JPH06184824A - 熱融着性複合繊維 - Google Patents

熱融着性複合繊維

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JPH06184824A
JPH06184824A JP32809392A JP32809392A JPH06184824A JP H06184824 A JPH06184824 A JP H06184824A JP 32809392 A JP32809392 A JP 32809392A JP 32809392 A JP32809392 A JP 32809392A JP H06184824 A JPH06184824 A JP H06184824A
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和彦 田中
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正夫 河本
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Abstract

(57)【要約】 【構成】イソフタル酸を15〜60モル%および2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレ
ンオキサイド付加物を5〜40モル%共重合してなり、
かつ二次転移点温度が70℃以上である非晶性共重合ポ
リエステルと、繊維形成性ポリマ−からなる熱融着複合
繊維。 【効果】二次点移転温度が高い非晶性共重合ポリエステ
ルを複合繊維の一成分として用いることにより、ポリエ
ステル系ポリマ−からなる繊維の物性を損なうことな
く、工程性および取扱い性が良好な熱融着複繊維が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱融着性複合繊維に関す
るものであり、耐熱性に優れるため繊維化工程性が良好
で、しかも繊維物性にも優れている熱融着性複合繊維に
関する。
【0002】
【従来の技術】繊維間の熱融着により不織布等を製造す
るための熱融着性繊維としては、たとえばポリエチレン
を接着成分とするポリエチレン−ポリプロピレン複合繊
維、共重合ナイロンを接着成分とするポリプロピレンと
の複合繊維、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体を接
着成分とするポリエチレンテレフタレ−トとの複合繊維
等多々ある。近年、繊維分野、とくに不織布分野でポリ
エチレンテレフタレ−トを代表とするポリエステル繊維
の役割が大きくなり、生産効果、省エネルギ−等の観点
から熱接着・熱融着により繊維集合体または繊維製品、
とくに不織布を製造する要求が高くなり、ポリエステル
繊維の接着相手となるポリエステル系熱融着性繊維が種
々提案されている。
【0003】不織布製品分野に限らず、コスト的に高く
なることは好ましくなく、可能な限り低いコストでいか
に目的にあった製品を製造するかが非常に重要である。
そこで熱接着性・熱融着性の非晶性ポリエステルとし
て、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコ−ル
を主成分とする共重合ポリエステルが提案され、商品化
されている。しかしながら、この共重合ポリエステルの
二次転移点温度は約60〜70℃と低く、ポリマ−製造
後の乾燥をかかる温度以上の温度で実施するとポリマ−
間に膠着が生じ、トラブル発生の要因となるため、かか
る温度未満の温度で長時間かけて真空乾燥しているのが
実情であり、コスト的にも生産効率的にも好ましいもの
ではない。また、このようなポリマ−から得られた繊維
の物性も不十分である場合が多い。例えば、芯成分とし
てポリエチレンテレフタレ−トを用い、鞘成分として上
記の非晶性ポリエステルを用いた芯鞘複合繊維を得る場
合、延伸温度をあまり高くすることができない、すなわ
ち、延伸温度を鞘成分である非晶性ポリエステルの二次
転移点温度より高く設定すると繊維間で膠着が生じ、カ
−ド工程等の後工程が極端に悪化するため、延伸温度は
ポリマ−の二次転移点温度より低くせざるを得ない。そ
のため芯成分であるポリエチレンテレフタレ−トを後の
延伸時に十分配向結晶化させるための熱処理が不十分と
なり、延伸歪が繊維中に内在し、その結果、繊維の湿熱
時または乾熱時の収縮率が大きくなり、繊維製品の熱的
寸法安定性が不良となる。
【0004】また、ポリマ−の二次転移点温度が低い場
合の他の不利な点としては、例えば湿式用不織布を得る
際の延伸後のトウを3〜10mm長に切断する場合、切
断時の発熱による繊維間の膠着が生じ、抄紙時のカット
ファイバ−分散不良の原因となり、得られた不織布が外
