JPH062270A - 玉虫調繊維構造物 - Google Patents

玉虫調繊維構造物

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JPH062270A
JPH062270A JP4181808A JP18180892A JPH062270A JP H062270 A JPH062270 A JP H062270A JP 4181808 A JP4181808 A JP 4181808A JP 18180892 A JP18180892 A JP 18180892A JP H062270 A JPH062270 A JP H062270A
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fiber structure
woven
fabric
knitted
iridescent
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JP4181808A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ono
啓 小野
Shohei Taniguchi
庄平 谷口
Masayuki Suzuki
政幸 鈴木
Toshikazu Suzuki
敏和 鈴木
Eigo Nakajima
英吾 中嶋
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SUZUTORA SEISEN KOJO KK
Kanebo Ltd
Original Assignee
SUZUTORA SEISEN KOJO KK
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 見る角度で違った色に見える玉虫調の美しい
繊維構造物が得られるようにすると共に、この繊維構造
物に剪断力等が加わっても、繊維構造物がスリップして
玉虫調の美しい光沢が低下するということがないように
する。 【構成】 高分子重合体で構成されたフィラメント糸1
を用いて繊維構造物10を得るにあたり、フィラメント
糸1として偏平率が2以上になったフィラメント糸1を
用いて繊維構造物10を製織又は製編するようにし、或
いは通常のフィラメント糸1を用いて製織又は製編され
た繊維構造物10をカレンダー処理して平滑化させるよ
うにし、平坦になった繊維構造物10の少なくとも片面
に金属層11と透明な薄膜12とを積層させるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、玉虫調の光沢を有す
る玉虫調繊維構造物に係り、特に、綺麗な玉虫調の光沢
を有すると共に、スリップや目がえりが起きにくく耐久
性に優れた玉虫調繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な光沢の繊維構造物を得
るために様々な研究がなされ、近年においては、特開昭
62−187023号公報や特公平2−15663号公
報等に示されるように、繊維構造物の表面に金属層等を
設けるようにしたものが開発された。
【0003】ここで、特開昭62−187023号公報
に示される金属複合繊維シート状物においては、繊維シ
ート状物の表面における平部分に金属層を設け、繊維シ
ート状物に金属光沢を付与するようにしたものが開示さ
れている。
【0004】しかし、同公報に示されるように、繊維シ
ート状物の表面に単に金属層を設けただけでは、繊維シ
ート状物に金属光沢が付与されるだけであり、見る角度
で違った色彩に見えるいわゆる玉虫調のものは得られな
かった。
【0005】また、特公平2−15663号公報に示さ
れる顕色繊維物においては、繊維物の表面に酸化時に透
明被膜となりうる金属よりなる第1層をスパッタリング
により設け、この第1層の表面に前記第1層を形成する
金属酸化物よりなる第2層をスパッタリングにより設け
るようにしており、これによって宝石調や金属調の美し
い色を呈するようになった繊維構造物が開示されてい
る。
【0006】しかし、上記のように単に繊維物の表面に
金属からなる第1層と、透明な金属酸化物からなる第2
層とを設けただけでは、繊維物の表面における凹凸によ
り、金属からなる第1層と透明な金属酸化物からなる第
2層との間の光の干渉がうまく行なわれず、このため綺
麗な玉虫調の光沢を有する繊維物を得ることは困難であ
った。
【0007】また、特開昭62−187023号公報や
特公平2−15663号公報に示されるように、繊維構
造物の表面に金属層や、更にこの金属層の上に透明な金
属酸化物層を設けるにあたり、その繊維構造物として、
通常に製織又は製編された織物や編物からなる繊維構造
物を用いると、繊維構造物に加わる剪断力等によって、
この繊維構造物にスリップや目がえりが生じ、繊維構造
物の表面に形成された金属層等による光沢が低下する等
の問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、繊維構造
物の表面に金属層等を設けて、玉虫調の光沢を有する繊
維構造物を得る場合における上記のような問題を解決す
ることを課題とするものである。
【0009】すなわち、この発明においては、繊維構造
物の表面に金属層と透明な薄膜とを積層させて玉虫調繊
維構造物を得るにあたり、この繊維構造物の表面に形成
された金属層と透明な薄膜との間で光がうまく干渉し合
い、見る角度で違った色に見える玉虫調の美しい繊維構
造物が得られるようにすると共に、この繊維構造物に剪
断力等が加わっても、繊維構造物がスリップや目がえり
して玉虫調の美しい光沢が低下するということがないよ
うにすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1の玉
虫調繊維構造物においては、上記のような課題を解決す
るため、高分子重合体で構成された偏平率が2以上のフ
ィラメント糸1を用いて製織又は製編された織物又は編
物からなる繊維構造物10の少なくとも片面に、金属層
11と透明な薄膜12とを積層させるようにしたのであ
る。
【0011】また、この発明に係る第2の玉虫調繊維構
造物においては、高分子重合体で構成されたフィラメン
ト糸1を用いて製織又は製編された織物又は編物からな
る繊維構造物10をカレンダー処理して平滑化させ、こ
のように平滑化された繊維構造物10の平滑面に、金属
層11と透明な薄膜12とが積層させるようにしたので
ある。
【0012】ここで、上記のフィラメント糸1を構成す
る高分子重合体としては、ポリアミド重合体,ポリエス
テル重合体,ポリオレフィン重合体,アクリルニトリル
を主成分とするアクリル系重合体等を用いることができ
るが、強度や寸法安定性の点を考慮すると、6−ナイロ
ンや6,6−ナイロンに代表されるポリアミド重合体ま
たはポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエス
テル重合体を用いるようにすることが好ましい。
【0013】また、上記のフィラメント糸1に偏平糸を
用いる場合において、そのフィラメント糸1における偏
平率は、図1の(A)に示すようなフィラメント糸1に
おいては、偏平状になったフィラメント糸1の横断面の
長軸Lと短軸lとの比(L/l)で表わされ、また同図
の(B)に示すように、その厚みに片寄りがあるフィラ
メント糸1においては、上記長軸L及び短軸lはそれぞ
れ実質的に最大の値をとってその比(L/l)で表わす
ようにする。
【0014】ここで、フィラメント糸1に偏平糸を用い
る場合において、上記のように偏平率が2以上のフィラ
メント糸1を用いるようにしたのは、偏平率が低いフィ
ラメント糸1を用いて織物又は編物からなる繊維構造物
10を製織又は製編すると、得られた繊維構造物10の
表面に凹凸が生じ、この繊維構造物10の表面に金属層
11や透明な薄膜12を形成すると、繊維構造物10の
表面に形成された金属層11や透明な薄膜12にも凹凸
が生じて、金属層11と透明な薄膜12との間の光の干
渉がうまく行なわれなくなるためであり、好ましくは、
偏平率が3以上のフィラメント糸1を用いるようにす
る。但し、あまり偏平なフィラメント糸1は工業的に生
産しにくいため、通常は偏平率が6以下のフィラメント
糸1を用いるようにする。
