JP2019093623A - 帯電防止性抗菌膜材 - Google Patents

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Abstract

【課題】界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、より優れた抗菌性・防黴性の静電気対策シート(シートシャッター、間仕切り、フロアシート、機器カバー、エプロンなど)の提供。【解決手段】織物を基材として、この基材に設けられた少なくとも1層の帯電防止性樹脂層を有する可撓性積層体であって、この帯電防止性樹脂層が、分子中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を特定比率で含有させ、必要に応じて帯電防止性樹脂層の表面に対して、少なくとも20%の面積占有率を有する塗膜層を設ける。【選択図】なし

Description

本発明は産業資材シートの帯電防止技術、及び抗菌技術に関するものであり、具体的に本発明は、工場、倉庫、クリーンルームなどで、センサー感知式のシートシャッター装置の静電気対策に用いる帯電防止性、かつ抗菌・防黴性の防塵膜材と、さらに間仕切り、フロアシート、機器カバー、エプロンなどの静電気対策に用いる帯電防止性、かつ抗菌・防黴性の防塵膜材と、さらにはフレキシブルコンテナバッグなどの物流用品の静電気対策に用いる帯電防止性、かつ抗菌・防黴性の防塵膜材に関する。
静電気の除去を促すために界面活性剤を利用する方法は古くから行われ、埃の付着防止が目的であれば表面固有抵抗値を1012Ω台以下にすればよいことが知られている。界面活性剤の分子は親水基と親油基を持ち、合成樹脂成型品の表面に塗布すると親油基が合成樹脂成型品の表面に向き、外部を向いた親水基が空気中の水分を吸着し、その水分子の層がわずかな電気伝導性を発現することで電荷を漏洩させるが湿度依存性であることが難点である。界面活性剤などの帯電防止剤を合成樹脂成型品に適用するには、1)合成樹脂成型品の表面に塗布する方法、2)合成樹脂成型品内部に練り込む方法がある。塗布用(外部用)帯電防止剤は使用法が簡便であるが、表面を拭き取ったり洗浄したりすると、その制電性が著しく低下する欠点がある。また練り込み用(内部用帯電防止剤)では練り込まれた帯電防止剤は少しずつ表面に浸出(ブリードアウト)することで帯電防止作用を持続するが、合成樹脂のガラス転移点以下の温度では拡散が起こりにくい欠点を有している。一方、カーボンブラックを導電性フィラーとして添加する方法が汎用的であるが、この方法だと、合成樹脂成型品中に濃密に分散したカーボンブラックが電荷の通り道となる導電回路を形成することで優れた導電性を付与するものであり、効果の持続性や湿度依存性に優れている。しかし、カーボンブラック自体の黒色の影響で合成樹脂成型品外観を黒色として、透明品、あるいは任意の着色品が得られない問題がある。
そこで、界面活性剤やカーボンブラックなどの一長一短のある帯電防止剤を使用せずに、導電性を付与する手段として、織布の両面に軟質合成樹脂層を設けてなるフレキシブルコンテナで、軟質合成樹脂層に導電性可塑剤(特にリチウムイオン系可塑剤)を含有するフレキシブルコンテナ(特許文献1)が提案されている。しかしリチウムイオン系可塑剤は可塑化効率が悪く、所望の表面固有抵抗1010 Ω以下導電性を得るために多量の配合量を必要とし、さらに汎用可塑剤も相当量必要とする(実施例1、実施例2)ため、軟質合成樹脂層が軟弱化、かつ脆弱化する傾向がありフレキシブルコンテナとして実用的ではない。また、帯電防止性に優れ、高い制電性を長期間保持する成形品を得ることができ、金属類を包装する場合、金属表面を腐食、発錆汚染することがないフィルムを得るための制電性組成物として、エーテル結合および/またはエステル結合を含む化合物、または重合体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩類などをハイドロタルサイトやイオン交換樹脂などで吸着処理した成分(実施例1−26)による制電性組成物(特許文献2)が開示されている。しかし、制電性組成物としてハイドロタルサイトやイオン交換樹脂などで吸着処理した成分を透明フィルムに多量に含むほど、制電性が向上する反面、フィルム外観が白濁を伴い、透視性、視認性を損なう問題を生じている。従って、界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、透明性、視認性を損なわずに高度の帯電防止性を持続的に得ることが出来、しかも抗菌・防黴性を兼備していれば、シートシャッター、間仕切り、フロアシート、機器カバー、エプロンなどの用途に、広く活用展開することができるようになる。
特開2002−240884号公報 特開2003−277622号公報
本発明は、界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、より優れた抗菌性・防黴性の静電気対策シート(シートシャッター、間仕切り、フロアシート、機器カバー、エプロンなど)の提供を課題とする。
本発明は、上記の現状に鑑みて研究、検討を重ねた結果、帯電防止性樹脂層が、分子中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を含有することによって、上記従来技術で困難であった、界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、より優れた抗菌性・防黴性の静電気対策シートが得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の帯電防止性抗菌膜材は、織物を基材として、この基材に設けられた少なくとも1層の帯電防止性樹脂層を有する可撓性積層体であって、この帯電防止性樹脂層が、分子中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を含有することが好ましい。これによって、界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、より優れた抗菌性・防黴性の静電気対策シートを得ることができる。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記環状ポリエーテルイオン錯体が、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、チアクラウンエーテル、アザチアクラウンエーテル、クリプタンド、の環状ポリエーテル群から選ばれた1種以上、及び前記環状ポリエーテル群に官能基及び/または置換基を導入した誘導体群、及び前記環状ポリエーテル構造を繰り返し単位に有する重合体群、から選ばれた1種以上を基体とするイオン錯体であることが好ましい。環状ポリエーテルイオン錯体の存在によって、より帯電防止性と抗菌・防黴性に優れた静電気対策シートを得ることができる。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記イオン錯体が、銀イオン錯体、銅イオン錯体、亜鉛イオン錯体、アルミニウムイオン錯体、リチウムイオン錯体、ニッケルイオン錯体、カリウムイオン錯体、及びコバルトイオン錯体、から選ばれた1種以上であることが好ましい。このようなイオン錯体の存在によって、より帯電防止性と抗菌・防黴性に優れた静電気対策シートを得ることができる。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記エステル化合物が、〔化1〕、〔化2〕から選ばれた1種以上であることが好ましい。このような液状エステル化合物の存在によって、より帯電防止性に優れた静電気対策シートを得ることができる。

