JPH09133137A - 玉軸受用保持器と玉軸受 - Google Patents
玉軸受用保持器と玉軸受Info
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- JPH09133137A JPH09133137A JP7286184A JP28618495A JPH09133137A JP H09133137 A JPH09133137 A JP H09133137A JP 7286184 A JP7286184 A JP 7286184A JP 28618495 A JP28618495 A JP 28618495A JP H09133137 A JPH09133137 A JP H09133137A
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- JP
- Japan
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- cage
- ball bearing
- synthetic resin
- lubricating oil
- potassium titanate
- Prior art date
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/38—Ball cages
- F16C33/44—Selection of substances
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/38—Ball cages
- F16C33/41—Ball cages comb-shaped
- F16C33/412—Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages
- F16C33/414—Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages
- F16C33/416—Massive or moulded comb cages, e.g. snap ball cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock comb cages made from plastic, e.g. injection moulded comb cages
Abstract
(57)【要約】
【目的】 回転に要するトルク並びにトルク変動を抑
え、しかも発塵量並びに音響の低い玉軸受の耐久性を向
上させる。 【構成】 合成樹脂製の保持器７により玉５、５を転動
自在に保持する。この保持器７を構成する合成樹脂中に
は、チタン酸カリウムウィスカを、補強材として含有さ
せる。細く、短いチタン酸カリウムウィスカは、合成樹
脂の流動性を低下させない為、所望形状でしかも十分な
強度を有する保持器７を得られる。又、チタン酸カリウ
ムウィスカの有する自己潤滑性により、トルク並びにト
ルク変動の低減と耐久性の向上とを図れる。
え、しかも発塵量並びに音響の低い玉軸受の耐久性を向
上させる。 【構成】 合成樹脂製の保持器７により玉５、５を転動
自在に保持する。この保持器７を構成する合成樹脂中に
は、チタン酸カリウムウィスカを、補強材として含有さ
せる。細く、短いチタン酸カリウムウィスカは、合成樹
脂の流動性を低下させない為、所望形状でしかも十分な
強度を有する保持器７を得られる。又、チタン酸カリウ
ムウィスカの有する自己潤滑性により、トルク並びにト
ルク変動の低減と耐久性の向上とを図れる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明に係る玉軸受は、ハード
ディスクドライブ（ＨＤＤ）、ビデオテープレコーダ
（ＶＴＲ）、ディジタルオーディオテープレコーダ（Ｄ
ＡＴ）、レーザビームプリンタ（ＬＢＰ）等の回転支持
部分に組み込んだ状態で使用する。又、本発明に係る玉
