JPH06214370A - 画像形成システム、現像処理方法及び装置 - Google Patents

画像形成システム、現像処理方法及び装置

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JPH06214370A
JPH06214370A JP13932893A JP13932893A JPH06214370A JP H06214370 A JPH06214370 A JP H06214370A JP 13932893 A JP13932893 A JP 13932893A JP 13932893 A JP13932893 A JP 13932893A JP H06214370 A JPH06214370 A JP H06214370A
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processing
container
liquid
sensitive material
solution
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JP13932893A
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English (en)
Inventor
Takashi Nakamura
敬 中村
Koichi Sasaki
光一 佐々木
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】適正な処理条件で確実に写真感光材料を処理で
きる処理装置を提供。 【構成】写真感光材料の処理工程、処理液温度等の処理
情報を担持したICカードを処理装置の操作部に装填す
ると、操作部内に設けた制御装置の読取装置がICカー
ドの情報を読み取る。制御装置は読み取った処理条件に
従って制御手段が処理条件を設定して送液手段、処理液
温調手段等の作動を制御し、マニュアル操作を行わずに
写真感光材料を処理する。 【効果】専門的知識を必要とせずに、写真感光材料を適
正かつ確実に処理できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀写真感光
材料を処理液に接触させることにより写真感光材料を現
像処理して画像を形成する画像形成システム、現像処理
方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、露
光後に発色現像、脱銀、水洗、安定等の工程により処理
される。発色現像処理には、発色現像液、脱銀処理には
漂白液、定着液、漂白定着液、水洗には水道水、井戸
水、化学処理又は物理処理した水あるいはイオン交換
水、蒸留水、安定処理には安定液がそれぞれ使用され
る。一方、黒白写真感光材料では発色現像の代わりに黒
白現像、定着、水洗によって処理される。各処理液は通
常20〜70℃、好ましくは30〜60℃に温調され、
カラー及び黒白写真感光材料はこれらの各処理液中に浸
漬されて処理される。
【0003】感光材料のこのような処理を商業的に実施
するには、コスト及び人手作業の軽減、公害負荷の低
減、処理装置のコンパクトさ、更には商品価値の向上の
ため、できるだけ少量の処理液で安定かつ優れた処理性
能を得ることが要求される。安定した処理性能を得るた
めには処理液組成は常に一定の範囲内に保たれることが
必須であり、また優れた性能を得るためには十分な量の
処理液にムラなく均一に浸漬される必要がある。
【0004】したがって、カラー写真感光材料の商業的
処理にはカラー現像所におけるように多量の処理液を貯
溜した処理槽を有した自動現像機が使用され、一定量の
カラー感光材料を処理するごとに、処理液の疲労を補正
する補充液を自動的に補充して貯溜処理液の組成が常に
一定の範囲内に収まるように設計されている。このよう
な連続補充システムは、多量のカラー写真感光材料を毎
日一定の範囲内の量で処理する場合には極めて良好な結
果を得る。
【0005】しかし、カラー写真感光材料の処理量に比
例して補充を供給するシステムであるために、相対的に
カラー写真感光材料の処理量が少ない時は現像処理に基
づく液組成成分の消費及び不要成分の蓄積よりも水分の
蒸発による処理液の濃縮や、処理液組成成分の空気酸
化、分解等による成分変化が上回り、処理面積に基づく
補充のみでは一定範囲内の処理液組成を維持できず、し
たがって安定かつ優れた処理性能を得ることができな
い。
【0006】最近は消費者の好みの多様化、即座にカラ
ープリントを得たいという要望、副業としてカラー写真
処理を行いたいなどの要望があり、カラー写真感光材料
の処理では大規模現像所での集中処理からミニラボによ
る分散型の少量処理、更には少量かつ迅速処理に急速に
移行しつつあり、特に後者での閑散処理では上記連続補
充システムの欠点が大きな問題として顕在化しつつあ
る。一方、黒白写真感光材料の処理でも同様な傾向が見
られ、特に小型処理機による補充処理、更には小型迅速
処理機による補充処理時の閑散補充ではカラー処理と同
様に連続補充システムの欠点が問題化しつつある。しか
も、これらに対応するために処理液の使い捨て処理も考
えられるが、感光材料一本に対し大量の処理液を捨てる
必要が生じ環境上好ましくない。一方、この液を何回も
再利用すると性能が一定にならず順次変化してしまうた
め、多くの感光材料を処理することはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記要望に鑑み、本出
願人は特開平4−230745号公報に記載されている
ような簡易な感光材料処理方法を提案した。該方法は、
少ない処理液量でも安定した処理性能が得られ、しかも
処理装置が小型になるという利点がある。更に、処理液
を使い捨てる場合、捨てる処理液が非常に少なくて済み
環境上も好ましい。
【0008】しかしながら、上記方法による処理は、処
理液を小型カプセル内に順次供給して感光材料を処理す
るので、カプセルにヒータや温調手段を設けてあれば処
理液の温調が可能であるが、小型カプセルにこれらを一
体に組み込むことは困難でありカプセルを大型化するこ
とにもなりかねる。また、カプセルは着脱自在で交換式
であると便利であるが、交換式に構成した各カプセルに
ヒータや温調手段を設けることはコストアップを招く。
【0009】そこで、カプセル内で温調を行わない代わ
りに、カプセルに供給する処理液をあらかじめ液種ごと
に温調しておく必要があり、温調した処理液をカプセル
に供給して感光材料を処理すれば処理上の問題はない。
また、処理液の温度は液種ごとに設定されていると共
に、感光材料の種類によって各処理液の温度も異なり、
多種の感光材料の処理に対応できるようにするには、感
光材料の種類と使用する処理液温度とを正確に対応付け
て認識しておく必要がある。
【0010】しかし、作業マニュアル等にこのような処
理情報を正確に記載してあっても、作業者が感光材料の
種別を誤ったり、処理操作を誤ったりして、感光材料と
処理温度とが適正に対応しなくなる恐れがある。また、
処理内容が設定されている感光材料であっても、露光状
態や仕上がりの好みなどを考慮した補正を含めた処理を
行う要求があるが、上記同様に、マニュアルに基づいて
作業者が処理内容を補正して判断や作業を誤る恐れがあ
る。このようなすべての作業は、明室で行うことが好ま
しく、誤作業を未然に防止することができる。
【0011】本発明の目的は上記問題を解決することに
あり、多種の感光材料を処理するにあたって、適正な温
度の処理液で適正に処理でき、かつ温調も容易で処理内
容の補正も容易であり、更にすべての作業を明室で行う
ことができ、しかも安定な性能が得られ廃棄する処理液
が少なくて済む画像形成システム及び写真感光材料の現
像処理方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る上記目的は
下記構成によって達成される。 (1)像露光されたハロゲン化銀写真感光材料を、予め
設定された現像処理条件に基づき、現像処理装置により
処理して画像を形成するシステムにおいて、前記感光材
料とは独立した情報記憶媒体に予め現像処理情報を担持
させ、前記現像処理装置に備えた読取手段により前記記
憶媒体内の情報を読み取り、読み取った情報を必要に応
じて変更して現像処理装置に供給し、供給した情報に従
って現像処理装置を作動させて前記感光材料を処理する
ことを特徴とする画像形成システム。
【0013】(2)写真感光材料を微小間隙を以て重畳
状態で収容する容器と、該容器内と連通する処理液供給
口を有し前記容器が装着される容器装着台と、前記容器
上に設けられ前記容器と連通した液溜部と、前記供給口
から前記容器及び前記液溜部に処理液を供給しかつ前記
液溜部内で処理液レベルが上下するように処理液の移動
を制御する送液手段とを有する写真感光材料の現像処理
装置。
【0014】(3)前記容器が遮光されており、かつ前
記装着台及び前記液溜部に脱着可能であることを特徴と
する請求項2に記載の写真感光材料の現像処理装置。
【0015】(4)写真感光材料を微小間隙を以て重畳
状態で収容した容器に、温水を供給して前記容器を昇温
した後、前記容器に所定工程の処理液を順次供給して前
記写真感光材料の処理を行うことを特徴とする写真感光
材料の現像処理方法。
【0016】(5)写真感光材料を微小間隙を以て重畳
状態で収容する容器に、脱銀処理を含む一連の工程の処
理液を順次充填して現像処理を行う方法であって、脱銀
処理を行う際に漂白液と定着液とを前記容器内で混合し
て脱銀処理することを特徴とする写真感光材料の現像処
理方法。
【0017】(6)写真感光材料を微小間隙を以て重畳
状態で収容する容器に、一連の工程の処理液を順次充填
して現像処理を行う方法であって、前記容器に少なくと
も現像液及び漂白液を充填するに先立ち、温水で前記容
器を洗浄することを特徴とする写真感光材料の現像処理
方法。
【0018】(7)写真感光材料を微小間隙を以て重畳
状態で収容する容器に、定着処理を含む一連の工程の処
理液を順次充填して現像処理を行う方法であって、定着
処理中に定着液の一部を洗浄液に入れ換えて混合して処
理することを特徴とする写真感光材料の現像処理方法。
【0019】(8)遮光可能な本体内に、撮影済の長尺
写真感光材料を巻回して繰出可能に収容した遮光性を有
する包装体の装填部と、前記写真感光材料と重畳する繰
出可能に巻回した長尺スペーサの装填部と、前記包装体
内の前記感光材料と前記スペーサの先端とを一体で保持
可能で、駆動手段によって回転される巻取具とを備え、
前記本体は前記感光材料及び前記スペーサを巻装した前
記巻取具の排出路と該排出路を開閉する遮断部材とを有
し、かつ該排出路が、遮光性を有する仕切部材により開
閉可能な処理用容器内と遮光状態で連通可能である感光
材料巻取装置。
【0020】
【作用】上記(1)の構成によれば、処理装置は記憶手
段が担持した情報に基づいて処理を行うので、感光材料
の種類と処理液温度との対応付け等を誤ることがなく、
正確に感光材料を処理することができる。
【0021】上記(1)の構成において、感光材料を一
連の工程の各処理液に順次接触させて処理する方法に
は、いわゆるシネ式現像法とバッチ式現像法とがあり、
本発明はいずれの処理にも有効であるが、特にバッチ式
現像に有効である。バッチ処理ではハンガー現像のよう
に感光材料を各処理液にまとめて浸漬し、感光材料を液
中で搬送せずに次の工程の処理液にまとめて浸漬する方
法や、感光材料を収容した容器内に一連の工程の処理液
を順次供給、排出して処理を行う方法がある。この種の
バッチ処理は、感光材料が同時に複数の浴に入らないか
ら感光材料に接触させる処理液の変更が容易であり、処
理情報が変わっても容易に対応できる。
【0022】このような方法に対して、読取手段が読み
取った情報に従って感光材料に順次処理液を接触させて
処理すれば、処理の順番を間違えることなく正確に処理
できる。また、同じ感光材料であっても、処理時間等の
処理条件を変えて異なる処理を行うことが可能である
が、このような要求に対しても、記憶媒体に記憶させる
処理情報を変更するだけで後は前記と同様に一連の工程
に従って正確に処理することができる。
【0023】例えば処理時間や処理温度を感光材料毎に
変更したい場合、増感処理や減感処理を行いたい場合に
も、これらの情報を記憶媒体に担持させておくだけで感
光材料を誤りなく確実に処理することができる。更に
は、廃棄する液が少なくかつ閑散期でも安定した処理性
能が得られる。
【0024】処理情報を担持する記憶手段としては、記
憶方式に限定はなく、物理的記憶、磁気的記憶、電子的
記憶等がある。物理的記憶媒体としては、パンチカー
ド、バーコードカード等があり、磁気記憶媒体として
は、磁気テープ、磁気ディスク等があり、電子的記憶媒
体としてはICカード等があり、これらを用いることが
できる。これらの記憶媒体に補正情報を担持する場合
は、例えば増感処理用、減感処理用のように1種類の補
正処理情報を設定しておくと便利である。
【0025】記憶媒体が担持する情報としては、感光材
料の種類(黒白、カラーネガ、カラー反転等)、処理工
程、各工程の時間、各工程での処理液温度、補正情報
(増感、減感等)等がある。記憶手段が感光材料の種類
に応じた処理情報を担持する場合には、記憶手段に感光
材料の種類を明示しておくことが好ましい。
【0026】記憶した情報に基づいて処理する場合、各
処理の初期では処理液が高温であり、処理の進行に従い
処理液が低温になるような温度特性で処理を行うことが
好ましい。この温度特性状態は外部手段により特に設定
する必要はない。その理由は、あらかじめ所定温度に加
熱した処理液で感光材料を処理すれば処理液温度は徐々
に低下し、上記のような特性になるからである。
【0027】また、同様に現像初期に現像液中のハロゲ
ンが少なく、現像後期になる程、現像液中のハロゲンが
多くなるような現像液特性で感光材料を処理することが
好ましい。このような特性状態も外部手段により特に設
定する必要はなく、補充液を補充せずに現像処理を行え
ば上記特性になる。
【0028】感光材料処理装置は、記憶媒体の内容を読
み取る読取手段を備えてはいるものの、記憶媒体を一体
に備えているわけではなく、記憶媒体は処理装置に着脱