〔化1〕
R(AO)OOC−X−COO(AO)
(式中、Xは:C、C、C10、C〜C16、Rは:C3〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基(Rは互いに同一または異なる)、Aは:C2〜4のアルキレン基、mとnは1〜10の整数(互いに同一または異なる)で表される化合物)

〔化2〕
CO(OCHCH-RCOOR
(式中、R及びRは:C3〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはアルケニル基、Rは:H、CH、C、nは3〜20の整数で表される化合物)
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記エステル化合物、及び前記環状ポリエーテルイオン錯体の併用質量比が、100:1〜5:1であることが好ましい。液状エステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体の存在によって、より帯電防止性、及び抗菌・防黴性に優れた静電気対策シートを得ることができる。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記可撓性積層体上の少なくとも片面上に塗膜層が全面形成、または網状形成されていて、前記塗膜層が、カーボンナノチューブ、フラーレン及びπ電子共役系導電性ポリマーから選ばれた1種以上を含むことが好ましい。特に帯電防止性樹脂層上に塗膜層を有することによってより帯電防止効果を高めることを可能とする。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記塗膜層が、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及びアルミナ、から選ばれた1種以上のナノ粒子と、シラン化合物とをさらに含み、前記塗膜層に対して0.1〜5質量%のナノ粒子ネットワークを構成していることが好ましい。塗膜層にナノ粒子ナノ粒子ネットワークをさらに含むことによってより帯電防止効果を高めることを可能とする。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、前記塗膜層が、前記可撓性積層体の片表面当たり、少なくとも20%の面積占有率を有する連続体であることが好ましい。このような面積占有率の塗膜層が連続体を成すことで、より帯電防止効果を高め、しかも良好な視認性を維持することを可能とする。
本発明によれば、界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、より帯電防止性に優れた抗菌性・防黴性の静電気対策シートが得られるので、シートシャッター、間仕切り、フロアシート、機器カバー、エプロンなどの産業資材シートに広く用いることができる。
本発明の帯電防止性抗菌膜材は、織物を基材として、この基材に設けられた少なくとも1層の帯電防止性樹脂層を有する可撓性積層体であって、この帯電防止性樹脂層が、分子中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を併用質量比、100:1〜10:1で含有する態様で、特に可撓性積層体上の少なくとも片面上に塗膜層が全面形成、または網状形成され、帯電防止性樹脂層の片表面当たりに対して、20%以上の面積占有率を有する連続体の塗膜層である。
本発明に使用する基材としての繊維織物は、織布、編布、不織布などの何れの形態でも使用でき、織布としては、平織物(経糸、緯糸とも最少2本ずつ用いた最小構成単位を有する)、バスケット織物(例えば2×2、3×3、4×4などの正則バスケット織、3×2、4×2、4×3、5×3、2×3、2×4、3×4、3×5などの不規則バスケット織)、綾織物(経糸、緯糸とも最少3本ずつ用いた最小構成単位を有する:3枚斜文、4枚斜文、5枚斜文、6枚斜文、8枚斜文など)、朱子織物(経糸、緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位を有する:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱子)、及び変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、二重織物なども使用できるが、特に平織物、2×2バスケット織物が経緯物性バランスに優れ好ましい。上記の織物には精練、漂白、染色、柔軟化、撥水、防水、防炎、毛焼き、カレンダー、バインダー固着、接着剤塗布などの公知の繊維処理加工を単数、または複数を施したものを使用することもできる。
繊維織物を構成する糸条は、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混合繊維など、何れも使用できるが、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル(PET、PBT、PNT)繊維、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、ナイロン繊維、全芳香族ポリアミド繊維、芳香族ヘテロ環ポリマー(ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾールなど)繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、または、これらの混合繊維などの合成繊維が使用でき、特にポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)繊維が好ましい。これらの糸条の態様は、モノフィラメント、マルチフィラメント、短繊維紡績(スパン)、スプリット、テープなどであるが、膜材のフレキシブル性、及び引裂強度を確保するためにはマルチフィラメント、または短繊維紡績(スパン)が好ましい。また、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭素繊維などのマルチフィラメント糸条も使用でき、これらの無機系繊維は特に国土交通大臣認定の不燃材料(膜天井構造物、テント構造物、間仕切り構造物)用に適し、特にガラス繊維マルチフィラメント糸条が好ましい。
本発明に使用する繊維織物は、マルチフィラメント糸条からなる織物、または短繊維紡績布(スパン)であることが好ましく、マルチフィラメント糸条は、250〜3000デニール(277〜3333dtex)の範囲、特に500〜2000デニール(555〜2222dtex)が好ましく、必要に応じて無撚糸(断面が楕円または扁平)、または撚糸が使用できる。また短繊維紡績糸条は、10番手(591dtex)〜60番手(97dtex)の範囲、特に10番手(591dtex)、14番手(422dtex)、16番手(370dtex)、20番手(295dtex)、24番手(246dtex)、30番手(197dtex)など、これらの単糸、または双糸(片撚糸)、単糸2本以上による合撚糸(諸撚糸)などが好ましい。織物の経糸及び緯糸の打込み密度に制限は無く、用いる糸条の太さ(デニール、番手)に応じて任意の設計が可能であるが、織物の空隙率(目抜け)が、0〜30%の範囲となる打込み密度で、目付量100〜500g/mの織物が帯電防止性抗菌膜材の基材に適している。空隙率は繊維織物の単位面積中に占める糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。マルチフィラメント糸条で製織された織物(空隙率7.5〜30%)の好ましくは両面に、熱可塑性樹脂フィルムを熱ラミネートして帯電防止性樹脂層を形成する製造に適し、また短繊維紡績布(スパン)の場合、空隙率0〜5%の短繊維紡績布(スパン)の好ましくは両面に、液状熱可塑性樹脂を用いてのコーティング〜熱処理、またはデッピィング〜熱処理による帯電防止性樹脂層の形成に適している。