軸受用保持器は、この様な玉軸受に組み込んで使用す
る。
ディスクドライブ（ＨＤＤ）、ビデオテープレコーダ
（ＶＴＲ）、ディジタルオーディオテープレコーダ（Ｄ
ＡＴ）、レーザビームプリンタ（ＬＢＰ）等の回転支持
部分に組み込んだ状態で使用する。又、本発明に係る玉
軸受用保持器は、この様な玉軸受に組み込んで使用す
る。
【０００２】
【従来の技術】各種回転部分を支持する為に、図１に示
す様な玉軸受が広く使用されている。この玉軸受は、外
周面に内輪軌道１を有する内輪２と、内周面に外輪軌道
３を有する外輪４とを同心に配置し、上記内輪軌道１と
外輪軌道３との間に複数個の玉５、５を転動自在に設け
る事により構成されている。上記外輪４の両端部内周面
には、それぞれ円輪状のシール板６、６の外周縁を係止
し、両シール板６、６によって、上記玉５、５設置部分
に存在するグリースや発生したダスト（発塵）が外部に
漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥がこの設置部分に
進入したりするのを防止している。
す様な玉軸受が広く使用されている。この玉軸受は、外
周面に内輪軌道１を有する内輪２と、内周面に外輪軌道
３を有する外輪４とを同心に配置し、上記内輪軌道１と
外輪軌道３との間に複数個の玉５、５を転動自在に設け
る事により構成されている。上記外輪４の両端部内周面
には、それぞれ円輪状のシール板６、６の外周縁を係止
し、両シール板６、６によって、上記玉５、５設置部分
に存在するグリースや発生したダスト（発塵）が外部に
漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥がこの設置部分に
進入したりするのを防止している。
【０００３】又、上記複数個の玉５、５は、図２〜３に
示す様な保持器７に、転動自在に保持されている。この
保持器７は、合成樹脂を射出成形する事により、一体に
形成されている。例えば、図１〜３に示した保持器７は
冠型と呼ばれるもので、この保持器７は、円環状の主部
８と、この主部８の片面に設けられた複数組のポケット
９、９とを備えている。各ポケット９、９は、互いに間
隔をあけて配置された１対の爪片１０、１０から成る。
各ポケット９、９を構成する１対の爪片１０、１０の互
いに対向する面は、互いに同心の球状又は円筒状の凹面
をなしている。上記各玉５、５は、各爪片１０、１０の
間隔を弾性的に押し広げつつ、上記１対の爪片１０、１
０の間に押し込む事により、各ポケット９、９に転動自
在に保持する。
示す様な保持器７に、転動自在に保持されている。この
保持器７は、合成樹脂を射出成形する事により、一体に
形成されている。例えば、図１〜３に示した保持器７は
冠型と呼ばれるもので、この保持器７は、円環状の主部
８と、この主部８の片面に設けられた複数組のポケット
９、９とを備えている。各ポケット９、９は、互いに間
隔をあけて配置された１対の爪片１０、１０から成る。
各ポケット９、９を構成する１対の爪片１０、１０の互
いに対向する面は、互いに同心の球状又は円筒状の凹面
をなしている。上記各玉５、５は、各爪片１０、１０の
間隔を弾性的に押し広げつつ、上記１対の爪片１０、１
０の間に押し込む事により、各ポケット９、９に転動自
在に保持する。
【０００４】上述の様な保持器７の強度を確保する為に
従来は、この保持器７を構成する合成樹脂中に繊維を混
入していた。一般的には、６６ナイロン等のポリアミド
樹脂中にガラス繊維を１０〜２５容量％混入したもの
を、上記保持器７の材料として使用していた。ところ
が、現在得られるガラス繊維は直径が９〜１４μｍ程度
と太く、長さも０．２〜０．７mm程度と長い。従って、
比較的大きな保持器７を構成する場合には良いが、小型
（例えば外径が２２mm以下の小径）の玉軸受に組み込
む、小径の保持器７を成形するには問題があった。具体
的には、上記主部８の一部で上記各ポケット９、９の底
部に対応する薄肉部分、或は上記各爪片１０、１０の先
