JPH06247971A - 血小板活性化因子拮抗物質フォマクチン類 - Google Patents

血小板活性化因子拮抗物質フォマクチン類

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JPH06247971A
JPH06247971A JP5034964A JP3496493A JPH06247971A JP H06247971 A JPH06247971 A JP H06247971A JP 5034964 A JP5034964 A JP 5034964A JP 3496493 A JP3496493 A JP 3496493A JP H06247971 A JPH06247971 A JP H06247971A
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JP
Japan
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formactin
fomactin
formula
medium
phomactins
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JP5034964A
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Aiya Satou
藹也 佐藤
Michihiro Sugano
道裕 菅野
Yasuteru Iijima
康輝 飯島
Hideyuki Haruyama
英幸 春山
Tadashi Hatake
忠 畠
Takeshi Oshima
武史 大島
Kohei Furuya
航平 古谷
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Sankyo Co Ltd
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Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】下記式(I)に示される構造式を有するフォマ
クチンE等の、血小板活性化因子(以下、PAFとい
う)拮抗作用を有する新規なジテルペン化合物(フォマ
クチン類)、及びその製法。 【効果】上記のフォマクチン類は、動物(例、ヒト、イ
ヌ、ネコ、ウサギ等)に対してPAF拮抗作用を示し、
例えば抗血栓剤としての使用はもとより、喘息、消化性
潰瘍、腎臓障害、高血圧等の予防、治療剤として有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血小板活性化因子(以
下、PAFという)拮抗作用を有する新規なジテルペン
化合物、及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】PAFに拮抗作用を有する物質は、PA
F型と非PAF型に分類されており、このうち、PAF
型拮抗物質は主に化学合成で得られている。一方、非P
AF型拮抗物質は様々な天然物から得られている。例え
ば、植物からはギンコライド、カズレノン、ベレクエン
シン、ブルセラン等が知られ(P.Braquet,and J.J.Godf
roid、 Trend in Pharm.Sci.,397 (1986))微生物起
源の化合物としてはFR900452 ,ビニグロール(I.Uch
ida J.Org.Chem.,52,5292 (1987))、FR 49175(O,Oka
moto,Chem.Pharm.Bull.,34(11),,342(1986)) 等が得ら
れている。また本発明生産菌から同様の骨格を有するフ
ォマクチンA(特開平2−256679号)及びB(特
開平3−216197号)が得られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、カニの
甲殻から分離されたフォーマ属に属するSANK156
92株の培養液からPAF拮抗作用を有する新規化合物
フォマクチンE、F又はG(Phomactin E、F、G)が
生産されることを見いだして本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)式(I)
に示される構造式を有するフォマクチンE:
【0005】
【化4】
【0006】(2)式(II)に示される構造式を有するフ
ォマクチンF:
【0007】
【化5】
【0008】(3)式(III)に示される構造式を有するフ
ォマクチンG:
【0009】
【化6】
【0010】に関し、(4)フォーマ属に属するフォマク
チンE、フォマクチンF又はフォマクチンGの生産菌を
