JPH0623251B2 - 架橋ポリイミドシロキサンの製造方法 - Google Patents

架橋ポリイミドシロキサンの製造方法

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JPH0623251B2
JPH0623251B2 JP2179286A JP2179286A JPH0623251B2 JP H0623251 B2 JPH0623251 B2 JP H0623251B2 JP 2179286 A JP2179286 A JP 2179286A JP 2179286 A JP2179286 A JP 2179286A JP H0623251 B2 JPH0623251 B2 JP H0623251B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は架橋ポリイミドシロキサンの製造方法に関す
る。
〔従来の技術と問題点〕
従来、ポリイミド樹脂は電子機器分野における保護材
料、絶縁材料、接着剤として、或はフイルム、構造材と
して主に耐熱性の面から広く用いられている。その利用
方法は多くの場合、架橋した重合体となる前の前駆体の
まま対象物に塗布してから焼成してイミド化を完成させ
ると共に架橋させる方法によつており、焼成後の上記の
如き種々な用途における作用、効果を向上させるための
様々な提案がなされている。しかしながら、このような
従来の技術は現在の如く多様化、個性化及び高級化した
ニーズを必ずしも充分に満足させるものとは言えない。
例えば、電子材料用のポリイミド前駆体として従来使用
されているポリアミド酸は、その溶液を基材に塗布した
後焼成してイミド化させて硬化させるが、使用上次のよ
うな種々は欠点、すなわちその塗布用溶液が非常に粘度
が高くて作業性が劣ること、また焼成時の温度が300
〜400℃と高温を要するため基材の耐熱温度を越える
ことがあること、更に塗布対象のシリコンウエハーやガ
ラスとの接着性が不充分であること、等の問題点があつ
た。
上記問題点のうち接着性を改善するものとしてシリコン
化合物との共重合体が多く提案されている。例えば特開
昭57−143328号、特開昭58−7473号、及
び特開昭58−13631号には、原料であるジアミン
成分の一部を、ジアミンで両末端を停止したポリシロキ
サンで置き換えて得られるポリイミド前駆体を使用して
ポリイミド−シロキサン共重合体とする技術が提案され
ている。しかしながらこの場合、或る程度の接着性の改
善は見られるのに引き換え、共重合体中のシロキサン含
量の増加と共に耐熱性が低下し、かつ重合度が小さくな
つて塗膜形成能が低下すると言う問題点があつた。ま
た、特公昭58−32162号及び特公昭58−321
63号には、テトラカルボン酸二無水物等の適当なカル
ボン酸誘導体とジアミンとを反応させて酸無水物等の末
端基を有するポリアミドカルボン酸を生成せしめた後、
このポリアミドカルボン酸とアミノシリコン化合物とを
−20℃ないし+50℃で反応させることによつてけい
素を含有するポリアミドカルボン酸プレポリマーを得、
このプレポリマーをイミド化しないままかイミド化する
にしても脱水剤の存在下の穏和な条件下(低温好ましく
は50℃以下、とりわけ−20℃ないし+25℃)で化
学的に環化(イミド化)して有機けい素変性ポリイミド
前駆体を得、この前駆体を溶液状態でシランジオールま
たはシロキサンジオールの存在下または不存在下で加熱
してイミド化の完成と共に架橋せしめてポリイミドシロ
キサンとする技術が開示されている。しかしながら、こ
のポリイミドシロキサン前駆体は、従来のポリアミドカ
ルボン酸を主成分とするポリイミド前駆体と同様にイミ
ド化するために約200℃以上最高350℃に達する高
温での焼成を必要とし、得られた環化物はけい素含量が
大きいと塗膜形成能が劣り、けい素含量が小さいとシリ
コンウエハーやガラスとの接着性が劣り、また予めイミ
ド化したポリイミドシロキサン前駆体を製造する場合は
脱水剤存在下の低温処理による環化では長時間を要して
実際的でなく、逆に加熱により環化を促進させると溶液
全体がゲル化し流動性を失う、等の種々な問題を有して
いる。
上記の如く従来の技術には種々な問題点があり、従つて
半導体の表面保護や多層配線層間絶縁膜などに適するよ
うに、適当な溶媒に可溶であり、溶液状態では粘度が適
度で良好な作業性を与え、比較的低温且つ短時間で焼成
硬化させることができ、良好な塗膜形成能を有するポリ
イミド前駆体、そしてこのような前駆体から得られるシ
リコンウエハーやガラス等との接着性の良いポリイミド
樹脂の開発が要望されていた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、上記従来技術の問題点を解決して要望を満た
すための手段であつて、下記の式(1) 〔ここに(n+1)個の各(I)は独立に下記の式(2)、(3)
及び(4) のいずれかの構成単位を表わし、かつR1は4価の炭素
環式芳香族基を表わし、R2は炭素数2〜12個の脂肪
族基、炭素数4〜30個の脂環式基、炭素数6〜30個
の芳香脂肪族基、または炭素数6〜30個の炭素環式芳
香族基を表わし、R3 (ただしsは1〜4の整数を示す)を表わす。nはn≦
18の値をとる〕 で表わされるイミド・アミド酸連鎖部が下記の式(5) −SiR4 3-m1 m-1−O−SiR4 3-m1 m-1− ・・・(5) 〔ここに各R4は独立に炭素数1〜6のアルキル基、フ
エニル基または炭素数7〜12個のアルキル置換フエニ
ル基を表わし、各Y1は独立にアルコキシ基、アセトキ
シ基、ハロゲン、水酸基、 または下記の式(6) R5R6R7Si−O− ・・・(6) {ここにR5、R6及びR7は独立に炭素数1〜6のアルキ
ル基、フエニル基または炭素数7〜12個のアルキル置
換フエニル基を表わす。} で表わされる基を表わし、mは1≦m≦3の値をと