自在な単体として構成されこれを処理装置に装填して用
いるか、または感光材料に一体に具備して用いる。記憶
媒体が処理装置と別体であることにより、感光材料の処
理内容は記憶媒体内の情報だけに限らず本体内に別の処
理情報を記憶して、これらを複合した処理を行うことも
できる。また、処理装置内に処理内容のルックアップテ
ーブルを備えておき、記憶媒体にはそのルックアップテ
ーブルの選択肢を指定する内容を担持してもよい。
【0029】容器内に感光材料を収容し、該容器内に処
理液を供給して処理する際に、処理液を攪拌する必要が
あるが、単に処理液を供給、排出する動作で攪拌を行う
と、感光材料が一時的に空気と接触して処理ムラが生ず
る。したがって、感光材料が一時的ではあっても空気と
接しないようにするには、上記(2)の構成のように容
器と連通した液溜部を容器上に設け、容器の下部から処
理液を供給し液溜部内で処理液水位が変わるように処理
液を往復移動させることが好ましい。
【0030】このような目的で処理液を移動させるに
は、処理液の水位を検出するセンサを設けることが好ま
しく、少なくとも感光材料を収容する容器の下端部、上
端部、及び液溜部の所望部分にセンサを設けることが好
ましい。しかし、少なくとも液溜部にはセンサを設ける
必要がある。これらの各部分での処理液の有無を検出し
て処理液の移動を制御することにより、容器内で処理液
を良好に攪拌することができる。
【0031】また、容器内に感光材料を複数段に収容す
る構成では、上下の感光材料の間にセンサを付加するこ
とが好ましい。この構成によれば、感光材料が必ずしも
設定された段数で収容されていなくても、収容されてい
る感光材料に接する処理液を適正に移動させて攪拌する
ことができる。
【0032】また、容器が小型であると処理液の温調の
ためのヒータや温調手段を設けることが困難であるか
ら、容器に処理液を供給する前に処理液をあらかじめ設
定温度に調整しておくことが好ましい。しかし、現像液
のように第1工程の処理液を容器に供給すると、容器が
設定温度に達していないことから処理液供給後に処理液
温度が低下する。これを防止するために、上記(4)の
構成のように、水洗処理等に用いる水洗水をあらかじめ
温調しておき、この温水をまず最初に容器に供給して容
器を昇温することが好ましい。温水が水洗水であれば、
現像前の感光材料に何ら悪影響を及ぼすことはなく、ま
た現像処理にも悪影響がない。
【0033】しかも、この水は処理後半の水洗水として
も再利用可能である。それは、例えばエアー制御で処理
液を移動させれば元の容器に処理液をかなりの割合で戻
すことができるからである。更に、この温水により感光
材料があらかじめ温められ、かつ十分に膨潤することか
ら、乳剤膜表面に気泡ができにくく、しかもこの温水で
気泡ができても、10秒程度で消失するので、次の現像
液がくるときには気泡はまったくなくなる。この温水に
よる処理がないときには、現像処理の初期にできた気泡
が10秒程度存在すると現像ムラとなる。また、感光材
料の種類によっては、この気泡がとれないこともある
が、この場合にはこの温水処理で処理ムラを防止でき
る。
【0034】一連の現像処理工程に先立って、まず最初
に容器に温水を供給して容器を昇温しておけば、次工程
の現像処理時に現像液の温度が低下して処理機能が低下
することを防止することができ、また処理機能の低下を
補うために処理時間を延長することによる現像の長時間
化も防止でき、全工程のトータル処理時間の長時間化を
防止できる。
【0035】現像処理容器が室温(例えば25℃)であ
るとき、本処理では38℃の液を供給しても液は0.5
〜5℃/分の割合で温度低下して処理が進むため、あら
かじめ加熱した温水を一連の工程に先立って処理容器内
に供給することにより、液の温度低下を0.1〜2℃/
分に抑えることができる。
【0036】更に、上記のような現像の長時間化を防止
することと合わせて、脱銀処理を短縮化することにより
全工程のトータル処理時間を短縮することができる。す
なわち、上記(5)の構成のように、脱銀処理を行う際
に漂白液と定着液を容器内で混合し、漂白処理及び定着
処理を同時に行うことにより、漂白処理と定着処理を別
々に行うよりも処理時間を短縮することができる。両液
は同時に供給して混合してもよく、また漂白液により所
定時間処理した後に、漂白処理中に定着液を混合しても
よい。
【0037】カラーペーパーの処理では漂白定着処理の
活性が低いのであらかじめ漂白定着液を作製しておいて
も液は安定で性質の変化がないが、撮影用フィルムのよ
うな銀含有率の高い感光材料を処理するための撮影感光
材料用漂白定着液をあらかじめ作製しておいても、液が
不安定で性質が変化してしまい実用的でないことは知ら
れている。しかし、脱銀処理の直前に漂白液と定着液を
混合して漂白定着処理を行えば性質の変化がなく、適正
な漂白定着処理を行うことができる。また、このような
方法で用いた漂白定着液は再利用せずに廃棄することが
好ましいが、通常のタンク処理ではタンクの容量が多い
ので、実質的にこのような方法は不可能であった。しか
し、上記構成の方法によれば、容器を小型化でき使用処
理液も少量であるから、漂白定着液を再利用しなくて廃
棄しても、廃液が大幅に増加することはない。
【0038】また、上記のように脱銀処理を短縮化する
方法とは別に、上記(6)の構成のように、少なくとも
現像液及び漂白液を容器に充填する前に温水を容器に充
填して容器を洗浄することによっても脱銀処理を短縮化
することができる。現像処理前に容器に温水を充填して
容器を洗浄することにより容器が昇温され、次に充填さ
れる現像液は滑性が低下することなく良好に機能を発揮
し、これにより現像時間が短縮される。現像時間が短縮
された分について脱銀処理が終了するまでの時間を短縮
することができる。漂白処理前に容器に温水を充填して
容器を洗浄すると同様に容器が昇温され、次に充填され
る漂白液は滑性が低下することなく良好に機能を発揮
し、これにより漂白時間が短縮される。そして前記同様
に、漂白時間が短縮された分について脱銀処理が終了す
るまでの時間を短縮することができる。
【0039】また、水洗処理を良好に行い色素の残留を
少なくするには、上記(7)の構成のように、定着処理
中に容器内の定着液の一部を排出し代わりに洗浄液(リ
ンス液、水洗水等)を充填して混合して処理することに
より可能である。定着液と洗浄液との混合液で感光材料
を処理すると、脱銀と同時に洗浄が行われ、この結果、
早い時期から洗浄が行われるので、感光材料に色素の残
留が少なくなる。
【0040】本発明において、重畳した感光材料間に処
理液が通過できる間隙を形成するには、感光材料の乳剤
面又は支持体面に突出部を設けてもよいが、突出部を有
するスペーサを感光材料と重畳してもよい。処理液が充
填される遮光性容器内に暗室で感光材料を装填した後は
すべての処理を明室で行うことができるが、容器内に感
光材料を装填する作業も明室で行えば、現像処理作業は
きわめて容易になる。このために、上記(8)の構成の
感光材料巻取装置及び容器を用いれば、パトローネ等の
包装体に収容された撮影済の感光材料を明室でスペーサ
と共巻きにすることができる。この構成によれば、巻取
装置の本体内に感光材料包装体を装填し、スペーサ巻装
体を別に装填し、感光材料とスペーサとの各端部を一体
で巻取具に保持させ、その後、蓋等により本体内を遮光
した状態で駆動手段を作動させて巻取具を回転させれ
ば、明室で感光材料とスペーサとを共巻きにすることが
できる。
【0041】巻取具に共巻きされた感光材料とスペーサ
は、巻取中は遮断部材により閉じられている排出路を通
って処理容器に移送される。この排出路が容器内と遮光
状態で連通可能になるように容器を本体に装着し、本体
を逆さにするだけで巻取具を排出して容器内に移送する
ことができる。ここで、容器は感光材料を巻装した巻取
具を収容した後も内部を遮光するための遮光手段を有す
るように構成され、容器に蓋等を装着して処理液を充填
可能になるまでは、容器は遮光状態が維持される。この
ように、感光材料の巻き取りと容器への装填を明室で行
うことができ、その後の現像処理と合わせてすべての作
業を明室で行うことができるので、感光材料の現像処理
に要する作業は極めて簡単になる。
【0042】処理液供給手段により処理液タンクから容
器に処理液を供給する際に、負圧を生じさせないように
するのが好ましく、このためには、処理液タンクと容器
との間の流路の一番狭い部分のレイノルズ数Reが10
-2≦Re≦100、好ましくは10-2≦Re≦50、更
に好ましくは10-1≦Re≦15となるように、給液速
度、配管径等を設定する。このように設定した結果、給
液動作に伴い容器内に気泡が供給されることはなく、感
光材料は処理液と均一に接触することができ、気泡の影
響による処理ムラを防止することができる。
【0043】また、容器内でも上記レイノルズ数となる
ような速度で液が移動すれば負圧は生じないので気泡の
発生を防止できるが、容器内では液の移動は速い程好ま
しい。このような理由で容器内で給液速度より遅い速度
で液を移動させると、容器内に残留していた空気が気泡
となったり、負圧が生じて気泡が発生するので、気泡に
よる処理ムラが発生する。ところが、本発明者らの実験
によれば、容器内における処理時の感光材料表面の接触
角CAと処理液の流速uとの関係が、u≧α(CA)2
+β (α、βは定数)であれば、気泡が発生しても気
泡が感光材料表面に付着しないことが判明した。具体的
にはu≧0.016(CA)2 −22が好ましく、更に
好ましくはu≧0.020(CA)2 −22である。な
お、上式の関係は感光材料の接触角CAが38°以上の
ときに特に好ましく、接触角CAが38°より小さいと
きは、流速u>0であればよい。
【0044】感光材料と処理液(例えば現像液)との接
触角CAが50°以下、好ましくは40°以下であるこ
とにより、間隙を設けて重畳した感光材料間に処理液を
導入したときに気泡が発生しても、気泡は感光材料間に
滞留せずに移動して行く。感光材料の接触角CAとして
は特に最初に接触する処理液との接触角が重要であり、
例えば黒白感光材料にあっては黒白現像液との接触角、
カラー感光材料にあってはカラー現像液との接触角が5
0°以下、好ましくは40°以下である。
【0045】感光材料表面の接触角CAと処理液の流速
uとが上記関係であれば、感光材料表面に気泡が付着す
ることはないが、処理液の供給方向によっても気泡の付
着を防止できる。すなわち、処理液を容器の下方から上
方に向けて供給することにより、気泡は浮力及び処理液
の上昇流の作用で上昇するので、感光材料表面には付着
せず、容器から排出される。
【0046】また、前記間隙を形成するために感光材料
自身に突出部が設けられたり、突出部を有するスペーサ
が共に重畳されたりするが、液を往復移動させているだ
けではこれらの突出部の背後での液の交換効率が良くな
く、スジ状の処理ムラが生じる。これは、処理液が往復
方向にしか移動しないため、突出部の背後では同一液が
滞留していると考えられる。そこで、処理液の往動と復
動との間に一時的に液を停止状態にすることにより、処
理ムラの発生を防止することができる。すなわち、処理
液の往動と復動との間に処理液を搬送しない時期を設定
し、処理液を慣性力のみにより移動させることにより、
処理液は突出部の背後でも適当に拡散して交換される。
処理液は一部に滞留せずに良好に交換されるので、感光
材料にスジ状の処理ムラは生じない。
【0047】写真感光材料表面または処理用スペーサ表
面と処理液との接触角θは常法により求められる。例え
ば、感光材料又はスペーサの表面に処理液の液滴を載
せ、その直後の液滴の底辺の1/2をrとし、液滴の高
さをhとするとtanθ1 がh/rとして算出でき、接
触角θ=2θ1 として求めることができる。接触角の測
定は市販の測定装置を用いることができ、例えば協和界
面科学株式会社製のFACE自動接触角計CA−Z型を
用いることができる。
【0048】なお、感光材料又はスペーサ表面に処理液
を滴下してその直後に接触角を測るが、滴下2秒後を直
後と定義し、このときの接触角が50°以下、好ましく
は40°以下である。また、接触角は、乾膜後の感光材
料又はスペーサを常温常湿(例えば20℃,55%R
H)下で30分間保存後に測定される。
【0049】感光材料又はスペーサ表面に処理液を滴下
したとき、一般に時間と共に液滴が広がる(接触角が小
さくなる)傾向にあるが、この傾向が大きい方が好まし
い。例えば、処理液を滴下した2秒後から10秒後の間
に接触角の変化が3°以上であることが好ましく、特に
5°以上であることが好ましい。また、滴下直後の接触
角が50°以上の感光材料又はスペーサであっても、上
記のように時間の経過に伴い接触角が低下するものであ
れば利用することができる。このときの接触角の低下量
は、上記と同様に処理液を滴下した2秒後から10秒後
の間に接触角の変化が3°以上であることが好ましく、
特に5°以上であることが好ましい。
【0050】なお、本発明で感光材料の表面とは感光材
料の乳剤層側の面及び/又はバック側の面を言うが、特
にバック側の面の接触角を低下させることが好ましい。
また、スペーサの表面とは感光材料の乳剤面と対向する
面を言う。また、接触角を測定するときに用いる処理液
は、感光材料が最初に接触する処理液(例えば現像液)
で評価することが好ましい。このことが泡の防止を評価
する点で1つの重要な点である。また、そのとき処理液
は新液であっても、場合によっては使用済であってもよ
いし、また両者の混合液であってもよい。
【0051】感光材料又はスペーサの表面と処理液との
接触角を50°以下にするには、また経時によって接触
角を低下させるには、例えば感光材料又はスペーサの表
面にゼラチンなどの水溶性ポリマーからなる親水性コロ
イド層を設けることによって行うことができる。ゼラチ
ンは硬膜剤によって硬膜してもよく、しなくてもよい。
可溶性層を設ける場合には、硬膜しない方が好ましい。
【0052】本発明においては、感光材料の支持体のバ
ック面やスペーサの感光材料の乳剤面と対向する側に可
溶性層を設けることが好ましいが、これらの可溶性層に
も前記水溶性ポリマーを用いることができる。
【0053】本発明で上記の目的で用いる水溶性ポリマ
ーはデンプン類、マンナン類、ガラクタンやアルギン酸
