護 神奈川県横浜市旭区柏町116−2 コーポ 柏202号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
    面に内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌道と内輪軌道
    との間に設けられた複数の玉と、この複数の玉を転動自
    在に保持する合成樹脂製の保持器とを備えた玉軸受に於
    いて、この保持器は、40℃での粘度が10〜150mm
    2/s の潤滑油を、保持器の重量に対して0.1〜1.0
    重量%含浸させたものである事を特徴とする玉軸受。
  2. 【請求項2】 合成樹脂を射出成形して所望形状とした
    後、40℃での粘度が10〜150mm2/s の加温された
    潤滑油中に浸漬して内部にこの潤滑油を含浸させた後、
    表面に付着した余分な潤滑油を除去する、玉軸受用保持
    器の製造方法。
JP26242793A 1992-12-28 1993-10-20 小径玉軸受と小径玉軸受用保持器の製造方法 Expired - Fee Related JP3625489B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26242793A JP3625489B2 (ja) 1992-12-28 1993-10-20 小径玉軸受と小径玉軸受用保持器の製造方法
US08/174,041 US5401105A (en) 1992-12-28 1993-12-28 Ball bearing and method for producing a cage of the ball bearing
GB9326486A GB2274140B (en) 1992-12-28 1993-12-29 Ball bearing and method for producing a cage of the ball bearing
US08/367,424 US5640769A (en) 1992-12-28 1994-12-30 Method for producing a cage of the ball bearing

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35851192 1992-12-28
JP4-358511 1992-12-28
JP26242793A JP3625489B2 (ja) 1992-12-28 1993-10-20 小径玉軸受と小径玉軸受用保持器の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06249244A true JPH06249244A (ja) 1994-09-06
JP3625489B2 JP3625489B2 (ja) 2005-03-02

Family

ID=26545536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26242793A Expired - Fee Related JP3625489B2 (ja) 1992-12-28 1993-10-20 小径玉軸受と小径玉軸受用保持器の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3625489B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5575570A (en) * 1994-07-08 1996-11-19 Nsk Ltd. Cage for rolling bearing

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5575570A (en) * 1994-07-08 1996-11-19 Nsk Ltd. Cage for rolling bearing

Also Published As

Publication number Publication date
JP3625489B2 (ja) 2005-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6533462B2 (en) Retainer for rolling bearing and rolling bearing
KR19990029633A (ko) 정보기기의 스핀들모터 및 그 회전축 지지장치
US4226484A (en) Bearing retainer
JP3365449B2 (ja) 転がり軸受
US5640769A (en) Method for producing a cage of the ball bearing
JPH10238543A (ja) ラジアル玉軸受用保持器
JP2000074070A (ja) ディスク記憶装置の回転軸支持用転がり軸受
JPH06249244A (ja) 玉軸受と玉軸受用保持器の製造方法
JP4406486B2 (ja) 情報機器用転動装置
JP3198756B2 (ja) 玉軸受
JP2000120708A (ja) 転がり軸受
JP2005083554A (ja) 転がり軸受
US5856281A (en) Bearing and manufacturing method of bearing, and magnetic disk device with bearing containing a lubricating grease
JP3541860B2 (ja) 転がり軸受
JPS58164025A (ja) 磁気記録媒体
JP3503662B2 (ja) 転がり軸受
JP4026276B2 (ja) 転がり軸受
JP2002098155A (ja) 情報機器用小型モータの転がり軸受
JP3814925B2 (ja) 転がり軸受
JP2005133881A (ja) 固体潤滑転がり軸受
JPH09133137A (ja) 玉軸受用保持器と玉軸受
JP2003049833A (ja) 軸受装置
JPH0914272A (ja) 軸受の製造方法及び玉軸受用保持器
JPH08114233A (ja) 玉軸受
JPH1068421A (ja) 転がり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041130

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees