JPH062157A - リン酸塩化成処理方法 - Google Patents

リン酸塩化成処理方法

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JPH062157A
JPH062157A JP4109815A JP10981592A JPH062157A JP H062157 A JPH062157 A JP H062157A JP 4109815 A JP4109815 A JP 4109815A JP 10981592 A JP10981592 A JP 10981592A JP H062157 A JPH062157 A JP H062157A
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渉 後藤
Toshikatsu Inayoshi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化成皮膜形成処理浴の管理が容易で、高品質
の化成皮膜が得られるリン酸塩化成処理方法を提供す
る。 【構成】 リン酸イオン、硝酸イオン、化成被膜形成金
属イオンおよび酸化剤を含むリン酸塩化成処理液に鉄鋼
材料を接触させ、このリン酸塩化成処理液と前記鉄鋼材
料間に被膜形成反応を生じさせることによって、鉄鋼表
面にリン酸塩化成処理被膜を形成する方法において、リ
ン酸塩化成処理液の一部を取り出し、この取り出したリ
ン酸塩化成処理液を再び戻すという循環経路を設けると
ともに、この循環経路中には、SiO2 、Al23、を
基本構成化合物としてもつ無機物よりなるフィルタを設
け、このフィルタによって、リン酸塩化成処理液からの
スラッジの生成を物理的に除去するばかりでなく、溶液
状態での化学的構造変化も抑制することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン酸塩化成処理方法、
さらに詳しくは、鉄鋼材料表面に室温(常温)で強固な
化成皮膜を形成する処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、40℃以下の室温で処理するリン
酸塩化成処理方法としては、特開昭54−270478
号公報、特開昭60−43491号公報、特開昭60−
238486号公報および特開昭63−270478号
公報に記載されている方法が知られている 特開昭54−270478号公報に記載の方法は、処理
浴中のリン酸イオンと金属(亜鉛)イオンとのモル比を
0.5〜3.7の範囲に維持することにより、室温での
リン酸塩処理を円滑に進行させるものである。特開昭6
0−43491号公報に記載の方法は、PHおよび酸化
還元電位(0RP)の範囲を一定範囲以内に規定するこ
とにより室温化成処理を可能とするものである。特開昭
60−238486号公報に記載の方法は、酸化剤であ
る亜硝酸イオンの添加方法を改善し、主剤と別個に処理
浴に補給することにより主剤との間の激しい反応を回避
したものである。特開昭63−270478号公報に記
載の方法は、主に浸漬方式における室温化成処理方法で
の化成皮膜形成を促進させるためリン酸塩化成処理浴組
成中のリン酸イオン濃度(g/l)を活性陰イオン濃度
(g/l)より低くしたものである。
【0003】このリン酸塩化成処理方法とは、金属と薬
液との化学反応を利用して金属素地上に皮膜を形成させ
る、いわゆる化成皮膜処理方法の一種であり、化成処理
浴として鉄、マンガン、あるいは亜鉛等の皮膜形成金属
イオンを含むリン酸塩水溶液を使用する方法を言う。
【0004】リン酸塩化成処理方法は、金属素材に対す
るエツチング反応工程と、皮膜を形成する皮膜形成工程
とからなるとみることができる。エツチング反応は、主
としてカソード反応としての硝酸イオン等の還元反応、
例えば、
【0005】
【化1】 NO3 - +2H+ +2e→NO2 - +H2 O (吸熱反応) と、アノード反応としての金属の溶解反応、例えば、
【0006】
【化2】 Fe→Fe2++2e (吸熱反応) とからなる。
【0007】一方、皮膜形成反応は、主としてカソード
反応としての、上記のエッチング反応で生成した亜硝酸
イオン等の還元反応、例えば、
【0008】
【化3】 NO2 - +2H+ +e→NO+H2 O (吸熱反応) と、アノード反応としての金属イオンとリン酸イオンの
脱水素反応等、例えば、
【0009】
【化4】 (Zn2+,Fe2+)+2H2 PO4 - → (Zn,Fe)3 (PO4 2 + 4H+ (吸熱反応) とからなる。そして上記(1)から(4)までの反応以
外に化成処理浴のバランス保持反応として
【0010】
【化5】H3 PO4 ←→H2 PO4 - +H+
【0011】
【化6】4OH- →O2 +2H2 O+4e
【0012】
【化7】NO3 - +2H+ +2e←→NO2 - +H2 O 等がある。
【0013】本発明のリン酸塩化成処理方法も基本的に
は上記した反応により鉄鋼表面にリン酸塩皮膜が形成さ
れる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者はリン酸塩化
成処理方法において化成処理浴中に発生するスラッジに
着目した。リン酸塩化成処理方法において、現在広く実
施されている高温加熱法では当然のこと、前記した従来
の技術で説明した室温処理法においても、化成処理浴中
にスラッジが存在するのは不可避のことであった。
【0015】即ち、化成処理浴に混在するスラッジは、
上記(1)〜(4)式で形成されるリン酸塩が、鉄鋼表
面に析出せず、化成処理浴中でコロイドさらには固体粒
子として生成、成長したものである。
【0016】リン酸塩化成処理浴中のスラッジは、化成
皮膜形成時、上記(4)式に関与し、化成皮膜に混入し
て化成皮膜の品質を低下させる。リン酸塩化成処理浴中
でスラッジが形成されることは、化成処理浴中に溶解し
ている化成皮膜形成物質がスラッジとして消費(固化)
されることを意味する。
【0017】そして、スラッジが時間の経過とともに大
きくなり、スラッジが成長することを考えると、処理浴
中にスラッジが存在する事そのものが溶解している化成
皮膜形成イオンをスラッジに変える働きを持つものと思
われる。即ち、スラッジが形成されることにより、化成
処理浴中の化成皮膜形成イオンが減少し、かつ減少を促
進する。そして、化成皮膜形成イオンが減少しただけ化
成処理浴の化成皮膜形成能力が低下するという問題が生
じてしまう。
【0018】また、このスラッジは化成処理浴の電気化
学パラメータ制御を阻害するものと考えられる。スラッ
ジが生成すると言うことは、本来必要な皮膜形成に係わ
る反応系の他に、スラッジ生成に係わる不必要な反応系
が化成処理浴中に存在することである。従って、スラッ
ジ生成反応が制御されない状態では化成処理浴での被膜
反応が確実に制御された状態とは言えず、皮膜形成反応
も確実に制御された状態にあるとは言えない。このこと
は、加熱処理法では加熱により常に処理浴成分が分解し
スラッジが形成されているため、化成処理浴の反応制御
が困難であることに対応している。
【0019】このように、従来のリン酸塩化成処理浴で
はスラッジ量制御の必要性については認識されてはいた
が、しかしながらスラッジの生成を確実に制御する方法
は存在しなかった。
【0020】従来の加熱浴におけるスラッジ量制御は、
生成したスラッジを含む浴を適当なインターバルでセッ
トリングタンクに静置してスラッジを分離除去する方
法、または処理浴槽内下部に分離沈降したスラッジを含
む液(スラリー)をポンプ等で常時または定期的に引き
抜き、濾過する事でスラッジを分離除去する方法が実施
されてきた。しかし加熱浴では多量のスラッジが生成す
るため、スラッジを前記した方法で除去しても、化成処
理浴の全てのスラッジを除去することは不可能であり、
前記した方法でスラッジを除去する方法としては十分で
なかった。そして、それらの方法は、常温浴において
も、同様に十分なスラッジの低減をなすことができな
ず、全てのスラッジを除去する方法がなかった。
【0021】そこで本発明者は、固体粒子状のスラッジ
の発生しない、高品質の化成皮膜を得るリン酸塩化成処
理方法を開発することを本発明の課題とした。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者は、室温でのリ
ン酸塩化成処理方法を鋭意検討した結果、化成処理浴中
のスラッジの生成の抑制を物理的だけでなく化学的に行
うことをはじめて見出した。
【0023】即ち、本発明の第1の発明は、リン酸イオ
ン、硝酸イオン、化成被膜形成金属イオンおよび酸化剤
を含む40℃以下に維持されたリン酸塩化成処理浴に鉄
鋼材料を接触させ、前記リン酸塩化成処理浴と前記鉄鋼
材料間に被膜形成反応を生じさせることによって、鉄鋼
表面にリン酸塩化成処理被膜を形成する方法において、
前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、該取り出し
たリン酸塩化成処理浴を再び戻すという循環経路を設け
るとともに、前記循環経路中には、SiO2 、Al2
3 、を基本構成化合物としてもつ無機物よりなるフィル
タを設けるという手段を採用するものである。
【0024】また、本発明の第2の発明は、リン酸イオ
ン、硝酸イオン、化成皮膜形成金属イオンおよび酸化剤
を含むリン酸塩化成処理浴に鉄鋼材料を接触させ、被膜
形成反応を生じさせることによって、鉄鋼表面にリン酸
塩化成皮膜を形成する方法であって、前記被膜形成反応
