JPH06220745A - ジェットルームにおける緯糸引き戻し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】糸切れをもたらさない緯糸引き戻し装置を提供
する。 【構成】緯入れ用メインノズル１，２と巻付方式の緯糸
測長貯留装置３，４との間の支持ブロック５，６上には
タンデムノズル７，８及び引き戻し用ガイド９，１０が
載置されている。引き戻し用糸ガイド９はタンデムノズ
ル７の入口７ｂと対向し、引き戻し用糸ガイド１０はタ
ンデムノズル８の入口８ｂと対向している。支持ブロッ
ク５上の噴射孔５ａは引き戻し用糸ガイド９とタンデム
ノズル７の入口７ｂとの間の緯糸Ｙ₁ の経路を指向して
いる。支持ブロック６上の噴射孔６ａは引き戻し用糸ガ
イド１０とタンデムノズル８の入口８ｂとの間の緯糸Ｙ
₂ の経路を指向している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、緯入れ用メインノズル
の噴射作用によって緯糸を緯入れを行なうジェットルー
ムにおける緯糸引き戻し装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ジェットルームでは筬打ち直後に切断さ
れて緯入れ用メインノズルから延出する緯糸先端部は次
回の緯入れにおいて折り返し、縺れを生じ易い。又、多
色ジェットルームでは隣合う緯糸先端部同士の絡み合い
が生じ易い。このような緯糸先端部の折り返し、縺れ、
絡み合いは緯入れミスをもたらす。

【０００３】そのため、特開平２−２６９８３９号公報
の装置では、緯入れ用メインノズルの手前の緯糸経路上
に緯糸引き戻し用エアノズルの噴射領域を設定してお
き、緯入れ待機状態にある緯糸に対して前記エアノズル
を噴射するようにしている。緯糸引き戻し用エアノズル
の噴射領域の前後には糸ガイドが配置されており、両緯
糸ガイド間の緯糸経路上の緯糸が引き戻し用エアノズル
の噴射作用を受けて側方へ移動する。このような噴射作
用を受けるのは緯入れ待機状態にある緯糸である。緯入
れ待機状態にある緯糸の先端部は緯糸引き戻し用エアノ
ズルの噴射によって緯入れ用メインノズルの筒内に引き
入れられ、緯糸先端部の折り返し、縺れ、絡み合いが防
止される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】緯入れ用メインノズル
から射出された緯糸はスレイ上の緯入れガイドによって
形成される緯入れ通路内を飛走する。そのため、緯入れ
用メインノズルの噴射方向が緯入れ通路の始端を常に指
向するように緯入れ用メインノズルをスレイと一体的に
筬打ち方向へ揺動させる。このような緯入れ用メインノ
ズルの揺動構成のために前記糸ガイドから緯入れ用メイ
ンノズルに至る緯糸経路長は緯入れ１サイクル中で変化
する。従って、糸ガイドと緯入れ用メインノズルとの間
隔が短くなると、緯糸経路に対する経路長変化の割合が
大きくなる。

【０００５】一般的に、筬打ち時期における緯入れ用メ
インノズルの位置と糸ガイドとの間の経路長が最長とな
る。筬打ち間近になると緯入れされた緯糸が閉口状態に
向かう上下経糸によって把持され、経糸によって把持さ
れた緯糸部位と糸ガイドとの間の経路長変化に余裕がな
くなる。そのため、糸ガイドと緯入れ用メインノズルと
の間隔があまり短いと、最短の経路長と最長の経路長と
の差が大きくなり過ぎ、糸切れを起こしてしまう。この
ような糸切れを回避するために経路長変化を抑制する必
要があり、そのために緯入れ用メインノズルと糸ガイド
との間の間隔は適度に広げておかねばならい。

【０００６】又、緯糸測長貯留装置からの引き出し抵抗
を抑制するために緯糸測長貯留装置と糸ガイドとの間隔
を適度に広げる必要がある。そうでないと、糸ガイドに
おける屈曲抵抗が大きくなり、これが引き出し抵抗増と
なる。

