JPH0624630B2 - 消臭性多孔質ポリマー - Google Patents

消臭性多孔質ポリマー

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JPH0624630B2
JPH0624630B2 JP2217494A JP21749490A JPH0624630B2 JP H0624630 B2 JPH0624630 B2 JP H0624630B2 JP 2217494 A JP2217494 A JP 2217494A JP 21749490 A JP21749490 A JP 21749490A JP H0624630 B2 JPH0624630 B2 JP H0624630B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、消臭性を有するポリマー、特に、無機アルコ
キシドおよび/または金属アルコキシドをゾル−ゲル法
により加水分解・重縮合させて得られる、消臭効果の高
い、多孔質ポリマーに関する。さらに、本発明は、上記
消臭性多孔質ポリマーを繊維基材に結合させて得られる
消臭性繊維材料に関する。
(従来の技術) 近年、生活水準の向上に伴ない、悪臭を除去して快適な
生活を営みたいという要求が大きくなっている。例え
ば、気密性の高い部屋、浴室、トイレ、自動車、冷蔵庫
などの内部にこもる臭気を除去、あるいはマスクするた
めに各種の消臭剤が用いられる。
消臭剤のうち、気密性の高い部屋、トイレ、自動車の内
部などの消臭には、香料やバルサム剤のような消臭済自
身が強い香りを持ち、その香りによって悪臭をマスクす
る消臭剤が多く使用されている。しかし、このような消
臭剤は、独自の強い香りのため、その用途が限られる。
これに対して、臭いのある化合物を化学的に分解して消
臭する、化学的消臭剤がある。このような消臭剤は、一
般に植物から抽出された物質あるいは合成化合物を主成
分としており、スプレー剤などとして、ゴミの悪臭を化
学的に分解する目的に、あるいは体臭除去剤として使用
されている。しかし、このような化学的消臭剤も、それ
自身が臭気を有し、かつ特定の臭気に対してのみ分解能
力を有し、その他の臭気には効果がないという問題点が
ある。
上記以外のタイプとしては、吸着型の消臭剤がある。そ
れには例えば、活性炭およびシリカゲルがある。これら
は、多孔質の粒子であり、その内部に臭気物質が吸着す
ることにより脱臭効果が達成される。吸湿剤として用い
られているシリカゲルも同じ様に脱臭性能を持つが、従
来の製造方法で製造されるシリカゲル粉末は孔径が大き
く、気孔率(全容積に対して空隙の占める割合)が小さ
いため消臭効果が低い。比較的消臭活性の大きな活性炭
でも、気孔の大きさが不揃いで、かつ粒子が比較的大き
いため、消臭効果が不十分である。
さらに最近では、靴の中敷、生理用品、肌着など繊維材
料に消臭性を付与する試みもなされている。このような
消臭効果を持つ繊維材料を得るには、例えば、消臭剤の
粉末を薄い層にして布状の繊維材料で封入する方法が使
用されている。しかし、この方法では、製品がかさ高く
なり肌着などには使用できない。消臭性繊維材料を得る
好ましい方法は、消臭性の材料を繊維基材に複合させる
ことであると考えられる。しかし最も脱臭活性が大きい
と考えられる活性炭は黒色の外観を有するため用途およ
び使用方法が限定される。このように、消臭効果が大き
く、かつ容易に調製され得る消臭性繊維材料は得られて
いない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記従来の欠点を解決するものであり、その
目的とするところは、優れた消臭効果を有する消臭性材
料および該消臭性材料を容易に製造し得る方法を提供す
ることにある。
本発明の他の目的は、上記優れた消臭効果を持つ消臭性
材料が強力に繊維基材に結合している消臭性繊維材料を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、上記
優れた消臭性繊維材料を容易に製造し得る方法を提供す
ることにある。
(課題を解決するための手段および作用) 本発明の消臭性多孔質ポリマーは、無機アルコキシドお
よび金属アルコキシドでなる群から選択される少なくと
も1種のアルコキシドを、ゾル−ゲル法によって加水分
解・重縮合させて得られる多孔質ポリマーであって、実
質的に均一なサイズの微粒子またはその集合体の形状を
有する。
本発明の消臭性多孔質ポリマーの製造方法は、上記アル
コキシドを、ゾル−ゲル法触媒を用いて加水分解・重縮
合させて、実質的に均一なサイズの微粒子またはその集
合体の形状を有する多孔質ポリマーを得る工程を包含す
る。
好適な実施態様においては、上記ゾル−ゲル法触媒は塩
基触媒である。
本発明の消臭性繊維材料は、繊維基材に、無機アルコキ
シドおよび金属アルコキシドでなる群から選択される少
なくとも1種のアルコキシドと、シランカップリング剤
とからゾル−ゲル法によって調製された消臭性多孔質ポ
リマーが物理的結合および化学的結合のうち少なくとも
一種の結合状態により結合した消臭性繊維材料であっ
て、該多孔性ポリマーは殆んど均一な微粒子またはその
集合体の形状を有する。
本発明の消臭性繊維材料の製造方法は、上記アルコキシ
ド、シランカップリング剤、ゾル−ゲル法触媒および溶
媒を含有する多孔性ポリマー形成用組成物をゾル状態で
前記繊維基材に含浸させる工程、および含浸させた該組
成物をゲル化させて多孔性ポリマーを形成させる工程、
を包含する。
好適な実施態様においては、上記シランカップリング剤
はエポキシ基を有する。
好適な実施態様においては、上記消臭性繊維材料を調製
するためのゾル−ゲル法触媒は、酸触媒および塩基触媒
を含有する。
好適な実施態様においては、本発明に使用されるゾル−
ゲル法塩基触媒は水に実質的に不溶であり、かつ有機溶
媒に可溶な第三アミンである。
本発明に用いられる無機または金属アルコキシドは、一
般に、M(OR)mで示される。ここでMは、無機物質原子ま
たは金属原子である。Mの例としては、Li、Na、Cu、M
g、Ca、Sr、Ba、Zn、B 、Al、Ga、Y 、Si、Ge、Pb、P
、Sb、Ta、W 、La、Nd、Tiなどが挙げられる。Rは低
級アルキル基(炭素数が1〜4)、そして、mはMの原
子価である。このような化合物としては、例えば、Si(O
C2H5)4、 Al(O-iso- C3H7)3、Ti(O-iso-C3H7)4、Zr(O-
t-C4H9)4、Zr(O-n-C4H9)4、Ca(OC2H5)2、Fe(OC2H5)3
V(O-iso- C3H7)4、Sn(O- t-C4H9)4、Li(OC2H5)、 Be(OC
2H5)3、B(OC2H5)3、P(OC2H5)3、P(OCH3)3、Mg(OCH3)2
Mg(OC2H5)2などがあり、さらに二金属アルコキシドであ
る、Mg〔Al(iso-OC3H7)42、Ni〔Al(iso-OC3H7)42
なども用いられ得る。特に、Si(OC2H5)4、Ca(OC2H5)2
Zr(O-t-C4H9)4、Zr(O-n- C3H7)4、Mg(OC2H5)2などが好
ましい。2種以上のこれらのアルコキシドを混合して用
いてもよい。特に、カルシウムアルコキシドおよび/ま
たはマグネシウムアルコキシドを他のアルコキシド、例
えばシランアルコキシドと併用することが好ましい。本
発明の消臭性多孔性ポリマーは、酸性物質および塩基性
物質のいずれをも効果的に吸着し得るが、カルシウムア
ルコキシドあるいはマグネシウムアルコキシドを用いた
場合には、得られる多孔質ポリマーのCaまたはMgを含む
部分がブレーンステズ塩基またはルイス塩基として働く
ため酸性物質をより吸着し易くなる。
本発明方法において必要に応じて用いられるシランカッ
プリング剤としては、既知のシランカップリング剤が用
いられ得る。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−
(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラ
ザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−
クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オ
クタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロ
ピル〕アンモニウムクロライド、アミノシラン配合物が
ある。
これらのうち特に、エポキシ基またはビニル基を有する
シランカップリング剤が好適である。特に消臭性繊維材
料を調製するときには、エポキシ基やビニル基を有する
シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング
剤の使用量は、上記アルコキシド100 重量部に対し、10
重量部を下回る量で使用される。特に好ましくは、約3
重量部である。消臭性繊維材料を調製するときには、1
〜10重量部、好ましくは約3重量部の割合で、シランカ
ップリング剤を使用することが好ましい。10重量部を越
えて使用すると最終的に得られる消臭性多孔質ポリマー
の剛性が増すため、例えば、繊維材料に結合させるよう
な場合には、繊維の柔軟性が損なわれる。消臭性繊維材
料を調製するときには、シランカップリング剤が1重量
部を下まわると生成するポリマーと繊維基材の結合力が
低下し、ポリマーが脱落しやすくなる。ビニル基を有す
るシランカップリング剤を用いた場合には、製造工程中
に適宜電子線などを照射することが必要である。
本発明の消臭性多孔質ポリマーを製造するには、ゾル−
ゲル法触媒として、必要に応じて酸触媒が用いられる。
酸触媒としては、通常、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸
が用いられる。反応液中に塩化水素ガスを吹き込むこと
によっても同様の効果が得られる。この他に有機酸やそ
の無水物も利用され得る。それには、例えば、酒石酸、
フタル酸、マレイン酸、ドデシルコハク酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、メチルナジック酸、ピロメリット酸、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸、ジクロルコハク酸、クロ
レンディック酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水
ドデシルコハク酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メ
チルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、無水ジクロルコハク酸、無水ク
ロレンディック酸がある。これらの酸は上記アルコキシ
ド1モルに対し0.5 モル以下の範囲で用いられる。消臭
性繊維材料を調製する場合には、上記アルコキシド1モ
ルに対し0.001 モル以上、好ましくは0.003 モル〜0.00
5 モルの範囲で使用される。過剰であるとアルコキシド
の縮重合反応が過度に進行して、ポリマーの粒子が大き
くなりすぎたり、架橋度が高くなりすぎるためにポリマ
ー粒子中の孔径が大きくなり、その結果、該ポリマー粒
子の消臭効果が低下する。
本発明に用いられるゾル−ゲル法塩基触媒としては無機
塩基および有機塩基のいずれもが使用可能である。無機
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カリウム、アンモニアなどがある。有機塩基
としては、第一アミン、第二アミン、第三アミン、ポリ
アミン、アミン錯化合物などが用いられ得る。それに
は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノ
ールアミン、ブチルアミン、トリエチレンテトラミン、
ジエチルアミノプロピルアミン、N-アミノエチルピペラ
ジン、N、N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルア
ミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリス
(ジメチルアミノメチル)フェノール、メタフェニレン
ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェ
ニルスルホン、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、三
フッ化ホウ素・モノエチルアミン、メンタンジアミン、
キシリレンジアミン、エチルメチルイミダゾールなどが
ある。
上記塩基触媒のうち、アンモニア、特にアンモニアガス
を用いると、微細な粒子の多孔質ポリマーを得ることが
できる。さらに好ましいのは水に実質的に不溶であり、
かつ有機溶媒に可溶な第三アミンであり、それには、
N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどがあ
る。特にN、N−ジメチルベンジルアミンが好適であ
る。
上記塩基触媒の使用量はアルコキシド1モルに対して0.
002〜1.5モルである。上記水に不溶でかつ有機溶媒に可
能な第3アミンを使用する場合にはその使用量は、上記
アルコキシド1モルに対して、0.002 モル以上、好まし
くは0.004 〜0.008 モルの範囲である。その他の場合に
は一般に0.1〜1.5モルの範囲で使用される。
消臭性多孔質ポリマーの製造に用いられる溶媒として
は、水(加水分解に用いられる)と、水と混合しうる有
機溶媒または水に一部溶解しうる有機溶媒との混合溶媒
が用いられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、
エタノール、ブタノール、プロパノール、ペンタノー
ル、ヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、ホ
ルムアミドがある。使用される水の量は、上記アルコキ
シド1モルに対し10モル以下、好ましくは1〜10モル、
さらにこのましくは1〜6モル、さらに好ましくは約4
モルである。水の量が少ないとアルコキシドの加水分解
が遅く、縮合反応が進行しにくい。但し、空気中の水分
によっても加水分解が除々に進行するため、溶媒中に必
らずしも水を添加する必要はない。特にジルコニウムな
どを含む吸湿性の高いアルコキシドを使用する場合には
水を加える必要はない。水の量が過剰であると得られる
消臭性多孔質ポリマーの消臭効果が低い。
本発明方法により消臭性多孔質ポリマーを製造するに
は、まず無機アルコキシドおよび/または金属アルコキ
シド、および溶媒を混合する。このときのアルコキシド
濃度は300〜500g/が適当である。これに、必要に応
じてゾル−ゲル法酸触媒を加える。反応液を激しく攪拌
すると空気中の二酸化炭素が取り込まれて炭酸が生じる
ため、上記酸触媒の添加は特に必要ではない。これによ
り実質的に加水分解が完了する。さらにこの反応液にゾ
ル−ゲル法塩基触媒が加えられる。この反応液はゾル状
もしくは白濁状であるが、上記塩基触媒の働きにより、
加水分解産物の重縮合反応が進行するとゲル化が起こ
る。ゲル化の時間は、塩基触媒の量により数秒〜数時間
に調整することが可能である。上記アルコキシド、ゾル
−ゲル法触媒、および溶媒を一度に混合して反応を進行
させることも可能である。上記反応液には必要に応じて
アルコキシドとともにシランカップリング剤を添加して
もよい。特に、後述のように、消臭性多孔質ポリマーを
繊維材料、プラスチック材料などに結合させて用いる場
合にはシランカップリング剤を添加することが好まし
い。
本発明の多孔質ポリマーは、上記ゾル状の混合物、白濁
状物(沈澱物または乳濁物)、あるいは必要に応じてゲ
ル状物を用いて、以下のようにして調製される。ゲル状
物を用いる場合には、これを粉砕して加熱脱水後、微粒
子状の消臭性多孔質ポリマーを得る。ゾル状態の混合物
を使用する場合には、該混合物のpHを6〜8程度に調整
し、塩基触媒の量を少量に調整することによってゲル化
時間を5時間程度とすることが好ましい。例えば、上記
ゾル状態の混合物を噴霧乾燥あるいは凍結乾燥すること
によって、微粒子状の消臭性多孔質ポリマーが得られ
る。沈澱法、蒸発分解法などを用いることも可能であ
る。さらに、上記ゾル状態の混合物をキャスティング
し、溶媒を乾燥・除去することによりフィルムを得、適
当な大きさに裁断し、消臭性フィルムとして用いてもよ
い。このフィルムは、上記微粒子状のポリマーと同様、
多孔質であり、優れた消臭性を有する。
本発明の消臭性多孔質ポリマーは、上記微粒子の状態と
して利用する他に、各種フィルム、繊維材料、金属材
料、プラスチック材料、木材などと結合させて用いるこ
ともできる。このように、各種の基材と本発明の消臭性
多孔質ポリマーとを結合させるには、上記ゾル状態の混
合物を基材に塗布または含浸させ、乾燥させる方法が容
易で好適である。例えば、次の方法により消臭性繊維材
料が製造される。
消臭性繊維材料に用いられる繊維基材としては、天然繊
維、合成繊維、および半合成繊維のいずれもが使用され
得る。具体的には、織布、不織布、糸、紙などの状態の
繊維材料が挙げられる。あるいは紡糸していない綿のよ
うな状態の繊維材料も用いられ得る。
本発明方法により消臭性繊維材料を製造するには、ま
ず、上記と同様に、アルコキシド、シランカップリング
剤、ゾル−ゲル法触媒、および溶媒でなる多孔性ポリマ
ー形成用組成物の各成分を混合してゾル状態の混合物を