【0015】また、上記のような偏平なフィラメント糸
1を用いて織物又は編物からなる繊維構造物10を製織
又は製編するにあたり、上記のフィラメント糸1を加撚
すると、繊維構造物10の表面にこのフィラメント糸1
の偏平な面が表われなくなって、繊維構造物10の表面
に凹凸が生じるおそれがあるため、加撚を少なくする方
が好ましいが、一方、製織性や製編性を向上させるため
には、ある程度の加撚を行なうことが好ましく、上記の
フィラメント糸1を加撚する場合には、一般には300
T/M以下、好ましくは150T/M以下になるように
する。
【0016】一方、上記第2の玉虫調繊維構造物の場合
において、繊維構造物10をカレンダー処理して平滑化
させるにあたっては、ペーパーカレンダー,コットンカ
レンダー,シュライナーカレンダー,エンボスカレンダ
ー,フリクションカレンダー等の一般的なカレンダー類
又はロータリープレス等のプレス機を使用して平滑化さ
せることができ、通常、130〜200℃の温度で処理
させるようにすることが好ましい。
【0017】また、繊維構造物10が織物10である場
合において、上記のフィラメント糸1を用いて織物10
を製織するにあたっては、下記の式に表わされるカバー
ファクターKの値が15以上になるようにして織物10
を製織することが好ましい。 K=経糸密度/(経糸綿番手)1/2+緯糸密度/(経糸
綿番手)1/2
【0018】このようにカバーファクターKの値が15
以上になるようにして織物10を製織すると、得られた
織物10の組織が密になり、この織物10に大きな剪断
力等が加わっても、織物10がスリップしなくなる。
【0019】一方、繊維構造物10が編物10である場
合において、上記のフィラメント糸1を用いて編物10
を製編するにあたっては、編目密度が平方インチ当たり
4000以上になるようにして編物10を製編すること
が好ましい。
【0020】なお、上記編目密度とは、平方インチ当た
りの編目数を意味し、次式で求められる値である。 編目密度=W×C ここで、Wは1インチ当たりのウエール数,Cは1イン
チ当たりのコース数である。
【0021】このように編目密度が平方インチ当たり4
000以上になるようにして編物10を製編すると、得
られた編物10の組織が密になり、この編物10に大き
な剪断力等が加わっても、編物10が目がえりしなくな
る。
【0022】また、上記のように製織又は製編された織
物又は編物からなる繊維構造物10の少なくとも片面に
コーティング層を設けるようにすることが好ましい。こ
のように繊維構造物10の少なくとも片面にコーティン
グ層を設けると、繊維構造物10における目がずれにく
くなり、この繊維構造物10に表面に大きな剪断力等が
加わっても、繊維構造物10にスリップや目がえりが生
じるということがなくなる。
【0023】ここで、上記のように繊維構造物10にコ
ーティング層を設けるにあたり、コーティング層を構成
する材料としは、ポリアクリル酸エステル樹脂,ポリウ
レタン樹脂,シリコーン樹脂,塩化ビニル樹脂等を用い
ることができ、またそのコーティング方法としては、乾
式コーティング、湿式コーティングの何れであってもよ
く、フローティングナイフコーター,ナイフオーバーロ
ールコーター,リバースロールコーター,ロールドクタ
ーコーター,グラビアロールコーター,キスロールコー
ター等を用いることができる。
【0024】次に、上記のようにして製織又は製編され
た織物又は編物からなる繊維構造物10の少なくとも片
面に金属層11を形成するにあたっては、一般に行なわ
れている公知の方法を用いることができ、例えば、スパ
ッタリング法,イオンビーム法,真空蒸着法,イオンプ
レーティング法等によって金属層11を上記の繊維構造
物10の表面に設けるようにする。
【0025】また、上記のようにして繊維構造物10の
表面に形成する金属層11を構成する金属は、特に限定
されるわけではないが、一般には、チタン,アルミニウ
ム,銅,スズ,金,銀,亜鉛,ジルコニウム,ニッケ
ル,コバルト,クロム,アンチモン,ニオブ等の金属の
他に、ステンレス鋼,銅合金,アルミ合金,チタン合金
等の合金を用いることができる。
【0026】また、上記のようにして繊維構造物10の
表面に形成された金属層11の上に透明な薄膜12を積
層させるにあたっては、様々な透明な薄膜12を用いる
ことができるが、一般には透明な金属酸化物からなる薄
膜12を設けるようにし、特に玉虫調の美しい繊維構造
物を得るためには、上記金属層11を構成する金属にチ
タンを用いると共に、この透明な金属酸化物からなる薄
膜12として酸化チタンの薄膜を設けるようにすること
が好ましい。なお、透明な金属酸化物の薄膜12を設け
るにあたっては、上記金属層11の場合と同様に、スパ
ッタリング法,イオンビーム法,真空蒸着法,イオンプ
レーティング法等の方法によって形成することができ
る。
【0027】
【作用】この発明に係る第1の玉虫調繊維構造物におい
ては、高分子重合体で構成された偏平率が2以上のフィ
ラメント糸1を用いて織物又は編物からなる繊維構造物
10を製織又は製編するようにしたため、得られた繊維
構造物10の表面が平坦になる。
【0028】また、この発明に係る第2の玉虫調繊維構
造物においては、高分子重合体で構成されたフィラメン
ト糸1を用いて製織又は製編した織物又は編物からなる
繊維構造物10をカレンダー処理するようにしたため、
得られた繊維構造物10の表面が平坦になる。
【0029】そして、上記のように平坦になった繊維構
造物10の少なくとも片面に金属層11と透明な薄膜1
2とを積層させると、積層された金属層11と透明な薄
膜12も平坦な状態になり、このように金属層11と透
明な薄膜12とが平坦に積層された繊維構造物10の表
面に光が当たった場合、この繊維構造物10の表面にお
ける光の乱反射が少なく、金属層11と透明な薄膜12
との間で光がうまく干渉し合い、見る角度で違った色に
見えるいわゆる玉虫調の綺麗な繊維構造物が得られるよ
うになる。
【0030】また、上記の繊維構造物10が織物である
場合において、上記のフィラメント糸1を用いて織物1
0を製織するにあたり、前記のカバーファクターKの値
が15以上になるようにして織物10を製織すると、こ
の織物10に大きな剪断力等が加わっても、織物10が
スリップするということがなく、この織物10の表面に
形成された上記金属層11と透明な薄膜12との間にお
ける光の干渉が安定して行なわれるようになり、耐久性
のある玉虫調繊維構造物が得られる。
【0031】一方、上記の繊維構造物10が編物である
場合において、上記のフィラメント糸1を用いて編物1
0を製編するにあたり、編目密度が平方インチ当たり4
000以上になるようにして編物10を製編すると、こ
の編物10に大きな剪断力等が加わっても、編物10が
目がえりするということがなく、この編物10の表面に
形成された上記金属層11と透明な薄膜12との間にお
ける光の干渉が安定して行なわれるようになり、耐久性
のある玉虫調繊維構造物が得られる。
【0032】
【実施例】以下、この発明の実施例に係る玉虫調繊維構
造物について具体的に説明する。
【0033】(実施例1)この実施例においては、ポリ
エチレンテレフタレートをスリット状のオリフィスより
溶融紡糸し、延伸させて50デニール/12フィラメン
トの偏平なフィラメント糸1を得た。なお、このように
して得たフィラメント糸1の断面は、前記図1の(A)
に示すような形状であり、その偏平率は4.1であっ
た。
【0034】そして、この偏平なフィラメント糸1を用
いて無撚状態で織物10を製織し、経糸密度が113本
/インチ,緯糸密度が104本/インチになった織物1
0を得た。なお、このようにして得た織物10における
上記カバーファクターKの値は21.0であった。
【0035】次いで、この織物10に対して、公知の方
法によって精練及びヒートセットを施した。
【0036】そして、このようにして得た織物10の表
面に対してスパッタリングにより、図2に示すように、
チタンからなる金属層11と、酸化チタンからなる透明
な薄膜12とを積層させるようにした。
【0037】ここで、上記織物10の表面にスパッタリ
ングによってチタンからなる金属層11と、酸化チタン
からなる透明な薄膜12とを積層させるにあたっては、
図3に示すような縦型低温ハイレートスパッタリング装
置(徳田製作所社製,型番CFS−36PV)を用いる
ようにした。
【0038】このスパッタリング装置においては、同図
に示すように、その容体20内に、スパッタリングさせ
るチタンが少なくとも表面部に設けられた円筒形の陰極
21と棒状の陽極22とを所要間隔を介して設け、この
陽極22と前記陰極21との間に500〜1000Vの
直流電圧を印加させるようにした。
【0039】また、前記のように製織した織物10をこ
の容体20内にセットするにあたっては、この織物10
の帯電の程度に応じて、織物10の静電除去を行なうよ
うにし、この織物10をロール状に巻いて、前記陽極2
2側に設けられた送り出し軸23にセットすると共に、
このようにセットされた織物10を巻取り軸24にかけ
渡し、この巻取り軸24をモータ25及び伝達部26を
介して回転させるようにし、送り出し軸23にセットさ
れた上記織物10を巻取り軸24に順次巻き取るように
した。
【0040】また、上記の容体20に対しては、容体2
0内における圧力を減圧するため、バルブ27aを介し
て真空ポンプ27を接続させるようにし、またスパッタ
リングを行なう場合に使用するガスを容体20内に供給
するため、バルブ28a,29a及び流量計28b,2
9bを介してそれぞれアルゴンガスを収容させたボンベ
28と酸素ガスを収容させたボンベ29とを接続させ、
さらに容体20内に供給されたアルゴンガスや酸素ガス
の圧力を所定値に維持させながら容体20内における各
ガスを排出させるため、バルブ30aを介して排出装置
30を接続させるようにした。
【0041】ここで、上記のスパッタリング装置を用い
て、上記の織物10の表面に対してスパッタリングを行
ない、この織物10の表面にチタンで構成された金属層
11を形成するにあたっては、容体20内の空気を真空
ポンプ27によって減圧した後、アルゴンガスを収容さ
せたボンベ28から容体20内にアルゴンガスを送り込
むと共に、このように容体20内に送りこまれたアルゴ
ンガスを排出装置30から徐々に排出させて、容体20
内を低圧のアルゴンガス雰囲気に保持するようにした。
【0042】そして、この状態で、表面部にチタンが設
けられた円筒形の陰極21と棒状の陽極22との間に直
流高電圧を印加し、容体20内におけるアルゴン分子を
解離させてアルゴンイオンを生成させた。このようにし
てアルゴンイオンが生成すると、生成されたアルゴンイ
オンが陰極21側に加速されて陰極21に衝突し、この
衝突により陰極21の表面部におけるチタンが叩き出さ
れ、このように叩き出されたチタンが容体20内に飛散
して上記織物10の表面に付着し、織物10の表面にチ
タンで構成された金属層11が形成された。
【0043】ここで、上記のように織物10の表面にチ
タンからなる金属層11を形成するにあたっては、上記
容体20内におけるアルゴンガスの圧力が、3×10-4
〜9×10-2Torrの範囲内になるように選択した。
この理由は、容体20内におけるアルゴンガスの圧力が
3×10-4Torr以下であると、スパッタリングが困
難になる一方、9×10-2Torr以上であると、ブラ
ッキング現象が起こりやすくなり、織物10に付着した
チタン金属が黒ずむためである。
【0044】そして、このようにして織物10の表面に
チタンで構成された金属層11を形成しながら、織物1
0を送り出し軸23から徐々に巻取り軸24に送って織
物10の表面全体に連続してチタンからなる金属層11
を形成するようにした。
【0045】ここで、織物10の表面に形成するチタン
で構成された金属層11の厚みは、上記織物10の送り
出し速度によって調整するようにした。なお、織物10
の表面に形成するチタンで構成された金属層11の厚み
については特に限定されないが、一般に100〜100
00Åの範囲内になるようにした。
【0046】そして、このようにして織物10の表面に
金属層11を形成した後は、バルブ29aも開けて、ア
ルゴンガスを収容させたボンベ28と酸素ガスを収容さ
せたボンベ29とから容体20内にアルゴンガスと酸素
ガスを送り込み、この容体20内をアルゴンガスと酸素
ガスの低圧混合雰囲気に保持させた後、上記金属層11
を設ける場合と同様に、陰極21と陽極22との間に直
流高電圧を印加し、陰極21の表面におけるチタンを叩
き出すようにした。
【0047】このようにして陰極21の表面におけるチ
タンを叩き出して容体20内に飛散させた場合、容体2
0内には酸素ガス及び酸素ガスから解離した活性の高い
酸素イオンが存在しているため、飛散されたチタンは直
ちに酸化されて酸化チタンとなり、このように酸化され
た酸化チタンが上記のように金属層11が形成された織
物10の表面に付着し、上記金属層11の表面に酸化チ
タンからなる透明な薄膜12が形成された。
【0048】そして、このようにして織物10の表面に
形成された金属層11の表面に酸化チタンからなる透明
な薄膜12を形成しながら、織物10を徐々に送って織
物10の表面全体に形成された金属層11の上に連続し
て酸化チタンからなる透明な薄膜12を形成するように
した。
【0049】ここで、チタンで構成された金属層11の
上に形成する酸化チタンからなる透明な薄膜12の膜厚
は、可視光線が干渉し得る可視光線の波長の1/80〜
1/4の範囲、一般的には20〜2000Åの範囲にな
るように設定し、徐々にこの透明な薄膜12の膜厚を変
化させるようにした。
【0050】なお、上記のようにスパッタリングを行な
って織物10の表面に金属層11と透明な薄膜12とを
形成するにあたり、この実施例においては、容体20内
にアルゴンガスを収容させるようにしたが、アルゴンガ
ス以外にネオン,キセノン等の不活性ガスを使用するこ
とができる。
【0051】次いで、上記のようにスパッタリングを行
なって表面に金属層11と透明な薄膜12とを形成した
織物10の裏面に、ポリアクリル酸エステル樹脂(帝国
化学社製,帝産レジン SG51)が100重量部、メ
ラミン樹脂(根上工業社製,パラクロンMB111C)
が2重量部、メラミン樹脂用触媒(根上工業社製,パラ
クロンMB2000C)が0.02重量部、シリコーン
樹脂(信越化学社製,ポロンコートE)が3重量部、シ
リコーン樹脂用触媒(信越化学社製,キャタリスト P
C)が0.03重量部の割合で含まれ、粘度が1500
0cpsになった溶液をナイフオーバーロールコーター
を用いて塗布し、これを120℃で30秒間乾燥させた
後、さらに170℃で30秒間熱処理して、上記織物1
0の裏面に、図2に示すようにコーティング層13を形
成した。なお、上記溶液の塗布量は20g/m2 であっ
た。
【0052】(実施例2)この実施例においては、上記
実施例1において用いたのと同じ偏平率が4.1の偏平
なフィラメント糸1を用い、このフィラメント糸1を無
撚状態で32ゲージの丸編機を使用して製編し、編目密
度が5000本/インチ2 になった編物10を得た。
【0053】その後は、この編物10に対して、上記実
施例1の場合と同様にして、準備処理、スパッタリング
処理及びコーティング処理を行ない、上記編物10の表
面に金属層11と透明な薄膜12を形成する一方、この
編物10の裏面にコーティング層13を形成した。
【0054】(実施例3)この実施例においては、偏平
率が1の通常の50デニール/12フィラメントからな
るフィラメント糸1を用い、このフィラメント糸1を5
00T/Mの撚数にして織物10を製織し、経糸密度が
113本/インチ,緯糸密度が104本/インチになっ
た織物10を得た。なお、このようにして得た織物10
における上記カバーファクターKの値は21.0であっ
た。
【0055】そして、このように製織した織物10に、
通常の公知の方法により精練及びヒートセットを施した
後、この織物10に対して、2m当たりに50トンの力
が作用するシュライナーカレンダーを用い、180℃で
30m/minの速度でカレンダー処理を行ない、上記
織物10を平滑化させた。
【0056】次いで、このように平滑化された織物10
に対して、上記実施例1の場合と同様にして、スパッタ
リング処理及びコーティング処理を行ない、上記織物1
0の表面に金属層11と透明な薄膜12とを形成する一
方、織物10の裏面にコーティング層13を形成した。
【0057】(実施例4)この実施例においては、上記
実施例3において用いたのと同じフィラメント糸1を用
