JPH06186765A - 電子写真感光体及びその製法 - Google Patents

電子写真感光体及びその製法

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JPH06186765A
JPH06186765A JP33741292A JP33741292A JPH06186765A JP H06186765 A JPH06186765 A JP H06186765A JP 33741292 A JP33741292 A JP 33741292A JP 33741292 A JP33741292 A JP 33741292A JP H06186765 A JPH06186765 A JP H06186765A
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layer
photoconductor
photoconductive layer
amorphous silicon
thickness
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JP33741292A
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Masafumi Ikeuchi
雅文 池内
Hiroshi Ito
浩 伊藤
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】帯電能力を高めるとともに、光感度を改善し、
再帯電電位も向上した電子写真感光体を提供する。 【構成】透光性支持体3の上に透光性導電層4と、厚さ
1〜5μmのアモルファスシリコン系高光感度層7と、
1〜10μmの厚みのアモルファスシリコン系光導電層
6とを順次積層するとともに、アモルファスシリコン系
高光感度層7を構成するシリコンのダングリングボンド
量を光導電層6に対して30〜80%有するようにし
た。また、グロー放電分解法によりアモルファスシリコ
ン系高光感度層7と、アモルファスシリコン系光導電層
6とを順次積層する電子写真感光体の製法であって、高
光感度層7を光導電層6より遅い速度で成膜することに
より光導電層6を構成するシリコンのダングリングボン
ド量に対して30〜80%有するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透光性支持体の上に形
成された透光性導電層の上に、アモルファスシリコン系
光導電層を形成し、その透光性支持体を介して投光する
ようにした電子写真感光体、並びにその製法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、アモルファスシリコン系光導電層
(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)
から成る電子写真感光体が実用化され、その製造量は年
々増加の一途をたどっている。また、このa−Si感光
体を用いてコロナ帯電を不要として露光と現像とがほぼ
同時に行えるように組み合わせた電子写真方式に用いら
れる画像形成装置も開発されつつある。
【0003】即ち、従来の電子写真方式の画像形成装置
には、コロナ放電によりa−Si感光体に帯電を行なう
カールソン方式が広く用いられ、この方式では、ドラム
状あるいはベルト状の感光体の周囲に、コロナ帯電器、
露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除
電手段等を配置し、帯電、露光、現像、転写、定着のプ
ロセスを経て、記録紙上に画像を形成するため、装置の
構成や画像形成プロセスが複雑になり、コロナ放電用に
は高電圧電源が必要であり、またコロナ放電のためにオ
ゾンが発生して周囲に悪影響を与える等の問題点があっ
た。これらの問題点に対して、近時、コロナ放電を不要
とする電子写真方式が提案されている(特開昭63-24055
3 号、特開平3-85545 号、特開平4-133067号など)。
【0004】上記提案の電子写真方式によれば、透光性
支持体の上に透光性導電層とa−Si光導電層とを順次
積層したドラム状もしくはベルト状感光体に対して、透
光性支持体側より露光器により露光するとともに現像バ
イアス供給用の電源によりバイアス電圧を印加した現像
器上の導電性磁性トナーからなる磁気ブラシでもってa
−Si感光体表面を摺擦させ、これによって帯電と露光
と現像とをほぼ同時に行ない、感光体上にトナー像を形
成する。そのトナー像は、転写ローラを用いて記録紙に
転写され、定着手段により定着されて記録画像となる。
一方、感光体上に残留したトナーは、現像器で回収さ
れ、再利用される。
【0005】
【従来技術の課題】しかしながら、上記提案の電子写真
方式に用いるa−Si感光体によれば、現像電圧VE
よりa−Si感光体に印加した場合、その感光体上の電
位がV0 であり、また、続けて現像電圧VE によりa−
Si感光体に印加した時の電位V1を再帯電電位とする
と、その電位V1 がV0 に比べて低くなり、これによ
り、電位コンストラストが不十分となり、画像濃度が低
下するという問題点があった。
【0006】かかる問題点を解決せんがため、十分な光
感度とするためにはa−Si感光体のa−Si感光層の
厚みを厚くする必要があり、この厚膜化によって、この
電子写真方式の利点である低電位プロセスが発揮できな
い、即ち感光層の厚みを薄くして画像形成することでき
ないという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電子写真感光体
は、透光性支持体の上に透光性導電層と、厚さ1〜5μ
mのa−Si系高光感度層と、1〜10μmの厚みのa
−Si系光導電層とを順次積層するとともに、このa−
Si系高光感度層を構成するシリコンのダングリングボ
ンド量を上記光導電層のダングリングボンド量に対して
30〜80%有するようにしたことを特徴とする。
【0008】本発明の電子写真感光体の製法は、透光性
支持体の上に形成された透光性導電層の上に、グロー放
電分解法により1〜5μmの厚みのa−Si系高光感度
層と、1〜10μmの厚みのa−Si系光導電層とを順
次積層する電子写真感光体の製法であって、この高光感
度層を光導電層の成膜速度より遅い速度で成膜すること
により該光導電層を構成するシリコンのダングリングボ
ンド量に対して30〜80%のダングリングボンド量を
有するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【作用】a−Si感光体を用いてコロナ帯電を不要とし
て露光と現像とがほぼ同時に行えるように組み合わせた
電子写真方式に用いられる画像形成装置においては、電
位コントラストを得るため、静電画像形成用露光光源と
してLED等を用いるが、この光源の主成分波長は55
0〜710nmであり、この波長の光をa−Si感光体
に照射した場合、そのa−Si系光導電層の照射面から
0.2〜2μmの深さにわたる領域でほとんど吸収さ
れ、その領域での膜質が光感度に大きく影響することが
判明し、そこで、この光吸収される領域について、本発
明者等が鋭意研究に努めたところ、光導電層を構成する
シリコンのダングリングボンド量が光感度に大きく影響
を及ぼすことを知見した。
【0010】従って本発明の電子写真感光体は、透明基
板の上に透明導電層と、厚さ1〜5μm、好適には2〜
4μmのa−Si系高光感度層と、1〜10μm、好適
には3〜7μmの厚みのa−Si系光導電層とを順次積
層するとともに、a−Si系高光感度層を構成するシリ
コンのダングリングボンド量を上記光導電層のダングリ
ングボンド量に対して30〜80%有するようにし、こ
れにより、低ダングリングボンド量のa−Si系高光感
度層と、高ダングリングボンド量のa−Si系光導電層
とを、それぞれが所定の範囲の厚みを有するように組み
合わせた積層構造と成し、その結果、高い帯電能力を有
しながらも、そのa−Si系高光感度層でのキャリアの
移動度が向上し、局在電位密度分布が改善されて高光感
度となり、また自然励起キャリアの発生も少ないため
に、暗減衰も改善され、更に再帯電電位も向上した。
【0011】本発明者等が繰り返し実験を行ったとこ
ろ、上記a−Si系光導電層のダングリングボンド量を
5×1016〜7×1016cm-3に設定した場合には、a
−Si系高光感度層のダングリングボンド量を1×10
16〜5×1016cm-3、好適には2×1016〜4×10
16cm-3に設定するとよいことが判った。
【0012】このような低ダングリングボンド量のa−
Si系高光感度層にするには、ガス流量を減少させると
ともに、高周波電力を小さくすることにより成膜速度を
低下させたり、あるいは水素ガスやヘリウムガスによる
希釈等がある。
【0013】また、上記のようにa−Si系高光感度層
とa−Si系光導電層との各層のダングリングボンド量
を設定するに当たり、両層がいずれもシリコンのダング
リングボンド補償用元素として水素が用いられている場
合には、a−Si系高光感度層の水素含有量がa−Si
系光導電層の水素含有量に比べて50〜80%であるよ
うにすればよいことを知見した。
【0014】このようにダングリングボンド量や水素量
を変えた場合において、上記両層のキャリア移動度や比
誘電率を次のように設定すると望ましいことが判った。
キャリア移動度については、a−Si系光導電層を0.
