JP2014198913A - 撥水性布帛及びその製造方法 - Google Patents

撥水性布帛及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014198913A
JP2014198913A JP2013073717A JP2013073717A JP2014198913A JP 2014198913 A JP2014198913 A JP 2014198913A JP 2013073717 A JP2013073717 A JP 2013073717A JP 2013073717 A JP2013073717 A JP 2013073717A JP 2014198913 A JP2014198913 A JP 2014198913A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
repellent
water
fabric
solvent
solid content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013073717A
Other languages
English (en)
Inventor
博和 中原
hirokazu Nakahara
博和 中原
雅弘 水間
Masahiro Mizuma
雅弘 水間
靖広 堀川
Yasuhiro Horikawa
靖広 堀川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiren Co Ltd
Ichimura Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Seiren Co Ltd
Ichimura Sangyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiren Co Ltd, Ichimura Sangyo Co Ltd filed Critical Seiren Co Ltd
Priority to JP2013073717A priority Critical patent/JP2014198913A/ja
Publication of JP2014198913A publication Critical patent/JP2014198913A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

【課題】環境に悪影響を与えることなく、耐久性に優れている撥水性布帛を提供する。【解決手段】炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施した布帛の表面に溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を適量塗布する。【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性に優れた撥水性布帛及びその製造方法に関するものである。
近年、スポーツ衣料分野、アウトドア衣料分野を中心に撥水性に対する要求が高まっており、これに伴い、洗濯に対する撥水耐久性の向上が強く望まれている。現在の布帛の撥水加工は、フッ素系撥水剤あるいはシリコーン系撥水剤などで布帛を処理することによって行われている。
フッ素系撥水剤としては、従来、高い撥水性が得られるという理由で、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤(以下、C8フッ素系撥水剤ともいう)が多用されてきた。
しかし、C8フッ素系撥水剤は、環境や生体中で分解して生成する可能性のあるパーフルオロオクタン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等の化合物を含んでいるので、最近、米国環境保護庁は、これらの化合物が体内蓄積性や環境負荷が高い点などの懸念を表明し、科学的調査を強化すると発表している。そのため、これらの化合物を含有しないフッ素系撥水剤の使用が要望されており、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤(以下、C6フッ素系撥水剤ともいう)への切り替えが急速に進められている。
しかし、従来のC8フッ素系撥水剤は、洗濯100回後の撥水性が3級を維持できたが、C6フッ素系撥水剤を使用した場合、洗濯20回を超えると撥水性は3級を下回り、洗濯による十分な撥水耐久性を備えているとはいえない。
また、シリコーン系撥水剤は、初期の撥水のレベルが低く、また、洗濯に対してもその耐久性が大きく低下するなど、近年の高撥水要求に対応できないのが現状である。
例えば、特許文献1には、繊維性基布を先ず撥水剤で処理し、次いでその両表面をコロナ放電処理した後、この両表面上に重合体被膜を形成させることを特徴とする防水シートの製造方法が記載されている。また、撥水剤としてフッ素化合物が例示され、重合体としてシリコーン系樹脂が例示されている。
また、特許文献2には、インターロック組織の編地を編成し、精練・染色後の編物にフッ素系撥水剤又はシリコーン系撥水剤の単独又は併用による撥水加工を行い、しかる後この編物にカレンダー加工を行うことを特徴とする通気性防水編物の製造方法が記載されている。
また、特許文献3には、繊維性基布を先ず撥水剤で処理し、次いでその両表面を低温プラズマ処理した後、この両表面上に重合体被膜を形成させることを特徴とする防水シートの製造方法が記載されている。また、撥水剤としてフッ素化合物が例示され、重合体としてシリコーン系樹脂が例示されている。
また、特許文献4には、繊維構造物をフッ素系およびシリコーン系の撥水加工剤の少なくとも1種で処理した後、乾燥することなくオゾン雰囲気で処理し、次いで乾燥することを特徴とする撥水性、深色性繊維構造物の製造法が記載されている。
また、特許文献5には、繊維質基材にフッ素系撥水剤を主成分とする疎水化前処理剤を付着させ、その基材に、親水性シリコーンを添加した弾性高分子物質の溶液もしくはエマルジョンをコーティングし、その基材を弾性高分子物質の貧溶媒に浸漬するか、または乾燥時に良溶媒を先に飛散させ、貧溶媒を残留させて凝固せしめることからなる複合材料の製造方法が記載されている。また、フッ素系撥水剤とシリコーン系撥水剤を併用できることが記載されている。
特開昭61−124687号公報 特開昭59−106576号公報 特開昭61−89374号公報 特開平5−287672号公報 特開平7−300777号公報
上記文献が出願された当時は、フッ素系撥水剤としてはC8フッ素系撥水剤が使用されており、C8フッ素系撥水剤であれば、単独あるいはシリコーン系撥水剤との併用で、洗濯処理での撥水耐久性を向上させることができる。一方、C6フッ素系撥水剤の場合、C6フッ素系撥水剤だけでは、洗濯による撥水耐久性が劣るため、本発明者は、C6フッ素系撥水剤以外の撥水剤を併用することを検討したが、撥水耐久性は向上しなかった。特許文献1〜5には、フッ素系撥水剤とシリコーン系撥水剤を併用する撥水処理方法が記載されているが、単にC6フッ素系撥水剤とシリコーン系撥水剤を併用するだけでは、撥水性能を向上させることは困難である。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、環境に悪影響を与えることなく、撥水耐久性に優れている撥水性布帛及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の撥水性布帛及びその製造方法は以下の構成からなる。
[1]炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施した布帛の表面に溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を塗布してなる布帛であって、フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比が0.3〜8.0であることを特徴とする撥水性布帛。
[2]グラビアロールコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が0.3〜2.0g/mであり、ナイフコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液の付与固形分重量が1.0〜7.0g/mであることを特徴とする[1]記載の撥水性布帛。
[3]溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂が、樹脂の化学構造の主骨格にシロキサン結合を有するジメチルポリシロキサン系樹脂やメチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂等の単独または混合物を主成分とした樹脂であることを特徴とする[1]または[2]記載の撥水性布帛。
[4]布帛が15〜440デシテックスのポリアミド繊維及び/またはポリエステル繊維を主体とした織物であることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の撥水性布帛。
[5]炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施した布帛の表面に溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を塗布する撥水性布帛の製造方法であって、フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比が0.3〜8.0であることを特徴とする撥水性布帛の製造方法。
[6]グラビアロールコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が0.3〜2.0g/mであり、ナイフコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が1.0〜7.0g/mであることを特徴とする[5]記載の撥水性布帛の製造方法。
[7]溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂が、樹脂の化学構造の主骨格にシロキサン結合を有するジメチルポリシロキサン系樹脂やメチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂等の単独または混合物を主成分とした樹脂であることを特徴とする[5]または[6]記載の撥水性布帛の製造方法。
[8]布帛が15〜440デシテックスのポリアミド繊維及び/またはポリエステル繊維を主体とした織物であることを特徴とする[5]ないし[7]のいずれかに記載の撥水性布帛の製造方法。
本発明に係る撥水性布帛は、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤(C6フッ素系撥水剤)を用いて撥水加工が施されている。これにより、パーフルオロオクタン酸やパーフルオロオクタンスルホン酸等が含まれているC8フッ素系撥水剤を使用しないことから、環境に影響を与えることが少ない。また布帛の表面に塗布される溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂として、樹脂の化学構造の主骨格にシロキサン結合を有するジメチルポリシロキサン系樹脂やメチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂等の単独または混合物を主成分とした樹脂を用いて、フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比が0.3〜8.0であることにより、衣料用途で必要とされる十分な撥水耐久性を確保するとともに、柔らかい風合いを備えることができる。さらに溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を塗布する前に布帛の塗布面を目潰しすることで、樹脂の浸透を抑え、塗布量を少なくすることができ、溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液の裏漏れなどが抑えられ、製膜性に優れた撥水性のあるコーティング樹脂皮膜が形成される。これにより、繰り返し洗濯による撥水性低下の少ない、撥水耐久性に優れた撥水性布帛となる。
以下に本発明の実施形態について説明する。当然のことながら、本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用することもできる。
(1)布帛
本実施形態に用いられる布帛の形態としては、例えば、織物、編物、不織布などを挙げることができるが、コーティング適性から考えて伸縮性の少ない織物が好ましい。また、繊維素材としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、ポリアクリル等の合成繊維などを挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも、撥水耐久性の点で合成繊維が好ましく、特にポリアミド繊維やポリエステル繊維からなる布帛が好ましい。さらに、ポリエステル繊維においては分散染料の移行昇華を防ぐため、カチオン可染ポリエステル繊維であることが好ましい。
布帛を構成する糸の総繊度は、15〜440デシテックス(表1中はTと表示)であることが好ましい。本実施形態で用いられる糸の総繊度が15デシテックス未満であると布帛の強度が得られないおそれがあるほか、溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂をコーティングした際に、樹脂が布帛の反コーティング面に漏れ出しやすく、風合いが極端に硬くなるおそれがあり、また糸の総繊度が440デシテックスを超えると、風合いが硬くなるだけでなく、例えば、布帛が織物の場合に布帛表面の凹凸がより大きくなるために、例え塗布面を目潰ししても溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の製膜性が損なわれ、繰り返し洗濯での撥水耐久性が得られないおそれがある。
布帛には、必要に応じて、染色をはじめ、帯電防止加工、難燃加工、カレンダー加工(片面、両面)などが施されていてもよい。
(2)C6フッ素系撥水剤
本実施形態においては、溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液の塗布前に撥水加工を行う。この撥水加工は、最終製品の撥水性や防水性を向上させることができるだけでなく、前記樹脂溶液が布帛内部に深く浸透するのを抑制し、風合いが硬くなるのを防止する効果がある。
本実施形態で用いられるフッ素系撥水剤は、最終製品として高い撥水性を付与することができるという点と環境や生体に対して影響が少ないという点から、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤(C6フッ素系撥水剤)を用いて撥水加工を行う。