い、このフィラメント糸1を32ゲージの丸編機を使用
して製編し、編目密度が5000本/インチ2 になった
編物10を得た。
【0058】そして、このように製編された編物10に
対して、上記実施例3の場合と同様に、精練及びヒート
セットを行ない、またシュライナーカレンダーを用い
て、カレンダー処理を行なって上記編物10を平滑化さ
せた後、スパッタリング処理及びコーティング処理を行
ない、上記編物10の表面に金属層11と透明な薄膜1
2とを形成する一方、編物10の裏面にコーティング層
13を形成した。
【0059】ここで、上記の実施例1〜4において得ら
れた各織物10又は編物10において、上記のようにチ
タンからなる金属層11と酸化チタンからなる透明な薄
膜12とを形成された表面に光があたると、各織物10
又は編物10の表面に積層された上記の透明な薄膜12
の表面で反射した光と、この透明な薄膜12を通して金
属層11の表面で反射した光とが干渉し合い、特定な色
に色付いて見えるようになり、また上記のように酸化チ
タンからなる透明な薄膜12の膜厚を変化させると、任
意の波長の可視光線の反射が抑えられて同波長の色彩を
呈するようになり、様々な色彩に色付いて玉虫調に発色
する玉虫調繊維構造物が得られた。
【0060】また、上記の実施例1及び実施例2のもの
においては、偏平率が4.1の偏平なフィラメント糸1
を用い、このフィラメント糸1を無撚状態で製織又は製
編した織物10又は編物10の表面に、チタンからなる
金属層11と酸化チタンからなる透明な薄膜12とを積
層させるようにしたため、上記金属層11及び透明な薄
膜12が織物10又は編物10の表面に平坦に形成さ
れ、これらの表面における光の乱反射が少なくなり、金
属層11と透明な薄膜12との間での光の干渉がうまく
行なわれ、綺麗な玉虫調に発色する玉虫調繊維構造物が
得られた。
【0061】一方、上記の実施例3及び実施例4のもの
においても、通常のフィラメント糸1を用いて製織又は
製編した織物10又は編物10に対してカレンダー処理
を行ない、これによりこれらの織物10又は編物10の
表面を平滑化させ、このように平滑化された織物10又
は編物10の表面にチタンからなる金属層11と酸化チ
タンからなる透明な薄膜12とを積層させるようにした
ため、上記金属層11及び透明な薄膜12が織物10又
は編物10の表面に平坦に形成され、これらの表面にお
ける光の乱反射が少なくなり、金属層11と透明な薄膜
12との間での光の干渉がうまく行なわれ、綺麗な玉虫
調に発色する玉虫調繊維構造物が得られた。
【0062】さらに、上記の実施例1及び実施例3のも
のにおいては、上記のようにカバーファクターKの値が
21.0という高い密度で織物10を製織すると共に、
この織物10の裏面にコーティング層13を形成するよ
うにし、また上記の実施例2及び実施例4のものにおい
ても、編物10を編目密度が5000本/インチ2 と高
い密度で製編すると共に、この編物10の裏面にコーテ
ィング層13を形成するようにしたため、これらの織物
10や編物10に大きな剪断力等が加わった場合であっ
ても、これらの織物10や編物10にスリップや目がえ
りが生じて、織物10や編物10の表面に形成された金
属層11や透明な薄膜12がずれたりするということが
なく、安定性して綺麗な玉虫調に発色する耐久性の高い
玉虫調繊維構造物が得られた。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明に係る第
1の玉虫調繊維構造物においては、高分子重合体で構成
された偏平率が2以上のフィラメント糸を用いて製織又
は製編された織物又は編物からなる繊維構造物の少なく
とも片面に、金属層と透明な薄膜とを積層させるように
し、またこの発明に係る第2の玉虫調繊維構造物におい
ては、高分子重合体で構成されたフィラメント糸を用い
て製織又は製編された織物又は編物からなる繊維構造物
をカレンダー処理して平滑化させ、このように平滑化さ
れた繊維構造物の平滑面に金属層と透明な薄膜とが積層
させるようにしたため、何れの玉虫調繊維構造物におい
ても、上記金属層と透明な薄膜とが平坦になった繊維構
造物の表面に積層されるようになった。
【0064】この結果、上記の第1及び第2の各玉虫調
繊維構造物においては、その表面に光が当たった場合、
繊維構造物の表面において光が乱反射するということが
少なく、透明な薄膜の表面で反射した光と、この透明な
薄膜を通して金属層の表面で反射した光とがうまく干渉
し合うようになり、見る角度で違った色に見え、いわゆ
る玉虫調に綺麗に発色する玉虫調繊維構造物が得られる
ようになった。
【0065】さらに、この発明に係る玉虫調繊維構造物
において、上記のフィラメント糸を用いて織物を製織す
るにあたり、前記の式に示すカバーファクターKの値が
15以上になるようにして織物を製織するようにした
り、また上記のフィラメント糸を用いて編物を製編する
にあたり、編目密度が平方インチ当たり4000以上に
なるようにして編物を製編すると、これらの織物や編物
に大きな剪断力等が加わっても、この織物や編物にスリ
ップや目がえりが生じるということがなく、この織物や
編物からなる繊維構造物の表面に形成された上記金属層
や透明な薄膜がずれるということがなくなり、透明な薄
膜の表面で反射する光と、この透明な薄膜を通して金属
層の表面で反射する光との干渉が安定して行なわれるよ
うになり、安定して綺麗な玉虫調に発色する耐久性の高
い玉虫調繊維構造物が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏平なフィラメント糸の断面形状を示した図面
である。
【図2】この発明の一実施例において製造した玉虫調繊
維構造物の断面構造を示す説明図である。
【図3】同実施例の玉虫調繊維構造物を製造するのに使
用したスパッタリング装置の概略断面図である。
【図4】図3に示すスパッタリング装置の別の箇所にお
ける概略断面図である。
【符号の説明】
1 フィラメント糸 10 繊維構造物(織物,編物) 11 金属層 12 透明な薄膜 13 コーティング層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 政幸 愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅整 染工場内 (72)発明者 鈴木 敏和 愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅整 染工場内 (72)発明者 中嶋 英吾 愛知県蒲郡市浜町36番地 株式会社鈴寅整 染工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子重合体で構成された偏平率が2以
    上のフィラメント糸1を用いて製織又は製編された織物
    又は編物からなる繊維構造物10の少なくとも片面に、
    金属層11と透明な薄膜12とが積層されてなることを
    特徴とする玉虫調繊維構造物。
  2. 【請求項2】 高分子重合体で構成されたフィラメント
    糸1を用いて製織又は製編された織物又は編物からなる
    繊維構造物10がカレンダー処理されて平滑化されたこ
    の繊維構造物10の平滑面に、金属層11と透明な薄膜
    12とが積層されてなることを特徴とする玉虫調繊維構
    造物。
  3. 【請求項3】 上記繊維構造物10が織物10である場
    合に、織物10を製織するにあたり、下記の式に表わさ
    れるカバーファクターKの値が15以上になるようにし
    て織物10を製織したことを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載した玉虫調繊維構造物。 K=経糸密度/(経糸綿番手)1/2+緯糸密度/(経糸
    綿番手)1/2
  4. 【請求項4】 繊維構造物10が編物10である場合
    に、編物10を製編するにあたり、編目密度が平方イン
    チ当たり4000以上になるようにして編物10を製編
    したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した
    玉虫調繊維構造物。
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