JP3305269B2 - 難燃性防水シート - Google Patents

難燃性防水シート

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JP3305269B2
JP3305269B2 JP24333398A JP24333398A JP3305269B2 JP 3305269 B2 JP3305269 B2 JP 3305269B2 JP 24333398 A JP24333398 A JP 24333398A JP 24333398 A JP24333398 A JP 24333398A JP 3305269 B2 JP3305269 B2 JP 3305269B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性防水シート
に関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発
明は、着色された、又は着色模様を付されたアクリル系
繊維性基布と、透明防水性難燃性被覆層を有する難燃性
防水シートに関するものである。本発明の難燃性防水シ
ートは、軒出テント、日除けテントなどの用途に有用な
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の軒出しテント及び日除けテントな
どは、ポリエステル、ビニロンあるいはナイロンなどの
合成長繊維織物に、塩化ビニル樹脂をコーティングある
いはトッピング加工した被覆シート又は塩化ビニル又は
塩化ビニリデン長繊維織物に酢酸ビニルと塩化ビニルの
共重合樹脂をコーティング加工した被覆シートから作ら
れたものが主流であった。最近では、軒出しテント及び
日除けテントが建築構造物の装飾の一部として用いられ
る傾向が強くなってきており、このためテント地に色彩
があざやかで装飾性図柄が美しく、シート品位がコット
ンライクのものが好まれる傾向がある。このような軒出
しテント及び日除けテント地の製造方式としては、ビニ
ロン、ポリエステル、アクリル等の短繊維織物に、パラ
フィンあるいはアクリル樹脂をコーティング加工する方
法が主に用いられている。
【0003】しかしながら、ビニロン、ポリエステル、
又はアクリル短繊維織物を基布として用い、これに樹脂
加工を施す場合にはいくつかの問題点がある。すなわ
ち、ビニロン及びポリエステルの短繊維織物を基布とし
て使用した場合、後加工における難燃性の付与は比較的
容易であるが、これらの繊維自体の発色鮮明性と耐候性
はアクリル繊維に較べると劣っているという問題点があ
る。これに対してアクリル短繊維織物を基布として使用
した場合、前記のように繊維自体の発色鮮明性と耐候性
は良好であるが、他の合成繊維に比べると燃焼しやす
く、また後加工による難燃性の付与が困難であるという
問題点を有する。
【0004】例えば、着色されたアクリル系繊維性基布
に、従来の軒出しテント及び日除けテントと同様にし
て、塩化ビニル樹脂をコーティングあるいはトッピング
加工した場合、得られる被覆シートの品位がコットンラ
イクでなくなり、アクリル系繊維性基布と塩化ビニル樹
脂との接着性が不良であるため、シートを折り曲げると
白化現象(チョークマーク)が現れやすいという問題点
がある。また、塩化ビニル樹脂だけによる被覆では難燃
性が不充分であり、このため塩化ビニル樹脂の中に難燃
剤として一般的に使用される三酸化アンチモンを混入す
ると、難燃性は向上するが難燃性被覆層が白色化してし
まい、着色されたアクリル系繊維性基布に施された色彩
のあざやかさを大きく損なってしまうという問題点を生
ずる。
【0005】さらに例えば、着色されたアクリル系繊維
性基布に、最近の軒出しテント、日除けテントのよう
に、パラフィンやアクリル樹脂をコーティング加工した
場合、パラフィンはアクリル系繊維性基布との接着性が
悪く、シートを折り曲げると白化現象(チョークマー
ク)が現れやすく、難燃性の付与が困難であるという問
題点を生じ、またアクリル樹脂はアクリル系繊維性基布
との接着性は良好であり、シートを折り曲げても白化現
象(チョークマーク)は現れにくいが、樹脂自体が燃焼
しやすいため、後加工における難燃性の付与が困難であ
るという問題点がある。
【0006】そこで、現在、着色されたアクリル系繊維
性基布に、後加工によって難燃性を付与する方法として
は、デッピング加工によってアクリル系繊維性基布に難
燃剤を付着させる方法が一般的に行われているが、付着
させた難燃剤の耐水性が低いため、これを屋外で使用す
