JPH0618721Y2 - 工作機械の主軸頭 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は主軸に対する工具の着脱を自動的に行う工作機
械の主軸頭に関する。

〈従来の技術〉 多数の工具を連続的に交換しワークの加工を行う場合、
工具が装着された工具ホルダを工作機械の自動工具交換
装置の工具交換アームにて自動的に主軸に着脱しながら
加工を行っている。

この際、工具ホルダは工具マガジンから工具交換アーム
により取り外され主軸内に挿入された後、主軸に強固に
装着する必要がある。また、ワークの加工後、工具を別
の工具に交換するため主軸への工具ホルダの装着を解除
しアームで取りはずす必要もある。

従来、工作機械の主軸頭には以上のような目的で第２図
に示すような工具クランプ装置が組込まれており、以下
説明する。

工作機械の主軸頭１には主軸頭１の前後に延びる主軸３
が回転自在に取付けられており、主軸３の内周側には工
具ホルダ２の着脱のためのロッド６が主軸３と同軸状を
なすと共に軸方向に摺動自在に収納されている。ロッド
６の前端部には工具ホルダ２のプルスタッド２ａを把持
するためのコレット４が設けられており、主軸３の主軸
端３ａには工具ホルダ２のテーパシャンク部２ｂが緊密
に嵌合されており、工具ホルダ２には図示しない工具が
装着されている。

また、ロッド６の後端側には主軸３の内周側に遊嵌する
受けナット６ａがねじ止めされており、受けナット６ａ
と主軸３の内周部に形成された段部３ｂとの間のロッド
６には複数の皿ばね５が嵌め込まれており、主軸３に対
してロッド６をロッド６の後端側に付勢している。

主軸頭１の後端には図示しない作動流体給排装置から給
排される作動流体によりプッシュロッド１１を摺動保持
する流体圧シリンダ９がボルト止めされており、主軸頭
１の後部から突出したロッド６の後端とプッシュロッド
１１の一端とが対向状態となっている。従って、ブッシ
ュロッド１１を主軸頭１側へ前進させることによりロッ
ド６が図中、左側に押圧摺動され、これにより工具ホル
ダ２を把持しているコレット４の把持が解除され工具ホ
ルダ２を主軸頭１より分離し取り外すことが可能とな
る。

さらに主軸３にはモータ８の回転子８ａが主軸３の中央
部に固定されており、これと対向する主軸頭１の内周側
にはモータ８の固定子８ｂが位置している。

従って、主軸頭１の内部の固定子８ｂに外部から通電す
ることにより主軸３と共に回転子８ａが回転し、これに
より主軸３にコレット４を介して把持された工具ホルダ
２の工具が回転してワークを加工する。

また、主軸頭１内に第２図に示したようなモータ８を組
込んだビルトインモータ形式のものの他に第３図に示す
ような構造のものが知られている。すなわち主軸頭１の
後部には主軸駆動用のモータ８がねじ止めされており、
また、主軸頭１の後端部内周側には流体圧シリンダ９が
位置している。

この流体圧シリンダ９には回転自在な伝達軸１３が流体
圧シリンダ９の内部を貫通しており、伝達軸１３の後端
側には主軸頭１内へ突出したモータ８の駆動軸８ａが嵌
合している。また、伝達軸１３の前端部には継手７がス
プライン嵌合されている。継手７にはキー１４ａを介し
て主軸３の後端部が連結されている。

また伝達軸１３の後端側には伝達軸１３を取り囲むと共
に主軸頭１に緊密に嵌合して軸方向に摺動自在なピスト
ン９ａが位置しており、ピストン９ａの前部及び後部に
それぞれ設けられた流体留１５ａ，１５ｂに対して図示
しない作動流体給排装置から作動流体を給排することに
よりピストン９ａが摺動する。伝達軸１３の前端側には
伝達軸１３内を摺動自在なプッシュロッド１１の後端部
が嵌合されており、プッシュロッド１１の後端側には伝
達軸１３に設けられた長穴１３ａ，１３ｂを貫通するプ
ッシュピン１２が貫通固着しており、プッシュロッド１
１の先端側にはロッド６の後端が対向している。

従って、モータ８の駆動軸８ａが回転すると伝達軸１
３，継手７，キー１４ａを介して主軸３が回転される。
また、作動流体給排装置から給排される作動流体により
ピストン９ａが主軸頭１前端側へ摺動し、ピストン９ａ
の先端部でプッシュピン１２を図中、左側へ押圧摺動す
ることによりプッシュロッド１１の先端側が皿ばね５の
ばね力に抗してロッド６を押圧摺動し、コレット４によ
る工具ホルダ２ｂの把持が解除される。

〈考案が解決しようとする課題〉 第２図に示した主軸３に直接モータを組込むビルトイン
モータ形式のものでは、主軸駆動用のモータ８自体の発
熱が軸３及び軸受１７等に伝わることとなる。従って高
精度加工、高速加工が要求される傾向にある工作機械の
主軸３等が熱膨張により変形し、加工精度を悪化させる
という課題を有している。

