JP2007291562A - 耐久制電機能性繊維及びその製造方法 - Google Patents

耐久制電機能性繊維及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗濯耐久性に優れた制電性及び機能性を同時に有する耐久制電機能性繊維及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性重合体により被覆された表面抵抗値が1×1010Ω以下である合成繊維基材の導電性重合体被覆面の少なくとも一部が、機能性材料により被覆されてなることを特徴とする耐久制電機能性繊維、及び、合成繊維基材に導電性重合体形成性モノマー0.2〜5.0%o.w.f.を付着せしめ、酸化剤を用いて該モノマーを重合させることにより合成繊維基材を導電性重合体により被覆したのち、機能性材料を表面の少なくとも一部に付着せしめることを特徴とする耐久制電機能性繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久制電機能性繊維及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、洗濯耐久性に優れた制電性及び機能性を同時に有する耐久制電機能性繊維及びその製造方法に関する。
合成繊維は天然繊維に比べて静電気が発生しやすく、縫製時や製品着用時に静電気が発生し、衣服が身体にまとわりついたり、空気中の埃の吸着による衣服の汚れ、電撃などの現象がおこりやすく、使用上問題が多く、そのために制電加工処理をする必要があった。
従来、制電加工に関しては、イオン性高分子活性剤で処理する方法や、親水性高分子物質と酸性、塩基性及びアミド系低分子量物質の混合物を繊維に付与し、乾熱、湿熱、放射線、マイクロ波、紫外線などによって繊維表面に結合させる方法、更には、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックコポリマーの末端にアクリロイル基やメタクリロイル基を有する重合性モノマーや、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックコポリマーを含有し、末端に架橋性官能基を有するプレポリマーなどを、単独で又は架橋剤を併用して繊維上で樹脂化する方法が知られている。
しかし、これらの方法では、洗濯に対する耐久性が求められる衣料用繊維布帛の場合、耐久性を満足する制電性が得られていない。また、合成繊維に撥水性や防炎性などの機能性の付与が行われた場合、これらの方法では、機能性の低下のみならず、制電性をも低下させるという問題があった。特に、撥水性の機能を付与すると、静電気を発生しやすくなり、制電加工を行うと撥水性が低下するために、制電性と撥水性とを併せ持つことが困難であった。このために、制電性と撥水性を併せて有する合成繊維布帛の開発が進められている。
例えば、洗濯耐久性を持つ制電性及び撥水性を有する合成繊維構造物として、合成繊維構造物の表面にポリエーテルエステル樹脂層が形成されており、その外側にカチオン系制電防止剤又はアニオン系制電防止剤を含むフッ素系撥水剤皮膜が形成されている合成繊維構造物が提案されている(特許文献1)。しかし、この合成繊維構造物は、撥水樹脂層に制電防止剤が含まれているために、十分な撥水性が得られないという問題があった。
また、撥水・撥油性が改良され、これにより導電層の耐薬品性の向上が図られた導電性複合体として、ポリピロールがフッ素樹脂と一緒になって被処理材の表面に被覆されている導電性複合体が提案されている(特許文献2)。しかし、この導電性複合体は、撥水性は得られるものの、洗濯や摩擦に対する耐久性が十分と言えるものではなかった。
優れた難燃性をもち、電磁波シールド用ガスケット材として最適の導電性材料として、連続気泡性のフォームシートの少なくとも一方の面に布帛が積層一体化された複合体シートの全面に、フォームの連続気泡性を損なうことなく、導電性金属皮膜が形成されてなる厚さが0.5〜7mmの導電性材料であって、該導電性金属皮膜上に臭素系難燃剤、リン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤からなる難燃剤が付着されている難燃性導電性材料が提案されている(特許文献3)。しかし、この難燃性導電性材料は、メッキ処理するために多くの工程を必要し、処理による効率がよくないだけでなく、洗濯や摩擦による耐久性が十分と言えるものではなかった。
さらに、高い電気伝導性及び抗菌性を有しVDTスクリーン、靴下などの製造に有用な帯電防止、抗菌性繊維として、銅イオンを含む溶液及びヨウ化物又はヨウ素酸イオンを含む溶液を1つの浴又は別個の浴として、浴中で処理された繊維が提案されている(特許文献4)。しかし、この帯電防止、抗菌性繊維は、洗濯に対する耐久性や制電性が不十分であるという問題があった。
紡績糸構成繊維間の繊維の取り扱いが容易で、柔軟で染色性の良好なアクリル繊維紡績糸による軽量で保湿性に優れた制電性、抗菌性及び難燃性を有する毛布として、難燃性アクリル繊維60〜70質量%、導電性アクリル繊維2〜12質量%及び抗菌性アクリル繊維28〜38質量%からなる紡績糸を緯糸及び経糸の少なくとも一方に用い、織り組織面の50%以上をアクリル繊維が占めるよう存在させて構成された織り毛布が提案されている(特許文献5)。しかし、この毛布は、洗濯に対する耐久性や制電性が不十分であるという問題があった。
以上のごとく、制電性と機能性の両方を有する洗濯耐久性に優れた合成繊維布帛は未だ達成されていない。特に、ナイロンに代表されるポリアミド系繊維では洗濯耐久性のある制電機能性繊維は得られていない。
特開平6−316872号公報 特開平8−337972号公報 特開2003−175565号公報 特開平5−247842号公報 特開平11−250号公報
本発明は、洗濯耐久性に優れた制電性及び機能性を同時に有する耐久制電機能性繊維及びその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性重合体により被覆された合成繊維基材の表面を、機能性材料で被覆することにより、優れた洗濯耐久性を有する制電性と併せて、撥水性などの諸機能を有する耐久制電機能性繊維が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)導電性重合体により被覆された表面抵抗値が1×1010Ω以下である合成繊維基材の導電性重合体被覆面の少なくとも一部が、機能性材料により被覆されてなることを特徴とする耐久制電機能性繊維、
(2)導電性重合体が、ピロール、チオフェン、アニリン及びそれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の導電性重合体形成性モノマーの重合体である(1)記載の耐久制電機能性繊維、
(3)機能性材料が、撥水性重合体、難燃性化合物、抗菌性化合物及び消臭性化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む材料である(1)記載の耐久制電機能性繊維、
(4)機能性材料が、さらにバインダー樹脂によって被覆されてなる(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の耐久制電機能性繊維、及び、
(5)合成繊維基材に導電性重合体形成性モノマー0.2〜5.0%o.w.f.を付着せしめ、酸化剤を用いて該モノマーを重合させることにより合成繊維基材を導電性重合体により被覆したのち、機能性材料を表面の少なくとも一部に付着せしめることを特徴とする耐久制電機能性繊維の製造方法、
を提供するものである。
本発明の耐久制電機能性繊維は、制電性と、撥水性、難燃性、抗菌性、消臭性などのその他の機能を高度に併せ持っており、その性能は、洗濯などにより失われず、優れた耐久性を有している。本発明の耐久制電機能性繊維の製造方法によれば、特殊な設備を必要とせず、従来より繊維加工の分野で汎用的に使用されている設備を用いて、優れた性能を有する耐久制電機能性繊維を経済的に製造することができる。
本発明の耐久制電機能性繊維は、導電性重合体により被覆された表面抵抗値が1×1010Ω以下である合成繊維基材の導電性重合体被覆面の少なくとも一部が、機能性材料により被覆されてなる繊維である。
本発明に用いる合成繊維基材に特に制限はなく、例えば、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、芳香族ポリイミド、ポリウレタンなどの合成繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、レーヨン、ベンベルグなどの再生繊維などの広義の合成繊維を挙げることができる。さらに、本発明においては、これらの合成繊維に、綿、羊毛、絹などの天然繊維が混繊、交織編された繊維も合成繊維基材として用いることができる。本発明に用いる合成繊維基材の形態に特に制限はなく、例えば、糸、織布、編布、不織布、組物、レース、ロープ、網などを挙げることができる。さらに、常法により糊抜、精練、セットを行った晒上げの布帛を用いることができ、染色、フィックス処理を行った色物の布帛を用いることもできる。
本発明に用いる導電性重合体としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリインドール及びそれらの誘導体などを挙げることができる。これらの導電性重合体は、ピロール、チオフェン、アニリン、フラン、インドール又はそれらの誘導体などの導電性重合体形成モノマーを、酸化剤の存在下に重合させることで得ることができる。これらの中で、ピロール、チオフェン、アニリン及びそれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の導電性重合体形成性モノマーの重合体は、合成繊維基材に高い制電性を与えることができるので、特に好適に用いることができる。
本発明において、導電性重合体により被覆された合成繊維基材の表面抵抗値は、1.0×1010Ω以下であり、より好ましくは1.0×108Ω以下である。導電性重合体により被覆された合成繊維基材の表面抵抗値が1.0×1010Ωを超えると、良好な制電性と機能性をともに有する耐久制電機能性繊維を得ることが困難となるおそれがある。本発明において、表面抵抗値は、二端子法の表面抵抗計を用いて、20℃、相対湿度40%において測定した値である。すなわち、20℃、相対湿度40%において、真鍮製電極2本を20mm間隔で合成繊維基材の導電性材料で被覆されている面上に置き、印加電圧100〜1,000Vをかけて、抵抗値を測定することができる。
本発明に用いる機能性材料としては、例えば、撥水性重合体、難燃性化合物、抗菌性化合物、消臭性化合物などを挙げることができる。撥水性重合体としては、例えば、パーフルオロアルキル基を有する樹脂、長鎖アルキル基を有する樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。パーフルオロアルキル基を有する樹脂としては、例えば、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種の重合体、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートと共重合可能なフッ素を有しない重合性化合物との共重合体などを挙げることができる。アクリレート又はメタクリレートが有するパーフルオロアルキル基の炭素数は、3〜36であることが好ましく、8〜22であることがより好ましい。パーフルオロアルキル基を有するアクリレートとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2−(パーフルオロへキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロオクチル)プロピルアクリレート、4−(パーフルオロオクチル)ブチルアクリレート、2−(N−プロピル−N−パーフルオロオクチルスルホニル)アミノエチルアクリレート、2−(N−エチル−N−パーフルオロオクチルスルホニル)アミノエチルアクリレート、2−(N−パーフルオロオクタノイル)アミノエチルアクリレート、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどを挙げることができる。
パーフルオロアルキル基を有するメタクリレートとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、(パーフルオロペンチル)メチルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2−(N−メチル−N−パーフルオロオクチルスルホニル)アミノエチルメタクリレート、2−(N−パーフルオロデカノイル)アミノエチルメタクリレートなどを挙げることができる。
パーフルオロアルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートと共重合可能なフッ素を有しない重合性化合物としては、例えば、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、シクロへキシルメタクリレートなどのアクリレート又はメタクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド又はメタクリルアミド;マレイン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、アルキレンジオールアクリレート、アルキレンジオールジメタクリレート、エチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどを挙げることができる。これらの中で、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートと、これと共重合可能なフッ素を有しない重合性化合物との共重合体は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に高い撥水性と耐久性を付与することができるので、特に好適に用いることができる。
本発明において、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート及びメタクリレートの合計量は、共重合に用いる重合性化合物の全質量に対して40質量%以上であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