ナトリウムなどの海藻類、トラガントゴムやアラビアゴ
ムやデキストランなどの植物粘質物、ゼラチンやカゼイ
ンなどのタンパク質、メチルセルロースやヒドロキシセ
ルロースやカルボキシメチルセルロースなどのセルロー
ス類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポ
リアクリルアミドなどの合成ポリマーなどが含まれる。
この中で特にゼラチンが好ましく用いられる。これらの
水溶性ポリマーはもちろん単独で用いられるが二種以上
のポリマーを混合して使用することも出来る。
【0054】ゼラチンは汎用の石灰処理ゼラチンの他に
酸処理ゼラチンや日本科学写真協会誌(Bull.Soc.Sci.Ph
ot.Japan)No.16, 30頁(1966)に記載されたような酵素処
理ゼラチンを用いてもよく、またこれらの加水分解物も
用いることができる。また、これらのゼラチンをイオン
交換処理し、含まれるイオンの種類や量をコントロール
したゼラチンも好ましく用いられる。例えば、カチオン
交換樹脂を用いてカルシウムイオンをナトリウムイオン
や水素イオンに交換したもの、塩素イオンなどのアニオ
ンをアニオン交換樹脂によって水酸イオンに変換したも
の、またはこれらの組合せ処理をしたものなどが一般的
である。ゼラチンに他の基を結合したいわゆる誘導体化
ゼラチンも好ましく用いられる。誘導体化ゼラチンとし
ては、フタル化ゼラチン、ポリアクリルアミドをグラフ
ト化したゼラチンなどが好ましい。また特開平1−16
6032号に記載のようなゼラチン分解物にアミノ酸ア
ルキルエステルをアミド結合したポリマーも用いる事が
出来る。
【0055】親水性物質の塗布の際に種々の界面活性剤
を用いることも有用な方法である。界面活性剤としては
アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性など何れを
用いることも可能であるが、アニオン性および非イオン
性界面活性剤が好ましく、特にアニオン性界面活性剤が
好ましい。例えば、デリヤギン著「フイルム塗布理論」
(B.M.Deryagin,S.M.Levi:Film Coating Theory:The Foc
al Press,1964)p159〜p164や江田研一著「界面活性剤研
究−2、写真工業への応用」(幸書房、1963年刊)など
に記載の界面活性剤が好ましく用いられる。これらは代
表例であり、市販の界面活性剤を添加することができ
る。市販の界面活性剤はDetergents & Emulsifiers(McC
utcheon's Publication/Annual) に記載されたものが用
いられる。
【0056】本発明において感光材料を重畳させる際に
形成される間隙は、ハロゲン化銀写真感光材料の画像面
を除く部分、好ましくは感光材料の縁部に周期的に又は
ランダムに凸部を設けることにより形成することができ
る。また、例えば凸部を設けた非感光性のフィルム(例
えばシート状、長尺状)、凹凸面を持つフィルム(例え
ばシート状、長尺状)、感光材料の両縁部を支えて間隙
を形成する部材等のスペーサを用いることができる。
【0057】感光材料はロール状に巻回して重畳しても
よく、平面的に重畳してもよい。本発明においては、ロ
ール状に重畳する方式は現像処理(写真処理)を非常に
コンパクトな容器内で行うことができるなどの点で特に
好ましい。本発明における感光材料間の間隙は、処理液
を安定に供給できる範囲であればよく、好ましくは0.
1〜1mm、特に好ましくは0.2〜0.5mmであ
る。なお、間隙は狭い方が処理する容器をコンパクトに
する点などで好ましいが、あまり狭くすると逆に、現像
処理時のムラなどの問題が生じ良好な画像を得ることが
できにくくなる点で好ましくない。
【0058】間隙を形成するためには、感光材料の片面
の両耳サイドに凸部を設ける第1の方法と感光材料の間
にスペーサを配置する第2の方法とがある。第1の方法
には、圧力、加熱等により感光材料の両耳(両端部)に
エンボスを設ける方法や波型を形成する方法がある。具
体的には和裁で使用するローレットを用いることができ
る。エンボスの形は三角錐、四角錐等の多角錐、円錐、
三角柱等の多角柱、円柱でもよい。サイズは直径(D)
として0.01〜2mm、高さ(H)は0.01〜2m
m、エンボスの間隔(L)は、40cos-1〔(20−
H)/20〕mmよりも小さいものが好ましい(0.0
1≦H(mm)≦2、H/5≦D(mm)≦15Hがよ
り好ましい)。
【0059】波型を形成する方法は、加熱、加圧により
フィルムの両端を波型にすればよい。波の高さはエンボ
スの高さ(H)と同じないし2倍の高さでよい。波の間
隙はエンボスの間隙(L)と同じないし2倍でよい。サ
イズはエンボスの間隔(L)と同じないし2倍でよい。
第2の方法では、両面に凸部を有する(両端のみ)ダミ
ーフィルムと感光材料とを2枚重ねにして渦巻状に巻き
込んで間隙を形成する方法と、感光材料の両端に沿って
間隙を形成しかつ処理液が供給できるようなスペーサを
入れるようにしてもよい。ダミーフィルムの凸部形成方
法は、前述の感光材料に設けた凸部の形成方法と同じで
あり、凸部のサイズは感光材料の前記凸部の2〜4倍で
もよい(ただし両面に凸部がある)。
【0060】本発明において、処理の一工程が終了する
までに間隙容量の少なくとも等量の処理液が置換される
ことが好ましい。間隙容量とは、感光材料の感光面に接
して形成された間隙の容量の総和である。処理の一工程
とは、黒白写真感光材料の処理では、現像工程、定着工
程、停止工程、安定工程、水洗工程等の各工程であり、
カラー写真感光材料の処理では、発色現像工程、定着工
程、漂白工程、漂白定着工程、反転工程、安定工程、水
洗工程等の各工程である。これらの全処理において処理
液が等量以上置換される必要はないが、現像工程を含む
少なくとも一工程は等量以上の処理液が置換されること
が好ましい。
【0061】処理液の置換は等量以上が好ましいが、更
に好ましくは1等量〜100等量、より好ましくは1等
量〜10等量である。ここで、処理液の流れを変化させ
て置換する場合には、1処理工程に対して2回以上変化
させることが好ましく、より好ましくは3〜100回、
特に好ましくは4〜10回変化させる。これにより、更
に安定でかつ均一な写真画像を得ることができる。ここ
で間隙容量は用いる感光材料の幅の他、長さによっても
変化するが、例えば35mm幅の24〜36枚撮りの感
光材料の場合には、5〜50ml、好ましくは7〜30
mlとすることによって、コンパクトでありながら良好
な現像処理をすることができる。また、処理液量は、3
5mm幅の24〜36枚撮りの感光材料の場合、好まし
くは5〜150ml、より好ましくは20〜100ml
である。この処理液量は配管や装置の配列によって異な
り、できるだけ無駄を省いて処理液量を少なくするほう
がよい。
【0062】また、本発明の処理装置はコンパクトなた
め処理液の量は少ないので、処理液を使い捨てても特に
環境上の問題を生じない。また、処理液の処理中の経時
変化(劣化)を考慮する必要がないため、処理剤の設計
がやりやすくなる。また、処理液さえ供給できればあら
ゆる感光材料の現像に対応できる。処理液を置換する場
合その方法は特に限定されないが、例えば長尺の感光材
料を渦巻状に巻き込んだ場合には長手方向に対して実質
的に直角方向に処理液を供給することが、置換効率など
の点から好ましい。ここで、実質的に直角方向とは、±
30°以内であることが好ましい。また、シート状など
の感光材料の場合においても、間隙のパス長の短い方向
に処理液を移動させることが処理性(現像ムラの抑制な
ど)の点から好ましい。また、処理容器をランダムに振
動させてもよいし、多周波の超音波で処理液を振動させ
てもよい。
【0063】更に、処理液の置換方向は処理の一工程の
間、一定方向のままであってもよいし、経時的に変化
(例えば逆方向)させてもよい。処理液の置換方向は、
処理の均一性の点から経時的に変化させることが好まし
い。このように狭い間隙に処理液を自由落下などではな
く、供給手段により強制的に供給することにより、少量
の処理液であっても予想外にも良好な写真画像を得るこ
とができた。感光材料を処理液の液流の中に置くことに
より、極めて効率的に処理を行うことができる。これ
は、従来のタンク現像方式では得ることのできなかった
高度な液攪拌が可能となったためと考えられる。本発明
によれば、処理工程において、処理容器に対して充填さ
れた感光材料を実質的に動かすことなく、むしろ少ない
処理液を供給し流動せしめて、効率的に処理することが
できる。本発明によれば、感光材料の感光面に接する間
隙容量の少なくとも2倍の処理液量で現像処理できる効
果がある。ここで、実質的に動かさないとは、手動で容
器を振ったりすることによって内部の感光材料を容器内
で移動させるものではないということである。
【0064】また、上記方法を自動化した装置で実施す
る場合には、処理容器を大きく振動させることによって
主たる液流を作らないほうが好ましい。本発明によれ
ば、フレッシュな処理液を用いて処理を開始し充分に使
い切ることができる。このことは、処理液の効率的使用
つまり処理液量の削減ばかりでなく、処理の安定化、更
に処理液が現像液の場合には以外にも感光材料の高感度
化と画像の微粒子化にも著しく優れた効果をもたらすこ
とが判った。本発明では、エアー制御で処理液を処理部
に供給し、また処理液の容器に回収することができるの
で、場合によっては使用した液を再度利用しても画像を
得ることができる。この場合には、処理液再利用時に処
理液温度を第1回目の処理より上昇(例えば5℃上昇)
させたり、処理時間を延長(例えば第1回目の処理時間
より1.5倍に延長)して処理すればよい。本発明に用
いられる写真感光材料の写真乳剤層にはハロゲン化銀と
して臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩
化銀のいずれを用いてもよい。写真乳剤中のハロゲン化
銀粒子の平均粒子サイズ(球状または球に近似の粒子の
場合は粒子直径、立方体粒子の場合は、稜長を粒子サイ
ズとし、投影面積にもとずく平均で表わす)は粒子サイ
ズ分布はせまくても広くてもいずれでもよい。写真乳剤
層中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体のような規
則的(regular) な結晶形を有するものでもよく、また球
状、板状などのような変則的(irregular) な結晶形をも
つもの、あるいはこれらの結晶形の複合形をもつもので
もよい。種々の結晶形の粒子の混合から成ってもよい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層とが異なる相をもってい
ても、均一な相から成っていてもよい。また潜像が主と
して表面に形成されるような粒子でもよく、粒子内部に
主として形成されるような粒子であってもよい。
【0065】本発明に用いられる写真感光材料の写真乳
剤はピー・グラフキデ(P. Glafkides)著、シミー・エ
・フィジク・フォトグラフィック(Chimie et Physique
Photographique )〔ポール モンテル(Paul Montel
)社刊、1967年〕、ジー・エフ・デュフィン(G. F. D
uffin)著、フォトグラフィック・エマルジョン・ケミ
ストリー(Photographic Emulsion Chemistry )〔ザ・
フォーカル・プレス(The Focal Press )刊、1966
年〕、ヴィ・エル・ゼリクマン他(V. L. Zelikman et
al)著、メーキング・アンド・コーティング・フォトグ
ラフィック・エマルジョン(Making and Coating Photo
graphic Emulsion)〔ザ・フォーカル・プレス(The Fo
cal Press )刊、1964年〕などに記載された方法を用い
て調製することができる。すなわち、酸性法、中性法、
アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可
溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、
同時混合法、それらの組合わせなどのいずれを用いても
よい。
【0066】ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過
程において、カドミウム塩、亜鉛塩、タリウム塩、イリ
ジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、
鉄塩まはたその錯塩などを共存させてもよい。化学増感
のためには、例えば、エイチ・フリーザー(H. Friese
r)編、ディーグルンドラーゲンダー・フォトグラフィ
ッシェン・プロツェッセミト・ジルバー−ハロゲニゲン
(Die Grundlagender Photographischen Prozesse mit
Silber−halogeniden )〔アカデミッシェ・フェアラー
グスゲゼルシャフト(Akademische Verlagsgesellschaf
t ),1968〕 675〜734 頁に記載の方法を用いることが
できる。すなわち、活性ゼラチンや銀と反応しうる硫黄
を含む化合物(例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メル
カプト化合物類、ローダニン類)を用いる硫黄増感法;
還元性物質(例えば、第一すず塩、アミン類、ヒドラジ
ン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合
物)を用いる還元増感法;貴金属化合物(例えば、金錯
塩のほかPt、Ir、Pdなどの周期率表VIII族の金属
の錯塩)を用いる金属増感法などを単独または組み合わ
せて用いることができる。
【0067】本発明に用いられる写真感光材料の写真乳
剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理
中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる
目的で、種々の化合物を含有させることができる。すな
わちアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロ
イミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロ
ベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、
メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール
類、メルカプトベンゾイミダゾール類、メルカプトチア
ジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾ
ール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテト
ラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラ
ゾール)など;メルカプトピリミジン類;メルカプトト
リアジン類;例えばオキサドリンチオンのようなチオケ
ト化合物;アザインデン類、例えばトリアザインデン
類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換
(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタ
アザインデン類など;ベンゼンチオスルフォン酸、ベン
ゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフォン酸アミド、ベン
ゼンスルフォン酸アミド等のようなカブリ防止剤または
安定剤として知られた、多くの化合物を加えることがで
きる。
【0068】写真乳剤層または他の親水性コロイド層に
用いられるバインダーとしては、ゼラチンを用いるのが
有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いること
ができる。例えばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分
子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋
白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロ
ース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘
導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部
分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール糖の単一あ
るいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用
いることができる。
【0069】本発明に用いられる写真感光材料の写真乳
剤は、メチン色素類、その他によって分光増感されても
よい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニ
ン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホ
ロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル
色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有
用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および
複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色
素類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常
利用されている核のいずれをも適用できる。すなわち、
ピロリン核、オキサブリン核、チアゾリン核、ピロール
核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、
イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核など;こ
れらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;およびこれ
らの核に芳香族炭化水素環が融合した核、すなわち、イ
ンドレニン核、ベンズインドレニン核核、インドール
核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベ
ンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナ
ゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などが適
用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていても
よい。
【0070】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核としてピラゾリン
−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾ
リン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツ
ール酸核などの5〜6員異節環核を適用することができ
る。これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それら
の組合わせを用いてもよく、増感色素の組合わせは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合わせおよび強色増感を示す物質
はリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosur
e ) 176巻 17643(1978年12月発行)第23頁IVのJに記
載されている。
【0071】本発明で用いられる写真感光材料の写真乳
剤層には色形成カプラー、すなわち発色現像処理におい
て芳香族1級アミン現像薬主薬(例えば、フェニレンジ
アミン誘導体や、アミノフェノール誘導体など)との酸
化カップリングによって発色しうる化合物を含んでもよ
い。例えば、マゼンタカプラーとして、5−ピラゾロン
カプラー、ピラゾロベンツイミダゾールカプラー、シア
ノアセチルクマロンカプラー、開鎖アシルアセトニトリ
ルカプラー等があり、イエローカプラーとして、アシル
アセトアミドカプラー(例えばベンゾイルアセトアニリ
ド類、ピバロイルアセトアニリド類)等があり、シアン
カプラーとして、ナフトールカプラー、およびフェノー
ルカプラー等がある。これらのカプラーは分子中にバラ
スト基とよばれる疎水基を有する非拡散のものが望まし
い。カプラーは銀イオンに対し4当量性あるいは2当量
性のどちらでもよい。
【0072】また色補正の効果をもつカラードカプラ
ー、あるいは現像にともなって現像抑制剤を放出するカ
プラー(いわゆるDIRカプラー)であってもよい。ま
たDIRカプラー以外にも、カップリング反応の生成物
が無色であって現像抑制剤を放出する無呈色DIRカッ
プリング化合物を含んでいてもよい。カプラーをハロゲ
ン化銀乳剤層に導入するには公知の方法例えば米国特許
2,322,027号に記載の方法などが用いられる。例えばフ
タール酸アルキルエステル(ジブチルフタレート、ジオ
クチルフタレートなど)、リン酸エステル(ジフェニル
フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリク
レジルフォスフェート、ジオクチルブチルフォスフェー
ト)、クエン酸エステル(たとえばアセチルクエン酸ト
リブチル)、安息香酸エステル(例えば安息香酸オクチ
ル)、アルキルアミド(例えばジエチルラウリルアミ
ド)、脂肪酸エステル類(例えばジブトキシエチルサク
シネート、ジオクチルアゼレート)、トリメシン酸エス
テル類(例えばトリメシン酸トリブチル)など、または
沸点約30℃ないし 150℃の有機溶媒、例えば酢酸エチ
ル、酢酸ブチルのごとき低級アルキルアセテート、プロ
ピオン酸エチル、2級ブチルアルコール、メチルイソブ
チルケトン、β−エトキシエチルアセテート、メチルセ
ロソルブアセテート等に溶解した後、親水性コロイドに
分散される。上記の高沸点有機溶媒と低沸点有機溶媒と
を混合して用いてもよい。
【0073】本発明に用いられる写真感光材料には、写
真乳剤層その他の親水性コロイド層に無機または有機の
硬膜剤を含有してもよい。例えばクロム塩(クロム明ば
ん、酢酸クロムなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒ
ド、グリオキサール、グルタールアルデヒドなど)、N
−メチロール系化合物(ジメチロール尿素、メチロール
ジメチルヒダントインなど)、ジオキサン誘導体(2,
3−ジヒドロキシジオキサンなど)、活性ビニル化合物
(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−
トリアジン、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノ
ールなど)、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロル−
6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンなど)、ムコ
ハロゲン酸類(ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸
など)、などを単独または組合わせて用いることができ
る。
【0074】本発明に用いられる写真感光材料の写真乳
剤層または他の親水性コロイド層には塗布助剤、帯電防
止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止および写真特性
改良(例えば現像促進、硬調化、増感)など種々の目的
で種々の界面活性剤を含んでもよい。本発明に用いられ
る写真感光材料のハロゲン化銀写真乳剤には、その他の
種々の添加剤が用いられてもよい。添加剤としては、例
えば、増白剤、染料、分光増感剤、減感剤、硬膜剤、塗
布助剤、帯電防止剤、可塑剤、スベリ剤、マット剤、現
像促進剤、オイル、媒染剤、紫外線吸収剤、退色防止
剤、色カブリ防止剤などを用いることができる。これら
の添加剤について、具体的にはリサーチ・ディスクロー
ジャー(RESEARCH DISCLISURE ) 176号第22〜31頁(RD
−17643 )(Dec., 1978)などに記載されたものを用い
ることができる。
【0075】本発明に用いられる写真感光材料の写真乳
剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理
中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる
目的で、種々の化合物を含有させることができる。本発
明に用いられる写真感光材料において写真乳剤層その他
の層は写真感光材料に通常用いられているプラスチック
フィルム、紙などの可撓性支持体または合成の支持体に
塗布される。可撓性支持体として有用なものは、硝酸セ
ルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート等の半合成または合成高分子から
成るフィルム、バライタ層またはα−オレフィンポリマ
ー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/
ブテン共重合体)等を塗布またはラミネートした紙等で
ある。本発明に用いられる写真感光材料において、写真
乳剤層その他の親水性コロイド層は公知の種々の塗布法
により支持体または他の層の上に塗布できる。塗布に
は、ディップ塗布法、ローラー塗布法、カーテン塗布
法、押出し塗布法などを用いることができる。米国特許
2,681,294号、同 2,761,791号、同 3,526,528号に記載
の方法は有利な方法である。
【0076】本発明に用いられる写真感光材料は、支持
体上に少なくとも2つの異なる分光感度を有する多層多
色天然色写真材料であってもよい。多層天然色写真材料
は、通常支持体上に赤感性乳剤層、緑感性乳剤層、およ
び青感性乳剤層を各々少なくとも一つ有する。これらの
層の順序は必要に応じて任意に選べる。赤感性乳剤層に
シアン形成カプラーを、緑感性乳剤層にマゼンタ形成カ
プラーを、青感性乳剤層にイエロー形成カプラーをそれ
ぞれ含むのが通常であるが、場合により異なる組合わせ
をとることもできる。
【0077】さらに、本発明に用いられる写真感光材料
としては、種々のカラーおよび黒白感光材料を挙げるこ
とができる。例えば、撮影用カラーネガフィルム(一般
用、映画用等)、カラー反転フィルム(スライド用、映
画用等、またカプラーを含有しない場合もする場合もあ
る)、カラー印画紙、カラーポジフィルム(映画用
等)、カラー反転印画紙、銀色素漂白法を用いるカラー
感光材料、製版用写真感光材料(リスフィルム、スキャ
ナーフィルム等)、X線写真感光材料(直接・間接医療
用、工業用等)、撮影用黒白ネガフィルム、黒白印画
紙、マイクロ用感光材料(COM用、マイクロフィルム
等)等を挙げることができる。中でも撮影用感光材料、
特に撮影用カラー感光材料に本発明の方法は有効であ
る。
【0078】本発明に用いられる写真感光材料がカラー
撮影用感光材料の場合には、乳剤層を有する側の全親水
性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であり、かつ膜
膨潤速度T1/2 が30秒以下が好ましい。膜厚としては好
ましくは25μm以下、T1/2としては好ましくは20秒以
下である膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測
定した膜厚を意味し、膜膨潤速度T1/2 は、当該技術分
野において公知の手法に従って測定することができる。
例えば、エー・グリーン(A. Green)らによりフォトグ
ラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング
(Photog. Sci.Eng.),19巻、2号、 124〜129 頁に記
載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することで測
定でき、T1/2 は発色現像液で30℃、3分15秒処理した
時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、この
1/2の膜厚に到達するまでの時間と定義する。
【0079】膜膨潤速度T1/2 は、バインダーとしての
ゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時
条件を変えることによって調整することができる。ま
た、膨潤率は 150〜400 %が好ましい。膨潤率とは、さ
きに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨
潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算できる。本発明の感
光材料の写真処理には、公知の方法のいずれをも用いる
ことができるし処理液には公知のものを用いることがで
きる。また、処理温度は通常、18℃から50℃の間に選ば
れるが、18℃より低い温度または50℃をこえる温度とし
てもよい。目的に応じ、銀画像を形成する現像処理(黒
白写真処理)、或いは、色素像を形成すべき現像処理か
ら成るカラー写真処理のいずれをも適用することができ
る。本発明の方法はこれらの処理の工程すべてに用いて
もよいし、1または2以上の工程に用いてもよい。
【0080】黒白現像液には、ジヒドロキシベンゼン類
(例えばハイドロキノン)、3−ピラゾリドン類(例え
ば1−フェニル−3−ピラゾリドン)、アミノフェノー
ル類(例えばN−メチル−p−アミノフェノール)等の
公知の現像主薬を単独或いは組合わせて用いることがで
きる。本発明の感光材料の現像処理に用いる発色現像液
は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主薬を主
成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現像主薬
としては、アミノフェノール系化合物も有用であるが、
p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、
その代表例として3−メチル−4−アミノ−N,N−ジ
エチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル
−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4
−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミド
エチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル
−N−β−メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸
塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩が挙げら
れる。これらの化合物は目的に応じ2種以上併用するこ
ともできる。
【0081】発色現像液は、アルカリ金属の炭酸塩、ホ
ウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、臭化物塩、
沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類
もしくはメルカプト化合物のような現像抑制剤またはカ
ブリ防止剤などを含むのが一般的である。また必要に応
じて、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミ
ン、亜硫酸塩ヒドラジン類、フェニルセミカルバジド
類、トリエタノールアミン、カテコールスルホン酸類、
トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ〔2,
2,2〕オクタン)類の如き各種保恒剤、エチレングリ
コール、ジエチレングリコールのような有機溶剤、ベン
ジルアルコール、ポリエチレングリコール、四級アンモ
ニウム塩、アミン類のような現像促進剤、色素形成カプ
ラー、競争カプラー、ナトリウムボロンハイドライドの
ようなカブラセ剤、1−フェニル−3−ピラゾリドンの
ような補助現像主薬、粘性付与剤、アミノポリカルボン
酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホス
ホノカルボン酸に代表されるような各種キレート剤、例
えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエ
チレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢
酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒドロキシエ
チリデン−1,1−ジホスホン酸、エトリロ−N,N,
N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,
N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、エチレン
ジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)及びそれ
らの塩を代表例として上げることができる。
【0082】また反転処理を実施する場合は通常黒白現
像を行ってから発色現像する。この黒白現像液には、ハ
イドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1−フェ
ニル−3−ピラゾリドンなどの3−ピラゾリドン類また
はN−メチル−p−アミノフェノールなどのアミノフェ
ノール類など公知の黒白現像主薬を単独であるいは組み
合わせて用いることができる。これらの発色現像液及び
黒白現像液のpHは9〜12であることが一般的である。こ
の他L. F. A.メイソン著「フォトグラフィック・プロセ
シン・ケミストリー」、フォーカル・プレス刊(1966
年)の 266〜229 頁、米国特許 2,193,015号、同 2,59
2,364号、特開昭48−64933 号などに記載のものを用い
てもよい。
【0083】現像液はその他、アルカリ金属の亜硫酸
塩、炭酸塩、ホウ酸塩、およびリン酸塩の如きpH緩衝
剤、臭化物、沃化物、および有機カブリ防止剤の如き現
像抑制剤ないし、カブリ防止剤などを含むことができ
る。また必要に応じて、硬水軟化剤、ヒドロキシルアミ
ンの如き保恒剤、ベンジルアルコール、ジエチレングリ
コールの如き有機溶剤、ポリエチレングリコール、四級
アンモニウム塩、アミン類の如き現像促進剤、色素形成
カプラー、競争カプラー、ナトリウムボロンハイドライ
ドの如きかぶらせ剤、1−フェニル−3−ピラゾリドン
の如き補助現像薬、粘性付与剤、米国特許 4,083,723号
に記載のポリカルボン酸系キレート剤、西独公開(OL
S) 2,622,950号に記載の酸化防止剤などを含んでもよ
い。
【0084】発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理さ
れる。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし
(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理
の迅速化を図るため、漂白処理後漂白定着処理する処理
方法でもよい。さらに二槽の連続した漂白定着浴で処理
すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、又は
漂白定着処理後漂白処理することも目的に応じ任意に実
施できる。漂白剤としては、例えば鉄(III) 、コバルト
(III) 、クロム(VI)、銅(II)などの多価金属の化合
物、過酸類、キノン類、ニトロ化合物等が用いられる。
代表的漂白剤としてはフェリシアン化物;重クロム酸
塩;鉄(III) もしくはコバルト(III) の有機錯塩、例え
ばエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢
酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢
酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエー
テルジアミン四酢酸、などのアミノポリカルボン酸類も
しくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの錯塩;過硫酸
塩;臭素酸塩;過マンガン酸塩;ニトロベンゼン類など
を用いることができる。これらのうちエチレンジアミン
四酢酸鉄(III) 錯塩を始めとするアミノポリカルボン酸
鉄(III) 錯塩及び過硫酸塩は迅速処理と環境汚染防止の
観点から好ましい。さらにアミノポリカルボン酸鉄(II
I) 錯塩は漂白液においても、漂白定着液においても特
に有用である。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III)
錯塩を用いた漂白液又は漂白定着液のpHは通常 5.5〜8
であるが、処理の迅速化のために、さらに低いpHで処理
することもできる。
【0085】漂白液、漂白定着液およびそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:米国特許第 3,893,858号、西独特許第 1,290,812
号、特開昭53−95,630号、リサーチ・ディスクロージャ
ーNo.17,129 号(1978年7月)などに記載のメルカプト
基またはジスルフィド結合を有する化合物;特開昭50−
140,129 号に記載の如きチアゾリジン誘導体;米国特許
第 3,706,561号に記載のチオ尿素誘導体;特開昭58−1
6,235号に記載の沃化物塩;西独特許第 2,748,430号に
記載のポリオキシエチレン化合物類;特公昭45−8836号
記載のポリアミン化合物;臭化物イオン等が使用でき
る。なかでもメルカプト基またはジスルフィド基を有す
る化合物が促進効果が大きい観点で好ましく、特に米国
特許第 3,893,858号、西独特許第 1,290,812号、特開昭
53−95,630号に記載の化合物が好ましい。更に、米国特
許第 4,552,834号に記載の化合物も好ましい。これらの
漂白促進剤は感光材料中に添加してもよい。撮影用のカ
ラー感光材料を漂白定着するときにこれらの漂白促進剤
は特に有効である。定着剤としてはチオ硫酸塩、チオシ
アン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量の
沃化物塩等をあげることができるが、チオ硫酸塩の使用
が一般的であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範
に使用できる。漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸
塩、重亜硫酸塩、スルフィン酸類あるいはカルボニル重
亜硫酸付加物が好ましい。
【0086】本発明に用いられるハロゲン化銀カラー写
真感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を
経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光
材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)、用
途、更には水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、
順流等の補充方式、その他種々の条件によって広範囲に
設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タン
ク数と水量の関係は、ジャーナル オブ ザ ソサエテ
ィ オブ モーション ピクチャー アンド テレビジ
ョン エンジニアズ(Journal of the Society of Moti
on Picture and Television Engineers )第64巻、248
〜253 頁(1955年5月号)に記載の方法で、求めること
ができる。
【0087】前記文献に記載の多段向流方式によれば、
水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の
滞留時間の増加により、バクテリアが繁殖し、生成した
浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。本発明
のカラー感光材料の処理において、このような問題の解
決策として、特開昭62−288,838 号に記載のカルシウム
イオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を極めて
有効に用いることができる。また、特開昭57−8,542 号
に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール
類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌
剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著「防菌防黴
剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴
技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」に記載
の殺菌剤を用いることもできる。
【0088】本発明の処理における水洗水のpHは4〜9
であり、好ましくは5〜8である。水洗水温、水洗時間
