JPH06184157A - 新規物質及び該物質を生産する微生物 - Google Patents

新規物質及び該物質を生産する微生物

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JPH06184157A
JPH06184157A JP5210840A JP21084093A JPH06184157A JP H06184157 A JPH06184157 A JP H06184157A JP 5210840 A JP5210840 A JP 5210840A JP 21084093 A JP21084093 A JP 21084093A JP H06184157 A JPH06184157 A JP H06184157A
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zopfiella
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道雄 村田
Michito Tagawa
道人 田川
Hiroyuki Narishima
裕之 成島
Takashi Furusato
孝 古里
Masao Kuwabara
正雄 桑原
Masami Hanaue
雅美 花上
Tatsuya Seki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗かび剤及び抗血栓剤として優れた作用を示
す、化合物Aとその関連化合物Bとそれらの誘導体、及
びゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌とゾフィエラ・
カルバータNo.37-3(Zopfiella curvata No.37-3)菌株の
培養物を提供する。 【構成】構造式(A)で表される化合物Aとその関連化
合物Bとそれらの酸無水基から誘導されるカルボン酸と
そのエステルと塩、化合物A及び/又はBを生産する微
生物、該微生物による化合物A及び/又はBの製造法及
びゾフィエラ(Zopfiella) 属に属する菌とゾフィエラ・
カルバータNo.37-3(Zopfiella curvata No.37-3)菌株の
培養物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化合物A及び/又は
B、それ(ら)を生産する微生物とその培養物及びそれ
(ら)を生産する微生物によるそれの製法並びにその用
途に関する。更に詳しくは、本発明は各種糸状菌に対す
る抗菌活性及び血小板凝集阻害作用を示す化合物Aと
B;それらの生産能力を有する微生物、更に詳しくはゾ
フィエラ・カルバータ(Zopfiella curvata)No.37-3
菌株;ゾフィエラ・カルバータ(Zopfiella curvata )
に属する菌とゾフィエラ・カルバータ (Zopfiella cur
vata)No.37-3 菌株の培養物;及び生産菌であるゾフィ
エラ・カルバータ(Zopfiella curvata )に属し、化合
物A及び/又はBの生産能力を有する微生物を培養し、
これを採取する製造方法、並びにそれらの何れかを有効
成分として含有する抗かび剤、植物病害防除剤及び抗血
栓剤に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】ゾフィエ
ラ属由来の本発明で開示された様な各種糸状菌に抗菌活
性を示し、且つ抗血栓剤としての活性を示す物質の存在
は明らかにされていない。
【0003】既存の抗かび剤の薬剤耐性の問題等もあ
り、各種糸状菌に対して効果を示す抗かび剤の開発が求
められている。又、下記のように新規の抗血栓剤の開発
が求められている。血小板凝集は病態との関連の面にお
いて、血栓形成に重要な役割を演じていることが明らか
にされている。血栓形成が原因として発症する血栓症諸
疾患としては脳血栓症、肺血栓症、心筋梗塞、狭心症、
末梢動脈閉塞症などが主要なものとして挙げられ、これ
らはいずれも有用な薬剤開発が必要とされている疾患領
域である。これら血栓症の予防および治療薬として血小
板凝集阻害作用を有する抗血栓剤が注目されている。こ
れまでアスピリンの効果が広く検討されており、さら
に、最近になってチクロピジン、シロスタゾールが臨床
開発されてきているが、効力の面でさらに強力な薬剤が
望まれているのが現状である。また、前記の血栓症諸疾
患の他に、血小板との関わりが示唆されている疾患が種
々指摘されている。これらの疾患として、腎炎や癌細胞
転移等が挙げられるが、最近になって血小板機能の抑制
作用を有する抗血栓剤のこれらを中心とした疾患に対す
る予防、治療効果に関し、広く研究が行われつつある
〔ジャーナル・オブ・ロイヤル・カレッジ・オブ・フィ
ジシャンズ(Journal of Royal College of Physicians
)、7巻、1号、5〜18頁、1972年;日本臨床、
4巻、6号、130〜136頁、1988年;アンチキ
ャンサー・リサーチ(Anticancer Research)、6巻、5
43〜548頁、1986年参照〕。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物の
代謝産物について種々検索した結果、ゾフィエラ(Zopf
iella )属に属する菌株が各種糸状菌に対し抗菌活性を
有し、且つ抗血栓剤としての活性を示し、しかも8員環
