JPH06218574A - 低スパッタワイヤおよびその製造方法 - Google Patents

低スパッタワイヤおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH06218574A
JPH06218574A JP24181093A JP24181093A JPH06218574A JP H06218574 A JPH06218574 A JP H06218574A JP 24181093 A JP24181093 A JP 24181093A JP 24181093 A JP24181093 A JP 24181093A JP H06218574 A JPH06218574 A JP H06218574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
alkali metal
steel wire
spatter
low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP24181093A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2720925B2 (ja
Inventor
Tokihiko Kataoka
時彦 片岡
Akihisa Yamaura
晃央 山浦
Yoshifumi Nakano
善文 中野
Nobuhisa Tabata
綽久 田畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP5241810A priority Critical patent/JP2720925B2/ja
Publication of JPH06218574A publication Critical patent/JPH06218574A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2720925B2 publication Critical patent/JP2720925B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)
  • Metal Extraction Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Cuメッキの剥離、メッキ表面錆などのおそ
れのない、しかもスパッタ発生の少ないガスシールドア
ーク溶接用鋼ワイヤおよびその製造方法を提供する。 【構成】 鋼ワイヤ表層部に内部酸化物を形成し、該内
部酸化物中にアルカリ金属を含有し、そのアルカリ金属
をワイヤ全体に対して1ppm以上とする。鋼ワイヤ表
面にアルカリ金属よりなるクエン酸塩等を塗布してから
窒素ガス雰囲気中で焼鈍する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アーク安定性に優れ、
スパッタの低減に効果のある溶接用ワイヤおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】送給性の向上、スパッタの低減を目的と
して鋼ワイヤ表層部に粒界酸化層を形成させ、その粒界
酸化物を起点として横割れを発生させ、その横割れをオ
イルポケットとしてワイヤの送給性を向上させるととも
に、粒界酸化により表層部に富化された酸素の作用によ
りアークの安定化を図ったワイヤに関する技術は、例え
ば特公昭63−21595号公報を始め多数提案されて
いる。
【0003】この種ワイヤの製造においては、熱処理前
に炭酸塩を塗布することが、焼鈍時に触媒作用により粒
界酸化を促進するのに効果的な技術であることは特公平
3−64239号公報などに開示されている。また特開
昭62−16900号公報では、水酸化物の塗布が同様
に粒界酸化に効果的であることが示されている。
【0004】また、アーク安定化にアルカリ金属が優れ
ていること、およびアルカリ金属の沸点が低いため溶鋼
中に添加することが困難であることから、特開昭61−
126995号公報、特開昭63−108996号公
報、特開昭63−149093号公報などに示されてい
るように表面あるいは表面の横割れに付着させる方法が
考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】粒界酸化によってワイ
ヤ表層部に酸素を富化させ、低スパッタ化を計る方法で
は、ある程度の効果は得られるが、十分ではない。一方
表面にアルカリ金属を塗布する方法ではアルカリ金属を
ワイヤ表面に均一に付着させることはできても、ハンド
リングなどのさいはげ落ちやすく、使用時まで安定に維
持することは困難である。
【0006】また特開昭63−108996号公報、特
開昭63−149093号公報に開示されているよう
に、粒界酸化による横溝にカリを付着させる方法には次
のような問題がある。すなわち、粒界酸化を発生させて
もそのなかで伸線により亀裂に進展するのはごく一部で
ある。もし全面的に粒界に亀裂を発生するような深い粒
界酸化を行えば、メッキの密着性に問題が生じる。メッ
キの密着性に問題が生じない程度の横割れであれば、そ
の横割れに存在するカリ分の間隔は、近年のようにイン
バーター電源の発達によりワンパルス・ワンドロップと
いうような微細な溶滴移行を行わせるには粗すぎる。ま
たカリは吸湿性が強く、水分が少しでも存在すると吸湿
してワイヤ表面のCuメッキが錆びて変色し、商品価値
を低下させるだけでなく、ワイヤ送給性を害し、かえっ
てアークの不安定化を招くことになるという重大な問題
がある。
【0007】本発明は、上記問題点を解決し、低スパッ
タ化を計ることを可能とするガスシールドアーク溶接用