9×10-5〜1.2×10-5cm2 /Vにしたことに対し
て、a−Si系高光感度層を1.1×10-5〜1.4×
10-5cm2 /Vにするとよい。また、比誘電率εにつ
いては、a−Si系光導電層を11〜12にしたことに
対して、a−Si系高光感度層を9〜10にするとよ
い。
【0015】更にまた本発明の上記構成において、a−
Si系高光感度層とa−Si系光導電層との両層に、こ
の両層の間で0.1ppm 以下の含有量差で、周期律表第
IIIa族元素を含有させると、高い帯電能力を有しなが
らも、そのa−Si系高光感度層でのキャリアの移動度
が一層向上し、局在電位密度分布が改善されて一段と高
光感度となり、また自然励起キャリアの発生も更に少な
いために、再帯電電位が一段と向上する。そして、この
両層に周期律表第III a族元素を含有させるに当たっ
て、いずれの層にも0.1〜1ppm の範囲内で、好適に
は0.15〜0.3ppm の範囲内で含有させると、上記
の改良特性が優位になることも見出した。また、この両
層の間で0.1ppm 以下の含有量差で、周期律表第III
a族元素を含有させた場合に、この両層間で周期律表第
III a族元素の含有量を漸次増加もしくは減少させるの
がよい。この周期律表第III a族元素としては、B、A
l、Ga、In等がある。
【0016】次に本発明の電子写真感光体の製法におい
ては、グロー放電分解法により上記低ダングリングボン
ド量のa−Si系光導電層と、高ダングリングボンド量
のa−Si系光導電層との積層構造を形成する際に、低
い成膜速度によりダングリングボンド量が減少するとい
う知見に基づいて、グロー放電分解法により先ず透光性
導電層の上に比較的膜厚の薄いa−Si系光導電層を低
速で成膜形成し、次いでその光導電層の上に高い成膜速
度により成膜し、これにより、実質上光キャリア発生の
a−Si系高光感度層を透光性導電層の上に積層してい
るので、成膜速度を高めて上記の高性能な電子写真感光
体が提供できた。
【0017】上記各層の成膜速度についての本発明者等
の実験によれば、a−Si系高光感度層の成膜速度をa
−Si系光導電層の成膜速度に比べて50〜70%低下
させるとよいことが判った。実際的にはa−Si系光導
電層の成膜速度を4〜6μm/時に設定した場合には、
a−Si系高光感度層の成膜速度を2〜3μm/時に設
定するとよいことが判った。
【0018】また、上記a−Si系高光感度層とa−S
i系光導電層とを順次積層するに際して、両層の間で漸
次ダングリングボンド量を増加してもよく、これによっ
て両層での界面がなくなり、a−Si系光導電層で発生
した熱励起キャリアを阻止するとともに、界面での熱キ
ャリアの発生を防止でき、その結果、暗減衰を更に低減
でき、再帯電電位の向上という利点がある。
【0019】
【実施例】以下、本発明の電子写真感光体をグロー放電
分解法により製作した場合を例に挙げて説明する。図1
はこの実施例により製作した電子写真感光体1の層構成
であり、図2はこの実施例に用いたグロー放電分解装置
2である。
【0020】先ず図1においては、透光性支持体3の上
に透光性導電層4を形成し、その透光性導電層4の上に
従来周知のようにキャリア注入阻止層5とa−Si系光
導電層6とを順次積層した構成であるが、本発明では更
にキャリア注入阻止層5とa−Si系光導電層6との間
にa−Si系高光感度層7を介在させている。また、a
−Si系光導電層6の上に表面層8を被覆している。本
例ではキャリア注入阻止層5をa−Si系の層により、
表面層8をアモルファスシリコンカーバイド層(以下ア
モルファスシリコンカーバイドをa−SiCと略記す
る)により形成したものである。しかし、この例に限ら
ず各々の部材には次の材料を用いることができる。尚、
本例のようなキャリア注入阻止層5がなくてもよい。