パーフルオロアルキル基を有する樹脂の製造方法に特に制限はなく、例えば、フルオロアルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートを単独で、若しくは、これらと共重合可能な他の重合性化合物とを、重合開始剤の存在下で、必要に応じて溶媒を用いて重合させることができる。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパージカーボネート、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウムなどのペルオキソ二硫酸塩、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩などのアゾ化合物などを挙げることができる。さらに、γ線などの電離性放射線などを重合開始剤に代えて用いることもできる。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。溶媒を用いることにより、重合性化合物や共重合体が凝集しにくく、安定した乳化物を得ることができる。重合に用いる乳化剤に特に制限はなく、例えば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。
長鎖アルキル基を有する樹脂としては、例えば、長鎖アルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートの少なくとも1種の重合体、長鎖アルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートと共重合可能な重合性化合物との共重合体、ワックスなどを挙げることができる。長鎖アルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートは、長鎖アルキルの炭素数が12〜36であることが好ましく、16〜22であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を有するアクリレートとしては、例えば、ラウリルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ヘキサコシルアクリレート、トリアコンチルアクリレートなどを挙げることができる。長鎖アルキル基を有するメタクリレートとしては、例えば、ラウリルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ヘキサコシルメタクリレート、トリアコンチルメタクリレートなどを挙げることができる。
長鎖アルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートと共重合可能な重合性化合物としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、へキシルアクリレート、へキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロへキシルアクリレート、シクロへキシルメタクリレートなどのアクリレート又はメタクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド又はメタクリルアミド;マレイン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、アルキレンジオールアクリレート、アルキレンジオールジメタクリレート、エチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどを挙げることができる。これらの中で、長鎖アルキル基を有するアクリレート又はメタクリレートと、これに共重合可能な重合性化合物との共重合体は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に良好な撥水性と耐久性を付与することができるので、特に好適に用いることができる。
ワックスとしては、例えば、流動パラフィン、蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋などの動物由来のワックス、カルナバ蝋、木蝋、米糠蝋、キャンデリラワックスなどの植物由来のワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油由来のワックス、モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物由来のワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、油脂系合成ワックス(エステル、ケトン類、アミド)、水素化ワックスなどの合成ワックス、酸化ワックス、配合ワックス(エチレン酢ビ共重合体、ポリエチレン、合成ロジンなどの合成樹脂をブレンド)、変性モンタンワックスなどの変性ワックスなどを挙げることができる。これらの中で、石油由来のワックス、合成ワックス、変性ワックスは、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に良好な撥水性と耐久性を付与することができるので、特に好適に用いることができる。
シリコーン樹脂としては、ポリオルガノシロキサンを挙げることができる。ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アルキル変性シリコーンなどを挙げることができる。これらの中で、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンは、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に良好な撥水性と耐久性を付与することができるので、特に好適に用いることができる。
本発明に用いる難燃性化合物に特に制限はなく、例えば、ハロゲン系難燃性化合物、リン系難燃性化合物、無機系難燃性化合物などを挙げることができる。ハロゲン系難燃性化合物としては、例えば、デカブロモジフェニルエーテルなどのジフェニルエーテル誘導体;テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAカーボネート・オリゴマ−、テトラブロモビスフェノールAエポキシ・オリゴマーなどのテトラブロモビスフェノールA誘導体;パークロロペンタシクロデカン、ヘキサブロモシクロドデカンなどの環状脂肪族化合物誘導体;ビス(テトラブロモフタルイミド)エタンなどのフタル酸誘導体;ビス(ペンタブロモフェニル)エタンなどの多芳香族化合物誘導体;臭素化ポリスチレンなどのポリスチレン誘導体、ポリクロロパラフィン、塩素化ポリエチレンなどの塩素化炭化水素などを挙げることができる。
リン系難燃性化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルへキシルジフェニルホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェートなどの芳香族リン酸エステル;レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジクレジル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)などの芳香族縮合リン酸エステル;10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのフェナントレン誘導体;ベンジル[2'−ヒドロキシ−(1,1'−ビフェニル)−2−イル]ホスフィン酸アンモニウム、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートなどのハロゲン化リン酸エステル化合物;ポリリン酸塩、リン酸グアニジン、ポリリン酸カルバメートなどの有機リン化合物などを挙げることができる。
無機難燃性化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、メタホウ酸バリウムなどを挙げることができる。
これらの難燃性化合物の中で、ハロゲン系難燃性化合物及びリン系難燃性化合物は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に高い難燃性と耐久性を付与することができるので、特に好適に用いることができる。
本発明に用いる抗菌性化合物としては、例えば、有機抗菌性化合物、無機抗菌性化合物などを挙げることができる。有機抗菌性化合物としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノールなどのアルコール系化合物;3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、2−フェニルフェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、3−メチル−4−クロロフェノール、4−クロロ−2−(フェニルメチル)フェノール、モノクロロ−2−フェニルフェノールなどのフェノール系化合物;グルタルアルデヒド、α−ブロモシンナムアルデヒドなどのアルデヒド系化合物;10−ウンデシレン酸亜鉛、10−ウンデシレン酸モノエタノールアミンドなどのカルボン酸系化合物;4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチルなどのエステル系化合物;2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテルなどのエーテル系化合物;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンなどのニトリル系化合物;ポリビニルピロリドンヨード、クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメート、1−(ジヨードメチル)スルホニル−4−メチルベンゼン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N'−ジメチル−N'−(フルオロジクロロメチルチオ)−N'−フェニルスルファミド、1−ブロモ−3−エトキシカルボキシ−1,2−ジヨード−1−プロペン、2,3,3−トリヨードアリルアルコールなどのハロゲン系化合物;8−オキシキノリン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムなどのピリジン・キノリン系化合物;N,N',N''−トリスヒドロキシエチルヘキサヒドロ−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾチアゾロンなどのイソチアゾロン系化合物;2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンズイミダゾール、2−(4'−チオゾリル)ベンズイミダゾール、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾールなどのイミダゾール・チアゾール系化合物;2,4',4'−トリクロロカルバニリド、3−トリフルオロメチル−4',4'−ジクロロカルバニリドなどのアニリド系化合物;ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、クロロへキシジングルコン酸塩、クロロへキシジン塩酸塩などのビグアニド系化合物;ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィドなどのジスルフィド系化合物;アンモニウム−N−メチルジチオカルバメート、ナトリウム−N−メチルジチオカルバメートなどのチオカルバメート系化合物;アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、ラウリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブチルホスフェート塩、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、ポリ[ポリメチレン(ジメチルイミニオ)クロライド]、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]、アルキル(ジアミノエチル)グリシン塩酸塩、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウムなどの界面活性剤系化合物;10,10'−オキシビスフェノキサルシン、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、8−オキシキノリン銅、2−(4'−チオゾリル)ベンズイミダゾール銀錯体などの有機金属系化合物;わさび、カラシなどの成分であるイソチオシアン酸アリル、植物から抽出されるフィトンチッドなどを挙げることができる。これらの中で、界面活性剤系化合物を含む有機抗菌性化合物は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に高い抗菌性を付与することができるので、好適に用いることができる。
無機系抗菌性化合物としては、例えば、銅、銀、亜鉛、金、錫、鉛、砒素、白金、鉄、ニッケル、アルミニウム、アンチモンなどの金属、それらの金属化合物、それらの混合物などを挙げることができる。また、無機系抗菌性化合物として、これらの金属、金属化合物などを無機担体に担持させたものを用いることができる。無機担体としては、例えば、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、ベントナイト、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、ゼオライト、シリカゲル、ガラスなどのケイ素化合物などを挙げることができる。これらの中で、銀、銅又は亜鉛を含む無機担持体は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に良好な抗菌性と持続性を付与することができるので、好適に用いることができる。
本発明に用いる消臭性化合物は、臭気成分を吸着する化合物、臭気成分と反応して消臭効果を示す化合物などであって、繊維形成時に分解若しくは揮散し難いものであれば特に制限はなく、無機吸着性化合物、酸化還元能を有する金属錯体などを挙げることができる。無機吸着性化合物としては、例えば、シリカゲル、活性白土、ベントナイト、ゼオライトなどのケイ素化合物、活性炭、活性アルミナ、酸化亜鉛、これらの混合物などの極微細孔を有する無機吸着性化合物などを挙げることができる。酸化還元能を有する金属錯体としては、例えば、金属ポルフィリン、金属ポルフィラジン及びこれらの誘導体、コバルトフタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニンオクタカルボン酸、コバルトフタロシアニンテトラカルボン酸、コバルトフタロシアニンポリスルホン酸、鉄フタロシアニンオクタカルボン酸、鉄フタロシアニンテトラカルボン酸などの金属フタロシアニン誘導体、フマル酸、鉄アスコルビン酸化合物、フラボノイド系化合物、アミノ酸系化合物、タンニン化合物、糖類、プリン塩基など有機系消臭性化合物、前記の無機吸着性化合物との担持体などを挙げることができる。これらの中で、極微細孔を有する無機吸着性化合物、金属フタロシアニン誘導体、金属フタロシアニン誘導体又はこれらと無機吸着性化合物との担持体は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材の悪臭成分を効率的に分解又は吸着するのみならず、持続性を付与することができるので、特に好適に用いることができる。
