JPH06202546A - ホログラム記録材料並びにホログラム記録媒体、及びそれを使用するホログラムの製造方法 - Google Patents

ホログラム記録材料並びにホログラム記録媒体、及びそれを使用するホログラムの製造方法

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JPH06202546A
JPH06202546A JP142293A JP142293A JPH06202546A JP H06202546 A JPH06202546 A JP H06202546A JP 142293 A JP142293 A JP 142293A JP 142293 A JP142293 A JP 142293A JP H06202546 A JPH06202546 A JP H06202546A
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hologram
ester
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acid ester
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JP142293A
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Inventor
Takeo Yamaguchi
岳男 山口
Yasumasa Toba
泰正 鳥羽
Madoka Yasuike
円 安池
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、化学的安定性や耐環境特性に優れ、
長波長領域において高い感度特性を有し、且つ解像度、
回折効率及び透明性に特に優れたホログラム記録材料並
びにホログラム記録媒体、及びそれを使用するホログラ
ムの製造方法を提供するものである。 【構成】アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステ
ルの単一重合体、またはアクリル酸エステルまたはメタ
クリル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以上の共
重合体である高分子化合物(A)、重合可能なエチレン
性不飽和結合を少なくとも1個以上有する化合物
(B)、ポルフィラジン誘導体(C)およびジアリール
ヨードニウム有機ホウ素錯体(D)の組合せを含むこと
を特徴とするホログラム記録用感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学的安定性や耐環境
特性に優れ、長波長領域において高い感度特性を有し、
且つ解像度、回折効率及び透明性などのホログラム特性
に特に優れたホログラム記録材料並びにホログラム記録
媒体、及びそれを使用するホログラムの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ホログラム記録媒体として、漂白
処理銀塩および重クロム酸ゼラチン系の感光材料が一般
に使用されてきた。しかし、これらのホログラム記録媒
体によるホログラムの製造は、何れも感光板の作製方
法、ホログラム製造のための処理が煩雑であったり、製
造されたホログラムが耐環境特性、例えば耐湿性、耐候
性に劣る、また解像度に限界があるという問題点を有し
ていた。
【0003】かかる問題を解決するために、耐環境特性
に優れ、且つ高解像度、高回折効率などのホログラムの
有すべき特性を備えた体積位相型ホログラムの製造方法
として、光重合性のフォトポリマーを利用した例が知ら
れている。例えば、特公昭62−22152号公報で
は、担体となるべき重合体中に光重合性物質である2個
以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能単量体を分
散せしめた感材を、輻射線の干渉パターンに露出する第
1の工程、該感材を第1の溶媒で処理し該感材を膨潤せ
しめる第2の工程、膨潤作用の乏しい第2の溶媒で処理
し該感材を収縮せしめる第3の工程とを具備してなるこ
とを特徴とするホログラム製造方法が開示されている。
しかしながら、該公知文献における方法において、充分
な回折効率を有するホログラムを製造するためには50
mJ/cm2 以上の露光エネルギーが必要とされ、特に
長波長光領域にける感度特性が劣り、ホログラムの大量
複製、即ち露光時間の短縮化において重要な特性となる
感度特性をより一層向上させることが望まれた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、化学的安定
性や耐環境特性に優れ、長波長領域において高い感度特
性を有し、且つ解像度、回折効率及び透明性に特に優れ
たホログラム記録材料並びにホログラム記録媒体、及び
それを使用するホログラムの製造方法を提供するもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の諸
点を考慮し、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、
本発明に至ったものである。すなわち、第一の発明は、
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単一
重合体、またはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステルとビニルモノマーとの2成分以上の共重合体で
ある高分子化合物(A)、重合可能なエチレン性不飽和
結合を少なくとも1個以上有する化合物(B)、ポルフ
ィラジン誘導体(C)およびジアリールヨードニウム有
機ホウ素錯体(D)の組合せを含むことを特徴とするホ
ログラム記録材料であり、第二の発明は、前記ホログラ
ム記録材料が、光学的に透明な基材と光学的に透明な保
護膜に挟まれて感光膜を形成していることを特徴とする
ホログラム記録媒体であり、第三の発明は、前記ホログ
ラム記録媒体に、輻射線の干渉パターンに露出する第1
の工程、該記録媒体から未重合の物質を除去し且つまた
該記録媒体中のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステルの単一重合体、またはアクリル酸エステルまた
はメタクリル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以
上の共重合体である高分子化合物(A)を膨潤せしめる
溶媒にて処理する第2の工程、さらに該記録媒体中のア
クリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単一重
合体、またはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エ
ステルとビニルモノマーとの2成分以上の共重合体であ
る高分子化合物(A)に対する溶解性及び膨潤性に乏し
い溶媒に、該記録媒体を接触せしめる第3の工程を具備
してなることを特徴とするホログラムの製造方法であ
り、第四の発明は、前記ホログラム記録媒体を輻射線に
よる干渉パターンに露出する前あるいは後に、紫外線、
可視光線、電子線などの活性線への露出処理、(およ
び)または加熱処理することを特徴とする前記ホログラ
ムの製造方法である。
【0006】以下、詳細にわたって本発明を説明する。
【0007】本発明のホログラム記録媒体において使用
される高分子化合物(A)は、アクリル酸エステルまた
はメタクリル酸エステルの単一重合体、またはアクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステルと、その他のビ
ニルモノマーとの2成分以上の共重合体である。具体的
なアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単
一重合体としては、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オ
クチル、ノニル、ドデシル、2−メチルブチル、3−メ
チルブチル、2−エチルブチル、1,3−ジメチルブチ
ル、2−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、シクロ
ヘキシル、アダマンチル、イソボルニル、ジシクロペン
タニル、テトラヒドロフルフリールなどの鎖状、分枝状
及び環状アルキルのアクリル酸またはメタクリル酸エス
テルモノマーの重合体、フェニル、4−メトキシカルボ
ニルフェニル、4−エトキシカルボニルフェニル、4−
ブトキシカルボニルフェニル、4−tert−ブチルフ
ェニル、ベンジル、4−フェニルエチル、4−フェノキ
シジエチレングルコール、4−フェノキシテトラエチレ
ングリコール、4−フェノキシヘキサエチレングリコー
ル、4−ビフェニリルなどの芳香環を含有するアクリル
酸またはメタクリル酸エステルモノマーの重合体、フェ
ロセニルメチル、フェロセニルエチルなどの鉄原子を含
有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー
の重合体、トリフルオロエチル、テトラフルオロプロピ
ル、ヘプタデカフルオロデシル、オクタフルオロペンチ
ル、2,3−ジブロモプロピルなどのハロゲン原子を含
有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー
の重合体、トリメトキシシリルプロピルなどのケイ素原
子を含有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルの
重合体、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリ
レートなどのエポキシ基を含有するアクリル酸またはメ
タクリル酸エステルモノマーの重合体、N,N−ジメチ
ルアミノエチル、N,N−ジエチルアミノエチル、t−
ブチルアミノエチルなどのアミノ基を含有するアクリル
酸またはメタクリル酸エステルモノマーの重合体などが
挙げられる。これらのアクリル酸エステルまたはメタク
リル酸エステルモノマーは、必要に応じて2成分以上の
共重合体として使用することが可能である。
【0008】前記したアクリル酸エステルまたはメタク
リル酸エステルモノマーとの2成分以上の共重合体とし
て使用できるビニルモノマーとしては、ブタジエン、イ
ソプレン、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリ
ル、スチレン、4−ブロモスチレン、パーフルオロスチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニル
ピロリジンなどが挙げられる。
【0009】本発明のホログラム記録媒体に供される重
合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有
する化合物(B)としては、1官能であるビニルモノマ
ーの他にオリゴマーを含むものであり、さらには高分子
量化合物であってもよく、またこれらの混合物であって
もよい。その様な化合物としては、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリルアミド、メ
タクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルカルバ
ゾール等の高沸点ビニルモノマー、さらには、脂肪族ポ
リヒドロキシ化合物、例えば、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3
−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
10−デカンジオール、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビト
ール、マンニトールなどのジあるいはポリ(メタ)アク
リルエステル類、芳香族ポリヒドロキシ化合物、例え
ば、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロ
ール等のジあるいはポリ(メタ)アクリルエステル、イ
ソシアヌル酸のエチレンオキシド変性(メタ)アクリレ
ート、さらには、側鎖にヒドロキシ基やハロゲン化メチ
ル基の如き反応活性を有する官能基を持つ重合体とアク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボ
ン酸との高分子反応によって得られるポリマーも好適に
使用しうる。このような高分子化合物としては、ポリビ
ニルアルコール、ビニルアルコールと酢酸ビニルとの共
重合体、ポリエピクロルヒドリン、フェノキシ樹脂、ポ
リクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ(メタ)アク
リレートと種々アクリレートモノマーとの共重合体、フ
ェノール樹脂などが挙げられる。さらには、(メタ)ア
クリル化されたエポキシ樹脂、ポリエステルアクリレー
トオリゴマー、(メタ)アクリル化ウレタンオリゴマ
ー、アクロレイン化ポリビニルアルコール等をあげるこ
とができる。
【0010】本発明で使用のポルフィラジン誘導体
(C)は、一般式(1)
【0011】一般式(1)
【化1】
【0012】(式(1)中、環A1〜A4は、それぞれ
独立に、一般式(2)ないし一般式(5)
【0013】一般式(2)
【化2】
【0014】一般式(3)
【化3】
【0015】一般式(4)
【化4】
【0016】一般式(5)
【化5】
【0017】を表わすが、環A1〜A4すべてが同時
に、一般式(6)
【0018】一般式(6)
【化6】
【0019】になることはない。
【0020】R1 〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、
ハロゲン原子ならびに水素原子およびハロゲン原子以外
の有機残基を表わし、R1 とR2 、R3 とR4 、R4
5、R6 とR7 、R9 とR10、R10とR11、R11とR
12がそれぞれ一体となった環状構造であってもよい。
【0021】Mは、2つの水素原子あるいは置換基を持
っていてもよい2価以上の価数をもつ原子を表わす。
【0022】YおよびZは、それぞれ独立に、ハロゲン
原子、酸素原子ならびにハロゲン原子、酸素原子以外の
有機残基を表わすが、このうち、Mと直接結合している
有機残基中の原子は、酸素原子、窒素原子、炭素原子ま
たは硫黄原子に限られる。
【0023】lおよびmは、それぞれ独立に0または1
の整数を表わす。)
【0024】次に、一般式(1)における置換基につい
て説明すると、R1 〜R12は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子、および有機残基を表わす。このう
ち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子、ヨウ素原子等であり、また有機残基としては、
置換基を持っていてもよいアルキル基、置換基を持って
いてもよいアリール基、置換基を持っていてもよいビニ
ル基、ニトロ基、水酸基、置換基を持っていてもよいア
ルコキシ基、置換基を持っていてもよいアリールオキシ
基、置換基を持っていてもよいアシルオキシ基、置換基
を持っていてもよいアシル基、カルボン酸基、カルボン
酸エステル基、カルバモイル基、メルカプト基、置換基
を持っていてもよいアルキルチオ基、置換基を持ってい
てもよいアリールチオ基、置換スルフィニル基、置換ス
ルホニル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、チ
オカルボン酸基、ジチオカルボン酸基、チオカルバモイ
ル基、シアノ基、置換基を持っていてもよいアミノ基、
置換アゾ基、置換基を持っていてもよいホスフィノ基、
置換基を持っていてもよいホスホノ基、置換シリル基、
置換シロキシ基、置換基を持っていてもよい複素環基等
であるが、これらの置換基に限定されるものではない。
【0025】さらに、上記の有機残基について詳細に説
明すると、置換基を持っていてもよいアルキル基として
は、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブ
チル基、オクチル基、ステアリル基、シクロヘキシル
基、メンチル基、ボルニル基、アリル基、ベンジル基、
トリフルオロメチル基、トリクロロメチ基、メトキシメ
チル基、カルボキシメチル基、ヒドロキシメチル基等で
あり、置換基を持っていてもよいアリール基としては、
フェニル基、トリル基、ナフチル基、クメニル基、トリ
クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メシチル
基、カルボキシフェニル基等であり、置換基を持ってい
てもよいビニル基としては、ビニル基、ブテニル基、2
−ブロモエテニル基、2−カルボキシエテニル基等であ
り、置換基を持っていてもよいアルコキシ基としては、
メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基、ベンジル
オキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基等であり、置換基
を持っていてもよいアリールオキシ基としては、フェノ
キシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、4−ブ
ロモフェノキシ基、ナフチルオキシ基等であり、 置換
基を持っていてもよいアシルオキシ基としては、アセト
キシ基、ベンゾイルオキシ基、フォルミルオキシ基、ア
クリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等であ
り、置換基を持っていてもよいアシル基としては、ホル
ミル基、アセチル基、ブチロイル基、ラウロイル基、ア
クリロイル基、メタクリロイル基、オレオイル基、ベン
ゾイル基、シンナモイル基等であり、カルボン酸エステ
ル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基、フェノキシカルボニル基等であり、置換基を持
っていてもよいアルキルチオ基としてはメチルチオ基、
エチルチオ基、ヒドロキシメチルチオ基等であり、置換
基を持っていてもよいアリールチオ基としては、フェニ
ルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、ナフチルチオ
基等であり、置換スルフィニル基としては、メチルスル
フィニル基、フェニルスルフィニル基、ヒドリキシエチ
ルスルフィニル基等であり、置換スルホニル基として
は、メチルスルフォニル基、ベンゼンスルフォニル基、
トシル基、スルファモイル基等であり、スルホン酸エス
テル基としては、メトキシスルフォニル基、エトキシス
ルフォニル基、フェノキシスルフォニル基等であり、置
換基を持っていてもよいアミノ基としては、アミノ基、
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、トル
イジノ基等であり、置換アゾ基としては、フェニルアゾ
基、ナフチルアゾ基等であり、置換基を持っていてもよ
いホスフィノ基としては、ジメチルホスフィノ基、ジフ
ェニルホスフィノ基等であり、置換基を持っていてもよ
いホスホノ基としては、ホスホノ基、ジメチルホスホノ
基、ジフェニルホスホノ基等であり、置換シリル基とし
ては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等であ
り、置換シロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、
トリエチルシロキシ基等であり、置換基を持っていても
よい複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジ
ル基、ピロリル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、メチ
ルキノリル基、フェニルチアゾリル基、クロロベンゾチ
アゾリル基、メチルオキサゾリル基、メチルイミダゾリ
ル基等であるが、これらの置換基に限定されるものでは
ない。
【0026】また、一般式(1)において、R1
2 、R3 とR4 、R4 とR5 、R6 とR7 、R9 とR
10、R10とR11、R11とR12がそれぞれ一体となった環
状構造であってもよく、例えば、トリメチレン基、テト
ラメチレン基等のアルキレン基、エチレンジオキシ基、
エチレンジアミノ基等の他に、一般式(7)
【0027】一般式(7)
【化7】
【0028】または、一般式(8)
【0029】一般式(8)
【化8】
【0030】で表される置換基等があるが、これらの置
換基に限定されるものではない。
【0031】また、一般式(1)において、Mは、2つ
の水素原子あるいは置換基を持っていてもよい2価以上
の原子を表わし、Zn、Pd、Cd、Mg、Al、T
i、Ge、Sn、V、Si等が挙げられる。また、Yお
よびZは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、酸素原子な
らびにハロゲン原子、酸素原子以外の有機残基を表わす
が、例えばハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子等であり、また、ハロゲン原
子、酸素原子以外の有機残基としては、置換基を持って
いてもよいアルキル基、置換基を持っていてもよいアリ
ール基、水酸基、置換基を持っていてもよいアルコキシ
基、置換基を持っていてもよいアリールオキシ基、カル
ボン酸基、カルボン酸エステル基、カルバモイル基、メ
ルカプト基、置換基を持っていてもよいアルキルチオ
基、置換基を持っていてもよいアリールチオ基、置換ス
ルホニル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、ス
ルファモイル基、置換基を持っていてもよいアミノ基、
置換基を持っていてもよい複素環基、−OSO2
13基、−0−PR1415基、−0(P=O)R1617
(ただし、R13〜R17は置換基を持っていてもよいアル
キル基、置換基を持っていてもよいアリール基、水酸
基、置換基を持っていてもよいアルコキシ基、置換基を
持っていてもよいアリールオキシ基、置換基を持ってい
てもよい複素環基である)等であるが、これらの置換基
に限定されるものではない。ただし、このうちMと直接
結合している有機残基中の原子は、酸素原子、窒素原
子、炭素原子または硫黄原子に限られる。
【0032】本発明で使用する一般式(1)で表わされ
るポルフィラジン系化合物の代表例として、化合物
(a)ないし化合物(i)を次に示す。
【0033】化合物a
【化9】
【0034】化合物b
【化10】
【0035】化合物c
【化11】
【0036】化合物d
【化12】
【0037】化合物e
【化13】
【0038】化合物f
【化14】
【0039】化合物g
【化15】
【0040】化合物h
【化16】
【0041】化合物i
【化17】
【0042】ただし、上記化合物a〜i中の略号はそれ
ぞれt−Buがtert−ブチル基を、Meがメチル基
を、Phがフェニル基を、Prがn−プロピル基を、n
−C 9 19がn−ノニル基を表わす。
【0043】次に、本発明で使用のジアリールヨードニ
ウム有機ホウ素錯体(D)は、一般式(9)
【0044】一般式(9)
【化18】 (式中、R18、R19は水素原子、低級アルキル基、低級
アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子
を表し、R20〜R23は、それぞれ独立に、置換基を有し
ても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール
基、置換基を有しても良いアルケニル基、置換基を有し
ても良いアルキニル基、置換基を有しても良い脂環基よ
り選ばれる基を示し、R20〜R23全てが同時に、置換基
を有しても良いアリール基となることはない。)で表さ
れるジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)を示
し、置換基R18及びR19は、水素原子、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの
低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、
sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの低級
アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、およびフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を表す。次に、R
20〜R23は、それぞれ独立に、置換基を有しても良いア
ルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を
有しても良いアルケニル基、置換基を有しても良いアル
キニル基、置換基を有しても良い脂環基より選ばれる基
を示し、R20〜R23全てが同時に置換基を有しても良い
アリール基になることはない。置換基を有しても良いア
ルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル
基等が、置換基を有しても良いアリール基としては、フ
ェニル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、ク