観上不良となることが挙げられる。さらにこの不織布を
ティ−バッグ等の袋として使用した場合、熱湯中の耐熱
性が劣るためにパンク等のトラブルが発生し易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解決するものであり、ポリエステル繊維に熱
接着・熱融着するポリエステル系熱融着性繊維の性能を
保持しながら、乾式および湿式不織布を製造した場合の
いずれに対しても工程性が良好で、取扱い性の容易な不
織布等の繊維製品を得るための熱融着性繊維を得ること
にある。本発明者らは、上記の問題点を解決するための
手段の1つとして、ポリマ−の二次転移点温度をいかに
上げるかについて鋭意検討を行った結果、本発明に至っ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、イ
ソフタル酸を15〜60モル%および2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイ
ド付加物を5〜40モル%共重合してなり、二次転移点
温度が70℃以上である非晶性共重合ポリエステルと、
繊維形成性ポリマ−からなる熱融着性複合繊維である。
【0007】本発明の非晶性共重合ポリエステル(以
下、共重合ポリエステルと称する場合がある)は、ポリ
エステルの主鎖にイソフタル酸および2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイ
ド付加物(以下BSAと略す)がランダムに共重合した
構造を有しているものを示す。ポリエステルとしては、
得られる繊維の物性、品質、繊維化工程性およびコスト
の点からテレフタル酸が40モル%以上、好ましくは5
0モル%以上、エチレングリコ−ルが45モル%以上、
好ましくは50モル%以上共重合されたものが好適であ
り、なかでも繰り返し単位の80モル%以上がエチレン
テレフタレ−ト単位であることが好ましい。イソフタル
酸の共重合量は共重合ポリエステルを構成する全酸成分
に対して15〜60モル%、好ましくは20〜50モル
%の範囲であり、BSAの共重合量は共重合ポリエステ
ルを構成する全ジオ−ル成分に対して5〜40モル%、
好ましくは10〜30モル%の範囲である。さらに好ま
しくは、イソフタル酸をBSAよりも過剰に共重合させ
ることが、耐熱性、コストの点で好ましい。イソフタル
酸の共重合量またはBSAの共重合量が上記の範囲外の
場合、本発明の目的である乾式および湿式不織布に加工
した場合のいずれに対しても工程性が良好で、取扱い性
の容易な不織布等の繊維製品を得ることができない。
【0008】なお、上記のBSAとは下記式Iで示され
るものである。
【0009】
【化1】 (ただし、R↓1およびR↓2は低級アルキル基、mお
よびnは1以上の整数である。)
【0010】R↓1およびR↓2は低級アルキル基であ
り、好ましくはエチレン基またはプロピレン基が望まし
い。また、R↓1およびR↓2は同一のアルキル基であ
っても、または異なるアルキル基であってもよい。mお
よびnは1以上の整数であり、上限に限定はないが、そ
れぞれ10以下、特に5以下であることが好ましい。m
およびnは同一の整数であっても異なる整数であっても
よい。mおよびnの数が大きいと、BSAを共重合成分
としたポリエステルの分子運動性が大きくなり過ぎ、ポ
リマ−の二次転移点温度が低下し、得られる非晶性共重
合ポリエステルの耐熱性が不十分となり好ましくない。
また、このBSAにはその製造過程において、ビスフェ
ノ−ルS等のmおよび/またはnが0である化学式で示
されるフェノ−ル性のOH基を有する化合物が含まれる
場合があるが、本発明において共重合ポリエステルを重
合する場合、かかる化合物が多量に含まれていると重合
時の重縮合反応性が極端に低下するので、その含有量は
BSAの10重量%以下であることが好ましい。
【0011】BSAとしては下記式IIで示される、2,
2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン
が共重合ポリエステルの二次転移点温度を上げやすい点
で好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】上述したように、BSAの共重合量は、共
重合ポリエステルを構成する全ジオ−ル成分に対して5
〜40モル%、好ましくは10〜30モル%の範囲であ
る。共重合量が5モル%未満の場合、得られる共重合ポ
リエステルの二次転移点温度を十分高くすることができ
ず、また共重合量が40モル%を越える場合、共重合ポ
リエステルの二次転移点温度は十分高くすることがで
き、繊維化工程性が非常に良好になるが、コストの点で
問題がある。また、共重合ポリエステルの二次転移点温