【0021】上記透光性支持体3を構成する材料には、
パイレックスガラス、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラスな
ど、また石英、サファイアなどの無機質系、並びに弗素
樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ビニロン、エポキシ、マイラーなどの
有機樹脂系が挙げられる。そして、この透光性支持体3
はドラム状、シート状、ベルト状等の任意に形状に製作
する。
【0022】上記透光性導電層4を構成する材料には、
インジウム・スズ・酸化物(ITO)、酸化錫(SnO
2 )、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅などがあり、
また半透明になる程度に薄くしたAl、Ni、Auなど
から成る金属層を用いてもよい。就中、ITO、SnO
2 がよく、これらにより透光性導電層4を形成した場合
には良好な光透過性と導電率が得られ、キャリア注入阻
止層5との間に電子に対するショットキー障壁ができ、
その結果、高い光キャリア生成効率を得られる。
【0023】この透光性導電層4の形成法には真空蒸着
法、活性反応蒸着法、イオンプレーティング法、RFス
パッタリング法、DCスパッタリング法、RFマグネト
ロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリン
グ法、熱CVD法、プラズマCVD法、スプレー法、塗
布法、浸漬法などがあり、その厚みは500Å〜3μm
がよく、好適には700Å〜1μmがよく、この範囲内
であれば、良好な光透過性と導電性の両特性が得られ
る。
【0024】このa−Si系の各層はグロー放電分解
法、各種スパッタリング法、CVD法、ECR法、蒸着
法等により成膜形成する。その形成に当たっては、ダン
グリングボンド終端用の元素、例えば水素やハロゲンを
1〜40原子パーセント含有させる。
【0025】表面層8には高抵抗表面層、特にアモルフ
ァスシリコンカーバイド(a-SiC )、アモルファスシリ
コンナイトライド(a-SiN )、アモルファスシリコンオ
キサイド(a-SiO )、アモルファスシリコンオキシカー
バイド(a-SiCO)、アモルファスシリコンオキシナイト
ライド(a-SiNO)などのa−Si系高抵抗表面層を用い
るのがよい。この表面層8がa−SiCから成る場合に
は、そのカーボン量は、Si1-X x のx値で0.3 <x<
1.0 、好適には0.5 ≦x≦0.95の範囲がよい。また、こ
の高抵抗表面層8に電気的特性の調整用としてIII a族
元素やVa族元素を含有させてもよい。
【0026】表面層8の厚みは0.05〜5μm、好適には
0.1 〜3μmにすればよく、0.05μm未満の場合には、
この層8で十分な絶縁耐圧の向上や、光キャリアを効果
的にトラップしてトナー像の形成に寄与させることが出
来ず、また、繰り返し使用した場合、摩耗により寿命も
劣る。5μmを越えた場合には精細な電荷パターンを形
成するに当たって、この層8中で電界(電気力線)が膜
面方向に広がりを生じ、これにより、解像力の低下をき
たし、十分な解像度が得られない。また、表面に残留す
る電荷が多くなって残留電位が高くなるため、画像濃度
の低下やバックのかぶり或いは繰り返し使用における画
像濃度の変化等の問題が生じる。
【0027】キャリア注入阻止層5はa−Si系の層で
よく、通常、a−Si系高光感度層7における光キャリ
ア発生に有効な光を吸収しないように、その高光感度層
7に比べて光学的バンドギャップを大きくする必要があ
り、そのために酸素また窒素などの元素を含有させると
よい。
【0028】またキャリア注入阻止層5には透光性導電