構造を有する新規な下記の構造式(A)で示される化合
物A、及び下記の理化学的性質を示す化合物Bを生産す
ることを見い出した。又、ゾフィエラ(Zopfiella )属
に属する菌株の培養物が同様の活性を示すことを見出し
た。
【0005】
【化2】
【0006】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。上記化合物Aは、ゾフィエラ(Zopfiella)
属に属する化合物A生産菌を培養し、化合物Aを生成蓄
積せしめ、この培養物より化合物Aを採取することによ
り得られる。尚、本発明によって開示された化合物Aは
天然より初めて見い出された物質である。
【0007】ゾフィエラ属に属し、化合物Aを生産する
能力を有する微生物を用いることができる。例として
は、本発明において使用されるゾフィエラ(Zopfiella
)属に属する化合物A生産菌として、本発明者らによ
って、埼玉県内の土壌より新たに分離されたゾフィエラ
・カルバータ(Zopfiella curvata )No.37-3株(以下
「No.37-3 株」という。)が挙げられる。その他とし
て、ゾフィエラ・ラティペス(Zopfiella latipes )、
ゾフィエラ・ロンジコデータ(Zopfiella longicaudat
a)、ゾフィエラ・ランドクビスティ(Zopfiella lundq
vistii)、ゾフィエラ・マリナ(Zopfiella marina)、
ゾフィエラ・マツシマエ(Zopfiella matsushimae)、
ゾフィエラ・ピリフェラ(Zopfiella pilifera)等が挙
げられる。以下、No.37-3 株の菌学的性状を示す。
【0008】1.形態 子のう果は表在性で、主として散在する。 黒褐色、不
透明で球形。 直径は210 μm 〜324 μm 。 子のう果
上には、剛毛が着生し、厚膜で主として4 〜6の隔膜が
存在する。 剛毛は暗褐色を呈する。長さは、195 μm
〜325 μm 。剛毛基部の巾は4.5 μm 〜6.3 μm 。 子
のう果の殻壁は縫い目状で、6 角形の組織に分裂し易
い。
【0009】子のうは、球形で、直径180 μm 〜216 μ
m 。 しばしば脚を着生し、脚部の長さは8 μm 〜13μ
m 。 巾は、3 μm 〜8 μm 。 子のうは8 細胞を含
む。
【0010】子のう胞子は、長さ13.5μm 〜19.8μm 、
巾5 μm 〜5.8 μm で、主として湾曲した形を示す。
2 個の上部細胞は、若いときは淡褐色ないしオリーフ゛色、
後褐色を呈す。1個の下部細胞は無色。 無色細胞は、
破壊され易く、破壊された子のう胞子は2細胞状で、袴
を有した形を示す。
【0011】以上の性状からNo.37-3 菌株は、糸状菌で
あるゾフィエラ・カルバータ(Zopfiella curvata )属
に属する一菌株と認められる。
【0012】本菌株は、ゾフィエラ・カルバータ(Zopf
iella curvata )No.37-3 として通商産業省工業技術院
・生命工学工業技術研究所・特許微生物寄託センターに
微工研菌寄第13067 号(FERM P-13067)として寄託され
ている。
【0013】本発明で使用するゾフィエラ・カルバータ
(Zopfiella curvata )No.37-3 は例えば、紫外線、60
Co等の照射処理、亜硝酸、N−メチル−N′−ニトロ−
N−ニトロソグアニジン(NTG )等の変異誘起剤による
変異処理、形質導入、形質転換、細胞融合等の通常用い
られる変異処理手段によって化合物A及び/又はBの生
産能力を高めることができる。
【0014】本発明の化合物A及び/又はBを製造する
には、ゾフィエラ属に属し化合物A及び/又はBを産生
する能力を有する微生物、又は上記処理により化合物A
及び/又はB産生能を高めた微生物を培地中で培養し、
培養物中に化合物A及び/又はBを生成蓄積せしめ、次
いでこれを採取すれば良い。尚、ゾフィエラ属に属し、
新規物質A及び/又はBを生産する微生物であれば全て
用いることができる。
【0015】培養方法は、原則的には糸状菌の培養方法
に準ずるが、通常は液体培養による深部培養法が有利で
ある。 培養に用いられる培地としては、37-3株が利用
できる栄養源を含有する培地であれば良い。
【0016】栄養源としては、従来から糸状菌の培養に
利用されている公知のものが使用でき、例えば、炭素源
としてはグルコース、ガラクトース、マンニトール、デ
キストリン、澱粉、水飴、大豆油等を単独または組み合
わせて用いることができる。
【0017】無機及び有機窒素源としては、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スチープ・
リカー、大豆油粕、オートミル、カザミン酸、バクソイ
トン、ソリブル・ベジタブル・プロテイン等単独または
組み合わせて用いることができる。
【0018】その他必要に応じて食塩、硫酸マグネシウ
ム、硫酸銅、硫酸亜鉛、塩化マンガン、炭酸カルシウ
ム、燐酸塩等の無機塩を単独または組み合わせて加える
ことができるほか、本菌の生育や、化合物A及び/又は
Bの生産を促進する有機物、例えば核酸類、アミノ酸、
ビタミン類や無機物を適当に添加することができる。
【0019】培養中発泡が著しい時には、例えば大豆油
等の植物油やシリコーン等の石油系消泡剤を適宜添加す
れば良い。
【0020】培養温度は20〜28℃、培地のpHは5.0 〜8.
