JPH0624364U - 発電機用固定子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】発電コイルからの引出線とワイヤハーネスの電
気コードとの接続部で断線が生じるのを防止する。 【構成】発電コイルからの引出線１とワイヤハーネスを
構成する電気コード２の芯線２ａとを圧着端子金具３に
より接続し、引出線１及び電気コード２の圧着端子金具
に近い部分と圧着端子金具３とに保護チューブ４を被せ
る。保護チューブ４の内側で圧着端子金具３を被覆する
内側チューブ１５を設け、保護チューブ４の少なくとも
一部を内側チューブ１５に密接させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関に取り付けられるフライホイール磁石発電機等の発電機に 用いる固定子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

フライホイール磁石発電機等の発電機の固定子は、固定子鉄心と、該固定子鉄 心に巻装された発電コイルとを備えていて、発電コイルから引出された複数の引 出線にそれぞれ電気コードが接続され、複数の引出線に接続された複数の電気コ ードはワイヤハーネスとして外部に導出される。図４は、発電コイルから引出さ れた引出線１とワイヤハーネスを構成する電気コード２との接続部の従来の構造 を示したもので、引出線１は例えば直径0.45mm程度の単線（絶縁被覆線）からな り、電気コード２は撚り線からなっている。引出線１の先端と電気コードの芯線 ２ａとは管状の圧着端子金具３内に挿入され、該圧着端子金具が圧縮変形されて 引出線１と電気コードの芯線２ａとが接続されている。圧着端子金具３と引出線 １及び電気コード２の圧着端子金具に近い部分とが絶縁樹脂からなる保護チュー ブ４内に挿入され、保護チューブ４により覆われた部分が、該保護チューブとと もに発電コイル（図４には図示せず。）の外周面に添わせて配置されて糸または バンド等により発電コイルに対して固定される。保護チューブ４により、引出線 １及び電気コード２の接続部と発電コイルとの間の絶縁が図られる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の発電機用固定子では、発電コイルからの引出線と電気コードとの接続部 が保護チューブ４により被覆されていたが、この保護チューブは、引出線１と電 気コード２との双方を挿入し得る内径を有している必要があるため、一般に保護 チューブ４の内径は圧着端子金具３の外径よりも大きくなり、圧着端子金具３と 保護チューブ４との間に隙間ｇが生じるのを避けられない。そのため圧着端子金 具４は、保護チューブ４内で引出線１及び電気コード２に対して変位し得る状態 に置かれることになり、発電機に内燃機関の振動が加わると、圧着端子金具４は 引出線及び電気コードとは異なる姿態で振動する。このように圧着端子金具と引 出線及び電気コードとが異なる姿態で振動すると、引出線１及び芯線２ａに応力 の集中が生じ、引出線または電気コードの芯線が疲労により断線するおそれがあ った。

【０００４】 本考案の目的は、保護チューブ内で圧着端子金具が振動するのを防止して、発 電コイルからの引出線及び電気コードが断線するおそれをなくした発電機用固定 子を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、固定子鉄心に巻装された発電コイルの端末から引出された引出線と ワイヤハーネスを構成する電気コードとを圧着端子金具により接続し、引出線及 び電気コードの圧着端子金具に近い部分と圧着端子金具とを絶縁性の保護チュー ブ内に挿入して引出線と電気コードとの接続部の絶縁を図った発電機用固定子に 係わるものである。

【０００６】 本考案においては、上記の目的を達成するため、保護チューブの内側で圧着端 子金具を被覆する内側チューブを設け、保護チューブの少なくとも一部を該内側 チューブに密接させるようにした。

【０００７】 尚ここで「密接」とは、保護チューブと内側チューブとの間に径方向の相対的 な変位が生じるのを阻止し得る状態で両チューブを接触させることを意味する。 保護チューブと内側チューブとの間に、周方向に不連続な僅かな隙間が離散的に 存在することは何等差支えない。

【０００８】 上記内側チューブとしては、加熱されたときに収縮する熱収縮チューブを用い ることができる。

【０００９】

【作用】

上記のように、保護チューブ内で圧着端子金具を被覆する内側チューブを設け て、保護チューブの少なくとも一部を内側チューブに密接させるようにすると、 保護チューブ内で圧着端子金具が振動するのを防ぐことができるため、外部振動 が加わった場合に、発電コイルからの引出線及びワイヤハーネスを構成する電気 コードの芯線が断線するのを防ぐことができる。

【００１０】

【実施例】

図１及び図２は本考案の実施例を示したもので、図１は発電コイルからの引出 線とワイヤハーネスの電気コードとの接続部の構造を示し、図２は固定子の要部 の構成を示している。

【００１１】 図２において１０は環状の継鉄部１１から多数の突極部１２を放射状に突出さ せた固定子鉄心で、各突極部１２にはボビン１３が取り付けられ、該ボビンに発 電コイル１４が巻回されている。発電コイル１４，１４，…は所定の相数の出力 を得るように結線されるとともに、外部に導出される発電コイルの端末部から引 出線１が引出されている。図１に示したように、各引出線１は、電気コード２の 芯線２ａとともに管状の圧着端子金具３内に挿入され、該圧着端子金具が圧縮変 形されて、引出線１と電気コードの芯線２ａとが相互に接続されている。

【００１２】 本実施例に置いても、引出線１及び電気コード２の圧着端子金具３に近い部分 と圧着端子金具３とが絶縁性の保護チューブ４内に挿入されるが、本考案におい ては、保護チューブ４の内側で圧着端子金具３に密着して該圧着端子金具を被覆 する内側チューブ１５が設けられ、保護チューブ４は該内側チューブ１５に密接 するように設けられている。保護チューブ４としては、ビニールチューブ等の弾 性を有する絶縁チューブを用いることができる。

【００１３】 内側チューブ１５及び保護チューブ４により被覆された引出線と電気コードと の接続部は、所定の発電コイル１４の外周面に添わせて配置されて、糸１６によ り縛り付けられて発電コイルに対して固定されている。糸１６に代えてバンドを 用いたり、クランプ具を用いたりすることもできる。

【００１４】 上記の固定子は、内燃機関のケース等に設けられた取付け部に固定され、固定 子鉄心の突極部１２，１２，…の先端に設けられた磁極部が、内燃機関の回転軸 に取り付けられたフライホイール磁石回転子の界磁極に所定のギャップを介して 対向させられる。

【００１５】 上記実施例のように、圧着端子金具３に内側チューブ１５を被せると、圧着端 子金具３と保護チューブ４との間に圧着端子金具の変位を許容するような隙間が 形成されるのを防ぐことができ、圧着端子金具３を保護チューブ内に固定するこ とができるため、引出線１と電気コード２と圧着端子金具３とを同じ振動系に置 くことができる。従って発電機に内燃機関の振動が加わった場合に、圧着端子金 具３と引出線１及び電気コード２とが同じように振動することになり、引出線及 び電気コードに応力の集中が生じることがないため、引出線及び電気コードが疲 労により断線するのを防止することができる。

【００１６】 上記の実施例では、内側チューブ１５としてビニールチューブ等の弾性を有す る絶縁チューブを用いるとしたが、図３に示すように内側チューブ１５として熱 収縮性チューブを用いてもよい。この実施例では、引出線１及び電気コード２の 圧着端子金具に近い部分と、圧着端子金具３とを被覆するように熱収縮性チュー ブを設け、該熱収縮性チューブを加熱収縮させることにより、引出線及び電気コ ードの圧着端子金具に近い部分と圧着端子金具とを被覆している。熱収縮チュー ブは収縮する際に圧着端子金具３のエッジ部等によりその一部が破られる恐れが あるので、熱収縮性チューブからなる内側チューブ１５の外側に更に保護チュー ブ４を被せて、絶縁を完全にする。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、保護チューブ内で圧着端子金具を被覆する内 側チューブを設けて、保護チューブの少なくとも一部を内側チューブに密接させ るようにしたので、保護チューブ内で圧着端子金具が振動するのを防ぐことがで き、外部振動が加わった場合に、発電コイルからの引出線及びワイヤハーネスを 構成する電気コードの芯線が断線するのを防ぐことができ、耐振性を向上させる ことができる利点がある。

【００１８】 また本考案によれば、発電コイルからの引出線とワイヤハーネスの電気コード との接続部を２重に被覆することになるため、絶縁性を向上させることができる 利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例における発電コイルの引出線と
ワイヤハーネスの電気コードとの接続部を示す断面図で
ある。

【図２】本考案の実施例の要部を示した正面図である。

【図３】本考案の他の実施例における引出線と電気コー
ドとの接続部を示した断面図である。

【図４】従来の発電機用固定子における引出線と電気コ
ードとの接続部を示した断面図である。

【符号の説明】

１ 発電コイルからの引出線 ２ ワイヤハーネスを構成する電気コード ３ 圧着端子金具 ４ 保護チューブ １５ 内側チューブ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定子鉄心に巻装された発電コイルの端
   末から引出された引出線とワイヤハーネスを構成する電
   気コードとが圧着端子金具により接続され、前記引出線
   及び電気コードの圧着端子金具に近い部分と前記圧着端
   子金具とが絶縁性の保護チューブ内に挿入されている発
   電機用固定子において、 前記保護チューブの内側で前記圧着端子金具を被覆する
   内側チューブが設けられ、 前記保護チューブは、その少なくとも一部が前記内側チ
   ューブに密接するように設けられていることを特徴とす
   る発電機用固定子。
2. 【請求項２】 前記内側チューブは熱収縮チューブから
   なっていることを特徴とする請求項１に記載の発電機用
   固定子。