培養し、その培養物からフォマクチンE、フォマクチン
F又はフォマクチンGを採取することを特徴とするフォ
マクチンE、フォマクチンF又はフォマクチンGの製造
法、さらに好適には、(5)フォーマ属に属するフォマク
チンE、フォマクチンF又はフォマクチンG生産菌がフ
ォーマエスピーSANK15692(微工研条寄第41
75号)である(4) 記載の製造法に関する。
【0011】本発明のフォマクチンEは下記の構造及び
性状を有する。
【0012】1)構造式:
【0013】
【化7】
【0014】2)物質の性状:無色針状結晶 3)融点:148−149℃ 4)比旋光度:〔α〕D +178.4 °(C1.0 CHCl
3 ) 5)元素分析値:(%) 実測値 C75.73 H 9.51 計算値 C75.43 H 9.50 6)分子式:C20303 (高分解能質量分析法により
測定) 7)分子量:318(質量分析法により測定) 8)赤外吸収スペクトル:νmax cm-1:KBr法で測定
した赤外吸収スペクトルは以下にしめす通りである。
【0015】3440,2990,2910,1670,1620,1450,1390,119
0,1080,910,820. 9) 1H−核磁気共鳴スペクトル:δppm 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(270MHz )は以
下に示す通りである。
【0016】5.12(1H,t, J=3.1Hz),5.37(1H,brt J=7.6H
z),3.91(1H,s),2.79(1H,ddd J=20.5,8.3,3.4Hz),2.41-
2.50(1H,m),2.01-2.21(6H,m),1.63(3H,s),1.56-2.00(1
H,m),1.48(3H,s),1.22-1.40(2H,m),1.23(3H,d J=7.3H
z),1.20(3H,s),1.17(3H,s). 10)13C−核磁気共鳴スペクトル:δppm 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(100 MHz)は以
下に示す通りである。
【0017】15.3(q),17.9(q),19.0(q),21.1(q),24.4
(t),26.0(q),32.9(t),33.9(t),35.0(t),39.2(t),40.9
(d),44.4(s),64.2(s),68.8(d),74.2(s),121.0(d),134.4
(d),137.8(s),149.5(s),203.2(s). 11)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε)239
(3200) 12)溶解性:メタノール、エタノール、アセトン、ク
ロロホルム、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、エーテ
ル、酢酸エチルに溶解、水に不溶である。
【0018】13)呈色反応:硫酸、ヨードに陽性 14)薄層クロマトグラフィー: Rf値;0.62 吸着剤;シリカゲルプレート (Kieselgel 60 F254,メルク社製) 展開溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1) 本発明のフォマクチンFは下記の構造及び性状を有す
る。
【0019】1)構造式:
【0020】
【化8】
【0021】2)物質の性状:無色針状結晶 3)融点:199−202℃ 4)比旋光度:〔α〕D +120.9 °(C1.0 ,CHCl
3 ) 5)元素分析値:(%) 実測値 C 71.90 H9.09 計算値 C 71.86 H8.98 6)分子式:C20304 (高分解能質量分析法により
測定) 7)分子量:334(質量分析法により測定) 8)赤外吸収スペクトル:νmax cm-1:KBr法で測定
した赤外吸収スペクトルは以下にしめす通りである。
【0022】3480,2970,1680,1630,1470,1450,1390,122
0,1100,1080,930. 9) 1H−核磁気共鳴スペクトル:δppm 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(270 MHz)は以
下に示す通りである。
【0023】5.84(1H,dd J=6.1,2.7Hz),3.99(1H,s),2.7
3(1H,dd J=10.5,3.7Hz),2.49(1H,ddd J=19.4,9.3,6.4H
z),1.96-2.24(4H,m),1.30-1.47(6H,m),1.49(3H,s),1.32
(3H,s),1.27(3H,s),1.18(3H,d J=7.3Hz),1.15(3H,s),0.
