JP2859528B2 - 防炎防水性帆布 - Google Patents

防炎防水性帆布

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JP2859528B2 JP30283493A JP30283493A JP2859528B2 JP 2859528 B2 JP2859528 B2 JP 2859528B2 JP 30283493 A JP30283493 A JP 30283493A JP 30283493 A JP30283493 A JP 30283493A JP 2859528 B2 JP2859528 B2 JP 2859528B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軒出しテント等、軽量の
帆布類に広く用いられている防炎防水性帆布に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は高強力低伸度で、か
つ疎水性であることから湿潤時の重量増加、寸法変化も
少なく取扱性が容易である等の特徴を有しているので、
特に軒出しテント等軽量の帆布類に広く用いられてい
る。しかし、繊維自身が可燃性であるため、火災等に対
する安全性の面から防炎化が強く要求されている。併せ
て、帆布固有の要求特性としての防水性の更なる向上の
要求も益々強くなっている。
【0003】ポリエステル繊維性コーティング布帛の防
炎化法としてはハロゲン化燐酸エステル系難燃剤を付与
した後、ポリウレタン樹脂とハロゲン化リン酸エステル
との混合樹脂でコーティングする方法(特開昭51―1
1300号公報、特開平5―310047号公報)、あ
るいは塩化ビニール樹脂と三酸化アンチモンとの混合樹
脂でコーティングする方法(特公昭46―19756号
公報)等が知られている。前者の場合は油状のハロゲン
化燐酸エステルで処理するため、コーティング面にタッ
ク(粘着性)が生じ非常に汚れが付き易く、摩擦堅牢度
が不良になると言う欠点がある。後者の場合は防炎性ク
リアーするためには、基布に対して50重量%以上の樹
脂を付与する必要があり、風合が粗硬になり、取扱性が
不良となるので軒出しテント等の軽量テント用途には適
用できない。
【0004】さらに、防水性についても、これまで種々
の提案はあるが防炎性と相溶れる合理的な手段は未だ開
発されていない。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は防炎性、防水性、撥水性
等の優れた防炎防水性帆布を提供することにある。
【0006】
【発明の構成】本発明者等はポリエステル繊維製軒出し
テント等において、防炎性、防水性、更には撥水性、等
を兼ね備えたものとするために鋭意検討した結果、ポリ
マー素材自身が難燃性を有するポリエステル繊維よりな
る布帛に有機フッ素化ポリマー系撥水剤を付与した後、
裏面に熱溶融性ポリウレタン樹脂及びハロゲン化ウレタ
ン化合物が重量比で90:10〜30:70の範囲で混
合されてなる混合樹脂を乾式コーティングすることによ
り、所望の帆布が得られることを見い出した。
【0007】本発明で言う難燃性ポリエステル繊維と
は、主たる構成単位がエチレンテレフタレートであり、
下記一般式(化1)または一般式(化2)で表されるリ
ン化合物をリン元素として0.3〜1.0重量%共重合
してなるものである。これらの繊維を用いて織物、編物
またはモケット等を得、帆布の地組織とする。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】(但しRは飽和鎖状又は環状アルキレン、
アリレーン又はアルアルキレン残基であり、R1 は炭素
数1〜6のアルキル基、アリール基又はアルアルキル基
である。R又はR1 はヘテロ原子、殊にF、Cl、B
r、O及びSを含有しても良い。R2 、R3 は炭素数が
1〜18のアルキル基、アリール基又は水素原子であ
る。R4 、R5 は、同じ基でも相異なる基でもよいが、
水素原子、ハロゲン原子または炭素数6以下の炭化水素
基である。R6 、R7 は同じ基でも相異なる基でもよい
が、水素原子、炭素数7以下の炭化水素基または(―R
8 O)r で示される基である。R8 はエチレン基、プロ
ピレン基又はブチレン基であり、rは1〜10の整数、
l、mは0または1〜10の整数、nは0、1又は2で
ある)
【0011】上記一般式で示されるリン化合物の具体例
としては例えば下記の2―カルボキシ―エチル―メチル
―ホスフィン酸の環状無水物(化3)などがある。
【0012】
【化3】
【0013】帆布の表面に付与する有機フッ素化ポリマ
ー系撥水剤としてはパーフルオロアルキル基やポリフル
オロアルキル基を有する(メタ)アクリレートを単独、
もしくはビニルエステル、ビニルエーテルやアクリルア
ミドと共重合させたもの、又はパーフルオロアルキル基
やポリフルオロアルキル基を有するウレタン化合物系の