度があまりに高くなり過ぎると、かかる共重合ポリエス
テルを一成分とした複合繊維からなる不織布を熱接着処
理する際の処理温度をかなり高く設定しなければなら
ず、消費コストが大きくなる。
【0014】このような組成からなる非晶性共重合ポリ
エステルは二次転移点温度が70℃以上、好ましくは8
0℃以上と従来の非晶性共重合ポリエステルの二次転移
点温度に比べ高いことから、かかる共重合ポリエステル
を一成分とした複合繊維は繊維化工程性が良好であり、
熱接着・熱融着繊維として非常に有用である。
【0015】さらに本発明の共重合ポリエステルは、上
述の共重合成分のほかに下記式(1)および(2)を満
足する共重合成分Aおよび/またはBを流動調節剤とし
て用いることが好ましい。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】 ここで、A成分は本発明の共重合ポリエステルを構成す
る主たる共重合成分を除く芳香族共重合成分であり、B
成分は本発明の共重合ポエリエステルを構成する主たる
共重合成分を除く脂肪族および/または脂環族共重合成
分である。式(1)において、AmおよびBmはA成分
およびB成分の共重合ポリエステルを構成する全酸成分
に対する共重合モル%を示し、式(2)において、Bw
はB成分原料を[COOH]型および/または[OH]
型とした場合の生成共重合ポリエステルに対する重量%
を示す。
【0018】A成分としては、フタル酸、メチルテレフ
タル酸、オキシ安息香酸、オキシエトキシ安息香酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン
酸、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレン
オキサイド付加物、p−キシレングリコ−ル等の芳香核
を1個または2個有する化合物が挙げられる。
【0019】B成分としては、複合繊維の熱処理温度ま
たは該複合繊維からなる不織布の接着処理温度が150
℃以下である場合には、複合繊維を構成する共重合ポリ
エステルの流動性を適性に調整するために、分子構造的
に運動性の大きい、側鎖を有しない直線性の分子構造を
有するアジピン酸、セバシン酸、ペンタメチレングリコ
−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル
等が挙げられる。一方、複合繊維の熱処理温度または該
複合繊維からなる不織布の接着処理温度が150〜20
0℃という比較的高温の場合には、150〜200℃の
範囲内で複合繊維を構成する共重合ポリエステルの流動
性を適性に調整するために、側鎖を有し、低温での分子
運動性が少ないシクロヘキサンジメタノ−ル、1,2−
プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等が挙
げられる。
【0020】上述のA成分およびB成分の合計量は繊維
化工程性等の生産工程性の点から25モル%以下、とく
に15モル%以下が好ましい。A成分およびB成分の種
類、共重合量は目的とする複合繊維あるいは不織布等の
最終製品の使用目的によって選択されることは言うまで
もない。
【0021】またB成分のエステル形成基を[COO
H]型および/または[OH]型とした場合の、共重合
ポリエステルに対する重量%としては、25重量%以
下、とくに15重量%以下とすることが好ましい。B成
分が25重量%を越えると、共重合ポリエステルが柔軟
となり、後の繊維化工程性が低下することがあり好まし
くない。
【0022】本発明の複合繊維において、芯成分を形成
する共重合ポリエステルは非晶性である。非晶性である
ことは、該共重合ポリエステルを溶融し、微細な繊維ま
たは薄膜フィルム小片として取り出して冷却し、3日以
上室温に放置した試料を示差走査熱量計(DSC)にか
け、窒素中、10℃/分の速度で昇温し、吸熱ピ−クの
有無で確認することができる。吸熱ピ−クが非常にブロ
−ドであり明確に吸熱ピ−クを判断できない場合は、実
質的に吸熱ピ−クがないものと判断してさしつかえな
い。非晶性共重合ポリエステルを使用することにより、
該共重合ポリエステルを芯とする複合繊維、または該複
合繊維からなる不織布の熱処理工程あるいは熱接着処理
工程における繊維収縮発生による形態変化の問題が生じ
ない。しかも熱接着処理に至るまでの工程での予熱処理
が可能であるため寸法安定性等の製品管理が容易である
ばかりでなく、熱効率がよい状態で熱処理が行なわれる
ので運転コスト的にも有利である。
【0023】本発明において「二次転移点温度」とは、
東洋ボ−ルドウイン社製「バイブロン直読式動的粘弾性
測定器DDV−II型」を用い、温度分布とtanδの測