これら機能性材料の中で、撥水性重合体はより高い耐久性が得られるので、特に好適に用いることができる。
本発明において、機能性材料は、水、親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒に溶解、乳化又は分散された液として供給することができる。親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのグリコール類及びそれらの誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルなどを挙げることができる。機能性材料を乳化若しくは分散する際に用いられる乳化剤又は分散剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの乳化剤、分散剤等などを挙げることができる。
本発明の機能性材料は、前記の機能性材料を単独で用いることができるが、さらにバインダー樹脂によって、導電性重合体により被覆された合成繊維基材の表面の少なくとも一部が被覆されてなることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、水溶性樹脂、エマルジョン樹脂などを挙げることができ、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。また、バインダー樹脂は、機能性材料を被覆すると同時に、架橋性化合物と触媒によりバインダー樹脂を形成させることもできる。バインダー樹脂を使用することにより、耐久性をさらに向上させることができるので好ましい。
本発明の耐久制電機能性繊維の製造方法においては、合成繊維基材に導電性重合体形成性モノマー0.2〜5.0%o.w.f.、より好ましくは0.3〜3.0%o.w.f.を付着せしめ、酸化剤を用いて該モノマーを重合させることにより合成繊維基材を導電性重合体により被覆したのち、機能性材料を表面の少なくとも一部に付着せしめる。合成繊維基材への導電性重合体形成性モノマーの付着量が0.2%o.w.f.未満であると、十分な制電性が得られないおそれがある。合成繊維基材への導電性重合体形成性モノマーの付着量が5.0%o.w.f.を超えると、モノマー量に見合った制電性が得られないおそれがある。
本発明方法に使用する導電性重合体形成性モノマーとしては、例えば、ピロール、チオフェン、アニリン、フラン、インドール、それらの誘導体などを挙げることができる。これらの導電性重合体形成性モノマーは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ピロール、チオフェン、アニリン及びそれらの誘導体は、合成繊維基材に高い制電性を与えることができるので、好適に用いることができる。
ピロールの誘導体としては、例えば、N−メチルピロールなどのN−置換ピロール、3−メチルピロール、3−オクチルピロールなどの3−置換ピロール、4−メチルピロール−3−カルボン酸メチルなどの3,4−二置換ピロール、3,5−ジメチルピロールなどの3,5−二置換ピロールなどを挙げることができる。チオフェンの誘導体としては、例えば、2−チオフェンカルボン酸などの2−置換チオフェン、3−メチルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−チオフェンカルボン酸などの3−置換チオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどの3,4−二置換チオフェンなどを挙げることができる。アニリンの誘導体としては、例えば、o−メチルアニリン、o−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、o−クロルアニリンなどのo−置換アニリン、m−メチルアニリン、m−メトキシアニリン、m−クロルアニリンなどのm−置換アニリン、p−メチルアニリン、p−メトキシアニリン、p−エトキシアニリン、p−クロルアニリンなどのp−置換アニリンなどを挙げることができる。
本発明方法に使用する酸化剤としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩、三酸化クロム、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム、二クロム酸銀などのクロム酸類、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸銀などの硝酸塩、過酸化水素、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムなどのペルオキソ二硫酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸カリウムなどの酸素酸類、過塩素酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)などの三価の鉄化合物、塩化銅などの遷移金属塩化物などを挙げることができる。これらの酸化剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ペルオキソ二硫酸塩は、反応性が良好であり、高い導電性を有する繊維基材を容易に得ることができるので、特に好適に用いることができる。
本発明方法において、合成繊維基材に付与する酸化剤は、導電性重合体形成性モノマーの0.1〜3当量倍であること好ましく、0.5〜1.5当量倍であることがより好ましい。合成繊維基材に付与する酸化剤の量が、導電性重合体形成性モノマーの0.1当量倍未満であると、導電性重合体が十分に形成されないおそれがある。合成繊維基材に付与する酸化剤の量が、導電性重合体形成性モノマーの5当量倍を超えると、合成繊維基材が酸化により劣化するおそれがある。
本発明方法において、導電性重合体形成性モノマーの溶液及び酸化剤溶液を調製するための溶媒としては、水又は親水性有機溶媒と水との混合溶媒を挙げることができる。水と混合溶媒を形成する親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのグリコール類及びそれらの誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルなどを挙げることができる。親水性有機溶媒と水の混合溶媒における水の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。混合溶媒における水の含有量が1質量%未満であると、導電性重合体形成性モノマーの反応が十分に進行せず、十分な制電性が得られないおそれがある。
本発明方法においては、合成繊維基材を導電性重合体により被覆したのち、機能性材料を表面の少なくとも一部に付着せしめる。合成繊維基材を導電性重合体により被覆する方法としては、例えば、導電性重合体分散物を含む液に合成繊維基材を浸漬したのち、搾液し、乾燥して被覆する方法;導電性重合体形成性モノマー溶液中に合成繊維基材を浸漬し、その後、溶液中に酸化剤を添加して被覆する方法;酸化剤溶液中に合成繊維基材を浸漬し、その後、溶液中に導電性重合体形成性モノマーを添加して被覆する方法;導電性重合体形成性モノマーを、合成繊維基材に浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで含浸させたのち、酸化剤溶液を浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで付与して被覆する方法;酸化剤溶液を、合成繊維基材に浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで含浸させたのち、導電性重合体形成性モノマーを、浸漬、スプレー、パディング、コーティング、プリントなどで付与して被覆する方法などを挙げることができる。これらの中で、導電性重合体形成性モノマーを、合成繊維基材に浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで含浸させたのち、酸化剤溶液を浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで付与して被覆する方法、及び、酸化剤溶液を、合成繊維基材に浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで含浸させたのち、導電性重合体形成性モノマーを、浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで付与して被覆する方法は、選択的に合成繊維基材表面においてモノマーを重合して導電性重合体を形成し、効率的に合成繊維基材に制電性を付与することができるので好ましく、導電性重合体形成性モノマーを、合成繊維基材に浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで含浸させたのち、酸化剤溶液を浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどで付与して被覆する方法は、モノマーが効率よく付与されて損失が抑えられ、均一に合成繊維基材を導電性重合体により被覆することができるのでより好ましい。
本発明方法においては、導電性重合体形成性モノマーの溶液又は酸化剤溶液をコーティングする方法として、溶液を泡状にして合成繊維基材に付着させる泡加工コーティング法を好適に用いることができる。泡加工コーティング法によれば、起泡した溶液を必要量のみ合成繊維基材に付与することができ、従って乾燥に要するエネルギー及び時間を大幅に節減することができ、また溶液を全量無駄なく使用することができる。
本発明方法において、溶液をプリント又はコーティングにより合成繊維基材に付与する場合に、溶液を加工に適した粘度に調整することができる。粘度調整に用いる粘度調整剤に特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、プロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ザンタンガム、デンプン糊などを挙げることができる。
本発明方法において、スプレー法としては、例えば、圧搾空気により溶液を霧状にして吹き付けるエアスプレー、液圧霧化方式のエアレススプレー、スプレーガンと被処理材の間に静電界を形成して、溶液の粒子を負に帯電させ、正に帯電した合成繊維基材に効率よく塗着させる静電スプレーなどを挙げることができる。コーティング法としては、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、カーテンコーター、カレンダコーターなどを用いるコーティングを挙げることができる。プリント法としては、例えば、ローラー捺染機、フラットスクリーン捺染機、ロータリースクリーン捺染機などを用いるプリント、インクジェットなどを挙げることができる。
本発明方法においては、導電性をさらに向上させるために、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン類、五酸化リンなどのルイス酸、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、1,5−ナフタレンスルホン酸、サリチル酸、酢酸、安息香酸などのプロトン酸などの酸類や、これらの可溶性塩やポリカルボン酸系ポリマーをドーパントとして添加することができる。
本発明方法において、導電性重合体により被覆された合成繊維基材の表面の少なくとも一部を、機能性材料により被覆する方法に特に制限はなく、例えば、前述した合成繊維基材を導電性重合体により被覆する方法と同じ浸漬、パディング、スプレー、コーティング、プリントなどを挙げることができる。
導電性重合体により被覆された合成繊維基材に被覆される機能性材料の量は、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に対して0.05〜5質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましい。合成繊維基材に被覆される機能性材料の量が、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に対して0.05質量%未満であると、十分な機能性が得られないだけでなく、耐久性が低下するおそれがある。合成繊維基材に被覆される機能性材料の量が、導電性重合体により被覆された合成繊維基材に対して5質量%を超えると、合成繊維基材の風合いが硬くなるおそれがある。
本発明においては、機能性材料が、さらにバインダー樹脂によって被覆されてなることが好ましい。バインダー樹脂を使用する際には、バインダー樹脂の量は、機能性材料100質量部に対して0.5〜60質量部であることが好ましく、3〜40質量部であることがより好ましい。バインダー樹脂の量が機能性材料100質量部に対して0.5質量部未満であると、十分な機能性が得られないだけでなく、耐久性が低下するおそれがある。バインダー樹脂の量が機能性材料100質量部に対して60質量部を超えると、合成繊維の風合いが硬くなるだけでなく、制電性が低下するおそれがある。
本発明においては、合成繊維基材の制電性の耐久性や機能性を向上させるために、メラミン系架橋剤やイソシアネート系架橋剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤などを併用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、合成繊維基材として、いずれも目付200g/m2の精練済みナイロンニット又
はポリエステルニットを使用した。ナイロンニット及びポリエステルニットの表面抵抗値は、いずれも3.0×1013Ω以上であった。
また、耐久制電機能性繊維の制電性、機能性は、以下の方法により評価した。
(1)制電性
(a)表面抵抗値