帯電防止性樹脂層は、軟質塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PP)、オレフィン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーン系エラストマーなどの熱可塑性樹脂(エラストマー)を、単独またはブレンド併用で用い、これらの樹脂に、分子中1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を含有する樹脂組成物を用い、コーティング加工、カレンダー圧延成型またはTダイス押出成型した、1層あたり100〜1000g/m、特に200〜500g/mのフィルムまたはシートが使用でき、これらの帯電防止性樹脂層を積層したターポリンが好ましい。本発明においては特に、軟質塩化ビニル樹脂組成物(アルキル鎖中にエーテル結合を1以上含むエステル化合物含有)から形成されるもので、ペースト塩化ビニル樹脂(乳化重合タイプ)を用いたコーティングまたはディッピング〜ゲル化熱処理による被膜形成、或いはストレート塩化ビニル樹脂(懸濁重合タイプ)を用いて、カレンダー圧延成型またはTダイス押出成型した塩化ビニル樹脂フィルム(シート)による被膜形成が好ましい。ペースト塩化ビニル樹脂は帆布の被覆層に適し、ストレート塩化ビニル樹脂はターポリンの被覆層に好適である。また帯電防止性樹脂層は、塩化ビニル樹脂のみならず、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体樹脂、塩化ビニルを主鎖として側鎖に酢酸ビニル成分を有する、またはアクリル酸エステル成分を有する、またはウレタン成分を有するグラフト樹脂、塩化ビニル樹脂とウレタンエラストマーのポリマーアロイ、塩化ビニル樹脂とポリエステルエラストマーのポリマーアロイ、塩化ビニル樹脂とスチレン系エラストマーとのポリマーアロイ、などであってもよい。
アルキル鎖中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物は導電性を有する可塑剤として作用し、このような導電性可塑剤は〔化1〕、〔化2〕から選ばれた1種以上である。特に帯電防止性樹脂層が軟質塩化ビニル樹脂組成物で構成される場合、帯電防止性樹脂層の質量に対しての可塑剤量は10〜60質量%(軟質塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂の場合は1〜10質量%)で、この可塑剤量に対する導電性可塑剤〔化1〕、及び/または〔化2〕の占有率は50〜100質量%が好ましい。導電性可塑剤〔化1〕、及び/または〔化2〕と併用する場合の可塑剤は、フタル酸エステル系可塑剤、イソフタル酸エステル系可塑剤、テレフタル酸エステル系可塑剤、シクロヘキサンジカルボン酸エステル系可塑剤、シクロヘキセンジカルボン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素3元共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素3元共重合体樹脂などが例示される。

〔化1〕
R(AO)OOC−X−COO(AO)
(式中、Xは:C、C、C10、C〜C16、Rは:C3〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基(Rは互いに同一または異なる)、Aは:C2〜4のアルキレン基、mとnは1〜10の整数(互いに同一または異なる)で表される化合物)

〔化2〕
CO(OCHCH-RCOOR
(式中、R及びRは:C3〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはアルケニル基、Rは:H、CH、C、nは3〜20の整数で表される化合物)
上記〔化1〕式のエステル化合物の製造に用いられるジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、ブラシル酸、テトラヒドロフタル酸、フタル酸などのジカルボン酸が好ましく、上記〔化2〕式のエステル化合物の製造に用いられるカルボン酸としては、モノカルボン酸、三価以上の多価カルボン酸、またはエポキシシクロヘキサン環を有する二価カルボン酸である。これらのカルボン酸はメチル基、エチル基などのアルキル基、水酸基、酸素、ケイ素、ハロゲンなどのヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。モノカルボン酸としては炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、更に炭素数3〜8のカルボン酸残基からなる脂肪族、脂環式若しくは芳香族の多塩基酸で、具体的には、クエン酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、エポキシヘキサヒドロフタル酸などの脂環式カルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸、並びにこれらのカルボン酸の酸無水物などを用いることができる。上記〔化1〕式、及び上記〔化2〕式のエステル化合物は上記カルボン酸を単独で用いたもの、あるいは2種以上の混合物を用いたものである。
このような導電性可塑剤〔化1〕は具体的に、フタル酸ジエチルセロソルブ、フタル酸ジブチルセロソルブ、アジピン酸ジエチルセロソルブ、アジピン酸ジブチルセロソルブ、アゼライン酸ジエチルセロソルブ、アゼライン酸ジブチルセロソルブ、セバシン酸ジエチルセロソルブ、セバシン酸ジブチルセロソルブ、などのジカルボン酸アルキルセロソルブ系エステル化合物、及びアジピン酸、フタル酸などのジカルボン酸と、モノ−及びポリ−アルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応物が挙けられる。モノ−及びポリ−アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールなどのアルコールとエチレンオキシドとの付加化合物、アルコールとプロピレンオキシドとの付加化合物、アルコールとブチレンオキシドとの付加化合物、あるいは、アルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどアルキレンオキシドから選ばれた2種以上のアルキレンオキシドとの付加化合物であり、これらは具体的に、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテルなどの(モノ〜ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルなど、その他、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキソネート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキソネート、ヘキサエチレングリコールジ−2−エチルヘキソネート、トリエチレングリコールジエチルブチレート、ポリエチレングリコールジエチルブチレート、ポリプロピレングリコールジエチルヘキソネート、トリエチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、またはポリエチレングリコール−2−エチルヘキソネートベンゾエートなどである。また導電性可塑剤〔化2〕は、トリエチレングリコールのカプリル酸エステル、テトラエチレングリコールのオクチル酸エステル、ポリエチレングリコールと2−エチル酢酸とのジエステル、ポリエステルグリコールと2−エチルヘキ酸とのジエステルなどがあげられる。