が生じている前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中よ
り、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、前記リ
ン酸塩化成処理浴の液体としてのエネルギー状態を熱力
学的に安定にする安定化手段によって、エネルギー状態
を安定にした後、再び前記浴槽に戻すという手段を採用
するものである。
【0025】さらに第3の発明では、リン酸イオン、硝
酸イオン、化成皮膜形成金属イオンおよび酸化剤を含む
リン酸塩化成処理浴に鉄鋼材料を接触させて鉄鋼表面に
リン酸塩化成皮膜を形成する方法であって、前記リン酸
塩化成処理浴中に鉄鋼材料が浸漬した浴槽中より、前記
リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、前記リン酸塩化
成処理浴をSiO2 、Al2 3 を基本構成化合物とす
る多孔質性無機物よりなる濾過体に通過させた後、再び
前記浴槽に戻すという手段を採用する。処理方法。
【0026】
【作用】上記第1乃至第3の発明の手段によって、なぜ
スラッジの生成が十分に抑制されるのか、熱力学的見地
に立って説明する。
【0027】化成処理浴中でのスラッジの発生、成長
は、溶液中の結晶核の生成と成長であると見なすことが
できる。つまり、溶液中での結晶核の形成は、熱力学的
見地において、被膜形成可能な化成処理浴が過飽和の状
態にあるために、全て液体の状態において、存在するよ
りも、過飽和成分の固体成分が析出した方が、エネルギ
ー的に安定になることに起因して生じるものと考えられ
ている。
【0028】これを具体的に説明すると、一般的に、こ
のようなスラッジ生成を生じさせる結晶核の生成および
成長のエネルギー変化ΔGは、結晶核を形成することに
よって、溶液相自身の有する自由エネルギーを減少させ
ようとする体積エネルギーΔGVと、結晶核生成に伴
い、この結晶核と溶液相との界面に新たな表面が形成さ
れることにより生じる溶液の自由度の変化に伴う表面エ
ネルギーの変化量ΔGSの和によって、あらわすことが
できる。
【0029】つまり、
【0030】
【化8】 ΔG=−ΔGV+ΔGS=−4/3πr3 Δμ+4πr2 γ となる。ここで、rは結晶核の半径、Δμは過飽和度、
γは表面エネルギー密度を示す。
【0031】この式(8)に従って、溶液中の結晶核の
生成および成長メカニズムをモデル化したものを図1に
示す。つまり、臨界核半径(rc)で示される臨界核半
径以下の半径を有する結晶核においては、符号1で示す
矢印のようにスラッジは成長しない。しかし、図1の
(rc)で示すスラッジの臨界核半径を越えると自由エ
ネルギー(ΔGrc)が負となり、符号2で示す矢印の
ようにスラッジが成長する。また、透明な、化成処理浴
に加熱、鉄の溶解等で大きな外部エネルギーが加えられ
た時には、化成処理浴中の可溶成分はΔGrcを越え
て、エネルギーを与えられることになる。このエネルギ
ーの供給によって、処理浴の自由エネルギー(△G)は
大きく減少させる方向に作用され、化成処理浴中で符号
3で示す矢印に従って臨界核半径(rc)を超えて、結
晶が析出・成長し、処理浴中へのスラッジ析出および鉄
鋼表面への被膜形成が行われる。
【0032】なお、鉄が溶解した時は、鉄の溶解に伴う
エネルギー(△H)が化成処理浴に加えられる。それに
伴って、鉄鋼表面で、符号3に示す矢印に従って、結晶
の析出・成長が行われ、被膜が形成されるのである。
【0033】このように、化成処理浴がスラッジのない
透明な状態に維持するためには、化成処理浴中のスラッ
ジの結晶核半径を図1の(rc)より小の領域に維持す
ることが必要である。そのためには、以下のような手段
が考えられる。 化成処理浴中のスラッジを濾過によって物理的に除去
する方法。
【0034】この場合、濾過としては従来公知の種々の
濾過方法を採用できる。なお、スラッジの除去は間欠的
に実施しても連続して実施してもよい。 化成処理浴へのエネルギーへの付加を抑制する。
【0035】つまり、濾過に伴い化成処理浴に外部エネ
ルギーの過大な付加がある場合、例えば濾過ポンプによ
り、化成処理浴が大きく加圧されるような場合等には、
そのエネルギー付加により、化成処理浴の内部エネルギ
ー(△H)が減少し、その結果、自由エネルギーGが大
きく減少し、スラッジが形成される。
【0036】そのため、化成処理浴へのエネルギーの付
加を抑制する具体的方法として、例えば化成処理浴の過
大な攪拌を避けるとか、化成処理浴の温度を過剰に高め
ないとか、局部的な加熱を避けるとか、濾過ポンプの回
転数を制御し、濾過圧を抑えるとかの手段がある。具体
的には、例えば濾過ポンプの回転数を制御することによ