ワイヤおよびその製造方法を提供することを目的とする
ものである。なお、スパッタの発生量は0.35g/分
以下を目標とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】ワイヤ表層部に酸素を富
化すると同時に、アーク安定性に優れたアルカリ金属を
鋼中に均一に分布させることが最も効果的であるが、こ
れまでその手段が存在しなかった。本発明は、上記問題
点を解決するために、鋭意研究を進めた結果、焼鈍雰囲
気の制御によって生成可能である内部酸化部にアルカリ
金属を表面より拡散させる方法を開発し、表層部に安定
かつ均一にアルカリ金属を含有させることが可能とな
り、低スパッタ化を達成したものである。
【0009】すなわち本発明は、鋼ワイヤ表層部に内部
酸化物を有し、かつワイヤ全体に対して1ppm以上の
アルカリ金属を該内部酸化物中に含有することを特徴と
するガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤであ
る。また本発明は、鋼ワイヤの表面にアルカリ金属より
なるシュウ酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩
を塗布してから窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、
伸線加工を施すことを特徴とするガスシールドアーク溶
接用低スパッタワイヤの製造方法であり、また本発明
は、鋼ワイヤの表面に残留する潤滑剤を除去した後に、
又は熱間伸線した後ショットブラスト処理し冷間伸線し
た後の鋼ワイヤの表面に若しくは冷間伸線した後ショッ
トブラスト処理した鋼ワイヤの表面に、又は冷間伸線し
た後ブラシ研摩加工処理若しくは酸洗処理した鋼ワイヤ
の表面にアルカリ金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸
塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗布して
から窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を
施すことを特徴とするガスシールドアーク溶接用低スパ
ッタワイヤの製造方法である。
【0010】
【作用】本発明によれば、表層部の内部酸化物中にアル
カリ金属を拡散させることによって、アルカリ金属を表
層部に均一かつ安定に含有させることができ、溶接中の
アークを安定に保つことによって低スパッタ化を達成す
ることができる。アルカリ金属の量としては、ワイヤ全
体に対して1ppm以上必要である。1ppm未満では
アークを安定させる効果がなく、目標とする低スパッタ
化が達成されない。
【0011】図1にワイヤ全体に対するアルカリ金属含
有量とスパッタ発生量の関係を示す。アルカリ金属含有
量1ppm以上でスパッタ量0.35g/分以下を達成
することができる。焼鈍前にワイヤ表面に塗布し内部酸
化物中へ拡散させるアルカリ金属源としては、アルカリ
金属のシュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸化合
物、ハロゲン化合物が効果的である。
【0012】これらの化合物は、ガスシールドアーク溶
接用ワイヤの製造工程において通常のベル焼鈍に用いら
れるような弱酸化性の高温雰囲気中で不安定であり、分
解してアルカリ金属が酸素と同じように鋼中に拡散し、
Feよりも酸化傾向が強いため、内部酸化物の1構成元
素として存在すると考えられる。ところで、一般に鋼ワ
イヤ表面には伸線潤滑剤や油脂が残留している場合が多
く、この場合それらによりワイヤ表面が保護された状態
となっているため、アルカリ金属を含む化合物が安定的
に表面に塗布されない場合がある。特に連続焼鈍のよう
な5分程度までの短時間の熱処理では、ワイヤ全長にわ
たって安定的にアルカリ金属を1ppm以上保持させら
れない場合もある。
【0013】すなわち、連続焼鈍のような短時間の熱処
理に対しても安定的にアルカリ金属を1ppm以上保持
させるためには、鋼ワイヤ表面に残存する伸線潤滑剤や
油脂を予め除去しておくことが望ましい。除去方法とし
ては、溶剤による脱脂、アルカリ洗浄などがあげられる
が、潤滑剤の残量としてはワイヤ10kg当たり1g以
下であることが望ましい。
【0014】また、さらにアルカリ金属を効果的に残留
させるためには、ワイヤ表面の伸線潤滑剤や油脂を除去
するだけでなく、熱間伸線した後ショットブラスト処理
し冷間伸線し若しくは冷間伸線した後ショットブラスト
処理し、又は冷間伸線した後ブラシ研摩加工処理若しく
は酸洗処理し、鋼ワイヤの表面を活性化するとともにそ
の表面に発生した凹凸や擦り傷による実表面積の増大を
はかることが望ましい。
【0015】例えば、ブラシ研摩加工処理について言え
ば、#500程度以下のワイヤブラシやアラミド繊維の
表面に研磨砥粒を埋め込んだブラシにより研磨加工して
表面を荒らした鋼ワイヤを素線として用い、その鋼ワイ
ヤにアルカリ金属を含む化合物を塗布して焼鈍すれば鋼
ワイヤ表層部の内部酸化物にアルカリ金属をより多く含
有させることができる。
【0016】すなわち、これはワイヤ表面に残留する潤
滑剤や油脂を除去する効果に加え、さらに表面が研磨さ
れることでワイヤ表面の酸化皮膜を破壊し表面を活性化
する効果、さらには表面に加工を施すことで、ワイヤ表
面の増加やワイヤ表面に圧縮の残留応力が生じることな
どが相俟ってワイヤ表面でのアルカリ金属の拡散が促進
されると考えられる。そのため、短時間焼鈍である連続
焼鈍プロセスにも本発明は適用可能である。
【0017】
【実施例】