層4からa−Si系高光感度層7へのキャリアの注入を
阻止するために不純物元素を含有させる。即ち、負電荷
キャリアの注入を阻止するためにはIII a族元素を1〜
10,000ppm 、好適には100 〜5,000ppm含有するとよく、
一方、正電荷キャリアの注入を阻止するためにはVa族
元素を5,000ppm以下、好適には300 〜3,000ppm含有する
とよい。これらの元素は層厚方向に亘って勾配を設けて
もよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内
であればよい。
【0029】このようにキャリア注入阻止層5にIII a
族元素を含有した場合、正極性の現像バイアスが用いら
れ、他方、Va族元素を含有した場合、負極性の現像バ
イアスが用いられる。
【0030】III a族元素やVa族元素としては、それ
ぞれB元素やP元素が共有結合性に優れて半導体特性を
敏感に変え得る点で、その上優れた注入阻止能並びに光
感度が得られるという点で望ましい。また上記キャリア
注入阻止層の厚みは0.01〜3μm、好適には0.1 〜2μ
mの範囲内がよく、これにより、必要な絶縁耐圧が確保
し易く、またこの層での露光の不必要な吸収を抑制して
光導電層において光キャリアを有効に生成でき、しか
も、残留電位の上昇を抑制することができる。上記キャ
リア注入阻止層5には酸素及び/又は窒素の各元素合計
含有量が0.01〜30原子%の範囲内で含有させた場合、透
光性導電層4からのキャリアの注入を更に一層阻止する
ことができるとともに、その層4に対する密着力も一段
と高めることができる。
【0031】次に図2のグロー放電分解装置2の構成を
説明する。同図中、9は円筒形状の金属製反応炉、10
は感光体ドラム装着用の円筒形状の導電性基板支持体、
11は基板加熱用ヒーター、12はa−Siの成膜に用
いられる円筒形状のグロー放電用電極板であり、この電
極板12にはガス噴出口13が形成されており、そし
て、14は反応炉内部へガスを導入するためのガス導入
口、15はグロー放電に晒されたガスの残余ガスを排気
するためのガス排出口であり、16は基板支持体10と
グロー放電用電極板12の間でグロー放電を発生させる
高周波電源である。また、この反応炉9は円筒体9a
と、蓋体9bと、底体9cとからなり、そして、円筒体
9aと蓋体9bとの間、並びに円筒体9aと底体9cと
の間にはそれぞれ絶縁性のリング9dを設けており、こ
れによって高周波電源16の一方の端子は円筒体9aを
介してグロー放電用電極板12と導通しており、他方の
端子は蓋体9bや底体9cを介して基板支持体10と導
通している。また、蓋体9bの上に付設したモーター1
7により回転軸18を介して基板支持体10が回転駆動
され、これに伴って透光性導電層4を被覆した円筒状透
光性支持体3も回転する。
【0032】このグロー放電分解装置2を用いてa−S
i感光体ドラムを作製する場合には、a−Si成膜用の
円筒状透光性支持体3を基板支持体10に装着し、a−
Si生成用ガスをガス導入口14より反応炉内部へ導入
し、このガスをガス噴出口13を介して基板面へ噴出
し、更にヒーター11によって基板を所要の温度に設定
するとともに基板支持体10と電極板12の間でグロー
放電を発生させ、更に透光性支持体3を回転させること
によって透光性導電層4の周面にa−Si膜が成膜でき
る。
【0033】図3は本発明の電子写真感光体1を搭載し
た画像形成装置19を表す模式図であり、図4はこの画
像形成装置19に搭載される現像手段付近の説明図であ
る。図中、20は露光手段としてのLEDヘッド、21
は現像器、22は転写ローラである。LEDヘッド20
と現像器21は、感光体1のある一部を介して、ほぼ対
称的に配置される。現像器21においては、例えば8極