メニル基等が、置換基を有しても良いアルケニル基とし
ては、ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル
基、1−ブテニル基等が、置換基を有しても良いアルキ
ニル基としては、エチニル基、1−ヘキシニル基、1−
プロピニル基等が、置換基を有しても良い脂環基として
は、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキ
セニル基、ノルボニル基、ボルニル基、メンチル基、ピ
ナニル基、アダマンチル基等が挙げられ、これらの基は
水素原子、さらには他の置換基で置換されていても良
く、その様な置換基としては、例えば、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキ
シ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェ
ニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基等のア
リール基の他、メシル基、p−トルエンスルホニル基、
トリフルオロメチル基が挙げられる。
【0045】その様なジアリールヨードニウム有機ホウ
素錯体の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ジ
トリルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニ
ル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨード
ニウム、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウ
ム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウム等のn−
ブチルトリフェニルボレート錯体、sec−ブチルトリ
フェニルボレート錯体、tert−ブチルトリフェニル
ボレート錯体、n−ブチルトリス(p−メトキシフェニ
ル)ボレート錯体、メチルトリフェニルボレート錯体、
n−ブチルトリス(p−フルオロフェニル)ボレート錯
体等が例示される。代表的な化合物として化合物j〜化
合物mを示す。
【0046】化合物j
【化19】
【0047】化合物k
【化20】
【0048】化合物l
【化21】
【0049】化合物m
【化22】
【0050】で表されるジアリールヨードニウム有機ホ
ウ素錯体を示す。一般式(9)で表されるジアリールヨ
ードニウム有機ホウ素錯体は、特開平3−704号公報
にて記載の方法に従い合成することができる。
【0051】一般式(9)において特に好ましい構造と
しては、R20が置換基を有してもよいアルキル基であ
り、R21、R22およびR23が置換基を有してもよいアリ
ール基である構造である。
【0052】この理由として、一般式(9)で示される
ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)と一般式
(1)で表されるポルフィラジン誘導体(C)とで構成
される光重合開始剤において、ジアリールヨードニウム
有機ホウ素錯体(D)がポルフィラジン誘導体(C)に
よって効果的に光増感分解されることが要求されるが、
一般式(9)で示されるジアリールヨードニウム有機ホ
ウ素錯体(D)のR20〜R23の内、少なくとも一つが、
置換基を有してもよいアルキル基である場合、光励起状
態にあるポリフィラジン誘導体(C)との間における光
電子移動反応によるジアリールヨードニウム有機ホウ素
錯体(D)の光増感分解効率が高まると同時にフリーラ
ジカルの発生効率が高まり、その結果感度の向上を図る
ことが可能となるからである。
【0053】本発明のホログラム記録媒体は、アクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単一重合体、
またはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル
とビニルモノマーとの2成分以上の共重合体である高分
子化合物(A)、重合可能なエチレン性不飽和結合を少
なくとも1個有する化合物(B)、ポルフィラジン誘導
体(C)及びジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体
(D)からなるホログラム記録材料を適当な溶媒中に溶
解させ、得られた感光液を光学的に透明な基材上、ある
いは光学的に透明な保護膜上に皮膜状に塗布して形成さ
れる。塗布される厚みは、乾燥後の膜厚として1μmか
ら25μmにすることが好ましく、4μmから10μm
の範囲がより好ましい。上記各成分の配合比に特定の制
限はないが、照射用レーザ光の透過率が1%以上となる
ようにポルフィラジン誘導体(C)の濃度を調製するこ
とが好ましい。さらに必要に応じて、各種添加剤、例え
ば可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤等を添加してもよ
い。
【0054】アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エ
ステルの単一重合体、またはアクリル酸エステルまたは
メタクリル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以上
の共重合体である高分子化合物(A)のホログラム記録
材料に占める量は、高回折効率、高解像度、高透明性を
有する体積位相型ホログラムを製造するためには、10
〜90重量%、好ましくは、30〜70重量%である。
重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1個以上
有する化合物(B)の使用量は、アクリル酸エステルま
たはメタクリル酸エステルの単一重合体、またはアクリ
ル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとビニルモノ
マーとの2成分以上の共重合体である高分子化合物
(A)100重量部に対し10〜200重量部、好まし
くは40〜150重量部である。上記範囲を逸脱すると
高い回折効率の維持および感度特性の向上が困難となる
ので好ましくない。
【0055】本発明のホログラム記録媒体で使用される
光重合開始剤のうち、ポルフィラジン誘導体(C)は、
