JPH06198820A - 導電性塩化ビニル系樹脂積層シート - Google Patents

導電性塩化ビニル系樹脂積層シート

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JPH06198820A
JPH06198820A JP5273133A JP27313393A JPH06198820A JP H06198820 A JPH06198820 A JP H06198820A JP 5273133 A JP5273133 A JP 5273133A JP 27313393 A JP27313393 A JP 27313393A JP H06198820 A JPH06198820 A JP H06198820A
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JP
Japan
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vinyl chloride
chloride resin
conductive
laminated sheet
resin laminated
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JP5273133A
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English (en)
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Takuro Suzuki
卓郎 鈴木
Yoshio Koike
芳男 小池
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた帯電防止性能が、環境に左右されるこ
となく、長期にわたって持続し、かつブリード、ブルー
ム等の問題を抑制される導電性塩化ビニル系樹脂積層シ
ートを提供する。 【構成】 導電性可塑剤を含有してなる塩化ビニル系樹
脂層と導電性を付与された基布とを積層一体化させた導
電性塩化ビニル系樹脂積層シート。塩化ビニル系樹脂層
は基布の片面にのみ積層してもよいし、基布の両面に積
層してもよい。また、基布に導電性を付与する方法とし
ては、基布の繊維表面近傍に電子共役系ポリマー層を形
成させる方法が好適に採用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家具類、カバン類、事
務用品、運動用品等の表皮材、壁材、床材等の内装材、
マット、あるいは車の内装材等に使用される塩化ビニル
系樹脂積層シートに関し、特にコンピュータールーム、
IC作業所、エレクトロニクス関連の作業所等で好適に
使用される導電性塩化ビニル系樹脂積層シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂レザー等の塩化ビニル
系樹脂と基布とを積層一体化したシート(以下「塩化ビ
ニル系樹脂積層シート」と記すことがある)は、家具
類、カバン類、事務用品、運動用品等の表皮、マット、
壁材、床材等の内装材、あるいは車の内装材等として広
く使用されている。上記のような、塩化ビニル系樹脂積
層シートは、塩化ビニル系樹脂と可塑剤、安定剤等の添
加剤を混合したものを混練した後、カレンダー等で圧延
した塩化ビニル樹脂シートと基布とを積層する方法(以
下「カレンダー法」と略記することがある)と、上記の
塩化ビニル系樹脂に可塑剤、安定剤等を配合したものを
ペースト状態として、これを離型紙等に各種手段でコー
ティングし、さらに基布を積層する方法(以下「ペース
ト法」と記すことがある)等の製造方法にて製造され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、塩化ビニル
系樹脂は通常疎水性が大きく、帯電しやすいといった特
性を有している。そのため、上記のような塩化ビニル系
樹脂積層シートは静電気が溜まりやすく、電子機器を製
造する際のクリーンルーム等では使用できないばかりで
なく、静電気による誤動作等の問題もあって、一般の家
庭やオフィス等であってもコンピューター等の電子機器
の付近では、上記のような塩化ビニル系樹脂積層シート
は使用に適さない。
【0004】そこで、塩化ビニル系樹脂の帯電防止のた
めに、各種帯電防止剤を配合することが一般に行われて
いる。これらの帯電防止剤としては、各種低分子界面活
性剤が主に使用される。具体的には、アミド類、第4級
アンモニウム化合物、アルコール類、グリコール類、ポ