環状ポリエーテルイオン錯体としては、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、チアクラウンエーテル、アザチアクラウンエーテル、クリプタンド、などの環状ポリエーテル群から選ばれた1種以上、及びこれらの環状ポリエーテル群に官能基及び/または置換基を導入した誘導体群、及びこれらの環状ポリエーテルを繰り返し単位に有する重合体群、から選ばれた1種以上を基体とするイオン錯体で、これらの環状ポリエーテルイオン錯体は導電性、及び抗菌・防黴性を発現する。(抗菌性は、黄色ブドウ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、および腸管出血性大腸菌などに対して、その増殖を抑止する効果を主体とするものである。)すなわち環状ポリエーテルイオン錯体は、環状ポリエーテル銀イオン錯体、環状ポリエーテル銅イオン錯体、環状ポリエーテル亜鉛イオン錯体、環状ポリエーテルアルミニウムイオン錯体、環状ポリエーテルリチウムイオン錯体、環状ポリエーテルニッケルイオン錯体、環状ポリエーテルカリウムイオン錯体、及び環状ポリエーテルコバルトイオン錯体、から選ばれた1種以上である
具体的に環状ポリエーテルイオン錯体は、クラウンエーテル銀イオン錯体、クラウンエーテル銅イオン錯体、クラウンエーテル亜鉛イオン錯体、クラウンエーテルアルミニウムイオン錯体、クラウンエーテルリチウムイオン錯体、クラウンエーテルニッケルイオン錯体、クラウンエーテルカリウムイオン錯体、クラウンエーテルコバルトイオン錯体などのクラウンエーテル系、アザクラウンエーテル銀イオン錯体、アザクラウンエーテル銅イオン錯体、アザクラウンエーテル亜鉛イオン錯体、アザクラウンエーテルアルミニウムイオン錯体、アザクラウンエーテルリチウムイオン錯体、アザクラウンエーテルニッケルイオン錯体、アザクラウンエーテルカリウムイオン錯体、及びアザクラウンエーテルコバルトイオン錯体、などのアザクラウンエーテル系、チアクラウンエーテル銀イオン錯体、チアクラウンエーテル銅イオン錯体、チアクラウンエーテル亜鉛イオン錯体、チアクラウンエーテルアルミニウムイオン錯体、チアクラウンエーテルリチウムイオン錯体、チアクラウンエーテルニッケルイオン錯体、チアクラウンエーテルカリウムイオン錯体、及びチアクラウンエーテルコバルトイオン錯体、などのチアクラウンエーテル系、アザチアクラウンエーテル銀イオン錯体、アザチアクラウンエーテル銅イオン錯体、アザチアクラウンエーテル亜鉛イオン錯体、アザチアクラウンエーテルアルミニウムイオン錯体、アザチアクラウンエーテルリチウムイオン錯体、アザチアクラウンエーテルニッケルイオン錯体、アザチアクラウンエーテルカリウムイオン錯体、及びアザチアクラウンエーテルコバルトイオン錯体、などのアザチアクラウンエーテル系、クリプタンド銀イオン錯体、クリプタンド銅イオン錯体、クリプタンド亜鉛イオン錯体、クリプタンドアルミニウムイオン錯体、クリプタンドリチウムイオン錯体、クリプタンドニッケルイオン錯体、クリプタンドカリウムイオン錯体、及びクリプタンドコバルトイオン錯体、などのクリプタンド系、から選ばれた1種以上、少なくとも銀イオン錯体を含むことが好ましい。
クラウンエーテルは、9−クラウン−3、12−クラウン−4,15−クラウン−5,18−クラウン−6,21−クラウン−7、24−クラウン−8,27−クラウン−9,30−クラウン−10,33−クラウン−11、36−クラウン−12などの、〔(9+3n)−クラウン−(3+n)〕式:nは1以上の整数で表される環状ポリエーテルで、頭の数字は全原子数、末尾の数字は酸素原子数を表す。またベンゾクラウンエーテルとして、これらの〔(9+3n)−クラウン−(3+n)〕式のクラウンエーテルに、少なくとも1個のベンゼン環がクラウンエーテルの2個の炭素原子と共有して結合したもので、例えば18−クラウン−6を例にすれば、ベンゾ18−クラウン−6、ジベンゾ18−クラウン−6、トリベンゾ18−クラウン−6、ヘキサベンゾ18−クラウン−6が例示できる。またシクロヘキサノクラウンエーテルとして、これらの〔(9+3n)−クラウン−(3+n)〕式のクラウンエーテルに、少なくとも1個のシクロヘキサン環がクラウンエーテルの2個の炭素原子と共有して結合したもので、例えば18−クラウン−6を例にすれば、シクロヘキサノ18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ18−クラウン−6、トリシクロヘキサノ18−クラウン−6、ヘキサシクロヘキサノ18−クラウン−6が例示できる。アザクラウンエーテル、ベンゾアザクラウンエーテル、シクロヘキサノアザクラウンエーテルは、前述のクラウンエーテル群の酸素原子の一部または全部を窒素原子(NH)に置換したものが相当する。同様にチアクラウンエーテル、ベンゾチアクラウンエーテル、シクロヘキサノチアクラウンエーテルは、前述のクラウンエーテル群の酸素原子の一部または全部を硫黄原子(S)に置換したものが相当する。同様にアザチアクラウンエーテル、ベンゾアザチアクラウンエーテル、シクロヘキサノアザチアクラウンエーテルは、前述のクラウンエーテル群の酸素原子の一部または全部を窒素原子(NH)と硫黄原子(S)に置換したものが相当する。
またクラウンエーテル誘導体群としては、段落〔0025〕、〔0026〕に記載したクラウンエーテルに官能基及び/または置換基を導入したもので、官能基としては例えば、ヒドロキシ基、ビニル基、アクリロイル基、アシル基、アセチル基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、イソシアネート基、スルホ基、ニトロ基、チオール基などが例示でき、置換基としては例えば、アルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、フェニル基、ナフチル基、アラアルキル基、ベンジル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、メトキシ基、エトキシ基などが例示できる。またこれら置換基の末端、及び/または側鎖には、上述の官能基を有していてもよい。また環状ポリエーテルを繰り返し単位に有する重合体群としては、クラウンエーテル誘導体群の二量体、三量体、複数のクラウンエーテルの立体構造体である双環状クリプタンド[2.2]、三環状クリプタンド[2.2.2]、及びポリマー(重合体)、またはデンドリマーであり、特にポリマーは、環状ポリエーテル構造を有するモノマーAと、モノマーAと付加反応し得るモノマーBとの公知の重合体が挙げられ、これらはポリエステル系樹脂(−COOH + −OH)、ポリアミド系樹脂(−COOH + −NH)、ポリウレタン系樹脂(−NCO + −OH)、ポリケトン樹脂(−COOH + ジベンゾクラウンエーテル:フリーデルクラフツ反応)など、モノマーAの単独重合によるアクリル系樹脂、ビニル系樹脂などで、ポリマーの直鎖中、または側鎖中に環状ポリエーテル構造を有するもので、特に環状ポリエーテル構造を有するモノマーAは、予め環状ポリエーテル銀イオン錯体、環状ポリエーテル銅イオン錯体、環状ポリエーテル亜鉛イオン錯体、環状ポリエーテルアルミニウムイオン錯体、環状ポリエーテルニッケルイオン錯体、及び環状ポリエーテルコバルトイオン錯体、の何れかを形成し、環状ポリエーテルイオン錯体の状態で付加反応、もしくは単独重合することが好ましい。本発明に用いる環状ポリエーテルイオン錯体は、一個の金属原子(イオン)に対して複数の環状ポリエーテル(クラウンエーテル)で包囲した態様、一個の金属原子(イオン)に対して2個の環状ポリエーテル(クラウンエーテル)でサンドイッチした態様を包含する。