(実施例1)C:0.08%、Si:0.65%、M
n:1.35%を含む線径5.5mmの熱延鋼線を冷間
伸線によって線径2.0mmとした鋼線を素材として用
いた。表1に示した塗布剤の液中に浸漬し、乾燥した
後、720℃×3時間N2 雰囲気中で焼鈍した。酸化を
起こさせるために露点0℃に調整したN2 ガスを毎分6
0l送給した。
【0018】
【表1】
【0019】熱処理後塩酸10%の40℃水溶液中に2
分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキを
施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生量
の評価試験に供した。溶接条件は、Ar−20%CO2
を毎分20lシールドガスとして流し、電流:240
A、電圧:22V、溶接速度:80cm/分、溶接時間
は1分とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計
測した。
【0020】スパッタ発生量の目標値は0.35g/分
以下に設定した。そして特に0.25g/分以下を良
(〇)、0.25g/分越え0.35g/分以下を可
(△)、0.35g/分越えを不可(×)と評価した。
表1にその結果を併せて示す。表1からわかるように、
熱処理前の塗布剤としてはシュウ酸塩、クエン酸塩、酒
石酸塩、ハロゲン化合物、リン酸塩はスパッタ低減に大
きな効果があり、一方炭酸塩、水酸化物を塗布したもの
および無塗布のものはワイヤの酸素付加量が前記塗布剤
を塗布したものと同程度であるにもかかわらず効果が少
なかった。なおシュウ酸塩は塗布剤として効果があるも
のの毒物であるので使用は避けた方が良い。
【0021】図2に実施例4の鋼表面のEDXによるス
ポット分析結果を(a)に、内部酸化部のそれを(b)
に示す。内部酸化物がO、Si、Mn、K、Feなどの
元素より構成されていることが分かる。一方、図3〜6
はワイヤ表層部断面の走査電子顕微鏡像(SE)および
それに対応するFe、Si、Mn、O、K、Pなどの元
素の特性X線像である。
【0022】図3、4に示す実施例4のクエン酸カリと
実施例7のリン酸2水素カリを塗布した場合には表層部
の粒界が一様に酸化され、かつ粒界酸化物中に同様にK
の拡散が認められる。図5に比較例11について、炭酸
カリ塗布、熱処理後のC断面表層部のEDX分析結果を
示す。また図6には塗布剤なしの比較例10について同
様の結果を示しているが、どちらも粒界酸化は生成され
ているが粒界酸化物へのKの拡散は認められない。
【0023】図7はクエン酸塩塗布の例についてである
が、Cuメッキ後の伸線によって表面のメッキに割れを
生じるが、割れによって開口する粒界酸化はごく一部で
あることが示されている。上述の結果から、粒界酸化だ
けでアルカリ金属の拡散のない場合、あるいは炭酸カリ
を塗布した場合、及び水酸化物を塗布した場合に比べ
て、本発明の実施例では顕著なスパッタ低減効果が得ら
れていることがわかる。
【0024】また本発明に用いた焼鈍前の塗布剤は、内
部酸化層生成にも効果があり、塗布する塗布剤によって
はCuメッキ後の伸線によって表面に割れを効果的に生
じさせることができる。 (実施例2)C:0.08%、Si:0.65%、M
n:1.35%を含む線径5.5mmの熱延鋼線をステ
アリン酸ナトリウムを主体とする伸線潤滑剤を用いて冷
間伸線によって線径2.0mmとした鋼線を素材として
用いた。潤滑剤の除去は表2に示すように伸線ままのも
のと、アルカリ脱脂およびトリクレン脱脂を施したもの
を用いた。これらワイヤをクエン酸カリ10%水溶液中
に浸漬乾燥した後、バッチ焼鈍の場合は720℃×3時
間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせるために露点
0℃に調整したN2 ガスを毎分60l送給した。連続焼
鈍では850℃×2分間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸化を
起こさせるために露点0℃に調整した。
【0025】
【表2】
【0026】熱処理後塩酸10%の40℃水溶液中に2
分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキを
施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生量
の評価試験に供した。溶接条件は、Ar−20%CO2
を毎分20lシールドガスとして流し、電流:240
A、電圧:22V、溶接速度:80cm/分、溶接時間
は1分とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計
測した。
【0027】スパッタ発生量の目標値は0.35g/分
以下に設定した。そして特に0.25g/分以下を良
(〇)、0.25g/分越え0.35g/分以下を可
(△)、0.35g/分越えを不可(×)と評価した。
表2にその結果を併せて示す。表2からわかるように、
クエン酸カリを塗布したものではいずれもスパッタ発生
量の目標値0.35g/分以下を満足するが、さらに脱
脂処理したものでは連続焼鈍のような短時間の熱処理で
も十分低いスパッタが得られている。
【0028】(実施例3)C:0.08%、Si:0.
65%、Mn:1.35%を含む線径5.5mmの熱延
鋼線を冷間伸線によって線径2.0mmとした鋼線を素
材として用いた。この鋼線に研削剤として表3に示した
グリッドを用い、エアー式のショットブラスト設備で表
面を粗面化後10%のクエン酸カリ水溶液中に浸漬乾燥
した後、800℃×10分間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸
化を起こさせるために露点0℃に調整したN2 ガスを毎
分60l送給した。連続焼鈍では850℃×2分間N2
雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせるために露点0℃に
調整した。
【0029】
【表3】
【0030】また、上と同じ組成の線径5.5mmの熱
延鋼線に表4に示したグリッドを用い、エアー式のショ
ットブラスト設備で表面を粗面化後、冷間伸線によって
線径2.0mmとし、この鋼線を10%のクエン酸カリ
水溶液中に浸漬乾燥した後、上と同じ条件で焼鈍した。
【0031】
【表4】
【0032】上記それぞれの熱処理後の鋼線を、塩酸1
0%の40℃水溶液中に2分間浸漬して酸洗したものに
厚さ1μm のCuメッキを施し、仕上げ線径1.2mm
へ伸線してスパッタ発生量の評価試験に供した。溶接条
件は、Ar−20%CO2 を毎分20lシールドガスと
して流し、電流:240A、電圧:22V、溶接速度:
80cm/分、溶接時間は1分とした。スパッタは全数
補集してスパッタ量を計測した。
【0033】スパッタ発生量の目標値は0.35g/分
以下に設定した。そして特に0.25g/分以下を良
(〇)、0.25g/分越え0.35g/分以下を可
(△)、0.35g/分越えを不可(×)と評価した。
表3および表4にそれぞれの結果を併せて示す。これら
の表からわかるように、冷間加工後若しくは冷間加工前
にショットブラストを施すことによって、短時間の熱処
理でもアルカリ金属含有量1ppm以上を確保できスパ
ッタ発生量を低減させることができる。
【0034】この熱処理条件は連続化が可能であり、大
きなコスト削減の可能性を持つものである。 (実施例4)C:0.08%、Si:0.65%、M
n:1.35%を含む線径5.5mmの熱延鋼線をステ
アリン酸ナトリウムを主体とする伸線潤滑剤を用いて冷
間伸線によって線径2.0mmとした鋼線を素材として
用いた。ワイヤへの前処理としては表5に示すように伸
線ままのものと、ワイヤブラシおよびアラミド系繊維に
研磨粒を埋め込んだブラシによる研磨を行った。次い
で、これらワイヤをクエン酸カリ10%水溶液中に浸漬
乾燥した後、バッチ焼鈍の場合は720℃×3時間N2
雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせるために露点0℃に
調整したN2 ガスを毎分60l送給した。連続焼鈍では
850℃×2分間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさ
せるために露点0℃に調整した。
【0035】
【表5】
【0036】熱処理後、塩酸10%の40℃水溶液中に
2分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキ
を施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生
量の評価試験に供した。溶接条件は、Ar−20%CO
2 を毎分20lシールドガスとして流し、電流:240
A、電圧:22V、溶接速度:80cm/分、溶接時間
は1分とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計
測した。
【0037】スパッタ発生量の目標値は0.35g/分
以下に設定した。そして特に0.25g/分以下を良
(〇)、0.25g/分越え0.35g/分以下を可
(△)、0.35g/分越えを不可(×)と評価した。
表2にその結果を併せて示す。表5からわかるように、
クエン酸カリを塗布したものではいずれもスパッタ発生
量の目標値0.35g/分以下を満足するが、さらに#
500以下のブラシによる研磨を行ったものでは連続焼
鈍のような短時間の熱処理でも十分低いスパッタが得ら
れている。
【0038】(実施例5)C:0.08%、Si:0.
65%、Mn:1.35%を含む線径5.5mmの熱延
鋼線をステアリン酸ナトリウムを主体とする伸線潤滑剤
を用いて冷間伸線によって線径2.0mmとした鋼線を
素材として用いた。ワイヤへの前処理としては表6に示
す酸洗条件で表面を粗面化したものと、伸線ままのもの
とを準備した。
【0039】次いで、これらワイヤをクエン酸カリ10
%水溶液中に浸漬乾燥した後、800℃×10分間N2
雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせるために露点0℃に
調整したN2 ガスを毎分60l送給した。
【0040】
【表6】
【0041】熱処理後、塩酸10%の40℃水溶液中に
2分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキ
を施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生
量の評価試験に供した。溶接条件は、Ar−20%CO
2 を毎分20lシールドガスとして流し、電流:240
A、電圧:22V、溶接速度:80cm/分、溶接時間
は1分とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計
測した。
【0042】スパッタ発生量の目標値は0.35g/分
以下に設定した。そして特に0.25g/分以下を良
(〇)、0.25g/分越え0.35g/分以下を可
(△)、0.35g/分越えを不可(×)と評価した。
表6にその結果を併せて示す。表6からわかるように、
酸洗条件で表面を粗面化したものはいずれも短時間の熱
処理でもアルカリ金属含有量1ppm以上を確保でき、
スパッタ発生量の目標値0.35g/分以下を満足す