定を行ない、tanδ測定値を基に動的損失弾性率を求
め、動的損失弾性率が最大となったときの温度を示す。
このときの測定条件は、駆動周波数110cps、室温
から速度1℃/分で昇温させた。測定試料は、溶融ポリ
エステルから厚み0.2mmの薄膜フィルムを作製し、
巾5mm、長さ20mmに切断して冷却し、3日以上室
温に放置したもの用いた。フィルムに厚さ斑があると測
定値にややばらつきが生じるため、別々に調整した5個
の測定試料の二次転移点温度を測定し、その平均値を
「二次転移点温度」とした。この二次転移点温度は共重
合ポリエステルの組成比が同じであれば、重合度すなわ
ち固有粘度の大きさによって異なることはなかった。
【0024】本発明において、上述の非晶性共重合ポリ
エステルには本発明の効果を損なわない範囲内で酸化チ
タン等の艶消剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定剤、紫
外線遮蔽吸収剤等の添加剤が含有されていてもよい。
【0025】本発明の複合繊維は、上述の非晶性共重合
ポリエステルと、繊維形成性ポリマ−とからなる。熱接
着性不織布としての目的と良好な繊維化工程性を維持さ
せるためには、繊維を複合構造とすることが目的に適っ
ていることがわかった。
【0026】他の繊維形成性ポリマ−としては、融点が
150℃以上の熱可塑性ポリマ−が好適であり、具体的
にはポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフ
タレ−ト、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリプロピレ
ン等が挙げられる。
【0027】非晶性共重合ポリエステル成分と繊維形成
性ポリマ−成分の複合比率は80:20〜20:80
(重量比)の範囲にすることが好ましい。前者が20重
量%未満の場合、良好な熱融着性が得られにくく、ま
た、80重量%を越えると、紡糸性、延伸性等の繊維化
工程性が低下するので好ましくない。
【0028】本発明の複合繊維の断面形態は完全芯鞘
型、芯成分が異形形状である芯鞘型、多芯芯鞘型、偏心
芯鞘型、異形断面芯鞘型、サイドバイサイド型、多層貼
合わせ型等各種含まれ、とくに限定されるものではない
が、熱融着繊維として十分な効果を発現させるために
は、複合繊維断面の全周長に対する非晶性共重合ポリエ
ステル成分の割合、すなわち繊維断面周率は50%以
上、とくに60%以上であることが好ましい。繊維断面
周率が50%未満の場合、良好な熱融着性が得られにく
いので好ましくない。
【0029】本発明の熱融着複合繊維は20〜100m
mに裁断されて乾式用不織布等の繊維集合体のバインダ
−として、また、3〜10mmに裁断されて湿式用不織
布等の繊維集合体のバインダ−として使用される。繊維
集合体に含有される熱融着複合繊維の含有量は10重量
%以上が好ましい。含有量が10重量%未満の場合、熱
融着複合繊維の熱融着性が効果的に発現しにくい。
【0030】熱融着複合繊維の他に繊維集合体を形成す
る繊維として、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチ
レンテレフタレ−ト等のテレフタル酸系ポリエステルを
用いると、熱融着複合繊維間にみならず、熱融着複合繊
維とポリエステル繊維との融着も良好であり、強度の高
い繊維集合体が得られる。従来テレフタル酸系ポリエス
テルに融着する繊維が少なく、良好なポリエステル系繊
維集合体を得ることができなかった。本発明はポリエス
テル系繊維集合体の製造を容易にし、なおかつ従来の機
械、装置が使用可能であることから、低コストで製造す
ることを可能にしたのである。熱融着複合繊維の他に繊
維集合体を形成する繊維として、テレフタル酸系ポリエ
ステルの他に木材パルプ、レ−ヨン、ポリビニルアルコ
−ル系繊維等の親水性素材を用いることもできる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に何等限定されるものでは
ない。なお、実施例中における共重合ポリエステルの固
有粘度[η]は、共重合ポリエステルをフェノ−ル/ク
ロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒に溶解させ、3
0℃で測定した。裂断長はJIS P 8113に、強
度、伸度、乾熱収縮率はJIS L 1013に準拠し
て測定した。
【0032】実施例1 重縮合反応装置を用い、常法により280℃で重縮合反
応を行ない、テレフタル酸(以下TAと略称する)55
モル%、イソフタル酸(以下IPAと略称する)45モ
ル%、エチレングリコ−ル(以下EGと略称する)70