の円柱状の磁極ローラ23と、その外周に亘って配設さ
れた導電性スリーブ24とから成り、更に導電性磁性キ
ャリアと絶縁性磁性トナーとからなる2成分現像剤を用
いて、この2成分現像剤はスリーブ24の外周へ配送さ
れ、磁気ブラシ25を形成する。また、スリーブ24と
透光性導電層4との間にはバイアス電源26が設けら
れ、その両者4、24の間に感光体1の電位特性に応じ
て+或いは−の0〜300Vの電圧を印加する。27は
記録紙である。これ以外に現像剤の回転手段と感光体1
の回転手段とを設ける。
【0034】かくして上記構成の画像形成装置によれ
ば、回転する感光体1の透光性支持体3側からLEDヘ
ッド20より画像露光の光を照射し、感光体1の内部に
正孔と電子を発生させると、現像器側に+のバイアス電
圧を印加してあれば、そのバイアス電圧によって電子は
感光体1の表面側へ移動し、磁気ブラシ25の末端の正
電荷と打ち消し合い、感光体1の表面にトナーが付着さ
れる。そして、そのトナーは転写ローラ22により記録
紙27上に転写され、次いで定着される。
【0035】図4は現像手段21により形成される現像
剤溜り28を表す説明図である。現像剤を保持させる現
像器21は、導電性のスリーブ24と、その内部に配置
された磁極ローラ23とから成り、現像剤の搬送は、磁
極ローラ23を固定してスリーブ24を回転してもよ
く、またはスリーブ24を固定して内部の磁極ローラ2
3を回転してもよい。
【0036】ここで現像剤を感光体1と逆方向に回転さ
せると、両者の摩擦で現像器21と感光体1の最近接部
位よりも下流側(感光体が現像剤から離れる側)に現像
剤溜り28が生じる。現像剤溜り28は図の破線で区切
った部分である。即ち現像剤の本来の高さよりもはみ出
した部分が現像剤溜り28であり、現像剤の搬送速度や
現像剤の高さ、スリーブ24と感光体1の表面とのギャ
ップ等は、感光体1の回転速度や必要とする現像剤溜り
28の大きさに応じて適宜設定する。
【0037】29は制御電極であり、この制御電極29
はスリーブ24上で感光体1との最近接部位に設け、絶
縁体30でスリーブ24と絶縁する。制御電極29は、
感光体1や現像剤に均一な電界が加わるように、スリー
ブ24の長さ方向に沿った帯状とする。この制御電極2
9は本発明にとって必須不可欠のものではなく、適宜採
用される。
【0038】画像露光を行なう位置は、感光体1の表面
と現像スリーブ24との最近接位置Aではなく、感光体
1の逆方向回転で下流側に形成した現像剤溜り28の位
置Bとし、好ましくは現像剤溜り28の中でも下流側の
後半部とする。現像剤溜り28の位置で露光を行なうこ
とにより、露光までの間に感光体1の帯電が十分に行な
われ、帯電前の感光体1の電位の履歴の影響が抑えられ
るとともに、感光体1の表面の残留トナーや画像背景部
のトナーの回収が十分に行なわれる。更に、感光体1が
十分に帯電されてから露光を行なって電荷を消失させる
ために、現像剤と感光体1との電気的引力が強く、良好
なトナー像が形成される。そして、トナー像の形成後は
感光体1が現像剤溜り28から速やかに離れるため、感
光体1の表面のトナー像が現像剤の衝突や摩擦等のよう
な機械的な力により乱されることがなく、良好な解像度
のトナー像が得られる。
【0039】現像剤溜り28の位置では、感光体1の表
面と現像スリーブ24とが最も近接する位置Aよりも、
感光体1の表面と磁極ローラ23の距離が大きくなる。
このため、現像剤を磁極ローラ23の側に吸引する磁力
は弱くなり、感光体1の表面に形成されたトナー像の一
部が磁力によって現像手段の側に回収されて画像濃度が
低下したり、磁力により乱されて解像度が低下したりす
ることを防止できる。更に帯状の制御電極29を設け、
その電位を電源31により所定の電位に調整する。例え