る。
【0043】この熱処理条件は連続化が可能であり、大
きなコスト削減の可能性を持つものである。
【0044】
【発明の効果】本発明により、メッキ密着性、メッキ表
面錆などのおそれのない、しかもスパッタ発生量の著し
く少ないガスシールドアーク溶接用ワイヤが得られるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリ金属含有量とスパッタ発生量との関係
を示す特性図。
【図2】実施例4の鋼表面と内部酸化部のEDX分析結
果を示すグラフ。
【図3】実施例4の内部酸化部のカリの分布状態を示す
EDX分析X線写真。
【図4】実施例7の内部酸化部のカリの分布状態を示す
EDX分析X線写真。
【図5】比較例10の焼鈍後のカリの分布状態を示すE
DX分析X線写真。
【図6】比較例11の炭酸カリ塗布、焼鈍後のカリの分
布状態を示すEDX分析X線写真。
【図7】本実施例におけるワイヤ表層部断面の金属組織
を示す写真。
フロントページの続き (72)発明者 中野 善文 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 田畑 綽久 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼ワイヤ表層部に内部酸化物を有し、か
    つワイヤ全体に対して1ppm以上のアルカリ金属を該
    内部酸化物中に含有することを特徴とするガスシールド
    アーク溶接用低スパッタワイヤ。
  2. 【請求項2】 鋼ワイヤの表面にアルカリ金属よりなる
    シュウ酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のう
    ち1種以上を塗布してから窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、
    銅メッキ、伸線加工を施すことを特徴とするガスシール
    ドアーク溶接用低スパッタワイヤの製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼ワイヤの表面に残留する潤滑剤を除去
    した後に、アルカリ金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸
    塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗布して
    から窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を
    施すことを特徴とするガスシールドアーク溶接用低スパ
    ッタワイヤの製造方法。
  4. 【請求項4】 熱間伸線した後ショットブラスト処理し
    冷間伸線した後の鋼ワイヤの表面に、又は冷間伸線した
    後ショットブラスト処理した鋼ワイヤの表面にアルカリ
    金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化合
    物、燐酸塩のうち1種以上を塗布してから窒素ガス雰囲
    気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を施すことを特徴と
    するガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 冷間伸線した後ブラシ研摩加工処理した
    鋼ワイヤの表面にアルカリ金属よりなるシュウ酸塩、ク
    エン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗
    布してから窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線
    加工を施すことを特徴とするガスシールドアーク溶接用
    低スパッタワイヤの製造方法。
  6. 【請求項6】 冷間伸線した後酸洗処理した鋼ワイヤの
    表面にアルカリ金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸塩、
    ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗布してから
    窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を施す
    ことを特徴とするガスシールドアーク溶接用低スパッタ
    ワイヤの製造方法。
JP5241810A 1992-10-01 1993-09-28 低スパッタワイヤおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP2720925B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5241810A JP2720925B2 (ja) 1992-10-01 1993-09-28 低スパッタワイヤおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26388792 1992-10-01
JP4-263887 1992-10-01
JP5241810A JP2720925B2 (ja) 1992-10-01 1993-09-28 低スパッタワイヤおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06218574A true JPH06218574A (ja) 1994-08-09
JP2720925B2 JP2720925B2 (ja) 1998-03-04

