JP3025079U - 磁石発電機用電機子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステータ鉄心に対して成形ボビンがフリーに
振動するのを防止できる磁石発電機用電機子を提供す
る。 【解決手段】 環状部１ａの外周に複数の突極１ｂを放
射状に突設したステータ鉄心１の各突極１ｂに樹脂製の
成形ボビン２をそれぞれ設ける。これら成形ボビン２に
はエキサイタコイル３ａ等の発電コイルをそれぞれ巻装
する。エキサイタコイル３ａを巻装する成形ボビン２の
各鍔部２ｂを設ける箇所で、ステータ鉄心１には表裏方
向に貫通する貫通孔１３をそれぞれ設け、成形ボビン２
の内面をこれら貫通孔１３に充填した成形樹脂１４によ
り連結する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、磁石発電機用電機子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図５及び図６は、従来のこの種の磁石発電機用電機子の構造を示したものであ る。この磁石発電機用電機子は、環状部１ａの外周に複数の突極１ｂが放射状に 突設されているステータ鉄心１を備え、各突極１ｂには成形ボビン２を介してエ キサイタコイル３ａや電源用コイル３ｂ〜３ｈ等の発電コイルがそれぞれ巻装さ れている。成形ボビン２は、突極１ｂの外周を覆う胴部２ａと、該胴部２ａの両 端の鍔部２ｂとを有して、ステータ鉄心１の各突極１ｂにインジェクション成形 で設けられている。エキサイタコイル３ａは内燃機関のコンデンサ放電式点火装 置のコンデンサ充放電用電源として使用されるものであり、線径は直径0.1 〜0. 2 mm程度の極めて細い銅線で形成されている。電源用コイル３ｂ〜３ｈは、例え ば、二輪車のヘッドライトやテールランプ等を点灯させたり、バッテリを充電さ せたりするのに使用されるものであり、線径は直径0.5 mm以上の比較的太い銅線 で形成されている。

【０００３】 この場合、エキサイタコイル３ａは、電源用コイル３ｂ〜３ｈとは独立して出 力させる必要があるので、エキサイタコイル３ａの引出し線４ａ，４ｂは発電出 力取出し用のワイヤーハーネス５の各リード線６ａ，６ｂにターミナル７ａ，７ ｂの箇所で半田付け接続されている。各リード線６ａ，６ｂはワイヤーハーネス ５の引出し口５ａまで配線する必要があり、そのためリード線６ａはコイル３ｃ ，３ｄ，３ｅを縫う形で配線され、リード線６ｂはコイル３ｇ，３ｆを縫う形で 配線されている。電源用コイル３ｂ〜３ｈは直列接続されて、その両端の引出し 線８ａ，８ｂは発電出力取出し用のワイヤーハーネス５の各リード線９ａ，９ｂ にターミナル１０ａ，１０ｂの箇所で半田付け接続されている。なお、１１は成 形ボビン２に一体成形で設けられていてワイヤーハーネス５を把持しているクラ ンプである。

【０００４】 このような磁石発電機用電機子は、内燃機関に取付けられ、該電機子の外周に は永久磁石を装着した回転子が配置され、該回転子が回転することにより各コイ ル３ａ〜３ｈに電圧が発生し、ワイヤーハーネス５を介して出力される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このような磁石発電機用電機子は、内燃機関のクランクケースや内 燃機関のカバー等に取付けられるため、内燃機関からの振動をダイレクトに受け る。

【０００６】 このように内燃機関からの振動をダイレクトに受けると、図７に矢印で示すよ うに成形ボビン２の鍔部２ｂが動き、ステータ鉄心１と成形ボビン２との間に隙 間１２があき、特にエキサイタコイル３ａのように細い銅線では、この振動で傷 ついたり、変形したりして、ついには断線することがある問題点があった。

【０００７】 また、成形ボビン２の振動により引出し線４ａ，４ｂに応力がかかり、該引出 し線４ａ，４ｂが疲労破断する場合があった。

【０００８】 本考案の目的は、鉄心に対して成形ボビンがフリーに振動するのを防止できる 磁石発電機用電機子を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、環状部の外周に複数の突極が放射状に突設されている鉄心の各突極 に樹脂製の成形ボビンが設けられ、各成形ボビンにはエキサイタコイル等の発電 コイルがそれぞれ巻装され、これら発電コイルの引出し線に発電出力取出し用の 各リード線が接続されている構造の磁石発電機用電機子を改良の対象にしている 。

【００１０】 本考案に係る磁石発電機用電機子においては、成形ボビンを設ける箇所で鉄心 には表裏方向に貫通する貫通孔が設けられ、成形ボビンの内面は貫通孔に充填さ れた成形樹脂により連結されていることを特徴とする。

【００１１】 このように鉄心の表裏方向に貫通する貫通孔に充填された成形樹脂により成形 ボビンの内面を連結すると、内燃機関の振動で鉄心が振動しても、成形ボビンは 鉄心に対してフリーに振動することがなくなる。このため、該成形ボビンに巻装 されている発電コイルやその引出し線が断線するのを防止できる。

【００１２】 また、貫通孔に成形樹脂を充填すると、成形ボビンの成形時に貫通孔に成形樹 脂を充填することができ、コストアップを可及的に回避して実施することができ る。

【００１３】 この場合、貫通孔は成形ボビンの各鍔部を設ける箇所に対応して鉄心にそれぞ れ設けることが好ましい。

【００１４】 このように、貫通孔を成形ボビンの各鍔部を設ける箇所に対応して鉄心にそれ ぞれ設けると、成形ボビンの一番振動し易い箇所である各鍔部を鉄心に固定でき るので、鉄心に対して成形ボビンがフリーに振動するのを確実に防止することが できる。

【００１５】 また、内面が鉄心の貫通孔に充填された成形樹脂により連結されている成形ボ ビンは、エキサイタコイルを巻装する成形ボビンであることが好ましい。

【００１６】 このようにエキサイタコイルを巻装する成形ボビンを鉄心の貫通孔に充填され た成形樹脂により連結すると、細い銅線からなるエキサイタコイルの断線を有効 に防止することができる。

【００１７】

【考案の実施の形態】 図１〜図４は、本考案に係る磁石発電機用電機子の実施の形態の一例を示した ものである。

【００１８】 本例の磁石発電機用電機子においては、エキサイタコイル３ａを巻装する成形 ボビン２を設ける箇所に対応して、本例では、該成形ボビン２の各鍔部２ｂを設 ける箇所に対応して、ステータ鉄心１の環状部１ａと突極１ｂには表裏方向に貫 通する複数の貫通孔１３がそれぞれ設けられ、成形ボビン２の内面はこれら貫通 孔１３に充填された成形樹脂１４により連結されている。

【００１９】 このようにエキサイタコイル３ａを巻装する成形ボビン２をステータ鉄心１の 貫通孔１３に充填された成形樹脂１４により連結すると、細い銅線からなるエキ サイタコイル３ａの断線を有効に防止することができる。

【００２０】 特に、貫通孔１３を成形ボビン２の各鍔部２ｂを設ける箇所に対応してステー タ鉄心１にそれぞれ設けると、成形ボビン２の一番振動し易い箇所である各鍔部 ２ｂをステータ鉄心１に固定できるので、ステータ鉄心１に対して成形ボビン２ がフリーに振動するのを確実に防止することができる。

【００２１】 なお、本例ではエキサイタコイル３ａを巻装する成形ボビン２をステータ鉄心 １の貫通孔１３に充填された成形樹脂１４により連結したが、必要に応じて他の 発電コイル３ｂ〜３ｈを巻装する成形ボビン２も同様にしてステータ鉄心１に固 定することができる。

【００２２】

【考案の効果】

本考案に係る磁石発電機用電機子においては、成形ボビンを設ける箇所で鉄心 には表裏方向に貫通する貫通孔を設け、成形ボビンの内面を該貫通孔に充填され た成形樹脂により連結しているので、内燃機関の振動で鉄心が振動しても、成形 ボビンは鉄心に対してフリーに振動することがなくなる。このため、該成形ボビ ンに巻装されている発電コイルやその引出し線が断線するのを防止することがで きる。

【００２３】 また、貫通孔に成形樹脂を充填すると、成形ボビンの成形時に貫通孔に成形樹 脂を充填することができ、コストアップを可及的に回避して実施することができ る。

【００２４】 特に、貫通孔は成形ボビンの各鍔部を設ける箇所に対応して鉄心にそれぞれ設 けると、成形ボビンの一番振動し易い箇所である各鍔部を鉄心に固定でき、この たる該鉄心に対して成形ボビンがフリーに振動するのを確実に防止することがで きる。

【００２５】 また、エキサイタコイルを巻装する成形ボビンを鉄心の貫通孔に充填された成 形樹脂により連結すると、細い銅線からなるエキサイタコイルの断線を有効に防 止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る磁石発電機用電機子の実施の形態
の一例を示す正面図である。

【図２】図１の横断面図である。

【図３】図１の背面図である。

【図４】図２の要部拡大図である。

【図５】従来の磁石発電機用電機子の正面図である。

【図６】図５の横断面図である。

【図７】従来の成形ボビンの振動状態を示す拡大説明図
である。

【符号の説明】

１ ステータ鉄心 １ａ 環状部 １ｂ 突極 ２ 成形ボビン ２ａ 胴部 ２ｂ 鍔部 ３ａ エキサイタコイル（発電コイル） ３ｂ〜３ｈ 電源用コイル（発電コイル） ４ａ，４ｂ 引出し線 ５ ワイヤーハーネス ６ａ，６ｂ リード線 ７ａ，７ｂ ターミナル ８ａ，８ｂ 引出し線 ９ａ，９ｂ リード線 １０ａ，１０ｂ ターミナル １１ クランプ １２ 隙間 １３ 貫通孔 １４ 成形樹脂

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状部の外周に複数の突極が放射状に突
   設されている鉄心の前記各突極に樹脂製の成形ボビンが
   設けられ、前記各成形ボビンにはエキサイタコイル等の
   発電コイルがそれぞれ巻装され、これら発電コイルの引
   出し線に発電出力取出し用の各リード線が接続されてい
   る磁石発電機用電機子において、 前記成形ボビンを設ける箇所で前記鉄心には表裏方向に
   貫通する貫通孔が設けられ、前記成形ボビンの内面は前
   記貫通孔に充填された成形樹脂により連結されているこ
   とを特徴とする磁石発電機用電機子。
2. 【請求項２】 前記貫通孔は前記成形ボビンの各鍔部を
   設ける箇所に対応して前記鉄心にそれぞれ設けられてい
   ることを特徴とする請求項１に記載の磁石発電機用電機
   子。
3. 【請求項３】 内面が前記鉄心の貫通孔に充填された成
   形樹脂により連結されている前記成形ボビンは、前記エ
   キサイタコイルを巻装する成形ボビンであることを特徴
   とする請求項１または２に記載の磁石発電機用電機子。