帯電防止性樹脂層が軟質塩化ビニル樹脂組成物で構成される場合、帯電防止性樹脂層の質量に対して10〜60質量%(軟質塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂の場合は1〜10質量%)の可塑剤を用い、この可塑剤量に対する導電性可塑剤〔化1〕、及び/または〔化2〕の占有率は50〜100質量%が好ましい。段落〔0021〕〜〔0023〕に記載のエステル化合物、及び段落〔0024〕〜〔0027〕に記載の環状ポリエーテルイオン錯体の併用質量比は、100:1〜5:1、特に50:1〜10:1であることが好ましい。上記エステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体の存在によって、より帯電防止性、及び抗菌・防黴性に優れた静電気対策シートを得ることができ、環状ポリエーテルイオン錯体の含有量が100:1未満だと帯電防止性、及び抗菌・防黴性が不十分となることがあり、また環状ポリエーテルイオン錯体の含有量が5:1を超えると帯電防止性樹脂層の透明性が不十分となることがある。
また帯電防止性樹脂層には、カルシウム亜鉛複合系、バリウム亜鉛複合系、有機錫ラウレート、有機錫メルカプタイト、エポキシ系などの安定剤を単独あるいは複数種併用して用いることが、本発明の帯電防止性抗菌膜材の製造時の熱劣化や変色を抑止し、さらに耐候性を向上させる。また本発明の帯電防止性抗菌膜材は顔料着色が自在で、特に白、パステル色などの着色はインクジェットプリントやマーキングフィルム文字入れのコントラストを鮮明とする。その他、熱可塑性樹脂用の公知の添加剤を種々任意量配合することができ、必要に応じて、難燃剤(リン含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物、ハロゲン置換有機化合物)、耐光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、酸化防止剤(フェノール系)、蛍光増白剤、帯電防止剤、硬化剤(イソシアネート系など)、防虫剤(ピレスロイド系など)、消臭剤(酸化珪素・金属酸化物複合系など)、遮熱フィラー(中空粒子、粗粒酸化チタンなど)、芳香剤、蓄光顔料(アルミン酸ストロンチウム系など)、アルミフレーク顔料、パール顔料、無機充填剤(炭酸カルシウム、硫酸バリウムなど)などを含むことができる。
特に帯電防止性樹脂層には防黴性有機化合物を含むことが好ましく、防黴性有機化合物としては、黴、細菌(グラム陽性、グラム陰性)、真菌などの細胞壁、細胞膜、細胞質、及び細胞核などに対して、酸化的リン酸化阻害、電子伝達系阻害、−SH基阻害、DNA合成阻害、細胞表皮機能阻害、脂質代謝阻害、キレート形成などの作用を及ぼす有機化合物で具体的に、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、トリアゾール系化合物、N−ハロアルキルチオ系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、フェノキシアルシン化合物など、具体的に、10,10−オキシビスフェノキシアルシン、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールが特に好ましい。これら防黴性有機化合物は、メソポーラスシリカ、(合成)ゼオライト、チタンゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、シリカアルミナ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイソウ土、及びこれらのシランカップリング剤処理物、から選ばれた1種以上の無機多孔質粒子に担持されていることが好ましい。帯電防止性樹脂層(特に軟質塩化ビニル樹脂組成物)に含むこれらの防黴性有機化合物または無機多孔質粒子担持物の含有率は帯電防止性樹脂層に対して、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。
可撓性積層体上の少なくとも片面上には塗膜層が全面形成、または網状形成されていることによってより帯電防止効果を高めることができる。この塗膜層が、1).カーボンナノチューブ、フラーレン及びπ電子共役系導電性ポリマーから選ばれた1種以上を含み、特にバインダー樹脂を含むことが摩耗耐久性の観点において好ましい。カーボンナノチューブ、及び/またはフラーレンの含有量は塗膜層に対して0.1〜6質量%、好ましくは0.3〜3質量%であり、π電子共役系導電性ポリマーは単独、またはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系共重合体樹脂などと任意濃度で併用することができ、これら単独樹脂、または併用樹脂をバインダー樹脂として、カーボンナノチューブ、及び/またはフラーレンと併用することもできる。塗膜層に含むバインダー樹脂は塗膜層に対して94〜99.9質量%で、バインダーは有機化合物、無機化合物、及び有機化合物と無機化合物との混合物の何れであってもよく、有機化合物としては、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル系共重合体樹脂、(メタ)アクリレートのラジカル重合体(紫外線硬化樹脂)、ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、シリコン変性ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢ビニル共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂が例示できる。また無機化合物は、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化ニオブゾルなどの金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルと、ポリシロキサン、コロイダルシリカ、シリカなどのケイ素化合物を主体とするゾルゲル薄膜が例示できる。2).更に1)の塗膜層には、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及びアルミナ、から選ばれた1種以上のナノ粒子と、シラン化合物(メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなど)とを、ナノ粒子とシラン化合物または、その加水分解生成物との混合比率、質量%比9:1〜4:6で含み、塗膜層に対して0.1〜5質量%のナノ粒子ネットワークを構成させることで、より帯電防止効果を高めることができる。
上記塗膜層は各々、可撓性積層体の片表面当たり(塗膜層を設ける対象面の面積に対して)、20〜100%、好ましくは、35〜70%の面積占有率を有する連続体で、0.05〜20g/m、好ましくは0.5〜10g/mの導電性塗膜による導電性ネットワークを可撓性積層体の片面、または両面に附帯させることで、より帯電防止効果を高めることができる。このような連続体(ネットワーク)は、四角格子状、三角格子状、ハニカム状、丸穴パンチング状、網目状などの規則的連続体、または不規則な連続体、さらには一筆書き文字または模様、あみだくじ状、などが例示される。このような塗膜層(導電性ネットワーク)は、グラビアロールによる印刷手段、またはロータリースクリーンによる印刷手段により形成される。
カーボンナノチューブは、平均繊維径0.5〜100nm、アスペクト比50〜5000のもので、整列したもの、ランダムに配列したものなど何れであってもよい。種別的には、直径0.4nm〜5nmの単層カーボンナノチューブ、直径1.5nm〜5nmの二層カーボンナノチューブ、直径3nm〜50nmの多層カーボンナノチューブ、カップ積重型カーボンナノチューブ、酸化カーボンナノチューブ、官能化カーボンナノチューブ(末端修飾及び/または側壁修飾)、金属(蒸着またはスパッタ)カーボンナノチューブ、から選ばれた1種以上で、カーボンナノチューブを構成する六角形の配置(カイラル指数)が(n,n)のアームチェア型、(n,0)のジグザグ型、(n,m)のヘリカル型の何れであってもよい。これらのカーボンナノチューブは、Ru、Ir、W、Mo,Mn、Ni,及びCoなどの遷移金属の酸化物と併用することでさらに導電性を向上させることができる。特にπ電子共役系導電性ポリマー(段落〔0035〕記載)などはバインダーとしても兼用できる。特に金属(蒸着またはスパッタ)カーボンナノチューブは、Au、Ag、Cu、Al、Zn、Tiなどを蒸着法またはスパッタ法によって表面が金属化されたカーボンナノチューブで、特に2層構造で、アンカーをTi層とするAu/Ti、Ag/Ti、Cu/Tiが、導電性が効果的に向上する。
フラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、有機修飾フラーレン、無機修飾フラーレン、非金属原子内包フラーレン、及び金属原子内包フラーレン、などが使用できる。C60フラーレンは6員環20面と、5員環12面の32面で構成されたサッカーボール状の籠体で、有機修飾フラーレンは、C60、またはC70フラーレンの表面に1個以上の置換基、及び/または1個以上の官能基を有するもの、あるいはポリマー側鎖に官能基置換フラーレンがグラフトしたポリマーである。金属内包フラーレンは上記何れかのフラーレンに、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、ランタノイド、アクチノイドの原子、または金属イオンが取り込まれたものである。非金属原子内包フラーレンは、上記何れかのフラーレンに、Hを含む水素化フラーレン、Cを含む炭素化フラーレン、Nを含む窒素化フラーレン、Oを含む酸素化フラーレン、Sを含む硫黄化フラーレンなどである。
π電子共役系導電性ポリマーは具体的に、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体、誘導体ポリマーなどの主鎖がπ共役系で構成され、その側鎖、置換基の有無、側鎖、置換基の種類の限定は特にないが、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などで、ポリピロール及び、ポリチオフェンが特に好ましく、特にポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は、有機溶媒への溶解性に優れ好ましい。またπ電子共役系導電性ポリマーに、高分子状カルボン酸塩(ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸など)をドーピング、あるいは高分子状スルホン酸(ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などをドーピングしたり、または高分子状カルボン酸塩と高分子状スルホン酸とを質量比2:1〜1:5で併用ドーピングすることで導電性をより高度にすることができる。π電子共役系導電性ポリマーと高分子状カルボン酸塩との比率は10:1〜1:1、π電子共役系導電性ポリマーと高分子状カルボン酸塩及び高分子状スルホン酸との比率は5:1〜1:1が好ましく、高分子状カルボン酸塩、または高分子状カルボン酸塩及び高分子状スルホン酸は、π電子共役系導電性ポリマー合成時に、π電子共役系導電性ポリマーのモノマーと共に共存し、π電子共役系導電性ポリマー合成の酸化重合時にπ電子共役系導電性ポリマー中にドーピングしたものが好ましい。
本発明の帯電防止性抗菌膜材を、シートシャッター、間仕切り、フロアシート、機器カバー、フレキシブルコンテナなどに加工するために、本発明の帯電防止性抗菌膜材同士の接合(同じ面に向き揃えての端部重ね合わせ接着)は、高周波ウエルダー機を用いて高周波振動によって接合を行うことができる。具体的に、2ヶ所の電極(一方の電極は、ウエルドバー)間に膜材を置き、ウエルドバーで加圧しながら高周波(1〜200MHz)で発振する電位差を印加することで膜材の帯電防止性樹脂層を分子摩擦熱で溶融軟化状態とすることで融合し、その状態で冷却固化して接合体を得る。また、超音波振動子から発生する超音波エネルギー(16〜30KHz)の振幅を増幅させ、膜材の境界面に発生する摩擦熱を利用して融合を行う超音波融着法、またはヒーターの電気制御によって、100〜700℃に無段階設定された熱風を、ノズルを通じて膜材間に吹き込み、膜材の表面を溶融軟化させ、ノズル通過直後膜材を圧着して融合を行う熱風融着法、帯電防止性樹脂層の溶融温度以上にヒーター内蔵加熱した金型(こて)を用いて被着体を圧着し融合を行う熱板融着法などによって接合可能である。上記の接合方法において、塗膜層の面積占有率が90〜100%だと、塗膜層のバインダー樹脂と帯電防止性樹脂層との相溶性が悪い程、あるいは軟化温度の温度差が大きい程、得られる膜材同士の接合接着力が不十分となるので、塗膜層の面積占有率を35〜70%として、塗膜層以外の領域、すなわち表面露出する帯電防止性樹脂層と、もう一方の膜材の裏面の帯電防止性樹脂層同士が少なくとも熱溶融して強固に接着可能な状態を設けることが望ましい。
次ぎに実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、帯電防止性抗菌膜材の効果は、表面抵抗率によって評価した。
(1)表面抵抗率測定(JIS K7194準拠)
23℃、相対湿度50%RHで膜材片を24時間静置後、下記の抵抗率計(JIS K7194準拠)を用い表面抵抗率を3回測定し、その平均値を表面抵抗率とした。但し表面抵抗率の良し悪しは導電性材料の配合量によって左右されるものであるため、本発明の課題である「低着色性」を具備することを前提に帯電防止性の良し悪しを判断した。
以下の実施例の帯電防止性の基準は表面抵抗率107Ω/□〜109Ω/□、表面抵抗率1010Ω/□以下のものは比較例とした。
1)高抵抗・抵抗率計
株式会社三菱化学アナリテック製「ハイレスタUP MCP-HT800(レンジ103〜1014Ω)」
2)低抵抗・抵抗率計
株式会社三菱化学アナリテック製「ロレスタGX MCP-T700(レンジ10-4〜107Ω)」
(2)抗菌性(JIS Z2801:2010年準拠)一般財団法人カケンテストセンター委託