【０００７】このような緯糸引き戻し装置の配置構成は
緯糸測長貯留装置と緯入れ用メインノズルとの間の距離
増に繋がる。この距離増は緯糸測長貯留装置から緯入れ
用メインノズルに至る緯糸経路長の増大を意味するが、
この経路長の増大は空気抵抗による緯糸移送抵抗の増大
をもたらす。緯糸移送抵抗の増大を補償するには緯入れ
用メインノズルにおける噴射圧を高める必要があるが、
噴射圧の高圧化は緯糸切れ、エア消費量増大に繋がる。

【０００８】本発明は、緯入れ用噴射圧力の高圧化を回
避し得る緯糸引き戻し装置を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】そのために第１及び第２
の発明では、緯入れ用メインノズルの噴射作用によって
緯糸測長貯留装置から緯糸を引き出して緯入れを行なう
ジェットルームを対象とし、第１の発明では、緯入れ用
メインノズルの入口側に配置された糸ガイドと、緯入れ
用メインノズルの入口と前記糸ガイドとの間の緯糸を緯
入れ時の緯糸経路位置とその側方の引き戻し位置とに切
り換え配置する流体噴射手段とを備えた緯糸引き戻し装
置を構成した。

【００１０】第２の発明では、緯入れ用メインノズルの
入口側に配置された糸ガイドと、緯入れ時の緯糸経路位
置とその側方の引き戻し位置とに前記糸ガイドを切り換
え配置する切り換え駆動手段とを備えた緯糸引き戻し装
置を構成した。

【００１１】第３、第４及び第５の発明では、タンデム
ノズルの噴射作用によって緯糸測長貯留装置から緯糸を
引き出して緯入れ用メインノズル側へ送り出し、緯入れ
用メインノズルの噴射作用によって緯糸を緯入れするジ
ェットルームを対象とし、第３の発明では、タンデムノ
ズルの入口及び出口の少なくとも一方の側に配置された
糸ガイドと、タンデムノズルの入口及び出口の少なくと
も一方と前記糸ガイドとの間の緯糸を緯入れ時の緯糸経
路位置とその側方の引き戻し位置とに切り換え配置する
流体噴射手段とを備えた緯糸引き戻し装置を構成した。

【００１２】第４の発明では、タンデムノズルの入口及
び出口の少なくとも一方の側に配置された糸ガイドと、
同糸ガイドと前記タンデムノズルとの間に配置された引
き戻し用糸ガイドと、緯入れ時の緯糸経路位置とその側
方の引き戻し位置とに前記引き戻し用糸ガイドを切り換
え配置する切り換え駆動手段とを備えた緯糸引き戻し装
置を構成した。

【００１３】第５の発明では、タンデムノズルの入口側
及び出口側に配置された引き戻し用糸ガイドと、緯入れ
時の緯糸経路位置とその側方の引き戻し位置とに前記引
き戻し用糸ガイドを切り換え配置する切り換え駆動手段
とを備えた緯糸引き戻し装置を構成した。

【００１４】

【作用】第１の発明では、緯入れ待機中の緯糸は緯入れ
用メインノズルの入口と引き戻し用糸ガイドとの間で流
体噴射手段の噴射作用によって緯入れ時の緯糸経路から
側方の引き戻し位置へ移動される。この移動により緯入
れ用メインノズルの出口から延出する緯糸先端部が緯入
れ用メインノズル内に引き込まれる。緯入れ用メインノ
ズルの入口は糸ガイドと協働する糸ガイドの役割を果た
す。糸ガイドが緯入れ用メインノズルの入口に近いほど
緯糸の引き戻し量は多くなり、糸ガイドは緯入れ用メイ
ンノズルの入口に可及的に近づけることになる。従っ
て、緯糸測長貯留装置と糸ガイドとの距離は緯糸測長貯
留装置と緯入れ用メインノズルとの間隔とほとんど変わ
らず、緯糸引き戻し装置の存在が緯糸測長貯留装置と緯
入れ用メインノズルとの間の緯糸経路長を増大すること
はない。

