JPH06239611A - 重質珪酸カルシウム水和物2次粒子および珪酸カルシウム水和物2次粒子の製造方法 - Google Patents

重質珪酸カルシウム水和物2次粒子および珪酸カルシウム水和物2次粒子の製造方法

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JPH06239611A
JPH06239611A JP5135993A JP5135993A JPH06239611A JP H06239611 A JPH06239611 A JP H06239611A JP 5135993 A JP5135993 A JP 5135993A JP 5135993 A JP5135993 A JP 5135993A JP H06239611 A JPH06239611 A JP H06239611A
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calcium silicate
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apparent specific
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silicate hydrate
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Shingo Ito
信吾 伊藤
Yoshimi Goto
義己 後藤
Kazushige Iwata
一茂 岩田
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Yahashi Kogyo KK
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    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B33/00Silicon; Compounds thereof
    • C01B33/20Silicates
    • C01B33/24Alkaline-earth metal silicates

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 珪酸質原料と石灰質原料とからなり、粒子径
5〜2000μm、平均見掛け比重0.25〜1.2g
/cm3 の混合造粒物を調製したのち、得られた混合造
粒物の水性スラリーを、撹拌しながら加熱加圧下に水熱
合成して、1次粒子が多数交絡して形成された2次粒子
であって、2次粒子内部はほぼ均質な多孔構造を有し、
粒子径が5〜2000μmであり、平均見掛け比重が
0.25〜1.2g/cm3 、平均圧潰強度1g/ケ以
上、粉体安息角20度以下の珪酸カルシウムに変換する
ことを特徴とする珪酸カルシウム水和物2次粒子の製造
方法。 【効果】 平均見掛け比重が大きく、小さな吸水量と大
きな平均圧潰強度を実現でき、混練時の破壊や吹付け後
の抱水脱落や乾燥収縮を防止して、軽量化プラスチック
用充填材や吹付け耐火被覆材などの用途に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧潰強度に優れた重質
珪酸カルシウム水和物2次粒子およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】珪酸カルシウム水和物2次粒子は、軽量
性、不燃性、耐熱性、気硬性等の特性を具え、不燃ボー
ド、耐火被覆ボードならびに吹付耐火被覆材等の建材を
始めとして、軽量耐火断熱塗料、制振塗料、コーキング
等の改質充填剤、あるいは各種ゴム、プラスチック製品
の改質補強剤等に用いられている。珪酸質原料と石灰質
原料を混合して水熱合成反応を行ない、軽量性、耐火性
および気硬性を有する珪酸カルシウム水和物2次粒子を
得る方法としては、原則として湿式法と乾式法とがあ
る。
【0003】湿式法は原料に対して過剰の水を加えるも
ので、水性スラリーに動的運動を与えながら反応を進行
させる湿式撹拌法(米国特許第2,665,996号明