C6フッ素系撥水剤は、使用する撥水剤の総量に対して50〜100重量%含まれるものが好ましく、その他の撥水剤として水系のパラフィン系撥水剤や水系のシリコーン系撥水剤などが50重量%未満の範囲で含まれていてもよい。またC6フッ素系撥水剤そのものの撥水剤中の固形分としては、20〜35重量%が好ましい。
本発明に用いられるC6フッ素系撥水剤は、下記に示すような撥水耐久性や撥油性の要求性能を満たすものであれば、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。C6フッ素系撥水剤としては、フルオロアルキル基を有するアクリレート及び/またはメタクリレートとこれらと共重合可能な他の単量体(アクリル酸またはメタクリル酸エステル類やアクリルアミドまたはマタアクリルアミド、マレイン酸アルキルエステル、フタル酸アルキルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、スチレン等を挙げることができる)と乳化重合して得られる共重合体であるが、フルオロアルキル基を有する樹脂骨格とこれに共重合させる他の単量体の組み合わせによって、さまざまな種類の撥水剤を用いることができ、これらを組み合わせて用いることができる。
好ましい撥水剤の性能としては、78デシテックス68フィラメントのナイロン6糸を用いてなるタテ密度124本/2.54cm、ヨコ密度90本/2.54cmの平織物(タフタ、通常染色品)に対して撥水処理を施した場合において、洗濯による撥水耐久性が洗濯20回処理にて3級以上(JIS L1092)で、初期の撥油性(AATCC、118法)として4級以上であることが好ましい。
(3)溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液
本実施形態に用いる有機溶剤に希釈して用いる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液として、使用される樹脂の化学構造は、主骨格にシロキサン結合を有するジメチルポリシロキサン系樹脂やメチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂等の単独または混合物を主成分とする撥水性を持った樹脂が使用される。それぞれの樹脂構造の分子末端としては、トリメチルシリル基で封鎖されたものは撥水性が高くなるため好ましい。
またコーティングに当たっては、上記樹脂の架橋触媒として、2エチルヘキシル酸等のPb、Zn、Sn等の金属塩、またはオルトチタン酸テトラブチルなどの有機チタン化合物を併用することで、短時間の熱処理で架橋を進めることが出来るため好ましい。さらに該樹脂溶液の溶媒としては、一般的な有機溶剤であるトルエンやメチルエチルケトン(MEK)等、前記シリコーン系樹脂を溶解する溶剤であれば使用することができる。
ところで撥水性シリコーン系樹脂溶液として溶剤型でなければならない理由は、先にC6フッ素系撥水剤にて撥水加工を行った後でコーティングするため、水系樹脂では、樹脂溶液が弾かれてしまい、安定した連続被膜が得られないおそれがあることと、水系のシリコーン樹脂には必ず乳化剤等が使用されており、この乳化剤が撥水耐久性を損なうおそれがあるためである。
また、コーティング方法としてはフローティングナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、リバースロールコーター、ロールドクターコーター、グラビアロールコーターやキスロールコーター等などの公知の塗布方式を用いることができる。コーティング加工時の該樹脂溶液の常温時(22℃〜25℃)における粘度は、コーティング方法によって多少異なるが、ナイフコーターでのダイレクトコートの場合は、5000〜20000mPa・sの範囲内であることが好ましく、8000〜13000mPa・sの範囲内であることがより好ましい。粘度が5000mPa・s未満であると、該樹脂溶液が布帛内部に深く浸透して風合いが硬くなったり、該樹脂溶液が布帛の裏面にまで漏れ出したりするおそれがある。また粘度が20000mPa・sを超えると、コーティング加工時に筋状の欠点が発生したり、塗布量のコントロールが困難となるおそれがあり、風合いが硬くなったり、撥水耐久性能が得られない可能性がある。一方、グラビアコーティングの場合は、4000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以下であることがより好ましい。グラビアコーターで粘度が4000mPa・sを越えると、グラビアコーターでのドクターの切れが悪くなって、塗布量のコントロールが困難となるおそれがある。
本実施形態に使用される溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液に風合いを調整するために、アクリル樹脂やウレタン樹脂の中から少なくとも1種類以上を選択して混合使用することができる。特にアクリル樹脂やウレタン樹脂は、必要な皮膜強度をもった樹脂を合成できることから、好ましく用いることができる。
また該樹脂溶液中に、物性に影響を及ぼさない範囲内で、着色用の顔料、透湿性の向上や表面のタッチを改善する目的で無機/有機微粒子を添加したり、皮膜強度を向上させる架橋剤や抗菌剤等を添加することができる。
(4)C6フッ素系撥水剤による撥水加工方法
本実施形態に用いられる布帛は、予め常法により精練染色加工を行った後、溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液をコーティングする前に、C6フッ素系撥水剤を用いて通常の撥水加工を行うが、撥水加工の手段としては、パディング法、コーティング法、グラビアコーティング法、スプレー法などの手段が適用できる。
撥水加工時の撥水剤の使用濃度としては、3〜12重量%の撥水剤水溶液であることが好ましく、3重量%未満であると洗濯での撥水耐久性が劣る可能性があり、また、12重量%を超えると布帛の風合いが硬くなる傾向があり、好ましくない。また布帛目付に対するフッ素系撥水剤の付与固形分重量の比は、0.005〜0.015の範囲になるように撥水加工を行うことが好ましい。0.005未満であると洗濯での撥水耐久性が劣る可能性があり、また、0.015を超えると布帛の風合いが硬くなる傾向があり、好ましくない。
また、C6フッ素系撥水剤だけでは、撥水性の洗濯耐久性が得られないおそれがあるため、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤及びオキサゾリン系架橋剤の1種または複数使用し、またそれぞれの架橋剤に適した架橋触媒等を併用した処方にて撥水加工を行うことが好ましい。さらに必要に応じて、帯電防止剤や可縫性向上剤等を併用してもかまわない。
さらに、コーティング布帛の引裂強力や風合い、すべり感なども併せて向上させたいときは、撥水剤としてフッ素系撥水剤エマルジョンにポリエチレンエマルジョンを混合した水分散液を使用することが好ましい。また、これらの使用に併せ、例えば、水系の滑剤などを用いることにより風合い、すべり感などをさらに向上させることができる。
そして、撥水加工を行う前や行った後に必要に応じてカレンダー処理を行うことができる。一方のロールを金属ロールとし、他方のロールをプラスチックロールとし、金属ロールを適切な温度に加熱してカレンダー処理を行うことで、布帛表面の凹凸の程度を緩和して平滑化を図ることが出来るため、後処理でコーティングするシリコーン系樹脂溶液の塗布量を軽減させることができると同時に、コーティングするシリコーン系樹脂の布帛への浸透を押さえることが可能となり、撥水性布帛の風合いが硬くなったり、目付が重くなるのを防ぐことができる。