モル%、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)スルホン(以下BSAEと略称する)20モル%、
およびジエチレングリコ−ル10モル%からなる共重合
ポリエステルを製造し、次いで重合体器底部よりストラ
ンド状に水中に押し出し、ペレット状に切断した。得ら
れた共重合ポリエステルペレットの固有粘度[η]は
0.69、二次転移点温度は90℃であり、DSC測定
による吸熱ピ−クは観察されなかった。また、このペレ
ットを真空乾燥器中80℃で乾燥したところ、ペレット
間の膠着は全く認められなかった。
【0033】得られた共重合ポリエステルを鞘に、固有
粘度[η]が0.69のポリエチレンテレフタレ−トを
芯として、複合比50:50で図1に示される断面形状
の複合繊維を紡糸口金温度290℃、速度1000m/
分で巻き取った。巻き取った複合繊維は単繊維間および
繊維束間での膠着が全く認められず、長時間安定に紡糸
を行なうことができた。得られた紡糸原糸を水浴中80
℃で4.2倍に延伸し、続いて水浴中90℃で8%収縮
させ、単繊維繊度2.0デニ−ル、強度3.5g/デニ
−ル、伸度43%の延伸糸を得た。また120℃におけ
る乾熱収縮率は4%であった。
【0034】この延伸糸を5mm長に切断したもの70
重量部とポリエチレンテレフタレ−ト繊維(単繊維繊度
2デニ−ル、繊維長5mm)30重量部とを混合した
後、角型タピ−抄紙機(熊谷理機製)で混抄し、繊維紙
を作製した。続いてヤンキ−ドライヤ−型のフロエ板熱
円筒上で130℃、1分間乾燥し、融着(接着)させて
坪量20g/m↑2、40g/m↑2、80g/m↑2
の抄紙を作製した。いずれの場合も繊維間の粘着、膠着
等のトラブルはなく、繊維の分散性、外観の良好な紙を
容易に抄紙することができ、また実用に耐え得るだけの
強力を保持していた。得られた紙をティ−バッグとして
使用テストしたが、パンク等のトラブルは全く発生しな
かった。
【0035】上述の5mmに切断された延伸糸500k
gを、タテ50cm、ヨコ1m、高さ2mの長方形の箱
に入れ密閉し、500kgの荷重を蓋の上にかけて40
℃の雰囲気中で1ケ月間保存した。1ケ月後開封したと
ころ、延伸糸の膠着は認められなかった。続いて1年
間、実際に倉庫に梱包して保管したが、保存による悪影
響は何等認められなかった。
【0036】実施例2〜8 実施例1で得られた共重合ポリエステルおよびポリエチ
レンテレフタレ−トを用い、表1に示される条件で複合
繊維、延伸糸を作製し、抄紙を行なった。実施例2およ
び3は芯鞘複合比を変えて行なった。実施例4〜6は繊
維断面形状を変えて行なった。実施例7は芯成分として
固有粘度[η]が0.67のポリブチレンテレフタレ−
トを、実施例8は芯成分としてナイロン6(宇部興産社
製)を用いて複合繊維を作製した。いずれも繊維化工程
性は良好であり、単繊維間および繊維束間の膠着、接着
は認められなかった。また、抄紙時の各繊維の分散性も
良好であり、得られた紙の外観も良好であった。
【0037】実施例9〜16 表1に示される組成の共重合ポリエステルを鞘成分とし
て用いる以外は、実施例1と同様にして複合繊維、延伸
糸を作製し、ついで抄紙を行なった。いずれも繊維化工
程性は良好であり、単繊維間および繊維束間の膠着、接
着は認められなかった。また、抄紙時の各繊維の分散性
も良好であり、得られた紙の外観も良好であった。
【0038】比較例1 重縮合反応装置を用い、常法により280℃で重縮合反
応を行ない、TA55モル%、IPA45モル%、EG
90モル%、およびジエチレングリコ−ル10モル%か
らなる共重合ポリエステルを製造し、次いで重合体器底
部よりシ−ト状に水中に押し出し、ペレット状に切断し
た。得られた共重合ポリエステルペレットの固有粘度
[η]は0.75、二次転移点温度は70℃であり、D
SC測定による吸熱ピ−クは観察されなかった。得られ
た共重合ポリエステルを鞘成分に、固有粘度[η]が
0.67のポリエチレンテレフタレ−トを芯成分とし
て、実施例1と同様にして延伸糸を作製した。得られた
延伸糸の単繊維繊度は2.0デニ−ル、強度は3.2g
/デニ−ル、伸度は49%であった。また120℃にお
ける乾熱収縮率は12%と実施例1に比較し高かった。
続いてこの延伸糸を切断したものを用いて実施例1と同
様にして抄紙を行ない、紙を得た。抄紙前の切断糸は単
繊維間で膠着が認められ、また、得られた紙も繊維の分
散状態が不良で外観の悪いものであった。上述の切断糸
を実施例1と全く同様にして保管テストを行なったとこ
ろ、1ケ月間で単繊維間の膠着がかなり発生していた。
【0039】比較例2 表1に示される組成の共重合ポリエステルを鞘成分とし
て用いる以外は、実施例1と同様にして複合繊維、延伸
糸を作製し、次いで抄紙を行なった。延伸糸は単繊維間