り、濾過経路の圧損を1.0kg/cm2以下、より好ましく
は0.6kg/cm2以下で緩やかに実施することが好まし
い。
【0037】しかし、上記手段を採用することにより、
スラッジの生成の抑制をある程度計ることができたとし
ても十分とはいえない。そこで、本発明者は、スラッジ
生成のメカニズムを究明することによって、化成処理浴
の循環により、連続的な濾過を特有の濾材を用いて、化
学的に化成処理浴が有する液体としての内部エネルギー
を減少させて、化成処理浴のスラッジの生成を抑えるこ
とができることをはじめて見出した。
【0038】即ち、本発明の透明な化成処理浴は、式
(8)で述べたように、過飽和状態という過剰な化学ボ
テンシャルを有した反応溶液と、定義でき、この状態で
は、わずかな外部エネルギーの付加でスラッジが生成さ
れる状態にある。
【0039】そして、このような状態の化成処理浴中で
は、化成処理被膜形成に伴う結晶の析出が、式(4)に
従って、被処理物の表面に沿って行われるとともに、浴
全体においては、式(1)〜式(4)の反応が行われ、
これら反応によって、化成処理浴を構成する成分の液体
中の化学構造が変化する。つまり、溶液内に溶けている
金属イオン、リン酸イオンおよび硝酸イオンの間の相互
のエネルギーバランスが乱れ、不安定な状態の構造にな
る。そして、式(1)〜式(4)の反応が繰り返される
ことによって、化成処理浴の各成分の化学構造が徐々に
変化し、エネルギーバランスが崩れていき、溶液中に蓄
積される図1に示された自由エネルギーレベルがΔGr
cに近づき、ついには越えるようになる。その結果、化
成処理浴内にスラッジが生成されるようになるのであ
る。
【0040】そこで、本発明者は、上述の化成処理浴の
液体状態の中での各成分の化学構造の変化を抑えるだけ
でなく、化学構造の安定化を計ることによって、化成処
理浴のスラッジ生成を化学的に抑えられることを見出し
たのである。
【0041】つまり、化成処理浴に加圧等の上述したよ
うに、外部エネルギーを与えない状態を維持しつつ、化
成処理浴を、SiO2 、Al2 3 等の多孔質性無機物
を順次、連続的に接触濾過させることによって、上述し
た溶液構造の変化を抑制するとともに、安定化にするこ
とによって、常に透明な化成処理浴を維持することがで
きることを見出したのである。
【0042】このような手段を採用することによって、
化成処理浴中の金属イオン、リン酸イオン及び硝酸イオ
ン等を含む溶液と多孔質性のSiO2 、Al2 3 等の
表面との間で、例えば溶液化学的静電相互作用および分
極相互作用のような作用が働き、エネルギーのやり取り
が行われる。このエネルギーのやりとりによって、溶液
内の可溶性イオンの微小な溶液構造的ゆがみにより生じ
ていた不安定なエネルギー状態を溶液構造的に安定なエ
ネルギー状態とすることができる。
【0043】その結果、図1に示す自由エネルギーΔG
を低いレベルに維持し、スラッジの発生を化学的に抑え
ることができるのである。そして、このような溶液構造
の安定化を行うには、溶液全体を連続的に多孔質形無機
物と接触させること、すなわち、大容量の化成処理浴を
直接、順次連続的に濾過循環させることが望ましい。
【0044】そして、上記手段を採用することによっ
て、得られるリン酸塩皮膜が緻密で高品質なものとなる
のは、上記(4)式で生成するリン酸塩(スラッジ)が
化成処理浴に存在しないため、(4)式の反応は鉄が溶
解したときのみ、すなわち化成処理時に鉄表面でのみ進
むためスラッジからのリン酸塩皮膜形成が無く、化成処
理浴のリン酸塩形成能が高いことによる。このため化成
処理浴に鉄を接触させると、上記(1)、(2)式に示
すエッチング反応を充分に行い、その結果得られる大き
な反応駆動力により(3)及び(4)式に示す皮膜形成
反応が鉄表面で進みリン酸塩は鉄表面で確実に反応し特
に反応の初期においては極微細な結晶として鉄表面に形
成される。このため、得られるリン酸塩皮膜は強固で高
品質なものとなると考えられる。
【0045】ここで、スラッジが生成されない透明なリ
ン酸塩化成処理浴とは、どのくらい透明であるかといえ
ば、化成処理浴の透明度は、少なくとも5cmの透視度
が得ることができる、より好ましくは、20cm以上の
透視度のものをいう。
【0046】化成処理浴の透視度が5cm以上の低スラッ
ジ量とすることにより、上記した問題点を解決できるば
かりでなく、得られるリン酸塩皮膜が緻密な高品質なも
のとなり、かつ、スラッジの発生そのものを抑制するこ
とができる。
【0047】以下、その他の諸条件について述べる。化
成処理温度すなわち化成処理浴の温度は40℃以下、よ
り好ましくは20℃ないし35℃である。化成処理浴の
温度と化成処理浴の内部エネルギーΔHとは相互に関連
し、化成処理浴の温度が高くなるとその化成処理浴が有