ば制御電極29を接地し、透光性導電層4と共通電位に
する。あるいはスリーブ24の電位に対してその電位を
低くもしくは高く設定する。
【0040】このようにスリーブ24とは独立に電位を
印加できる制御電極29を設けると、感光体1の表面電
位を現像剤を介して中和し、あるいは感光体1の表面の
電位を揃え、以前のプロセスでの帯電や露光の有無等に
よる感光体1の履歴の影響を打ち消すことができる。こ
の結果、繰り返し使用時、例えば1枚の画像を得るため
に感光体1を数回転させる場合等に、安定した現像状態
と記録画像とが得られる。ここで制御電極29の電位を
調整すると、画像濃度や地かぶり等に対する最適画像形
成条件を調整して得ることができる。また、制御電極2
9の電位を高くし、スリーブ24の電位を低くすること
により、非露光部にトナーが付着し、露光部にはトナー
が付着しない、所謂反転現像も可能になった。
【0041】感光体1の表面に形成されたトナー像は次
いで記録紙27に転写され、定着されて記録画像とな
り、転写されずに感光体1の表面に残った残留トナー
は、次の画像形成プロセスにおいて現像手段に回収され
て再利用される。
【0042】次に実施例を個々詳述する。外径30mm
の透明な円筒状ガラス基板の外周面に、透光性導電層4
としてITO層を活性反応蒸着法により1000Åの厚みで
形成し、次いでその上に図2の容量結合型グロー放電分
解装置2を用いて表1の成膜条件によりキャリア注入阻
止層5、a−Si系高光感度層7、a−Si系光導電層
6、a−SiC表面層8を順次積層して感光体Aを製作
した。
【0043】
【表1】
【0044】この感光体Aについて、ESRスピン密度
からダングリングボンドを、しかも、SIMS(二次イ
オン質量分析)によりSi量と比べたホウ素含有量を測
定したところ、表1に示す通りの結果が得られた。
【0045】更にa−Si系高光感度層とa−Si系光
導電層について、FT−IR(フーリエ変換赤外吸収分
光)によりそれぞれの水素含有量を、そして、TOF
(Timeof Flight)測定によりキャリア移動度を、更に
分光エリプソメーターにより比誘電率とを測定したとこ
ろ、表2に示す通りの結果が得られた。
【0046】
【表2】
【0047】この感光体Aを、図3と図4に示すような
画像形成装置に装着し、2成分現像剤を用い、また、ダ
イナミックドライブ方式の発光波長685nm、解像度
300DPI(ドット/インチ)のLEDヘッドを配
し、そして、スリーブ24と透光性導電層4との間にV
E =+50Vの電圧を印加し、波長685nm、露光量
0.7μJ/cm2 の条件で画像露光を行い、感光体上
にトナー像を形成し、そのトナー像を−300Vの転写
バイアス電圧を印加した転写ローラにより市販普通紙に
転写し、熱定着を行って画像を得た。この感光体Aにつ
いて、表面電位を+50Vから+25Vに減衰させた場
合に要する照射エネルギーでもって光感度を表した結果
を表3に示す。
【0048】また、同表にはa−Si系高光感度層7を
形成しないで、その形成しない分の膜厚をa−Si系光
導電層6により余分に形成し、その他はすべて同様にし
て製作し、比較例の感光体Bを製作したものの評価結果
も示した。
【0049】
【表3】
【0050】同表の結果より明らかなように、本発明の
感光体Aは再帯電電位の顕著な低下がなかった。
【0051】また、a−Si系高光感度層7の形成の際
に、B2 6 ガス流量を増減させ、表4に示すようにホ
ウ素含有量を変え、その他の構成は感光体Aと同じにし
て感光体C、Dを製作した。これらに感光体の同様な再
帯電電位と光感度を測定したところ、表4に示すような
結果となった。
【0052】
【表4】
【0053】同表の結果より明らかなように、感光体C
は光感度が低下し、また、感光体Dは再帯電電位が低下