ることができないという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、着色された
或は着色模様を付されたアクリル系繊維性基布の色彩の
あざやかさ、及びそのコットンライクな風合いを大きく
損なうことなく、シートを折り曲げても白化現象(チョ
ークマーク)が現れにくく、しかもすぐれた難燃性を有
する防水シートを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の難燃性防水シー
トは、着色された、又は着色模様を有するアクリル系繊
維性基布と、前記基布の片面又は両面上に形成された透
明防水性難燃性樹脂被覆層とを有し、前記透明防水性難
燃性樹脂被覆層が、透明なポリエステル系熱可塑性樹脂
と、140℃以下の融点を有し、前記ポリエステル系熱
可塑性樹脂と透明混合体を形成する難燃剤とを含有す
る、ことを特徴とするものである。本発明の難燃性防水
シートにおいて、前記ポリエステル系熱可塑性樹脂が、
10℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。
また、本発明の難燃性防水シートにおいて、前記透明防
水性難燃性樹脂被覆層中の、前記難燃剤の含有率が30
〜70重量%であることが好ましい。また本発明の難燃
性防水シートにおいて、前記難燃剤が、140℃以下の
融点を有する臭素系難燃剤から選ばれることが好まし
い。本発明の上記難燃性防水シートにおいて、前記臭素
系難燃剤が、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソ
シアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ
−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、テトラブロモ
シクロオクタン、及び2−ブロモ−6−メトキシナフタ
レンから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ま
しい。また、本発明の難燃性防水シートにおいて、前記
透明防水性難燃性樹脂被覆層の付着量が、基布の片面当
り、50〜200g/m2 であることが好ましい。ま
た、本発明の難燃性防水シートにおいて、前記透明防水
性難燃性樹脂被覆層が、さらに、少なくとも1種のリン
化合物含有難燃助剤を、樹脂被覆層の全重量に対して、
5〜20重量%の含有量で含有していてもよい。また、
本発明の上記難燃性防水シートにおいて、前記リン化合
物含有難燃助剤が、トリス(2−クロロエチル)ホスフ
ェート、トリクレシルホスフェート、トリスジクロロプ
ロピルホスフェート及びクレジルジフェニルホスフェー
トから選ばれた少なくとも1種を含有するものであるこ
とが好ましい。また、本発明の難燃性防水シートにおい
て、前記透明防水性難燃性樹脂被覆層が、前記基布の両
面上に形成されたときは、その透明防水性難燃性樹脂被
覆層の片方の上に、また、前記透明防水性難燃性被覆層
が、前記基布の片面のみの上に形成されたときは、前記
基布の非被覆面上に、ポリエステル系熱可塑性樹脂と、
少なくとも1種の難燃剤とを含む追加難燃性被覆層がさ
らに形成されていてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の難燃性防水シートにおい
て基体として用いられるアクリル系繊維性基布は、アク
リロニトリルを重合単位として含む合成繊維から構成さ
れた布帛から選ばれる。前記合成繊維中のアクリロニト
リル重合単位の含有率には限定はなく、アクリロニトリ
ル重合単位の含有率が50重量%以上のアクリル繊維及
びアクリロニトリル重合単位の含有率が50重量%未満
のアクリル系繊維のいずれを用いてもよく、本発明にお
いてはこれらを包含して、アクリル系繊維と記すことに
する。本発明に用いられるアクリル系繊維においては、
アクリロニトリルに対し、共重合成分として、アクリル
酸メチル、酢酸ビニル、ビニルスルホン、ビニルピリジ
ン、塩化ビニリデンなどが用いられていてもよい。ま
た、本発明の基布として用いられるアクリル系繊維性布
帛は、アクリル系繊維に異種繊維、例えば、天然繊維
(麻、綿、獸毛繊維など)、異種合成繊維(ポリエステ
ル、ポリアミド及び芳香族ポリアミド繊維など)及び無
機繊維などから選ばれた少なくとも1種の繊維が混用さ
れていてもよい。
【0010】本発明に用いられるアクリル系繊維性基布
は、長繊維布帛、短繊維布帛、長短繊維混用布帛のいず
れであってもよいが、コットンライクな風合を有する基
布を得るためには、短繊維紡績糸布帛、特に織物である