また、ビルトインモータ形式の熱膨張による弊害を是正
すべく、第３図に示すように主軸３と主軸駆動用のモー
タ８を主軸頭１の外に設けたものでは、主軸３とモータ
８の中間部に工具ホルダ２の把持及び把持の解除を行う
ためのピストン等の流体作動機器を介在させることとな
り、その結果として主軸頭１内の機構が複雑化し主軸３
の高速回転には適さず、また工作機構のコストアップと
なるという課題を有している。

〈課題を解決するための手段〉 本考案による工作機械の主軸頭は主軸と同軸状をなし且
つこの主軸を回転自在に支持する主軸頭の後部に取付け
られた主軸駆動用のモータと、このモータの中空駆動軸
を軸方向に摺動自在に貫通し且つ前端部が前記主軸に装
着される工具ホルダをこの摺動に伴って着脱自在に把持
し得るロッドと、このロッドの後端部に軸方向力を加え
てこのロッドを摺動するシリンダとを備えたことを特徴
とするものである。

〈作用〉 主軸に対し同軸状に取付けられた主軸駆動用のモータの
駆動力が主軸を介してロッドに把持された工具ホルダに
伝達され、これにより工具ホルダが回転し加工が行われ
る。このモータの駆動軸を貫通するロッドの前端部が工
具ホルダを把持することにより工具ホルダが主軸頭に固
着される。

また、ロッドの後端部にシリンダからの軸方向力が加わ
りロッドが摺動することにより工具ホルダへのロッドの
把持を解除し、主軸頭から工具ホルダを分離し取り外す
ことが可能となる。

〈実施例〉 本考案の一実施例を第１図を参照しつつ説明する。尚第
２図，第３図と同一部分には同一符号を付して重複した
説明は省略する。

主軸頭１の後部には主軸駆動用のモータ８がねじ止めさ
れており、主軸３と同軸状をなすモータ８の駆動軸８ａ
の一端側にはキー１４ｂを介して伝達軸１３が嵌合され
ており、モータ８が回転駆動することにより第３図と同
様に伝達軸１３から継手７を介して主軸３に駆動力が伝
達され主軸３が回転する。

また、主軸３内には第２図，第３図同様にロッド６が位
置しているが、ロッド６の後端側がモータ８の駆動軸８
ａ内を貫通するように伸びており、ロッド６の後端には
モータ８の後部に取付けた流体圧シリンダ９のプッシュ
ロッド１１が対向している。

従って、モータ８の駆動軸８ａが回転駆動すると、伝達
軸１３，継手７，主軸３を介して主軸３に装着された工
具ホルダ２の図示しない工具が回転することによりワー
クが加工される。またシリンダ９のプッシュロッド１１
がロッド６側に移動しロッド６をロッド６の前端側に押
圧摺動することにより、コレット４からの工具ホルダ２
の把持が解除され主軸３から工具ホルダ２を取り外すこ
とが可能となる。

以上本考案の一実施例を第１図に基づき説明したが、ロ
ッド６を押圧する皿ばね５の替りにコイルスプリング等
の他の弾性手段としても本実施例と同様の効果を得るこ
とができ、またコレット４の構造も他の周知な構造もの
を採用してもよい。また継手７と伝達軸１３との接続を
スプライン継手の替りにキーやセレーション等の他の周
知構造の継手とすることもでき、また継手を間に設けず
主軸とモータの駆動軸を直結してもよい。流体圧シリン
ダ９の替りに電動機器により作動するアクチュエータと
してもよい。

さらに、流体圧シリンダのプッシュロッドとロッドとを
直接連結することにより、流体圧シリンダでロッドを軸
方向に往復動可能とし、工具ホルダの主軸からの分離時
のみでなく装着時にもロッドを機械的に強制摺動する構
造としてもよい。

〈考案の効果〉 本考案によれば、主軸駆動用のモータを主軸頭の外部に
取付け主軸を直接駆動軸にしないことによりモータの発
熱からの主軸等の熱膨張が防止できる。従って、ワーク
の加工精度が高まる。またモータの駆動軸を貫通するよ
うに設置したロッドを押圧するシリンダがロッドの後端
に取付けられることにより、主軸頭内の機械が単純化で
き、主軸の高速回転ができると共に工作機械のコストダ
ウンともなるという効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る工作機械の主軸頭の断
面図、第２図は従来の工作機械の主軸頭の断面図、第３
図は別の従来の工作機械の主軸頭の断面図である。 図面中、 １は主軸頭、２は工具ホルダ、３は主軸、４はコレッ
ト、５はロッド、６は皿ばね、７は継手、８はモータ、
９は流体圧シリンダである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主軸と同軸状をなし且つこの主軸を回転自
   在に支持する主軸頭の後部に取付けられた主軸駆動用の
   モータと、このモータの中空駆動軸を軸方向に摺動自在
   に貫通し且つ前端部が前記主軸に装着される工具ホルダ
   をこの摺動に伴って着脱自在に把持し得るロッドと、こ
   のロッドの後端部に軸方向力を加えてこのロッドを摺動
   するシリンダとを備えたことを特徴とする工作機械の主
   軸頭。