も、感光材料の特性、用途等で種々設定し得るが、一般
には、15〜45℃で20秒〜10分、好ましくは25〜40℃で30
秒〜5分の範囲が選択される。更に、本発明の処理は、
上記水洗に代り、直接安定液によって処理することもで
きる。このような安定化処理においては、特開昭57−8,
543 号、同58−14,834号、同60−220,345 号に記載の公
知の方法はすべて用いることができる。また、前記水洗
処理に続いて、更に安定化処理する場合もあり、その例
として、撮影用カラー感光材料の最終浴として使用され
る、ホルマリンと界面活性剤を含有する安定浴を挙げる
ことができる。この安定浴にも各種キレート剤や防黴剤
を加えることもできる。
【0089】上記水洗及び/又は安定液の補充に伴うオ
ーバーフロー液は脱銀工程等他の工程において再利用す
ることもできる。本発明に用いられるハロゲン化銀カラ
ー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の目的で発色現
像主薬を内蔵しても良い。内蔵するためには、発色現像
主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例えば
米国特許第 3,342,597号記載のインドアニリン系化合
物、同第 3,342,599号、リサーチ・ディスクロージャー
14,850号及び同15,159号記載のシッフ塩基型化合物、同
13,924号記載のアルドール化合物、米国特許第 3,719,4
92号記載の金属塩錯体、特開昭53−135,628 号記載のウ
レタン系化合物を挙げることができる。本発明に用いら
れるハロゲン化銀カラー感光材料は、必要に応じて、発
色現像を促進する目的で、各種の1−フェニル−3−ピ
ラゾリドン類を内蔵しても良い。典型的な化合物と特開
昭56−64,339号、同57−144,547 号、および同58−115,
438 号等記載されている。本発明における各種処理液は
10℃〜50℃において使用される。通常は33℃〜38℃の温
度が標準的であるが、より高温にして処理を促進し処理
時間を短縮したり、逆により低温にして画質の向上や処
理液の安定性の改良を達成することができる。
【0090】
【実施態様】以下、添付図面を参照して本発明の一実施
態様を説明する。ただし本発明は本実施態様のみに限定
されない。図1は感光材料処理装置の斜視図、図2は処
理部の斜視図、図3は処理部の概略断面図である。この
装置は撮影用カラーネガフィルムを現像処理する装置で
ある。処理装置10はフィルム処理部12に現像液、漂
白液、定着液、水洗水を順次供給して撮影済のフィルム
の発色現像処理するようになっており、各処理液は図示
しないタンクに充填されている。
【0091】処理部12はフィルムを微小間隙を以て重
畳して収容した容器14と、該容器14を装着する装着
台16と、該容器14の上に設けられた液溜部18とか
らなる。容器14は上下に送液口20を有し、装着台1
6及び液溜部18はこれらと連通可能な送液口22、2
4を有する。液溜部18は高圧室26及び低圧室28と
それぞれ連通可能であり、高圧室26はコンプレッサ3
0から空気が供給されて高圧状態になっており、低圧室
28は内部の空気がコンプレッサ32により吸引されて
低圧状態になっている。
【0092】液溜部18上には気路切換弁34が設けて
あり、気路切換弁34を作動させて高圧室26又は低圧
室28との連通を切り換えることにより、液溜部18内
に空気を供給したり液溜部18内の空気を吸引すること
ができる。高圧室26及び低圧室28にはそれぞれ圧力
センサ36が設けてある。圧力センサ36により各室2
6、28内の圧力を検出し、検出した値が設定範囲から
外れるとコンプレッサ30、32が作動するようになっ
ており、高圧室26及び低圧室28内の圧力はそれぞれ
ほぼ一定に維持されている。高圧室26、低圧室28、
液溜部18、コンプレッサ30、32のそれぞれの間を
連絡する管には空気用電磁弁37が設けられている。
【0093】図2は感光材料を処理する部分の斜視図で
あり、処理部12は容器14と、容器装着台16と、液
溜部18とからなる。容器14と液溜部18とは処理液
が流通可能に連通している。また、処理液は装着台16
から容器14及び液溜部18に供給されまた排出され
る。また、液溜部18は気路切換弁34を切り換えるこ
とにより、高圧室26及び低圧室28と連通するように
なっており、内部に空気を送り込んだり、内部から空気
を吸引することができる。
【0094】容器14は蓋14aと本体14bとからな
り好ましくは遮光性を有し、装着台16及び液溜部18
に着脱可能である。容器14が遮光性を有することによ
り、容器14へのフィルムFの装填を暗室又は安全灯下
で行うだけで、あとの処理は明室下で行うことができ
る。装着台16は容器14を着脱可能に保持し、容器1
4と連通可能な処理液供給口を有し、液路切換弁38を
切り換えて選択した処理液が、装着台16を通って容器
14内に供給されるようになっている。このような容器
14でフィルムFを処理する構成によれば、少なくとも
容器14内に充満するだけの液量があれば、フィルムF
を処理することができ、従来のタンク現像に比べて極め
て少量の処理液でフィルムFを処理することができる。
【0095】容器14内へ処理液を供給するには、液溜
部18と低圧室28とを連通させて液溜部18及び容器
14の内部を低圧状態にすることによる。容器14及び
液溜部18内に所定量の処理液が供給されると液路切換
弁38は一旦閉じられ、次いで高圧室26と液溜部18
とが連通して液溜部18及び容器14内を高圧にするこ
とにより、容器14内の処理液は装着台16を通って排
出される。このような動作を繰り返し、容器14に各種
処理液を供給することによりフィルムFの処理が行われ
る。
【0096】容器14内には、図4に示すように2つの
フィルムFがそれぞれ巻回されて2段で収容されてい
る。各フィルムFは微小間隙を以て重畳するように、間
にスペーサ40を挿んで共巻きにしてある。スペーサ4
0はフィルムFとほぼ同じ形状であり、幅方向両端にエ
ンボス加工により多数の突起42を形成してある。この
突起42が重畳したフィルムFに接することによりフィ
ルムF間に微小間隙が形成され、該間隙を処理液が流通
することによりフィルムFの処理が行われる。
【0097】上記各構成要素は持ち運びが容易なよう
に、把手付の開閉可能なケース44内に収容されてい
る。図1には処理部12を直立状態で示しているが、処
理部12はフィルムFを処理するときには直立状態に設
置され、収容するときには図1において横置きされるよ
うになっている。
【0098】また、処理に用いる各処理液は別のタンク
にそれぞれ収容されており、これらのタンクも上記同様
のケースにまとめて収容され、持ち運び可能になってお
り、フィルム処理を行うときに処理装置とタンクとの液
路が連結される。処理液は一種のフィルム用だけに限ら
ず、多種のフィルムを処理可能に多種用意しておくこと
が好ましい。なお、各処理液を収容したタンクを上記処
理装置と一体にケース内に収納してもよい。この処理液
用のタンクには、処理液を温調するためのヒータ、温調
手段が一体に設けられている。各処理液による処理を行
う際には、処理液を容器14に供給する前に処理液を設
定温度まで昇温させておき、昇温した処理液を容器14
に供給して処理する。
【0099】次に、図5及び図6を参照してフィルムの
巻取装置について説明する。図5はフィルム巻取装置6
0の分解図である。巻取装置60は本体62と蓋64と
からなり、本体62内に、撮影済フィルムFを収容した
パトローネ66と、巻回状態のスペーサ40とを装填す
ることができる。パトローネ66はフィルムFを繰出可
能に装填され、また、スペーサ40も繰出可能にスプー
ル等に巻回されて装填されている。パトローネ66から
出たフィルムFとスペーサ40との端部は巻取具68に
一体で保持されるようになっている。巻取具68は載置
状態で駆動手段と係合でき、本体内に巻取具68と同軸
に備えたモータ(図示せず)で該巻取具68を回転する
ことによりフィルムFが巻き取られる。
【0100】蓋64には、フィルム巻取後の巻取具68
を排出するための排出路70と、該排出路70の周囲に
突設した容器装填部72とが形成されている。排出路7
0は遮光板74を矢印方向にスライドさせることによっ
て開閉することができる。また、容器本体14bも同様
な遮光板76を矢印方向にスライドさせることによって
収容部を開閉することができる。容器本体14bに備え
た遮光板76はその後の処理時に処理液を充填しても液
が漏れないように液密に備えてある。
【0101】フィルムFの巻き取りについて説明する
と、パトローネ66とスペーサ40とを装填してから、
フィルムFとスペーサ40の端部を巻取具68に一体に
保持させて脱落しないようにする。次いで、遮光板74
で排出路70を閉塞した蓋64を本体62に被せて本体
62の内部を遮光状態に保持する。本体62内が遮光状
態になってから、スイッチ78を操作してモータを駆動
すると、巻取具68が回転してフィルムFとスペーサ4
0とを同時に巻き取ることができる。なお、スペーサ4
0の長さとフィルムFの長さとはほぼ等しくされ、フィ
ルムFがすべて巻取具68に巻き取られたときにスペー
サ40もすべて巻き取られるようになっている。
【0102】フィルムFとスペーサ40とを巻取具68
に巻き取った後、スイッチ78を操作してモータを停止
し、容器装填部72に容器本体14bを装填する。この
とき容器本体14bは遮光板76を引出状態にされ、容
器内部と排出路70とが連通可能になっている。
【0103】容器本体14bの装填が完了したら、本体
62の遮光板74を引き出して排出路70を開き、図6
(a)に示すように巻取装置60を逆さにして本体62
内から容器本体14b内にフィルムFを巻回した巻取具
68を落下させて収容する。このために、巻取具68は
逆さにするだけで駆動手段の係合が解除されるようにな
っている。容器本体14b内に巻取具68を収容した
ら、容器本体14bの遮光板76を再び内部に押し込
み、容器本体14b内を遮光してから容器本体14bを
本体62から外す。その後、(b)に示すように容器本
体14bに蓋14aを被せて内部に処理液を充填可能に
してから遮光板76を引き出す。遮光板76は容器本体
14bから取り外せるようにするのが好ましいが、この
とき遮光板76の通路部分は液密及び光密に構成され
る。
【0104】容器本体14bに蓋14を被せてから、容
器14を前述の処理装置に装着することにより所定の処
理を行うことができる。以上のフィルム装填作業はすべ
て明室で行うことができ、装填作業はきわめて容易であ
る。
【0105】操作部46内に設けた制御装置48はフィ
ルムFの処理情報を担持した記憶手段50の内容を読み
取り、読み取った情報に従って処理液の温度制御、供給
制御、時間制御等を行ってフィルムFの処理を行うもの
である。記憶手段50は、例えばICカードであり、I
Cカードであれば、フィルムFの種別、各処理液の設定
温度、各処理液での処理時間、乾燥時間を担持すること
ができる。また、場合によっては、これらの所定設定条
件を補正するための情報、例えば増感処理情報や減感処
理情報をも同時に担持することができる。記憶手段50
内の情報は読取手段により読み取られて制御に用いられ
るが、確認のために処理条件を表示パネル52に表示し
てもよい。更に、処理情報の内容を確認しながら、マニ
ュアル操作により処理条件を補正してもよい。
【0106】記憶手段50がバーコードカードである
と、多種の情報を担持することができないので、制御装
置48に備えた別の記憶手段(ルックアップテーブル)
に担持された多種の処理情報の一つを選択指定する識別
情報を担持させるのが好ましい。
【0107】次に、図1、図7及び図8を参照して処理
条件の設定について説明する。処理条件は図1に示す操
作部46内の制御装置48により設定される。図7は記
憶手段50としてICカードを用いて処理条件を設定す
る構成のブロック図であり、図8は記憶手段50として
バーコードカードを用いて処理条件を設定する構成のブ
ロック図である。
【0108】図7に示すように、記憶手段50としてI
Cカードを用いた場合、1枚のICカードには多量の処
理情報を記憶させておくことができる。したがって、フ
ィルムの種別情報はもちろん、該フィルムに対応した処
理液の処方、処理工程、各処理液の温度等の情報、更に
は増感処理情報、減感処理情報等の補正情報等をすべて
記憶させておくことができる。
【0109】操作部46に記憶手段50としてのICカ
ードを挿入すると、制御装置48内の読取手段がICカ
ード内の処理情報を読み取り、情報が制御手段(CP
U)に供給される。そして、制御手段は供給された処理
情報に従って、温調手段を駆動して各処理液を適正な温
度に調整し、またコンプレッサ30、32、気路切換弁
34、液路切換弁38等の送液手段を駆動して処理液の
供給制御を行う。ICカードには単一の種類のフィルム
に関する情報だけを記憶させておくことが好ましく、カ
ード表面にはそのフィルム種別を表示して情報を識別で
きるようにしておくことが好ましい。
【0110】図8に示すように、記憶手段50としてバ
ーコードカードを用いた場合、1つのバーコードで担持
できる情報は限られた少ない情報であり、バーコードは
インデックスコード(ネガA、ネガB等)だけを担持し
ている。そして、実際の処理に用いる詳細な処理情報
(例えばフィルムに対応した処理液の処方、処理工程、
各処理液の温度等の情報、更には増感処理情報、減感処
理情報等の補正情報等)は、制御装置48内に副記憶手
段として設けたLUT(ルックアップメモリ)54に記
憶させてある。バーコードカードはLUT52内に詳細
に記憶された情報群の中のインデックス情報(例えば、
感光材料種)を担持し、読取装置により読み取られたイ
ンデックス情報は制御手段に供給される。インデックス
情報が制御手段に供給されると、制御手段はLUT54
を参照してインデックス情報に適合した処理条件を選択
して設定し、該条件に従って温調手段、送液手段等の作
動を制御する。
【0111】次に、図3、図9、図10を参照して処理
液の供給及び排出動作について説明する。図3は処理部
12の概略断面図であり、図9及び図10は処理動作の