リオール類およびその誘導体、エーテル類、エステル類
等である。しかし、上記各種低分子界面活性剤は、塩化
ビニル系樹脂に配合した場合、その分散性、樹脂との相
溶性に劣るため、帯電防止効果が十分でなかったり、ブ
リードやブルーム等の問題があった。また、帯電防止性
能が温度、湿度等の環境条件に左右されやすく、しかも
帯電防止性能の持続性も短いという欠点もあった。
【0005】本発明は、上記の欠点を解決するためにな
されたものであって、優れた帯電防止性能が環境に左右
されることなく長期にわたって持続し、しかもブリード
やブルーム等の問題を抑制し得る導電性塩化ビニル系樹
脂積層シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の欠点を解消するた
めに発明された本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積層シ
ートは、導電性可塑剤を含有してなる塩化ビニル系樹脂
層と導電性を付与された基布とを積層一体化させたこと
を特徴とするものである。
【0007】本発明の塩化ビニル系樹脂としては、通常
塩化ビニル系樹脂シートを得るために使用されているも
のであれば特に限定されない。具体的には、平均重合度
が800〜2000、好ましくは800〜1500程度
のポリ塩化ビニル、または塩化ビニルを主体とする他モ
ノマー、例えばエチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エ
ステル等との共重合樹脂や、上記樹脂と他の樹脂、例え
ばポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹
脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニト
リル、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、部分ケン化ビ
ニルアルコール等との混合物等が挙げられる。
【0008】導電性可塑剤としては、下記化1または化
2に示す一般式で表される化合物が特に好適に使用され
る。
【化1】 (式中、R1 は、置換基を有していても良い炭素数2〜
22の脂肪族、脂環族、芳香族、あるいは複素環式炭化
水素基、R2 は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐のア
ルキル基を表し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表
す。nは1〜7の整数、mは1〜25の整数である。n
が2以上の場合、Aはそれぞれが同一であっても異なっ
ていてもよく、またR2 はそれぞれが同一であっても異
なっていてもよい。)
【化2】 (式中、R3 、R4 は炭素数1〜15の直鎖もしくは分
岐のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜4のアルキレン
基を表す。Bはイオウ〔S〕、酸素〔O〕、または、脂
肪族、脂環族、あるいは芳香族炭化水素基を表す。m、
nは1〜7の整数、kは1又は2、r、pは1〜3の整
数である。)
【0009】上記の導電性可塑剤の添加量としては、使
用する塩化ビニル系樹脂の種類や採用するシートの製造
方法等により異なり、一概には決められないが、使用す
る塩化ビニル系樹脂が採用するシートの製造方法におい
て最適の可塑性を示し得るのに十分な量を配合すればよ
い。具体的には、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、10〜120重量部、好ましくは30〜90重量部
である。上記導電性可塑剤は単独で用いても、2種以上
の導電性可塑剤を併用してもよい。
【0010】また、上記導電性可塑剤の一部を、従来か
ら塩化ビニル系樹脂シートに使用している可塑剤(以下
「汎用可塑剤」と記すことがある)と置き換えて併用す
ることもできる。具体的には、ジ−2−エチルヘキシル
フタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、トリクレジ
ルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ジ−2−
エチルヘキシルアジペート等のアジピン酸エステル系可
塑剤、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバチン
酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアゼレー
ト等のアゼライン酸エステル系可塑剤、ポリプロピレン
アジペート等のポリエステル系可塑剤、エポキシ化大豆
油等のエポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等の塩素化脂
肪酸エステル系可塑剤等が挙げられる。このときの混合
割合としては、全可塑剤中、導電性可塑剤が10%以
上、好ましくは20%以上である。
【0011】また、本発明においては上記の導電性可塑
剤、汎用可塑剤の他に、塩化ビニル系樹脂シートを製造
する際に通常使用される各種添加剤、例えばアゾジカル
ボアミド、オキシビスベンゼンスルフォンヒドラジド等
の発泡剤、Ba−Zn系複合安定剤、Ca−Zn系複合
安定剤、Na−Zn系複合安定剤、Ca−Na系複合安
定剤、Cd−Zn系複合安定剤等の安定剤、タルク、炭
酸カルシウム、焼成カオリン等の充填剤、着色剤等を配
合することもできる。これらの添加剤の種類、配合量
は、汎用可塑剤を使用した塩化ビニル系樹脂シートを製
造する場合と同様の種類、配合量でよく、特別の種類、
配合量とする必要はない。
【0012】本発明に使用される基布を構成する繊維と
しては、合成繊維、天然繊維のどちらでもよい。合成繊
維として具体的には、レーヨン、ナイロン、ポリアミド
等の高吸水性繊維、キュプラ、アセテート、ビニロン、
ポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の低吸水性繊
維等が挙げられる。また、天然繊維としては、羊毛、
綿、絹、麻等の繊維が挙げられる。これらの繊維は、単
独、もしくは組み合わせて基布とすることができ、織
布、編布、不織布等のいずれの形態でよい。また、繊維
形態としても短繊維、長繊維のどちらでも使用可能であ
る。織布の織り方として具体的には、平織り、斜文織
り、朱子織り等が挙げられ、また編布の編み方として具
体的には、長編みメリヤス、両面メリヤス編み、平編み
天竺、丸編み天竺、平編み、ゴム編み、パール編み、経
編みメリヤス等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0013】上記の繊維からなる基布は、導電性が付与
されるが、これは基布に導電性が付与されていないと、
得られた塩化ビニル系樹脂積層シートの帯電防止効果が
十分に発揮されないからである。基布に導電性を付与さ
せる方法としては種々の方法があるが、中でも基布の繊
維表面近傍に電子共役系ポリマー層を形成させる方法が
最適である。これは、電子共役系ポリマーを形成し得る
モノマーを基布に含浸し、これを酸化重合剤により、ド
ーパントの存在下で重合し、基布の繊維内部に含浸させ
ることにより行われる。このような方法によって、基布
繊維の表面に電子共役系ポリマーが被覆されるか、ある
いは繊維組織内部に該ポリマーが浸入した構造を有し、
該ポリマーが電子伝達体となって導電化されることにな
る。
【0014】電子共役系ポリマーを形成するモノマーと
しては、分子構造中に共役二重結合を有するもので、ピ
ロール、チオフェン、アニリン、フラン、インドールま
たはこれらの誘導体等の複素五員環化合物や六員環化合
物を用いることができる。ドーパントとしては、一般に
使用されている塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、五
フッ化リン酸等のルイス酸、塩酸、硫酸等のプロトン
酸、塩化第二鉄等の遷移金属塩化物類、過塩素酸銀、フ
ッ化ホウ素銀等の遷移金属化合物、クロル酢酸、p−ト
ルエンスルホン酸(塩)、ベンゼンスルホン酸(塩)、
ナフタレン−1,5−ジスルホン酸(塩)等の有機酸
(塩)等のアクセプター性のドーパントを使用すること
ができる。酸化重合剤としては、塩化第二鉄等の遷移金
属塩化物類等が使用できる。尚、塩化第二鉄等の遷移金
属塩化物類は、ドーパントとしての作用も有するため、
特に他のドーパントを併用しなくてもよいが、前記の他
のドーパントと併用すると更に導電性を向上させること
ができる。
【0015】本発明に使用される導電性基布は、織布、
編布、不織布等の形態とした後に導電性を付与してもよ
いし、繊維の状態で導電性を付与した後、織り上げ、編
み上げ等して導電性基布としてもよい。
【0016】繊維の状態で導電性を付与した後、織り上
げたり編み上げたりして得られる導電性基布としては、
全繊維が導電性繊維にて構成されたものに限られず、導
電性を付与した繊維を、導電性を付与しない繊維とを所
望の割合で混合して共に織り上げたり編み上げたもので
あってもよい。このようにして得られた織布または編布