端の薄肉部分に於ける合成樹脂の流動性が低下し、これ
ら各部分の成形性が悪くなる（形状安定性を確保できな
い）。従って、ガラス繊維を混入した合成樹脂により小
径の保持器７を造る際には、この合成樹脂の流動性を確
保すべく、上記ガラス繊維の割合（混入率）を低く抑え
なければならない。一方、ガラス繊維の混入率を低くす
ると、得られる保持器７の強度を確保する事が難しくな
る。具体的には、必要な強度を確保すべく、上記各薄肉
部分の肉厚を大きくしなければならず、保持器７の小型
軽量化を図りにくくなる。
従来は、この保持器７を構成する合成樹脂中に繊維を混
入していた。一般的には、６６ナイロン等のポリアミド
樹脂中にガラス繊維を１０〜２５容量％混入したもの
を、上記保持器７の材料として使用していた。ところ
が、現在得られるガラス繊維は直径が９〜１４μｍ程度
と太く、長さも０．２〜０．７mm程度と長い。従って、
比較的大きな保持器７を構成する場合には良いが、小型
（例えば外径が２２mm以下の小径）の玉軸受に組み込
む、小径の保持器７を成形するには問題があった。具体
的には、上記主部８の一部で上記各ポケット９、９の底
部に対応する薄肉部分、或は上記各爪片１０、１０の先
端の薄肉部分に於ける合成樹脂の流動性が低下し、これ
ら各部分の成形性が悪くなる（形状安定性を確保できな
い）。従って、ガラス繊維を混入した合成樹脂により小
径の保持器７を造る際には、この合成樹脂の流動性を確
保すべく、上記ガラス繊維の割合（混入率）を低く抑え
なければならない。一方、ガラス繊維の混入率を低くす
ると、得られる保持器７の強度を確保する事が難しくな
る。具体的には、必要な強度を確保すべく、上記各薄肉
部分の肉厚を大きくしなければならず、保持器７の小型
軽量化を図りにくくなる。
【０００５】又、ポリアミド樹脂及びガラス繊維自体に
は、軸受鋼製の玉５、５との間の摺動特性を向上させる
性質が少ない（自己潤滑性が乏しい）為、そのままでは
上記各ポケット９、９の内面と上記各玉５、５の転動面
との間の摩擦係数を低く抑える事ができない。この為従
来は、特開平６−２４９２４４号公報に記載されている
様に、４０℃での粘度が１０〜１５０mm2/s の潤滑油
を、保持器７の重量に対して０．１〜１．０重量％含浸
させる事により、この保持器７を組み込んだ玉軸受の回
転に要するトルク、そのトルク変動、発塵量、軸受音響
を小さくしている。又、この特開平６−２４９２４４号
公報に記載された発明によれば、保持器に含浸した潤滑
油が長期間に亙って染み出すので、長期間に亙って良好
な潤滑が行なわれ、優れた耐久性を得られる。
は、軸受鋼製の玉５、５との間の摺動特性を向上させる
性質が少ない（自己潤滑性が乏しい）為、そのままでは
上記各ポケット９、９の内面と上記各玉５、５の転動面
との間の摩擦係数を低く抑える事ができない。この為従
来は、特開平６−２４９２４４号公報に記載されている
様に、４０℃での粘度が１０〜１５０mm2/s の潤滑油
を、保持器７の重量に対して０．１〜１．０重量％含浸
させる事により、この保持器７を組み込んだ玉軸受の回
転に要するトルク、そのトルク変動、発塵量、軸受音響
を小さくしている。又、この特開平６−２４９２４４号
公報に記載された発明によれば、保持器に含浸した潤滑
油が長期間に亙って染み出すので、長期間に亙って良好
な潤滑が行なわれ、優れた耐久性を得られる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平６−２４９
２４４号公報に記載された発明によれば、それ以前から
知られていた保持器を組み込んだ玉軸受に比べて優れた
性能を得られるが、保持器に含浸した潤滑油の大部分が
染み出した後は、トルク変動、発塵量、軸受音響に関す
る性能が悪化する事が避けられない。本発明は、この様
な事情に鑑みて、より長期間に亙って良好なトルク変
動、発塵量、軸受音響に関する性能を良好に維持でき
る、玉軸受用保持器と玉軸受を得るべく発明したもので
ある。