0 に調製することが好ましい。液体旋回振盪培養では、
通常8 〜16日間培養を行うことが好ましい。又、静置培
養も用いることができる。尚、これらの培養条件は使用
する生産菌の特性または培養方法に応じてそれぞれ最適
の条件を選択すれば良い。これらの培養条件の選択によ
り本発明化合物を菌体中或いは菌体外に蓄積させること
が可能であり、生産性をより一層向上させることも可能
である。
【0021】培養終了後、培養液から化合物A及び/又
はBを精製、単離するには一般に微生物代謝生産物をそ
の培養物から単離するために用いられる分離、精製の方
法が利用される。すなわち、減圧濃縮、凍結乾燥、有機
溶媒抽出例えばメタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホル
ム、ベンゼン等による抽出、各種イオン交換例えば陽イ
オン交換樹脂、陰イオン交換樹脂処理、あるいはマクロ
ポーラス非イオン性吸着樹脂による処理、あるいは活性
炭、珪酸、シリカゲル、アルミナ等の吸着剤によるクロ
マトグラフィー、さらに高速液体クロマトグラフィー
(HPLC) やセファデックスLH-20 等によるゲル濾過クロ
マトグラフィー、あるいは結晶化、再結晶等の手段を単
独あるいは任意の順序に組み合わせ、又反復して用いる
ことにより、化合物A及び/又はBの分離、精製そして
採取を行うことが出来る。
【0022】化合物Aは酸無水物のジケトフラン構造を
有しているが、抽出条件の相違によっては、ジケトフラ
ン構造の1又は2個が開環した、ジカルボン酸又はテト
ラカルボン酸、そのエステルまたは塩誘導体が得られ
る。エステル誘導体は、炭素原子数1ないし4のアルコ
ールのエステル類、例えばメチル、エチル、プロピル、
又はブチルエステル、そして塩としてはアルカリ金属塩
又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウ
ム塩、カルシウム塩、或いはアンモニウム塩等がある。
カルボン酸、エステル、塩と酸無水物基の何れか2種又
は3種類を組み合わせた例もある。これらの化合物も本
発明に含まれる。上述の化合物Bがジケトフラン構造を
有する場合も化合物Aと同様に酸無水基から誘導される
カルボン酸、それから誘導されるエステルと塩を本発明
の対象として包含する。化合物Bがカルボン酸基を有す
る場合は、そのエステルと塩は化合物Aと同様の範囲で
本発明の化合物の範囲に包含される。又、化合物AとB
の光学異性体も本発明の対象に含まれる。
【0023】かくして得られた化合物A及び/又はB
は、各種糸状菌に対して活性を示し、医薬用抗かび剤、
動物用抗かび剤、農薬用抗かび剤、食品用抗かび剤さら
には工業用抗かび剤、又更には抗血栓剤として有用であ
る。具体的には、例えば、本発明の化合物A及び/又は
Bは、苗立枯病菌(ピシウム、Pythium debaryanum)、
トマト疫病菌(Phytophthora infestans)、菌核病菌
(Sclerotinia sclerotiorum)、モモ灰星病菌(Sclero
tinia cinerea )、リンゴ黒星病菌(Venturia inaequa
lis )、ムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、カンキツ
黒点病菌(Diaporthe citri )、オオムギ網斑病菌(Py
renophora teres )、灰色かび病菌 (Botrytis ciner
ea)、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)、キュウ
リ炭そ病菌(Colletotrichum lagenarium )、ムギ眼紋
病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides )、オオ
ムギ雲形病菌(Rhynchosporium secalis)、リンゴ斑点
落葉病菌(Alternaria mali )、トマト萎凋病菌(Fusa
rium oxysporum)、イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solan
i)、苗立枯病菌(リゾクトニア、Rhizoctonia solan
i)等の農業上重要な害を及ぼす植物病原菌や、アスペ
ルギルス・ニガー(Aspergillus nigar )、アスペルギ
ルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus )、トリ
コフィトン・メンタグロファイテス(Trichophyton men
tagrophytes )、トリコフィトン・ルブラム(Trichoph
yton rubrum )、ペニシリウム・シトリナム(Penicill
ium citrinum)、キャンディダ・アルビカンス(Candid
a albicans) )、サッカロマイセス・セレビシェ(Sacc
haromycescerevisiae)等の医薬上および工業上重要な
害を及ぼす微生物に活性を示す。
【0024】化合物Aを取得するための条件と実質的に
同一の条件下で、ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌
又はゾフィエラ・カルバータNo.37-3(Zopfiella curvat
a No.37-3)菌株を使用して培養液の菌体を除いた後のろ
液濃縮物及び菌体のメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホル
ム、ベンゼン等の有機溶媒による溶媒抽出物をゾフィエ
ラ(Zopfiella)属に属する菌又はゾフィエラ・カルバー
タNo.37-3(Zopfiella curvata No.37-3)菌株の培養物と
いう。
【0025】ゾフィエラ(Zopfiella) 属に属する菌又は
ゾフィエラ・カルバータ No.37-3(Zopfiella curvata N
o.37ー3)菌株の培養物も上記化合物A及び/又はBと同
様の活性を示す。以下、化合物A及び/又はBとゾフィ
エラ(Zopfiella) 属に属する菌又はゾフィエラ・カルバ
ータ No.37-3(Zopfiella curvata No.37-3) 菌株の培養
物を総称して本発明物質という。