を用いることにより、従来の導電性を付与していない基
布を用いた塩化ビニル系樹脂積層シートと同様の触感、
風合いの導電性塩化ビニル系樹脂積層シートが得られ
る。また、導電性を付与した繊維と導電性を付与しない
繊維の割合を変えることにより、所望の導電性有する基
布を得ることができる。尚、導電性を付与した繊維と導
電性を付与しない繊維の割合は全繊維中導電性を付与し
た繊維が5%以上となるようにするのが好ましい。
【0017】以上の塩化ビニル系樹脂層と導電性基布か
らなる導電性塩化ビニル系樹脂積層シートの製造方法
は、従来の汎用可塑剤を使用した塩化ビニル系樹脂積層
シートと全く同様に、カレンダー法、ペースト法のいず
れの方法によっても製造することができる。
【0018】カレンダー法で導電性塩化ビニル系樹脂積
層シートを製造する場合には、主にサスペンジョン重合
(懸濁重合)によって得られる塩化ビニル系樹脂に、導
電性可塑剤、および必要に応じて配合される汎用可塑
剤、発泡剤、着色剤、安定剤、充填剤等の各種添加剤を
所定の割合で配合し、ヘンシェルミキサー、バンバリー
ミキサー等の混合機で充分に混練りし、得られた混合物
をカレンダー等によってシート状に成形する。これを、
導電性を付与された基布に貼り合わせて導電性塩化ビニ
ル系樹脂積層シートを得る。このとき必要に応じて各種
接着剤を用いてもよい。尚、塩化ビニル系樹脂層は単層
としてもよいし、複数層としてもよい。また、複数層と
する場合、各層毎に異なる塩化ビニル系樹脂配合として
もよい。また、塩化ビニル系樹脂が発泡剤を含有してい
る場合は、塩化ビニル系樹脂層と導電性基布とを貼り合
わせた後、発泡を行わせるか、先に発泡させた塩化ビニ
ル系樹脂層と導電性基布とを貼り合わせる。
【0019】ペースト法により導電性塩化ビニル系樹脂
積層シートを製造する場合は、主にエマルジョン重合
(乳化重合)によって得られる塩化ビニル系樹脂に、導
電性可塑剤、および必要に応じて配合される汎用可塑
剤、発泡剤、着色剤、安定剤、充填剤等の各種添加剤を
所定の割合で配合し、デイゾルバー、ホモミキサー等の
分散機で充分に混合して得られたペーストゾルを離型紙
等にドクターナイフ、コンマドクター、ロールコータ
ー、リバースロールコーター、ロータリースクリーンコ
ーター等の各種手段でコーティングし、さらに導電性を
付与した基布を積層するか、導電性を付与した基布上に
上記手段で直接コーティングする。このとき、コーティ
ングは1回のみとしても良いし、複数回行なってコーテ
ィング層複数層としても良い。また、コーティング層を
複数層とする場合、各層毎に異なる塩化ビニル系樹脂配
合によるペーストを使用することもできる。
【0020】コーティングされた各層は、加熱ゲル化さ
せた後、加熱キュアーされる。このときのゲル化条件お
よびキュアー条件は、塩化ビニル系樹脂ペーストの配
合、固形分濃度、コーティング量によって適宜選択され
るが、従来の汎用可塑剤を使用した塩化ビニル系樹脂シ
ートの場合と同様の条件でよく、特に条件を変える必要
はない。また、塩化ビニル系樹脂ペーストに発泡剤を配
合した場合は、上記のキュアーを行なう際に、発泡も同
時に行なわせる。
【0021】コーティングを離型紙等に行う場合、加熱
キュアーさせた後に剥離する。このとき、汎用可塑剤を
使用した塩化ビニル系樹脂シートの場合と同様に、使用
する離型紙等の表面(塩化ビニル系樹脂ペーストのコー
ティング面側)に凹凸模様のあるものを使用すれば、得
られる塩化ビニル系樹脂積層シート表面に凹凸模様を転
写させることができる。また、基布との積層は、ペース
トをコーティングした直後であっても、加熱キュアーさ
せた後であっても可能である。尚、加熱キュアーさせた
後に基布を貼り合わせる場合には、各種接着剤を用い、
低温で接着させてもよい。
【0022】上記のようなカレンダー法、ペースト法で
得られる本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積層シート
は、塩化ビニル系樹脂層を、導電性基布の表面側にのみ
積層してもよいし、基布の両面に積層してもよい。この
場合、先に基布の表面側に塩化ビニル系樹脂層を積層
し、次いで得られた塩化ビニル系樹脂積層シートを基布
として用い、裏面側に塩化ビニル系樹脂を積層すればよ
い。
【0023】本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積層シー
トは、必要に応じてエンボスロールにて絞模様を付与す
る等の二次加工を施すこともできる。また、本発明の導
電性塩化ビニル系樹脂積層シートは、必要に応じて表面
にポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の各種合成樹
脂を主成分とする上引層を設けることもできるし、各種
表面処理剤により色調調整、表面保護等を目的とした表
面処理を施すこともできる。上記の二次加工あるいは表
面処理等の加工法、加工条件については、従来の汎用可
塑剤を使用した塩化ビニル系樹脂積層シートの場合と同
様の方法、条件にて行なうことができる。
【0024】更に、本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積
層シートは、導電性可塑剤の代わりに帯電防止剤を含有
した塩化ビニル系樹脂層や、導電性可塑剤も帯電防止剤
も含まない非導電性の塩化ビニル系樹脂層等を設けるこ
ともできるが、導電性可塑剤を含有しない塩化ビニル系
樹脂層、特に非導電性の塩化ビニル系樹脂層があまり厚
いと導電性塩化ビニル系樹脂積層シートの帯電防止性能
が低下するので、導電性可塑剤を含有しない塩化ビニル
系樹脂層を設ける場合は極力薄い層とするのが望まし
い。
【0025】
【作用】本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積層シート
は、塩化ビニル系樹脂と相溶性のよい部位と導電性を有
する部位とからなる導電性可塑剤を含有させた塩化ビニ
ル系樹脂層と、導電性を付与した基布とを積層してなる
ので、従来の帯電防止剤を含有した塩化ビニル系樹脂層
と、一般の非導電性基布とを積層した塩化ビニル系樹脂
積層シートと比較して、優れた帯電防止効果が、環境に
左右されることなく、かつ長期にわたって発揮される。
また、ブリード、ブルーム等の問題についても、帯電防
止剤に代えて導電性可塑剤を用いることにより抑制され
る。
【0026】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げ、本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定され
るものではない。
【0027】〔実施例1〕表1に示す配合からなるポリ
塩化ビニルペーストを、表面に特殊離型剤を塗布した紙
(離型紙)上にドクターナイフにより250g/m
2 (0.3mm厚)となるようにコーティングし、14
0℃で1分間ゲル化のための加熱処理を行なった後、2
00℃で2分間キュアーのための加熱処理を行い塩化ビ
ニル系樹脂層を得た。
【表1】 エマルジョン重合ポリ塩化ビニル樹脂 *1 100重量部 導電性可塑剤 *2 70重量部 Ba−Zn系複合安定剤 3重量部 顔料 5重量部 *1 住友化学工業社製 PX−QHP(平均重合度1
400) *2 化3に示す一般式で表される化合物
【化3】 (式中、R1 2 は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐
のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基
を表す。m、nは1〜7の整数を表す)
【0028】次いで、ナイロンパイル基布を0.01m
ol/kgのピロール、0.023mol/kgの塩化
第二鉄を含む水溶液に180分間浸漬した後、充分に水
洗いし、乾燥させることにより、導電性基布を得た。
【0029】上記の塩化ビニル系樹脂層にポリウレタン
系接着剤をドクターナイフにて50g/m2 となるよう
にコーティングし接着剤が完全に乾燥する前に、上記導
電性基布を圧着させ、90℃で2分間乾燥を行い、導電
性塩化ビニル系樹脂積層シートを得た。得られた導電性
塩化ビニル系樹脂積層シートについて、下記の試験方法
により漏洩抵抗値、ブリード性について試験した結果を
表4に示す。
【0030】・試験方法 〔漏洩抵抗値〕得られた導電性塩化ビニル系樹脂積層シ
ートの漏洩抵抗値を、労働省産業安全研究所技術指針静
電気用品構造基準に記載の「導電性防止用マット」定め
られた性能測定法により、印加電圧100V、アース間
距離20cm、温度20.3℃、湿度54%の条件下で
測定した。 〔ブリード性〕得られた導電性塩化ビニル系樹脂積層シ
ートを5cm×5cmの大きさに切断したサンプルを、
60℃のお湯に浸漬した後、乾燥させ、表面を目視によ
り観察して下記評価基準にて評価した。 <評価基準> ○・・・表面はお湯に浸漬する前とほとんど変わらな
い。 ×・・・表面が白く濁った
【0031】〔実施例2〕導電性可塑剤70重量部に代
えて、導電性可塑剤35重量部とジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート35重量部を配合する以外は、実施例1と