細書、特公昭45−25771号公報等)と、含水混合
粉粒体ないし含水成形物を静置させて反応を進める湿式
静置法とがあり、日本で現在工業化されている方法は総
て湿式法の範疇に入る。
【0004】これに対し乾式法(ドイツ特許第1918
219号、特開昭56−78465号公報)は、オート
クレーブ処理に際し、原料に水を加えない方法である。
蒸気加熱の場合は全く水を加えなくともよく、水蒸気中
で反応することになるが、実際には水蒸気が凝縮して生
じた熱水を媒体とする反応が重要な役割を荷うものと考
えられる。いずれにしろ、乾式法は、湿式法に比べて省
エネルギー型で低コスト化が可能になると予想され、理
論上は理想的な製法といえる。しかし現実には、乾式法
で前述の特性の優れた珪酸カルシウム水和物2次粒子を
10〜20m3の大型オートクレーブで工業的に量産し
ようとすると、オートクレーブ内壁および撹拌部への反
応生成物の付着や反応の不均一性などの問題が生じ、品
質の良好なものを低コストで製造するのは至難である。
したがって、乾式法は国内では工業化されていない。
【0005】一方、湿式静置法は、撹拌法よりも少量の
水分、通常混合原料重量の30〜150%程度で水熱合
成反応が進行し、石綿珪酸カルシウム板や発泡軽量気泡
コンクリートの製造等に利用されている。しかし湿式静
置法は、反応物全体が一つの結合体として得られるの
で、気硬性を有する重質珪酸カルシウム水和物2次粒子
の製造には不向きであり、しかも、原料のオートクレー
ブへの挿入、反応物の容器からの取出し、粗粉砕等の各
工程の自動化も困難である。
【0006】その点、湿式撹拌法は前述の総ての方法の
問題点を解決でき、物性的にも優れた製品が得られる。
但し、従来は一般的に湿式撹拌法は、得られた珪酸カル
シウム水和物2次粒子スラリーに補強繊維等を加え、脱
水成形後に乾燥して、見掛け比重が0.1〜0.5g/
cm3の保温材、耐火被覆材等を製造する技術として発
展してきたため、得られる珪酸カルシウム水和物2次粒
子は見掛け比重0.06〜0.20g/cm3、平均圧
潰強度約1g/ケ以下で、DOP吸油量も300〜13
00ml/100gと大きいものであった。
【0007】しかし、珪酸カルシウム水和物2次粒子を
ほぐすことなしに、そのまま軽量フィラーや吹付け耐火
被覆材として使用する場合は、圧潰強度が小さいと混練
時に2次粒子が破壊されやすく、また、吸水量が大きす
ぎると吹付材では抱水脱落および乾燥収縮等を十分に防
止できないという問題があった。
【0008】また、従来の湿式撹拌法では、米国特許第
2,665,996号明細書にも記載されているよう
に、珪酸カルシウム水和物2次粒子の凝集塊を含まぬス
ラリーを得るためには混合原料に対して9重量倍以上の
水(以下、水比9と呼ぶ)、好ましくは18で水熱反応
を進行させることを示唆している。これは、混合原料の
水性スラリーがオートクレーブの底や内壁に付着しない
ようにするためには、撹拌羽根の形状や回転数を最小に
するなどの撹拌効果の工夫や出発原料の粗粒子化によっ
ても、水比を5以下に下げることが不可能であると考え
られていたからである。水熱合成で得られる10〜20
0μm程度の珪酸カルシウム水和物2次粒子は多孔質で
あるため、2次粒子内および2次粒子間に入り込む水の
量が多くなり、得られる珪酸カルシウム水和物2次粒子
のスラリーがオカラ状となり、オートクレーブからの排
出が不可能となるためである。
【0009】したがって、特公昭45−25771号公
報に記載されている水比5という下限の水比5では、反
応終了後に内圧を常圧まで戻してのスラリーとしての排
出はオカラ状になり、実質上凝集塊を含まぬスラリーで
珪酸カルシウム水和物2次粒子を得るのは不可能であ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、平均圧潰強
度が大きく吸水量が少ない珪酸カルシウム水和物2次粒
子、およびそのような重質粒子も含めて珪酸カルシウム
水和物2次粒子の製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の重質珪酸カルシ
ウム水和物2次粒子は、珪酸カルシウム水和物の1次粒
子が多数交絡して形成された2次粒子であって、2次粒
子内部はほぼ均質な多孔構造を有し、粒子径が5〜20
00μであり、平均見掛け比重が0.25〜1.2g/
cm3 、平均圧潰強度1g/ケ以上、粉体安息角20度
以下であることを特徴とする。
【0012】本発明の珪酸カルシウム水和物2次粒子の
製造方法は、珪酸質原料と石灰質原料とからなる混合造
粒物を調製したのち、得られた混合造粒物の水性スラリ
ーを、動的運動を与えながら加熱加圧下に水熱合成して
珪酸カルシウム水和物2次粒子に変換することを特徴と
する。ここで、混合造粒物として、粒径5〜2000μ
m、平均見掛け比重0.25〜1.2g/cm3 造粒物
を用いると、上記の本発明の重質珪酸カルシウム水和物
2次粒子を得ることができる。
【0013】
【発明の実施態様】本発明者らは、まず、重質珪酸カル
シウム水和物2次粒子において、その粒子径、見掛け比
重、性状に着目し、一次粒子を多数結合させて内部がほ
ぼ均質な多孔構造を有する2次粒子とし、その粒子径を
5〜2000μm、平均見掛け比重を0.25〜1.2
g/cm3 とすることにより、平均圧潰強度を向上さ
せ、吸水性を低下させた。好ましくは、2次粒子径は2
0〜500μmであり、平均見掛け比重は0.25〜
0.90g/cm3 である。また、平均圧潰強度は1g
/ケ以上、粉体安息角は20度以下である。
【0014】このように高嵩密度な珪酸カルシウム水和
物2次粒子は、従来は湿式撹拌法によっては製造できな
いと考えられていたが、予め珪酸原料と石灰質原料とを
混合して混合造粒物とし、この混合造粒物をスラリーと
して水熱合成し珪酸カルシウムに変換することにより製
造が可能となった。
【0015】原料である珪酸質原料としては、従来公知
のものを用いることができ、珪石、珪藻土、フライアッ
シュ、高炉水砕スラグ、シリカフラワー、ホワイトカー
ボンなどが例示できる。また、石灰質原料としては、生
石灰、消石灰、セメント、製鋼スラグ、非鉄製練スラグ
などが使用できる。
【0016】本発明では、まず、珪酸質原料と石灰質原
料とを造粒して混合造粒物を得る。混合造粒物を製造す
る最も簡単な方法は、所定量の珪酸質原料と石灰質原料
とから濃度10〜60重量%の混合水性スラリーを調製
し、これをスプレードライヤー、気流乾燥器、ロータリ
ードライヤー等で造粒乾燥して、5〜2000μm、好
ましくは20〜500μmの粒度に調整する。混合造粒
物の粒度は、製品の用途およびオートクレーブ中での撹
拌時の堆積防止を勘案すると、5〜2000μmが推奨
される。
【0017】また、強固な混合造粒物を製造すること目
的として、混合スラリー中に、セメント、樹脂エマルジ
ョン等の結合剤を添加することもできる。この場合、結
合剤の添加量は、混合原料重量の0.2〜2重量%が好
適である。
【0018】混合造粒物の平均見掛け比重は、0.25
〜1.2g/cm3 、好ましくは0.50〜0.90g
/cm3とする。見掛け比重が1.2g/cm3を超える
と混合造粒物が緻密になりすぎて未反応SiO2 が残留
しやすくなり、トベルモライト、ゾノトライト等の結晶
性の高い反応生成物を、通常の工業化条件である185
〜203℃、4〜6時間の水熱反応条件では合成すのが
困難となる。一方、混合造粒物の平均見掛け比重が0.
25g/cm3 未満となると、水熱反応で得られる珪酸
カルシウム水和物2次粒子の平均見掛け比重が小さくな
り、平均圧潰強度が低下し、吸水性が大きくなる。
【0019】混合造粒物の平均見掛け比重は、造粒時の
スラリー濃度、珪酸質原料の種類および粒度、石灰スラ
リーの沈降体積および乾燥時の造粒物の収縮を抑えるた
めの水の表面張力低下剤等を適宜選択することで調整す
ることができる。例えば、平均見掛け比重0.29g/
cm3 の軽質造粒物はシリカフラワーと生石灰を60〜
95℃で水和させた石灰乳をホモミキサー等でクリーム
状にした高沈降体積石灰スラリーを使用し、フッ素系界
面活性剤とアクリルエマルジョンを添加して噴霧乾燥造
粒すればよい。
【0020】平均見掛け比重1.2g/cm3 の重質造
粒物は珪石微粉末と消石灰との混合スラリーの濃度を、
必要に応じ分散剤を添加して40〜70重量%にするこ
とにより容易に得られる。但し、平均見掛け比重0.2