【0026】本発明物質を農園芸用殺菌剤として使用す
るにあたっては、本発明物質の活性を阻害しないような
担体であれば何でも良く、一般には適当な担体、例えば
クレー、タルク、ベントナイト、珪藻土等の固体担体あ
るいは水、アルコール類(メタノール、エタノール)、
芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン
等)、塩素化炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エス
テル類(酢酸エチル等)、酸アミド類(ジメチルホルム
アミド等)等の液体担体と混用して適用することがで
き、所望により乳化剤、分散剤、懸濁剤、浸透剤、展着
剤、安定剤等を添加し、液剤、油剤、乳剤、水和剤、粉
剤、粒剤、フロアフ゛ル剤等任意の剤型にて実用に供すること
ができる。
【0027】また、必要に応じて製剤または散布時に他
種の除草剤、各種殺菌剤、殺虫剤、植物生長調整剤、共
力剤、肥料等と混合施用しても良い。本発明物質の施用
薬量は適用場面、施用時期、施用方法、対象病害、栽培
作物等により差異はあるが、一般には有効成分量として
ヘクタール当たり5g〜50kg程度が適当である。
【0028】一方、本発明物質を医薬用抗かび剤として
使用するにあたっては、例えば、液状塗布剤、ゲルおよ
び軟膏剤として、患部に塗布して治療の目的を達するこ
とができる。更に、本発明物質の抗血栓剤としての投与
形態としては、注射剤(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内
注射)、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤等による非経口投
与又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤、
液剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与を挙げることが
できる。本発明物質を含有する上記の薬学的組成物は、
全組成物の重量に対して、本発明物質を約0.1〜9
9.5%、好ましくは約0.5〜95%を含有する。本
発明物質又は本発明物質を含有する組成物に加えて、他
の薬学的に活性な化合物を含ませることができる。又
は、これらの組成物は本発明物質の複数を含ませること
ができる。本発明物質の臨床的投与量は、年令、体重、
患者の感受性、症状の程度等により異なるが、通常効果
的な投与量は、成人一日0.003〜1.5g好ましく
は0.01〜0.6g程度である。しかし、必要により
上記の範囲外の量を用いることもできる。本発明物質は
製薬の慣用手段によって投与用に製剤化される。即ち、
経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤は賦形
剤、例えば白糖、乳糖、ブドウ糖、澱粉、マンニット;
結合剤、例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソ
ルビット、トラガント、メチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン;崩壊剤、例えば澱粉、カルボキシメチルセ
ルロース又はそのカルシウム塩、微結晶セルロース、ポ
リエチレングリコール;滑沢剤、例えばタルク、ステア
リン酸マグネシウム又はカルシウム、シリカ;潤滑剤、
例えばラウリル酸ナトリウム、グリセロール等を使用し
て調製される。注射剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ
剤及びエアゾール剤は、活性成分の溶剤、例えば水、エ
チルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレン
グリコール、 1,3−ブチレングリコール、ポリエチレン
グリコール;界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、水素添加ヒマシ油
のポリオキシエチレンエーテル、レシチン;懸濁剤、例
えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチル
セルロース等のセルロース誘導体、トラガント、アラビ
アゴム等の天然ゴム類;保存剤、例えばパラオキシ安息
香酸のエステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩
等を使用して調製される。経皮吸収型製剤である軟膏に
は、例えば白色ワセリン、流動パラフィン、高級アルコ
ール、マクロゴール軟膏、親水軟膏、水性ゲル基剤等が
用いられる。坐剤は、例えばポリエチレングリコール、
ラノリン、ココナット油等を使用して調製される。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、この実施例は本発明の範囲を何等制限するもの
ではない。
【0030】実施例1 ゾフィエラ・カルバータ(Zopfiella curvata )No.37-
3 株を種培地であるPD(ポテトデキストロース、ディフ
コ社製)培地を含有する液体培地(pH 7.0)に25℃で5
日間培養し、得られた培養液を発酵培地、すなわち、PD
(ポテトデキストロース) 培地(ディフコ社製)に、ポ
リペプトン 0.1% 、酵母エキス 0.1% 、トマトジュース
(食塩添加、カゴメ(株)製)10%(v/v%) 、を添加した
組成からなる培地(pH 7.0)に接種し、25℃で12日間旋
回(140rpm)培養を行った。
【0031】得られた培養液を濾過し菌体を除去した
後、培養濾液を2規定の塩酸でpH3に調製した。この培
養濾液1.5Lに酢酸エチルを加え抽出し、酢酸エチル抽出
画分を得た。酢酸エチル抽出画分を減圧濃縮し、溶媒を
除去した後、少量のベンゼン:酢酸エチル:酢酸(80:
1:2)に溶解し、予め同溶媒で平衡化したシリカゲル
カラムに付し、同溶媒にて溶出した。活性画分を濃縮
し、溶媒を除去した後、予めベンゼンで平衡化したセフ
ァデックスLH−20のカラムにかけ、ベンゼン:酢酸
(40:1)で溶出し、化合物A及びBを含む画分をそ
れぞれ得た。化合物Aを含む画分を濃縮後、以下の条件
〔装置:島津LC−5A,カラム:InertsilODS-2 φ4.