【００１５】第２の発明では、引き戻し用糸ガイドが緯
入れ時の緯糸経路から側方の引き戻し位置へ移動され
る。従って、緯糸も緯入れ時の緯糸経路から側方の引き
戻し位置へ移動される。この移動により緯入れ用メイン
ノズルの出口から延出する緯糸先端部が緯入れ用メイン
ノズル内に引き込まれる。

【００１６】第３の発明では、緯入れ待機中の緯糸はタ
ンデムノズルの入口及び出口の少なくとも一方と糸ガイ
ドとの間で流体噴射手段の噴射作用によって緯入れ時の
緯糸経路から側方の引き戻し位置へ移動される。この移
動により緯入れ用メインノズルの出口から延出する緯糸
先端部が緯入れ用メインノズル内に引き込まれる。タン
デムノズルの入口又は出口は糸ガイドと協働する糸ガイ
ドの役割を果たす。糸ガイドがタンデムノズルの入口又
は出口に近いほど緯糸の引き戻し量は多くなる。従っ
て、糸ガイドはタンデムノズルの入口又は出口に可及的
に近づけることになり、タンデムノズルの入口側の糸ガ
イドと緯糸測長貯留装置との距離は緯糸測長貯留装置と
タンデムノズルとの間隔とほとんど変わらない。又、タ
ンデムノズルの出口側の糸ガイドと緯入れ用メインノズ
ルとの距離はタンデムノズルと緯入れ用メインノズルと
の間隔とほとんど変わらない。そのため、緯糸引き戻し
装置の存在が緯糸測長貯留装置と緯入れ用メインノズル
との間の緯糸経路長を増大することはない。

【００１７】第４の発明では、引き戻し用糸ガイドが緯
入れ時の緯糸経路から側方の引き戻し位置へ移動され
る。この移動により緯入れ用メインノズルの出口から延
出する緯糸先端部が緯入れ用メインノズル内に引き込ま
れる。

【００１８】第５の発明では、タンデムノズルの前後の
引き戻し用糸ガイドが緯入れ時の緯糸経路から側方の引
き戻し位置へ移動される。この移動により緯入れ用メイ
ンノズルの出口から延出する緯糸先端部が緯入れ用メイ
ンノズル内に引き込まれる。

【００１９】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図１〜
図３に基づいて説明する。緯入れ用メインノズル１は電
磁開閉弁Ｖ₁ を介して図示しない圧力エア供給源に接続
されており、緯入れ用メインノズル２は電磁開閉弁Ｖ₂
を介して圧力エア供給源に接続されている。緯入れ用メ
インノズル１，２は筬打ち揺動する変形筬１８と一体的
に揺動する。

【００２０】一対の緯入れ用メインノズル１，２と一対
の巻付方式の緯糸測長貯留装置３，４との間には一対の
支持ブロック５，６が不動状態で並設されている。支持
ブロック５にはタンデムノズル７が載置されており、支
持ブロック６にはタンデムノズル８が載置されている。
タンデムノズル７は電磁三方弁Ｖ₃ を介して図示しない
圧力エア供給源に接続されている。タンデムノズル８は
電磁三方弁Ｖ₄ を介して圧力エア供給源に接続されてい
る。

【００２１】支持ブロック５上には引き戻し用糸ガイド
９が取り付けられており、支持ブロック６上には引き戻
し用糸ガイド１０が取り付けられている。引き戻し用糸
ガイド９はタンデムノズル７の入口７ｂと対向し、引き
戻し用糸ガイド１０はタンデムノズル８の入口８ｂと対
向している。緯糸測長貯留装置３から引き出される緯糸
Ｙ₁ は引き戻し用糸ガイド９及びタンデムノズル６を通
る。緯糸測長貯留装置４から引き出される緯糸Ｙ₂ は引
き戻し用糸ガイド１０及びタンデムノズル８を通る。