98-1.11(1H,m). 10)13C−核磁気共鳴スペクトル:
δppm 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した。核磁気共鳴スペクトル(68 MHz)は以
下に示す通りである。
【0024】14.8(q),16.2(q),21.1(q),22.0(q),23.2
(q),25.3(t),33.4(t),34.3(d),35.5(t),35.6(t),38.9
(t),43.7(s),62.5(d),64.0(s),64.4(s),68.2(d),76.5
(s),133.4(d),150.6(s),202.6(s). 11)紫外線吸収スペクトル:λmax nm(ε)240
(2700) 12)溶解性:メタノール、エタノール、アセトン、ク
ロロホルム、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、エーテ
ル、酢酸エチルに溶解、水に不溶である。
【0025】13)呈色反応:硫酸、ヨードに陽性 14)薄層クロマトグラフィー: Rf値;0.42 吸着剤;シリカゲルプレート (Kieselgel 60 F254,メルク社製) 展開溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1) 本発明のフォマクチンGは下記の構造及び性状を有す
る。
【0026】1)構造式:
【0027】
【化9】
【0028】2)物質の性状:無色針状結晶 3)融点:131−132℃ 4)比旋光度:〔α〕D +96.9°(C1.0,CHCl
3 ) 5)元素分析値:(%) 実測値 C75.62 H9.40 計算値 C75.41 H9.50 6)分子式:C20303 (高分解能質量分析法により
測定) 7)分子量:318(質量分析法により測定) 8)赤外吸収スペクトル:νmax cm-1:KBr法で測定
した赤外吸収スペクトルは以下にしめす通りである。
【0029】3300,2960,2920,1450,1380,1350,1270,124
0,1010,910,880. 9) 1H−核磁気共鳴スペクトル:δppm 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した。核磁気共鳴スペクトル(500 MHz)は
以下に示す通りである。
【0030】5.07(1H,dd J=9.5,1.5Hz),4.51(1H,ddd J=
12.8,2.9,2.6Hz),4.38(1H,dd J=12.8,2.6Hz),2.85(1H,
s),2.45(1H,dt J=2.4,12.5Hz),2.11-2.16(1H,m),1.65-
2.03(8H,m),1.64(3H,s),1.42-1.63(3H,m),1.40(3H,s),
0.92(3H,d J=7.31Hz),0.93(3H,s). 10)13C−核磁気共鳴スペクトル:δppm 重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用
して測定した。核磁気共鳴スペクトル(125 MHz)は
以下に示す通りである。
【0031】14.9(q),17.0(q),21.0(q),22.2(q),24.0
(t),24.4(t),29.1(t),33.6(t),34.5(d),35.1(t),36.1
(t),38.6(s),61.4(s),64.9(d),70.5(t),109.7(s),129.5
(d),134.5(s),135.2(s),144.7(s). 11)紫外線吸収スペクトル:末端吸収のみ 12)溶解性:メタノール、エタノール、アセトン、ク
ロロホルム、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、エーテ
ル、酢酸エチルに溶解、水に不溶である。
【0032】13)呈色反応:硫酸、ヨードに陽性 14)薄層クロマトグラフィー: Rf値;0.82 吸着剤;シリカゲルプレート (Kieselgel 60 F254,メルク社製) 展開溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1) 本発明のフォマクチンE、フォマクチンF又はフォマク
チンG(以下、「フォマクチン類」という。)は種々の
立体および幾何異性体を有する。前記式においては、こ
れらの異性体およびこれらの異性体の混合物がすべて単
一の式で示されている。従って、本発明においてはこれ
らの異性体およびこれらの異性体の混合物をもすべて含
むものである。
【0033】フォマクチン類の生産菌であるSANK1
5692株の菌学的性状は次の通りである。
【0034】本菌は福井県沖で採取されたカニで甲殻が
黒変し「ススガニ」と呼ばれているズワイガニ(Chinoe
cetes opilio) の甲殻から分離された菌株で、その菌学
的諸性状は次の通りである。オートミール寒天培地上、
25℃での生育は7日間で20mm、14日間で38mmに
達する。両培地上ともコロニーは湿気のあるビロード状
でその色は灰汁色(Greenish gray)である。
【0035】オートミール寒天培地上では菌糸のみで胞
子、分生子の形成は見られないが、人工海水(商品名、
Jamarin S)で作ったオートミール寒天培地上では分生子
殻を形成し、その中に分生子を形成する。
【0036】分生子殻は暗褐色、亜球形ないし洋梨型で
孔口を有し、サイズは80〜120×80〜150μm
である。孔口の径は5〜15μm でその周辺に褐色で2
0〜50×2〜4μm の剛毛を有する。
【0037】分生子柄はとくに分化せず殻壁最内層がフ
ィアライドとなる。分生子柄は無色、一細胞、楕円形な
いし長楕円形で 2.5〜4.0 × 2.0〜2.5 μm である。
【0038】なお、本菌は37℃では生育しない。
【0039】以上の諸性状をもとにB.C.Sutton著“The
Coelomycetes” Commonwealth Mycological Institute,
1980年発行およびJ.Kohlmeyer および E.Kohlmeyer著
“Marine Mycology, the higher fungi ”Academic Pre
ss, 1979年発行を用いて検索した結果、本菌を公知の属
であるフォーマ属に属するフォーマ・エスピー(Phomas
p.)と同定し、保存番号としてSANK15692株(微工
研条寄第4175号、FERM BP-4175)を付与した。
【0040】なお、色の表示は、A.Kornerupおよび J.