でかなりの膠着が認められた。延伸温度を70℃以下に
すると単繊維間の膠着は認められなくなったが、延伸糸
の乾熱収縮率が高くなった。また、抄紙して得られた紙
も繊維の分散状態が不良で外観の悪いものであった。
【0040】比較例3 表1に示される組成の共重合ポリエステルを鞘成分とし
て用いる以外は、実施例1と同様にして複合繊維、延伸
糸を作製し、次いで抄紙を行なった。繊維化工程性は良
好で問題はなかったが、得られた紙は熱融着性が不十分
であり実用に耐え得るものではなかった。
【0041】比較例4 表1に示される組成の共重合ポリエステルを鞘成分とし
て用いる以外は、実施例1と同様にして複合繊維、延伸
糸を作製し、次いで抄紙を行なった。この共重合ポリエ
ステルはDSC測定による吸熱ピ−クが認められ、結晶
性であった。繊維化工程性は良好で問題はなかったが、
得られた紙は裂断長が0.1kmと低く、強度の低いも
のであった。
【0042】比較例5 表1に示される組成の共重合ポリエステルを実施例1と
同様にして重合し、重合器底部からストランド状に押し
出した。このポリエステルの二次転移点温度が18℃と
低いために、ストランドが柔らかく、ペレット状に切断
しにくく、その上カッタ−へのポリエステルの融着のた
めにしばしばカッタ−の運転を中止することになった。
このためストランドを0℃の氷水中に押し出すことによ
りペレット化の収率を高めた。得られたペレットを真空
乾燥器中45℃で乾燥したところ、ペレットが膠着して
塊状となったので、乾燥は室温で行なった。次いで実施
例1と同様にして複合繊維を得ようとしたが、単繊維間
および繊維束間の膠着がひどく、満足な繊維を得ること
はできなかった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、特定の組成を有する非
晶性共重合ポリエステルと繊維形成性ポリマ−からなる
熱融着複合繊維は繊維化工程性が良好であり、とくにポ
リエステル繊維に対しての融着・接着性が良く、長期に
亘る保存性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の繊維断面の一例を示した図
である。
【図2】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図3】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図4】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図5】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図6】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図7】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図8】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図9】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示した
図である。
【図10】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示し
た図である。
【図11】本発明の複合繊維の繊維断面の別の例を示し
た図である。
【符号の説明】
(イ) 非晶性共重合ポリエステル (ロ) 繊維形成性ポリマ−
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【化1】 (ただし、R↓1およびR↓2は低級アルキル基、mお
よびnは1以上の整数である。)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【化2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソフタル酸を15〜60モル%および
    2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのア
    ルキレンオキサイド付加物を5〜40モル%共重合して
    なり、かつ二次転移点温度が70℃以上である非晶性共
    重合ポリエステルと、繊維形成性ポリマ−からなる熱融
    着性複合繊維。
  2. 【請求項2】請求項1記載の繊維を10重量%以上含
    み、該繊維を構成する非晶性共重合ポリエステルの二次
    転移点温度以上の温度で融着処理してなる繊維集合体。
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