試験片シートの表面に菌液を滴下して植菌し(植菌数は10とした。)、上記得られたシートが菌液に接するように、菌液とシートを密着させ、35℃±1℃、相対湿度90%以上の環境下で24時間±1時間培養した。その後、試験片シートを洗い流し、試験片シート1cmあたりの生菌数を測定し、抗菌活性値(対象区における菌数対数値から実施例で製造したシートにおける菌数対数値を差し引いた値)を算出した。なお、対象区は、環状ポリエーテルイオン錯体を添加しないシートとした。菌液調整溶液は1/200NB培地を用いた。使用した菌種を以下に示す。表中の数値は試験片1cm当たりの生菌数であり、「ND」は生菌の不検出(Not Detected)とする。
黄色ぶどう球菌「Staphylococcus aureus subsp. aureus 12732」
大腸菌「Escherichia coli NBRC 3972」
(3)防黴性(JIS Z2911培養試験)
幅3cm×長さ3cmの試験片シートに、下記試験用黴の胞子を接種し、ポテト・デキストロース寒天培地上に置き、シャーレ中で28℃×7日間、黴の発生状況を観察し、以下の判定基準で評価した。
1:試験片の接種部分に菌糸の発育が認められない
2:試験片の接種部分に認められる菌糸の発育部分の面積が
全面積の 1/3 を超えない
3:試験片の接種部分に認められる菌糸の発育部分の面積が
全面積の 1/3 を超える
〈試験用黴〉(A)+(B)+(C)の混合黴
(A) Aspergillus niger NBRC 105649(黒黴)
(B) Penicillium citrinum NBRC 6352(青黴)
(C) Cladosporium cladosporioides NBRC 6348(クロカワ黴)
[実施例1]
ポリエステル繊維平織基布(経糸1111dtexマルチフィラメント糸条:糸密度22本/2.54cm×緯糸1111dtexマルチフィラメント糸条:糸密度24本/2.54cm:空隙率21%:質量165g/m)を基材として、その両面に下記軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)からなる厚さ0.2mmのカレンダー成型フィルムを帯電防止性樹脂層として熱圧着によるブリッジ溶融ラミネートにより、「帯電防止性樹脂層/基布/帯電防止性樹脂層」からなる、厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(1)を得た。
〈軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)〉
塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
導電性可塑剤(1) 30質量部
※nオクタノールにエチレンオキシドを付加したアルコールとアジピン酸との反応に
よるアジピン酸ジエステル:(エーテル結合を2個有するエステル化合物〔化1〕
に相当)
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)(可塑剤)
20質量部
リン酸トリクレジル(防炎可塑剤) 10質量部
エポキシ化大豆油(安定剤兼可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
18−モノアザチアクラウンエーテル−5銀(環状ポリエーテルイオン錯体1)
※−(CHCHS)CHCHNH−を環状にした空洞部に銀イオンを担持 3質量部
※導電性可塑剤(1)と環状ポリエーテルイオン錯体の併用質量比は10:1
[実施例2]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の導電性可塑剤(1)30質量部を、n−オクタノールにエチレンオキシドを付加したアルコールと無水フタル酸の反応によるフタル酸ジエステル:導電性可塑剤(2):(エーテル結合を2個有するエステル化合物〔化1〕に相当)、30質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(2)を得た。
[実施例3]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の導電性可塑剤(1)30質量部を、nオクタノールにプロピレンオキシドを付加したアルコールとセバシン酸との反応によるセバシン酸ジエステル: 導電性可塑剤(3):(エーテル結合を2個有するエステル化合物〔化1〕に相当)、30質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(3)を得た。
[実施例4]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の導電性可塑剤(1)30質量部を、テトラエチレングリコールのオクチル酸エステル: 導電性可塑剤(4):(エーテル結合を3個有するエステル化合物〔化2〕に相当)、30質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(4)を得た。
[実施例5]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の18−モノアザチアクラウンエーテル−5銀(環状ポリエーテルイオン錯体1)3質量部を、18−ジアザクラウンエーテル−4銅(環状ポリエーテルイオン錯体2)3質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(5)を得た。
※18−ジアザクラウンエーテル−4銅:
−〔(CHCHNH(CHCHO)−を環状にしたものが銅イオンを担持
[実施例6]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の18−モノアザチアクラウンエーテル−5銀(環状ポリエーテルイオン錯体1)3質量部を、ジベンゾ18−クラウン−6銀(環状ポリエーテルイオン錯体3)3質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(6)を得た。
※−CH(CHCHO)0(CHCHO)CH(CHCHO)0(CHCHO−を環状にした空洞部に銀イオンを担持
[実施例7]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の18−モノアザチアクラウンエーテル−5銀(環状ポリエーテルイオン錯体1)3質量部を、ジベンゾ18−クラウン−6銅(環状ポリエーテルイオン錯体4)3質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(7)を得た。
※−CH(CHCHO)0(CHCHO)CH(CHCHO)0(CHCHO−を環状にした空洞部に銅イオンを担持
[実施例8]
実施例1のターポリン(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の18−モノアザチアクラウンエーテル−5銀(環状ポリエーテルイオン錯体1)3質量部を、ジベンゾ18−クラウン−6リチウム(環状ポリエーテルイオン錯体5)3質量部に置換えた以外は実施例1と同様にして厚さ0.75mm、質量785g/mのターポリン(8)を得た。
※−CH(CHCHO)0(CHCHO)CH(CHCHO)0(CHCHO−を環状にした空洞部にリチウムイオンを担持
[実施例9]
実施例1のターポリン(1)の表面側の帯電防止性樹脂層上に、下記塗膜層(1)用の塗工液(固形分濃度16.9質量%)を用い、120メッシュの正方形格子柄グラビアロール塗工により、55.5%の面積占有率を有する格子状連続体(格子幅5mm、正方形空孔10mm×10mm)の塗膜層(1)を形成し、質量787g/mのターポリン(9)を得た。
〈塗膜層(1)用溶液〉
メタクリル酸メチル樹脂(アクリル樹脂) 100質量部
単層カーボンナノチューブ(直径1.5〜2.5nm) 0.5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