6mmx250mm(ガスクロ工業 (株))、展開溶媒:アセトニ
トリル−水(80:20V/V)、流速:1.0 ml/min. 、温
度:25℃、検出:UV254 nm〕でHPLCを行い、シング
ルピーク部分を回収し、化合物A約40mgを得た。同
様に、化合物Bを含む画分を濃縮後、上記と同様の条件
でHPLCを行い、シングルピーク部分を回収し、化合
物B約10mgを得た。尚、培養及び粗分画中の物質の
活性は灰色かび病菌(Botrytis cinerea) を用いたペー
パーディスク法で測定した。
【0032】かくして得られた化合物Aは、以下に述べ
る通りの理化学的性質を有する新規化合物である。 1.分子量:390 2.組成式:C21267 (FAB マス・スぺクトルにより、(M+H) + =391を検出。
精密質量測定により、M /Z=391.1741を得た。 又、
元素分析により窒素を含まないことを確認した。以上の
結果より、分子量 390、分子式C21267 が与えられ
る。) 3.比旋光度:[α]D 23 = -76.8°(C=0.42、メタノ
ール ) 4.物質の形状、色:白色粉末 5.紫外部吸収スペクトル(図1に示す。) :λmax MeOH = 250nm(ε6300)
【0033】6.赤外部吸収スペクトル(図2に示
す。) :νmax KBr = 3300−3500、2960、2935、1850、177
0、1260、915 、750 cm-1 7.溶剤に対する溶解性 :クロロホルム、酢酸エチル、メタノールに易溶、水に
難溶 8.プロトン核磁気共鳴スペクトル 重クロロホルム中で測定した水素核磁気共鳴スペクトル
を図3に示す。
【0034】9.13C核磁気共鳴スペクトル 重クロロホルム中で測定した炭素核磁気共鳴スペクトル
を図4に示す。その化学シフト(δ-値)を以下に示
す。 13.8、13.9、18.5、22.4、22.4、24.9、28.1、28.4、3
4.1、34.8、36.5、41.7、71.6、141.0 、143.3 、145.0
、147.3 、165.0 、165.1 、165.4 、165.5 ppm 10.Rf値 :シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Kiesel gel 60F
254、Merck社) ベンゼン:酢酸エチル:酢酸(80:1:2 V/V %)の
溶媒系で0.35を示す。
【0035】更に、上記の理化学的性状及びスペクトル
解析の結果から化合物Aの化学構造を下記の構造式
(A)のように同定した。
【0036】
【化3】
【0037】上述の如くして得られた化合物Bは下記の
理化学的性質を有する: 1.分子量:404 2.組成式:C22287 3.物質の形状、色:白色粉末 4.紫外部吸収スペクトル(図5に示す。) :λmax MeOH = 246nm(ε6200) 5.赤外部吸収スペクトル(図6に示す。) :νmax KBr = 2960、2930、2860、1850、1830、177
0、1470、1255、930 、750 、735 cm-1 6.溶剤に対する溶解性:クロロホルム、酢酸エチル 、メ
タノール に易溶、水に難溶 7.13C核磁気共鳴スペクトル 重クロロホルム中で測定したシフト(δ−値)を以下に
示す。 δ(ppm) :13.9, 14.0, 22.4, 22.5, 22.6, 26.7, 27.
4, 29.2, 31.5,34.7, 35.0, 35.9, 41.9, 66.5, 143.9,
144.0, 144.4, 144.7, 164.1,164.4, 165.2, 165.8.
【0038】実施例2 化合物Aのテトラメチルエステ
ルの合成 化合物A、10mgをジエチルエーテル30mlに溶解
し、シリカゲル30mgを加えけん濁した。この溶液に
ジアゾメタンを吹き込み0〜10℃で20分間反応させ
た。シリカゲルをろ別し、溶媒を減圧留去して油状物1
2mgを得た。この生成物を高速液体クロマトグラフィ
ーで精製してテトラメチルエステル体5mgを油状物と
して得た。 赤外線スペクトル(cm-1);3600-3200, 2910, 2840, 1
710. 質量分析スペクトル:482(M + ), 464, 451, 419, 364,
332, 304, 277, 276,247, 217, 69. H1 −NMRδ(ppm, TMS) :3.746(s, 3H), 3.730(s,
3H), 3.726(s, 3H),3.719(s, 3H).