Family

ID=26535461

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5241810A Expired - Fee Related JP2720925B2 (ja) 1992-10-01 1993-09-28 低スパッタワイヤおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2720925B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10305388A (ja) * 1997-05-09 1998-11-17 Kawasaki Steel Corp Co2 ガス溶接用鋼ワイヤおよびその製造方法
KR100668169B1 (ko) * 2005-05-25 2007-01-11 고려용접봉 주식회사 용접시 아크안정성이 우수한 동도금 마그 용접용솔리드와이어
KR100918550B1 (ko) * 2004-10-14 2009-09-21 다이도 토쿠슈코 카부시키가이샤 용접 와이어
JP2013081982A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 耐デラミネーション特性に優れた極細鋼線とその製造方法
KR101579925B1 (ko) 2014-11-19 2015-12-29 현대종합금속 주식회사 마그 용접용 도금 솔리드 와이어

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0360599A (ja) * 1989-07-25 1991-03-15 Internatl Business Mach Corp <Ibm> 波長分割交換システム
JPH0364239A (ja) * 1989-08-02 1991-03-19 Nec Eng Ltd 客室状態管理方式

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0360599A (ja) * 1989-07-25 1991-03-15 Internatl Business Mach Corp <Ibm> 波長分割交換システム
JPH0364239A (ja) * 1989-08-02 1991-03-19 Nec Eng Ltd 客室状態管理方式

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10305388A (ja) * 1997-05-09 1998-11-17 Kawasaki Steel Corp Co2 ガス溶接用鋼ワイヤおよびその製造方法
KR100918550B1 (ko) * 2004-10-14 2009-09-21 다이도 토쿠슈코 카부시키가이샤 용접 와이어
KR100668169B1 (ko) * 2005-05-25 2007-01-11 고려용접봉 주식회사 용접시 아크안정성이 우수한 동도금 마그 용접용솔리드와이어
JP2013081982A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 耐デラミネーション特性に優れた極細鋼線とその製造方法
KR101579925B1 (ko) 2014-11-19 2015-12-29 현대종합금속 주식회사 마그 용접용 도금 솔리드 와이어

Also Published As

Publication number Publication date
JP2720925B2 (ja) 1998-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0453321B1 (en) Method for descaling hot-rolled stainless steel strip
JP3468004B2 (ja) 高強度溶融亜鉛めっき熱延鋼板
JP2720925B2 (ja) 低スパッタワイヤおよびその製造方法
US2755210A (en) Method of treating iron or mild steel to promote the adherence of porcelain enamel, and stock so produced
JPH02285057A (ja) 溶融亜鉛めっき用鋼板の連続焼鈍方法
JPH081369A (ja) 炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤおよびその製造方法
US4248908A (en) Hot-dip metallic coatings on low carbon alloy steel
JP2848250B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板
US2005902A (en) Welding electrodes
JPH09141487A (ja) 溶接用低スパッタ鋼ワイヤおよびその製造方法
JP3192920B2 (ja) Cuめっきの密着性に優れかつスパッタ発生量の極めて少ないガスシールドアーク溶接用ワイヤの製造方法
JP3014529B2 (ja) 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3133189B2 (ja) 溶融Znめっき熱延鋼帯の製造方法
JPH02185958A (ja) 溶融金属めっき線材の製造方法
JP2001262303A (ja) 溶融めっき性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0748641A (ja) ベアボンディング用銅合金リードフレーム
JPH08170160A (ja) Si含有高張力(合金化)溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH10317121A (ja) 塗装下地用溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
US2267219A (en) Method of electrically treating metal
JP2000280088A (ja) ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法
JP3718906B2 (ja) 溶融金属めっき熱間圧延鋼板の製造方法
US3526529A (en) Method of producing high tensile strength aluminum coated ferrous strands
JPS6342383A (ja) 電子部品材料用Si含有Cu基合金の酸化皮膜除去方法
JPH0452187B2 (ja)
JPH08144036A (ja) 熱延鋼板を原板とした溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081121

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081121

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091121

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091121

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101121

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 15

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees