JPH06191378A - シートベルト案内装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡素で安価でありながら、標準の座高
を有する乗員は勿論、座高の低い乗員であっても良好な
シートベルト装着感（フィット感）を得ることができ、
あらゆる体型の乗員に対して適宜に使用できるようにす
る。 【構成】 ヘッドレスト４の側部４ａに取付けられるシ
ートベルトガイド５の下面（ベルトガイド部８の下面８
ａ）の先端箇所に下方に延びる垂下片部１３を設け、車
両シート１のシートバック３の肩部３ａとシートベルト
ガイド５の垂下片部１３との間にシートベルト挿通用の
隙間１５を形成すると共に、垂下片部１３、シートベル
トガイド５の下面８ａ、ヘッドレスト４の側部４ａ、及
びシートバック３の肩部３ａにより補助用のシートベル
ト装着空間部１４を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シートベルト案内装置
に係り、更に詳しくは、車両シートのヘッドレストの側
部に取付けられたシートベルトガイドと、前記ヘッドレ
ストの後方の車体部分に取付けられたショルダーアンカ
ーサッシュガイドとによりシートベルトの中間部分を案
内するようにしたシートベルト案内装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】図５はこの種の従来のシートベルト案内
装置を示すものであって、本装置は、ルーフを取り除い
た状態でのフルオープン走行が可能ないわゆるコンバー
チブルタイプの車両に採用されている。

【０００３】図５において、２０は車両シート（フロン
トシート）、２１は車両シート２０用のシートベルト
（ウェビング）であって、このシートベルト２１の一端
が車体に係止され、その他端が図外の巻取装置に連結さ
れている。そして、上述のシートベルト２１の中間部分
（ウェビングの長手方向の中間部分）２１ａが、車両シ
ート２０のヘッドレスト２２の側部に取付けられたシー
トベルトガイド２３と、ヘッドレスト２２の後方の車体
部分２４に取付けられたショルダーアンカーサッシュガ
イド２５とにより案内されるようになっている。

【０００４】なお、フルオープン走行可能なコンバーチ
ブルタイプの車両にあってはバックピラーが無いため、
ショルダーアンカーサッシュガイド２５のショルダーア
ンカー部２６は、通常、車体に設けられるサスペンショ
ンストラット取付用のストラットタワー上の車体部分２
４に回動自在に取付けられている。

【０００５】かくして、シートベルト２１の中間部分２
１ａをシートベルトガイド２３のガイド用空間に通して
ショルダーアンカーサッシュガイド２５にて案内するこ
とにより、シートベルト２１が車両シート２０の後部に
入り込んでしまうのを防止してシートベルト２１の取り
出し性を良くし、シートベルト２１の装着を容易に行え
るようにし、しかも、シートベルト２１の装着時にこの
シートベルト２１を乗員の身体に良好な状態で適合せし
めるようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き従来のシートベルト案内装置にあっては、次のよう
な不具合があった。すなわち、図６に示すように、児童
などの座高の低い乗員Ａが車両シート２０に着座してシ
ートベルト２１を身体に装着し、そして車両シート２０
のシートバック２０ａを図外のリクライニング装置にて
後方に傾倒させた場合、シートベルト２１の中間部分２
１ａが図６に示すようにシートベルトガイド２３のベル
ト挿通用隙間２３ａの部分（シートベルトガイド２３の
上部部分）に位置ずれするため、その付近においてシー
トベルト２１が乗員の首にこすれ気味の状態になるとい
った不具合がある。

【０００７】本発明は、このような不具合を解消するた
めになされたものであって、その目的は、構造が簡素で
安価でありながら、標準の座高を有する乗員は勿論、座
高の低い乗員であっても良好なシートベルト装着感（フ
ィット感）を得ることができ、あらゆる体型の乗員に対
して適宜に使用できるような構成のシートベルト案内装
置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、車両シートのヘッドレストの側部に
取付けられたシートベルトガイドと、前記ヘッドレスト
の後方の車体部分に取付けられたショルダーアンカーサ
ッシュガイドとによりシートベルトの中間部分を案内す
るようにしたシートベルト案内装置において、前記シー
トベルトガイドの下面の先端箇所に下方に延びる垂下片
部を設け、前記車両シートのシートバックの肩部と前記
シートベルトガイドの垂下片部との間にシートベルト挿
通用の隙間を形成すると共に、前記垂下片部、前記シー
トベルトガイドの下面、前記ヘッドレストの側部、及び
前記シートバックの肩部により補助用のシートベルト装
着空間部を形成するようにしている。