する内部エネルギーも高くなり、その結果、化成処理浴
は不安定となり、処理浴の液体としての状態を保持でき
なくなり、液体の内部エネルギー(△H)を減少させる
よう作用することになり、スラッジが発生、成長しやす
くなる。このた化成処理浴の温度が40℃を越えると化
成処理浴内に大きなスラッジが発生し、高品質の化成皮
膜が得られない。
【0048】なお、化成処理浴の内部エネルギーが高く
なることは皮膜形成反応が促進されることであり、皮膜
形成の面からは化成処理浴の内部エネルギーが高い方が
好ましい。同様に化成処理浴の温度が高くなることは皮
膜形成反応が促進されることであり、皮膜形成の面から
は化成処理浴の温度が高い方が好ましい。
【0049】また、逆に20℃に満たない低温では、皮
膜形成反応を抑制する窒素酸化物が化成処理浴内に蓄積
され、皮膜形成反応が進みにくくなる。20℃に満たな
い低温では、化成処理浴中にN2 4 が分子状で蓄積さ
れ、このN2 4 が鉄鋼材のエッチングを抑制しリン酸
塩皮膜形成を抑制すると思われる。N2 4 は、 NO
3 - →N2 4 →NO2 - の還元反応の中間生成物で、
化成処理浴中にN2 4 が多量に存在すると(1)式の
反応が抑制される。N24 の沸点は21.15℃であ
り、化成処理浴の温度が約20℃以上ではN2 4 は気
体として存在することになり、その気体が処理浴に溶解
するものを除き大気中に希散して化成処理浴より除去さ
れ、化成処理浴に蓄積しない。しかし化成処理浴の温度
が約20℃以下では、N2 4 は液体として存在するこ
とになりガス化して希散しにくい。このためN2 4
化成処理浴に蓄積され(1)式の反応を抑制する。
【0050】化成処理浴は通常室内に設けられるため、
化成処理浴を40℃以下に維持するために特に、化成処
理浴を加熱したり、冷却したりする必要はない。しかし
より厳密に化成処理浴の温度を一定温度に管理するた
め、温度調節装置を設けてもよい。しかし温度管理にお
いても、急激な加熱とか急激な冷却は化成処理浴の液体
の化学構造を変化させるように働くことになり、スラッ
ジの生成等を招くことになるため好ましくない。
【0051】本発明のリン酸塩化成処理方法において、
化成処理浴の酸化還元電位(AgCl電極電位)が25
0ないし550mvである必要がある。なお、望ましくは
300ないし500mvである。
【0052】本発明の処理方法では、化成処理浴中にス
ラッジを含まないため、液体中の可溶性の化学成分イオ
ンと固体のスラッジとの間の関係を示すという意味での
上記(4)式の平衡関係は存在せず、反応は鉄鋼材表面
で右方向、すなわちリン酸塩形成方向に速やかに進む。
また、上記(1)および(2)式の反応はエッチング反
応であり、鉄鋼材を化成処理浴に接触させなければ生じ
ない。また、上記(3)式は(4)式に伴う反応であ
り、(4)式が起こらなければ生じない。このためスラ
ッジの存在しない本発明にかかる化成処理浴中で主とし
て影響を及ぼす重要な反応は上記(1)式および(5)
式の平衡関係と考えられる((5)式は(1)式のH+
を供給する。)。
【0053】なお、スラッジが存在する場合は、NO2
- は、処理浴中に鉄鋼材がない場合にも反応浴中で作用
し、(3)式、(4)式の関係から、スラッジが形成さ
れ、その結果化成処理浴中のNO2 - は減少する。そし
てスラッジ生成の傾向は化成処理浴中のZn2+,Fe2+
の量に依存し、Zn2+,Fe2+が多い処理浴は酸化還元
電位は相対的に低いが、(4)式の反応も進みやすくな
る。鉄鋼材が投入されていない時(4)式の反応が進め
ば(3)式の反応も進むため、NO2 - は減少し、可溶
性のZn2+,Fe2+も減少するため化成処理浴の酸化還
元電位が上昇する。
【0054】スラッジの存在しない化成処理浴の支配的
な反応は(1)、(4)式であると言える。本発明の方
法は、化成処理浴中にスラッジが存在しないため、
(1)式で生成したNO2 - は化成処理浴中でNO2 -
あるいはHNO2 として安定に存在することになる。
【0055】この(1)式の反応は鉄鋼材のエッチング
反応であるが、NO3 - →NO2 -の反応であり、活性
なNO3 - 濃度は化成処理浴の酸化還元電位に大きく影
響する。すなわち、NO3 - 濃度が大きければその浴の
酸化力は大きくなり化成処理浴の鉄鋼材エッチング能力
は増大する。その場合は酸化還元電位は相対的に高い値
を示す。化成皮膜形成のためには、エッチング反応以外
に化成皮膜形成反応(3)および(4)式も重要であ
る。化成皮膜形成反応は前記したように(4)式により
制御される。そして(4)式が進むためには、処理浴に
可溶のZn2+、Fe2+が必要であり、その場合酸化還元
電位は相対的に低くなる。このような状況から酸化還元
電位は250〜550mvにあることが必要である。
【0056】処理浴の酸化還元電位と密接な関係を持つ
NO3 - は、通常主剤の中にH3 PO4 、Zn2+と共に
含まれ、主剤として化成処理浴に補給される。主剤の化
成処理浴への補給は、通常化成処理浴の電導度の変動と
対応して行うが、本発明の場合には、(1)および
(4)式の化成皮膜形成反応が確実に制御されるため、
酸化還元電位が低下したときは主剤を供給することも可
能である。主剤の供給を管理することで化成処理浴の酸
化還元電位の制御が可能であることは、酸化還元電位が
化成処理浴の全体の酸化と還元のバランス(平衡)を反
映していることを意味していることに対応している。
【0057】本発明のリン酸塩化成処理方法の化成処理
浴の酸化還元電位は250〜550mv(AgCl電極電
位)である。なお、酸化還元電位が高すぎても逆に酸化
還元電位が低すぎても強固なリン酸塩皮膜の形成に不都
合である。
【0058】化成処理浴の酸化還元電位は、処理浴中に
種々ある平衡系の中から(4)式を代表して反映してい
るようである。すなわち、可溶性の金属イオンが多けれ
ば、酸化還元電位は低くなり、逆に、可溶性の金属イオ
ンが少なければ酸化還元電位は高くなる。このため、酸
化還元電位550mV以上では、浴中の可溶性の金属イ
オン(特にFe2+)が少なくなり、処理浴中で(4)式
の反応が抑制されるため皮膜形成が不可となる。
【0059】また、250mV以下では可溶性金属イオ
ンが多くなり、その結果、処理浴中で安易にスラッジが
生成するため、化成処理浴の透明度維持は困難となる。
そのため、強固な化成皮膜の形成は不可となる。
【0060】なお、本発明にかかる化成皮膜処理浴中の
リン酸イオンは、概ね4g/l (グラム/リットル)以
上、皮膜形成金属イオンは、概ね1.5g/l 以上、硝酸
イオンは、概ね3g/l 以上必要である。逆に、リン酸イ
オンの上限は、概ね100g/l程度、皮膜形成金属イオ
ンの上限は、概ね20g/l 程度、硝酸イオンの上限は、
概ね150g/l 程度である。また、最も好ましいイオン
濃度は、リン酸イオンでは概ね5〜30g/l 程度、皮膜
形成金属イオンでは概ね1.5〜5g/l 程度、硝酸イオ
ンでは概ね3〜30g/l 程度である。
【0061】化成処理浴の管理は酸化還元電位の制御が
基本であるが、より確実な化成処理浴の管理のために、
化成処理浴の他の電気化学パラメータである水素イオン
濃度(以下PHと称す)、電気電導度(EC)と併用し
て使用する。
【0062】PHは1.5〜4.5程度の範囲内に有る
ことが好ましい。PHが1.5に満たないときは
(3)、(4)式の皮膜形成反応を確実に行うことに問
題があり、逆にPHが4.5を越えると(1)、(2)
式のエッチング反応の継続に問題がある。PHを高める
には苛性ソーダ等の中和剤を注入することで、逆にPH
を低くするには主剤を注入することで対処できる。
【0063】電気電導度は化成処理浴の種類によりその
適切な範囲は変わる。硝酸イオン等活性なイオンを多く
含む浴では高めに設定するが、硝酸イオン等が少なくリ
ン酸イオンの多い浴では低めに設定する。一般に電導度
設定値下限にて、主剤を添加し、化成処理浴の電導度を
一定範囲に管理する。なお、電気電導度は、化成処理浴
の化学イオンの構造によっても変動し、溶液中のイオン
の構造化が進む程同じ成分組成であっても電導度は低下
する。前記したことを考慮し、化成処理浴の電導度は1
0〜200mS・cm-1程度に管理する。
【0064】本発明のリン酸塩化成処理方法、上記した
ように化成処理浴中にスラッジを存在させないで、化成
処理浴の温度を40℃以下に維持し、そして酸化還元電
位を250〜550mvに維持するもので、その他のリン
酸塩化成処理方法に必要とされる薬液、鉄鋼材の洗浄等
の処理等の工程は、従来のリン酸塩化成処理方法と同じ
である。
【0065】
【発明の効果】本発明のリン酸塩化成処理方法では、化
成処理浴中にスラッジが実質的に存在しないため、得ら
れるリン酸塩皮膜内にスラッジが混入しない。さらに、
化成処理浴中に皮膜形成反応を抑制する成分が少ないた
め、鉄鋼材の表面に強固なリン酸塩皮膜を形成し、得ら
れるリン酸塩皮膜が高品質なものとなる。
【0066】また、化成処理浴内でスラッジが生成しに
くいため、薬液がスラッジとして消費されることが少な
く、その分薬液の無駄が無くなり、薬液の利用率が高ま
る。さらには、化成処理浴管理が実質的に酸化還元電
位、電導度、PHの変動に対応する薬注制御のみで可能
であり、主として主剤と中和剤の注入制御で済むため、
化成処理浴管理が極めて単純、簡略化される。
【0067】
【実施例】ここでは、Zn2+を2g/l、H3 PO4
5g/l、NO3 - を16〜20g/l、Ni2+を0.