試料として、導電性重合体を被覆したのみの合成繊維基材と、さらに機能性材料を被覆して得られた耐久制電機能性繊維を用いた。これらの試料を、温度20℃、相対湿度40%の室内に24時間放置したのち、表面抵抗計[東亜電波工業(株)、SUPER MEGOHMMETER SM−5E]を用い、表面抵抗値に応じて印加電圧を100〜1,000Vの範囲で調整して測定した。
(b)摩擦帯電圧
水洗い洗濯なしの試料として、得られた耐久制電機能性繊維を用いた。また、水洗い洗濯した後の試料として、JIS L 0217の103法に従い、耐久制電機能性繊維を水洗い洗濯したものを用いた。これらの試料を用いて、試料を温度20℃、相対湿度40%の室内に24時間放置したのち、JIS L 1094に従い、摩擦帯電圧測定器[(株)大栄科学精機製作所、ロータリースタティックテスター MRS−500D]を用い、摩擦布を綿として測定した。
(2)撥水性
水洗い洗濯なしの試料として、得られた耐久制電撥水性繊維を用いた。また、水洗い洗濯した後の試料として、JIS L 0217の103法に従い、耐久制電撥水性繊維を50回水洗い洗濯したものを用いた。これらの試料を用いて、JIS L 1092 6.2スプレー試験に準じて評価した。撥水性を、以下の5段階の評価基準に基づいて評価した。数値が大きくなるほど、撥水性が良好である。
5:表面に湿潤や水滴の付着がないもの。
4:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すもの。
3:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。
2:表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの。
1:表面全体に湿潤を示すもの。
(3)難燃性
水洗い洗濯なしの試料として、得られた耐久制電難燃性繊維を用いた。また、水洗い洗濯した後の試料として、JIS L 1091の103法に従い、耐久制電難燃性繊維を20回水洗い洗濯したものを用いた。これらの試料を用いて、JIS L 1091 6.1.1A−1に従い、各5回ずつ難燃性を評価し、5回の残炎時間の平均値を求めた。
(4)抗菌性
水洗い洗濯なしの試料として、得られた耐久制電抗菌性繊維を用いた。また、水洗い洗濯した後の試料として、JIS L 0217の103法に従い、耐久制電抗菌性繊維を10回水洗い洗濯したものを用いた。これらの試料を用いて、JIS L 1902の定量試験法に準拠して、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用いて試験した。抗菌性の評価基準は、社団法人繊維評価技術協議会(繊技協)規定の基準に準じ、以下のようにした。すなわち、標準試料の37℃で18時間培養試験後の生菌数の常用対数値から、耐久制電抗菌性繊維の試料の37℃で18時間培養試験後の生菌数の常用対数値を引いた値を静菌活性値とし、静菌活性値が2.2以上の場合には効果があると判定した。
(5)消臭性試験
水洗い洗濯なしの試料として、得られた耐久制電消臭性繊維を用いた。また、水洗い洗濯した後の試料として、JIS L 0217の103法に従い、耐久制電消臭性繊維を水洗い洗濯したものを用いた。これらの試料を用いて、アンモニアに対する消臭性能を評価した。10cm×10cmの試料1枚を5Lテドラー(登録商標)バッグに入れ、バッグ中の空気を脱気したのち、アンモニア100ppm(容量比)を含有する空気3Lを注入し、密封した。20℃で2時間放置したのち、検知管にてアンモニアの残留濃度を測定した。また、空試験として、試料を入れることなく、同様に試験を行って残留濃度を測定した。消臭率(%)を、次式より算出した。
消臭率(%)= {1−(試料の残留濃度)/(空試験の残留濃度)}×100
実施例1
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を、蒸留水89.0質量部に溶解して酸化剤溶液を調製した。
ナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、酸化剤溶液61g/m2をスプレーし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、2.5×104Ωであった。
パーフルオロアルキル基含有樹脂系撥水性重合体[日華化学(株)、NKガード(登録商標)NDN−7E]6.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部及び架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量部を、蒸留水93.2質量部に添加して撥水処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この撥水処理液にて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、6.5×104Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料、洗濯50回後の試料ともに、3Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
実施例2
ナイロンニットの代わりに、ポリエステルニットを使用した以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104Ωであった。
次に、得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同様にして撥水処理し、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、3.5×105Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が2V、洗濯50回後の試料が14Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
実施例3
ピロールの代わりに、アニリンを使用した以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.1×106Ωであった。
次に、得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同様にして撥水処理し、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、3.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が125V、洗濯50回後の試料が168Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
実施例4
ピロールの代わりに、チオフェンを使用した以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.5×105Ωであった。
次に、得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同様にして撥水処理し、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、1.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が105V、洗濯50回後の試料が153Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
実施例5
ペルオキソ二硫酸アンモニウムの代わりに、ペルオキソ二硫酸カリウムを使用した以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、5.8×104Ωであった。
パーフルオロアルキル基含有樹脂系撥水性重合体[日華化学(株)、NKガード(登録商標)NDN−2000]6.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部及び架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量部を、蒸留水93.2質量部に添加して撥水処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この撥水処理液にて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、1.2×105Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が15V、洗濯50回後の試料が18Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
実施例6
シリコーン樹脂系撥水性重合体[日華化学(株)、ドライポン 600E]3.0質量部と架橋触媒[日華化学(株)、ドライポン Z−7]2.0質量部を、蒸留水95.0質量部に添加して撥水処理液を調製した。
実施例1で得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この撥水処理液にて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、7.8×104Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が11V、洗濯50回後の試料が26Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
実施例7
実施例1のナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液を用いて、ピックアップ80質量%でパッド処理した以外は、実施例1と同様にして導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、3.8×104Ωであった。
シリコーン樹脂系撥水性重合体[日華化学(株)、ドライポン 300]3.0質量部と架橋触媒[日華化学(株)、ドライポン Z−7]2.0質量部を、蒸留水95.0質量部に添加して撥水処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この撥水処理液にて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、8.5×104Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が21V、洗濯50回後の試料が45Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
実施例8
ナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、実施例1と同じモノマー溶液120g/m2をスプレーし、次に実施例1と同じ酸化剤溶液61g/m2をスプレーした以外は、実施例1と同様にして導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、5.8×104Ωであった。
パラフィンワックス系撥水性重合体[日華化学(株)、TH−44]4.0質量部を、蒸留水96.0質量部に添加して撥水処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この撥水処理液にて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、9.5×104Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が25V、洗濯50回後の試料が27Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
実施例9
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を蒸留水89.0質量部に溶解し、起泡剤[花王(株)、アンヒトール(登録商標)20N]0.1質量部を添加し、泡加工機[Werner Mathis社、Mathis MINIMIX]を用いて20倍に発泡して酸化剤発泡液を調製した。
ナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、アプリケーターを用いて上記の酸化剤発泡液61g/m2をコーティングし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、4.1×104Ωであった。
アクリレート系樹脂撥水性重合体[日華化学(株)、ネオシード(登録商標)HC−32]2.0質量部とイソシアネート系架橋剤[日華化学(株)、NKアシストIS−80D]0.6質量部を、蒸留水97.4質量部に添加して撥水処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この撥水処理液にて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、1.4×105Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が16V、洗濯50回後の試料が19Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
実施例10
ピロール0.4質量部とp−トルエンスルホン酸1.1質量部を、蒸留水98.5質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液22g/m2をスプレーした以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.7×107Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同様にして撥水処理し、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた導耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、1.2×108Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が345V、洗濯50回後の試料が386Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
実施例11