5g/cm3 程度の重質珪酸カルシウム水和物2次粒子
を得る場合、必ずしも前述のように軽質造粒物を崩壊さ
せずに水熱合成して得る以外に、通常の珪酸微粉末と消
石灰とから造った平均見掛け比重0.5〜0.9g/c
3 の混合造粒物の強度を予め小さくして置き、水熱合
成時の動的運動で混合造粒物をある程度崩壊・再凝集さ
せることで所望平均見掛け比重の重質珪酸カルシウム水
和物2次粒子を容易に得ることができる。
【0021】ついで本発明では、混合造粒物の水性スラ
リーを調製し、撹拌等によりスラリーに動的運動を与え
ながら、加圧加熱下に水熱合成せしめて、目的とする珪
酸カルシウム水和物2次粒子を製造する。本発明では得
られる2次粒子は重質であり、そのスラリー沈降体積も
0.15〜0.8g/cm3 程度となるので、スラリー
の水比を3〜9とすることが好ましく、経済的に望まし
い水比は3〜5である。反応条件は従来の湿式撹拌法と
何ら変わるところはなく、温度は160〜216℃程度
であり、撹拌条件は、オートクレーブで原料および反応
生成物が固結しない程度以上とする。
【0022】このように、従来公知の湿式撹拌法が水比
9以上を必要としたのに対し、本発明法では水比を3〜
9とし得たのは、米国特許第2,665,996号明細
書で必要水比は原料または中間生成物の距離がその粒子
径の2倍以上保持する分散度が望ましいことから理解で
きるように、本発明法では従来法と同程度に粉砕された
通常平均粒子径10〜20μmの珪酸質原料と1〜10
μm程度の石灰質原料の凝集2次粒子を重質化のために
混合造粒することで、見掛け粒子を粗大化させ水比の低
下が達成されている。
【0023】本発明では、反応条件、原料の配合比、混
合造粒物の平均見掛け比重および粒径を適宜組み合わせ
ることにより、結晶系、2次粒子の粒径および平均見掛
け比重が異なるC−S−H(I)、トベルモライト、ゾ
ノトライト、ジャイロライト、ヒレブランダイト等の重
質珪酸カルシウム水和物2次粒子スラリーを得ることが
できる。
【0024】珪石微粉末(平均粒子径10.2μm、S
iO2 :98.1%、Al23:0.75%)とJIS
特号生石灰(CaO:97.8%)を用い、補助バイン
ダーとしてアクリルエマルジョンを添加して、常法によ
りCaO/SiO2 モル比を1.02として種々の見掛
け比重の混合造粒物を調製した。ついで水比5とし、オ
ートクレーブを用い、191℃で6時間、撹拌数150
rpmで水熱合成した。また、併せて、従来法スラリー
を用いて、同じ実験を行なった。
【0025】得られた合成物および珪酸カルシウム水和
物2次粒子の諸物性を表1および表2に示した。珪酸カ
ルシウム水和物2次粒子の圧潰強度測定方法としては書
籍「ハイドロサーマル反応3」、宗宮重行編、内田老鶴
圃発行の3頁に破壊強度測定方法の記載があるが、より
平均的な値を知るために、本願では以下の方法によっ
た。数値としては、何れの方法でも大差はない。
【0026】圧潰強度測定方法は、水熱合成された生成
物を底に濾布を敷いた40mmφの金型に入れ、その上
に別の濾布を置いて、成形圧力を変えた脱水成形テスト
ピースを作り、次いで、これを脱型して、105℃で絶
乾する。このテストピースを縦割し、成形面に平行な破
断面を60倍の光学顕微鏡下で検鏡観察し、珪酸カルシ
ウム水和物2次粒子の破壊の見られ始めるテストピース
の成形圧力を破壊開始荷重(kg/cm2) とする。
【0027】さらに、図2の如く、スライドグラス上で
分散、乾燥させた前記2粒子を120倍光学顕微鏡下で
観察し、2次粒子の平均粒径を求める。数1として示し
た(1)式より単位面積当りの2次粒子径を求め、数2
の(2)式から圧潰強度を算定した。
【0028】
【数1】単位面積当り総粒子数(ケ/cm2)= {1(cm2)÷平均2次粒子断面積(cm2/ケ)}×充填
率65%…(1)
【0029】
【数2】圧潰強度(g/ケ)= 破壊開始荷重(kg/cm2)/単位面積当り総粒子数(ケ
/cm2)…(2)
【0030】
【表1】表1:合成条件および合成物物性の1 実 験 番 号 1 2 3 合成条件: CaO/SiO2モル比 1.02 1.02 1.02 混合造粒物平均 従来法 0.52 0.52 見掛け比重(g/cm3) スラリー アクリルエマルジョン 0 0.5 1 (外割固形分重量%) 水比 5 5 5 反応温度(℃) 191 191 191 反応時間(Hr) 7 7 7 撹拌数(rpm) 150 150 150 合成物物性: 合成物性状 凝固し、 スラリー スラリー オカラ状 スラリー乾燥嵩密度(g/cm3) 0.11 0.17 0.32 2次粒子平均見掛け比重(g/cm3) 0.17 0.26 0.48 2次粒子平均径(μm) 80 85 80 2次粒子平均圧潰強度(g/ケ) 0.41 0.92 7.1 2次粒子吸水量(ml/100g) 469 349 217 粉体安息角(Deg.) 38.5 19.8 15.3 X線回折パターン*1 X,T(少) X,T(少) X,T(少) *1) X線回折パターン:X=ゾノトライト,T=トベルモライト, C=C−S−H(I),Qz=石英, (少)は少量を、(多)は多量を示す
【0031】
【表2】表2:合成条件および合成物物性の2 実 験 番 号 4 5 6 合成条件: CaO/SiO2モル比 1.02 1.02 1.02 混合造粒物平均 0.88 1.18 1.33 見掛け比重(g/cm3) アクリルエマルジョン 1 1 1 (外割固形分重量%) 水比 5 5 5 反応温度(℃) 191 191 191 反応時間(Hr) 7 7 7 撹拌数(rpm) 150 150 150 合成物物性: 合成物性状 スラリー スラリー スラリー スラリー乾燥嵩密度(g/cm3) 0.51 0.71 0.82 2次粒子平均見掛け比重(g/cm3) 0.91 1.14 1.22 2次粒子平均径(μm) 85 85 85 2次粒子平均圧潰強度(g/ケ) 65 87 97 2次粒子吸水量(ml/100g) 74 44 37 粉体安息角(Deg.) 14.4 13.8 13.7 X線回折パターン*1 X,T(多) T,C-S-H(I) C-S-HI,Qz *1) X線回折パターン:X=ゾノトライト,T=トベルモライト, C=C−S−H(I),Qz=石英, (少)は少量を、(多)は多量を示す
【0032】表1および表2から、本発明(実験番号2
〜5)により、小さな水比で、スラリーの凝固を生じる
こともなく、平均見掛け比重が大きな2次粒子の得られ
ることが判る。本発明により得られた2次粒子は平均圧
潰強度が大きく、吸水量も少ない。また、本発明により
得られた粒子は、形状がほぼ真球であり、2次粒子内部
はほぼ均一な多孔構造を有していた。
【0033】なお、混合造粒物の平均見掛け比重が大き
すぎる実験番号6では、X線回折パターンで石英のピー
クが現われ、SiO2 が残存し水熱合成による珪酸カル
シウム化が不十分であることが判る。
【0034】混合造粒物を用いる本発明で重質化が起こ
るメカニズムは、基本的にはセメント−水系でモルタル
を調製する場合に、減水剤の添加により混水量を下げる
と高比重・高強度の硬化体が得られるのと同じ作用機構
であると考えられる。混合造粒物を用いた場合は、水比
と溶媒水量(造粒物内に含まれる水量)が等しくならな
いことから、混合造粒物中の平均見掛け比重が高すぎる
と造粒混合物内部の溶媒となる水量が減少し、Ca(O
H)2およびSiO2の溶解速度も小さくなると推察され
る。
【0035】これに反し、従来の湿式撹拌法では水比=
溶媒水量の関係が保たれ、溶解速度の小さい珪酸質原料
粒子表面にCa(OH)2 が中和沈積する形で核が生成
し、反応の進行に伴ない生成物が粗に結合するため、初
期の界面律速の段階では撹拌と反応速度は相関があり、
得られる珪酸カルシウム水和物2次粒子の平均見掛け比
重も0.25g/cm3 以上になり得なかった。
【0036】本発明では、撹拌操作は単なる混合造粒物
粒子同士の凝集および沈積を防ぐ手段にすぎないので、
混合造粒物が崩壊しない限り、得られる珪酸カルシウム
水和物2次粒子の見掛け比重は原料混合造粒物で決まる
という反応メカニズムの基本的差異がある。したがっ
て、粒子径が5〜2000μm、平均見掛け比重が0.
25〜1.2g/cm3 の重質珪酸カルシウム水和物2
次粒子を得る場合は、二次原料である造粒混合物とし
て、同じ範囲の粒径および平均見掛け密度を有するもの
を用いるのが望ましいが、工業的に平均見掛け比重0.
25〜0.4g/cm3 の範囲に入る重質珪酸カルシウ
ム水和物2次粒子を得るには前述の如く、むしろ、普遍
的な原料を使用できるという観点で、弱い混合造粒物の
崩壊・再凝集を利用した方が得策である。さらに、本発
明の製造方法によって、上記範囲以外の珪酸カルシウム
水和物2次粒子、例えば、より小さな平均見掛け比重の
ものを製造することもできる。このような2次粒子も、
用途によっては、要求される性能を満足させることがで
きる。
【0037】
【実施例】
実施例1 珪石粉末(平均粒径10.2μm,SiO2:98.1
%,Al23 :0.75%)43.1部とJIS工業
用1号消石灰(CaO:72.1%)56.9部とを水
300部に入れてスラリーとし、アクリルエマルジョン
を固形分重量で外割で1部添加後よく撹拌脱泡し、デス
ク型スプレードライヤーで200℃で造粒、乾燥して、
顆粒粉を得た。この混合造粒品を30メッシュ標準篩で
通過させたものを供試した。このものは光学顕微鏡写真
(図1)に示す通り平均粒子径85μm程度の真球であ
り、平均見掛比重は0.90g/cm3 であった。
【0038】次に、この混合造粒品525gを6リット
ルのステンレス製内筒に入れ、水を2,100g入れて
スラリーとし、撹拌機付オートクレーブへ装填し、反応
温度191℃、撹拌数150rpmで、6時間反応させ
た。得られた反応物は内筒壁および撹拌羽根への付着は
殆どなく、凝集塊を含まぬスラリーであった。得られた
重質珪酸カルシウム水和物2次粒子のX線回折パターン
はゾノトライトと少量のトベルモライトを含むものであ
り、光学顕微鏡写真2(図1)に示す通り原料造粒混合
物の外観と殆ど差はなかった。また、走査電子顕微鏡写
真により、内部は均一な多孔体構造をなしていることが
確認された。得られた重質ゾノトライト2次粒子の物性
を次の実施例2とともに総括した。
【0039】実施例2 実施例1において、珪石粉末と消石灰の配合比を珪石粉
末47.7部と消石灰52.3部にし、且つ、反応温度
を185℃、反応時間を6時間とする以外は全て実施例
1と同様にして、凝集塊および内筒壁等への付着のない
重質トベルモライト2次粒子から成るスラリーを得た。
得られた重質トベルモライト2次粒子の性状を表3に示
した。
【0040】
【表3】表3:重質珪酸カルシウム水和物2次粒子の物性 実施例1 実施例2 スラリー乾燥嵩密度(g/cm3) 0.55 0.52 2次粒子平均見掛け比重(g/cm3) 0.93 0.89 2次粒子平均径(μm) 85 85 2次粒子平均圧潰強度(g/ケ) 62 57 2次粒子吸水量(ml/100g) 54 37 粉体安息角(Deg.) 14.1 13.6 X線回折パターン ゾノトライト+ トベルモライト トベルモライト(少量)
【0041】
【発明の効果】本発明の重質珪酸カルシウム水和物2次
粒子では、平均見掛け比重が大きく、小さな吸水量と大
きな平均圧潰強度を実現できた。そのため、混練時の破
壊や吹付け後の抱水脱落や乾燥収縮を防止でき、軽量化
プラスチック用充填材や吹付け耐火被覆材などの用途に
好適である。
【0042】さらに、重質化によって、従来の湿式撹拌
法より水比が1/2〜1/3となる分、オートクレーブ
の生産性が2〜3倍に向上し、見掛け比重0.4〜1.
2g/ccの中量不燃建材をプレス性・コスト面で効率
よく生産できることになった。特に2次粒子をほぐして
単粒子として使用するゴム、プラスチック、不燃紙等の
フィラー分野では、省エネ、生産性の向上等で画期的な
成果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる原料混合造粒物粒子の顕微
鏡写真である。
【図2】本発明で得られた重質珪酸カルシウム水和物2
次粒子の顕微鏡写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 重質珪酸カルシウム水和物2次粒子
および珪酸カルシウム水和物2次粒子の製造方法

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪酸カルシウム水和物の1次粒子が多数
    交絡して形成された2次粒子であって、2次粒子内部は
    ほぼ均質な多孔構造を有し、粒子径が5〜2000μm
    であり、平均見掛け比重が0.25〜1.2g/c
    3 、平均圧潰強度1g/ケ以上、粉体安息角20度以
    下であることを特徴とする重質珪酸カルシウム水和物2
    次粒子。
  2. 【請求項2】 珪酸質原料と石灰質原料とからなるの混
    合造粒物を調製したのち、得られた混合造粒物の水性ス
    ラリーを、動的運動を与えながら加熱加圧下に水熱合成
    して珪酸カルシウムに変換することを特徴とする珪酸カ
    ルシウム水和物2次粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 混合造粒物の粒子径を5〜2000μ
    m、平均見掛け比重を0.25〜1.2g/cm3 とす
    る請求項2に記載の珪酸カルシウム水和物2次粒子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 水熱合成により、粒径5〜2000μ
    m、平均見掛け比重0.25〜1.2g/cm3 の重質
    珪酸カルシウム水和物2次粒子を得る請求項2または3
    に記載の珪酸カルシウム水和物2次粒子の製造方法。
JP5135993A 1993-02-16 1993-02-16 重質珪酸カルシウム水和物2次粒子および珪酸カルシウム水和物2次粒子の製造方法 Pending JPH06239611A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015068793A1 (ja) 2013-11-09 2015-05-14 富田製薬株式会社 高吸油量及び大粒子径を有する粉末状ジャイロライト型ケイ酸カルシウム及びその製造方法

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