した。
【0054】尚、本実施例ではグロー放電分解法により
製作した電子写真感光体を例に挙げたが、本発明者等は
この成膜方法に限らず、ダングリングボンド量(水素含
有量)を低減できる他の成膜方法、例えばスパッタリン
グ法、マグネトロンスパッタリング法、光CVD法、熱
CVD法であっても同様な作用効果が得られると考え
る。
【0055】
【発明の効果】以上の通り、本発明の電子写真感光体
は、透光性支持体の上に透光性導電層と、厚さ1〜5μ
mのa−Si系高光感度層と、1〜10μmの厚みのa
−Si系光導電層とを順次積層するとともに、a−Si
系高光感度層を構成するシリコンのダングリングボンド
量を上記光導電層のダングリングボンド量に対して30
〜80%有するようにし、これにより、低ダングリング
ボンド量のa−Si系高光感度層と、高ダングリングボ
ンド量のa−Si系光導電層とを、それぞれが所定の範
囲の厚みを有するように組み合わせた積層構造と成し、
その結果、高い帯電能力を有しながらも、そのa−Si
系高光感度層でのキャリアの移動度が向上し、局在電位
密度分布が改善されて高光感度となり、また自然励起キ
ャリアの発生も少ないために、暗減衰も改善され、更に
再帯電電位も向上した。
【0056】また、本発明の電子写真感光体の製法によ
れば、グロー放電分解法により上記低ダングリングボン
ド量のa−Si系光導電層と、高ダングリングボンド量
のa−Si系光導電層との積層構造を形成する際に、低
い成膜速度によりダングリングボンド量が減少するとい
う知見に基づいて、グロー放電分解法により先ず透光性
導電層の上に比較的膜厚の小さいa−Si系光導電層を
低速に成膜形成し、次いでその光導電層の上に高い成膜
速度により成膜し、これにより、実質上光キャリア発生
のa−Si系高光感度層を透光性導電層の上に積層して
いるので、成膜速度を高めて上記の高性能な電子写真感
光体が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における電子写真感光体の層構成を示す
断面図である。
【図2】実施例で用いたグロー放電分解装置の概略説明
図である。
【図3】本発明に係わる電子写真方法を示す模式図であ
る。
【図4】本発明に係わる電子写真方法の要部構成図であ
る。
【符号の説明】
3 透光性支持体 4 透光性導電層 5 キャリア注入阻止層 6 アモルファスシリコン系光導電層 7 アモルファスシリコン系高光感度層 8 表面層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性支持体の上に透光性導電層と、厚さ
    1〜5μmのアモルファスシリコン系高光感度層と、1
    〜10μmの厚みのアモルファスシリコン系光導電層と
    を順次積層するとともに、上記アモルファスシリコン系
    高光感度層を構成するシリコンのダングリングボンド量
    を上記光導電層のダングリングボンド量に対して30〜
    80%有するようにしたことを特徴とする電子写真感光
    体。
  2. 【請求項2】透光性支持体の上に形成された透光性導電
    層の上に、グロー放電分解法により1〜5μmの厚みの
    アモルファスシリコン系高光感度層と、1〜10μmの
    厚みのアモルファスシリコン系光導電層とを順次積層す
    る電子写真感光体の製法であって、前記高光感度層を前
    記光導電層の成膜速度より遅い速度で成膜することによ
    り該光導電層を構成するシリコンのダングリングボンド
    量に対して30〜80%のダングリングボンド量を有す
    るようにしたことを特徴とする電子写真感光体の製法。
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