H.Wanscher 著〔Methuen Handbook of colour, 第3版
1978年、Eyre Methuen, London発行〕に従って行っ
た。
【0041】以上、フォマクチン類の生産菌について説
明したが、カビの諸性質は一定したものではなく、自然
的、人口的に容易に変化することは周知の通りであり、
本発明で使用しうる菌株はフォーマ属に属するフォマク
チン類を生産するすべての菌株を包含するものである。
【0042】本発明の新規化合物フォマクチン類を得る
ため、これらの微生物の培養は他の醗酵生産物を生産す
るために用いられるような培地中で行う。培地には人工
海水を用いてもよいし、水道水を用いてもよい。このよ
うな培地中には、微生物が資化できる炭素源、窒素源お
よび無機塩を含有する。
【0043】一般に、炭素源としてグルコース、フラク
トース、マルトース、シュークロース、マンニトール、
グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウ
モロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆
粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸などを単一に、あ
るいは併用して用いることができる。一般には、培地量
の1−10重量%で変量する。
【0044】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を醗酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実油、綿実粉、カゼイン加水
分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、
ペプトン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マル
トエキス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ア
ンモニウム、等である。窒素源は、単一または併用して
培地量の0.2−6重量%の範囲で用いる。
【0045】培地中に取り入れる栄養無機塩は、ナトリ
ウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サ
ルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを得
ることのできる通常の塩類である。また、カリウム、カ
ルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の
微量の金属も含む。液体培養に際しては、シリコン油、
植物油、界面活性剤等が消泡剤として使用される。
【0046】フォーマ・エスピー(Phoma sp.) SANK 1
5692株を培養し、フォマクチン類を生産する培地の
pHは、5.0 −9.0 、好適には 6.5−8.5 、に変化でき
る。
【0047】菌の生育温度は15℃から30℃までであ
るが更にフォマクチン類の生産には、20℃から28
℃、特に22℃から26℃、が好適である。
【0048】フォマクチン類は、好気的に培養して得ら
れるが通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養
法、振とう培養法、通気攪拌培養法等が用いられる。小
規模な培養においては、22℃〜26℃で数日間〜2週
間、振とう培養を行うのが良好である。培養は、バッフ
ル(水流調節壁)のついた三角フラスコ中で、1−2段
階の種の発育工程により開始する。種発育段階の培地
は、炭素源および窒素源を併用できる。種フラスコは定
温インキュベーター中で22℃〜26℃、7日間振とう
するか、または充分に成長するまで振とうする。成長し
た種は第二の種培地、または生産培地に接種するのに用
いる。中間の発育工程を用いる場合には、本質的に同様
の方法で成長させ、生産培地に接種するためにそれを部
分的に用いる。接種したフラスコを一定温度で数日間振
とうし、インキュベーションが終わったらフラスコの含
有物を遠心分離またはろ過する。大量培養の場合には、
攪拌機、通気装置を付けた適当なタンクで培養するのが
好ましい。この方法によれば、栄養培地をタンクの中で
作成できる。栄養培地を125℃まで加熱して滅菌し、
冷却後、滅菌培地にあらかじめ成長させてあった種を接
種する。培養は22℃〜26℃で通気攪拌して行う。こ
の方法は、多量の化合物を得るのに適している。
【0049】培養終了後、培養液中の液体部分に存在す
るフォマクチン類は、菌体、その他の固形部分を珪藻土
をろ過助剤とする、ろ過操作または遠心分離によって分
別し、そのろ液または上清中に存在するフォマクチン類
を、その物理化学的性状を利用し抽出精製することによ
り得られる。例えば、ろ液または、上清中に存在するフ