調製する。このとき、混合物中のアルコキシド濃度は20
0〜300g/が適当である。この混合物は、放置すると
アルコキシドの加水分解、該加水分解産物の重縮合反応
および該加水分解産物とシランカップリング剤との反応
が進行し、ゲル化が起こる。ゲル化するまでの時間(ゲ
ル化時間)は使用する水の量、ゾル−ゲル法触媒の量お
よび組成物のpHに依存する。このpHを4〜5程度に調整
し、ゲル化時間を5時間程度とすることが好ましい。
次いで、繊維基材に、上記ゾル状態の組成物を含浸させ
る。繊維基材への含浸は、該繊維基材をゾル状態の混合
物を入れたタンクに浸すか、あるいは該繊維基材に該混
合物を噴霧し、続いて、この繊維基材をマングルに通す
ことにより行う。好ましくは、この操作を数回繰返し
て、混合物を充分に繊維基材に浸透させる。ビニル基を
有するシランカップリング剤が含まれる場合には、製造
工程において、適宜電子線照射などを行う。
この繊維基材を空気中に放置すると混合物がゲル化して
多孔性ポリマーが生成し、該ポリマーが結合した消臭性
繊維材料が得られる。
本発明の方法においては、アルコキシドが酸触媒の働き
により加水分解され(アルコキシ基が水酸基となる)、
次いで加水分解されたアルコキシド同士が塩基触媒によ
り重縮合し、その結果、ポリマーが形成される。アルコ
キシドとともにシランカップリング剤が用いられている
場合には、シランカップリング剤の無機質部分も加水分
解(アルコキシ基が水酸基となる)されて加水分解され
たアルコキシドと重縮合する。シランカップリング剤が
エポキシ基を有する場合には、エポキシ基の開裂がおこ
り、生じた水酸基と加水分解されたアルコキシドとの重
縮合反応もおこる。本発明の方法では、均一な溶液中で
縮合反応が進行し、触媒量が少量であるため、生じるポ
リマー粒子(一次微粒子)は、粒子径が小さく、大きさ
が均一となる。この一次微粒子は、40〜200 Åの微細な
孔を有し、その粒子サイズは10〜15nmである。さらに、
重縮合反応が進行すると、粒子同士が結合し、間隙の多
い三次元構造のポリマー粒子(二次微粒子)が形成され
る。そしてその気孔率は60%程度である。こうして形成
された多孔性ポリマーは粒子径が均一で、かつポリマー
粒子の細孔や粒子間の間隙に形成される吸着表面積は活
性炭の数倍以上となり、臭気性物質を効率よく吸着す
る。従って、非常に大きな脱臭効果を有する。本発明の
消臭性多孔性ポリマーは、酸性物質および塩基性物質の
いずれをも効果的に吸着し得るが、カルシウムアルコキ
シドあるいはマグネシウムアルコキシドを用いた場合に
は、得られる多孔質ポリマーのCaまたはMgを含む部分が
ブレーンステズ塩基またはルイス塩基として働くため酸
性物質をより吸着し易くなる。その結果、イソ吉草酸な
ど、特にシリカゲルや活性炭により吸着することの難し
かった物質が容易に吸着され得る。
本発明の消臭性繊維材料では、ゾル状態の反応液を繊維
基剤に含浸させて、そこで上記のようなポリマー粒子が
形成されるため、ポリマー粒子は、繊維基剤内部に浸透
し、物理的に強固に繊維基剤に結合している。さらに、
ポリマー形成時に、触媒の作用により、繊維基材の持つ
水酸基のプロトンが奪取され、このことによりポリマー
粒子と繊維材が酸素結合により化学的にも結合する。特
に、ポリマー粒子がシランカップリング剤を用いて形成
されると、シランカップリング剤の有機部分と繊維基剤
との相溶性が良好であるため、繊維基材とポリマーとの
化学的な結合が生じやすい。繊維基材の種類によっては
(例えば、ポリアミド繊維、ガラス繊維などでは)繊維
を構成する分子自体が、加水分解されたアルコキシドお
よびシランカップリング剤、さらにシランカップリング
剤の開裂エポキシ基などと反応して化学的に結合する可
能性もある。本発明の消臭性繊維材料は、上記のように
多孔性ポリマーが繊維基材に物理的に、そして化学的に
強固に結合しているため、容易に脱落することがない。
しかも繊維基材のソフトさや柔軟性は殆んど影響されな
い。さらにポリマーが無色であるため、繊維基材の色柄
をそこなうことなく消臭性を付与することができる。
このように、本発明の消臭性多孔質ポリマーは、優れた
消臭効果を有し、ゾル−ゲル法により、短時間で容易に
調整される。さらにこのような消臭性多孔質ポリマーを
繊維材料に結合させて得られる消臭性繊維材料は、消臭
性に優れ、多孔性ポリマーが容易に脱落することがな