フローチャートである。なお、図9(b)は(a)のフ
ローの変更例であり、変更例については後述する。
【0112】処理部12には処理液のレベルを検出する
ためのセンサSW1〜SW6を各所に設けてあり、制御
手段はセンサSW1〜SW6により水位を検出しながら
気路切換弁34、液路切換弁38を切り換えて処理液の
供給や往復移動を制御している。処理部12には上から
順に第1センサSW1〜第6センサSW6が設けられて
いるが、第1センサSW1〜第6センサSW6のすべて
が常時必要であるわけではない。なお、図3にはセンサ
を設ける位置だけを示し、センサそのものは図示しな
い。センサとしては、電極式、光ファイバー式、超音波
式、フロート式などを用いることができる。
【0113】第1センサSW1は液溜部18内での処理
液の上限レベルを検出する目的で液溜部18の上部に設
けられている。第2センサSW2は液溜部18の上下方
向のほぼ中央に設けられている。第3センサSW3は容
器14内の処理液の上限レベルを検出する目的で液溜部
18の底部に設けられている。上記第1センサSW1及
び第3センサSW3との間に液面レベルが位置するよう
に送液制御を行えば、容器14内に常に処理液が充満し
た状態を維持できる。
【0114】第4センサSW4は容器14の上端から容
器長さのほぼ1/4下がった位置に設けられている。第
5センサSW5は容器14の上下方向のほぼ中央部に設
けられており、下段にフィルムFを収容したときの処理
液の上限レベルを検出するようになっている。第6セン
サSW6は処理液の下限レベルを検知する目的で設けら
れ、装着台16の送液口の近傍に設けられている。
【0115】図9(a)を参照して処理の流れを説明す
ると、まずICカード又はバーコードカードが操作部4
6に装填されると(S2)、読取手段により処理情報を
読み取り(S4)、情報に基づいて処理条件を設定する
(S6)。処理条件としては、処理液の供給順序、処理
液温度、処理時間等である。すべての処理条件が設定さ
れた後、現像液が供給されるように液路を切り換え(S
8)、容器14内に現像液を吸引して現像処理する(S
10)。現像処理が終了すると、次に漂白液が供給され
るように液路を切り換え(S12)、容器14内に漂白
液を吸引して漂白処理する(S14)。漂白処理が終了
すると、以降同様に液路を切り換えて(S16、S2
0)定着処理(S18)、水洗処理(S22)を行い、
水洗処理後にフィルムFを乾燥する(S24)。
【0116】図10を参照して現像処理について説明す
る。現像処理が開始されると(S30)、低圧室28と
液溜部18とを連通させて現像液を吸引し(S32)、
現像液面が第1センサSW1に達すると(S34)吸引
を停止する(S36)。現像液が上限レベルまで達した
ところで吸引が停止されるが、ここで一定時間だけ液の
移動を停止する(S38)。これは、現像時に現像液を
常に往復移動させると、現像液の移動が単調になり前述
したスペーサ40の突起42の背後で現像液が滞留して
液の交換が不十分になり現像ムラが生ずるからである。
このため、現像液の駆動を一定時間(2秒〜20秒程
度)停止することにより、駆動停止中に前記突起42の
背後にも現像液が回り込むので、上記のような現像ムラ
がなくなる。
【0117】現像液の駆動を一定時間停止した後、液溜
部18と高圧室26とを連通させて液溜部18内に圧縮
空気を供給して現像液を排出する(S40)。現像液面
が第3センサSW3を下回ると(S42)、再び現像液
の駆動を一定時間停止して(S44)、同様に現像ムラ
を防止する。次に、現像処理した時間が設定時間に達す
るまで上記動作を繰り返し、第1センサSW1と第3セ
ンサSW3との間で現像液面が移動するように、現像液
を往復駆動する(S32〜S48)。
【0118】設定した現像処理時間が経過すると(S4
8)、液溜部18及び容器14内に圧縮空気を供給し現
像液を完全に排出して(S50)現像処理が終了する
(S52)。なお、現像液吸引中や排出中等に設定され
た時間に達する場合は、その時点で処理を終了し、余分
な処理は行わないようになっている。これは他の工程に
ついても同じである。
【0119】次に図11を参照して漂白処理について説
明する。漂白処理が開始されると(S60)、液路切換
弁38を漂白液が供給されるように切り換えて、漂白液
の吸引を開始する(S62)。そして、漂白液面が第1
センサSW1まで達すると(S64)吸引を停止し(S
66)、代わって排出を開始する(S68)。漂白液面
が第3センサSW3を下回ると(S70)排出を停止し
(S72)、漂白処理した時間が設定時間に達するまで
上記動作を繰り返し、第1センサSW1と第3センサS
W3との間で漂白液面が移動するように漂白液を往復移
動する(S62〜S74)。そして、設定された処理時
間が経過すると(S74)、漂白液を排出して(S7
6)漂白処理を終了する(S78)。
【0120】次工程の定着処理、水洗処理についても同
様に処理するので、説明は省略する。処理液による全処
理工程が終了すると、フィルムFを乾燥させて処理が終
了する。フィルムFを乾燥するには、容器14内に昇温
空気を供給して容器14内で乾燥させてもよく、また容
器14からフィルムFを取り出してドライヤー等を用い
て乾燥させてもよい。
【0121】上記制御ではフィルムFを2本同時に処理
する方法であり、処理液を往復移動させて攪拌するとき
に第1センサSW1と第3センサSW3とを用いたが、
この方法はフィルムFを1本だけ処理するときにも適用
できる。処理液を往復移動するための液面の上限及び下
限位置は下記のようにしてもよい。
【0122】まず、フィルムFを2本同時又は1本だけ
処理する場合について説明する。第1に、液面の上限セ
ンサとして第1センサSW1、第2センサSW2、第3
センサSW3のいずれか1つを用い、下限センサとして
第6センサSW6を用いて、液面が第1センサSW1、
第2センサSW2、第3センサSW3のいずれか1つと
第6センサSW6との間で移動するように処理液を往復
移動させてもよい。この場合、処理液攪拌中にフィルム
Fが空気と一時的に接触するので、処理ムラが生ずるこ
とがあり、好ましくないこともある。
【0123】第2に、液面の上限センサとして第1セン
サSW1を、下限センサとして第2センサSW2を用い
て、液面が第1センサSW1と第2センサSW2との間
で移動するように処理液を往復移動させてもよい。第3
に、液面の上限センサとして第2センサSW2を、下限
センサとして第3センサSW3を用いて、液面が第2セ
ンサSW2と第3センサSW3との間で移動するように
処理液を往復移動させてもよい。
【0124】次に、フィルムFを1本だけ処理する場合
について説明する。第1に、液面の上限センサとして第
1センサSW1から第5センサSW5のいずれか一つを
用い、下限センサとして第6センサSW6を用い、液面
が第1センサSW1から第5センサSW5のいずれか一
つと第6センサSW6との間で移動するように処理液を
往復移動させてもよい。
【0125】第2に、液面の上限センサとして第1セン
サSW1から第4センサSW4のいずれか一つを用い、
下限センサとして第5センサSW5を用い、液面が第1
センサSW1から第4センサSW4のいずれか一つと第
5センサSW5との間で移動するように処理液を往復移
動させてもよい。
【0126】また、第4センサSW4、第5センサSW
5を使用せず、フィルム1本分相当の空間を埋めるブロ
ックを入れて処理することも可能である。上記処理液の
供給制御は標準となる処理方法であるが、上記制御を下
記のように変更してもよい。
【0127】例えば、気温が処理温度より低い場合に
は、設定値に昇温された現像液を容器14に供給すると
現像液の熱が容器14に奪われ、現像液の温度が低下し
てしまい設定通りの現像処理ができないことがある。そ
こで、図9(b)に示すようにステップS7a及びステ
ップS7bで現像液を容器14に供給する前に昇温した
水洗水を供給して容器14を予備昇温することが好まし
い。実際の現像に先立ち容器14を昇温しておけば、現
像液を供給したときの現像液の温度低下はなくなり、設
定通りの現像処理を行うことができる。また、水洗水が
フィルムFに触れても何ら反応は起こらないので、フィ
ルムFに対する悪影響もない。
【0128】次に、図12を参照して制御の他の変更例
について説明する。従来のカラーネガフィルムの処理で
は、漂白処理と定着処理とを別々に行っていたが、以下
に説明する処理では、所定量の漂白液を容器14内に供
給した後、所定量の定着液を更に容器14内に供給し
て、容器14内で両液を混合して漂白処理と定着処理を
同時に行い迅速化を達成している。
【0129】漂白液を吸引した後(S80)処理液を往
復移動させて(S82)漂白処理を行う。漂白処理が所
定時間経過したところで(S84)、漂白液を一部排出
して(S86)その代わりに定着液を吸引する(S8
8)。すると、容器内で漂白液と定着液とが混合されて
漂白定着液が作製され、以後は漂白定着処理が行われ
る。漂白定着液を往復移動して漂白処理を行い(S9
0)、設定された処理時間が経過したら(S92)漂白
定着液を排出して処理が終了する(S94)。以後の水
洗処理は同じである。
【0130】従来のタンク処理では、漂白液及び定着液
を繰り返し使用していたので、高活性の両液を混合して
処理するには、保存性の面で問題があり実質的に不可能
であった。しかし、上記処理のように容積の小さい容器
14内に処理液を供給して処理する構成であれば、使用
処理液が少ないので、両液を使用後に廃棄してもコスト
的に不利益はなく、両液混合による迅速化は上記処理に
よる特有の利点である。また、漂白液及び定着液は攪拌
による効果が大きいので、両液を混合して液量を増やし
たほうが液の移動程度が大きくなり良好な攪拌状態が生
じ、短時間で良好に処理できる。更に、漂白液は温度依
存性が高く、温度が高ければそれだけ処理の進行も速い
が、漂白液は自然放熱により温度が低下していってしま
う。しかし、漂白処理の途中で定着液を混入することに
より、漂白液が昇温されて処理速度が速まるので、迅速
化を達成することができる。
【0131】定着液を混入する時期としては、漂白時間
と、その後の漂白定着時間との比が1:3程度となる時
期が好ましい。換言すれば、漂白処理の進行程度が20
%に達したころが好ましく、時間的には漂白開始から5
秒〜60秒後程度が好ましい。
【0132】次に図13を参照して制御の他の変更例に
ついて説明する。図13は上記と同様に脱銀処理を迅速
化する制御のフローチャートである。まず水洗水を吸引
して容器を昇温し(ステップS100)、容器が所定温
度に達した後に水洗水を排出して代わりに現像液を供給
して現像処理を開始する(ステップS102)。現像処
理が終わると現像液を容器から排出し、代わりに水洗水
を供給して容器を洗浄する(ステップS104)。容器
の洗浄が終了すると次いで漂白液を供給して漂白処理を
行う(ステップS106)。前記同様、漂白処理が所定
時間経過した後、漂白液の一部を排出して代わりに定着
液を供給して、漂白液と定着液とを混合して容器内で漂
白定着液を作製して漂白定着処理する(ステップS10
8)。漂白定着処理は漂白定着液を往復移動して行う。
漂白定着処理が終了すると、次いでリンス処理(S11
2)、水洗処理(ステップS112)を行った後、フィ
ルムを乾燥する(ステップS114)。
【0133】この処理においては、現像処理と漂白処理
との間に洗浄処理があるので、漂白液に現像液が混入す
ることはなく、漂白液の性能が低下せず脱銀処理を短縮
化することができる。また、漂白液と定着液を混合して
漂白定着液により処理するので、漂白処理と定着処理と
を同時に行うことができ、脱銀処理を短縮化することが
できる。
【0134】次に図14を参照して制御の更に他の変更
例について説明する。図14はフィルムに残留する色素
を低減する制御のフローチャートである。まず、水洗水
を吸引して容器を昇温してから(ステップS120)、
現像処理(ステップS122)、漂白処理(ステップS
124)を順次行う。次いで、定着処理を所定時間行っ
た後(ステップS126)、定着液の一部を排出して代
わりにリンス液(水洗水)を供給し定着液とリンス液の
混合液を作製して処理する(ステップS128)。この
混合液は定着液の希釈液である。定着液とリンス液の混
合液での処理は、液を往復移動して行う。次いで、水洗
処理(ステップS130)を行った後、フィルムを乾燥
する(ステップS132)。定着液の希釈液で定着処理
とリンス処理とを同時に行うことにより、洗浄処理が早
くから開始されてフィルムが良好に洗浄されるので、フ
ィルムに残留する色素を極めて少なくすることができ
る。したがって、ステインのない高品質の画像を形成す
ることができる。
【0135】次に処理液の温度制御について説明する。
各処理液は容器14内に供給される前に設定温度まで昇
温されるが、フィルム処理中は温度制御されず、自然放
熱により温度が低下する。そこで、放熱による温度低下
をあらかじめ考慮して処理液温度を設定しておくことが
好ましい。このとき、処理開始から終了までにフィルム
Fに与える総熱量が、一定の設定温度で設定時間処理し
た際にフィルムFに与える総熱量と等しくなるように、
環境温度やフィルムFの熱容量等を考慮して処理液の初
期温度が設定される。
【0136】例えば、タンク現像時には43℃で2分3
0秒処理するように設定されていた現像液を用いる場合
には、現像液温度を50℃程度まで昇温して処理を開始
することが好ましい。また、上記のように少量の現像液
で処理を行うと、現像初期には液中のハロゲンが少な
く、後期になるほどハロゲンが多くなる。このような状
態では、従来のタンク現像のようにハロゲン濃度をほぼ
一定にして現像処理する方法よりも短時間で処理するこ
とができる。
【0137】上記実施態様は容器14にフィルムFを収
容しておき、容器14内に順次処理液を供給して処理を
行う装置であるが、記憶手段に担持した処理情報を読み
取って、読み取った情報に従って感光材料を順次処理液
と接触させる構成は、このような実施態様に限らない。
上記実施態様はフィルムを静止させて処理液を移動する
が、例えば逆に多種の処理液をそれぞれタンクに収容し
ておき、読み取った情報に従ってフィルムを適正な処理
液に順次浸漬して処理を行うハンガー現像処理方式にも