ピロール0.3質量部とp−トルエンスルホン酸0.8質量部を、蒸留水98.9質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液17g/m2をスプレーした以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.5×108Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同様にして撥水処理し、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた導耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、2.1×108Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が576V、洗濯50回後の試料が624Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
実施例12
1Lのガラス製ビーカーに蒸留水800gを入れ、ピロール0.4gとp−トルエンスルホン酸3.7gを加えて溶解した。この溶液にナイロンニット40gを浸漬し、20℃を保ちながら塩化鉄(III)六水和物3.2gを徐々に加えたのち、4時間静置した。次いでこの布を蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.2×109Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同じ撥水処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、9.6×109Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が826V、洗濯50回後の試料が856Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
比較例1
ピロール0.1質量部とp−トルエンスルホン酸0.3質量部を、蒸留水99.6質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液6g/m2をスプレーした以外は、実施例1と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.7×1010Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例1と同様にして撥水処理し、耐久制電撥水性繊維を得た。得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、2.5×1011Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が1,832V、洗濯50回後の試料が2,045Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が4であった。
比較例2
パーフルオロアルキル基含有樹脂系撥水性重合体[日華化学(株)、NKガード(登録商標)NDN−7E]6.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部、架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量部及び界面活性剤系帯電防止剤[日華化学(株)、ナイスポール(登録商標)FE−18]0.5質量部を、蒸留水92.7質量部に添加して撥水処理液を調製した。
ナイロンニットを、導電性重合体により被覆することなく、この撥水処理液を用いて、ldip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して撥水性繊維を得た。得られた撥水性繊維の表面抵抗値は、2.0×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が3,131V、洗濯50回後の試料が3,588Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が2であった。
比較例3
ナイロンニットの代わりに、ポリエステルニットを使用した以外は、比較例2と同様にして、撥水性繊維を得た。得られた撥水性繊維の表面抵抗値は、7.1×1011Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が1,525V、洗濯50回後の試料が5,088Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
比較例4
撥水処理液として、実施例1と同じ撥水処理液を用いた以外は、比較例2と同様にして、撥水性繊維を得た。得られた撥水性繊維の表面抵抗値は、3.0×1013Ω以上であった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が4,656V、洗濯50回後の試料が5,148Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料が5、洗濯50回後の試料が3であった。
比較例5
実施例1で得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を使用し、撥水処理を行うことなく、摩擦帯電圧と撥水性の評価を行った。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が8V、洗濯50回後の試料が10Vであった。撥水性は、洗濯なしの試料、洗濯50回後の試料ともに、1であった。
実施例1〜12及び比較例1〜5の耐久制電撥水性繊維の構成を第1表に、評価結果を第2表に示す。
Figure 2007291562
Figure 2007291562
第1〜2表に見られるように、実施例1〜12のナイロンニット又はポリエステルニットを合成繊維基材として、0.27〜1.00%o.w.f.のピロール、チオフェン又はアニリンを付着させて重合し、導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104〜9.2×109Ωとなり、十分な制電性を有している。さらに、これらの合成繊維基材を撥水性重合体で被覆して得られた耐久制電撥水性繊維の表面抵抗値は、6.5×104〜9.6×109Ωであり、撥水性重合体で被覆しても制電性は維持されている。撥水性重合体で被覆することにより得られた耐久制電撥水性繊維は、摩擦帯電圧が低く、撥水性が良好であり、洗濯50回後もその性能はほぼ維持されている。
これに対して、ビロールの付着量が0.09%o.w.f.である比較例1の導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は1.7×1010Ωであり、制電性が不足している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、撥水性重合体で被覆する際に界面活性剤系帯電防止剤を併用した比較例2〜3の撥水性繊維は、表面抵抗値が7.1×1011〜2.0×1012Ωであり、制電性が不足している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、撥水性重合体のみで被覆した比較例4の撥水性繊維は、表面抵抗値が3.0×1013Ω以上であって、制電性を全く有しない。合成繊維基材を導電性重合体のみで被覆し、撥水性重合体で被覆しなかった比較例5の制電性繊維は、撥水性試験において表面全体に湿潤を示し、撥水性を有しない。
実施例13
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を、蒸留水89.0質量部に溶解して酸化剤溶液を調製した。
ポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、酸化剤溶液61g/m2をスプレーし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104Ωであった。
リン系難燃性化合物[日華化学(株)、ニッカファイノン(登録商標)HF−77]10.0質量部を、蒸留水90.0質量部に添加して難燃処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、2.0×105Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が25V、洗濯20回後の試料が34Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例14
ポリエステルニットの代わりにナイロンニットニットを使用した以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、2.5×104Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同様にして難燃処理し、耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、3.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が54V、洗濯20回後の試料が86Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例15
ピロールの代わりにアニリンを使用した以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.3×106Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同様にして難燃処理し、耐久制電難燃性繊誰を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、2.4×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が245V、洗濯20回後の試料が265Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例16
ピロールの代わりにチオフェンを使用した以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.5×105Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同様にして難燃処理し、耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、3.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が85V、洗濯20回後の試料が105Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例17
ペルオキソ二硫酸アンモニウムの代わりに、ペルオキソ二硫酸カリウムを使用した以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、4.9×105Ωであった。
リン系難燃性化合物[日華化学(株)、ニッカファイノン(登録商標)HFT−3]10.0質量部を、蒸留水90.0質量部に添加して難燃処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、6.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が75V、洗濯20回後の試料が97Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例18
実施例13のポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液を用いて、ピックアップ80質量%でパッド処理した以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、8.9×104Ωであった。
リン系難燃性化合物[日華化学(株)、ニッカファイノン(登録商標)P−3]10.0質量部とポリエステル系樹脂[日華化学(株)、カセゾール(登録商標)ES−7]4.0質量部を、蒸留水86.0質量部に添加して難燃処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、1.0×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が57V、洗濯20回後の試料が78Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料が0秒、洗濯20回後の試料が5秒であった。
実施例19
実施例13のナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液120g/m2をスプレーし、次に酸化剤溶液61g/m2をスプレーした以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、5.8×105Ωであった。
ハロゲン系難燃性化合物[日華化学(株)、ニッカファイノン(登録商標)CG−1]20.0質重部を、蒸留水80.0質量部に添加して難燃処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、3.0×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が65V、洗濯20回後の試料が74Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例20
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を、蒸留水89.0質重部に溶解し、起泡剤[花王(株)、アンヒトール(登録商標)20N]0.1質量部を添加し、泡加工機[Werner Mathis社、Mathis MINIMIX]を用いて20倍に発泡して酸化剤発泡液を調製した。
ナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、アプリケーターを用いて上記の酸化剤発泡液61g/m2をコーティングし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、2.7×105Ωであった。
ハロゲン系難燃性化合物[日華化学(株)、ネオステッカー(登録商標)FRC−377]10.0質量部を、蒸留水90.0質量部に添加して難燃処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電機能性繊維の表面抵抗値は、2.0×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が45V、洗濯20回後の試料が65Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例21