ォマクチン類は、中性pH条件下で水と混和しない有機
溶剤、例えばエーテル、酢酸エチル、n−ヘキサン、ク
ロロホルム、塩化エチレン、塩化メチレンなどの単独ま
たは、それらの組み合わせにより抽出精製することがで
きる。あるいは吸着剤として、例えば活性炭または吸着
用樹脂であるアンバーライトXAD−2,XAD−4
(ローム・アンド・ハース社製)等や、ダイヤイオンH
P−10,HP−20,CHP−20P,HP−50
(三菱化成(株)製)等が使用される。フォマクチン類
を含む液を上記のごとき吸着剤の層を通過させて不純物
を吸着させて取り除くか、またはフォマクチン類を吸着
させた後、メタノール水、アセトン水、n−ブタノール
水などを用いて溶出させることにより得られる。
【0050】このようにして得られたフォマクチン類
は、更にシリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系のフ
ロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラ
フィー、セファデックスLH−20(ファルマシア社
製)などを用いた分配カラムクロマトグラフィー、およ
び順相、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ
ー等で精製することができる。
【0051】本発明のフォマクチン類は、文献未載の新
規化合物であり、動物(例、ヒト、イヌ、ネコ、ウサギ
等)に対してPAF拮抗作用を示し、例えば抗血栓剤と
しての使用はもとより、喘息、消化性潰瘍、腎臓障害、
高血圧等の予防、治療剤として有用である。
【0052】本発明のフォマクチン類を医薬として用い
る場合、常法に従ってそれ自体または適宜の薬学的に許
容される担体、賦形剤、希釈剤と混合し、粉末剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤、注射剤などの形態で経口的また
は非経口的に安全に投与することができる。投与量は対
象疾患、投与経路および投与回数などにより異なるが、
例えば成人に対しては1日1mgから1000mgを、症状
に応じて1回または数回に分けて投与するのが好まし
い。
【0053】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明する。
【0054】a)培養 フォーマエスピーSANK15692株をそのスラント
から、滅菌した後述の組成の培地700mlをふくむバッ
フルのついた2Lの3角フラスコ(種フラスコ)に白金
耳接種した。次いでこれを23℃で7日間、200 rpm
(7センチの回転半径)のロータリー振とう機で培養し
た。この培養液の450mlを、15Lの下記培地を含む
30Lジャーファーメンターに接種し、回転数165rp
m 、23℃、3日間、培養を行った。更に、この培養液
を同様の培地300Lを含む600Lタンク2基に接種
して、23℃、回転数80rpm 、12日間培養を行い培
養液600Lを得た。
【0055】
【表1】培地組成 シュークロース 2.0 % ジャガイモ 10.0 % ペプトン 1.0 % リン酸2カリウム 0.5 % ──────────────────── 人工海水 pH 8.5 b)単離 培養液全体(600L)を吸引濾過し、その濾液を同量
の酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチル層を同量
の水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、ロータリーエバポレターで減圧濃縮、乾固した。得
られた油状物(483.3g)を2分して、各々約10
倍量のシリカゲルを用いた吸着カラムクロマトグラフィ
ー(Art.9385,230−400メッシュ:メル
ク社製)に付し、n−ヘキサン−酢酸エチル(4:6)
の混合溶媒で溶出する分画を集めた。この分画より溶媒
を減圧化で留去すると、油状物質36.9gが得られた。
この油状物質にメタノールを加えると、結晶が析出した
のでその結晶を除き濾液を得た。濾液の溶媒を留去する
と、油状物質12.59gが得られたのでこれを300g
のシリカゲルを用い、アセトン−塩化メチレン(5:9
5−10:90)の混合溶媒で溶出しフラクションI−
III を得た。フラクションIを逆相カラムクロマトグラ
フィー(ローバーRP−8,サイズC、メルク社製)に
付し、78%含水メタノールで溶出してフォマクチン
E,Gをそれぞれ0.94g,0.17g得た。フラクショ
ンIIを逆相カラムクロマトグラフィー(ローバーRP−
8,サイズC、メルク社製)において85%含水メタノ
ールで溶出してフォマクチンFを0.025g得た。
【0056】(実施例の効果)得られたフォマクチン類
は下記の生物学的性状を示す。
【0057】試験例1.PAFによる血小板凝集の抑制
作用 家兎より心臓採取し、この血液をただちに1:9容の3.