【０００９】

【作用】シートベルトガイドの下面の先端箇所に下方に
延びる垂下片部を設けることにより、シートベルトガイ
ドと車両シートのシートバックとの間にシートベルト装
着用空間が形成される。従って、シートベルトガイド自
体で構成されたシートベルト装着部の他に、このシート
ベルト装着部より下方に位置する補助用のシートベルト
装着空間部が設けられる。そのため、標準の座高を有す
る乗員が車両シートに着座する場合には、シートベルト
ガイド自体で構成されたシートベルト装着部を利用して
シートベルトの装着を行い、児童などのように座高が低
い乗員が車両シートに着座する場合には、前記補助用の
シートベルト装着空間部を利用してシートベルトの装着
を行うようにすれば、全ての乗員が良好なシートベルト
装着感を得ることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例に付き図１〜図４を
参照して説明する。

【００１１】図１及び図２は本発明に係るシートベルト
案内装置を備えた車両シート１を示すものであって、こ
の車両シート１はフルオープン走行可能なコンバーチブ
ルタイプの二人乗りの四輪自動車にフロントシートとし
て備え付けられている。車両シート１は、図４に示すよ
うに、乗員が着座するシートクション２と、図外のリク
ライニング装置にてシートクション２に対して後方に傾
斜可能に配設されたシートバック３と、このシートバッ
ク３の上面中央部に取付けられたヘッドレスト４とをそ
れぞれ具備している。

【００１２】そして、図１〜図３に示すように、シート
ベルトガイド５がヘッドレスト４の側部４ａに当てがわ
れた状態でヘッドレスト４のフレーム（図示せず）にね
じ６にて取付けられており、ヘッドレスト４の側部４ａ
から車外方向に向けて突出配置されている。

【００１３】上述のシートベルトガイド５は、図３に明
示するように、金属材を屈曲成形して成るものであっ
て、ヘッドレスト４のフレームにねじ止めされる取付板
部７と、この取付板部７の下端に連設されてほぼ水平に
配置されるベルトガイド部８と、このベルトガイド部８
の先端から上方に向けて折返された折返し部９とで構成
されている。そして、取付板部７、ベルトガイド部８及
び折返し部９にて取り囲まれた空間部がシートベルト装
着部１０として構成されており、取付板部７及び折返し
部９の上部が互いに対向して配設されてこれらの間にシ
ートベルト（ウェビング）１２の中間部分１２ａ（図４
参照）を挿通し得る程度の幅Ｗのシートベルト挿通用隙
間１１が設けられている。

【００１４】しかして、一端が車体に固着されかつ他端
が図外の巻取装置に連結されたシートベルト１２の中間
部分１２ａを前記シートベルト挿通用隙間１１を通して
前記シートベルト装着部１０内に挿通配置することによ
り、このシートベルト１２の中間部分１２ａが摺動可能
に案内されるようになっている（図２参照）。

【００１５】さらに、本例のシートベルトガイド５に
は、その下面の先端箇所に下方に延びる垂下片部１３が
一体成形されている。具体的には、図３に明示するよう
に、シートベルトガイド５の下部を構成しかつほぼ水平
に配置されるベルトガイド部８の下面８ａ側であってそ
の突出側先端の箇所に、前記ベルトガイド部８に対して
下方に向けてほぼ直角をなす垂下片部１３が屈曲成形さ
れている。そして、この垂下片部１３と、シートベルト
ガイド５のベルトガイド部８の下面８ａと、ヘッドレス
ト４の側部４ａ、及びシートバック３の肩部３ａとによ
り補助用のシートベルト装着空間部１４が形成されてい
る。

【００１６】また、前記垂下片部１３の下端（先端）１
３ａと、前記シートバック３の肩部３ａとの間には、シ
ートベルト１２の中間部分１２ａを挿通し得る程度の幅
Ｌを有するシートベルト挿通用の隙間１５が設けられて
いる。

【００１７】一方、図４に示すように、前記ヘッドレス
ト４の後方箇所には、サスペンションアッセンブリのス
トラット本体を取付けるためのストラットタワー（図示
せず）が配設されており、このストラットタワーは外観
性向上のためにタワートリム１６にて覆い隠されてい
る。そして、タワートリム１６の凹部１６ａ内には、偏
平状のショルダーアンカー部１７及びこのショルダーア
ンカー部１７に連結されたリング部１８から成るショル
ダーアンカーサッシュガイド１９が水平面に沿って回動
自在に取付けられている。

【００１８】なお、シートベルト１２の中間部分には図
示を省略したが係止金具が取付けられており、車体に取
付けられたバックルにこの係止金具を係着することによ
り、シートベルト１２がシートクッション２及びシート
バック３を横切った状態で乗員の身体に装着されるよう
になっている（図４参照）。

【００１９】このような構成のシートベルト案内装置に
よれば、標準の座高を有する乗員及び児童のように座高
が低い乗員の何れに対しても、シートベルト１２の案内
箇所を適宜に選択することによって、良好なシートベル
ト装着状態にすることができる。すなわち、標準の座高
を有する乗員（標準体型の乗員）が車両シート１に着座
する場合には、シートベルトガイド５自体に設けられた
シートベルト装着部１０にシートベルト１２の中間部分
１２ａを挿通してシートベルト１２の装着を行う一方、
図４に示すように座高が低い乗員（児童などの乗員）Ａ
が車両シート１に着座する場合には、シートベルトガイ
ド５の下部に付設された補助用のシートベルト装着空間
部１４にシートベルト１２の中間部分１２ａを挿通して
シートベルト１２の装着を行うようにすればよい。この
ようにすれば、シートバック３を後方に傾倒させた場合
にシートベルト１２が乗員の首などにこすれてしまうよ
うなことを回避できる。

【００２０】更に詳述すると、標準体型の乗員の場合に
は、シートベルト１２の中間部分１２ａがシートベルト
装着部１０にて案内されてその案内位置が相対的に高い
位置であっても、乗員の座高が高いため、シートベルト
１２の中間部分１２ａが乗員の肩部分に正しく装着され
た状態となされ、シートバック３が後方に傾倒された時
にもシートベルト１２が乗員の首部分にこすれてしまう
ようなことがない。また、児童などの小さな乗員の場合
には、前記シートベルト装着部１０の真下箇所に配設さ
れた補助用のシートベルト装着空間部１４にてシートベ
ルト１２の中間部分１２ａが案内されるため、通常の着
座姿勢の下では乗員の首部分から外れて肩の側に寄った
位置に装着されると共に、シートバック３の後傾時にも
シートベルト１２の中間部分１２ａが乗員の首部分から
外れた位置に装着されることとなり、シートベルト１２
の首へのこすれを回避することができる。従って、あら
ゆる体型の乗員に対してその体型に応じた選択的な使用
が可能となる。

【００２１】しかも、補助用のシートベルト装着空間部
１４は、シートベルト挿通用の隙間１５以外に隙間を持
たないので、シートベルト装着時にシートベルト１２が
左右に大きくずれてこの空間部１４から抜け落ちたりす
るようなおそれはなく、シートベルト１２の案内を確実
に行うことができる。

【００２２】さらに、本例で用いられるシートベルトガ
イド５は、従来の構成のものに垂下片部１３を設けただ
けの極めて簡素な構造であるため、製造コストが安価で
あるといった利点がある。

【００２３】以上、本発明の一実施例に付き述べたが、
本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能で
ある。例えば、シートベルトガイド５の垂下片部１３の
形状は、シートベルト装着空間部１４からのシートベル
ト１２の側方への脱落を阻止できるればどのような形状
にも変更可能である。

【００２４】

【発明の効果】以上の如く、本発明は、ヘッドレストの
側部に取付けられるシートベルトガイドの下面の先端箇
所に下方に延びる垂下片部を設け、シートバックの肩部
とシートベルトガイドの垂下片部との間にシートベルト
挿通用の隙間を形成すると共に、垂下片部、シートベル
トガイドの下面、ヘッドレストの側部、及びシートバッ
クの肩部により補助用のシートベルト装着空間部を形成
するようにしたものであるから、標準の座高を有する乗
員が車両シートに着座する場合にはシートベルトガイド
自体に設けられたシートベルト装着部にシートベルトを
挿通してシートベルトの装着を行い、児童のように座高
が低い乗員が車両シートに着座する場合には前記補助用
のシートベルト装着空間部にシートベルトを挿通してシ
ートベルトの装着を行うようにすれば、何れの場合にも
良好なシートベルト装着感を得ることができる。特に、
後者の場合、シートベルト装着状態のままシートバック
を後方に傾倒させたときにシートベルトの中間部分は前
者の場合よりも低い位置に規制されることとなるため、
小柄な乗員の首などにシートベルトの中間部分がこすれ
てしまうような不具合を生じるのを回避することができ
る。

【００２５】従って、本発明に係るシートベルト案内装
置によれば、シートベルトガイドに垂下片部を設けるこ
とにより標準体型用及びそれよりも小さい体型用のそれ
ぞれ対応し得るようにしたので、あらゆる大きさの乗員
に対してもシートベルトガイド及びシートベルトの使用
が可能となる。

【００２６】また、補助用のシートベルト装着空間部
は、シートベルト挿通用の隙間以外に隙間を持たないの
で、シートベルト装着時にシートベルトが左右に大きく
ずれたり、抜け落ちたりするようなおそれはない。

【００２７】しかも、本発明に係るシートベルト案内装
置は、上述のような実用的な作用効果を奏し得るもので
ありながら、シートベルトガイドに垂下片部を設けただ
けの簡単な構成で済むため、構造が簡素で安価であると
いう利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るシートベルト案内装置のシートベ
ルトガイドのヘッドレストへの取付け状態を示す車両シ
ートの上部の正面図である。

【図２】前記車両シートの上部の側面図である。

【図３】前記シートベルトガイドの拡大正面図である。

【図４】本発明に係るシートベルト案内装置を備えた車
両シートのシートバックを後方に傾倒させた状態を示す
斜視図である。

【図５】従来のシートベルト案内装置の要部の斜視図で
ある。

【図６】従来のシートベルト案内装置を備えた車両シー
トのシートバックを後方に傾倒させた状態を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１ 車両シート ２ シートクッション ３ シートバック ４ ヘッドレスト ４ａ 側部 ５ シートベルトガイド ８ ベルトガイド部 ８ａ 下面 １０ シートベルト装着部 １２ シートベルト（ウェビング） １２ａ 中間部分 １３ 垂下片部 １４ 補助用のシートベルト装着空間部 １５ シートベルト挿通用の隙間 １９ ショルダーアンカーサッシュガイド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両シートのヘッドレストの側部に取付
   けられたシートベルトガイドと、前記ヘッドレストの後
   方の車体部分に取付けられたショルダーアンカーサッシ
   ュガイドとによりシートベルトの中間部分を案内するよ
   うにしたシートベルト案内装置において、前記シートベ
   ルトガイドの下面の先端箇所に下方に延びる垂下片部を
   設け、前記車両シートのシートバックの肩部と前記シー
   トベルトガイドの垂下片部との間にシートベルト挿通用
   の隙間を形成すると共に、前記垂下片部、前記シートベ
   ルトガイドの下面、前記ヘッドレストの側部、及び前記
   シートバックの肩部により補助用のシートベルト装着空
   間部を形成したことを特徴とするシートベルト案内装
   置。