JP2554247B2 - カツタ−ヘツド交換型工作機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は主軸側にカッターヘッドを着脱自在に把持
し、ワークをカッターヘッド内に押し込んで旋削加工等
を行うカッターヘッド交換型工作機械に関するものであ
る。

＜従来の技術＞ 従来、主軸端に刃具を取付け、主軸回転によりワーク
の内外面取り、端面加工、外径加工等の旋削加工を行う
旋削工作機械の場合には、ワークの種類（形状、大きさ
等）や加工工程が変る度に機上で刃具の調整、交換を行
なっていた。

＜発明が解決しようとする問題点＞ このためセッテングに時間を要し、機械稼動率を低下
させる欠点があった。更に、機上での刃具の調整、交換
は安全上にも問題があった。

本発明は上記欠点を解決するもので、その目的は機械
稼動率を向上せしめると共に、安全面にも優れるカッタ
ーヘッド交換型工作機械を提供することにある。

＜問題を解決するための手段と作用＞ 本発明は上記目的を達成するために、主軸台に回転自
在に軸承された主軸と、半径方向に配列された複数の刃
具を出入自在に保持するカッターヘッドと、主軸の一端
に設けられ、前記カッターヘッドを着脱自在に保持する
チャックと、このチャックに設けられた駆動体と、この
駆動体により進退移動する移動部材と、この移動部材に
設けられた係合部材と、前記カッターヘッドに設けら
れ、前記カッターヘッドが前記チャックに取り付けられ
たときに前記係合部材と係合するとともに前記刃具と連
動する被係合部材とからなり、主軸位置にセットされた
上記刃具の先端部を主軸中心から隔離する方向に移動さ
せる移動手段と、前記主軸の中心を挿通して進退移動自
在に設けられた押付けロッドと、この押付けロッドの一
端に揺動自在に設けられたワークの先端と当接する当接
部材と、押付けロッドの他端側に設けられ、前記押付け
ロッドを進退移動させるとともに、加工の際に前記ワー
クを常時一側に付勢し、かつ、前記ワークを他側に送る
送り手段により後退させられる押付けシリンダとからな
るワーク支持手段と、ワークの種類や加工工程に応じて
上記刃具が予めセッティングされた複数個のカッターヘ
ッドを収納するストッカーと、該ストッカーと前記チャ
ックとの間にあって前記ストッカー内に収納されたカッ
ターヘッドとチャック上のカッターヘッドを交換するカ
ッターヘッド自動交換装置とからなり、カッターヘッド
を保持したチャックと前記ワーク支持手段で端部を支持
したワークとの相対直線移動で加工し、加工後に前記移
動手段で複数の工具を同時に開放するようにしたことを
特徴とするものである。

＜実施例＞ 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。

第１図に示す如く、チャック１は主軸２に固定されて
回転し、後に詳説する如くカッターヘッド３を着脱自在
に把持する。ワーク４は芯出しチャックジョウ５に把持
され、主軸２側に移動し、カッターヘッド３に主軸中心
に向かって出入自在に調整される刃具６により加工され
る。主軸チャック１および芯出しチャックジョウ５等を
保持する工作機械７の近傍にはカッターヘッド自動交換
装置８が配設される。カッターヘッド自動交換装置８は
多自由度の動作をするロボットから構成され、その把持
部801の詳細は図示していないがカッターヘッド３に開
閉自在に係合し、これを把持すると共に、チャック１内
にカッターヘッド３を挿設すべく多自由度に動作するも
のである。

カッターヘッド自動交換装置８の近傍にはストッカ９
が配置される。ストッカ９内には複数個のカッターヘッ
ド3a,3b等が収納され、各カッターヘッド3a等はワーク
の種類（形状、大きさ）および加工工程に対応し、予め
刃具６を所定位置にセッテングされたものから形成され
る。