ことが好ましい。
【0011】本発明に用いられるアクリル系繊維性基布
は、編織布及び不織布のいずれであってもよいが、アク
リル系繊維は、比較的低い機械的強さを有するため、織
物を用いることが好ましい。本発明に用いられるアクリ
ル系繊維性編織物の組織、糸密度などに制限はないが、
例えば、平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条によ
り構成されているものが好ましい。
【0012】本発明に用いられるアクリル系繊維性基布
用編織物において、その組織、目付、厚さ、構成糸条の
構成、太さなどに制限はないが、目的製品の用途に応じ
て平織、綾織、経編及び緯編などの各種編織物を用いる
ことができる。またその目付は、一般に200〜400
g/m2 の範囲内にあるものが用いられている。本発明
に用いられているアクリル系繊維性基布は、難燃防水加
工を施される前に、所望の色に着色され、或は所望の着
色模様が付与される。この着色、及び着色模様の付与の
方法、すなわち染色又は原料着色などの方法、及び材料
(着色剤)などには限定はないが、その上に形成される
難燃性防水性被覆層により悪影響(変色、又は移行)を
受けないものから選ばれることが好ましい。本発明にお
いて「着色」は、白色着色及び蛍光着色も包含する。
【0013】本発明の難燃性防水シートにおいて、透明
防水性難燃性樹脂被覆層が、前記基布の片面、又は両面
上に形成される。この透明防水性難燃性樹脂被覆層は、
透明なポリエステル系熱可塑性樹脂と、140℃以下の
融点を有する難燃剤とを含有し、この難燃剤は、前記ポ
リエステル系熱可塑性樹脂と熱熔融混合したとき、透明
混合体を形成する難燃剤である。
【0014】本発明に用いられる透明ポリエステル系熱
可塑性樹脂は、好ましくは10℃以下の、より好ましく
は5℃以下の、さらに好ましくは0〜−10℃のガラス
転移温度を有するもの、例えば、ポリヘキサメチレンテ
レフタレート(Tg:8℃)、ポリヘキサメチレンイソ
フタレート(Tg:−1℃)、ポリデカメチレンテレフ
タレート(Tg:−9℃)及びポリデカメチレンイソフ
タレート(Tg:−15℃)などから選ばれた少なくと
も1種を含有するものが好ましい。10℃以下のガラス
転移温度を有する透明ポリエステル樹脂を用いることに
よりアクリル系繊維性基布の有する風合、特にコットン
ライクな風合をそこねることのない柔軟な被覆層を形成
することができる。また、このように10℃以下のガラ
ス転移温度を有する透明ポリエステル系熱可塑性樹脂
は、アクリル系繊維性基布に対し、良好な接着性を有
し、かつ難燃剤に対しても良好な混合性を示し、良好な
防炎性を有する透明混合体を形成することができる。
【0015】本発明の難燃性防水シートの透明防水性難
燃性樹脂被覆層を形成するために用いられる難燃剤は、
140℃以下の、好ましくは130℃以下の、さらに好
ましくは90〜120℃の融点を有し、前記透明ポリエ
ステル系熱可塑性樹脂と溶融混合されたとき透明混合体
を形成するものである。難燃剤の融点が140℃以上で
あるときは、透明ポリエステル系熱可塑性樹脂とともに
透明樹脂被覆層を形成するために必要な熱処理温度が、
高くなり、このためアクリル系繊維基布の機械的強度を
低下させるという不都合を生ずる。しかしそれが過度に
低いとき、例えば、常温以下のときは、当該難燃剤は液
状であるから、透明防水性難燃性樹脂被覆層中における
ブリード性が高く、従って得られる透明防水性難燃性樹
脂被覆層の機械的強度を低下させるため、また難燃剤の
表面ブリードに起因する粘着性などにより実用性に欠け
るという不都合を生ずる。このような難燃剤は、140
℃以下の、より好ましくは130℃以下の、さらに好ま
しくは90〜120℃の融点を有する難燃性有機臭素化
合物から選ばれることが好ましい。このような難燃性有
機臭素化合物は、例えば、トリス(2,3−ジブロモプ
ロピル)イソシアヌレート(C1215Br6 3 3
融点:約105℃)、2,2−ビス(4−ヒドロキシエ
トキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(C19
20Br4 4、融点:約116℃)、テトラブロモシク
ロオクタン(C8 12Br4 、融点:約103℃)及び
2−ブロモ−6−メトキシナフタレン(C119 Br
O、融点:約108℃)などを包含する。
【0016】本発明の難燃性防水シートにおいて、透明
防水性難燃性樹脂被覆層中の難燃剤の含有量の下限値は
30重量%であることが好ましく、40重量%であるこ
とがより好ましい。また、その上限値は、70重量%で