5g/l、F- を0.1g/lの重量率組成からなる1
3 の化成処理浴1を用い、表1に示す処理条件でリン
酸塩化成処理を実施した。被処理材としては自動車用部
品の鉄鋼製マグネットクラッチ部品(表面積2.5dm2/
1 ケ)をワーク10として用い、1個のハンガー12当
たり60個吊り下げて処理した。なお、リン酸塩化成処
理に引き続きカチオン電着塗装を実施した。なお、リン
酸塩化成皮膜の性状を知るためリン酸塩化成処理のみ実
施し、塗装を省略したものも作った。これらの各工程
は、脱脂→脱脂→水洗→表面調整→リン酸塩化成処理→
水洗→純水洗→カチオン電着塗装→純水洗→純水洗→純
水洗→セッテイング→焼付(195℃、30分)で、各
工程のタクト時間はそれぞれ2分で行った。なお、脱脂
後にリン酸塩化成処理の水洗は、水洗終了後、新鮮な工
業用水をスプレー塗布することで、確実な水洗が行える
ようにした。
【0068】ここで、第2図に第1実施例に用いた装置
の概略を示す。ワーク10は、ハンガー12につり下げ
られながら、本願発明のリン酸塩化成処理浴1中に浸漬
される。このリン酸塩化成処理浴の組成を反応中も所定
のPHおよび酸化還元電位に維持するために、主剤及び
助剤がサブタンク14に入っており、このサブタンク1
4よりリン酸塩化成処理浴1の満たされた槽16に挿入
可能なように配管が設けられている。この主剤および助
剤の投入量は、浴1中に7けられたセンサ18からの信
号より制御装置20が判断して決定されるようになって
いる。また、浴1中には、浴1の成分が常に一定になる
ように、所定の回転速度に保たれた攪拌器22が設けら
れている。
【0069】さらに、この槽16には、別の配管が設け
られている。即ち、槽16中のリン酸塩化成処理浴1の
一部を取り出し、再び槽16中に戻す濾過循環経路Aが
設けられている。この経路Aには、リン酸塩化成処理浴
1を経路Aを循環させるためのポンプ24、リン酸塩化
成処理浴1のエネルギー状態を安定にする安定化手段で
ある濾過フィルタ26およびバルブ28、30が設けら
れている。
【0070】さらに、この濾過フィルタ26には、濾過
フィルタ26の表面を構成するケイソウ土の被覆形成す
るためのプリコート経路Bが形成されている。このプリ
コート経路Bには、ケイソウ土が含有しているコート液
32を有するプリコート槽34、プリコート経路Bを循
環させるためのポンプ36、濾過フィルタ26およびバ
ルブ38、40が設けられている。
【0071】そして、通常の被膜形成時には、バルブ2
8及び30を開くとともに、バルブ38及び40を閉じ
ることによって、循環濾過経路Aにリン酸塩化成処理浴
1を循環させた。そして、この循環によって、槽16中
の浴1を攪拌と、リン酸塩化成処理浴1をフィルタ26
に通すことかでき、浴1中のスラッジの除去だけでな
く、浴1のエネルギーの安定化をすることができた。
【0072】濾過フィルタ26の表面のケイソウ土の劣
化等によって、濾過フィルタ26におけるケイソウ土の
再被覆が必要になってくると、まずバルブ28、30、
38及び40を閉じ、バルブ42及び44を開く。そし
て、高圧のエアーを濾過フィルタ26に投入し、濾過フ
ィルタ26に残留された処理浴ともに劣化したケイソウ
土を槽46に排出させる。槽46に排出されたケイソウ
土を含む処理浴は、図示しない別途設けられた脱水濾過
器にて、ケイソウ土と透明な処理浴とに分離される。分
離された透明な処理浴は、槽34に導入され、再利用さ
れる。また、分離されたケイソウ土は、廃棄される。そ
の後、バルブ28、30、42及び44を閉じ、バルブ
38及び40を開くことによって、プリコート経路B
に、コート液32を循環させる。そして、このコート液
32の循環によって、フィルタ26の表面にケイソウ土
を被覆させる。
【0073】以上のように、化成処理浴の管理としは、
表1に示す従来例の場合は、化成処理浴の濾過を行わ
ず、スラッジが存在する状態でリン酸塩化成処理を行っ
た。また、処理浴の管理は特開昭63−270478号
公報に記載された方法で行った。表1の比較例および実
施例では化成処理浴をケイソウ土で濾過し、化成処理浴
の透視度を表1に示す値以上に保持した。なお、濾過ポ
ンプの回転数制御により濾過による圧損0.4〜0.6
kg/cm2とし、濾過循環量は1時間当たり3〜10m3とし
た。
【0074】
【表1】 化成処理浴の管理は、表1に示す酸化還元電位、PHお
よび電気電導度で管理した。酸化還元電位が表1の下限
に達したときは促進剤としてのNaNO2 を補給した。
PHが下限に達したときは中和剤として苛性ソーダ等
を、上限に達したときは上記化成処理浴の薬液成分を濃
くした酸性液を主剤として補給した。また、電気電導度
が上限に達したときは、PHが上限に達しても主剤の補
給を行わないことで対処し、電気電導度が下限に達した
ときは主剤を補給した。
【0075】化成処理浴の温度制御は特に実施せず、温
度は20℃〜27℃であった。得られたリン酸塩化成皮
膜のSEM(倍率1000倍)写真を図3〜図7に示
す。また、塗装では20〜25μm厚さの塗膜が形成さ
れた。そして得られたリン酸化成皮膜の耐蝕性を調べる
ために、塗膜の塗装面にナイフで直線状の切り込みを付
け、これを55℃の5%NaCl水溶液に240時間浸
漬し、その後乾燥しさらに切り込みの上に粘着テープを
張りつけ、そのテープを剥がし、テープに付着して剥が
れる塗膜の剥がれの大きさを測定した。なお、剥がれの
大きさはリン酸塩化成皮膜の耐蝕性の目安となるもの
で、剥がれ幅の小さい程耐蝕性が良いことを示す。SE
M写真で観る限りいずれのリン酸塩化成皮膜も特に大き
な相違はなかった。しかし、塩水浸漬試験では、本発明
のリン酸塩化成処理方法によって処理された実施例1〜
3のものは剥離幅が0ないし1.0mmと極めて良好であ
った。これに対して従来例のものは剥離幅が5〜9mmと
大きく、また、比較例のものも剥離幅4〜10mmと大き
かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】化成処理浴中のスラッジの粒径と自由エネルギ
ー変化ΔGを示す線図
【図2】第1実施例に採用したシステムの概略図。
【図3】実施例1の方法で得られたリン酸塩皮膜の結晶
構造のSEM写真図
【図4】実施例2の方法で得られたリン酸塩皮膜の結晶
構造のSEM写真図
【図5】実施例3の方法で得られたリン酸塩皮膜の結晶
構造のSEM写真図
【図6】比較例の方法で得られたリン酸塩皮膜の結晶構
造のSEM写真図
【図7】従来例の方法で得られたリン酸塩皮膜の結晶構
造のSEM写真図
【符号の説明】
1 リン酸塩化成処理浴
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸イオン、硝酸イオン、化成被膜形
    成金属イオンおよび酸化剤を含む40℃以下に維持され
    たリン酸塩化成処理浴に鉄鋼材料を接触させ、前記リン
    酸塩化成処理浴と前記鉄鋼材料間に被膜形成反応を生じ
    させることによって、鉄鋼表面にリン酸塩化成処理被膜
    を形成する方法において、 前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、該取り出し
    たリン酸塩化成処理浴を再び戻すという循環経路を設け
    るとともに、前記循環経路中には、SiO2 、Al2
    3 、を基本構成化合物としてもつ無機物よりなるフィル
    タを設けることを特徴とするリン酸塩化成処理方法。
  2. 【請求項2】 前記リン酸塩化成処理浴の酸化還元電位
    (AgCl電極電位)が250〜550mvであること
    を特徴とする請求項1記載のリン酸塩化成処理方法。
  3. 【請求項3】 リン酸イオン、硝酸イオン、化成皮膜形
    成金属イオンおよび酸化剤を含むリン酸塩化成処理浴に
    鉄鋼材料を接触させ、被膜形成反応を生じさせることに
    よって、鉄鋼表面にリン酸塩化成皮膜を形成する方法で
    あって、 前記被膜形成反応が生じている前記リン酸塩化成処理浴
    を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を
    取り出し、前記リン酸塩化成処理浴の液体としてのエネ
    ルギー状態を熱力学的に安定にする安定化手段によっ
    て、エネルギー状態を安定にした後、再び前記浴槽に戻
    すことを特徴とするリン酸塩化成処理方法。
  4. 【請求項4】 前記安定化手段は、前記リン酸塩化成処
    理浴が液体のみの状態を維持しつつ、かつ前記液体が有
    する内部エネルギーを熱力学的に安定化させることを特
    徴とする請求項3記載のリン酸塩化成処理方法。
  5. 【請求項5】 前記リン酸塩化成処理浴の酸化還元電位
    (AgCl電極電位)が250〜550mvであるとと
    もに、前記リン酸塩化成処理浴の温度が40℃以下であ
    ることを特徴とする請求項3記載のリン酸塩化成処理方
    法。
  6. 【請求項6】 前記安定化手段は、SiO2 、Al2
    3 を基本構成化合物である多孔質性無機物よりなること
    を特徴とする請求項3記載のリン酸塩化成処理方法。
  7. 【請求項7】 リン酸イオン、硝酸イオン、化成皮膜形
    成金属イオンおよび酸化剤を含むリン酸塩化成処理浴に
    鉄鋼材料を接触させて鉄鋼表面にリン酸塩化成皮膜を形
    成する方法であって、 前記リン酸塩化成処理浴中に鉄鋼材料が浸漬した浴槽中
    より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、前記
    リン酸塩化成処理浴をSiO2 、Al2 3 を基本構成
    化合物とする多孔質性無機物よりなる濾過体に通過させ
    た後、再び前記浴槽に戻すことを特徴とするリン酸塩化
    成処理方法。
  8. 【請求項8】 前記リン酸塩化成処理浴の酸化還元電位
    (AgCl電極電位)が250〜550mvであるとと
    もに、前記リン酸塩化成処理浴の温度が40℃以下であ
    ることを特徴とする請求項6記載のリン酸塩化成処理方
    法。
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