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単一
重合体、またはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステルとビニルモノマーとの2成分以上の共重合体で
ある高分子化合物(A)100重量部に対し、0.1〜
30重量部、好ましくは、0.5〜15重量部の範囲で
使用される。使用量は、感光層膜厚と、該膜厚の光学密
度によって制限を受ける。即ち、光学密度が2を越さな
い範囲で使用することが好ましい。また、光重合開始剤
のもう一方の成分であるジアリールヨードニウム有機ホ
ウ素錯体(D)は、アクリル酸エステルまたはメタクリ
ル酸エステルの単一重合体、またはアクリル酸エステル
またはメタクリル酸エステルとビニルモノマーとの2成
分以上の共重合体である高分子化合物(A)100重量
部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重
量部の範囲で使用される。
【0056】本発明におけるホログラム記録材料は、輻
射線の干渉パターンに露出する前に、光学的に透明な基
材と光学的に透明な保護膜に挟まれたホログラム記録媒
体として使用される。光学的に透明な基材としてはガラ
ス板、ポリカーボネ−ト板、ポリメチルメタクリレート
板またはポリエステルフィルムなどが挙げられる。ま
た、光学的に透明な保護膜としては、ポリビニルアルコ
ール、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンあるいはセロファ
ンフィルムなどが挙げられる。該ホログラム記録用感光
材料が前記した透明な基材上に形成されている場合は、
前記した光学的に透明な保護膜を、溶液状態での塗布、
静電的な密着、押し出し機を使った積層、あるいは予め
粘着剤を該保護膜に塗布したフィルムを貼り合わせるこ
とによって、該感材上に積層することができる。一方、
該ホログラム記録材料が前記した透明な保護膜上に形成
されている場合は、光学的に透明な基材に該感材面側を
密着せしめる方法にて貼り合わせることができる。
【0057】この様に、本発明におけるホログラム記録
材料を、輻射線の干渉パターンに露出する前に、光学的
に透明な基材と光学的に透明な保護膜に挟まれたホログ
ラム記録媒体の形態にて使用することにより、該ホログ
ラム記録感材を様々な外的作用から保護すると共に、輻
射線の干渉露光において該記録感材中で生ずるラジカル
重合の酸素による阻害作用を抑制することが可能とな
る。
【0058】次に、本発明のホログラムの製造方法につ
いて説明する。すなわち、前記したホログラム記録媒体
を、輻射線、特にHe−Neレーザー、Krイオンレー
ザー、あるいはルビーレーザーなどから発振される長波
長の可視レーザー光線の干渉パターンに露出する第1の
工程に処する。次いで該記録媒体を構成している前記保
護膜を該記録媒体から剥離除去せしめた後に、該記録媒
体から未重合の物質を除去し、且つまた該記録媒体にお
けるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの
単一重合体、またはアクリル酸エステルまたはメタクリ
ル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以上の共重合
体である高分子化合物(A)を膨潤せしめる作用を有す
る溶媒に浸漬する第2の工程、いわゆる膨潤工程に処す
る。該工程に好適に用いられる溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族系有機溶媒、酢酸
エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系有機溶媒、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどの
ケトン系有機溶媒、メタノール、エタノール、イソプロ
パノールなどのアルコール系有機溶媒、ジオキサン、テ
トラヒドロフランなどの環状エーテル系有機溶媒、ジク
ロロメタン、クロロホルム、テトラクロロエタンなどの
塩素系有機溶媒など一般的に用いられる有機溶媒、ある
いはこれらの混合溶媒を適用することができる。その場
合、該ホログラム記録媒体におけるアクリル酸エステル
またはメタクリル酸エステルの単一重合体、またはアク
リル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとビニルモ
ノマーとの2成分以上の共重合体である高分子化合物
(A)を、完全には溶解せず膨潤させる作用を有するこ
とが必要で、使用する該高分子化合物(A)の種類によ
って適宜選択する必要がある。該膨潤工程を完遂するに
必要な浸漬時間は、使用する溶媒の膨潤効率及び浸漬温
度によって異なるが、室温の場合、概ね30秒から5分
の間にて完了する。
【0059】前記膨潤処理工程に次いで、さらに、該記
録媒体中のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エス
テルの単一重合体、またはアクリル酸エステルまたはメ
タクリル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以上の
共重合体である高分子化合物(A)に対する溶解性及び
膨潤性に乏しい溶媒に、該記録媒体を接触せしめ、前記
膨潤処理工程にて膨潤した該記録媒体を収縮せしめる第
3の工程、いわゆる収縮処理工程に処する。該工程に好
適に用いられる溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、石油エーテルなどのn−アルカン系有
機溶媒が好適に用いられるが、該記録媒体を収縮せしめ
る作用を有する溶媒であれば、前記した溶媒に限定され
るものではない。
【0060】さらに、本発明のホログラム記録媒体を用
いたホログラムの製造において、該ホログラム記録媒体
を輻射線の干渉パターンに露出する前あるいは後に、該
記録媒体を紫外線、可視光線、または電子線などの活性
線に露出処理する、(および)または加熱処理すること
により、本発明におけるホログラムの製造をさらに効果
的なものにすることが可能である。
【0061】前記した処理のために用いられる活性線源
に特に限定はないが、紫外線源としては、低圧水銀灯、
中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンラン
プ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光
灯、タングステンランプなどが、また可視光線源として
は、前記光線源の他に、He−Cd、Arイオンなどの
可視光レーザー光源、白色灯、蛍光灯などを使用するこ
とが可能である。この場合、使用される活性光源から発
せられる活性線は、本発明のホログラム記録媒体に使用
される、ポルフィラジン誘導体(C)及び(または)ジ
アリールヨードニウム有機ホウ素錯体(D)によって効
果的に吸収される必要がある。これら活性線に露出する
時間及び露出量は活性線源によって異なるので、適宜、
最適値を決める必要がある。
【0062】また加熱処理用の熱源としては、一般的に
は熱循環式オーブンあるいは加熱ロールが好適に用いら
れるが、これに限定されるものではない。加熱処理温度
範囲は50℃から120℃の間が好ましく、より好まし
くは60℃から90℃の間である。
【作用】本発明のホログラム記録材料は、アクリル酸エ
ステルまたはメタクリル酸エステルの単一重合体、また
はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとビ
ニルモノマーとの2成分以上の共重合体である高分子化
合物(A)、重合可能なエチレン性不飽和結合を少なく
とも1個以上有する化合物(B)、ポルフィラジン誘導
体(C)およびジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体
(D)の組合せを含むことを特徴とする。本発明におい
て使用されるポルフィラジン誘導体(C)は、He−N
eレーザー、Krイオンレーザーあるいはルビーレーザ
ーなどの可視レーザー光源から発振される赤色光を効率
良く吸収し、その分光増感作用によってジアリールヨー
ドニウム有機ホウ素錯体(D)を効率良く分解する。そ
の結果フリーラジカルが発生し、ラジカル重合が効果的
に誘起されることになる。特に本発明において使用され
るジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体は、その分子
内に2つのフリーラジカル発生源、すなわちジアリール
ヨードニウム部位と有機ホウ素部位を有するために、効
果的にフリーラジカルを発生し、感度特性の格段の向上
を図ることが可能になったものと推察される。また、ア
クリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単一重
合体、またはメタクリル酸エステルとビニルモノマーと
の2成分以上の共重合体である高分子化合物(A)を使
用することによって、化学的安定性や耐環境特性に優
れ、且つ透明性や感度特性に優れたホログラムを製造す
ることが可能になったと推量される。
【0063】また一方では、該ホログラム記録媒体を用
いたホログラム記録において、該記録媒体に輻射線の干
渉パターン露出すると、該輻射線露出部位中、干渉作用
の強い部位においては、重合可能なエチレン性不飽和結
合を少なくとも1個以上有する化合物(B)の重合反応
が生じ、支持体としてのアクリル酸エステルまたはメタ
クリル酸エステルの単一重合体、またはアクリル酸エス
テルまたはメタクリル酸エステルとビニルモノマーとの
2成分以上の共重合体である高分子化合物(A)と共に
網目構造を形成し、次の膨潤処理工程にて使用される溶
媒に対し不溶となる。一方、輻射線露出部位中、干渉作
用の弱い部位においては、重合可能なエチレン性不飽和
結合を少なくとも1個以上有する化合物(B)の重合反
応が生じないか、あるいは、重合度が低いため、該膨潤
処理用溶媒によって、該記録媒体は膨潤する。これによ
り両部位における密度差が形成され、その結果屈折率差
を生じホログラム記録がおこなわれるものと推量され
る。この作用は、該記録媒体に対する溶解性及び膨潤性
に乏しい第2の溶媒に接触せしめることによって顕著に
増幅され、且つまた、該記録媒体の膜厚を膨潤処理前の
膜厚に戻す作用と相まって、高い回折効率およびプレイ
バック波長再現性に優れたホログラムを提供するに至っ
たものと考えられる。また、該ホログラム記録媒体を輻
射線の干渉パターンに露出する前あるいは後に、紫外
線、可視光線、または電子線などの活性線に露出処理す
る、(および)または加熱処理することにより、透明
性、プレイバック波長光の再現性などのホログラム特性
をさらに効果的に向上させることが可能となる。
【0064】
【実施例】以下実施例に基づき、本発明をより詳細に説
明する。以下の各例において、部は特に断わりのない限
り重量部を表わす。
【0065】実施例1 ポリメタクリル酸メチル(アルドリッチ社製、重量平均
分子量71万)を100部、ペンタエリスリトールトリ
アクリレート(PETA)を70部、ポルフィラジン誘
導体(化合物a)を3部、ジメチルフェナシルジアリー
ルヨードニウム−n−ブチルトリフェニルボレート(化
合物j)を5部、テトラクロロエタンを900部からな
る感光液を100×125×3mmのガラス板上に、感
光液乾燥後の膜厚が7μmとなるように3ミルアプリケ
ーターを用いて塗布し、60℃オーブン中にて20分間
乾燥させた。さらに、ポリビニルアルコール(アルドリ
ッチ社製、鹸化度99%以上)水溶液をホログラム記録
用感光膜の上に塗布し、ホログラム記録媒体を作成し
た。次いで、該記録媒体を60W蛍光灯に60秒間暴露
し、前露光処理を行った。
【0066】この媒体に、図1に示すホログラム製造用
光学系で、He−Neレーザーの633nm光を用いて
ホログラム記録を施した。次いで、保護層であるポリビ
ニルアルコール層を剥離除去した後、キシレンに1分間
浸漬し感光層を現像および膨潤処理し、ヘプタンに30
秒間浸漬し収縮処理させ、ホログラムを製造した。回折
効率は、日本分光工業(株)製ART25C型分光光度
計で測定した。該装置は、幅3mmのスリットを有した
フォトマルチメータを、試料を中心にした半径20cm
の円周上に設置できる。幅0.3mmの単色光を試料に
45度の角度で入射し、試料からの回折光を検出した。
正反射光以外で最も大きな値と、試料を置かず直接入射
光を受光したときの値との比を回折効率とした。0.5
mJ/cm2 の露光量にて、プレイバック波長が630
nm、回折効率が80%、650nmにおける透過率が
92%のホログラムが製造された。このホログラムを2
5℃、60%RHの環境下に180日間放置してもホロ
グラム特性に変化は認められなかった。