あることが好ましく、60重量%であることがより好ま
しい。本発明の樹脂被覆層中の難燃剤の含有量が30重
量%未満であると、得られる樹脂被覆層の難燃性が不十
分になることがあり、また、難燃剤の含有量が70重量
%を超えると、得られる被覆層の表面が粘着性を示し、
触感を不良にすることがある。
【0017】本発明において、透明防水性難燃性樹脂被
覆層には、必要に応じて、ポリエステル系熱可塑性樹脂
用硬化剤、抗菌剤、防かび剤、紫外線吸収剤などの機能
性付与剤が含まれていてもよい。ポリエステル熱可塑性
樹脂用硬化剤としては、例えばイソシアネート化合物、
メラミン樹脂、及びエポキシ樹脂などの慣用の添加剤
(樹脂重量に対し5〜15%)を用いることができる。
このような硬化剤の使用により、被覆層の機械的皮膜強
度及び耐熱性、耐水性を向上させることができる。
【0018】本発明の難燃性防水シートにおいて、その
透明防水性難燃性樹脂被覆層を形成する透明防水性難燃
性樹脂組成物中には、必要により、少なくとも1種のリ
ン化合物含有難燃助剤が含まれていてもよい。リン化合
物含有難燃助剤は、樹脂被覆層の難燃性を一層向上させ
るとともに、樹脂被覆層の柔軟性を向上させることがで
きる。樹脂被覆層に添加されたリン化合物含有難燃助剤
の含有量は、樹脂被覆層全重量に対して、5〜20重量
%であることが好ましく、10〜15重量%であること
がより好ましく、一般に10重量%前後で用いられるこ
とが多い。リン化合物含有難燃助剤の含有量が5重量%
未満であると、難燃性及び柔軟性向上効果が不十分にな
ることがあり、またそれが20重量%を超えると、得ら
れる樹脂被覆層表面に粘着感を与え、その風合を低下さ
せることがある。上記リン化合物含有難燃助剤は、水に
不溶又は難溶であり、リンの含有率が高く、すぐれた難
燃性を有する少なくとも1種の有機リン化合物を含むこ
とが好ましく、このような有機リン化合物は、例えばト
リス(2−クロロエチル)ホスフェート〔(ClC2
4 O)3 P=O〕、トリクレシルホスフェート〔(CH
36 4 O)3 PO〕、トリスジクロロプロピルホス
フェート〔Cl2 3 5O)3 PO〕、及びクレジル
ジフェニルホスフェート〔(C6 5 2 (CH36
4 )O4 P〕から選ばれた少なくとも1種であること
が好ましい。これらの難燃助剤は水に溶解せず、又は難
溶であり、リンの含有率が比較的高く、すぐれた難燃性
向上効果を示すことができる。
【0019】本発明の難燃性防水シートにおいて、透明
防水性難燃性樹脂被覆層は、基布の片面当り50〜20
0g/m2 の付着量で形成されることが好ましく、より
好ましくは、70〜150g/m2 である。この被覆層
の片面付着量が50g/m2未満では、得られる難燃防
水シートの難燃性及び/又は防水性が不十分になること
があり、またそれが200g/m2 を超えると、得られ
る難燃防水シートの風合が粗剛になり、アクリル系繊維
性基布の風合、特にコットンライクな柔軟な風合を損ね
てしまうことがある。
【0020】本発明の難燃性防水シートにおいて、アク
リル系繊維性基布上に形成された透明防水性難燃性樹脂
被覆層は、基布に施された着色又は着色模様を、その色
感を損ねることなく、透視することを可能にする。従っ
て、本発明の難燃性防水シートは、アクリル系繊維基布
の有するすぐれた発色鮮明性を十分に利用して、基布に
施こされた鮮明な色彩又は着色模様を、透明樹脂被覆層
を介して、十分に表示することができ、さらに良好な難
燃性及び防水性を示すことができる。さらに、本発明の
透明樹脂被覆層は、アクリル系繊維性基布に対して、強
固に接着しており、従って、製造中或は使用中に、透明
樹脂被覆層が基布から剥離することはない。
【0021】本発明の難燃性防水シートは、必要によ
り、前記透明防水性難燃性樹脂被覆層に加えて、他の追
加難燃性被覆層を有していてもよい。すなわち、前記透
明防水性難燃性樹脂被覆層が、前記基布の両面上に形成
されたときは、その透明防水性難燃性樹脂被覆層の片方
の上に、また、前記透明防水性難燃性樹脂被覆層が、前
記基布の片面のみの上に形成されたときは、前記基布の
非被覆面上に、ポリエステル系熱可塑性樹脂と、少なく
とも1種の難燃剤とを含む追加難燃性被覆層がさらに形
成されていてもよい。特に、本発明の難燃性防水シート
が、その表面(片面)のみにおいて、着色、又は着色模
様を表示すればよいときは、裏面上に形成される追加難
燃性被覆層は、不透明であってもよい。この場合、追加
難燃性被覆層に含まれる難燃剤はハロゲン系、リン系又
は無機系難燃剤のいずれであってもよく、また140℃
を超える融点を有するものであってもよい。さらに、追
加難燃性被覆層に含まれる難燃剤は、2種類以上の難燃
剤を組み合わせたものであってもよく、その組合せに制
限はない。また、裏面に形成される追加難燃性被覆層は
不透明であってもよいため、用途によっては顔料(有機
及び無機白色又は着色顔料)を含んでいてもよい。追加
難燃性被覆層に含まれるポリエステル系熱可塑性樹脂
と、難燃剤との重量配合比、添加剤、及び追加難燃性被
覆層の付着量などは、前記透明防水性難燃性樹脂被覆層
と同様に適宜に設定すればよい。
【0022】本発明の難燃性防水シートを製造するに
は、着色された、或は着色模様を付されたアクリル系繊
維性基布上に、所要成分を含有する透明防水性難燃性樹
脂被覆層用組成物、或は、追加難燃性被覆層用組成物
を、コーティング、トッピング、又はティッピングなど
の被覆層形成方法により、塗布、貼着又は含浸すればよ
い。
【0023】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに説明する。
下記実施例において、製品の性能評価に用いられたテス
ト方法は下記の通りである。 (1)防炎試験 防炎試験は、日本工業規格(JIS L−1091)に
準じて行った。本発明の難燃性防水シートは屋外用途に
使用されるものであるから、前処理として、50±2℃
の温水中に30分間浸漬した後、50±2℃の恒温乾燥
機内で24時間放置して乾燥させた。実施例において作
製した難燃性防水シートの質量は450g/m2 を超え
るものであったから、燃焼試験A−2法の45度メッケ
ルバーナー法に従って、炭化面積、炭化距離、残炎時
間、残じん時間を測定した。基準を満足した場合、区分
3合格とした。 (2)タック感試験 樹脂被膜のタック感(ベタツキ)については、実施例に
おいて作製した難燃性防水シートを10cm角に2枚カッ
トした後、表面同士を重ね合わせて水平な場所に置き5
kgの加重をかけて、常温において1時間放置した後、シ
ートを剥がしながらベタツキを評価した。 (3)耐白化性試験 シートを折り曲げた時に現れる白化現象(チョークマー
ク)については、実施例において作製した難燃性防水シ
ートの表面を上にして、谷側及び山側に180°折り曲
げ、白化現象(チョークマーク)の発現状況を評価し
た。 (4)耐水度試験 難燃性防水シートの耐水度を、日本工業規格(JIS
L−1092:A法の静水圧法)に従って測定した。供
試難燃性防水シートを15cm角にカットした後、耐水度
試験装置中に、試験片の表面が水に当たるように取り付
け、この試験装置に水を入れて、水準器を60±3cm/
min の速さで水位を上昇させて、試験片の裏面に3ヶ所
から水が滲出した時の水位を測定した。
【0024】実施例1 アクリル系繊維性基布として、重合成分としてアクリロ
ニトリルを80重量%以上含有し、かつ青色に着色され
た短繊維紡績糸を、経緯糸として使用し、高密度の平織
布を作製した。その組織は下記の通りであり、またこの
アクリル系繊維性基布の目付は約300g/m2 であっ
た。 このアクリル系繊維性基布の表裏面に、下記条件によ
り、コーティング及び熱処理を施し、得られた難燃性防
水シートを前記試験に供した。
【0025】塗布液組成 バイロン500 36重量部 〔東洋紡績社製、ポリエステル樹脂、ガラス転移点温度約4℃〕 TAIC−6B 60重量部 〔日本化成社製、臭素系難燃剤、融点約110℃〕 ノンネンK−9011 10重量部 〔丸菱油化工業社製、リン酸エステル系化合物〕 コロネートHL 3重量部 〔日本ポリウレタン社製、硬化剤〕 紫外線吸収剤 1重量部 上記塗布液成分をその合計量と同量の溶剤(トルエン)
に溶解して塗布液を調製し、これを前記着色されたアク
リル系繊維性基布の表面にコーティングし、120℃に
おいて、1分間熱処理した。上記と同一工程を前記基布
の未被覆裏面に施し、140℃において1分間熱処理し
た。アクリル系繊維性基布の両面に透明防水性難燃性樹
脂被覆層が形成された。樹脂被覆層の重量は片面当り1
00g/m2 であった。得られた難燃性防水シートの重
量は500g/m2 であった。この難燃性防水シートを
前記試験に供した。試験結果を表1に示す。また同様に
して片面のみに塗布して難燃性防水シートを作成したが
同様の結果を示し、かつきわめて柔軟なものであった。
【0026】実施例2 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、透明防水性難燃性樹脂被覆層中
に、難燃助剤、ノンネンK−9011の添加を省略し
た。得られた難燃性防水シートの試験結果を表1に示
す。
【0027】実施例3 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の裏面に形成された防水性難
燃性樹脂被覆層において、難燃剤として前記TAIC−
6Bの代わりに、同量のEB−10WS〔マナック社
製、デカブロモジフェニルエーテル、融点:約310
℃〕を使用した。得られた難燃性防水シートの裏面に形
成された樹脂被覆層は透明ではなく白色であった。得ら
れた難燃性防水シートの試験結果を表1に示す。
【0028】実施例4 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布裏面に形成された防水性難燃
性樹脂被覆層において、難燃剤としてTAIC−6Bの
代わりに、EB−10WS〔マナック社製 デカブロモ
ジフェニルエーテル、融点約310℃〕45重量部と、
三酸化アンチモン15重量部とを使用した。得られた難
燃性防水シートの裏面に形成された樹脂被覆層は透明で
はなく白色であった。得られた難燃性防水シートの試験
結果を表1に示す。
【0029】実施例5 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された透明
防水性難燃性樹脂被覆層中に、難燃剤として使用されて
いるTAIC−6Bの量を、25重量部に減量した。得
られた難燃性防水シートの試験結果を表1に示す。
【0030】実施例6 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された透明
防水性難燃性樹脂被覆層中に、難燃剤として使用された
TAIC−6Bの量を90重量部に増量した。得られた
難燃性防水シートの試験結果を表1に示す。
【0031】実施例7 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された透明
防水性難燃性樹脂被覆層中に、難燃助剤として使用され
たノンネンK−9011の量を、6重量部に減量した。
得られた難燃性防水シートの試験結果を表1に示す。
【0032】実施例8 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された透明
防水性難燃性樹脂被覆層中に、難燃助剤として使用され
たノンネンK−9011の量を、25重量部に増量し
た。得られた難燃性防水シートの試験結果を表1に示
す。
【0033】比較例1 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された防水
性難燃性樹脂被覆層中に、難燃剤として使用されたTA
IC−6Bの代わりに、同量のEB−10WS〔マナッ
ク社製 デカブロモジフェニルエーテル、融点:約31
0℃〕を使用した。得られた難燃性防水シートの両面に
形成された樹脂被覆層は透明ではなく白色であり、着色
されたアクリル系繊維性基布に施された色彩のあざやか
さを著しく損なう結果となった。得られた難燃性防水シ
ートの試験結果を表1に示す。
【0034】比較例2 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された透明
防水性難燃性樹脂被覆層中に、硬化剤コロネートHLを
添加することを省略し、ポリエステル系熱可塑性樹脂の
代わりに、塩化ビニル共重合体樹脂〔ZestP−35
J、新第一塩ビ社製〕80重量部と、塗布液成分を溶解
させるための溶剤の代わりに、可塑剤〔フタル酸ジ−2
−エチルヘキシル、新日本理化社製〕40重量部とを使
用した。得られた難燃性防水シートはコットンライクな
風合を有しておらず、また折り曲げると白化現象(チョ
ークマーク)の発生が顕著であった。得られた難燃性防
水シートの試験結果を表1に示す。
【0035】比較例3 実施例1と同様にして難燃性防水シートを作製し、前記
試験に供した。但し、基布の表裏両面に形成された透明
防水性難燃性樹脂被覆層において、ポリエステル系熱可
塑性樹脂の代わりに、アクリル樹脂〔パラクロンEM−
3000E、根上工業社製、固形分30重量%〕を固形
分含有量が前記ポリエステル樹脂と同じになるように1
20重量部使用した。得られた難燃性防水シートの試験
結果を表1に示す。
【0036】比較例4 実施例1において使用したアクリル系繊維性基布に、繊
維の後加工用難燃剤として、ノンネン5812〔丸菱油
化工業社製、ハロゲン・有機リン・窒素化合物(有効成
分:50重量%)〕を、前記アクリル系繊維性基布の目
付に対してピックアップ率100%でデッピングした
後、120℃において2分間の熱処理を施した。得られ