撥水剤があるが、そのなかでも熱溶融特性の良好なウレ
タンフッ素系撥水剤が好ましい。帆布へのフッ素系撥水
剤の付与はスプレー法、浸漬法、またはローラタッチ法
等のいずれでも良い。付与量はフッ素元素として0.0
1〜0.15重量%が好ましい。特に好ましくは0.0
15〜0.08重量%である。この量が多過ぎると樹脂
の接着性、防炎性が不良になり、少なすぎると樹脂の皮
膜形成性が悪くなり防水性が不良となる。
【0014】一方、帆布の裏面にコーティングする熱溶
融性ポリウレタン樹脂としては、架橋結合を伴わない一
液型の線状高分子であってポリエーテルまたはポリエス
テルとポリウレタンとの共重合体を指す。またハロゲン
化ウレタン化合物とは、末端水酸基を有するハロゲン化
ポリエーテルグリコール又はポリエステルグリコールに
過剰モルの有機ジイソシアネートを反応せしめて得られ
るイソシアネート末端含有プレポリマー(中間重合体)
を指す。
【0015】熱溶融性ポリウレタン樹脂とハロゲン化ウ
レタン化合物との配合比は重量比で90:10〜30:
70の範囲であることが必要である。ウレタン樹脂の比
率がこの範囲よりも多くなると防炎性が不良となり、逆
に少なすぎると皮膜強度が弱くなり防水性が不良とな
る。またコーティング剤の耐光性を向上させるため通常
使用されるベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン系等の
紫外線吸収剤を併用することができる。
【0016】樹脂の塗工量は固形分として20〜70g
/m2 の範囲が好ましい。20g/m2 未満では防水性
が不十分であり、また70g/m2 を越えると風合硬
化、取扱性不良となる。樹脂は、ジメチルホルムアミ
ド、トルエン等の溶剤で希釈し、3.000〜30.0
00cpsの粘度に調整する。粘度が低すぎると、樹脂
が地組織の内部まで浸透するため皮膜形成性が不良とな
って、防水性が低下する。また粘度が高すぎると地組織
の表面が樹脂フィルム状となって、タックが生じ易くな
ったり、地組織と樹脂との接着性が低下し使用中に樹脂
が剥離すると言う問題が生じる。コーティング法として
は、ナイフコーティング、キスコール、グラビアコーテ
ィング法等の乾式コーティング方式を使用する。塗布後
の乾燥は100〜170℃で30秒間〜5分間程度行
う。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、後掲の表1にも示すよ
うに防炎性、防水性並びに撥水性、特に防水性の優れた
防炎防水性布帛が得られる。
【0018】以下、実施例により本発明の防炎防水性帆
布の製造例を示す。実施例における部は全て重量%を意
味する。特性の評価は下記の方法で行った。 <防炎性> 消防法 45°ミクロバーナー法及びコイ
ル法 <防水性> JIS L1092―1977 耐水圧法 <撥水性> JIS L1092―1977 スプレー
法 <タックネス> 触感により官能検査で粘着性の有無を
判定 <コーティング量> コーティング前後の重量変化によ
り計算で求めた。
【0019】
【実施例1〜3】経糸及び緯糸がカルボキシホスフィン
酸で変成され、リン含量が0.6%の難燃性ポリエステ
ル繊維(帝人株式会社製「トレビラCS」:20/2)
からなる経密度55本/インチ、緯密度44本/イン
チ、目付260g/m2 の平織織布を表1の有機フッ素
化ポリマー系撥水剤に浸漬後、マングルで絞り(絞り率
60%)、ついで129℃で5分間、乾燥を行った後、
170℃で30秒間熱セットした。ついで該処理布に対
し表1のコーティング剤をナイフコーティングにより均
一にコーティングした後、130℃で2分間乾燥した。
コーティング量はいずれも45g/m2 である。加工布
の物性を表1に併記する。
【0020】
【比較例1】実施例1において防炎剤をクレジルジフェ
ニルホスフェート(CDP)に変更した以外は実施例1
と全く同様に処理した。結果を表1に示す。
【0021】
【比較例2】実施例1において難燃性ポリエステルの代
りにレギュラーポリエステルを使用した以外は実施例1
と全く同様に処理した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06M 15/00 - 15/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難燃性ポリエステル繊維を素材とする帆
    表面に有機フッ素化ポリマー系撥水剤が付与され、裏
    面に熱溶融性ポリウレタン樹脂とハロゲン化ウレタン化
    合物との混合樹脂が乾式コーティングされ、且つ該混合
    樹脂の重量比が90:10〜30:70であることを特
    徴とする防炎防水性帆布。
  2. 【請求項2】 混合樹脂のコーティング量が固形分とし
    て20〜70g/m2 である請求項1の防炎防水性帆
    布。
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