8 %のクエン酸ソーダと混合した。室温下で150Gに
て15分間遠心し、上層より多血小板血漿(platelet p
oor plasma:ppp) を得た。PRPとPPPとを適量混合
し、PRPの血小数を60万個/μlになるように調整
した。血小板凝集は、Bornの方法(Nature, 194,927(19
62))により、アグリコメーターを用いて、透過光の増加
により測定した。即ち、PRP(250μl)に比検薬の
DMSO溶液(3μl)を加え、1分後にC16−PAF
の生理食塩水溶液(25μl ,PAFの終濃度1−3X
10-8M)を添加した。比検薬の代わりに生理食塩水を
加え、1分後にC16−PAF添加による凝集を対照値
とした。その結果、フォマクチンE、F、GのIC50値は
各々、2.3 、3.9 、3.2 μMであった。
【0058】試験例2.PAF受容体結合の抑制作用 ウサギより1/9容の0.77M,EDTA2ナトリウムを
含む注射筒中に心臓採血し、室温にて1900Gで15
分間遠心して血小板浮遊血漿を得た。これを4℃下、3
500Gで15分間遠心することによって血小板の沈殿
物を得た。さらに洗浄した血小板を凍結融解を繰り返し
て破壊後、0.25 Mと1.5 Mの2層のシュクロース液層
の最上部に重層した。これを4℃下63500Gで2時
間遠心した後、0.25 Mと1.5 Mシュクロースの界面に
集まる画分をPAF受容体膜画分とした。受容体結合実
験はホワンらの方法(San,Bao Hwang et al.,J.Biol,Ch
em.,260 1539(1985)) とほぼ同じ方法により、 3H−P
AFの特異的結合量をワットマンGF/Cフィルターを
用いて測定した。化合物はDMSOに溶解後、0.5%牛
血清アルブミンを含む緩衝液で100倍に希釈し、受容
体結合実験反応液の1/10容となるように混合した。化合
物濃度のlog に対し、結合抑制率(%)をしめす各点を
結ぶ直線より、50%抑制濃度(IC50)を求めた。その
結果、フォマクチンE、F、GのIC50値は各々、5.3、 3
5.9、 0.4μMであった。
【0059】試験例1、及び試験例2の結果は合わせて
表2に示した。
【0060】
【表2】 血小板凝集阻害活性(μM) PAF受容体結合活性(μM) ──────────────────────────────────── フォマクチンE 2.3 5.3 フォマクチンF 3.9 35.9 フォマクチンG 3.2 0.4 ────────────────────────────────────
【0061】
【発明の効果】本発明のE、F、GはPAF拮抗作用を
有し、医薬として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/14 7236−4B C12P 17/02 7432−4B 17/18 D 7432−4B //(C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 17/02 C12R 1:645) (C12P 17/18 C12R 1:645) (72)発明者 春山 英幸 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 畠 忠 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 大島 武史 東京都中央区銀座2−7−12 三共株式会 社内 (72)発明者 古谷 航平 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I)に示される構造式を有するフォマ
    クチンE。: 【化1】
  2. 【請求項2】式(II)に示される構造式を有するフォマ
    クチンF。: 【化2】
  3. 【請求項3】式(III)に示される構造式を有するフォマ
    クチンG。: 【化3】
  4. 【請求項4】フォーマ属に属するフォマクチンE、フォ
    マクチンF又はフォマクチンGの生産菌を培養し、その
    培養物からフォマクチンE、フォマクチンF又はフォマ
    クチンGを採取することを特徴とするフォマクチンE、
    フォマクチンF又はフォマクチンGの製造法。
  5. 【請求項5】フォーマ属に属するフォマクチンE、フォ
    マクチンF又はフォマクチンG生産菌がフォーマエスピ
    ーSANK15692(微工研条寄第4175号)であ
    る請求項4記載の製造法。
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