【0039】化合物Aの糸状菌に対する生育阻止作用 次に、化合物Aの生物学的活性について説明する。化合
物Aは、一部の糸状菌に対し強い生育阻止作用を示す。
最小発育阻止濃度(MIC )の測定は、化合物Aを含有す
る寒天平板希釈法によって求めた。第1表に、その結果
を示す。
【表1】
【0040】化合物Bの灰色かび病菌(Botrytis ciner
ea) に対する抗菌活性 予めPDA(ポテト・デキストロース寒天) 培地に25
℃で、2日間培養した灰色かび病菌(Botrytis cinere
a) の菌叢先端部より直径4mmのコルクボーラを用い
て作出した菌糸ディスクをPDA(ポテト・デキストロ
ース寒天) 培地の中央に接種した。その後、種々の濃度
に設定した本発明の化合物Bを添加したペーパー・ディ
スク(直径8mm)を菌叢の中心から等しい距離に置
き、25℃で2日間培養した。その結果、化合物Bは、
5μgの濃度で灰色かび病菌の菌糸生育を阻止した。
【0041】次に、本発明物質を有効成分とする殺菌剤
の製剤例を示すがこれらのみに限定されるものではな
い。尚、以下の製剤例において「部」は重量部を意味す
る。
【0042】製剤例1 乳 剤 本発明物質 ・・・・・・・・・・ 20 部 キシレン ・・・・・・・・・・ 55 部 N,N−ジメチルホルムアミド ・・・・・・・・・・ 20 部 ソルポール2680 ・・・・・・・・・・ 5 部(非
イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との混合物:東
邦化学工業(株)商品名) 以上を均一に混合して乳剤とする。 使用に際しては上
記乳剤を50〜20000 倍に希釈して有効成分量がヘクター
ル当たり5g〜50kgになるように散布する。
【0043】製剤例2 水和剤 本発明物質 ・・・・・・・・・ 25 部 ジークライトPFP ・・・・・・・・・・ 66 部(カ
オリナイトとセリサイトの混合物:ジークライト工業
(株)商品名) ソルポール5039 ・・・・・・・・・・ 4 部(ア
ニオン性界面活性剤:東邦化学工業(株)商品名) カープレックス#80 ・・・・・・・・・・ 3 部(ホ
ワイトカーボン:塩野義製薬(株)商品名) リグニンスルホン酸カルシウム ・・・・・・・・・・ 2 部 以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。使用に際して
は上記水和剤を50〜20000倍に希釈して有効成分量がヘ
クタール当たり5g〜50kgになるように散布する。
【0044】製剤例3 油 剤 本発明物質 ・・・・・・・・・ 10 部 メチルセルソルブ ・・・・・・・・・ 90 部 以上を均一に混合して油剤とする。 使用に際して上記
油剤を有効成分量がヘクタール当たり5g〜50kgになるよ
うに散布する。
【0045】製剤例4 粉 剤 本発明物質 ・・・・・・・・・ 3 部 カープレックス#80 ・・・・・・・・・ 0.5 部(ホワイトカー
ボン:塩野義製薬(株)商品名) クレー ・・・・・・・・・・ 95 部 リン酸ジイソプロピル・・・・・・ 1.5 部 以上を均一に混合粉砕して粉剤とする。 使用に際して
上記粉剤を有効成分量がヘクタール当たり5g〜50kgにな
るように散布する。
【0046】製剤例5 粒 剤 本発明物質 ・・・・・・・・・・ 5 部 ベントナイト ・・・・・・・・・・ 54 部 タルク ・・・・・・・・・・ 40 部 リグニンスルホン酸カルシウム ・・・・・・・・・・ 1 部 以上を均一に混合粉砕して少量の水を加えて撹拌混合
し、押出式造粒機で造粒し、乾燥して粒剤とする。 使
用に際して上記粒剤を有効成分量がヘクタール当たり5g
〜50kgになるように散布する。
【0047】製剤例6 フロアブル剤 本発明物質 ・・・・・・・・・・ 25 部 ソルポール3353 ・・・・・・・・・・ 10 部(非イオン
性界面活性剤:東邦化学工業(株)商品名) ルノックス1000C ・・・・・・・・・・ 0.5部(陰イオ
ン界面活性剤:東邦化学工業(株)商品名) 1%ザンサンガム水溶液 ・・・・・・・・・・ 20 部(天然高分
子) 水 ・・・・・・・・・・ 44.5 部 有効成分(本発明物質)を除く上記の成分を均一に溶解
し、次いで本発明物質を加えよく撹拌した後、サンドミ
ルにて湿式粉砕してフロアブル剤を得る。使用に際して
は、上記フロアブル剤を50〜20000 倍に希釈して有効成
分量がヘクタール当たり5g〜50kgになるように散布す
る。
【0048】次に、本発明物質を有効成分とする医薬の
殺菌剤の製剤例を示すがこれらのみに限定されるもので
はない。
【0049】製剤例7 液状塗布剤 本発明物質 ・・・・・・・・・・ 3 部 ジエタノールアミン ・・・・・・・・・・ 10 部 エタノール ・・・・・・・・・・ 87 部 少量のエタノールにジエタノールアミンを加え攪拌し均
一な溶液とする。この溶液に本発明物質を加えて攪拌溶
解し、更にエタノールを加えて製剤を得る。
【0050】製剤例8 軟膏 本発明物質 ・・・・・・・・・・ 1 部 ジエタノールアミン ・・・・・・・・・・ 3 部 白色ワセリン ・・・・・・・・・・ 86 部 ステアリン酸 ・・・・・・・・・・ 10 部 白色ワセリンおよびステアリン酸を加温して溶解し、ジ
エタノールアミンを加えて均一な溶液とする。この溶液
に本発明物質を加えて攪拌溶解させた後、室温で固化さ
せ製剤を得る。
【0051】次に、本発明物質を抗血栓剤として投与す
る場合の製剤例について説明する。製剤例9 錠 剤 本発明物質 10g 乳 糖 20g 澱 粉 4g 澱 粉(のり用) 1g ステアリン酸マグネシウム 100mg カルボキシメチル 7g セルロースカルシウム 全 量 42.1g 上記成分を常法により混合した後、1錠中に50mgの活性
成分を含有する糖衣錠とした。
【0052】製剤例10 カプセル剤 本発明物質 10g 乳 糖 20g 微結晶セルロース 10g ステアリン酸マグネシウム 1g 全 量 41g 上記成分を常法により混合した後、ゼラチンカプセルに
充填し、1カプセル中50mgの活性成分を含有するカプ
セル剤とした。
【0053】製剤例11 軟カプセル剤 本発明物質 10g トウモロコシ油 35g 全 量 45g 上記成分を混合した後、常法により軟カプセル剤とし
た。
【0054】製剤例12 軟 膏 本発明物質 1.0g オリーブ油 20g 白色ワセリン 79g 全 量 100g 上記成分を常法により混合し、1%軟膏とした。