２４４号公報に記載された発明によれば、それ以前から
知られていた保持器を組み込んだ玉軸受に比べて優れた
性能を得られるが、保持器に含浸した潤滑油の大部分が
染み出した後は、トルク変動、発塵量、軸受音響に関す
る性能が悪化する事が避けられない。本発明は、この様
な事情に鑑みて、より長期間に亙って良好なトルク変
動、発塵量、軸受音響に関する性能を良好に維持でき
る、玉軸受用保持器と玉軸受を得るべく発明したもので
ある。
【０００７】
【課題を解決する為の手段】本発明の玉軸受用保持器と
玉軸受のうち、請求項１に記載した玉軸受用保持器は、
チタン酸カリウムウィスカを含有した合成樹脂を射出成
形して所望形状としたものである。この所望形状として
は、前述した従来構造の様な冠型保持器の他、もみ抜き
保持器等、合成樹脂の射出成形により製造可能なあらゆ
る保持器の形状を含む。尚、チタン酸カリウムウィスカ
の混入率は、必要とする強度を得るべく設計的に定める
が、例えば合成樹脂としてポリアミド樹脂（例えばナイ
ロン６６）を使用し、外径が２２mm以下の小径の玉軸受
に組み込む冠型保持器を構成する場合で、５〜４０容量
％程度、更に好ましくは１０〜３０容量％程度に規制す
る。混入率の下限値は、必要とする強度を確保する面か
ら規制し、上限値は成形性確保の面から規制する。
玉軸受のうち、請求項１に記載した玉軸受用保持器は、
チタン酸カリウムウィスカを含有した合成樹脂を射出成
形して所望形状としたものである。この所望形状として
は、前述した従来構造の様な冠型保持器の他、もみ抜き
保持器等、合成樹脂の射出成形により製造可能なあらゆ
る保持器の形状を含む。尚、チタン酸カリウムウィスカ
の混入率は、必要とする強度を得るべく設計的に定める
が、例えば合成樹脂としてポリアミド樹脂（例えばナイ
ロン６６）を使用し、外径が２２mm以下の小径の玉軸受
に組み込む冠型保持器を構成する場合で、５〜４０容量
％程度、更に好ましくは１０〜３０容量％程度に規制す
る。混入率の下限値は、必要とする強度を確保する面か
ら規制し、上限値は成形性確保の面から規制する。
【０００８】又、請求項２に記載した玉軸受は、前述し
た従来の玉軸受と同様に、内周面に外輪軌道を有する外
輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌道
と内輪軌道との間に設けられた複数個の玉と、この複数
個の玉を転動自在に保持する合成樹脂製の保持器とを備
える。特に、本発明の玉軸受に於いては、この保持器
は、チタン酸カリウムウィスカを含有した合成樹脂を射
出成形して所望形状とし、更に粘度がVG１５〜１５０の
潤滑油を、保持器の重量に対して０．１〜１．０重量％
含浸させたものである。尚、上記粘度の値は４０℃での
ものである。
た従来の玉軸受と同様に、内周面に外輪軌道を有する外
輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌道
と内輪軌道との間に設けられた複数個の玉と、この複数
個の玉を転動自在に保持する合成樹脂製の保持器とを備
える。特に、本発明の玉軸受に於いては、この保持器
は、チタン酸カリウムウィスカを含有した合成樹脂を射
出成形して所望形状とし、更に粘度がVG１５〜１５０の
潤滑油を、保持器の重量に対して０．１〜１．０重量％
含浸させたものである。尚、上記粘度の値は４０℃での
ものである。
【０００９】
【作用】本発明の玉軸受用保持器を構成する合成樹脂中
に混入するチタン酸カリウムウィスカは、直径が０．２
〜０．６μｍ程度と細く、長さが１０〜２０μｍ程度と
短い為、比較的多量に混入させた場合でも、上記合成樹
脂の流動性を悪化させる事がない。従って、合成樹脂の
強度を確保する為に十分な量のチタン酸カリウムウィス
カを混入して、しかも必要以上に大きな肉厚を持たない
保持器を、十分な形状精度で造れる。
に混入するチタン酸カリウムウィスカは、直径が０．２
〜０．６μｍ程度と細く、長さが１０〜２０μｍ程度と