ピロール0.4質量部とp−トルエンスルホン酸1.1質量部を、蒸留水98.5質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液22g/m2をスプレーした以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.7×107Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同様に難燃処理して、耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、6.8×108Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が425V、洗濯20回後の試料が495Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例22
ピロール0.3質量部とp−トルエンスルホン酸0.8質量部を、蒸留水98.9質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液17g/m2をスプレーした以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.6×108Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同様に難燃処理して、耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、2.1×109Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が624V、洗濯20回後の試料が689Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
実施例23
1Lのガラス製ビーカーに蒸留水800gを入れ、ピロール0.4gとp−トルエンスルホン酸3.7gを加えて溶解した。この溶液にポリエステルニット40gを浸漬し、20℃を保ちながら塩化鉄(III)六水和物3.2gを徐々に加えたのち、4時間静置した。次いで、この布を蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.6×109Ωであった。
次に、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同じ難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、5.4×1010Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が856V、洗濯20回後の試料が875Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
比較例6
ピロール0.1質量部とp−トルエンスルホン酸0.3質量部を、蒸留水99.6質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液6g/m2をスプレーした以外は、実施例13と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.9×1010Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例13と同様にして難燃処理して、耐久制電難燃性繊維を得た。得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、2.5×1011Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が1,952V、洗濯20回後の試料が2,145Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
比較例7
リン系難燃性化合物[日華化学(株)、ニッカファイノン(登録商標)HF−77]10.0質量部と界面活性剤系帯電防止剤[日華化学(株)、ナイスポールFE−18]0.5質量部を、蒸留水89.5質量部に添加して難燃処理液を調製した。
ポリエステルニットを、導電性重合体により被覆することなく、この難燃処理液を用いて、ldip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して難燃性繊維を得た。得られた難燃性繊維の表面抵抗値は、5.4×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が2,545V、洗濯20回後の試料が6,854Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料が0秒、洗濯20回後の試料が11秒であった。
比較例8
ポリエステルニットの代わりにナイロンニットを使用した以外は、比較例7と同様にして難燃性繊維を得た。得られた難燃性繊維の表面抵抗値は、3.8×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が2,265V、洗濯20回後の試料が5,875Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料が0秒、洗濯20回後の試料が18秒であった。
比較例9
難燃処理液として、実施例13と同じ難燃処理液を用いた以外は、比較例7と同様にして、難燃性繊維を得た。得られた難燃性繊維の表面抵抗値は、3.0×1013Ω以上であった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が6,652V、洗濯20回後の試料が6,475Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、0秒であった。
比較例10
実施例13で得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を使用し、難燃処理を行うことなく、摩擦帯電圧と難燃性の評価を行った。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が4V、洗濯20回後の試料が8Vであった。難燃性試験における残炎時間は、洗濯なしの試料、洗濯20回後の試料ともに、50秒であった。
実施例13〜23及び比較例6〜10の耐久制電難燃性繊維の構成を第3表に、評価結果を第4表に示す。
Figure 2007291562
Figure 2007291562
第3〜4表に見られるように、実施例13〜23のポリエステルニット又はナイロンニットを合成繊維基材として、0.27〜1.00%o.w.f.のピロール、チオフェン又はアニリンを付着させて重合し、導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104〜9.6×109Ωとなり、十分な制電性を有している。さらに、これらの合成繊維基材を難燃性化合物で被覆して得られた耐久制電難燃性繊維の表面抵抗値は、2.0×105〜5.4×1010Ωであり、難燃性化合物で被覆しても制電性は維持されている。難燃性化合物で被覆することにより得られた耐久制電難燃性繊維は、摩擦帯電圧が低く、難燃性が良好であり、洗濯20回後もその性能はほぼ維持されている。
これに対して、ビロールの付着量が0.09%o.w.f.である比較例6の導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は1.9×1010Ωであり、制電性が不足している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、難燃性化合物で被覆する際に界面活性剤系帯電防止剤を併用した比較例7〜8の耐久制電難燃性繊維は、表面抵抗値が3.8×1012〜5.4×1012Ωであって制電性が不足し、洗濯20回後の難燃性が低下している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、難燃性化合物のみで被覆した比較例9の難燃性繊維は、表面抵抗値が3.0×1013Ω以上であって、制電性を全く有しない。合成繊維基材を導電性重合体のみで被覆し、難燃性化合物で被覆しなかった比較例10の制電性繊維は、難燃性試験において残炎時間が50秒であり、難燃性を有しない。
実施例24
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を、蒸留水89.0質量部に溶解して酸化剤溶液を調製した。
ポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、酸化剤溶液61g/m2をスプレーし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104Ωであった。
界面活性剤系抗菌性化合物[日華化学(株)、ニッカノン(登録商標)RB−360]2.0質量部を、蒸留水98.0質量部に添加して抗菌処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この難燃処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、3.5×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が23V、洗濯10回後の試料が35Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
実施例25
ポリエステルニットの代わりにナイロンニットニットを使用した以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、2.5×104Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同様にして抗菌処理し、耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、4.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が55V、洗濯10回後の試料が92Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
実施例26
ピロールの代わりにアニリンを使用した以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.3×106Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同様にして抗菌処理し、耐久制電抗菌性繊誰を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、6.5×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が132V、洗濯10回後の試料が199Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
実施例27
ピロールの代わりにチオフェンを使用した以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.5×105Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同様にして抗菌処理し、耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、4.6×106Ωであった
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が78V、洗濯10回後の試料が125Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
実施例28
ペルオキソ二硫酸アンモニウムの代わりに、ペルオキソ二硫酸カリウムを使用した以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、4.9×105Ωであった。
界面活性剤系抗菌性化合物[日華化学(株)、ニッカノン(登録商標)RB]2.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部及び架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量部を、蒸留水97.2質量部に添加して抗菌処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この抗菌処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、1.5×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が201V、洗濯10回後の試料が215Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料が5.5以上であり、洗濯10回後の試料が5.2であった。
実施例29
実施例24のポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液を用いて、ピックアップ80質量%でパッド処理した以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、8.9×104Ωであった。
キノリン・ピリジン系抗菌性化合物[大阪化成(株)、ジンクオマジン]5.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部及び架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量部を、蒸留水94.2質量部に添加して抗菌処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この抗菌処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、3.5×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が254V、洗濯10回後の試料が315Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料が5.5以上であり、洗濯10回後の試料が5.1であった。
実施例30