【0067】実施例2〜9 実施例1におけるポルフィラジン誘導体(化合物a)を
化合物(b)ないし化合物(i)のポルフィラジン誘導
体に変えて、実施例1と同様の操作でホログラムの作製
を行なった時の結果を表1に示した。尚、実施例3およ
び実施例5ないし8ではHe−Neレーザーの633n
m光を、実施例2、4および9ではKrイオンレーザー
の647nm光をそれぞれ用いた。得られたホログラム
の特性を表1、表2に示した。
【0068】実施例10〜12 実施例1における、ジフェニルヨードニウム−n−ブチ
ルトリフェニルボレート(化合物j)を、化合物kない
し化合物mで表されるジアリールヨードニウム有機ホウ
素錯体に変えた他は実施例1と同様の方法で操作し、ホ
ログラムを作製した。得られたホログラム特性を表3、
表4に示した。
【0069】実施例13 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルを、ポリメタ
クリル酸イソボルニルに変え、他は実施例1と同様の方
法で操作したときのホログラム特性結果を表5、表6に
示した。
【0070】実施例14 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルを、ポリメタ
クリル酸フェロセニルメチルに変え、他は実施例1と同
様の方法で操作したときのホログラム特性結果を表5、
表6に示した。尚、ポリメタクリル酸フェロセニルメチ
ルは、C.U.Pittmanらの「Macromol
ecules」誌の第3巻第746頁(1970年)に
記載の方法にて得る事ができる。
【0071】実施例15 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルを、ポリメタ
クリル酸ベンジルに変え、他は実施例1と同様の方法で
操作したときのホログラム特性結果を表5、表6に示し
た。
【0072】実施例16 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルを、ポリアク
リル酸トリメトキシシリルプロピルに変え、他は実施例
1と同様の方法で操作したときのホログラム特性結果を
表5、表6に示した。
【0073】実施例17 実施例1におけるポリメタクリル酸メチルを、ポリメタ
クリル酸メチルとスチレンの共重合体(モル比で7:
3)に変え、他は実施例1と同様の方法で操作したとき
のホログラム特性結果を表5、表6に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【発明の効果】本発明におけるホログラム記録媒体の使
用、および該記録媒体を用いた本発明のホログラム製造
方法により、長波長領域において10mJ/cm2 以下
と少ない露光エネルギーで、化学的安定性や耐環境特性
に優れ、かつ高解像度、高回折効率、高透明性を有する
ホログラムを製造することが可能となる。
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ホログラム製造用の二光束レーザー
露光装置のブロック図を示す。
【符号の説明】
1:レーザー光源 2:ミラー 3:レンズ 4:スペーシャルフィルター 5:基材(ガラス板) 6:ホログラム感光膜 7:保護膜(ポリビニルアルコール膜)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸エステルまたはメタクリル酸
    エステルの単一重合体、またはアクリル酸エステルまた
    はメタクリル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以
    上の共重合体である高分子化合物(A)、重合可能なエ
    チレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有する化合物
    (B)、ポルフィラジン誘導体(C)およびジアリール
    ヨードニウム有機ホウ素錯体(D)の組合せを含むこと
    を特徴とするホログラム記録用感光材料。
  2. 【請求項2】 アクリル酸エステルまたはメタクリル酸
    エステルの単一重合体、またはアクリル酸エステルまた
    はメタクリル酸エステルとビニルモノマーとの2成分以
    上の共重合体である高分子化合物(A)、重合可能なエ
    チレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有する化合物
    (B)、ポルフィラジン誘導体(C)およびジアリール
    ヨードニウム有機ホウ素錯体(D)の組合せを含むこと
    を特徴とする請求項1記載のホログラム記録用感光材料
    が、光学的に透明な基材と、光学的に透明な保護膜に挟
    まれて感光膜を形成していることを特徴とするホログラ
    ム記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項2のホログラム記録媒体に、輻射
    線の干渉パターンに露出する第1の工程、該記録媒体中
    のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単
    一重合体、またはアクリル酸エステルまたはメタクリル
    酸エステルとビニルモノマーとの2成分以上の共重合体
    である高分子化合物(A)を膨潤せしめる溶媒にて処理
    する第2の工程、さらに該記録媒体中のアクリル酸エス
    テルまたはメタクリル酸エステルの単一重合体、または
    アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとビニ
    ルモノマーとの2成分以上の共重合体である高分子化合
    物(A)に対する溶解性及び膨潤性に乏しい溶媒に、該
    記録媒体を接触せしめる第3の工程を具備してなること
    を特徴とするホログラムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2のホログラム記録媒体を輻射線
    による干渉パターンに露出する前あるいは後に、紫外
    線、可視光線、電子線などの活性線への露出処理、(お
    よび)または加熱処理することを特徴とする請求項3記
    載のホログラムの製造方法。
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