(5)コーティング加工方法
本実施形態における布帛の表面に溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液をコーティングする方法としては、例えば、フローティングナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、グラビアロールコーター等の公知のコーティング加工方法によってコーティングすることができる。コーティング加工後の乾燥は、通常の熱風乾燥機にて100〜120℃の温度で、1〜5分間乾燥することが好ましい。
ナイフコーターの場合には、ナイフの刃先の形状や塗布する樹脂溶液の粘度等の違いによって、塗布量を変化させることが出来る。またグラビアコーターの場合には、グラビアロールの彫刻の形状や塗布する樹脂溶液の固形分重量の違いによって、塗布量を変化させることが出来る。グラビアコーターの場合には、塗布する樹脂溶液の固形分重量は、ナイフコーターの樹脂溶液よりも粘度を低くしなければ塗布できないために、一般的に固形分重量は低くなり、塗布量としてもナイフコーターよりも少なめとなる。
本実施形態における溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量は、使用する布帛の織り組織や使用する糸の総繊度によって多少変化するが、フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比が0.3〜8.0であることが好ましい。この数値が0.3未満であると、必要とする撥水耐久性能が得られない可能性が高く、一方、上記数値が8.0を超えると風合いが硬くなったり、裏面に透湿防水層を積層して透湿防水布として利用する場合、透湿度が低下する等の問題があり好ましくない。また、この場合、グラビアロールコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が0.3〜2.0g/mであり、ナイフコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が1.0〜7.0g/mであることが好ましい。
フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比は、使用する布帛の織り組織が、一般的な平織(タフタ)の場合にはこの数値は少なくなる傾向があり、オックスやドビー等の凹凸の強い組織の場合には、この数値が増える傾向がある。また糸の総繊度に対しては、総繊度が異なってもコーティング方法によって、実質的なシリコーン系樹脂の最低付与固形分重量が大きく変化しないことから、一般的に総繊度が小さくなればなるほど布帛の目付が小さくなって、フッ素系撥水剤の付与固形分重量が少なくなる傾向があるため、この数値は大きくなる傾向があり、逆に総繊度が大きくなればなるほど、布帛の目付が大きくなって、フッ素系撥水剤の付与固形分重量が大きくなる傾向があるため、この数値は小さくなる傾向がある。これを具体的に説明すると、例えば通常のナイフコーティングにて加工を行った場合のシリコーン系樹脂の最低付与固形分重量は、おおよそ1〜2g/mであり、例えば、総繊度が33デシテックスの織物の場合、布帛の目付は50g/m前後であり、これにフッ素系撥水剤の濃度が2重量%のフッ素系撥水剤溶液をパディング法にて塗布した際の絞り率が50%の場合は、フッ素系撥水剤の付与固形分重量は0.5g/mとなる。この場合のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比は2.0〜4.0の範囲となる。一方、総繊度が233デシテックスの織物の場合、布帛の目付は140g/m前後となり、これにフッ素系撥水剤の濃度が2重量%のフッ素系撥水剤溶液をパディング法にて塗布した際の絞り率が50%の場合は、フッ素系撥水剤の付与固形分重量は1.4g/mとなる。この場合のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比は0.71〜1.43の範囲となる。
(6)洗濯による撥水耐久性に優れた撥水性布帛
本実施形態の撥水性布帛の初期撥水性能(JIS L1092)は、JIS L0217 103法による初期3級以上、洗濯100回後の撥水性能が3級以上の耐久性能があり、特にアウトドアやスポーツ用途で使用できる性能を有している。また撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が少なく、布帛そのものの透湿性を阻害していないために、該布帛の裏面に透湿防水層を積層することで、透湿防水布としても使用可能である。
透湿防水層を形成する方法としては、一般的な乾式コーティング法や湿式用ウレタン樹脂の湿式コーティング法並びに透湿性のあるフィルム(透湿性ウレタン樹脂フィルムやPTFEフィルム等)をラミネートするフィルムラミネート法等の加工方法にて透湿防水布として利用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な変形や修正が可能である。
以下に説明するように、本発明の実施例1〜5に係る撥水性布帛を製造し、性能評価を行った。また、比較のために比較例1〜5の撥水性布帛を製造し、性能評価を行った。実施例及び比較例における各種物性値の測定や、布帛の性能の評価は、下記の方法で行った。
(1)樹脂溶液の粘度
樹脂溶液の粘度は、東機産業(株)製のB型粘度計(型番:BM)にて、ローターNo.4(ガード無し)を用いて、23℃における回転数30rpmの粘度を測定した。
(2)撥水度
JIS L1092 スプレー法に準じて測定した。尚、試験片の湿潤状態の判定基準は以下の通りである。また、洗濯による撥水耐久性を評価するための洗濯処理は、JIS L−0217、103法に準じて、5回連続洗濯処理分を1セットとし、乾燥せずに連続してこれを20セット行って、合計100回分の洗濯処理を行いその後、風乾後の撥水性を評価した。その評価基準は以下のとおりである。
等級 湿潤状態
5 表面に湿潤及び水滴の付着がないもの
4 表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すもの
3 表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの
2 表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの
1 表面全体に湿潤を示すもの
(3)風合い
風合いについては、染色加工後であって撥水加工前の布帛を基準として、その布帛に対してハンドリングによる官能検査で風合いを評価した。
◎:非常に柔らかい。
○:柔らかい。
△:若干硬い。
×:硬い。
[実施例1]
経糸に56デシテックス48フィラメントのポリエステルマルチフィラメント、緯糸に56デシテックス48フィラメントのポリエステルマルチフィラメントを用いた、経糸密度153本/2.54cm、緯糸密度102本/2.54cmの平織物(織り組織:タフタ)を通常の方法で精練、染色(ネビー)、乾燥し、150℃にて60秒間熱セットを行って布帛を製造した(仕上がり密度:経糸密度164本/2.54cm、緯糸密度110本/2.54cm、生地目付け65g/m)。
次いで、上記のように作製した織物を、下記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:44重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は0.518g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
<処方1>
1)NUVA 2114LIQ 3重量部
(C6フッ素系撥水剤:固形分31.0%、クラリアントジャパン株式会社製)
2)ARKOPHOB NANO 2605LIQ 3重量部
(C6フッ素系撥水剤:固形分29.5%、クラリアントジャパン株式会社製)
3)メイカネートDS 1重量部
(イソシアネート系架橋剤、明成化学工業株式会社製)
4)ベッカミン J101 0.30重量部
(メラミン架橋剤、DIC株式会社製)
5)塩化アンモニウム(架橋触媒) 0.05重量部
6)イソプロピルアルコール(浸透助剤) 3重量部
7)水 90重量部
次いで、<処方2>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、フローティングナイフコート法にて塗布し、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で30秒間熱セットを行って、透湿防水加工布に適した撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は2.3g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は4.44であった。得られた撥水性布帛の風合いは、柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後3級であった。
<処方2>
1)撥水性シリコーン系樹脂溶液 100.0重量部
(メチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂溶液)
2)錫系架橋触媒 2.0重量部
3)トルエン(希釈溶剤) 5.0重量部
処方2の樹脂溶液の粘度は、10000mPa・s(B型粘度計)であった。
[実施例2]
経糸に334デシテックス96フィラメントのポリエステルマルチフィラメント、緯糸に334デシテックス96フィラメントのポリエステルマルチフィラメントを用いた、経糸密度96本/2.54cm、緯糸密度47本/2.54cmの平織物(織り組織:オックスフォード)を通常の方法で精練、染色(ネビー)、乾燥し、150℃にて60秒間熱セットを行って布帛を製造した(仕上がり密度:経糸密度110本/2.54cm、緯糸密度53本/2.54cm、生地目付け193g/m)。
次いで、上記のように作製した織物を、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:48重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は1.677g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm2、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、上記の<処方2>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、フローティングナイフコート法に塗布し、120℃で60秒間乾燥し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、透湿防水加工布に適した撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は4.7g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は2.80であった。得られた撥水性布帛の風合いは、柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後3級であった。
[実施例3]
実施例2と同じ織物に、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:48重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は1.677g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、下記の<処方3>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、グラビアロールコーターにて塗布し、120℃で60秒間乾燥し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、透湿防水加工布に適した撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は0.7g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は0.42であった。得られた撥水性布帛の風合いは、非常に柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後3級であった。
<処方3>
1)撥水性シリコーン系樹脂溶液 100.0重量部
(メチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂溶液)
2)錫系架橋触媒 2.0重量部
3)トルエン(希釈溶剤) 380.0重量部
処方3の樹脂溶液の粘度は、100mPa・s(B型粘度計)以下であった。
[実施例4]
経糸に78デシテックス48フィラメントのナイロン6フィラメント、緯糸に180デシテックス144フィラメントのナイロン6フィラメントを用いた、経糸密度160本/2.54cm、緯糸密度73本/2.54cmの平織物(織り組織:タフタ)を通常の方法で精練、染色(ネビー)、乾燥し、150℃にて60秒間熱セットを行って布帛を製造した(仕上がり密度:経糸密度168本/2.54cm、緯糸密度79本/2.54cm、生地目付け131g/m)。
次いで、上記のように作製した織物を、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:45重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は1.067g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、上記の<処方2>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、フローティングナイフコート法にて塗布し、120℃で60秒間乾燥し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、透湿防水加工布に適した撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は3.6g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は3.37であった。得られた撥水性布帛の風合いは、柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後3級であった。
[実施例5]
経糸に78デシテックス68フィラメントのナイロン6フィラメント、緯糸に78デシテックス68フィラメントのナイロン6フィラメントを用いた、経糸密度117本/2.54cm、緯糸密度86本/2.54cmの平織物(織り組織:タフタ)を通常の方法で精練、染色(ネビー)、乾燥し、150℃にて60秒間熱セットを行って布帛を製造した(仕上がり密度:経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度88本/2.54cm、生地目付け80g/m)。
次いで、上記のように作製した織物を、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:43重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は0.623g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、上記の<処方2>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、フローティングナイフコート法にて塗布し、120℃で60秒間乾燥し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、透湿防水加工布に適した撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は2.8g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は4.49であった。得られた撥水性布帛の風合いは、柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後3級であった。
[比較例1]
実施例1と同じ織物を、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:44重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は0.518g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行って、撥水性布帛を得た。得られた撥水性布帛の風合いは、非常に柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後1級であった。
[比較例2]
実施例1と同じ織物に、前処理の水系撥水剤での撥水加工を行わずに、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、上記の<処方2>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、フローティングナイフコート法にて塗布し、120℃で60秒間熱処理し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は2.2g/mであった。得られた撥水性布帛の風合いは、若干硬かった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後1級であった。
[比較例3]
実施例1と同じ織物に、下記の<処方4>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤と水系のシリコーン系撥水剤を混合した水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:44重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤と水系シリコーン系撥水剤の付与固形分重量は0.518g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行って、撥水性布帛を得た。得られた撥水性布帛の風合いは、非常に柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後1級であった。
<処方4>
1)NUVA 2114LIQ 3重量%
(C6フッ素系撥水剤、クラリアントジャパン株式会社製)
2)ARKOPHOB NANO 2605LIQ 3重量%
(C6フッ素系撥水剤、クラリアントジャパン株式会社製)
3)メイカネートDS 1重量%
(イソシアネート系架橋剤、明成化学工業株式会社製)
4)ドライポン600E 4重量%
(シリコーン系撥水剤、日華化学株式会社製)
4)イソプロピルアルコール(浸透助剤) 3重量%
5)水 86重量%
[比較例4]
実施例1と同じ織物を、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:44重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は0.518g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、上記の<処方2>に示す溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を、フローティングナイフコート法にて塗布し、120℃で60秒間乾燥し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、透湿防水加工布に適した撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は5.8g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は11.20であった。得られた撥水性布帛の風合いは、樹脂の浸透が強くなって硬かった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後2級であった。
[比較例5]
実施例2と同じ織物を、上記の<処方1>に示す、2種類のC6フッ素系撥水剤を用いた水溶液に浸漬し、マングルにて絞り(絞り率:48重量%)、120℃で60秒間乾燥した後、150℃で60秒間熱処理を行って撥水加工を行った。塗布されたC6フッ素系撥水剤の付与固形分重量は1.677g/mであった。次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度160℃、圧力35Kg/cm、速度30m/分の条件にて表面(コーティング面)のカレンダー加工を行った。
次いで、下記の<処方5>に示すシリコーン系樹脂溶液を、グラビアコーターにて塗布し、120℃で60秒間乾燥し、その後、150℃で30秒間熱セットを行って、撥水性布帛を得た。塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量は0.37g/mであった。また、塗布されたシリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比は0.22であった。得られた撥水性布帛の風合いは、非常に柔らかかった。また得られた撥水性布帛の撥水性能は、初期5級、洗濯100回後2級であった。
<処方5>
1)撥水性シリコーン系樹脂溶液 100.0重量部
(メチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂溶液)
2)錫系架橋触媒 2.0重量部
3)トルエン(希釈溶剤) 810.0重量部
処方5の樹脂溶液の粘度は、100mPa・s(B型粘度計)以下であった。
以上の実施例1〜5と比較例1〜5の結果を、表1にまとめて示す。
Figure 2014198913
表1に示されるように、実施例1〜5に係る撥水性布帛は、いずれも塗布する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比が、0.42〜4.49であって、本発明の範囲内の適正な条件を満たしているので、初期の撥水性能が5級で、洗濯100回後の撥水性能が3級以上という、十分な撥水耐久性能を有している。そして、風合いも柔らかいか又は非常に柔らかかった。
これに対して、比較例1の撥水性布帛は、前処理であるC6フッ素系撥水剤での撥水加工のみとなっており、後処理の溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂はコーティングされていない。その結果、洗濯100回後の撥水性能は1級であり、撥水耐久性に問題がある。また比較例2の撥水性布帛は、前処理であるC6フッ素系撥水剤での撥水加工がされておらず、後処理の溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂のみがコ−ティングされている。その結果、風合いは若干硬くなり、そして洗濯100回後の撥水性能は1級であり、撥水耐久性に問題がある。さらに比較例3の撥水性布帛は、前処理として、C6フッ素系撥水剤と水系シリコーン系撥水剤の混合物で撥水加工がされているが、後処理の溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂はコ−ティングされていない。その結果、洗濯100回後の撥水性能が1級であり、撥水耐久性に問題がある。比較例4は、後処理の溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が多く、シリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比が8.0を超えている。このように、シリコーン系樹脂の付与固形分重量が増えたことで、風合いが硬くなり、洗濯100回後の撥水性能が2級となって、風合いとともに撥水耐久性にも問題がある。さらに比較例5は、後処理の溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が少なく、シリコーン系樹脂の付与固形分重量のフッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する比が0.3を下回っている。このように、シリコーン系樹脂の付与固形分重量が減ったことで、風合いは非常に柔らかくなるものの、洗濯100回後の撥水性能は2級となって、撥水耐久性に問題がある。
以上説明したように、本実施例に係る撥水性布帛は、洗濯処理での優れた撥水耐久性能を有している。したがって、スポーツ衣料やアウトドア衣料等のスポーツ用途に好適に使用することができる。
本発明に係る撥水性布帛は、アウトドア用途やスポーツ用途に使用される衣料用布帛として適している。

Claims (8)

  1. 炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施した布帛の表面に溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を塗布してなる布帛であって、フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比が0.3〜8.0であることを特徴とする撥水性布帛。
  2. グラビアロールコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が0.3〜2.0g/mであり、ナイフコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が1.0〜7.0g/mであることを特徴とする請求項1記載の撥水性布帛。
  3. 溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂が、樹脂の化学構造の主骨格にシロキサン結合を有するジメチルポリシロキサン系樹脂やメチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂の単独または混合物を主成分とした樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の撥水性布帛。
  4. 布帛が15〜440デシテックスのポリアミド繊維及び/またはポリエステル繊維を主体とした織物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の撥水性布帛。
  5. 炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を溶媒に分散させたエマルジョンからなるフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を施した布帛の表面に溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂溶液を塗布する撥水性布帛の製造方法であって、フッ素系撥水剤の付与固形分重量に対する溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量の比が0.3〜8.0であることを特徴とする撥水性布帛の製造方法。
  6. グラビアロールコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が0.3〜2.0g/mであり、ナイフコーターによる溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂の付与固形分重量が1.0〜7.0g/mであることを特徴とする請求項5記載の撥水性布帛の製造方法。
  7. 溶剤型の撥水性シリコーン系樹脂が、樹脂の化学構造の主骨格にシロキサン結合を有するジメチルポリシロキサン系樹脂やメチルハイドロジエンポリシロキサン系樹脂の単独または混合物を主成分とした樹脂であることを特徴とする請求項5または6記載の撥水性布帛の製造方法。
  8. 布帛が15〜440デシテックスのポリアミド繊維及び/またはポリエステル繊維を主体とした織物であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の撥水性布帛の製造方法。
JP2013073717A 2013-03-29 2013-03-29 撥水性布帛及びその製造方法 Pending JP2014198913A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013073717A JP2014198913A (ja) 2013-03-29 2013-03-29 撥水性布帛及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013073717A JP2014198913A (ja) 2013-03-29 2013-03-29 撥水性布帛及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014198913A true JP2014198913A (ja) 2014-10-23

Family

ID=52355986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013073717A Pending JP2014198913A (ja) 2013-03-29 2013-03-29 撥水性布帛及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014198913A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101928867B1 (ko) * 2017-05-18 2018-12-13 효성첨단소재 주식회사 건설폐기물 수집운반 차량 덮개용 방수 직물 및 그 제조방법