た難燃性防水シートの重量は450g/m2 であった。
この難燃性防水シートの試験結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】上記表1が明らかに示しているように、本
発明の難燃性防水シートは少なくとも一面に透明難燃性
樹脂被覆層が形成されているため、着色されたアクリル
系繊維性基布に施されたあざやかな色彩をそのまま表示
することができ、シートを折り曲げた時に白化現象(チ
ョークマーク)を生ずることがなく、シートの品位もコ
ットンライクであって、タック感(ベタツキ)もなく、
しかも日本工業規格(JIS L−1091)燃焼試験
において区分3合格を達成することができた。
【0039】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、着色されたアクリル系繊維性基布の少なくと
も一面に透明防水性難燃性樹脂被覆層を形成する事によ
り、アクリル系繊維性基布に施された色彩のあざやかさ
とコットンライクな品位及び風合いとを損なうことがな
く、シートを折り曲げた時に白化現象(チョークマー
ク)を発生させることのない難燃性防水シートを得るこ
とが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 13/535 D06M 15/00 - 15/72

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色された、又は着色模様を有するアク
    リル系繊維性基布と、前記基布の片面又は両面上に形成
    された透明防水性難燃性樹脂被覆層とを有し、 前記透明防水性難燃性樹脂被覆層が、透明なポリエステ
    ル系熱可塑性樹脂と、140℃以下の融点を有し、前記
    ポリエステル系熱可塑性樹脂と透明混合体を形成する難
    燃剤とを含有する、ことを特徴とする難燃性防水シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記透明防水性難燃性樹脂被覆層に含ま
    れる前記ポリエステル系熱可塑性樹脂が、10℃以下の
    ガラス転移温度を有する、請求項1に記載の難燃性防水
    シート。
  3. 【請求項3】 前記透明防水性難燃性樹脂被覆層中の、
    前記難燃剤の含有率が30〜70重量%である、請求項
    1に記載の難燃性防水シート。
  4. 【請求項4】 前記難燃剤が、140℃以下の融点を有
    する臭素系難燃剤から選ばれる請求項1に記載の難燃性
    防水シート。
  5. 【請求項5】 前記臭素系難燃剤が、トリス(2,3−
    ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス
    (4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニ
    ル)プロパン、テトラブロモシクロオクタン、及び2−
    ブロモ−6−メトキシナフタレンから選ばれた少なくと
    も1種を含む請求項4に記載の難燃性防水シート。
  6. 【請求項6】 前記透明防水性難燃性樹脂被覆層の付着
    量が、基布の片面当り、50〜200g/m2 である、
    請求項1に記載の難燃性防水シート。
  7. 【請求項7】 前記透明防水性難燃性樹脂被覆層が、さ
    らに、少なくとも1種のリン化合物含有難燃助剤を、樹
    脂被覆層の全重量に対して、5〜20重量%の含有量で
    含有する、請求項1に記載の難燃性防水シート。
  8. 【請求項8】 前記リン化合物含有難燃助剤が、トリス
    (2−クロロエチル)ホスフェート、トリクレシルホス
    フェート、トリスジクロロプロピルホスフェート及びク
    レジルジフェニルホスフェートから選ばれた少なくとも
    1種を含む、請求項7に記載の難燃性防水シート。
  9. 【請求項9】 前記透明防水性難燃性樹脂被覆層が、前
    記基布の両面上に形成されたときは、その透明防水性難
    燃性樹脂被覆層の片方の上に、また、前記透明防水性難
    燃性樹脂被覆層が、前記基布の片面のみの上に形成され
    たときは、前記基布の非被覆面上に、ポリエステル系熱
    可塑性樹脂と、少なくとも1種の難燃剤とを含む追加難
    燃性被覆層がさらに形成されている、請求項1に記載の
    難燃性防水シート。
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