【００２２】支持ブロック５，６には噴射孔５ａ，６ａ
が上下方向に貫設されており、噴射孔５ａは圧力エア供
給パイプ１１及び圧力調整弁１３を介して電磁三方弁Ｖ
₃ に接続されている。噴射孔６ａは圧力エア供給パイプ
１２及び圧力調整弁１４を介して電磁三方弁Ｖ₄ に接続
されている。噴射孔５ａは引き戻し用糸ガイド９とタン
デムノズル７の入口７ｂとの間の緯糸経路を指向してい
る。噴射孔６ａは引き戻し用糸ガイド１０とタンデムノ
ズル８の入口８ｂとの間の緯糸経路を指向している。

【００２３】電磁三方弁Ｖ₃ ，Ｖ₄ は制御コンピュータ
Ｃからの指令制御を受ける。制御コンピュータＣには入
力設定器１５が電気接続されている。入力設定器１５は
制御コンピュータＣに緯糸カラーパターンを入力するも
のである。制御コンピュータＣは入力設定された緯糸カ
ラーパターンに基づいて電磁三方弁Ｖ₃ ，Ｖ₄ 及び電磁
開閉弁Ｖ₁ ，Ｖ₂ の励消磁制御を行なう。

【００２４】タンデムノズル７は電磁三方弁Ｖ₃ の励磁
によってエア噴射し、タンデムノズル８は電磁三方弁Ｖ
₄ の励磁によってエア噴射する。噴射孔５ａは電磁三方
弁Ｖ ₃ の消磁によってエア噴射し、噴射孔６ａは電磁三
方弁Ｖ₄ の消磁によってエア噴射する。電磁開閉弁Ｖ₁
は電磁三方弁Ｖ₃ と同期して励消磁し、電磁開閉弁Ｖ ₂
は電磁開閉弁Ｖ₄ と同期して励消磁する。

【００２５】電磁ソレノイド１６の励消磁によって駆動
される係止ピン１６ａは緯糸測長貯留装置３の糸巻付面
３ａ上に巻付貯留された緯糸Ｙ₁ の引き出し解舒及び引
き出し阻止を司る。電磁ソレノイド１７の励消磁によっ
て駆動される係止ピン１７ａは緯糸測長貯留装置４の糸
巻付面４ａ上に巻付貯留された緯糸Ｙ₂ の引き出し解舒
及び引き出し阻止を司る。

【００２６】電磁ソレノイド１６は電磁三方弁Ｖ₃ 及び
電磁開閉弁Ｖ₁ と略同期して励磁し、糸巻付面３ａ上の
巻付緯糸Ｙ₁ が係止ピン１６ａの係止作用から解放され
る。係止ピン１６ａの係止作用から解放された緯糸Ｙ₁
はタンデムノズル７の噴射によって緯入れ用メインノズ
ル１側へ送り出される。タンデムノズル７から送り出さ
れた緯糸Ｙ₁ は緯入れ用メインノズル１の噴射によって
変形筬１８前面の緯入れ通路１８ａに向けて緯入れされ
る。緯入れ通路１８ａを飛走する緯糸は図示しない緯入
れ用補助ノズルの噴射作用によって牽引される。

【００２７】電磁ソレノイド１７は電磁三方弁Ｖ₄ 及び
電磁開閉弁Ｖ₂ と略同期して励磁し、糸巻付面４ａ上の
巻付緯糸Ｙ₂ が係止ピン１７ａの係止作用から解放され
る。係止ピン１７ａの係止作用から解放された緯糸Ｙ₂
はタンデムノズル８の噴射によって緯入れ用メインノズ
ル２側へ送り出される。タンデムノズル８から送り出さ
れた緯糸Ｙ₂ は緯入れ用メインノズル２の噴射によって
緯入れ通路１８ａに向けて緯入れされる。