同様にして導電性塩化ビニル系樹脂積層シートを得た。
得られたシートについて、実施例1と同様の試験を行な
った。結果を表4に示す。
【0032】〔実施例3〕実施例1に得られた導電性塩
化ビニル系樹脂積層シートを基布として使用する以外
は、実施例1と同様にして両面に塩化ビニル系樹脂層を
有する導電性塩化ビニル系樹脂積層シートを得た。得ら
れたシートについて、実施例1と同様の試験を行なっ
た。結果を表4に示す。
【0033】〔実施例4〕使用する基布を、52デニー
ルのアクリル繊維を、0.01mol/kgのピロー
ル、0.023mol/kgの塩化第二鉄を含む水溶液
に180分間浸漬した後、充分に水洗いし、乾燥させる
ことにより得られた導電性繊維と、30デニールのポリ
エステル繊維とを20/80の割合で両面メリヤス編み
にして作成した導電性基布に代える以外は、実施例2と
同様にして導電性塩化ビニル系樹脂積層シートを得た。
得られたシートについて、実施例1と同様の試験を行な
った。結果を表4に示す。
【0034】〔実施例5〕表2に示す組成の配合物を、
バンバリーミキサーで混練りし、次いで最終ロール温度
175℃のカレンダーで分出して得られた0.3mm厚
の塩化ビニル系樹脂シートを塩化ビニル系樹脂層とする
以外は、実施例1と同様にして導電性塩化ビニル系樹脂
積層シートを得た。得られたシートについて、実施例1
と同様の試験を行なった。結果を表4に示す。
【表2】 サスペンジョン重合ポリ塩化ビニル樹脂 *1 100重量部 導電性可塑剤 *2 70重量部 Ba−Zn系複合安定剤 3重量部 充填剤(炭酸カルシウム) 5重量部 顔料 5重量部 *1 チッソ社製 ストレートSL(平均重合度105
0) *2 化3に示す一般式で表される化合物
【化3】 (式中、R1 2 は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐
のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基
を表す。m、nは1〜7の整数を表す)
【0035】〔比較例1〕導電性可塑剤70重量部に代
えて、ジ−2−エチルヘキシルフタレート70重量部を
配合する以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹
脂積層シートを得た。得られたシートについて、実施例
1と同様の試験を行なった。結果を表4に示す。
【0036】〔比較例2〕表3に示す配合からなるポリ
塩化ビニルペーストを用い、導電性を付与していないナ
イロンパイル基布を用いる以外は、実施例1と同様にし
て塩化ビニル系樹脂積層シートを得た。得られたシート
について、実施例1と同様の試験を行なった。結果を表
4に示す。
【表3】 エマルジョン重合ポリ塩化ビニル樹脂 *1 100重量部 ジ−2−エチルヘキシルフタレート 70重量部 帯電防止剤(第4級アンモニウム化合物)*2 3重量部 Ba−Zn系複合安定剤 3重量部 顔料 5重量部 *1 住友化学工業社製 PX−QHP(平均重合度1
400) *2 アメリカンサイアミド社製 CATANAL
LS
【0037】〔比較例3〕導電性を付与していないナイ
ロンパイル基布を用いる以外は、実施例1と同様にして
塩化ビニル系樹脂積層シートを得た。得られたシートに
ついて、実施例1と同様の試験を行なった。結果を表4
に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積層シ
ートは、従来の帯電防止剤を用いた場合と比較して、帯
電防止性能に優れ、かつブリード、ブルーム等の問題も
解決される。従って、電子機器を製造するためのクリー
ンルーム等で各種用途に好適に使用されるのは勿論のこ
と、オフィスや家庭等でコンピューター等の電子機器を
使用する場合も、家具等の表装材や、内装材等として本
発明の導電性塩化ビニル系樹脂積層シートを使用すれ
ば、静電気による電子機器の誤動作等の発生は抑制され
る。
【0040】また、本発明の導電性塩化ビニル系樹脂積
層シートは、導電性可塑剤とジ−2−エチルヘキシルフ
タレート等の汎用可塑剤と所望の混合割合で併用するこ
とにより、導電性能をコントロールすることができるの
で、目的、用途、使用箇所等に適した導電性能の導電性
塩化ビニル系樹脂積層シートを容易に得ることができ
る。
【0041】さらに、導電性繊維と導電性を付与しない
繊維とを所望の割合で混合して織り上げたり編み上げた
りして得られる導電性基布を使用すれば、従来の導電性