CN111100311A (zh) * 2018-10-25 2020-05-05 株式会社小糸制作所 车载用的透明树脂部件
JP7486985B2 (ja) 2019-03-13 2024-05-20 ユニチカトレーディング株式会社 織編物およびその製造方法

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57154466A (en) * 1981-03-11 1982-09-24 Toray Industries Durale water repellent process
JPS6039483A (ja) * 1983-08-13 1985-03-01 関西帆布化学防水株式会社 耐久性撥水加工布帛の製造法
JPS60162871A (ja) * 1984-01-30 1985-08-24 ユニチカ株式会社 羊毛繊維を含む布帛の加工方法
JPS6119877A (ja) * 1984-07-03 1986-01-28 カネボウ株式会社 合成繊維布帛の防水加工法
JPH0217671B2 (ja) * 1982-05-26 1990-04-23 Seeren Kk
JPH09195169A (ja) * 1996-01-18 1997-07-29 Daiichi Lace Kk 不浸透性耐久撥水加工布
JP2007247091A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Toray Ind Inc 繊維構造物
JP2007270374A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Komatsu Seiren Co Ltd 撥水撥油性布帛およびその製造方法
JP2011214216A (ja) * 2011-07-22 2011-10-27 Komatsu Seiren Co Ltd 撥水撥油性布帛
JP2012072525A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Unitika Trading Co Ltd 撥水性布帛
JP2013036136A (ja) * 2011-08-08 2013-02-21 Komatsu Seiren Co Ltd 撥水撥油sr性布帛

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57154466A (en) * 1981-03-11 1982-09-24 Toray Industries Durale water repellent process
JPH0217671B2 (ja) * 1982-05-26 1990-04-23 Seeren Kk
JPS6039483A (ja) * 1983-08-13 1985-03-01 関西帆布化学防水株式会社 耐久性撥水加工布帛の製造法
JPS60162871A (ja) * 1984-01-30 1985-08-24 ユニチカ株式会社 羊毛繊維を含む布帛の加工方法
JPS6119877A (ja) * 1984-07-03 1986-01-28 カネボウ株式会社 合成繊維布帛の防水加工法
JPS6329038B2 (ja) * 1984-07-03 1988-06-10 Kanebo Ltd
JPH09195169A (ja) * 1996-01-18 1997-07-29 Daiichi Lace Kk 不浸透性耐久撥水加工布
JP2007247091A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Toray Ind Inc 繊維構造物
JP2007270374A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Komatsu Seiren Co Ltd 撥水撥油性布帛およびその製造方法
JP2012072525A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Unitika Trading Co Ltd 撥水性布帛
JP2011214216A (ja) * 2011-07-22 2011-10-27 Komatsu Seiren Co Ltd 撥水撥油性布帛
JP2013036136A (ja) * 2011-08-08 2013-02-21 Komatsu Seiren Co Ltd 撥水撥油sr性布帛

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101928867B1 (ko) * 2017-05-18 2018-12-13 효성첨단소재 주식회사 건설폐기물 수집운반 차량 덮개용 방수 직물 및 그 제조방법
CN111100311A (zh) * 2018-10-25 2020-05-05 株式会社小糸制作所 车载用的透明树脂部件
JP7486985B2 (ja) 2019-03-13 2024-05-20 ユニチカトレーディング株式会社 織編物およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5596081B2 (ja) 伸縮性コーティング布帛及びその製造方法
US6207250B1 (en) Treated textile fabric
KR101745980B1 (ko) 다운 프루프성 직물
JP6447136B2 (ja) 繊維構造物
WO1993015254A1 (en) Treatment agent for fiber product, method of treating fiber product, and fiber product treated thereby
JP5230286B2 (ja) 透湿防水性布帛
JP2018184692A (ja) 撥水性布帛およびその製造方法
JP5285993B2 (ja) 防寒衣料用織編物
JP2014198913A (ja) 撥水性布帛及びその製造方法
JP4622530B2 (ja) 花粉付着防止繊維構造物
JP7544028B2 (ja) 撥水性繊維構造物の製造方法、繊維構造物および衣料
JP2018009268A (ja) 積層繊維布帛およびその製造方法
Conway Technical textile finishing
JPH10292266A (ja) 防水性高密度織物の製造方法
JP5725878B2 (ja) 防風性布帛およびその製造方法
JP5430383B2 (ja) 布帛に防風性を付与する加工方法
KR20050091779A (ko) 가역적 조절성 표면 에너지 특성을 갖는 조성물 및 처리된기재 및 이의 제조 방법
JP6214945B2 (ja) 撥水性花粉付着防止布帛
JP2019137945A (ja) 布帛および繊維構造物
JP7417475B2 (ja) 防風性生地及び衣服
WO2022024760A1 (ja) 立毛調皮革様シート状物およびその製造方法
JP2013241700A (ja) 環境に優しい耐久撥水性織物及び該織物を用いた繊維製品
JP2013155459A (ja) カーテン
JPH08291473A (ja) 複合材料とその製造方法及びそれからなる透湿防水布
JP2016069767A (ja) 撥水撥油性布帛

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171024