実施例24のナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液120g/m2をスプレーし、次に酸化剤溶液61g/m2をスプレーした以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、5.8×105Ωであった。
銀担持無機担持体系抗菌性化合物[(株)シナネンゼオミック、ゼオミック(登録商標)]5.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部及び架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量部を、蒸留水94.2質量部に添加して抗菌処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この抗菌処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、7.4×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が287V、洗濯10回後の試料が345Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料が5.5以上であり、洗濯10回後の試料が4.9であった。
実施例31
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を、蒸留水89.0質重部に溶解し、起泡剤[花王(株)、アンヒトール(登録商標)20N]0.1質量部を添加し、泡加工機[Werner Mathis社、Mathis MINIMIX]を用いて20倍に発泡して酸化剤発泡液を調製した。
ナイロンニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、アプリケーターを用いて上記の酸化剤発泡液61g/m2をコーティングし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、2.7×105Ωであった。
2−(4'−チオゾリル)ベンズイミダソール銀錯体担持モンモリロナイト担持体(有機金属系化合物担持無機担体系抗菌性化合物)5.0質量部、メラミン系樹脂[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)レジンM−3]0.5質量部及び架橋触媒[住友化学(株)、スミテックス(登録商標)アクセラレーターACX]0.3質量%を、蒸留水94.2質量部に添加して抗菌処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この抗菌処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、6.4×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が264V、洗濯10回後の試料が325Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料が5.5以上であり、洗濯10回後の試料が5.0であった。
実施例32
ピロール0.4質量部とp−トルエンスルホン酸1.1質量部を、蒸留水98.5質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液22g/m2をスプレーした以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.7×107Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同様に抗菌処理して、耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、1.5×109Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が156V、洗濯10回後の試料が204Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
実施例33
ピロール0.3質量部とp−トルエンスルホン酸0.8質量部を、蒸留水98.9質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液17g/m2をスプレーした以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.6×108Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同様に抗菌処理して、耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、8.9×109Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が345V、洗濯10回後の試料が424Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
実施例34
1Lのガラス製ビーカーに蒸留水800gを入れ、ピロール0.4gとp−トルエンスルホン酸3.7gを加えて溶解した。この溶液にポリエステルニット40gを浸漬し、20℃を保ちながら塩化鉄(III)六水和物3.2gを徐々に加えたのち、4時間静置した。次いで、この布を蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.6×109Ωであった。
次に、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同じ抗菌処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、4.8×1010Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が546V、洗濯10回後の試料が875Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
比較例11
ピロール0.1質量部とp−トルエンスルホン酸0.3質量部を、蒸留水99.6質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液6g/m2をスプレーした以外は、実施例24と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.9×1010Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例24と同様にして抗菌処理して、耐久制電抗菌性繊維を得た。得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、6.8×1011Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が1,758V、洗濯10回後の試料が2,047Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
比較例12
界面活性剤系抗菌性化合物[日華化学(株)、ニッカノン(登録商標)RB−360]2.0質量部と界面活性剤系帯電防止剤[日華化学(株)、ナイスポール(登録商標)FE−18]0.5質重部を、蒸留水97.5質量部に添加して抗菌処理液を調製した。
ポリエステルニットを、導電性重合体により被覆することなく、この抗菌処理液を用いて、ldip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して抗菌性繊維を得た。得られた抗菌性繊維の表面抵抗値は、6.5×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が2,687V、洗濯10回後の試料が6,542Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料が5.5以上、洗濯10回後の試料が4.0であった。
比較例13
ポリエステルニットの代わりにナイロンニットを使用した以外は、比較例12と同様にして抗菌性繊維を得た。得られた抗菌性繊維の表面抵抗値は、7.5×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が2,483V、洗濯10回後の試料が6,148Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料が5.5以上、洗濯10回後の試料が4.5であった。
比較例14
抗菌処理液として、実施例24と同じ抗菌処理液を用いた以外は、比較例12と同様にして、抗菌性繊維を得た。得られた抗菌性繊維の表面抵抗値は、3.0×1013Ω以上であった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が5,478V、洗濯10回後の試料が5,986Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、5.5以上であった。
比較例15
実施例24で得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を使用し、抗菌処理を行うことなく、摩擦帯電圧と抗菌性の評価を行った。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が4V、洗濯10回後の試料が8Vであった。抗菌性試験において、静菌活性値は、洗濯なしの試料、洗濯10回後の試料ともに、1.0以下であった。
実施例24〜34及び比較例11〜15の耐久制電抗菌性繊維の構成を第5表に、評価結果を第6表に示す。
Figure 2007291562
Figure 2007291562
第5〜6表に見られるように、実施例24〜34のポリエステルニット又はナイロンニットを合成繊維基材として、0.27〜1.00%o.w.f.のピロール、チオフェン又はアニリンを付着させて重合し、導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104〜9.6×109Ωとなり、十分な制電性を有している。さらに、これらの合成繊維基材を抗菌性化合物で被覆して得られた耐久制電抗菌性繊維の表面抵抗値は、4.5×106〜4.8×1010Ωであり、抗菌性化合物で被覆しても制電性は維持されている。抗菌性化合物で被覆することにより得られた耐久制電抗菌性繊維は、摩擦帯電圧が低く、抗菌性が良好であり、洗濯10回後もその性能はほぼ維持されている。
これに対して、ビロールの付着量が0.09%o.w.f.である比較例11の導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は1.9×1010Ωであり、制電性が不足している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、抗菌性化合物で被覆する際に界面活性剤系帯電防止剤を併用した比較例12〜13の耐久制電抗菌性繊維は、表面抵抗値が6.5×1012〜7.5×1012Ωであって制電性が不足し、洗濯10回後の抗菌性が低下している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、抗菌性化合物のみで被覆した比較例14の抗菌性繊維は、表面抵抗値が3.0×1013Ω以上であって、制電性を全く有しない。合成繊維基材を導電性重合体のみで被覆し、抗菌性化合物で被覆しなかった比較例15の制電性繊維は、抗菌性試験において静菌活性値が1以下であり、抗菌性を有しない。
実施例35
ピロール1.1質量部とp−トルエンスルホン酸3.1質量部を、蒸留水95.8質量部に溶解してモノマー溶液を調製した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム11.0質量部を、蒸留水89.0質量部に溶解して酸化剤溶液を調製した。
ポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液した。この布に、酸化剤溶液61g/m2をスプレーし、1分間放置したのち、蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104Ωであった。
無機吸着系消臭性化合物[日華化学(株)、キラクル(登録商標)DAB−1]10.0質量部とシリコーン樹脂[信越化学工業(株)、ポロン(登録商標)NF−45]4.0質量部を、蒸留水86.0質量部に添加して消臭処理液を調製した。上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この消臭処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、4.2×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が33V、洗濯10回後の試料が35Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が98%、洗濯10回後の試料が96%であった。
実施例36
ポリエステルニットの代わりにナイロンニットニットを使用した以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、2.5×104Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同様にして消臭処理し、耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、3.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が25V、洗濯10回後の試料が32Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が92%、洗濯10回後の試料が89%であった。
実施例37
ピロールの代わりにアニリンを使用した以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.3×106Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同様にして消臭処理し、耐久制電消臭性繊誰を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、5.4×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が42V、洗濯10回後の試料が49Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が89%、洗濯10回後の試料が84%であった。
実施例38