【0055】製剤例13 エアゾル懸濁液 (A) 本発明物質 0.25% ミリスチン酸イソプロピル 0.10% エタノール 26.40% (B) 1,2 −ジクロルテトラフルオロエタンと1−クロルペン
タフルオロエタンの60〜40%の混合物
73.25% 上記組成物(A)を混合し、得られた混合液をバルブを
備えた容器に仕込み、噴射剤(B)を20℃で約 2.46 〜
2.81 mg/cm2 ケージ圧までバルブノズルから圧入しエ
アゾル懸濁剤とした。
【0056】次に、本発明物質の有用性について、以下
の試験例において具体的に説明する。 但し、これらの
みに限定されるものではない。
【0057】試験例1 キュウリ灰色かび病防除効果試
験(予防的試験) 直径7cm のポットで育成した1.5 葉期のキュウリ(品
種:相模半白)に、本発明物質を含有する乳剤を水で希
釈して所定濃度に調製した薬液をスプレーガンを用い、
ポット当たり10ml散布した。散布翌日、薬液を散布され
た第1葉を切りとり、その葉面に予めPSA (ポテト・シ
ュークロース寒天)培地に20℃、2日間培養した灰色か
び病菌(Botrytis cinerea)菌叢先端部より直径4mm の
コルクボーラを用いて作出した菌糸ディスクを接種し
た。その後、キュウリ葉を20℃、湿室条件に5 日間置
き、形成された病斑の直径を測定し、次式により防除価
を求めた。 尚、対照薬剤としてはイプロジオン(ipro
dion,商品名:ロブラール)を用いた。 防除価 =(1− 薬剤処理区病斑直径/薬剤無処理区
病斑直径)×100 第2表に、その試験結果を示す。
【0058】
【表2】 表注:1 実施例1の酢酸エチルの抽出画分の減圧濃縮乾
涸物
【0059】試験例2 キュウリ灰色かび病防除効果試
験(治療的試験) 直径7cm のポットで育成した1.5 葉期のキュウリ(品
種:相模半白)第1葉を切りとり、試験例1に準じて灰
色かび病菌(Botrytis cinerea)菌糸ディスクを接種し
た。その後、キュウリ葉を20℃、湿室条件に2日間置
き、病斑直径が約10cmに達した時、本発明化合物等の乳
剤を水で希釈して所定濃度に調製した薬液をスプレーガ
ンを用い、葉当たり10ml散布し、風乾後、20℃、湿室下
に3日間置いた。
【0060】新たに進展した病斑長を測定し、次式によ
り防除価を求めた。 防除価 =(1− 薬剤処理区病斑進展長/薬剤無処理
区病斑進展長)×100 第3表に、その試験結果を示す。
【表3】 注:1 実施例1の酢酸エチルの抽出画分の減圧濃縮乾涸
【0061】試験例3 キュウリ菌核病防除効果試験
(予防的試験) 直径7cm のポットで育成した1.5 葉期のキュウリ(品
種:相模半白)に、本発明化合物を含有する乳剤を水で
希釈して所定濃度に調製した薬液をスプレーガンを用
い、ポット当たり10ml散布した。散布翌日、薬液を散布
された第1葉を切りとり、その葉面に予めPSA培地に20
℃、1日間培養した菌核病菌(Sclerotinia sclerotior
um)菌叢先端部より直径4mm のコルクボーラーを用いて
作出した菌糸ディスクを接種した。その後、キュウリ葉
を20℃、湿室条件に3日間置き、形成された病斑の直径
を測定し、次式により防除価を求めた。
【0062】防除価 =(1− 薬剤処理区病斑直径/
薬剤無処理区病斑直径)×100 第4表に、その試験結果を示す。
【表4】
【0063】試験例4. 血小板凝集阻害作用 ハートレー系雄性モルモット(体重300g前後)の腹
部大動脈より3.8%クエン酸ナトリウム1容量を入れ
た注射筒で9容量の血液を採取した。これを160×g
10分間室温で遠心し多血小板血漿(PRP)を得た。
さらに残渣を1,500×g15分間遠心して乏血小板
血漿(PPP)を調製した。測定にはPRPをPPPで
30万/mm3 に希釈したものを用いた。透過度測定範囲
をPRPは0%、PPPは100%に調整したのち、P
RPに100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶
解した被験薬を添加した(DMSOの最終濃度は0.5
%)。37℃、1,000rpm、2分間インキュベー
トした後、凝集剤を添加して凝集曲線を記録した。コン
トロールに対する50%凝集阻害濃度(IC50:μM)を
算出した。なお凝集剤には、ADP(終濃度5μM)、
コラーゲン(終濃度2μg/ml)、U46619(終
濃度0.5μM)を用いた。血小板凝集測定にはNBS HE
MA TRACER 601 を使用した。第5表にその試験結果を示
す。
【0064】
【表5】
【化4】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、抗かび剤及び抗血栓剤
として、優れた作用を示す、新規物質AとB、及びゾフ
ィエラ(Zopfiella)属に属する菌又はゾフィエラ・カル
バータNo.37-3(Zopfiella curvata No.37-3) 菌株の培
養物、及びゾフィエラ・カルバータ No.37-3(Zopfiella
curvata No.37-3) 菌株を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物Aの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図2】化合物Aの赤外部吸収スペクトルを示す。
【図3】化合物Aのフ゜ロトン核磁気共鳴スペクトルを示
す。
【図4】化合物Aの13C核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図5】化合物Bの紫外部吸収スペクトルを示す。