制御装置10は工作機械７およびカッターヘッド自動交
換装置８の動作を制御する。

第２図に主軸２の詳細とこれに固定されるチャック１
の構成を示す。

まず主軸２まわりについて説明する。

主軸２は工作機械７の主軸台7aに軸受201,202を介し
て枢支され、その中間部には図示しない主軸駆動源に連
結する歯車203がキー結合される。またその一端側には
後詳述するチャック１が連結され、肉厚部には油通路20
4,205が軸線方向に貫通形成される。他端側には油通路2
04,205にそれぞれ連通する油路206を有するロータリー
ジョイント207の内筒部208が連結される。電磁切換弁
（図示外）の切替えにより、油導入管209又は210から供
給される圧油はロータリージョイント207を介して油通
路204,205に送られる。

主軸２内には軸受け211,212を介し中心管213が軸線に
沿って挿設される。また中心管213内にはブッシュ214,2
15を介し押付けロッド216が挿設される。押付けロッド2
16の他端側は主軸２の他端側から突き出して伸縮し、そ
の端部には押付けシリンダ217が連結する。押付けシリ
ンダ217は主軸２の他端側、ロータリジョイント207およ
び押付けロッド216等を被包するカバー218の端部に固定
される。また押付けシリンダ217にはこれを制御する油
圧回路219が係合する。

第３図に示す如く、押付けロッド216の一端側には球
面体220が固定され、球面体220には球面ジョイント部材
221がジョイント結合される。球面ジョイント部材221に
固定される当接部材としてのフランジ板222はワーク４
の端面に当接し、これを受けるように配設される。上記
の球面体220と球面ジョイント部材221によりワーク４の
当接端面がワーク４の軸線に対し直角に形成されていな
くともワーク４を無理なく当接支持することができる。

上記した押付けロッド216,フランジ板222,押付けシリ
ンダ217等でワーク支持手段が構成される。

次に、チャック１を説明する。

主軸２には内筒101が連結され、内筒101内にはワーク
４が挿入される空間が形成されると共に、押付けロッド
216が出入自在に内設される。更に、主軸２にはアダプ
タ104aを介して内筒101の外方側にチャックボデー104と
該チャックボデー104内に嵌着したシリンダブロック103
の一端が夫々取付けられ、内筒101の外周側とシリンダ
ブロック103の内周側とでシリンダ室102が形成される。
シリンダブロック103の肉厚部には油通路204に連通して
シリンダ室102の右側に開放する油通路105と油通路205
に連通すると共にチャックボデー104の肉厚部に形成さ
れる油通路106,107に連通する油通路108が形成される。
またチャックボデー104の肉厚部には油通路204に連通す
ると共に後に説明するマスタージョー109側に連通する
油通路110が形成される。

シリンダ室102内にはピストン部材111の一端側が挿設
される。ピストン部材111は内筒101の外周に軸方向に摺
動自在に支持され、その他端側にはマスタージョー109
が係合する。

マスタージョー109はその一端面側をチャックボデー1
04の他端面に摺動可能に密接すると共に、上記の如くピ
ストン部材111の他端側に形成される傾斜面111aに密接
して摺動する傾斜面109aを形成する。またその他端面側
にはカッターヘッド３の把持部301に密接する把持部109
bが形成される。

ピストン部材111が図の左方向に移動することによ
り、傾斜面109aが主軸中心側に押され、マスタージョー
109全体がチャックボデー104の上記他端面に接続しなが
ら主軸中心側に移動し、把持部109bと把持部301が圧接
され、カッターヘッド３が主軸２に固定されることにな
る。

チャックボデー104の他端側の一部には小シリンダ室1
12が半径方向に形成される。詳しくは小シリンダ室112
はカッターヘッド３の刃具６の取付位置に対応する位置
（本実施例では円周３等分の位置）に設けられる。小シ
リンダ室112内にはピストン113が挿嵌される。この小シ
リンダ室112とピストン113とで駆動体が構成される。

刃具ホルダ302は刃具６を出入自在に保持する溝部302
aとカッターヘッド３内に軸受303を介して枢支される軸
部302bとから形成され、軸部302bはナット304により軸
受303の内輪に固定される。なお本実施例では刃具ホル
ダ302は小シリンダ室112に対向する円周３等分の位置に
それぞれ配設される。

刃具６を微小回動させる上記移動手段は第４図（ロ）
にも示す如く、前記した駆動体と、係合部材であるピン
115と被係合部材である長溝カム305aとカム板305とピン
115とから形成される。カム板305は刃具ホルダ302の軸
部302bに固定され、ピストン113のピストンロッド114の
進退移動方向に対してやや傾斜する長溝カム305aが形成
される。またピン115はピストン113のピストンロッド11
4に固定され、長溝カム305aに係止して配設される。ピ
ン115がピストンロッド114により押し上げられ長溝カム
305aに沿って動くことによりカム板305が微小回動し、
刃具６の先端部が主軸中心から離隔する向きに移動され
る。

次に、ストッカ９内に収納されるカッターヘッド3a,3
b等の刃具６のセッテング方法を第５図、第６図により
説明する。

刃具ホルダ302の一端側には支持板302cが固定され、
支持板302cと刃具６端の間にはボルト306が介設され、
ボルト306を回すことにより刃具６は溝部302aに沿って
移動するように形成される。ロックナット307は刃具６
を所定位置に固定する。

ツールプリセッタ11の本体12は該本体に突設した軸30
8bをカッターヘッド３に３等配に穿設された穴308aに嵌
入し取付けられ、そのスライド溝にはスライダ13が摺動
自在に支持される。スライダ13はカッターヘッド３の半
径方向に沿って移動するように配設され、その一端側に
は刃具６に当接し得る平板14が設けられている。またス
ライダ13の他端側には調整ボルト15が螺合される。調整
ボルト15は本体12に長手方向の移動を拘束されて支持さ
れる。従って調整ボルト15を回転することによりスライ
ダ13が移動する。本体12にはダイヤルゲージ16が固定さ
れ、その可動部の先端は平板14に当接している。従って
スライダ13の移動量がダイヤルゲージ16により正確に把
握される。

上記構成のツールプリセッタ11により刃具６はワーク
の形状、加工工程等に対応して予め刃具ホルダ302内に
セッテングされ、上記した如くストッカ９内に保管され
る。

次に、実施例の作用を説明する。

ワーク４の形状、加工工程が決まると、所望のカッタ
ーヘッド３がカッターヘッド自動交換装置８によりスト
ッカ９内から引き出され、チャック１内に挿入される。
主軸２の押付けロッド216が押付けシリンダ217の動作に
より前進し、ワーク４の先端とフランジ板222とが当接
しこれを支持する。上記した如く、球面体220と球面ジ
ョイント部材221とのジョイント結合によりワーク４は
その端面直角精度が不十分でもスムースに支持される。

図示しない油圧源からの圧油がロータリージョイント
207を介し油通路204,205内に導入されると、シリンダブ
ロック103の油通路105に圧油が供給されピストン部材11
1が第３図の左方向に移動する。この移動によりマスタ
ージョー109が中心側に向って移動し、把持部109bによ
りカッターヘッド３が把持固定される。一方、油通路10
6内の圧油によりピストン113が押し下げられ、ピン115
はカム板305の長溝カム305aの根本側に挿入位置決めさ
れる。

主軸２が回転し、カッターヘッド３が回転するとワー
ク４は芯出しチャックジョウ５に把持され図示しない押
込み駆動源によりチャック１の内筒101の上記空間内に
送られる。この場合、押付けロッド216はワーク４の送
りにつれて後退する。この時刃具６は加工されるワーク
の外径に位置すべくセッテングされている。即ち主軸台
7aの軸方向の移動でワーク４は所定の外径形に加工が施
される。加工完了すると主軸台7aは後退しワーク４はチ
ャック内から外部に出されるがこの場合ピストン113が
上昇し、ピン115がカム板305の長溝カム305aの頂点側に
挿設されカム板305が溝302bを中心に微小回動し、刃具
６の刃先をワーク４の加工面から離隔し、カッターリリ
ーフが行われる。これにより、ワーク４には戻りキズの
発生が防止される。

以下、同様の動作を繰返し、所望形状の加工が行わ
れ、工程が終了する。以上の動作は制御装置10により制
御される。

本実施例において、刃具ホルダ302を円周３等分とし
たが勿論これに限定するものでなく、刃具６の移動手
段、刃具６の出入調整等の機構も上記に限定するもので
ない。

上記の説明によって明らかな如く、本発明によれば次
の如き効果が上げられる。

（１） カッターヘッドの交換が自動的に、かつ迅速に
行われ、段取り時間が低減し、機械稼動率を大幅に向上
することができる。

（２） 機上におけるカッターヘッドの交換がなく、安
全面に優れる。

（３） 刃具の微小回動によりカッターリリーフし、ワ
ークの戻りキズが発生せず、加工品質が向上する。

（４） ワーク形状、加工工程の変化に迅速に対応しえ
る。

（５） ワーク支持手段により、ワークの加工中にワー
クの一端を支持して加工中における芯振れを防止するの
で、正確な加工を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明一実施例の全体構成を示す構成図、第２
図は主軸まわりの構造を示す軸断面図、第３図はチャッ
ク、カッターヘッドの構造を示す軸断面図、第４図
（イ）は第３図のカッターヘッドの正面図、第４図
（ロ）は刃具を微小回動する移動手段を示す第３図のIV
−IV矢視図、第５図は刃具の位置調整のためのツールプ
リセッタの構造を示す側面図、第６図は第５図のVI矢視
正面図である。 １……チャック、２……主軸 3,3a,3b……カッターヘッド、４……ワーク ５……芯出しチャックジョウ、６……刃具 ７……工作機械、7a……主軸台 ８……カッターヘッド自動交換装置 ９……ストッカ、10……制御装置 11……ツールプリセッタ、16……ダイヤルゲージ 101……内筒、102……シリンダ室 104……チャックボデー、109……マスタージョー 111……ピストン部材、112……小シリンダ室 113……ピストン、114……ピストンロッド 115……ピン、207……ロータリージョイント 213……中心管、216……押付けロッド 217……押付けシリンダ、220……球面体 221……球面ジョイント部材、301……把持部 302……刃具ホルダ、305……カム板 305a……長溝カム、801……把持部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 政一 半田市川崎町１丁目１番地 川崎製鉄株 式会社知多製造所内 (72)発明者 町井 富士男 我孫子市我孫子１番地 日立精機株式会 社内 (72)発明者 島村 譲 我孫子市我孫子１番地 日立精機株式会 社内 (56)参考文献 特開 昭56−102402（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−71745（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−63602（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】主軸台に回転自在に軸承された主軸（２）
   と、 半径方向に配列された複数の刃具（６）を出入自在に保
   持するカッターヘッド（３）と、 主軸の一端に設けられ、前記カッターヘッドを着脱自在
   に保持するチャック（１）と、 このチャックに設けられた駆動体（112）と、この駆動
   体により進退移動する移動部材（114）と、この移動部
   材に設けられた係合部材（115）と、前記カッターヘッ
   ドに設けられ、前記カッターヘッドが前記チャックに取
   り付けられたときに前記係合部材と係合するとともに前
   記刃具と連動する被係合部材（305a）とからなり、主軸
   位置にセットされた上記刃具の先端部を主軸中心から隔
   離する方向に移動させる移動手段と、 前記主軸（２）の中心を挿通して進退移動自在に設けら
   れた押付けロッド（216）と、この押付けロッドの一端
   に揺動自在に設けられたワークの先端と当接する当接部
   材（222）と、押付けロッドの他端側に設けられ、前記
   押付けロッドを進退移動させるとともに、加工の際に前
   記ワークを常時一側に付勢し、かつ、前記ワークを他側
   に送る送り手段により後退させられる押付けシリンダ
   （217）とからなるワーク支持手段と、 ワークの種類や加工工程に応じて上記刃具が予めセッテ
   ィングされた複数個のカッターヘッドを収納するストッ
   カー（９）と、 該ストッカーと前記チャックとの間にあって前記ストッ
   カー内に収納されたカッターヘッドとチャック上のカッ
   ターヘッドを交換するカッターヘッド自動交換装置
   （８）とからなり、 カッターヘッドを保持したチャックと前記ワーク支持手
   段で端部を支持したワークとの相対直線移動で加工し、
   加工後に前記移動手段で複数の工具を同時に開放するよ
   うにしたことを特徴とするカッターヘッド交換型工作機
   械。