短い為、比較的多量に混入させた場合でも、上記合成樹
脂の流動性を悪化させる事がない。従って、合成樹脂の
強度を確保する為に十分な量のチタン酸カリウムウィス
カを混入して、しかも必要以上に大きな肉厚を持たない
保持器を、十分な形状精度で造れる。
【００１０】又、チタン酸カリウムウィスカは自己潤滑
性がある為、上記玉軸受用保持器中の潤滑油がなくなっ
て、ポケット内面の摩耗が進んでも、一部のチタン酸カ
リウムウィスカがポケットの内面に露出する事で、この
ポケットの内面と玉の転動面との間の摺動特性を向上さ
せる事ができる。従って、玉が転動する事に対する抵抗
を低減して、玉軸受の回転抵抗並びにトルク変動を小さ
く抑える事ができる。更に、ガラス繊維の様に玉の転動
面を攻撃する（傷める）事がない為、発塵量、軸受音響
に関する性能を長期間に亙って良好に維持できる。
性がある為、上記玉軸受用保持器中の潤滑油がなくなっ
て、ポケット内面の摩耗が進んでも、一部のチタン酸カ
リウムウィスカがポケットの内面に露出する事で、この
ポケットの内面と玉の転動面との間の摺動特性を向上さ
せる事ができる。従って、玉が転動する事に対する抵抗
を低減して、玉軸受の回転抵抗並びにトルク変動を小さ
く抑える事ができる。更に、ガラス繊維の様に玉の転動
面を攻撃する（傷める）事がない為、発塵量、軸受音響
に関する性能を長期間に亙って良好に維持できる。
【００１１】更に、請求項２に記載した玉軸受の発明に
よれば、保持器に含浸した潤滑油が長期間に亙って染み
出すので、長期間に亙って良好な潤滑が行なわれ、優れ
た耐久性を得られる。そして、上記保持器中の潤滑油が
なくなった後に於いても、上記チタン酸カリウムウィス
カの有する自己潤滑性に基づき、トルク変動、発塵量、
軸受音響に関する性能が急激に悪化する事を防止する。
尚、保持器に含浸させる潤滑油の４０℃での粘度をVG１
５〜１５０とし、含浸量を０．１〜１．０重量％とした
のは、次の理由による。
よれば、保持器に含浸した潤滑油が長期間に亙って染み
出すので、長期間に亙って良好な潤滑が行なわれ、優れ
た耐久性を得られる。そして、上記保持器中の潤滑油が
なくなった後に於いても、上記チタン酸カリウムウィス
カの有する自己潤滑性に基づき、トルク変動、発塵量、
軸受音響に関する性能が急激に悪化する事を防止する。
尚、保持器に含浸させる潤滑油の４０℃での粘度をVG１
５〜１５０とし、含浸量を０．１〜１．０重量％とした
のは、次の理由による。
【００１２】先ず、４０℃での粘度がVG１５未満の場
合、保持器に含浸させた潤滑油の保持性が悪く（早期に
保持器から染み出し）、早期に潤滑油が不足する。反対
に、４０℃での粘度がVG１５０を越える様な、高粘度の
潤滑油を使用した場合には、この潤滑油が保持器を構成
する合成樹脂中に含浸しづらくなり、この保持器中に含
浸する潤滑油が不足する。即ち、４０℃での粘度がVG１
５〜１５０の範囲から何れの側に外れた場合にも、保持
器から玉の転動部分に供給される潤滑油が早期に不足
し、玉軸受の耐久性を損なう。そこで、保持器に含浸さ
せる潤滑油の４０℃での粘度をVG１５〜１５０とした。
合、保持器に含浸させた潤滑油の保持性が悪く（早期に
保持器から染み出し）、早期に潤滑油が不足する。反対
に、４０℃での粘度がVG１５０を越える様な、高粘度の
潤滑油を使用した場合には、この潤滑油が保持器を構成
する合成樹脂中に含浸しづらくなり、この保持器中に含
浸する潤滑油が不足する。即ち、４０℃での粘度がVG１
５〜１５０の範囲から何れの側に外れた場合にも、保持
器から玉の転動部分に供給される潤滑油が早期に不足
し、玉軸受の耐久性を損なう。そこで、保持器に含浸さ
せる潤滑油の４０℃での粘度をVG１５〜１５０とした。
【００１３】次に、含浸量が０．１重量％未満の場合に
は、絶対的に潤滑油の量が不足し、保持器から玉の転動
部分に供給される潤滑油が早期に枯渇して、玉軸受の耐
久性を損なう。反対に、１．０重量％を越えて含浸させ
ても、実用上必要な耐久性向上を図れない（過度に含浸