を付与していない基布を用いた塩化ビニル系樹脂積層シ
ートと同様の触感、風合いの導電性塩化ビニル系樹脂積
層シートが得られる。また、導電性を付与した繊維と導
電性を付与しない繊維の割合を変えることにより、所望
の導電性を有する基布を得ることができる。
【0042】しかも、本発明の導電性塩化ビニル系樹脂
積層シートは、従来の汎用可塑剤を使用した塩化ビニル
系樹脂積層シートと同様の製造方法、および製造条件に
て製造することができ、しかもエンボス加工等の二次加
工や表面処理も従来通り行なうことができるので、従来
の塩化ビニル系樹脂積層シートの製造設備でそのまま製
造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B32B 7/02 104 9267−4F

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂層と基布とを積層して
    なる塩化ビニル系樹脂積層シートにおいて、塩化ビニル
    系樹脂層が導電性可塑剤を含有し、かつ基布が導電性を
    付与された導電性基布であることを特徴とする導電性塩
    化ビニル系樹脂積層シート。
  2. 【請求項2】 導電性可塑剤が、下記の一般式化1で表
    される化合物および/または化2で表される化合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の導電性塩化ビニル系
    樹脂積層シート。 【化1】 (式中、R1 は、置換基を有していても良い炭素数2〜
    22の脂肪族、脂環族、芳香族、あるいは複素環式炭化
    水素基、R2 は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐のア
    ルキル基を表し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表
    す。nは1〜7の整数、mは1〜25の整数である。n
    が2以上の場合、Aはそれぞれが同一であっても異なっ
    ていてもよく、またR2 はそれぞれが同一であっても異
    なっていてもよい。) 【化2】 (式中、R3 、R4 は炭素数1〜15の直鎖もしくは分
    岐のアルキル基を表し、Aは炭素数2〜4のアルキレン
    基を表す。Bはイオウ〔S〕、酸素〔O〕、または、脂
    肪族、脂環族、あるいは芳香族炭化水素基を表す。m、
    nは1〜7の整数、kは1又は2、r、pは1〜3の整
    数である。)
  3. 【請求項3】 導電性基布が、基布の繊維表面近傍に電
    子共役系ポリマー層を形成させることにより導電性付与
    されていることを特徴とする請求項1または2に記載の
    導電性塩化ビニル系樹脂積層シート。
  4. 【請求項4】 導電性基布が、繊維表面近傍に電子共役
    系ポリマー層を形成させた繊維と、電子共役系ポリマー
    層を形成しない繊維とを共に編み上げまたは織り上げた
    編布または織布である請求項1または2に記載の導電性
    塩化ビニル系樹脂積層シート。
  5. 【請求項5】 導電性基布の両面に塩化ビニル系樹脂層
    を積層したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の導電性塩化ビニル系樹脂積層シート。
JP5273133A 1992-10-07 1993-10-05 導電性塩化ビニル系樹脂積層シート Pending JPH06198820A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019093624A (ja) * 2017-11-22 2019-06-20 平岡織染株式会社 帯電防止性抗菌膜材
JP2019093623A (ja) * 2017-11-22 2019-06-20 平岡織染株式会社 帯電防止性抗菌膜材
JP2019093625A (ja) * 2017-11-22 2019-06-20 平岡織染株式会社 帯電防止性抗菌膜材
JP2019126921A (ja) * 2018-01-22 2019-08-01 平岡織染株式会社 防塵性フィルム及び、これらを用いた帆布、メッシュシート、及びターポリン
JP2020050998A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 アキレス株式会社 導電性合成皮革

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