る。〕 で表わされる結合構造により結合されていて、下記の式
(7) Y2 mR4 3-mSi− ・・・(7) 〔ここに各Y2は独立にアルコキシ基、アセトキシ基、
ハロゲン、水酸基または前記式(6)で表わされる基を表
わし、各R4及びmは式(5)の場合と同じである。〕 で表わされる基が末端基として存しており、かつ分子全
体として下記の式(8) 〔ここにa:イミド化率 W:式(2)で表わされる構成単位の総数 P:式(3)で表わされる構成単位の総数 Q:式(4)で表わされる構成単位の総数 を表わす。〕 で定義されるイミド化率aが50〜100%であり、か
つR2の総数B1とR3の総数D1とが下記の式(9) で表わされる関数にあり、下記式(100) (H)(J)(S) ・・・(100) [ただし、ここに(H)、(J)及び(S)は各々前記
式(1)、(5)及び(7)で示される構造を表し、
h、j及びsは各々(H)、(J)及び(S)の総数を
表し、rを前記式(6)で示される構造の総数を表す
と、h、j、s及びrの間には下記式(15−1)及び
(16−1)の関係が存する。
で表される構造を主成分として、かつN−メチル−2−
ポロリドン中、温度30±0.01℃、濃度0.5g/dで
測定された対数粘度数が0.05〜5d/gである可溶性
ポリイミドシロキサン前駆体を含む溶液を50〜450
℃に加熱することにより溶媒を蒸発させるとともに該前
駆体を架橋させる架橋ポリイミドシロキサンの製造法に
関するものである。
前記可溶性ポリイミドシロキサン前駆体は以下の方法で
製造することができる。すなわち、下記の式(10)で表わ
されるテトラカルボン酸二無水物Aモルと式(11)で表わ
されるジアミンB2モルと式(12)で表わされるアミノシ
リコン化合物D2モルとをA、B2およびD2間に式(14)
及びほぼ式(15)の関係を存在せしめて溶媒の存在下で0
℃以上60℃未満の温度で0.2〜6時間反応させる第1
段階の反応を行なわせて均一な反応生成液を得、次いで
式(16)で示される範囲にあるEモルの式(13)で表わされ
るシリル化剤の存在下に60℃以上200℃未満の温度
で0.5〜30時間加熱してイミド化反応を行ない、その
結果発生する水及び必要に応じて他からの水により式(1
2)で表わされるアミノシリコン化合物中に示されたX1
及び式(13)で表わされるシリル化剤中のX2の加水分解
反応を行なわせ、更にはシロキサン縮合反応をさせる第
2段階の反応を行なわせて式(17)で定義されるイミド化
率aを50〜100%にすると共に下記式(100) (H)(J)(S) ・・・(100) [ただし、ここに(H)、(J)及び(S)は各々前記
式(1)、(5)及び(7)で示される構造を表し、
h、j及びsは各々(H)、(J)及び(S)の総数を
表し、rを前記式(6)で示される構造の総数を表す
と、h、j、s及びrの間には下記式(15−1)及び
(16−1)の関係が存する。
で表される構造を主成分として、N−メチル−2−ピロ
リドン中、温度30±0.01℃、濃度0.5g/dで測定
された対数粘度数を0.05〜5d/gとするものであ
る。
H2N-R2-NH2 ・・・(11) H2N-R3-SiR4 3-mX1 m・・・(12) R5R6R7SiX2 ・・・(13) 2A=2B2+D2 ・・・(15) 0.01≦E/(D2×m)≦1 ・・・(16) (ここに、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びm
は前記の場合と同じく定義され、X1はアルコキシ基、
アセトキシ基またはハロゲンを表わし、X2はアルコキ
シ基、アセトキシ基、ハロゲンまたは水酸基を表わ
す。) (ここにW、P及びQはテトラカルボン酸二無水物とジ
アミン及び/またはアミノシリコン化合物とが化合し、
更に脱水することあつて生成する下記の3種の構成単位
それぞれの分子中における総数を表わす。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する可溶性ポリイミドシロキサン前駆体
は、式(1)で表わされるイミド・アミド酸連鎖部(以
下、イミド・アミド酸連鎖部(1)の如く呼称することが
ある。他の式により示されるものについても同様に呼称
することがある。)が結合構造(5)による結合により架
橋または延長されていて、基(7)が末端基として存在し
て骨格が形成されているオリゴマーないしはポリマーで
ある。イミド・アミド酸連鎖部(1)の構成要素であるR1
は好ましくは少なくとも1個の六員環を有する。R1
特に単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、または数個
の縮合環もしくは非縮合環(これらの環は直接または橋
かけ基を通して互に結合する。)を有する多環式芳香族
基である。上記橋かけ基としては−O−、−CO−、−
SO2−等が示される。R1の例としては次のものを挙げ
ることができる。
〔ただし、ここにR8は−O−、−CO−又は−SO2
を表わし、芳香環が2つ以上ある場合(縮合環を含む)
の各環の結合手は互にオルトの位置にある。〕 またR2の例としては次のものを挙げることができる。
(ここにR9は炭素数1〜4のアルキル基を表わす。) (ここにR10は−O−、−S−、−SO2−、−CO
−、−CH2−又は を表わす。)、 (ここにpは2〜12の整数を表わす。)、 前記可溶性ポリイミドシロキサン前駆体の分子量の適量
範囲は一定条件下での固有粘度測定値として0.05〜5d
/gと規定されており、適当な溶媒に可溶である。
本発明において対数粘度数(ηinh)とは、前記測定条
件により定義された通りのものであるが、更に詳述すれ
ば、 〔ここにηは、ウベローデ粘度計を使用し溶媒N−メチ
ル−2−ピロリドン中の濃度0.5g/dのものを温度
30±0.01℃で測定した値であり、η0はウベローデ粘
度計を使用し同温度における同溶媒の測定であり、Cは
濃度0.5g/dである。〕 で示される。
イミド・アミド酸連鎖部(1)中のR2及びR3の分子中の
総数をそれぞれB1及びD1とすると、これらの合計数
(B1+D1)に対するD1の比の好適な範囲は式(9)に規
定されている。この範囲が0.1未満の範囲となる程にR3
が少ないと、R3に結合している結合構造(5)、基(6)ま
たは末端基(7)が少なく従つてSiの総数が少なくなつ
て、例えば接着性が低下して好ましくない。
また、イミド・アミド酸連鎖部(1)中の各(I)は構成単位
(2)、(3)または(4)のいずれかを独立に表わしている
が、分子全体としては式(8)で定義されるイミド化率a
が50〜100%の範囲にあつて前駆体でありながらイ
ミド化率の進んだものとなつている。このため例えば焼
成によるイミド化の完成が比較的低温且つ短時間で可能
である。イミド化率aを知る上で必要なイミド基の定量
は既知の赤外線吸収スペクトル法によることができる。
以上の如く、可溶性ポリイミドシロキサン前駆体は構成
されている。
本発明の原料について説明する。
式(10)で表わされるテトラカルボン酸二無水物として次
の化合物を挙げることができる。
ピロメリツト酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフエ
ニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−
ビフエニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,
4′−ビフエニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3′,4,4′−ベンゾフエノンテトラカルボン酸二無
水物、2,3,3′,4′−ベンゾフエノンテトラカル
ボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ベンゾフエノン
テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキ
シフエニル)−エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフエニル)−スルホン二無水物、1,2,5,
6−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,3,
6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物等。
また、式(11)で表わされるジアミンとしては次の化合物
を挙げることができる。
4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、4,4′−ジ
アミノジフエニルメタン、4,4′−ジアミノジフエニ
ルスルホン、4,4′−ジアミノジフエニルスルフイ
ド、4,4′−ジアミノジフエニルチオエーテル、4,
4′−ジ(メタ−アミノフエノキシ)ジフエニルスルホ
ン、4,4′−ジ(パラ−アミノフエノキシ)ジフエニ
ルスルホン、オルト−フエニレンジアミン、メタ−フエ
ニレンジアミン、パラ−フエニレンジアミン、ベンジジ
ン、2,2′−ジアミノベンゾフエノン、4,4′−ジ
アミノベンゾフエノン、4,4′−ジアミノジフエニル
−2,2−プロパン等の芳香族ジアミン、トリメチレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
2,11−ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン、ビス
(p−アミノフエノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビ
ス−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラ
メチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピ
ルジメチルシリル)ベンゼン等のシリコン系ジアミン、
1,4−ジアミノシクロヘキサン等の脂環式ジアミン、
o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン等の
アミノアルキル置換芳香族化合物等。
次に式(12)で表わされるアミノシリコン化合物としては
次の化合物を挙げることができる。
NH2-(CH2)3-Si(OCH3)3、 NH2-(CH2)3-Si(OC2H5)3、 NH2-(CH2)3-Si(CH3)(OCH3)2、 NH2-(CH2)3-Si(CH3)(OC2H5)2、 NH2-(CH2)3-Si(C2H5)(On-C3H7)2、 NH2-(CH2)4-Si(OCH3)3、 NH2-(CH2)4-Si(OC2H5)3、 NH2-(CH2)4-Si(CH3)(OC2H5)2等。
また式(13)で表わされるシリル化剤としては次の化合物
を挙げることができる。
(CH3)3Si(OCH3)、(CH3)3Si(OC2H5)、 (CH3)3Si(On-C3H7)、 (CH3)2(C2H5)Si(OCH3)、 (CH3)2(C2H5)Si(OC2H5)、 (CH3)3SiOH、(CH3)3Si(OCOCH3)、 等。
本発明方法において上記の原料化合物を溶媒中で反応さ
せるための好ましい溶媒(以下反応溶媒と言うことがあ
る)としてN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テ
トラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサ
メチルスルホンアミド、メチルホルムアミド、N−アセ
チル−2−ピロリドン、トルエン、キシレン、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等の1種又は2種以
上を使用でき、また上記溶媒を30重量%以上含有する
他の溶媒との混合溶媒としても用いることができる。
次に本発明における可溶性ポリイミドシロキサン前駆体
の生成反応方法について説明する。式(10)で示されるテ
トラカルボン酸二無水物Aモルは式(11)で示されるジア
ミンB2モル及び式(12)で示されるアミノシリコン化合
物D2モルと反応溶媒中で反応させる。このときA、B2
及びD2はそれらの間に式(14)及びほぼ式(15)の関係が
存在するように定める。式(14)はアミノシリコン化合物
の使用量がジアミンとの合計モル数の10%以上である
ことを示しているが、この使用量が10%未満の場合は
得られる可溶性ポリイミドシロキサン前駆体が半導体用
の表面保護膜等として使用したときシリコンウエハーや
ガラス等との接着性が劣つたものとなる。
式(15)はジアミン及びアミノシリコン化合物中の全アミ
ノ基とテトラカルボン酸二無水物中の の全部とを当量で反応させる場合の関係式であるが、必
ずしも正確に当量できなくても良く、例えばAについて
式(15)で定められるモル数の±10%の範囲ならば本発
明における可溶性ポリイミドシロキサン前駆体は充分に
得られる。「ほぼ式(15)の関係を存在せしめて」とはこ
の意味を表わす。
本発明方法においては溶媒中における各原料の反応の実
施は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとアミノシ
リコン化合物との反応を比較的低温で行なう第1段階の
反応と、第1段階の反応終了後その反応生成液(以下、
第1段階反応終了液と言うことがある)をシリル化剤の
存在下に比較的高温で加熱して少なくともそのとき発生
する水と共に反応させる第2段階の反応とにより行な
う。反応溶媒の使用量を上記各段階の反応の時点で反応
溶媒とこれに添加した原料との合計量基準で60重量%
以上とすると攪拌操作を容易にするので好ましいが、9
8重量%以上は必要でない。第1段階の反応の当初から
全原料の使用量を考慮した反応溶媒量とするのが溶媒の
追加操作を必要としないので好ましい。
第1段階の反応は上記の反応溶媒の存在下で0℃以上6
0℃未満、好ましくは3℃以上30℃未満の温度で0.2
〜6時間反応せしめる。具体的には、テトラカルボン酸
二無水物とジアミンとアミノシリコン化合物との全部を
同時に反応溶媒に加えて反応させても良いが、上記3つ
の原料のうち2つを先に上記温度範囲内でも低温例えば
0〜10℃で反応を開始し、段階的にまたは連続的に温
度を上記温度範囲内で高めながら残りの原料を加えて反
応せしめても良い。この場合、上記3つの原料の添加順
には特に制限はないが、ジアミンの添加を最後にしない
方がより高分子量のポリマーが得られ易い。この第1段
階の反応では上記3つの原料は溶媒に溶解して反応は比
較的速やかに進行し、均一で透明な反応液が生成すると
反応はほぼ終了しているが、なお暫らくは続行して反応
の完了を確実にするのが好ましい。その主な反応は後記
する如く両端にアミノシリコン化合物を結合したポリア
ミドカルボン酸(以下中間体Fと言うことがある)の生
成である。
第2段階の反応は、上記第1段階の反応終了後式(16)で
示される範囲にあるEモルの式(13)で表わされるシリル
化剤の存在下に第1段階の反応温度から更に上昇せしめ
て60℃以上200℃未満、好ましくは60℃以上11
0℃未満の温度で0.5〜30時間加熱してイミド化反応
を行ないその時に発生する水及び必要により他からの水
により中間体Fの末端にあるアミノシリコン化合物のX
1及びシリル化剤のX2の加水分解反応を行なわせ、更に
はシロキサン縮合反応させる反応である。シリル化剤は
第2段階の反応の開始に当たつて添加しても良いが、第
1段階の反応の開始前に他の原料と共に予め添加してお
いても良く、この場合第1段階の反応に対する実質的な
影響はなくて第1段階から第2段階へ反応を移す操作が
容易となるので好ましい。第2段階の反応における主な
反応は、後記する如く第1段階の反応で生成した中間体
Fのアミド・カルボン酸の部分を環化してイミド化する
と共に、中間体Fの末端を成しているアミノシリコン化
合物のX1及び遊離のシリル化剤のX2が加水分解性基す
なわちアルコキシ基、アセトキシ基またはハロゲンであ
るときの半数以上が加水分解されて水酸基に変換(X2
が当初から−OHである場合もある)され、少なくとも
一部において中間体F同士、中間体Fとシリル化剤との
間、またはシリル化剤同士でSiに結合した水酸基同士或
は水酸基と加水分解性基とが縮合反応を起してシロキサ
ン結合が生成、すなわちシロキサン縮合反応が行なわれ
ることである。
上記のシリル化剤同士のシロキサン結合はシリル化剤が
単に不活性化合物となつて反応溶媒中に溶存するだけで
あるが、その他のシロキサン結合は網状組織を構成し或
は高分子中のSi含量を多くするので、得られるポリイミ
ドシロキサン前駆体において相当量のシロキサン結合が
1及びX2の位置に生成しているばかりでなく、この前
駆体を焼成したときに最終的にシロキサン結合をすべて
のまたはそれに近いSiのX1及びX2の位置に生成させる
ことが好ましく、従つてX1及びX2の1/2ないし全部を
加水分解して−OHを生成せしめることが好ましい。従
つてこのような加水分解に有効な水の最大量すなわちX
1及びX2の全部を加水分解するために消費される水量は
(D2×m+E)モルであり、X1及びX2の1/2を加水分
解するために消費される水量は(D2×m+E)×1/2モ
ルである(X2が水酸基であるときはその分の水量を減
量する)。
上記加水分解で消費される水の少なくとも一部はポリア
ミド酸がイミド化するときに発生する水でまかなわれ
る。その発生水量はイミド化率をaとすれば2A×a×
1/100モルである。従つて第2段階の反応に際して
第1段階反応終了液に添加する水量は〔{(D2×m+
E)×1/2〜(D2×m+E)}−2A×a×1/10
0〕モルとなるが、更に使用する反応溶媒に含有される
水分も無視できないときはこの水分量も考慮する必要が
ある。このように第2段階の反応に当つて添加を要する
水分量はイミド化により発生する水量、反応溶媒が含有
する水分量、更にはシロキサン結合量によつて変わり、
イミド化により発生する水や溶媒含有水分量によつては
水の添加を必要としない場合もある。シリル化剤は後記
するように中間体F同士がその末端でシロキサン結合し
て無限に高分子化することを避けるための分子量制御に
使用される。式(16)はシリル化剤の使用量EモルがE/
(D2×m)として0.01以上であることを示しており、
これが0.01未満のときは中間体Fの両末端で縮合反応が
進行してシロキサン結合によりポリマーが三次元化して
分子量が巨大になり、溶液が流動性を失つていわゆるゲ
ル化を起すので好ましくない。
またE/(D2×m)が1を超えてシリル化剤を添加す
る必要は特にない。
第2段階の反応温度が60℃未満では反応が遅くて実際
的でなく、本発明では60℃以上でも何ら異常な反応を
招来することなく実施できるのであり、200℃以上は
必要でない。第2段階の反応の実施に当たり、第三級ア
ミンのようなイミド化反応促進剤を添加することもでき
るが、本発明においてはイミド化で発生する水は直ちに
加水分解に消費されて反応の方向をイミド化に向け、イ
ミド化反応は速やかに進行するので、イミド化反応促進
剤の添加は必要でない。加水分解反応を促進させるため
の酸触媒等は添加することも可能であるが、後に残存す
る場合の悪影響を考慮して添加しない方が好ましい。
第2段階の反応においてはシリル化剤を反応させること
により反応液をゲル化させることなくイミド化反応及び
シロキサン縮合反応を円滑に進行せしめ、そしてシリル
化剤の使用量及び反応条件をそれぞれ前記の範囲内で変
えることにより反応液の粘度すなわち前駆体の分子量を
自由にコントロールすることができる。このようにし
て、0.05〜5d/gと言う適度な対数粘度数従つて適
度な分子量を有して溶媒に可溶性であつてしかもイミド
化率が50%以上に達するオリゴマーないしはポリマー
の可溶性ポリイミドシロキサン前駆体が得られる。対数
粘度数が0.05d/g未満の場合は塗布液の塗布状態が
良好でなく、従つてまた塗膜形成が充分でなく、5d
/gを超える場合は溶解困難又は不溶性となつて実用に
供し得ない。
以上の如く第1段階の反応に次いで第2段階の反応を行
なうことによりイミド化率50%以上で且つ固有粘度が
0.05〜5d/gの可溶性ポリイミドシロキサン前駆体
を得ることができる。
上記反応方法によれば、第1段階の反応においてテトラ
カルボン酸二無水物とジアミンとアミノシリコン化合物
とから低温で得られた両末端にアミノシリコン化合物を
結合したポリアミドカルボン酸(中間体F)を第2段階
の反応においてシリル化剤の存在下に加熱してイミド化
すると共に加水分解及びシロキサン縮合反応を行なつて
も、反応液がゲル化を起すことなく反応は円滑に進行す
る。これはシリル化剤が反応に関与してシロキサン縮合
することにより、中間体F間のSi活性点を不活性化して
中間体F間の無限のシロキサン縮合を停止させるからで
ある。この点を一例の反応式を用いて説明すると以下の
如くである。以下の例では記述を簡単にするためアミノ
シリコン化合物としてH2N-R3-Si(OEt)3(ここにOEtは
エトキシ基を表わす)を使用し、イミド化率を100%
とし、シリル化剤として(CH3)3Si(OC2H5)を使用する。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとは の如く反応するが、この生成物の両末端にH2N-R3-Si(OE
t)3の1分子ずつが反応して下記式(19)で示す中間体F
が生成する。
この中間体Fは加熱により次式(20)に示す如くイミド化
すると共に水を放出する。
(以下式(20)中破線で囲んだ部分をGと表わす)ここに
生成した水を含めて反応液中に存在せしめられた水は、
直ちに式(20)に示す新たな中間体の末端のSi(OEt)3の一
部または全部と反応して次式(21)に示す中間体Jを生成
せしめる。
(OEt)3-y(OH)ySiR3-G-R3-Si(OH)x(OEt)3-x (中間体J) ・・・(21) ここに生成した中間体J中の は他の中間体Jの と次式 または の如くシロキサン縮合反応を容易に起こす。従つて中間
体Jは両末端に3個づつ合計6個(本例の場合)の活性
点を有するモノマーとして考えることができる。従つて
若しシリル化剤を存在せしめないで中間体Jを加熱する
と、一部の活性点には未反応で残るものはありながらも
他の活性点において例えば次式の如く次々にシロキサン
縮合反応が起こつて架橋構造を形成すると共に分子量は
巨大になる。
そしてこの反応は急激に起こり制御は不可能であるか
ら、反応液はたちまちゲル化してしまうのである。従つ
て前記した如く従来技術においてはイミド化をしないか
するにしても水の存在を極力なくすように例えば脱水剤
等を使用して低温でイミド化を行なつていたのである。
しかしながら本発明方法では第2段階の反応においてシ
リル化剤を存在せしめることにより、例えば次式(24)に
示す如くSiの活性点の1部を不活性化するのである。
このようにシリル化剤とシロキサン縮合反応を起した活
性点は不活性化されて以後のシロキサン縮合反応は停止
される。従つて生成する架橋数は制限されると共に分子
量の巨大化も防止されて反応液はゲル化することもなく
反応は円滑に進行するのである。そしてシリル化剤の使
用量や反応条件を調整して上記の反応で得られたポリイ
ミドシロキサン前駆体は既にイミド化が50%以上に進
行していると共に分子量も対数粘度数で示して0.05〜5
d/gのものであつて溶媒に可溶であり、またSi含量
が多くなつているのである。
本発明におけるポリイミドシロキサン前駆体(以下、単
に前駆体と略称することがある)は電子機器分野におけ
る保護材料、絶縁材料、接着剤、フイルム、構造材等を
与える架橋ポリイミドシロキサンの前駆体として広く使
用することができる。殆んどの場合、ワニス等の如く溶
媒に溶解した溶液の状態で使用されるから、前記方法で
得られた溶液を濃縮または溶媒で希釈して(以下、この
ような溶液を前駆体溶液と言うことがある)使用するの
が良い。溶媒としては反応溶媒と同じものを使用するこ
とができる。例えば電子材料保護材用として使用する場
合、前駆体溶液を必要に応じて固体の吸着剤等を使用し
てイオン性物質を除去し、さらに1μm以下のフイルタ
ーにより微小な固体不純物を除去して塗布液として使用
することができる。この塗布液の濃度は必要とする塗膜
の厚さにより決められるが、40重量%以下が好まし
く、特に0.3〜25重量%の範囲が実際に使用する上で
好ましい場合が多い。塗布液は常法に従いスピンナー等
でシリコンウエハー、ガラス等に均一に塗布し焼成す
る。焼成条件は使用する溶媒、塗膜の厚さ等により多少
異なるが、50〜450℃、好ましくは100〜300
℃で0.5〜1.5時間位の比較的短時間焼成することで充分
である。このような焼成により、イミド化率が100%
未満の前駆体は100%になり、分子量が未だそれ程大
きくなく溶媒に可溶性の前駆体がシロキサン結合による
架橋が増加して溶媒不溶性の無限網状組織となり、本発
明に系る架橋ポリイミドシロキサンとなり、前駆体溶液
が呈していた透明な淡黄色が例えば透明な茶色(厚さ数
μm以下のウス物では淡黄色〜無色)となつて非常に硬
くて高耐熱性の皮膜を形成するのである。
本発明方法により得られる架橋ポリイミドシロキサンは
液晶配向剤としても良い結果を示す。すなわち、ガラス
板に液晶を塗り、その上に前駆体を塗つて焼成後ラツビ
ング(rubbing)することにより、液晶を一定方向に配向
させることができる。
電子材料用途以外の用途としては、例えば、耐熱性接着
剤、各種フイルム、繊維、圧縮成形品、積層材料等であ
る。前駆体溶液に安定剤、添加剤あるいは充填剤等を添
加し成形することも当然可能である。焼成温度としては
大部分の用途に於いて50〜250℃の比較的低温で行
なうことができるが、厚手の成形品の焼成あるいは焼成
時間の短縮のため、より高い温度、例えば250〜45
0℃での焼成も可能である。焼成により溶媒は飛散する
とともに前駆体中に残存するアミド酸のイミドへの転換
及びシロキサン縮合反応の進行により架橋、硬化し本発
明の架橋ポリイミドシロキサンが得られる。
〔実施例〕
以下、実施例によつて本発明を更に具体的に説明する。
参考例1 攪拌装置、滴下ロート、温度計、コンデンサーおよび窒
素置換装置を付した1のフラスコを冷水中に固定し
た。フラスコ内を窒素ガスにより置換した後、脱水精製
した500mのN−メチル−2−ピロリドン、16.236
g(0.0733モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、22.025g(0.110モル)の4,4′−ジアミノジ
フエニルエーテル及び4.3338g(0.0367モル)のトリメ
チルエトキシシランを投入しかくはんを続け溶解させ
た。この溶液に31.990g(0.147モル)の粉末状ピロメ
リツト酸二無水物を滴下ロートから徐々に30分間かけ
て前記フラスコ内に投入し、反応を続けた。この間反応
温度は3〜8℃であつた。さらにこの温度で2時間反応
を続けた。その後昇温し25〜30℃で1時間反応させ
た。以上の第1段階の反応により25℃での回転粘度が
23センチポイズである淡黄色の透明液が得られた。こ
こで回転粘度とはE型粘度計(株式会社東京計器製VISC
ONIC EMD)を使用して温度25℃で測定した粘度である
(以下同じ)。次いで第2段階の反応としてこの反応液
を更に昇温し、100℃で9時間反応させた。この結
果、25℃での回転粘度が130センチポイズの淡褐色
の透明液である可溶性ポリイミドシロキサン前駆体溶液
が得られた。この前駆体溶液の1部をとり常温減圧下に
乾燥して淡褐色の固形物状の前駆体を得、そのイミド化
率を赤外線吸収スペクトルから定量したところ81%で
あり、また対数粘度数は0.51であつた。第1図は本例で
得た前駆体の赤外線吸収スペクトル図である。第1図に
はイミド基の吸収スペクトル(5.63μm及び13.85μ
m)が明瞭に存在し、アミド酸の吸収スペクトル(N−
Hバンド3.08μm)は消失しているのが見られる。
比較参考例1 参考例1においてトリメチルエトキシシランを添加しな
い以外は同様の装置及び方法で第1段階の反応を行な
い、さらに100℃に昇温したところ50分で反応液は
ゲル化した。
比較参考例2 参考例1と同様にして得られた第1段階反応終了液(回
転粘度23センチポイズ)の1部(200m)を採取
し、あらかじめ窒素置換していた参考例1と同様のフラ
スコ中で40℃で9時間反応させた。この結果25℃で
の回転粘度が19センチポイズの淡黄色透明のワニスが
得られた。このポリマーのイミド化率は5%以下であつ
た。
比較参考例3 参考例1と同様の装置及び方法で18.779g(0.0938モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、20.764
g(0.0938モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン及び5.548g(0.0469モル)のトリメチルエトキシ
シランを500mのN−メチル−2−ピロリドン中に
溶解させ、これに30.685g(0.141モル)のピロメリツ
ト酸二無水物を反応液を5〜10℃に保ちながら30分
間で添加し、この温度で1時間さらに40〜45℃で1
時間反応させ均一液を得た。この反応液に30.627g(0.
300モル)の無水酢酸を投入し、100℃で5時間反応
させた。
この結果、25℃での回転粘度が11センチポイズであ
る淡褐色の透明液が得られた。このポリマーの対数粘度
数は0.03でありイミド化率は100%であつた。
比較参考例4 参考例1と同様の装置及び方法で31.261g(0.156モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルエーテル及び3.29
2g(0.0149モル)の3−アミノプロピルトリエトキシ
シランを500mのN−メチル−2−ピロリドン中に
溶解させ、この溶液を3〜8℃に保ちながらこれに35.6
76g(0.164モル)の二無水ピロメリツト酸を1時間で
添加し、この温度で2時間さらに40〜45℃で1時間
反応させ淡黄色の透明液を得た。
このワニスの25℃での回転粘度は380センチポイズ
であり、このポリマーは対数粘度数が0.66でイミド化率
は5%以下であつた。
参考例2 参考例1と同様の装置及び方法で41.572g(0.208モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、88.571
g(0.415モル)のp−アミノフエニルトリメトキシシ
ラン及び98.189g(0.830モル)のトリメチルエトキシ
シランを500mのN−メチル−2−ピロリドン中に
溶解させ、この溶液を3〜8℃に保ちながらこれに90.5
73g(0.415モル)のピロメリツト酸二無水物を30分
間で添加し、この温度で2時間、さらに45〜50℃で
1時間反応させて均一液を得た。この第1段階反応終了
液をさらに昇温させ120℃で5時間さらに3.744g
(0.208モル)の水を添加して3時間第2段階の反応を
行なつた。この結果、25℃での回転粘度が61センチ
ポイズである淡褐色の透明なポリイミドシロキサン前駆
体の溶液が得られた。この前駆体の対数粘度数は0.063
でありイミド化率は95%であつた。
参考例3 参考例1と同様の装置及び方法で16.576g(0.0828モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、12.219
g(0.0552モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン及び2.876g(0.0276モル)のトリメチルメトキシ
シランを500mのN,N−ジメチルホルムアミド中
に溶解させ、この溶液を5〜10℃に保ちながらこれに
35.568g(0.110モル)の3,3′,4,4′−ベンゾ
フエノンテトラカルボン酸二無水物を30分間で添加
し、この温度で1時間、さらに40〜45℃で1時間反
応させて均一液を得た。この第1段階反応終了液を昇温
させ90℃で22時間第2段階の反応を行なつた。この
結果、25℃での回転粘度が97センチポイズである淡
褐色の透明なポリイミドシロキサン前駆体の溶液が得ら
れた。この前駆体の対数粘度数は0.46であり、イミド化
率は68%であつた。
参考例4 参考例1と同様の装置及び方法で26.350g(0.132モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、9.433
g(0.0526モル)の3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン及び3.477g(0.0263モル)のトリメチルアセトキ
シシランを500mのN−メチル−2−ピロリドン中
に溶解させ、この溶液を5〜10℃に保ちながらこれに
34.445g(0.158モル)のピロメリツト酸二無水物を3
0分間で添加し、この温度で3時間、さらに45〜50
℃で30分間反応させて均一液を得た。この第1段階反
応終了液をさらに昇温させ100℃で10時間第2段階
の反応を行なつた。この結果、25℃での回転粘度が4
30センチポイズである淡褐色の透明なポリイミドシロ
キサン前駆体の溶液が得られた。この前駆体の対数粘度
数は0.72でありイミド化率は57%であつた。
参考例5 参考例1と同様の装置及び方法で10.603g(0.0780モ
ル)のm−キシリレンジアミン、11.507g(0.0520モ
ル)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び1.53
8g(0.0130モル)のトリメチルエトキシシランを50
0mのN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、こ
の溶液を5〜10℃に保ちながらこれに22.673g(0.10
4モル)のピロメリツト酸二無水物を30分間で添加
し、この温度で1時間、さらに30〜35℃で1時間反
応させて均一液を得た。この第1段階反応終了液を昇温
させて100℃で7時間第2段階の反応を行なつた。こ
の結果、25℃での回転粘度が41センチポイズである
淡褐色の透明なポリイミドシロキサン前駆体の溶液が得
られた。この前駆体の対数粘度数は0.56でありイミド化
率は84%であつた。
参考例6 参考例1と同様の装置で24.567g(0.123モル)の4,
4′−ジアミノジフエニルエーテル及び26.171g(0.12
3モル)のp−アミノフエニルトリメトキシシランを5
00mのN−メチル−2−ピロリドン中に溶解させ、
この溶液を5〜10℃に保ちながらこれに40.144g(0.
184モル)のピロメリツト酸二無水物を40分間で添加
し、この温度で2時間、さらに45〜50℃で1時間反
応させて均一液を得た。この第1段階反応終了液に3.63
8g(0.0308モル)のトリメチルエトキシシランを添加
した後昇温させ、100℃で5時間第2段階の反応を行
なつた。この結果、25℃での回転粘度が110センチ
ポイズである淡褐色の透明なポリイミドシロキサン前駆
体の溶液が得られた。
この前駆体の対数粘度数は0.33でありイミド化率は78
%であつた。
参考例7 参考例1と同様の装置及び方法で27.889g(0.139モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルエーテル、7.617
g(0.0398モル)の3−アミノプロピルメチルジエトキ
シシラン及び1.177g(0.0099モル)のトリメチルエト
キシシランを500mのN−メチル−2−ピロリドン
中に溶解させ、この溶液を5〜10℃に保ちながらこれ
に34.721g(0.159モル)のピロメリツト酸二無水物を
30分間で添加し、この温度で2.5時間、さらに30〜
35℃で2時間反応させて均一液を得た。この第1段階
反応終了液を昇温させ100℃で12時間第2段階の反
応を行なつた。この結果、25℃での回転粘度が2,170
センチポイズの淡褐色の透明なポリイミドシロキサン前
駆体の溶液が得られた。この前駆体の対数粘度数は1.56
でありイミド化率は52%であつた。
参考例8 参考例1と同様の装置及び方法で30.575g(0.195モ
ル)の4,4′−ジアミノジフエニルメタン、10.769g
(0.0486モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、7.846g(0.0486モル)の3−アミノプロピルジメ
チルエトキシシラン及び4.312g(0.0365モル)のトリ
メチルエトキシシランを500mのN−メチル−2−
ピロリドン中に溶解させ、この溶液を5〜10℃に保ち
ながらこれに71.553g(0.243モル)3,3′、4,
4′−ビフエニルテトラカルボン酸二無水物を30分間
で添加し、この温度で1時間、さらに50〜55℃で2
時間反応させ均一液を得た。
その後この第1段階反応終了液をさらに昇温させ、10
0℃で6時間第2段階の反応を行なつた。
この結果、25℃での回転粘度が3,200センチポイズで
ある淡褐色の透明なポリイミドシロキサン前駆体の溶液
が得られた。この前駆体の対数粘度数は1.21であり、イ
ミド化率は73%であつた。
参考例9 参考例1と同様の装置及び方法で35.350g(0.167モ
ル)の4,4′−ジアミノベンゾフエノン、11.938g
(0.0666モル)の3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン及び5.909g(0.0500モル)のトリメチルn−プロポ
キシシランを500mのN−メチル−2−ピロリドン
中に溶解させ、この溶液を5〜10℃に保ちながらこれ
に43.592g(0.200モル)のピロメリツト酸二無水物を
30分間で添加し、この温度で2時間さらに40〜45
℃で1時間反応させ均一液を得た。その後この第1段階
反応終了液をさらに昇温させ100℃で7時間第2段階
の反応を行なつた。この結果、25℃での回転粘度が6
80センチポイズである淡褐色の透明なポリイミドシロ
キサン前駆体の溶液が得られた。この前駆体の対数粘度
数は0.69であり、イミド化率は67%であつた。
実施例1 次のような塗布焼成試験を行なつた。
各参考例で得られたポリイミドシロキサン前駆体の溶液
及び比較参考例2〜4で得られた最終の反応生成液を塗
布液として用い、これらを1μmのフイルターで過し
た後、スピンナーによりガラス板上に塗布し、さらに1
00℃、200℃または300℃で1時間焼成し、塗膜
の状況を観察した結果を第1表に示す。なお各参考例で
得られた第1段階反応終了液(イミド化前の溶液)を参
考比較例として該当する参考例と同一の番号で示し、こ
れらを用いて上記と同様に行なつた塗布・焼成試験結果
も併わせて示す。
実施例2 次のような接着性試験を行なつた。
スライドガラスの表面に第2表に示す各種塗布液をスピ
ンナーにより塗布し、各々を100℃、200℃または
300℃で1時間焼成し、1〜2μmの塗膜を形成せし
めた。その後90℃、相対湿度95%に保たれた恒温恒
湿室中で4時間処理した後、得られた塗膜に切目を入れ
て一辺2mmの正方形の小片に細分し、その表面にセロハ
ンテープをはり付け直ちにはがした。そのときセロハン
テープとともにはがれた塗膜小片の数をはがす前の10
0個当たりの数で表わした。
結果を第2表に示す。
第1表及び第2表の結果から、本発明に係る前駆体は、
その溶液を塗布して後に行なう焼成の条件が低温(10
0〜200℃)かつ短時間(1時間程度)であつても充
分に強度と接着力のある塗膜を形成することが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は参考例1で得られた本発明における可溶性ポリ
イミドシロキサン前駆体の赤外線吸収スペクトル図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の式(1) −R−(I)−[R−(I)−]− ・・・(1) [ここに(n+1)個の各(I)は独立に下記の式
    (2)、(3)及び(4) のいずれかの構成単位を表し、かつRは4価の炭素環
    式芳香族基を表し、Rは炭素数2〜12個の脂肪族
    基、炭素数4〜30個の脂環式基、炭素数6〜30個の
    芳香脂肪族基、または炭素数6〜30個の炭素環式芳香
    族基を表し、 Rは−(CHS−、 または (ただしsは1〜4の整数を示す)を表す。nはn≦1
    8の値をとる。] で表されるイミド・アミド酸連鎖部が下記の式(5)−
    SiR 3-m m-1−O−SiR 3-m m-1− ・・・(5) [ここに各Rは独立に炭素数1〜6のアルキル基、フ
    ェニル基又は炭素数7〜12個のアルキル置換フェニル
    基を表し、各Y独立にアルコキシ基、アセトキシ基、
    ハロゲン、水酸基、−(O)1/2−または下記の式
    (6) RSi−O− ・・・(6) {ここにR、RおよびRは独立に炭素数1〜6の
    アルキル基、フェニル基又は炭素数7〜12個のアルキ
    ル置換フェニル基を表す。} で表される基を表し、mは1≦m≦3の値をとる。] で表される結合構造により結合されていて、下記の式
    (7) Y m 3-mSi− ・・・(7) [ここに各Yは独立にアルコキシ基、アセトキシ基、
    ハロゲン、水酸基又は前記式(6)で表される基を表
    し、各R及びmは式(5)の場合と同じである] で表される基が末端基として存しており、後記前駆体分
    子全体としてY又はYの内少なくとも1つが式
    (6)で表される基であり、かつ分子全体として下記の
    式(8) [ここにa:イミド化率 W:式(2)で表される構成単位の総数 P:式(3)で表される構成単位の総数 Q:式(4)で表される構成単位の総数 を表す。] で定義されるイミド化率aが50〜100%であり、か
    つRの総数BとRの総数Dとが下記の式(9) で表される関係にあり、下記式(100) (H)(J)(S) ・・・(100) [ただし、ここに(H)、(J)及び(S)は各々前記
    式(1)、(5)及び(7)で示される構造を表し、
    h、j及びsは各々(H)、(J)及び(S)の総数を
    表し、rを前記式(6)で示される構造の総数を表す
    と、h、j、s及びrの間には下記式(15−1)及び
    (16−1)の関係が存する。 で表される構造を主成分として、 かつN−メチル−2−ピロリドン中、 温度30±0.01℃、濃度0.5g/dlで測定された
    対数粘度数が0.05〜5dl/gである可溶性ポリイミ
    ドシロキサン前駆体を含む溶液を 50〜450℃で焼成することにより溶媒を蒸発させる
    とともに該前駆体を架橋させることを特徴とする架橋ポ
    リイミドシロキサンの製造方法。
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