させても初期に多量の潤滑油が滲出するので、枯渇する
までの時間は実質的に長くならない）にも拘らず、保持
器を構成する合成樹脂中に潤滑油を含浸させる為に要す
る時間が徒に長くなる。この様に、含浸時間が長くなる
と、保持器の生産効率を悪化させ、玉軸受の価格高騰の
原因となる。そこで、保持器に含浸させる潤滑油の量
を、保持器の重量に対して０．１〜１．０重量％とし
た。
は、絶対的に潤滑油の量が不足し、保持器から玉の転動
部分に供給される潤滑油が早期に枯渇して、玉軸受の耐
久性を損なう。反対に、１．０重量％を越えて含浸させ
ても、実用上必要な耐久性向上を図れない（過度に含浸
させても初期に多量の潤滑油が滲出するので、枯渇する
までの時間は実質的に長くならない）にも拘らず、保持
器を構成する合成樹脂中に潤滑油を含浸させる為に要す
る時間が徒に長くなる。この様に、含浸時間が長くなる
と、保持器の生産効率を悪化させ、玉軸受の価格高騰の
原因となる。そこで、保持器に含浸させる潤滑油の量
を、保持器の重量に対して０．１〜１．０重量％とし
た。
【００１４】
【実施例】次に、本発明の効果を確認する為に、本発明
者が行なった実験に就いて説明する。実験は、内径が５
mm、外径が１３mm、幅が４mmのミニアチュア玉軸受を使
用して行なった。本発明に属する保持器７としては、補
強材としてチタン酸カリウムウィスカを１０容量％混入
したポリアミド樹脂を射出成形する事により造られた、
図１〜３に示す様な冠型のものを使用した。チタン酸カ
リウムウィスカとしては、大塚化学株式会社から商品名
『ティスモ』で市販されているものを使用した。更に、
本発明に属する玉軸受（以下、本発明品とする。）を構
成する場合、この保持器７を、４０℃での粘度がVG４６
である、ポリアルファオレフィン系合成油である潤滑油
中に浸漬し、この潤滑油の温度を１００℃に保持した状
態で、３時間放置した。この結果、上記保持器７には、
この保持器７の重量に対して０．３７重量％の潤滑油が
含浸された。
者が行なった実験に就いて説明する。実験は、内径が５
mm、外径が１３mm、幅が４mmのミニアチュア玉軸受を使
用して行なった。本発明に属する保持器７としては、補
強材としてチタン酸カリウムウィスカを１０容量％混入
したポリアミド樹脂を射出成形する事により造られた、
図１〜３に示す様な冠型のものを使用した。チタン酸カ
リウムウィスカとしては、大塚化学株式会社から商品名
『ティスモ』で市販されているものを使用した。更に、
本発明に属する玉軸受（以下、本発明品とする。）を構
成する場合、この保持器７を、４０℃での粘度がVG４６
である、ポリアルファオレフィン系合成油である潤滑油
中に浸漬し、この潤滑油の温度を１００℃に保持した状
態で、３時間放置した。この結果、上記保持器７には、
この保持器７の重量に対して０．３７重量％の潤滑油が
含浸された。
【００１５】又、比較の為に使用した保持器としては、
補強材としてガラス繊維を１０容量％混入したポリアミ
ド樹脂を射出成形する事により造られた、図１〜３に示
す様な冠型のものを使用した。そして、この比較用の保
持器に、上述した本発明に属する保持器と同じ処理を施
して、ほぼ同量の潤滑油を含浸させた。
補強材としてガラス繊維を１０容量％混入したポリアミ
ド樹脂を射出成形する事により造られた、図１〜３に示
す様な冠型のものを使用した。そして、この比較用の保
持器に、上述した本発明に属する保持器と同じ処理を施
して、ほぼ同量の潤滑油を含浸させた。
【００１６】これら本発明に属する保持器７と比較用の
保持器とを、上述した諸元を有するミニアチュア玉軸受
に組み込んだ。そして、このミニアチュア玉軸受を、オ
イルプレーティング用の潤滑油（合成油）を溶かし込ん
だ揮発性溶媒に浸漬した後引き上げ、この揮発性溶媒を
蒸発させる事により、本発明品及び比較用の玉軸受（以
下、比較品とする。）にオイルプレーティングを施し
た。内輪２の両端面及び内周面、並びに外輪４の両端面
及び外周面に付着した潤滑油及び揮発性溶媒は、引き上
げ直後に拭き取った。溶媒中への潤滑油の混入割合は１
０容量％とした。この作業により、上記本発明品及び比
較品には３．９mm3 の合成油が付着した。
保持器とを、上述した諸元を有するミニアチュア玉軸受
に組み込んだ。そして、このミニアチュア玉軸受を、オ
イルプレーティング用の潤滑油（合成油）を溶かし込ん
だ揮発性溶媒に浸漬した後引き上げ、この揮発性溶媒を
蒸発させる事により、本発明品及び比較用の玉軸受（以
下、比較品とする。）にオイルプレーティングを施し
た。内輪２の両端面及び内周面、並びに外輪４の両端面
及び外周面に付着した潤滑油及び揮発性溶媒は、引き上
げ直後に拭き取った。溶媒中への潤滑油の混入割合は１
０容量％とした。この作業により、上記本発明品及び比
較品には３．９mm3 の合成油が付着した。
【００１７】次に、この様にして得られた２種類のミニ
アチュア玉軸受の耐久性を測定した。耐久試験は、温度
が６０℃、軸受予圧が２kgf の条件の下で、内輪２を３
６００r.p.m.で２００００時間回転させる事により行な
った。この耐久試験の結果、アンデロン値がMideum Ban
d 、High Band の何れか一方でも３を越えた場合に、そ
の玉軸受が寿命に達したものと判定する事にした。この
結果を、図４に示す。図４の（Ａ）はMideum Band のア
ンデロン値の変化を、（Ｂ）はHigh Band のアンデロン
値の変化を、それぞれ表わしている。又、図４で＋は本
発明品のアンデロン値を、□は比較品のアンデロン値
を、それぞれ表わしている。
アチュア玉軸受の耐久性を測定した。耐久試験は、温度
が６０℃、軸受予圧が２kgf の条件の下で、内輪２を３
６００r.p.m.で２００００時間回転させる事により行な
った。この耐久試験の結果、アンデロン値がMideum Ban
d 、High Band の何れか一方でも３を越えた場合に、そ
の玉軸受が寿命に達したものと判定する事にした。この
結果を、図４に示す。図４の（Ａ）はMideum Band のア
ンデロン値の変化を、（Ｂ）はHigh Band のアンデロン
値の変化を、それぞれ表わしている。又、図４で＋は本
発明品のアンデロン値を、□は比較品のアンデロン値
を、それぞれ表わしている。
【００１８】この図４から明らかな通り、ポリアミド樹
脂製の保持器７の補強材として、ガラス繊維に代えてチ
タン酸カリウムウィスカを使用する事により、軸受音響
に関する性能を向上させる事ができる。尚、他の特性、
即ちトルク変動、発塵量に関する性能も、ガラス繊維を
使用した比較用の保持器を用いた比較品と同等若しくは
それ以上の性能を発揮する事は勿論である。又、上述の
実験では、保持器７に潤滑油を含浸させる作業を、この
保持器７を射出成形した後に行なっているが、予め潤滑
油を混入した材料（チタン酸カリウムウィスカを混入し
たポリアミド樹脂等の合成樹脂）を射出成形する事によ
り、保持器７に潤滑油を含浸させる事もできる。又、使
用する合成樹脂としては、上記ポリアミド樹脂の他、ポ
リフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）、ポリアセタール
（ＰＯＭ）等、従来から合成樹脂製保持器を構成する為
に使用されていた他の合成樹脂でも良い。
脂製の保持器７の補強材として、ガラス繊維に代えてチ
タン酸カリウムウィスカを使用する事により、軸受音響
に関する性能を向上させる事ができる。尚、他の特性、
即ちトルク変動、発塵量に関する性能も、ガラス繊維を
使用した比較用の保持器を用いた比較品と同等若しくは
それ以上の性能を発揮する事は勿論である。又、上述の
実験では、保持器７に潤滑油を含浸させる作業を、この
保持器７を射出成形した後に行なっているが、予め潤滑
油を混入した材料（チタン酸カリウムウィスカを混入し
たポリアミド樹脂等の合成樹脂）を射出成形する事によ
り、保持器７に潤滑油を含浸させる事もできる。又、使
用する合成樹脂としては、上記ポリアミド樹脂の他、ポ
リフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）、ポリアセタール
（ＰＯＭ）等、従来から合成樹脂製保持器を構成する為
に使用されていた他の合成樹脂でも良い。
【００１９】
【発明の効果】本発明の玉軸受用保持器と玉軸受は、以
上に述べた通り構成され作用する為、回転に要するトル
クを低減させると共にこのトルクの変動を小さくし、且
つ発塵量並びに音響の低減を図れる玉軸受の耐久性を、
飛躍的に向上させる事ができる。
上に述べた通り構成され作用する為、回転に要するトル
クを低減させると共にこのトルクの変動を小さくし、且
つ発塵量並びに音響の低減を図れる玉軸受の耐久性を、
飛躍的に向上させる事ができる。
【図１】本発明の対象となる玉軸受の１例を示す断面
図。
図。
【図２】保持器の１例を示す半部拡大平面図。
【図３】同じく拡大斜視図。
【図４】耐久試験の結果を示す経過時間と音響特性との
関係を示す線図。
関係を示す線図。
１ 内輪軌道 ２ 内輪 ３ 外輪軌道 ４ 外輪 ５ 玉 ６ シール板 ７ 保持器 ８ 主部 ９ ポケット １０ 爪片
Claims (2)
- 【請求項１】 チタン酸カリウムウィスカを含有した合
成樹脂を射出成形して所望形状とした玉軸受用保持器。 - 【請求項２】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
面に内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌道と内輪軌道
との間に設けられた複数個の玉と、この複数個の玉を転
動自在に保持する合成樹脂製の保持器とを備えた玉軸受
に於いて、この保持器は、チタン酸カリウムウィスカを
含有した合成樹脂を射出成形して所望形状とし、更に粘
度がVG１５〜１５０の潤滑油を、保持器の重量に対して
０．１〜１．０重量％含浸させたものである事を特徴と
する玉軸受。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7286184A JPH09133137A (ja) | 1995-11-02 | 1995-11-02 | 玉軸受用保持器と玉軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7286184A JPH09133137A (ja) | 1995-11-02 | 1995-11-02 | 玉軸受用保持器と玉軸受 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09133137A true JPH09133137A (ja) | 1997-05-20 |
Family
ID=17701040
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7286184A Pending JPH09133137A (ja) | 1995-11-02 | 1995-11-02 | 玉軸受用保持器と玉軸受 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09133137A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7234872B2 (en) | 1997-06-06 | 2007-06-26 | Nsk, Ltd. | Rolling Bearing |
-
1995
- 1995-11-02 JP JP7286184A patent/JPH09133137A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7234872B2 (en) | 1997-06-06 | 2007-06-26 | Nsk, Ltd. | Rolling Bearing |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |