JPH0624238A - バッテリ温度制御装置 - Google Patents

バッテリ温度制御装置

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JPH0624238A
JPH0624238A JP4178233A JP17823392A JPH0624238A JP H0624238 A JPH0624238 A JP H0624238A JP 4178233 A JP4178233 A JP 4178233A JP 17823392 A JP17823392 A JP 17823392A JP H0624238 A JPH0624238 A JP H0624238A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 適正作動温度が常温付近のバッテリを用い
て、車内を暖房するとともに、バッテリ温度を最適作動
温度に制御する。 【構成】 バッテリ温度制御装置5は、バッテリ2と熱
交換するバッテリ保温槽7を備える。保温槽7内を流れ
る冷却水は、ラジエータ8内を流れ外気と熱交換して放
熱するとともに、ヒータコア9内を流れ車内に吹き出さ
れる空気と熱交換して放熱する。また、冷却水は、イン
バータ3やモータ4とも熱交換する。そして、制御回路
28は、バッテリ2の温度が低い時は、冷却水の循環路
を切り換えてインバータ3やモータ4の排熱によってバ
ッテリ2を加熱する。また制御回路28は、バッテリ2
の温度が高く、かつ暖房時は、冷却水の循環路を切り換
えてバッテリ2の熱およびインバータ3やモータ4の排
熱によって車内を暖房する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気自動車のバッテリ
を適正な温度範囲に制御するとともに、バッテリの排熱
を利用して車室内の暖房を行うバッテリ温度制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来技術として、SAEペーパー920
443号に開示された技術が知られている。この技術
は、バッテリの電力によって暖房装置を作動させるので
はなく、バッテリの排熱を室内暖房の熱源として利用す
るとともに、バッテリ自体の温度コントロールを行う技
術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】SAEペーパー920
443号に開示された技術では、使用されるバッテリと
して、高温作動型(約350℃に維持する必要がある)
であるNa−Sバッテリを使用しているため、バッテリ
自体が充分な暖房熱源となり得る反面、次の5つの問題
点を有していた。 (1) 使用されるNa−Sバッテリ自体の価格が高価であ
る。 (2) バッテリの作動温度が高いため、作動中は常時バッ
テリを冷却する必要がある。このため、バッテリを常時
冷却するためのポンプやファン等の冷却システムが必要
となるとともに、冷却システムを作動させるための消費
電力が必要になる。 (3) バッテリの作動温度が高いため、一端常温に戻ると
作動温度になるまでに長時間加熱する必要がある。この
ため、バッテリを加熱する例えばヒータの消費電力が大
きくなる。 (4) バッテリの作動温度が高いため、バッテリの放熱を
行う熱交換器を含めた配管系を耐熱材料で構成する必要
がある。このため、システム全体のコストが高くなる。 (5) バッテリの作動温度が高いため、事故発生時に高温
に対処する安全性を確保する必要があり、これによって
も、システム全体のコストが高くなる。 このように、安全面やコスト面では、高温作動型のバッ
テリではなく、作動温度が常温付近のバッテリを用いる
ことが好ましい。しかるに、作動温度が常温付近のバッ
テリでは、暖房熱源としては熱量が小さいため、暖房不
足を発生する可能性がある。また、作動温度が常温付近
のバッテリを使用する場合、寒冷地では、バッテリの温
度が低下して、バッテリ容量や出力が低下し、車両の走
向距離・加速性能が低下するため、作動温度が常温付近
のバッテリを使用する電気自動車実用化の大きな障害に
なっている。また、バッテリの温度を必要以上に上げて
しまうと、バッテリの寿命の低下を招いてしまう。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、最適作動温度が常温付近のバッテ
リの発生する熱を利用しながら車室内を充分に暖房する
とともに、バッテリの温度が常に最適作動温度となるよ
うに制御することによってバッテリの出力、容量、寿命
の低下を防ぐことのできるバッテリ温度制御装置の提供
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のバッテリ温度制
御装置は、車両を走行させるモータと、このモータに電
力を供給し、最適作動温度が常温付近のバッテリと、車
両の起動によって発熱する発熱部材と、前記バッテリの
発生する熱を車外に放熱するラジエータと、前記バッテ
リの発生する熱を車内に放熱するヒータコアと、前記バ
ッテリの温度を検出するバッテリ温度検出センサと、前
記バッテリの温度が適正範囲よりも低い時に、前記発熱
部材の発生する熱によって前記バッテリの加熱を行い、
車室内の非暖房時で、前記バッテリの温度が適正範囲よ
りも高い時に、前記バッテリの発生する熱を前記ラジエ
ータで車外に放熱させ、車内の暖房時で、前記バッテリ
の温度が適正範囲よりも高い時に、前記バッテリおよび
前記発熱部材の発生する熱を前記ヒータコアで放熱させ
る制御回路とを備える技術的手段を採用した。
【0006】
【発明の作用】外気温度の低下等によって、バッテリ温
度検出センサで検出されるバッテリの温度が低い場合
は、制御回路の働きによって、発熱部材の発生する熱に
よってバッテリが加熱される。これによって、バッテリ
の温度低下が抑えられ、バッテリ容量・出力の低下を抑
えることができる。また、モータ駆動等によってバッテ
リの温度が上昇し、バッテリ温度検出センサで検出され
るバッテリの温度が高い場合で、暖房を行っていない場
合は、制御回路の働きによって、バッテリの過剰な熱を
ラジエータで放熱する。これによって、バッテリの温度
上昇が抑えられ、バッテリ寿命の低下を抑えることがで
きる。さらに、バッテリ温度検出センサで検出されるバ
ッテリの温度が高い場合で、暖房を行っている場合は、
制御回路の働きによって、バッテリの過剰な熱と発熱部
材の発生する熱をヒータコアで放熱する。これによっ
て、バッテリの温度上昇が抑えられ、バッテリ寿命の低
下を抑えることができるとともに、室内の暖房を行うこ
とができる。
【0007】
【発明の効果】本発明のバッテリ温度制御装置は、上記
の作用で示したように、バッテリの温度が、発熱部材の
発生する熱(排熱)による加熱や、ラジエータおよびヒ
ータコアによる放熱によって、適正な温度範囲内に保た
れるため、バッテリ容量の低下による走向距離の低下
や、車両の出力低下を防ぐことができる。また、バッテ
リに最適作動温度が常温付近のバッテリを使用するた
め、従来技術に開示した高温作動型の有する不具合(常
時冷却する必要がある、作動温度に達するまで時間がか
かる、耐熱性材料で構成する必要がある等)を解消する
ことができる。さらに、バッテリに最適作動温度が常温
付近のバッテリを使用するが、暖房時に、バッテリの放
熱による暖房の他に、発熱部材の発生する熱を利用して
暖房するため、最適作動温度が常温付近のバッテリの放
熱のみによる暖房不足を解消することができる。
【0008】
【実施例】次に、本発明のバッテリ温度制御装置を、図
に示す一実施例に基づき説明する。 〔実施例の構成〕図1ないし図12は本発明の第1実施
例を示すもので、図1はバッテリ温度制御装置の概略構
成図である。電気自動車は、車両1に搭載するバッテリ
2の電力をインバータ3によって制御してモータ4に与
え、モータ4の発生する動力によって車両1を走行させ
るものである。この電気自動車には、バッテリ2の温度
を適正な範囲に保つバッテリ温度制御装置5が搭載され
ている。本実施例のバッテリ温度制御装置5は、本発明
の発熱部材としてのインバータ3およびモータ4の温度
の上昇を抑える機能も備える。なお、本実施例に使用さ
れるバッテリ2は、最適作動温度が常温付近(20〜7
5℃)の鉛蓄電池(Pb−酸電池)である。なお、最適
作動温度とは、バッテリ2の主要特性である出力、容
量、寿命等を考慮した上で最適と判断される温度であ
る。そして、本実施例に使用した鉛蓄電池は、図2の温
度と寿命の相関関係グラフに示すように、20〜75℃
の範囲内では高寿命であるが、その範囲外では寿命が著
しく低下する。そして、図3の出力と温度の相関関係グ
ラフ、および図4の容量と温度の相関関係グラフに示す
ように、最低使用温度を20℃以上に設定することで、
出力的な低下、および容量の低下を発生しない。また、
最適作動温度を本実施例では20〜75℃とするもう1
つの理由を次に述べる。熱を持ったバッテリ2を冷却す
る冷熱源としては、後述するように外気が用いられる。
この外気の温度は、夏場では高温(約35℃)であるた
め、バッテリ2をあまり冷却することができず、その結
果からも、最適作動温度の上限を75℃とするのが適切
である。同様に、鉛蓄電池など最適作動温度が常温付近
のバッテリ2は、バッテリ2自体の発生する熱はそれほ
ど高くない。また、発熱部材(インバータ3、モータ
4)の発生する熱もそれほど高くない。これらを考慮す
ると、冬場(外気温−20〜0℃)で用いたときには、
最適作動温度の下限を20℃とするのが適切である。
【0009】バッテリ温度制御装置5は、バッテリ2を
冷却、加熱するための循環水路6を備える。この循環水
路6は、バッテリ2の側面および底面を覆うバッテリ保
温槽7の内部の冷却水を車外空気(外気)と熱交換する
ラジエータ8、あるいは車内空気と熱交換するヒータコ
ア9へ循環させるもので、インバータ3およびモータ4
にも循環可能に設けられている。そして、この循環水路
6は、各種循環経路が形成できるように設けられ、各分
岐路には、冷却水の流れ方向を切り替える電磁弁10〜
17が設けられている。また、循環水路6には、保温槽
7の冷却水を循環させる第1電動ポンプ18が設けられ
るとともに、インバータ3およびモータ4の冷却水を循
環させる第2電動ポンプ19が設けられている。なお、
ラジエータ8は、ラジエータ8を流れる冷却水と外気と
を強制的に熱交換させるラジエータファン20を備え
る。また、ラジエータ8は、車両前部に設けられ、車両
走行による空気流によって冷却水が冷却されるように設
けられている。ヒータコア9は、空気調和装置の図示し
ないダクト内に設けられ、ダクト内の空気を室内に吹き
出すためのヒータファン21の作動によって、室内へ吹
き出される空気と冷却水とが強制的に熱交換される。
【0010】バッテリ温度制御装置5は、バッテリ2を
加熱するための電気ヒータ22を備える。この電気ヒー
タ22は、バッテリ保温槽7の内部に設けられ、電気ヒ
ータ22が発熱することにより、バッテリ保温槽7内の
冷却水を加熱してバッテリ2を加熱するように設けられ
ている。
【0011】バッテリ保温槽7は、バッテリ2と冷却水
とを熱交換するもので、図5に示すように、バッテリ2
を収容する容器体23と、この容器体23をOリング2
4およびマウントゴム25を介して収容するジャケット
26とからなり、容器体23とジャケット26との間に
冷却水が収容される。なお、バッテリ2と容器体23と
の間には、高熱伝導性のグリス27が配されている。
【0012】バッテリ温度制御装置5は、図6に示す制
御回路28によって制御される。制御回路28は、マイ
クロコンピュータを使用したもので、各種入力信号に応
じて、電磁弁10〜17、第1、第2電動ポンプ18、
19、ラジエータファン20、ヒータファン21、電気
ヒータ22の通電制御を行う。制御回路28には、上記
機能部品を通電制御するために、イグニッションのON-O
FFを検出するイグニッションセンサ29、バッテリ2が
充電されているか否かを検出する充電センサ30、車両
走行速度を検出する車速センサ31、バッテリ2の温度
を検出するバッテリ温度センサ32、車内の温度を検出
する車内温度検出センサ33、モータ4の温度を検出す
るモータ温度センサ34、インバータ3の温度を検出す
るインバータ温度センサ35等の各種センサが接続され
ている。
【0013】〔実施例の作動〕制御回路28にプログラ
ムされたバッテリ温度制御装置5の制御の一例を、図7
および図8のフローチャートを用いて説明する。初めに
(スタート)、イグニッションがONか否かの判断を行い
(ステップS1)、OFF の時はバッテリ2が外部電源
(例えば深夜電力)によって充電中であるか否かの判断
を行う(ステップS2 )。充電中でない場合、つまり休
止時の時は、再びステップS1 へ戻る。ステップS2 の
判断結果が充電中の場合は、バッテリ2の温度が適正範
囲(例えば、鉛畜電池の最適作動範囲である20〜75
℃の範囲)よりも高いか、適正範囲内か、低いかの判断
を行う(ステップS3 )。適正範囲内であればステップ
S1 へ戻る。適正範囲よりも低い場合は、図9に示すよ
うに、外部電源によって電気ヒータ22をONしてバッテ
リ2の温度を上昇させ(ステップS4 )、その後ステッ
プS1 へ戻る。適正範囲よりも高い場合は、車内の温度
が最適温度範囲(例えば20〜25℃)より低いか否か
の判断を行う(ステップS5 )。適温または高い場合
は、図10に示すように、バッテリ2の冷却回路を開
き、第1電動ポンプ18をONし、ラジエータファン20
をONし(ステップS6 )、その後、ステップS1 へ戻
る。適温よりも低い場合は、図11に示すように、バッ
テリ2暖房回路を開き、第1電動ポンプ18をONし、ヒ
ータファン21をONし(ステップS7 )、その後、ステ
ップS1 へ戻る。
【0014】ステップS1 の判断結果により、イグニッ
ションがONの場合、車速がゼロか否かの判断を行う(ス
テップS8 )。車速がゼロの場合は、バッテリ2の温度
が適正範囲よりも低いか否かの判断を行う(ステップS
9 )。適正範囲よりも低い場合は、図9に示すように、
電気ヒータ22をONしてバッテリ2の温度を上昇させ
(ステップS10)、その後ステップS1 へ戻る。適温お
よび高い場合は、車内の温度が最適温度範囲より低いか
否かの判断を行う(ステップS11)。適温または高い場
合は、図10に示すように、バッテリ2の冷却回路を開
き、第1電動ポンプ18をONし、ラジエータファン20
をONし(ステップS12)、その後、ステップS1 へ戻
る。適温よりも低い場合は、図11に示すように、バッ
テリ2暖房回路を開き、第1電動ポンプ18をONし、ヒ
ータファン21をONし(ステップS13)、その後、ステ
ップS1 へ戻る。
【0015】ステップS8 の判断結果により、車速がゼ
ロ以外の場合(走行中)は、バッテリ2の温度が適正範
囲よりも高いか、適正範囲内か、低いかの判断を行う
(ステップS14)。適正範囲内であればステップS1 へ
戻る。適正範囲よりも高い場合は、車内の温度が最適温
度範囲より低いか否かの判断を行う(ステップS15)。
適温または高い場合は、モータ4、インバータ3の温度
が最適温度範囲(例えば40〜80℃)よりも高いか否
かの判断を行う(ステップS16)。高い場合は、図12
に示すように、バッテリ2の冷却回路を開き、モータ
4、インバータ3の冷却回路を開き、第1、第2電動ポ
ンプ18、19をONし、ラジエータファン20をONし
(ステップS17)、その後、ステップS1 へ戻る。モー
タ4、インバータ3の温度が適温または低い場合は、図
10に示すように、バッテリ2の冷却回路を開き、第1
電動ポンプ18をONし、ラジエータファン20をONし
(ステップS18)、その後、ステップS1 へ戻る。ステ
ップS15の判断結果により、車内温度が適温よりも低い
場合は、モータ4、インバータ3の温度が最適温度範囲
よりも高いか否かの判断を行う(ステップS19)。高い
場合は、図13に示すように、バッテリ2の冷却回路を
開き、モータ4、インバータ3の暖房回路を開き、第
1、第2電動ポンプ18、19をONし、ヒータファン2
1をONし(ステップS20)、その後、ステップS1 へ戻
る。モータ4、インバータ3の温度が適温または低い場
合は、図11に示すように、バッテリ2暖房回路を開
き、第1電動ポンプ18をONし、ヒータファン21をON
し(ステップS21)、その後、ステップS1 へ戻る。
【0016】ステップS14の判断結果により、バッテリ
2の温度が適正範囲よりも低い場合は、車内の温度が最
適温度範囲より高いか否かの判断を行う(ステップS2
2)。高い場合は、モータ4、インバータ3の温度が最
適温度範囲よりも低いか否かの判断を行う(ステップS
23)。適温または高い場合は、図14に示すように、バ
ッテリ2の加熱回路を開き、第1電動ポンプ18をONし
(ステップS24)、その後、ステップS1 へ戻る。モー
タ4、インバータ3の温度が適温よりも低い場合は、そ
のままステップS1 へ戻る。ステップS22の判断結果に
より、車内温度が適温または低い場合は、モータ4、イ
ンバータ3の温度が最適温度範囲よりも低いか否かの判
断を行う(ステップS25)。適温または高い場合は、図
15に示すように、バッテリ2の加熱回路を開き、モー
タ4、インバータ3の暖房回路を開き、第1、第2電動
ポンプ18、19をONし、ヒータファン21をONし(ス
テップS26)、その後、ステップS1へ戻る。モータ
4、インバータ3の温度が適温よりも低い場合は、その
ままステップS1 へ戻る。
【0017】〔実施例の効果〕冬期など、充電時にバッ
テリ2の温度が適正温度よりも低い時は、電気ヒータ2
2で加熱されるため、充電時間を短縮することができ
る。また、夏期など、充電時間にバッテリ2の温度が適
正温度よりも高い時は、ラジエータ8で冷却されるた
め、同様に、充電時間を短縮することができる。始動時
に、バッテリ2の温度が適正温度よりも低い時も、電気
ヒータ22で加熱されるため、バッテリ容量の減少を防
ぐことができ、モータ4出力の低下を防ぐとともに、走
向距離の低下を抑えることができる。また、始動時にバ
ッテリ2の温度が適正温度よりも高い時は、ラジエータ
8で冷却されるため、バッテリ寿命の低下を防ぐことが
できる。充電時、冬期などで車内の温度が低い場合に、
充電によってバッテリ2の温度が適正温度よりも上昇す
ると、バッテリ2の熱で車内が加熱されるため、乗員が
車両1に乗車した時に、車内が適温に暖房されている。
また、充電完了時点でバッテリ2が適温に保温、蓄熱さ
れているため、本実施例では始動時に、乗員の必要に応
じて急速暖房を行うことができる。さらに、車両走行
時、冬期などで車内の温度が低い場合に、バッテリ2の
温度が適正温度よりも上昇すると、バッテリ2の熱で車
内が加熱されるため、暖房のための電力が不要、もしく
は著しく低減できる。同様に、車内の温度が低い場合
に、インバータ3やモータ4の温度が上昇すると、イン
バータ3やモータ4の熱でも車内が加熱されるため、寒
冷地等においてバッテリ2のみによる暖房不足を補うこ
とができるとともに、暖房のための電力が不要、もしく
は著しく低減できる。これにより、暖房に消費する電力
を減らすことができ、暖房によるバッテリ2の電力低下
が抑えられる。この結果、さらに車両走行距離を延ばす
ことができる。車両走行時にバッテリ2を加熱する場合
に、電気ヒータ22を利用せずに、モータ4やインバー
タ3の放出する熱を利用しているため、バッテリ2の電
力低下が抑えられる。制御回路28によって自動的にバ
ッテリ2の温度が適正範囲内になるように制御されるた
め、バッテリ2の適温維持が可能となり、バッテリ2の
寿命を大幅に延ばすことができる。インバータ3やモー
タ4が適温に冷却されるため、インバータ3やモータ4
の性能を高く維持することができるとともに、インバー
タ3やモータ4の寿命を延ばすことができる。バッテリ
2に、最適作動温度が常温付近の鉛蓄電池を使用するた
め、使用するバッテリ2のコストを抑えることができ
る。バッテリの作動温度が常温付近であるため、作動中
に常時バッテリを冷却する必要がない。このため、バッ
テリに高温作動型を使用した場合に比較して、冷却シス
テムを作動させるための消費電力が大幅に減少する。バ
ッテリの作動温度が常温付近であるため、一端車両を停
止するなど、バッテリ2の温度が環境温度に戻っても、
作動温度になるまでに少ない時間ですむ。バッテリの作
動温度が常温付近であるため、バッテリ2の放熱を行う
冷却系の配管系を耐熱材料で構成する必要がなく、コス
トを抑えることができる。バッテリの作動温度が常温付
近であるため、事故発生時に高温に対処する安全性確保
のコストを低く抑えることができる。
【0018】〔第2実施例〕図16はバッテリ保温槽7
の断面図を示す。本実施例のバッテリ保温槽7は、容器
体23とジャケット26とを一体化したものである。
【0019】〔第3実施例〕図17はバッテリ保温槽7
の断面図を示す。本実施例のバッテリ保温槽7は、容器
体(第1実施例参照)を廃止し、ジャケット26でバッ
テリ2を収容するものである。
【0020】〔第4実施例〕図18はバッテリ保温槽7
の断面図を示す。本実施例のバッテリ保温槽7は、容器
体23の冷却水が配される側に、熱交換を促進するため
のフィン36を多数設けたものである。
【0021】〔第5実施例〕図19はバッテリ保温槽7
の断面図を示す。本実施例は、バッテリ2をセル37毎
に分離し、各セル37の間に冷却水が流れるように設
け、熱交換を促進させるものである。
【0022】〔第6実施例〕図20は回生ブレーキシス
テムを採用したバッテリ温度制御装置の概略構成図であ
る。本実施例は、車両の制動時に、制動エネルギーを電
力に変換する回生ブレーキシステム38を搭載するもの
である。本実施例の回生ブレーキシステム38の発生す
る電力は、充電センサ30によるバッテリ2の充電状態
がフル状態で、かつバッテリ2の温度が適正温度よりも
低い場合、切替リレー39によって電気ヒータ22を通