く、消臭性のあるカーテン、じゅうたん、カーインテリ
ア、靴の中敷、生理用品、肌着などとして幅広く利用す
ることができる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 表1に示す成分の中のN,N-ジメチルベンジルアミンを除
く成分を攪拌しながら混合して、エチルシリケートの懸
濁液を得た。攪拌を続けながらこれに、N,N-ジメチルベ
ンジルアミンを加えた。
この反応混合物を2時間放置すると多孔質の単分散微粒
子が生じ、この微粒子が集合して沈澱物が生じた。沈澱
物を濾過し、脱水乾燥して多孔質の微粒子状ポリマーを
得た。この微粒子は粒子径が平均200 nmの二次微粒子で
あり、200 Å程度の孔径の孔を有する多孔質粒子であ
る。
これを用い、以下のようにして、トリメチルアミン、ア
ンモニア、およびイソ吉草酸に対する消臭効果を評価し
た。評価結果を後述の実施例2〜3、および比較例の結
果とともに表3に示す。
[トリメチルアミンに対する消臭試験] 350 mlの密閉容器に消臭性多孔質ポリマー20gを入れ、
1.5 %トリメチルアミン水溶液1mlを加えて密閉し、1
時間放置する。密閉容器内の気体1mlをとり、ガスクロ
マトグラフィー分析を行い、トリメチルアミンのピーク
面積を求める。
対照として消臭性多孔質ポリマーを入れずに、同様の操
作を行う。このときのトリメチルアミンのピーク面積を
100 %として上記消臭性多孔質ポリマーを用いたときの
ピーク面積を算出し、その減少率を試験片のトリメチル
アミン吸着率とする。
[アンモニアに対する消臭試験] 350 mlの密閉容器に消臭性多孔質ポリマー20gを入れ、
0.5 %アンモニア水1mlを加えて密閉し、1時間放置す
る。密閉容器内の気体10mlを採取し、ホウ酸水溶液10ml
中にバブリングして吸収させる。インドフェノール法に
よりこの溶液中のアンモニア量を630μmの吸光度を測
定することにより算出する。
対照として、消臭性多孔質ポリマーを用いずに、同様の
操作を行い、アンモニア量を測定する。このときのアン
モニア量を100 %とし、上記消臭性多孔質ポリマーを用
いたときのアンモニア濃度を百分率で算出し、その減少
率を試験片のアンモニアの吸着率とする。
[イソ吉草酸に対する消臭試験] 350ml密閉容器に消臭性多孔質ポリマー20gを入れ、イ
ソ吉草酸5μlを加えて密閉し、50℃の恒温槽内で1時
間放置する。密閉容器内の気体1μlをとり、ガスクロ
マトグラフィー分析を行い、イソ吉草酸のピーク面積を
求める。
対照として消臭性多孔質ポリマーを入れずに、同様の操
作を行う。このときのイソ吉草酸のピーク面積を100 %
として上記消臭性多孔質ポリマーを用いたときのピーク
面積を算出し、その減少率を試験片のイソ吉草酸吸着率
とする。
実施例2 塩基触媒として、N,N-ジメチルベンジルアミンの代わり
にアンモニア水(28%)を用いたこと以外は実施例1と
同様である。実施例1とほぼ同等の微粒子状多孔質ポリ
マーが得られた。
実施例3 表2に示す成分の中のうち、エチルシリケートとエタノ
ールとを混合した。この溶液に該溶液が濁らないように
速度を調節しながら、表2に示す量の水を滴下した。こ
の混合液にアンモニアガスを吹き込んで、表2に示す量
のアンモニアが加えられるようにした。この混合液を噴
霧器を用いて10〜20nm程度の液滴として、プラスチック
製のフィルム状に散布した。このフィルムを30〜70℃程
度に加温して乾燥させると、該フィルム上に微粉末(多
孔質ポリマー)が残留した。この多孔質ポリマー微粒子
は、実施例1と同様の構造を有する多孔質粒子である。
この微粉末を集めて実施例1と同様に評価を行なった。
消臭効果を評価した結果を表3に示す。
比較例1 消臭性多孔質ポリマーの代わりに活性炭20gを使用した
こと以外は、同様にして、消臭効果を評価した。評価結
果を表3に示す。
実施例4 表4に示す成分を攪拌しながら混合してゾル状態の混合
液を得た。
次に、キュプラー布(62.6g/m2)を上記混合液に浸漬
した後、マングルに通した。この操作を2回繰返して組
成物を充分に含浸させた。次にこの布を5分間130 ℃で
乾燥させ、上記混合液の成分を固形分で11g/m2の割合
で含浸した布を得た。
乾燥後の布を15×20cmのサイズに裁断し、消臭性繊維材
料試験片を得た。これを多孔質ポリマーの代わりに用
い、実施例1の試験方法と同様にして、トリメチルアミ
ン、アンモニアおよびイソ吉草酸に対する消臭効果を評
価した。各試験において、対照として未処理の布を用い
た。評価結果を、後述の実施例5〜6、および比較例2
の結果とともに表5に示す。
実施例5 繊維材料としてポリエステル布(64.2g/m2)を用いた
こと以外は実施例4と同様にして消臭性繊維材料を調製
し、多孔性ポリマーが固形分で10g/m2割合で結合して
いる消臭性繊維材料を得た。得られた繊維材料の消臭効
果を評価した。評価結果を表5に示す。
実施例6 繊維材料として天竺木綿(138.9 g/m2)を用いたこと
以外は実施例1と同様にして、消臭性繊維材料を調製
し、多孔性ポリマーが固形分で22g/m2の割合で結合し
ている消臭性繊維材料を得た。得られた繊維材料の消臭
効果を評価した。評価結果を表5に示す。
比較例2 消臭性繊維材料の代わりに活性炭150 gを使用したこと
以外は、実施例4と同様である。評価結果を表5に示
す。
(発明の効果) 本発明の消臭性多孔質ポリマーは、このように優れた消
臭効果を有する。この消臭性ポリマーは、ゾル−ゲル法
により、短時間で容易に調製される。さらにこの消臭性
ポリマーを繊維、紙、プラスチック成形体、プラスチッ
クフィルム、木材などの材料に結合されることにより、
各種の消臭性製品が得られる。例えば、消臭性のカーテ
ン、じゅうたん、カーインテリア、靴の中敷、生理用
品、肌着などが容易かつ安価に提供され得る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機アルコキシドおよび金属アルコキシド
    でなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシド
    を、ゾル−ゲル法によって加水分解・重縮合させて得ら
    れる多孔質ポリマーであって、実質的に均一なサイズの
    微粒子またはその集合体の形状を有する 消臭性多孔質ポリマー。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の消臭性多孔質ポリマーの
    製造方法であって、 請求項1に記載のアルコキシドを、ゾル−ゲル法触媒を
    用いて加水分解・重縮合させて、実質的に均一なサイズ
    の微粒子またはその集合体の形状を有する多孔質ポリマ
    ーを得る工程、を包含する方法。
  3. 【請求項3】前記ゾル−ゲル法触媒が、塩基触媒である
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】繊維基材に、無機アルコキシドおよび金属
    アルコキシドでなる群から選択される少なくとも1種の
    アルコキシドと、シランカップリング剤とからゾル−ゲ
    ル法によって調製された消臭性多孔質ポリマーが物理的
    結合および化学的結合のうち少なくとも一種の結合状態
    により結合した消臭性繊維材料であって、 該多孔性ポリマーが殆んど均一な微粒子またはその集合
    体の形状を有する 消臭性繊維材料。
  5. 【請求項5】前記シランカップリング剤がエポキシ基を
    有する、請求項4に記載の消臭性繊維材料。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の消臭性繊維材料の製造方
    法であって、 請求項4に記載のアルコキシド、シランカップリング
    剤、ゾル−ゲル法触媒および溶媒を含有する多孔性ポリ
    マー形成用組成物をゾル状態で前記繊維基材に含浸させ
    る工程、および 含浸させた該組成物をゲル化させて多孔性ポリマーを形
    成させる工程、を包含する方法。
  7. 【請求項7】前記ゾル−ゲル法触媒が、酸触媒および塩
    基触媒を含有する請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記ゾル−ゲル法塩基触媒が水に実質的に
    不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンである請
    求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記シランカップリング剤がエポキシ基を
    有する、請求項6に記載の方法。
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