本発明を適用できる。
【0138】
【発明の効果】本発明によれば、記憶手段が担持した処
理情報に基づいて処理液の温度制御や供給制御を自動的
に行うことができるので、感光材料の種類と処理液温度
や処理時間との対応付け等を誤ることがなく、正確に感
光材料を処理することができ、写真処理の専門的知識が
無くても正確に処理することができ、しかもすべてを明
室で操作できるので処理作業が容易である。
【0139】
【実施例】
実施例1 感光材料:富士写真フイルム製撮影用カラーネガフィル
ムSHG−400 処理剤:CN−16QHII(標準処理温度43℃) 処理装置:図1に示す構成の処理装置で図9〜図12に
示す手順で、下記工程で処理を行った。処理装置の操作
部には、バーコードリーダーを備えた。
【0140】 工程 処理時間 往復間の停止時間 初期液温 発色現像 2分30秒 4秒 48℃ 漂 白 46秒 0秒 48℃ 漂白定着 2分30秒 0秒 48℃ 水洗 31秒 0秒 48℃ 安 定 31秒 0秒 48℃ 処理液の移動量は60mm3 /sec
【0141】上記処理剤は標準処理温度が43℃である
が、処理開始時に各処理液の温度を標準温度より5℃高
い48℃にして、以後、恒温状態で処理を行った。ま
た、現像処理では現像液の往動と復動との間で液移動を
4秒間停止した。また、漂白工程の途中で漂白液に定着
液を混入して漂白定着処理を行った。また、吸引中又は
排出中であっても、設定処理時間が経過すると直ちに処
理を打ち切った。これらの処理情報はあらかじめ制御装
置内のLUTに記憶しておき、これらの情報にSHG−
400のインデックスを設定した。また、同じ処理剤で
処理可能な他のフィルムに関する情報も、同様にLUT
に記憶しておき、それぞれにインデックスを設定した。
【0142】一方、バーコードカードにはSHG−40
0のインデックスをバーコードで担持しておき、かつ
「CN−16QHII標準:SHG−100,400,1
600」と明記した。このバーコードカードを操作経験
のない者に渡し、操作部に装填して処理を開始したとこ
ろ、時間設定等の変更操作を何らしなくても所定の処理
を確実に行うことができた。
【0143】実施例2 実施例1において、処理装置の操作部にICカード装着
部を設けた。一方、ICカードにはフィルムの種別情報
と該種別に適合した処理剤の処理条件を担持させてお
き、かつ「CN−16QHII標準:SHG−100,4
00,1600」と明記した。実施例1と同様に、この
ICカードを操作経験のない者に渡し、操作部に装填し
て処理を開始したところ、時間設定等の変更操作を何ら
行わなくても所定の処理を確実に行うことができた。
【0144】実施例3 実施例1において、各処理液の往復移動時の液面レベル
の上限と下限とを、第1センサSW1から第6センサS
W6の全てを組み合わせて設定し、処理液の往復移動の
液面レベル差による処理状態を観察した。これをフィル
ム2本同時処理と1本処理とについて行った。2本同時
処理の結果を表1に示し、1本処理の結果を表2に示
す。
【0145】
【表1】
【0146】表1に示すように、2本処理の場合、液面
レベルの上限又は下限を第4センサ以下にして処理する
と、未現像部分があったり、上下のフィルムに感度差が
生じたり、同一フィルムであっても濃度差が生じた。こ
れは、上段のフィルムが現像中に一時的に空気と接する
ことによる現像遅れが生じたものと考えられる。また、
液面の下限を第3センサ以上にして処理しても、上限が
同じレベルでは実用的感度が得られなかった。上限レベ
ルと下限レベルが同じということは、処理液が往復移動
していないことであり、往復移動がないと良好な処理を
行えないことがわかる。
【0147】これに対し、往復移動時の液面の上限レベ
ルが第1センサであり、下限レベルが第2センサ又は第
3センサであると、2本のフィルムについて良好に処理
できた。また、上限レベルが第2センサであり、下限レ
ベルが第3センサでも同様に良好に処理できた。このこ
とから、フィルムが常に処理液と接していることと、処
理液が往復移動することが、良好な処理のために必要で
あることがわかった。
【0148】
【表2】
【0149】表2に示すように、1本処理の場合、処理
液の上限レベルと下限レベルが同じであると、すなわち
処理液の往復移動がないと、処理後のフィルムは実用感
度に到達しない。また、処理液の往復移動があっても、
処理液の下限レベルが第6センサであると、濃度差が生
じた。これはやはり現像中に一時的にフィルムが空気と
接触することによるものと考えられる。これに対し、処
理液の下限レベルが第5センサ以上であり、処理液が多
少でも往復移動すれば、良好に処理できた。このことか
ら、フィルムが常に処理液と接していることと、処理液
が往復移動することが、良好な処理のために必要である
ことがわかった。また、フィルム1本処理時には、処理
液往復移動の上限レベルは第4センサ以上であればどこ
でもよいことがわかった。
【0150】実施例4 感光材料:富士写真フイルム製撮影用カラーネガフィル
ムSHG−400 処理剤:CN−16QHII(標準処理温度43℃) 処理装置:図1に示す構成の処理装置で図9(b)〜図
12に示す手順で、下記工程で処理を行った。
【0151】 工程 処理時間 往復間の停止時間 初期液温 水洗 1分 0秒 48℃ 発色現像 2分30秒 4秒 48℃ 漂 白 46秒 0秒 48℃ 漂白定着 2分30秒 0秒 48℃ 水洗 31秒 0秒 48℃ 安 定 31秒 0秒 48℃ 処理液の移動量は60mm3 /sec 水洗での使用液は水洗で再利用される
【0152】室温25℃において処理を行ったとき、処
理中の発色現像液の温度低下は、水洗がない場合は約
3℃/分の低下であったが、水洗を実施した本例で
は、約1℃/分の低下であり、しかも前者では温度低下
により感度も低下したが、後者では前者に比べて感度低
下がなく写真性能上良好な仕上がりを得ることができ
た。このことから、発色現像処理を開始する前に温調し
た水洗水を容器に供給して容器を予熱することが、上記
構成の処理装置による現像処理にきわめて有効であるこ
とがわかった。
【0153】実施例5 実施例1の工程において、漂白及び漂白定着の合計時間
を3分16秒とし、定着液の混合開始時間を下記表3の
ように変化させた。
【0154】
【表3】
【0155】表3の結果から明らかなように、漂白処理
を開始して45秒経過後に定着液を混合して処理した場
合、及び漂白処理を開始して70秒経過後に定着液を混
合して処理した場合には、脱銀不良のない良好な処理を
行うことができた。これに対し、混合が上記より早かっ
たり、遅かったりすると、脱銀不良が生じて良好な処理
を行えなかった。このことから、漂白処理の開始から、
漂白及び漂白定着処理の合計時間の1/4〜1/3が経
過した頃に、漂白液と定着液とを混合すれば、脱銀不良
のない良好な処理を行えることがわかった。
【0156】実施例6 実施例1において水洗水を2種(水洗、水洗)用意
して以下の工程に従って処理を行った。 工程 処理時間 往復間の停止時間 初期液温 水洗 10秒 0秒 48℃ 発色現像 2分20秒 4秒 48℃ 水洗 10秒 0秒 48℃ 漂 白 36秒 0秒 48℃ 漂白定着 2分00秒 0秒 48℃ 水洗 10秒 0秒 48℃ 水洗 10秒 0秒 48℃ 安 定 10秒 0秒 48℃ 処理液の移動量は60mm3 /sec
【0157】結果は実施例1と略同様の処理性能が得ら
れた。また、実施例1は総処理時間が6分18秒であっ
たのに対し、実施例6は総処理時間を5分46秒に短縮
することができた。すなわち、実施例6によれば、実施
例1と同じ処理性能を得る際に総処理時間を約10%短
縮することができたと同時に、処理済感光材料の画像安
定性も良化した。
【0158】実施例7 実施例1において、水洗水を2種(水洗、水洗)用
意して以下の工程に従って処理を行った。 工程 処理時間 往復間の停止時間 初期液温 発色現像 2分30秒 4秒 48℃ 漂 白 46秒 0秒 48℃ 漂白定着 1分00秒 0秒 48℃ 漂白定着・水洗 1分00秒 0秒 48℃ 水洗 20秒 0秒 48℃ 安 定 20秒 0秒 48℃ 処理液の移動量は60mm3 /sec
【0159】結果は実施例1と略同様の処理性能が得ら
れた。また、実施例1は総処理時間が6分18秒であっ
たのに対し、実施例7は総処理時間が5分56秒とな
り、実施例1と同じ処理性能を得る際に総処理時間を短
縮できたと同時に、画像安定性の良い、しかも色素のヌ
ケの良い画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施態様であるフィルム処
理装置の斜視図である。
【図2】図2はフィルム処理部の斜視図である。
【図3】図3はフィルム処理部の概略断面図である。
【図4】図4はフィルムとスペーサを共巻きした状態の
斜視図である。
【図5】図5はフィルム巻取装置の分解図である。
【図6】図6はフィルム装填の説明図である。
【図7】図7はICカードを用いる制御装置のブロック
構成図である。
【図8】図8はバーコードカードを用いる制御装置のブ
ロック構成図である。
【図9】図9は全体の処理制御のフローチャートであ
り、(a)は標準制御のフローチャート、(b)は変更
例のフローチャートる。
【図10】図10は現像処理制御のフローチャートであ
る。
【図11】図11は漂白処理制御のフローチャートであ
る。
【図12】図12は脱銀処理制御の変更例のフローチャ
ートである。
【図13】図13は脱銀を迅速化する処理制御のフロー
チャートである。
【図14】図14は残留色素を低減する処理制御の変更
例のフローチャートである。
【符号の説明】
F フィルム 10 処理装置 12 フィルム処理部 14 容器 16 容器装着台 18 液溜部 26 高圧室 28 低圧室 30、32 コンプレッサ 40 スペーサ 42 突起 46 操作部 48 制御装置 50 記憶手段 54 LUT 60 フィルム巻取装置 62 本体 64 蓋 66 パトローネ 68 巻取具 70 排出口 72 容器装填部 74、76 遮光板 78 スイッチ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】像露光されたハロゲン化銀写真感光材料
    を、予め設定された現像処理条件に基づき、現像処理装
    置により処理して画像を形成するシステムにおいて、 前記感光材料とは独立した情報記憶媒体に予め現像処理
    情報を担持させ、前記現像処理装置に備えた読取手段に
    より前記記憶媒体内の情報を読み取り、読み取った情報
    を必要に応じて変更して現像処理装置に供給し、供給し
    た情報に従って現像処理装置を作動させて前記感光材料
    を処理することを特徴とする画像形成システム。
  2. 【請求項2】写真感光材料を微小間隙を以て重畳状態で
    収容する容器と、該容器内と連通する処理液供給口を有
    し前記容器が装着される容器装着台と、前記容器上に設
    けられ前記容器と連通した液溜部と、前記供給口から前
    記容器及び前記液溜部に処理液を供給しかつ前記液溜部
    内で処理液レベルが上下するように処理液の移動を制御
    する送液手段とを有する写真感光材料の現像処理装置。
  3. 【請求項3】前記容器が遮光されており、かつ前記装着
    台及び前記液溜部に脱着可能であることを特徴とする請
    求項2に記載の写真感光材料の現像処理装置。
  4. 【請求項4】写真感光材料を微小間隙を以て重畳状態で
    収容した容器に、温水を供給して前記容器を昇温した
    後、前記容器に所定工程の処理液を順次供給して前記写
    真感光材料の処理を行うことを特徴とする写真感光材料
    の現像処理方法。
  5. 【請求項5】写真感光材料を微小間隙を以て重畳状態で
    収容する容器に、脱銀処理を含む一連の工程の処理液を
    順次充填して現像処理を行う方法であって、脱銀処理を
    行う際に漂白液と定着液とを前記容器で混合して脱銀処
    理することを特徴とする写真感光材料の現像処理方法。
  6. 【請求項6】写真感光材料を微小間隙を以て重畳状態で
    収容する容器に、一連の工程の処理液を順次充填して現
    像処理を行う方法であって、前記容器に少なくとも現像
    液及び漂白液を充填するに先立ち、温水で前記容器を洗
    浄することを特徴とする写真感光材料の現像処理方法。
  7. 【請求項7】写真感光材料を微小間隙を以て重畳状態で
    収容する容器に、定着処理を含む一連の工程の処理液を
    順次充填して現像処理を行う方法であって、定着処理中
    に定着液の一部を洗浄液に入れ換えて混合して処理する
    ことを特徴とする写真感光材料の現像処理方法。
  8. 【請求項8】遮光可能な本体内に、撮影済の長尺写真感
    光材料を巻回して繰出可能に収容した遮光性を有する包
    装体の装填部と、前記写真感光材料と重畳する繰出可能
    に巻回した長尺スペーサの装填部と、前記包装体内の前
    記感光材料と前記スペーサの先端とを一体で保持可能
    で、駆動手段によって回転される巻取具とを備え、前記
    本体は前記感光材料及び前記スペーサを巻装した前記巻
    取具の排出路と該排出路を開閉する遮断部材とを有し、
    かつ該排出路が、遮光性を有する仕切部材により開閉可
    能な処理用容器内と遮光状態で連通可能である感光材料
    巻取装置。
JP13932893A 1992-11-26 1993-05-19 画像形成システム、現像処理方法及び装置 Pending JPH06214370A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0718690A1 (en) * 1994-12-22 1996-06-26 Eastman Kodak Company System and method for transferring a fluid between a container and an associated apparatus for using the fluid

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