【００２８】電磁三方弁Ｖ₃ ，Ｖ₄ 及び電磁開閉弁
Ｖ₁ ，Ｖ₂ は図３に曲線Ｄ₁ ，Ｄ₂ で示すように緯糸カ
ラーパターンに基づいて励消磁制御される。即ち、電磁
三方弁Ｖ ₃ 及び電磁開閉弁Ｖ₁ は曲線Ｄ₁ で示す期間で
励磁し、電磁三方弁Ｖ₄ 及び電磁開閉弁Ｖ₂ は曲線Ｄ₂
で示す期間で励磁する。このような緯糸カラーパターン
に従った電磁三方弁Ｖ₃ ，Ｖ₄ 及び電磁開閉弁Ｖ₁ ，Ｖ
₂ の励消磁により緯糸Ｙ₁，Ｙ₂ のいずれか１つが緯糸
カラーパターンに従って選択緯入れされる。曲線Ｅ ₁ は
電磁三方弁Ｖ₃ 及び電磁開閉弁Ｖ₁ の消磁期間を示し、
曲線Ｅ₂ は電磁三方弁Ｖ₄ 及び電磁開閉弁Ｖ₂ は曲線Ｄ
₂ を示す。

【００２９】なお、図３の曲線Ｓは筬打ち直後の緯入れ
緯糸の切断タイミングを表す。図２（ａ）は電磁三方弁
Ｖ₃ ，Ｖ₄ の励磁状態を表し、図２（ｂ）は電磁三方弁
Ｖ₃ ，Ｖ₄ の消磁状態を表す。電磁三方弁Ｖ₃ ，Ｖ₄ が
消磁すると、噴射孔５ａ，６ａがエア噴射する。噴射孔
５ａ，６ａは切り換え駆動手段を構成し、引き戻し用糸
ガイド９，１０とタンデムノズル７，８の入口７ｂ，８
ｂとの間の緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ が図２（ａ）の緯糸経路位置
から図２（ｂ）の引き戻し位置へ吹き上げ移動される。
緯入れ用メインノズル１，２の出口１ａ，２ａから延出
する緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ の先端部は、引き戻し用糸ガイド
９，１０と入口７ｂ，８ｂとの間の緯糸移動によって緯
入れ用メインノズル１，２内に引き込まれる。この引き
込み量は圧力調整弁１３，１４の圧力調整によって変更
できる。

【００３０】緯糸Ｙ₁ が緯入れ中では緯入れ待機中の緯
糸Ｙ₂ は緯入れ用メインノズル２内に引き込まれてお
り、緯糸Ｙ₂ が緯入れ中では緯入れ待機中の緯糸Ｙ₁ は
緯入れ用メインノズル１内に引き込まれている。又、両
緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ がいずれも緯入れ待機中の場合には両緯
糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ の先端部はいずれも緯入れ用メインノズル
１，２内に引き込まれている。従って、緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂
の先端部が折り返し、縺れ、さらには互いに絡み合うこ
とはなく、良好な緯入れが行われる。

【００３１】タンデムノズル７，８は緯入れ用メインノ
ズル１，２の噴射圧を低減するために用いられる。緯糸
Ｙ₁ ，Ｙ₂ はタンデムノズル７，８の噴射作用によって
緯入れ用メインノズル１，２に送りこまれるため、緯入
れ用メインノズル１，２は低圧噴射で緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ を
緯入れできる。

【００３２】引き戻し用糸ガイド９，１０が無い場合、
緯糸測長貯留装置３，４から引き出し解舒される緯糸は
ダンデムノズル７，８の入口７ｂ，８ｂと緯糸測長貯留
装置３，４との間でバルーニングを形成し、このバルー
ニング形状及び入口７ｂ，８ｂにおける緯糸の屈曲が引
き出し抵抗となる。そのため、緯糸測長貯留装置３，４
とタンデムノズル７，８との間隔は引き出し抵抗を可及
的に小さくするように適度に設定される。

【００３３】緯入れ用メインノズル１，２の緯入れ作用
を補助するタンデムノズル７，８の入口７ｂ，８ｂは引
き戻し用糸ガイド９，１０と協働する糸ガイドの役割を
果たす。引き戻し用糸ガイド９，１０がタンデムノズル
７，８の入口７ｂ，８ｂに近いほど緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ の引
き戻し量は多くなる。そこで、引き戻し用糸ガイド９，
１０は入口７ｂ，８ｂに可及的に近づけられる。従っ
て、引き戻し用ガイド９，１０と緯糸測長貯留装置３，
４との距離は緯糸測長貯留装置３，４とタンデムノズル
７，８との間隔とほとんど変わらない。そのため、電磁
三方弁Ｖ₃ ，Ｖ₄、支持ブロック５，６上の噴射孔５
ａ，６ａと共に緯糸引き戻し装置を構成する引き戻し用
糸ガイド９，１０の存在が緯糸測長貯留装置３，４と緯
入れ用メインノズル１，２との間の緯糸経路長を増大す
ることはない。

【００３４】このようにタンデムノズル７，８の入口７
ｂ，８ｂを緯糸引き戻し装置の一部として利用する構成
によれば、緯糸測長貯留装置３，４と緯入れ用メインノ
ズル１，２との間の緯糸経路の増長を回避することがで
きる。緯糸経路の増長を回避すれば緯糸移送抵抗増も抑
制でき、タンデムノズル７，８及び緯入れ用メインノズ
ル１，２の噴射圧を高める必要がなくなる。従って、噴
射圧の高圧化に起因する緯糸切れを防止でき、エア消費
量も抑制できる。

【００３５】本実施例ではタンデムノズル７，８及び緯
入れ用メインノズル１，２の噴射終了と同時に噴射孔５
ａ，６ａからのエア噴射が行われるが、緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂
の先端部の実質的な引き戻しは図３の曲線Ｓで示す緯糸
切断タイミング後から行われる。タンデムノズル７，８
及び緯入れ用メインノズル１，２の噴射終了時期は所定
長の緯糸が緯入れされる前に設定されており、飛走終了
間近の緯糸は噴射孔５ａ，６ａからの噴射によって制動
を掛けられる。この制動は糸巻付面３ａ，４ａから引き
出し解舒されている緯糸に対する係止ピン１６ａ，１７
ａの引き出し阻止に伴うショックを緩和し、糸切れを防
止する。

【００３６】本発明は勿論前記実施例にのみ限定される
ものではなく、例えば図４及び図５示すように緯糸引き
戻し用の切り換え駆動手段として電磁ソレノイド１９を
用いた実施例も可能である。電磁ソレノイド１９，２０
はタンデムノズル７，８上に載置されており、電磁ソレ
ノイド１９，２０の駆動ロッド１９ａ，２０ａには引き
戻し用糸ガイド２１，２２が止着されている。タンデム
ノズル７，８には別の糸ガイド２３，２４が支持されて
いる。糸ガイド２３，２４はタンデムノズル７，８の入
口７ｂ，８ｂに対向している。

【００３７】図４（ａ）は電磁ソレノイド１９，２０の
消磁状態を示し、図４（ｂ）は電磁ソレノイド１９，２
０の励磁状態を示す。引き戻し用糸ガイド２１，２２
は、糸ガイド２３，２４と入口７ｂ，８ｂとの間の緯糸
経路位置と側方の引き戻し位置とに切り換え配置され
る。

【００３８】図５の曲線Ｅ₃ は電磁ソレノイド１９の励
磁期間を表し、曲線Ｅ₄ は電磁ソレノイド２０の励磁期
間を表す。電磁ソレノイド１９，２０が励磁されると、
緯糸Ｙ₁ ，Ｙ₂ の先端部が緯入れ用メインノズル内へ引
き込まれる。この引き込みは交互に行われ、緯糸先端部
は緯糸切断タイミング後に緯入れ用メインノズル内へ引
き込まれる。

【００３９】図６の実施例では、タンデムノズル７に支
持された糸ガイド２５がタンデムノズル７の出口７ａ側
に配置されている。電磁ソレノイド１９の駆動ロッド１
９ａに止着された引き戻し用糸ガイド２６は糸ガイド２
５と出口７ａとの間に配置されている。

【００４０】タンデムノズル７の出口７ａは糸ガイド２
５と協働する糸ガイドの役割を果たす。糸ガイド２５は
タンデムノズル７の出口７ａに近いほど緯糸Ｙ₁ の引き
戻し量は多くなる。従って、糸ガイド２５はタンデムノ
ズル７の出口７ａに可及的に近づけることになり、糸ガ
イド２５と緯入れ用メインノズルとの距離はタンデムノ
ズル７と緯入れ用メインノズルとの間隔とほとんど変わ
らない。そのため、緯糸引き戻し装置の存在が緯糸測長
貯留装置３と緯入れ用メインノズルとの間の緯糸経路長
を増大することはない。

【００４１】図７の実施例では、電磁ソレノイド１９に
よって切り換え駆動される引き戻し用糸ガイド２７，２
８がタンデムノズル７の入口７ｂ及び出口７ａの両方に
配置されている。引き戻し用糸ガイド２７，２８の切り
換え移動量が図５あるいは図６の実施例の場合と同じで
あれば、緯糸引き戻し量は図５あるいは図６の実施例の
場合とぼぼ同じになる。引き戻し用糸ガイド２７の手前
及び引き戻し用糸ガイド２８の前方に引き戻し用糸ガイ
ドを不動配置すれば、緯糸引き戻し量は倍になる。

【００４２】図８の実施例では、電磁ソレノイド２９，
３０が緯入れ用メインノズル１，２上に載置されてお
り、電磁ソレノイド２９，３０の駆動ロッド２９ａ，３
０ａには引き戻し用糸ガイド３１，３２が止着されてい
る。緯入れ用メインノズル１，２には別の糸ガイド３
３，３４が支持されている。糸ガイド３３，３４は緯入
れ用メインノズル１，２の入口１ａ，２ａに対向してい
る。

【００４３】緯入れ用メインノズル１，２の入口１ａ，
２ａは糸ガイド３３，３４と協働する糸ガイドの役割を
果たす。糸ガイド３３，３４が緯入れ用メインノズル
１，２の入口１ａ．２ａに近いほど緯糸の引き戻し量は
多くなり、糸ガイド３３，３４は緯入れ用メインノズル
１，２の入口１ａ．２ａに可及的に近づけることにな
る。従って、緯糸測長貯留装置と糸ガイド３３，３４と
の距離は緯糸測長貯留装置と緯入れ用メインノズル１，
２との間隔とほとんど変わらず、緯糸引き戻し装置の存
在が緯糸測長貯留装置と緯入れ用メインノズル１，２と
の間の緯糸経路長を増大することはない。

【００４４】

【発明の効果】以上詳述したように本発明は、緯入れ用
メインノズルの入口を引き戻し用糸ガイドとして利用
し、緯入れ用メインノズルの入口側に配置された引き戻
し用糸ガイドを緯糸経路位置と引き戻し位置とに切り換
え配置するか、又は引き戻し用糸ガイドと緯入れ用メイ
ンノズルの入口との間の緯糸を緯糸経路位置と引き戻し
位置とに切り換え配置するようにしたので、緯糸測長貯
留装置と緯入れ用メインノズルとの間の緯糸経路の増長
が回避され、糸切れ及び噴射流体消費増をもたらす緯入
れ用噴射圧の高圧化を回避し得るという優れた効果を奏
する。

【００４５】タンデムノズル使用の場合にも、タンデム
ノズルの入口又は出口を引き戻し用糸ガイドとして利用
し、タンデムノズルの入口又は出口に配置された引き戻
し用糸ガイドを緯糸経路位置と引き戻し位置とに切り換
え配置するか、又は引き戻し用糸ガイドとタンデムノズ
ルとの間の緯糸を緯糸経路位置と引き戻し位置とに切り
換え配置するようにしたので、緯糸測長貯留装置と緯入
れ用メインノズルとの間の緯糸経路の増長が回避され、
糸切れ及び噴射流体消費増をもたらす緯入れ用噴射圧の
高圧化を回避し得るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明を具体化した一実施例を示す斜視図で
ある。

【図２】 （ａ）は要部側面図である。（ｂ）は緯糸引
き戻し状態を示す要部側面図である。

【図３】 緯糸引き戻しタイミングを説明するタイミン
グチャートである。

【図４】 （ａ）は別例を示す要部側面図である。
（ｂ）は緯糸引き戻し状態を示す要部側面図である。

【図５】 緯糸引き戻しタイミングを説明するタイミン
グチャートである。

【図６】 別例を示す要部側面図である。

【図７】 別例を示す要部側面図である。

【図８】 別例を示す要部斜視図である。

【符号の説明】

１，２…緯入れ用メインノズル、１ａ，２ａ…入口、５
ａ，６ａ…切り換え駆動手段を構成する噴射孔、７，８
…タンデムノズル、７ａ，８ａ…出口、７ｂ，８ｂ…入
口、９，１０…引き戻し用ガイド、１９，２０…切り換
え駆動手段となる電磁ソレノイド、２１，２２…切り換
え駆動手段によって切り換え配置される引き戻し用糸ガ
イド、２３，２４…引き戻し用糸ガイド。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】緯入れ用メインノズルの噴射作用によって
   緯糸測長貯留装置から緯糸を引き出して緯入れを行なう
   ジェットルームにおいて、 緯入れ用メインノズルの入口側に配置された糸ガイド
   と、 緯入れ用メインノズルの入口と前記糸ガイドとの間の緯
   糸を緯入れ時の緯糸経路位置とその側方の引き戻し位置
   とに切り換え配置する流体噴射手段とを備えたジェット
   ルームにおける緯糸引き戻し装置。
2. 【請求項２】緯入れ用メインノズルの噴射作用によって
   緯糸測長貯留装置から緯糸を引き出して緯入れを行なう
   ジェットルームにおいて、 緯入れ用メインノズルの入口側に配置された糸ガイド
   と、 同糸ガイドと前記緯入れ用メインノズルとの間に配置さ
   れた引き戻し用糸ガイドと、 緯入れ時の緯糸経路位置とその側方の引き戻し位置とに
   前記引き戻し用糸ガイドを切り換え配置する切り換え駆
   動手段とを備えたジェットルームにおける緯糸引き戻し
   装置。
3. 【請求項３】タンデムノズルの噴射作用によって緯糸測
   長貯留装置から緯糸を引き出して緯入れ用メインノズル
   側へ送り出し、緯入れ用メインノズルの噴射作用によっ
   て緯糸を緯入れするジェットルームにおいて、 タンデムノズルの入口及び出口の少なくとも一方の側に
   配置された糸ガイドと、 タンデムノズルの入口及び出口の少なくとも一方と前記
   引き戻し用糸ガイドとの間の緯糸を緯入れ時の緯糸経路
   位置とその側方の引き戻し位置とに切り換え配置する流
   体噴射手段とを備えたジェットルームにおける緯糸引き
   戻し装置。
4. 【請求項４】タンデムノズルの噴射作用によって緯糸測
   長貯留装置から緯糸を引き出して緯入れ用メインノズル
   側へ送り出し、緯入れ用メインノズルの噴射作用によっ
   て緯糸を緯入れするジェットルームにおいて、 タンデムノズルの入口及び出口の少なくとも一方の側に
   配置された糸ガイドと、 同糸ガイドと前記タンデムノズルとの間に配置された引
   き戻し用糸ガイドと、 緯入れ時の緯糸経路位置とその側方の引き戻し位置とに
   前記引き戻し用糸ガイドを切り換え配置する切り換え駆
   動手段とを備えたジェットルームにおける緯糸引き戻し
   装置。
5. 【請求項５】タンデムノズルの噴射作用によって緯糸測
   長貯留装置から緯糸を引き出して緯入れ用メインノズル
   側へ送り出し、緯入れ用メインノズルの噴射作用によっ
   て緯糸を緯入れするジェットルームにおいて、 タンデムノズルの入口側及び出口側に配置された引き戻
   し用糸ガイドと、 緯入れ時の緯糸経路位置とその側方の引き戻し位置とに
   前記引き戻し用糸ガイドを切り換え配置する切り換え駆
   動手段とを備えたジェットルームにおける緯糸引き戻し
   装置。