電してバッテリ2を加熱する。また、バッテリ2の充電
状態がフル状態で、かつバッテリ2の温度が適正温度、
もしくは適正温度よりも高い場合、切替リレー39によ
ってバッテリ2および電気ヒータ22のどちらも通電し
ないようにする。バッテリ2の充電状態がフル状態でな
い場合、回生ブレーキシステム38の発生する電力は、
切替リレー39によってバッテリ2に通電され、バッテ
リ2を充電する。
【0023】〔変形例〕上記の実施例では、車内の温度
が低下すると、自動的に暖房を開始するように設けた
が、手動操作によって暖房を開始するように設けても良
い。バッテリの温度が適正範囲内の場合(適正範囲の上
限に達していない場合)でも、バッテリの熱で暖房を行
うように設けても良い。また、バッテリの温度が適正範
囲内の場合(適正範囲の上限に達していない場合)で
も、バッテリに熱を蓄える目的で、発熱部材の熱でバッ
テリを加熱するように設けても良い。冷却水に代えてオ
イルを用いても良い。バッテリの一例として、Pb−酸
電池である鉛蓄電池を例に示したが、Ni−Cd電池、
Al−空気電池、Fe−空気電池、常温型Li電池、N
i−Zn電池、Ni−Fe電池、Zn−Br電池など作
動温度が常温付近の他のバッテリを適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】バッテリ温度制御装置の概略構成図である(第
1実施例)。
【図2】バッテリの寿命と温度との相関関係を示すグラ
フである(第1実施例)。
【図3】バッテリの出力と温度との相関関係を示すグラ
フである(第1実施例)。
【図4】バッテリの容量と温度との相関関係を示すグラ
フである(第1実施例)。
【図5】バッテリ保温槽の断面図である(第1実施
例)。
【図6】制御回路のブロック図である(第1実施例)。
【図7】バッテリ温度制御装置の作動説明図である(第
1実施例)。
【図8】バッテリ温度制御装置の作動説明図である(第
1実施例)。
【図9】バッテリ温度制御装置の作動説明図である(第
1実施例)。
【図10】バッテリ温度制御装置の作動説明図である
(第1実施例)。
【図11】バッテリ温度制御装置の作動説明図である
(第1実施例)。
【図12】バッテリ温度制御装置の作動説明図である
(第1実施例)。
【図13】バッテリ温度制御装置の作動説明図である
(第1実施例)。
【図14】バッテリ温度制御装置の作動説明図である
(第1実施例)。
【図15】バッテリ温度制御装置の作動説明図である
(第1実施例)。
【図16】バッテリ保温槽の断面図である(第2実施
例)。
【図17】バッテリ保温槽の断面図である(第3実施
例)。
【図18】バッテリ保温槽の断面図である(第4実施
例)。
【図19】バッテリ保温槽の断面図である(第5実施
例)。
【図20】回生ブレーキシステムを採用したバッテリ温
度制御装置の概略構成図である(第6実施例)。
【符号の説明】
1 車両 2 バッテリ 4 モータ 5 バッテリ温度制御装置 8 ラジエータ 9 ヒータコア 22 電気ヒータ 28 制御回路 32 バッテリ温度センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 車両を走行させるモータと、 (b) このモータに電力を供給し、最適作動温度が常温付
    近のバッテリと、 (c) 車両の起動によって発熱する発熱部材と、 (d) 前記バッテリの発生する熱を車外に放熱するラジエ
    ータと、 (e) 前記バッテリの発生する熱を車内に放熱するヒータ
    コアと、 (f) 前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出セ
    ンサと、 (g)(g-1)前記バッテリの温度が適正範囲よりも低い時
    に、前記発熱部材の発生する熱によって前記バッテリの
    加熱を行い、 (g-2) 車室内の非暖房時で、前記バッテリの温度が適正
    範囲よりも高い時に、前記バッテリの発生する熱を前記
    ラジエータで車外に放熱させ、 (g-3) 車内の暖房時で、前記バッテリの温度が適正範囲
    よりも高い時に、前記バッテリおよび前記発熱部材の発
    生する熱を前記ヒータコアで放熱させる制御回路とを備
    えるバッテリ温度制御装置。
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