ピロールの代わりにチオフェンを使用した以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.5×105Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同様にして消臭処理し、耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、3.5×106Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が31V、洗濯10回後の試料が36Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が90%、洗濯10回後の試料が88%であった。
実施例39
ペルオキソ二硫酸アンモニウムの代わりに、ペルオキソ二硫酸カリウムを使用した以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、4.9×105Ωであった。
無機吸着系消臭性化合物[東ソー(株)、ゼオラム(登録商標)A−3]10.0質量部とウレタン樹脂[日華化学(株)、エバファノール(登録商標)APC−55]3.0質量部を、蒸留水87.0質量部に添加して消臭処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この消臭処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、4.7×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が168V、洗濯10回後の試料が195Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が85%、洗濯10回後の試料が81%であった。
実施例40
実施例35のポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液を用いて、ピックアップ80質量%でパッド処理した以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、8.9×104Ωであった。
コバルトフタロシアニン錯体(金属錯体系消臭性化合物)10.0質量部とアクリルエステル樹脂[日華化学(株)、カセゾール(登録商標)ARS−2]3.0質量部を、蒸留水87.0質量部に添加して抗菌処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この消臭処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、2.8×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が154V、洗濯10回後の試料が187Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が79%、洗濯10回後の試料が75%であった。
実施例41
実施例35のポリエステルニットをモノマー溶液に浸漬し、ピックアップ90質量%に設定したマングルで搾液する代わりに、同じモノマー溶液120g/m2をスプレーし、次に酸化剤溶液61g/m2をスプレーした以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、5.8×105Ωであった。
コバルトフタロシアニンゼオライト担持体(金属錯体担持無機担持体系消臭性化合物)10.0質量部とアクリルエステル樹脂[日華化学(株)、カセゾール(登録商標)ARS−2]3.0質量部を、蒸留水87.0質量部に添加して消臭処理液を調製した。
上記の導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、この消臭処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、6.5×107Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が201V、洗濯10回後の試料が256Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が80%、洗濯10回後の試料が76%であった。
実施例42
ピロール0.4質量部とp−トルエンスルホン酸1.1質量部を、蒸留水98.5質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液22g/m2をスプレーした以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.7×107Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同様に消臭処理して、耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、2.7×109Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が198V、洗濯10回後の試料が245Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が75%、洗濯10回後の試料が71%であった。
実施例43
ピロール0.3質量部とp−トルエンスルホン酸0.8質量部を、蒸留水98.9質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液17g/m2をスプレーした以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.6×108Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同様に消臭処理して、耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、9.5×l09Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が205V、洗濯10回後の試料が357Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が99%、洗濯10回後の試料が97%であった。
実施例44
1Lのガラス製ビーカーに蒸留水800gを入れ、ピロール0.4gとp−トルエンスルホン酸3.7gを加えて溶解した。この溶液にポリエステルニット40gを浸漬し、20℃を保ちながら塩化鉄(III)六水和物3.2gを徐々に加えたのち、4時間静置した。次いで、この布を蒸留水で洗浄し、120℃で2分間乾燥して導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、9.6×109Ωであった。
次に、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同じ消臭処理液を用いて、1dip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、4.8×1010Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が258V、洗濯10回後の試料が315Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が99%、洗濯10回後の試料が97%であった。
比較例16
ピロール0.1質量部とp−トルエンスルホン酸0.3質量部を、蒸留水99.6質量部に溶解したモノマー溶液を用い、酸化剤溶液6g/m2をスプレーした以外は、実施例35と同様にして、導電性重合体を被覆した合成繊維基材を得た。得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.9×1010Ωであった。
得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を、実施例35と同様にして消臭処理して、耐久制電消臭性繊維を得た。得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、8.5×1011Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が548V、洗濯10回後の試料が658Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が98%、洗濯10回後の試料が96%であった。
比較例17
無機吸着系消臭性化合物[日華化学(株)、キラクル(登録商標)DAB−1]10.0質量部、シリコーン樹脂[信越化学工業(株)、ポロン(登録商標)NF−45]4.0質量部及び界面活性剤系帯電防止剤[日華化学(株)、ナイスポール(登録商標)FE−18]0.5質量部]0.5質重部を、蒸留水85.5質量部に添加して消臭処理液を調製した。
ポリエステルニットを、導電性重合体により被覆することなく、この消臭処理液を用いて、ldip−1nip、ピックアップ80質量%でパッド処理し、120℃で1分間乾燥し、さらに180℃で1分間熱処理して消臭性繊維を得た。得られた消臭性繊維の表面抵抗値は、4.5×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が2,876V、洗濯10回後の試料が5,642Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が89%、洗濯10回後の試料が82%であった。
比較例18
ポリエステルニットの代わりにナイロンニットを使用した以外は、比較例17と同様にして消臭性繊維を得た。得られた消臭性繊維の表面抵抗値は、2.8×1012Ωであった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が3,542V、洗濯10回後の試料が6,840Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が84%、洗濯10回後の試料が80%であった。
比較例19
消臭処理液として、実施例35と同じ消臭処理液を用いた以外は、比較例12と同様にして、消臭性繊維を得た。得られた消臭性繊維の表面抵抗値は、3.0×1013Ω以上であった。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が5,789V、洗濯10回後の試料が5,875Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が99%、洗濯10回後の試料が97%であった。
比較例20
実施例35で得られた導電性重合体を被覆した合成繊維基材を使用し、消臭処理を行うことなく、摩擦帯電圧と撥水性の評価を行った。
摩擦帯電圧は、洗濯なしの試料が4V、洗濯10回後の試料が8Vであった。消臭性試験において、消臭率は、洗濯なしの試料が32%、洗濯10回後の試料が29%であった。
実施例35〜44及び比較例16〜20の耐久制電消臭性繊維の構成を第7表に、評価結果を第8表に示す。
Figure 2007291562
Figure 2007291562
第7〜8表に見られるように、実施例35〜44のポリエステルニット又はナイロンニットを合成繊維基材として、0.27〜1.00%o.w.f.のピロール、チオフェン又はアニリンを付着させて重合し、導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は、1.4×104〜9.6×109Ωとなり、十分な制電性を有している。さらに、これらの合成繊維基材を消臭性化合物で被覆して得られた耐久制電消臭性繊維の表面抵抗値は、3.5×106〜4.8×1010Ωであり、消臭性化合物で被覆しても制電性は維持されている。消臭性化合物で被覆することにより得られた耐久制電消臭性繊維は、摩擦帯電圧が低く、消臭性が良好であり、洗濯10回後もその性能はほぼ維持されている。
これに対して、ビロールの付着量が0.09%o.w.f.である比較例16の導電性重合体により被覆した合成繊維基材の表面抵抗値は1.9×1010Ωであり、制電性が不足している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、消臭性化合物で被覆する際に界面活性剤系帯電防止剤を併用した比較例17〜18の耐久制電消臭性繊維は、表面抵抗値が2.8×1012〜4.5×1012Ωであって制電性が不足している。合成繊維基材を導電性重合体で被覆せず、消臭性化合物のみで被覆した比較例19の抗菌性繊維は、表面抵抗値が3.0×1013Ω以上であって、制電性を全く有しない。合成繊維基材を導電性重合体のみで被覆し、消臭性化合物で被覆しなかった比較例20の制電性繊維は、消臭性試験において消臭率が約30%であり、消臭性能が弱い。
本発明の耐久制電機能性繊維は、制電性と、撥水性、難燃性、抗菌性、消臭性などのその他の機能を高度に併せ持っており、その性能は、洗濯などにより失われず、優れた耐久性を有している。本発明の耐久制電機能性繊維の製造方法によれば、特殊な設備を必要とせず、従来より繊維加工の分野で汎用的に使用されている設備を用いて、優れた性能を有する耐久制電機能性繊維を経済的に製造することができる。

Claims (5)

  1. 導電性重合体により被覆された表面抵抗値が1×1010Ω以下である合成繊維基材の導電性重合体被覆面の少なくとも一部が、機能性材料により被覆されてなることを特徴とする耐久制電機能性繊維。
  2. 導電性重合体が、ピロール、チオフェン、アニリン及びそれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の導電性重合体形成性モノマーの重合体である請求項1記載の耐久制電機能性繊維。
  3. 機能性材料が、撥水性重合体、難燃性化合物、抗菌性化合物及び消臭性化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む材料である請求項1記載の耐久制電機能性繊維。
  4. 機能性材料が、さらにバインダー樹脂によって被覆されてなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐久制電機能性繊維。
  5. 合成繊維基材に導電性重合体形成性モノマー0.2〜5.0%o.w.f.を付着せしめ、酸化剤を用いて該モノマーを重合させることにより合成繊維基材を導電性重合体により被覆したのち、機能性材料を表面の少なくとも一部に付着せしめることを特徴とする耐久制電機能性繊維の製造方法。
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