【図6】化合物Bの赤外部吸収スペクトルを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 17/18 D 7432−4B //(C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 17/18 C12R 1:645) (72)発明者 成島 裕之 埼玉県南埼玉郡白岡町大字白岡1470日産化 学工業株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 古里 孝 埼玉県南埼玉郡白岡町大字白岡1470日産化 学工業株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 桑原 正雄 埼玉県南埼玉郡白岡町大字白岡1470日産化 学工業株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 花上 雅美 埼玉県南埼玉郡白岡町大字白岡1470日産化 学工業株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 関 達也 千葉県船橋市坪井町722番地1日産化学工 業株式会社中央研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造式(A): 【化1】 で示される化合物A、その酸無水基の1又は2個の加水
    分解物である遊離酸及びその遊離酸のエステル化物又は
    塩。
  2. 【請求項2】 下記の理化学的性質を有する化合物A: 1.分子量:390 2.組成式:C21267 3.比旋光度:[α]D 23 = -76.8° (C=0.42、メタノール ) 4.物質の形状、色:白色粉末 5.紫外部吸収スペクトル :λmax MeOH = 250nm 6.赤外部吸収スペクトル :νmax KBr = 3300−3500、2960、2935、1850、177
    0、1260、915 、750 cm-1 7.溶剤に対する溶解性 :クロロホルム、酢酸エチル、メタノールに易溶、水に
    難溶 8.13C核磁気共鳴スペクトル (CDCl3) δ (ppm):13.8、13.9、18.5、22.4、22.4、24.9、28.
    1、28.4、34.1、34.8、36.5、41.7、71.6、141.0 、14
    3.3 、145.0 、147.3 、165.0 、165.1 、165.4 、165.
    5 9.Rf値 :シリカゲル薄層クロマトグラフィー(Kiesel gel 60F
    254 、Merck社)ベンゼン:酢酸エチル:酢酸(80:1:
    2 V/V %)の溶媒系で0.35を示す。
  3. 【請求項3】下記の理化学的性質を有する化合物B: 1.分子量:404 2.組成式:C22287 3.物質の形状、色:白色粉末 4.紫外部吸収スペクトル: :λmax MeOH = 246nm 5.赤外部吸収スペクトル: νmax KBr = 2960、2930、2860、1850、1830、1770、1
    470、1255、930 、750 、735 cm-1 6.溶剤に対する溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、
    メタノール に易溶、水に難溶 7.13C核磁気共鳴スペクトル(CDCl3) δ(ppm) :13.9, 14.0, 22.4, 22.5, 22.6, 26.7, 27.
    4, 29.2, 31.5,34.7, 35.0, 35.9, 41.9, 66.5, 143.9,
    144.0, 144.4, 144.7, 164.1,164.4, 165.2, 165.8.
  4. 【請求項4】 ゾフィエラ(Zopfiella) 属に属する微生
    物を培養し、その培養液から請求項1又は2記載の化合
    物A及び/又は請求項3記載の化合物Bを採取すること
    を特徴とする上記化合物A及び/又はBの製造法。
  5. 【請求項5】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する請求
    項1又は2記載の化合物A及び/又は請求項3記載の化
    合物Bの生産性を有するゾフィエラ・カルバータ No.37
    -3(Zopfiella curvata No.37-3) 菌株。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の化合物A及び/又
    は請求項3記載の化合物Bを有効成分として含有する抗
    かび剤。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2記載の化合物A及び/又
    は請求項3記載の化合物Bを有効成分として含有する植
    物病害防除剤。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2記載の化合物A及び/又
    は請求項3記載の化合物Bを有効成分として含有する抗
    血栓剤。
  9. 【請求項9】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌の
    培養物を有効成分として含有する抗かび剤。
  10. 【請求項10】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌
    がゾフィエラ・カルバータ No.37-3(Zopfiella curvata
    No.37-3) 菌株である請求項9記載の抗かび剤。
  11. 【請求項11】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌
    の培養物を有効成分として含有する植物病害防除剤。
  12. 【請求項12】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌
    がゾフィエラ・カルバータ No.37-3(Zopfiella curvata
    No.37-3) 菌株である請求項11記載の植物病害防除
    剤。
  13. 【請求項13】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌
    の培養物を有効成分として含有する抗血栓剤。
  14. 【請求項14】 ゾフィエラ(Zopfiella)属に属する菌
    がゾフィエラ・カルバータ No.37-3(Zopfiella curvata
    No.37-3) 菌株である請求項13記載の抗血栓剤。
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CN117363489B (zh) * 2023-10-13 2024-05-14 中科净土(广州)技术服务有限公司 一株具备黄瓜促生和抗病功能的长尾柄孢壳菌及其应用

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