メチルエチルケトン(希釈溶剤) 250質量部
トルエン(希釈溶剤) 250質量部
[実施例10]
実施例9の塗膜層(1)用溶液の単層カーボンナノチューブ0.5質量部をフラーレンC60(直径1.01nm)0.5質量部に変更し、この溶液を塗膜層(2)用溶液として用い、塗膜層(2)を形成した以外は実施例9と同様として厚さ0.75mm、質量787g/mのターポリン(10)を得た。
[実施例11]
実施例9の塗膜層(1)用溶液を、下記塗膜層(3)用溶液に変更した以外は実施例9と同様として厚さ0.75mm、質量787g/mのターポリン(11)を得た。
〈塗膜層(3)用溶液〉
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)※ポリチオフェン 70質量部
メタクリル酸メチル樹脂(アクリル樹脂) 30質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
メチルエチルケトン(希釈溶剤) 250質量部
トルエン(希釈溶剤) 250質量部
[実施例12]
実施例9の塗膜層(1)用溶液を、下記塗膜層(4)用溶液に変更した以外は実施例9と同様として厚さ0.75mm、質量787g/mのターポリン(12)を得た。
〈塗膜層(4)用溶液〉
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)※ポリチオフェン 70質量部
メタクリル酸メチル樹脂(アクリル樹脂) 30質量部
オルガノシリカゾル(シリカのナノ粒子) 40質量部
※粒子径10〜15nm:固形分30質量%:メチルエチルケトン溶媒
メチルトリエトキシシラン(シラン化合物) 8質量部
※シリカゾルとメチルトリエトキシシランの質量比率3:2のナノ粒子ネットワークを
塗膜層中に形成
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
メチルエチルケトン(希釈溶剤) 250質量部
トルエン(希釈溶剤) 250質量部
[実施例1〜8の効果]
分子中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を含有する帯電防止性樹脂層を具備するターポリン(1)〜(8)は、何れも表面抵抗率10Ω/□程度か、それよりも優れた帯電防止性を有し、さらに抗菌性・防黴性を有するものであった。特に実施例1のターポリン(1)上に、格子状連続体の塗膜層(1)〜(4)を追加したターポリン(9)〜(12)は、何れも表面抵抗率10Ω〜10Ω/□の優れた帯電防止性を有し、さらに抗菌性・防黴性を有するものであった。
[比較例1]
実施例1の積層膜材(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の導電性可塑剤(1)30質量部を、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)30質量部に置換し、軟質塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤を4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)50質量部とし、分子中にエーテル結合を有する可塑剤を含有しないこと以外は実施例1と同様として質量785g/mのターポリン(13)を得た。得られたターポリンの帯電防止性は実施例1のターポリン(1)よりも劣る8.2×1011Ω/□であったが、抗菌性・防黴性は良好であった。
[比較例2]
実施例1の積層膜材(1)において、軟質塩化ビニル樹脂組成物(1)の環状ポリエーテルイオン錯体(1)、1質量部を省略した以外は実施例1と同様として質量785g/mのターポリン(14)を得た。得られたターポリンの帯電防止性は実施例1のターポリン(1)よりも劣る3.8×1012Ω/□で、抗菌性・防黴性も劣るものであった。
上記、実施例、及び比較例から明らかな様に、本発明によれば、界面活性剤やカーボンブラックなどの帯電防止剤を使用せずに、より帯電防止性に優れた抗菌性・防黴性の静電気対策シートが得られるので、シートシャッター、間仕切り、フロアシート、機器カバー、エプロンなどの産業資材シートに広く用いることができる。

Claims (8)

  1. 織物を基材として、この基材に設けられた少なくとも1層の帯電防止性樹脂層を有する可撓性積層体であって、この帯電防止性樹脂層が、分子中に1個以上のエーテル結合を有するエステル化合物、及び環状ポリエーテルイオン錯体を含有する、ことを特徴とする帯電防止性抗菌膜材。
  2. 前記環状ポリエーテルイオン錯体が、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、チアクラウンエーテル、アザチアクラウンエーテル、クリプタンド、の環状ポリエーテル群から選ばれた1種以上、及び前記環状ポリエーテル群に官能基及び/または置換基を導入した誘導体群、及び前記環状ポリエーテル構造を繰り返し単位に有する重合体群、から選ばれた1種以上を基体とするイオン錯体である請求項1に記載の帯電防止性抗菌膜材。
  3. 前記イオン錯体が、銀イオン錯体、銅イオン錯体、亜鉛イオン錯体、アルミニウムイオン錯体、リチウムイオン錯体、ニッケルイオン錯体、カリウムイオン錯体、及びコバルトイオン錯体、から選ばれた1種以上である請求項2に記載の帯電防止性抗菌膜材。
  4. 前記エステル化合物が、〔化1〕、〔化2〕から選ばれた1種以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の帯電防止性抗菌膜材。

    〔化1〕
    R(AO)OOC−X−COO(AO)
    (式中、Xは:C、C、C10、C〜C16、Rは:C3〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基(Rは互いに同一または異なる)、Aは:C2〜4のアルキレン基、mとnは1〜10の整数(互いに同一または異なる)で表される化合物)

    〔化2〕
    CO(OCHCH-RCOOR
    (式中、R及びRは:C3〜15の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはアルケニル基、Rは:H、CH、C、nは3〜20の整数で表される化合物)
  5. 前記エステル化合物、及び前記環状ポリエーテルイオン錯体の併用質量比が、100:1〜5:1である請求項1〜4の何れか1項に記載の帯電防止性抗菌膜材。
  6. 前記可撓性積層体上の少なくとも片面上に塗膜層が全面形成、または網状形成されていて、前記塗膜層が、カーボンナノチューブ、フラーレン及びπ電子共役系導電性ポリマーから選ばれた1種以上を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の帯電防止性抗菌膜材。
  7. 前記塗膜層が、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及びアルミナ、から選ばれた1種以上のナノ粒子と、シラン化合物とをさらに含み、前記塗膜層に対して0.1〜5質量%のナノ粒子ネットワークを構成している請求項6に記載の帯電防止性抗菌膜材。
  8. 前記塗膜層が、前記可撓性積層体の片表面当たり、少なくとも20%の面積占有率を有する連続体である請求項6または7に記載の帯電防止性抗菌膜材。
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