JPH06219989A - 新規生理活性物質フルオスタチンaおよびb、その製造法およびその用途 - Google Patents
新規生理活性物質フルオスタチンaおよびb、その製造法およびその用途Info
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- JPH06219989A JPH06219989A JP5029654A JP2965493A JPH06219989A JP H06219989 A JPH06219989 A JP H06219989A JP 5029654 A JP5029654 A JP 5029654A JP 2965493 A JP2965493 A JP 2965493A JP H06219989 A JPH06219989 A JP H06219989A
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- fluostatin
- culture
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- streptomyces
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】ストレプトミセスsp. TA-3391(微工研菌寄第1
3048号)の培養により、 (式中、−R1−R2−R3−はフルオスタチンAでは基−CO
−CH=C(CH3)−を示し、またフルオスタチンBでは基−
CH(OH)−CH(OH)−CH(CH3)−を示す)で表される化合物
であるフルオスタチンAおよびBが得られた。フルオス
タチンAはフルオスタチンBから誘導によっても合成で
きる。 【効果】これらの化合物はジペプチジルペプチダーゼII
I を阻害する活性を有し、該酵素の阻害剤として、また
鎮痛剤として有用である。
3048号)の培養により、 (式中、−R1−R2−R3−はフルオスタチンAでは基−CO
−CH=C(CH3)−を示し、またフルオスタチンBでは基−
CH(OH)−CH(OH)−CH(CH3)−を示す)で表される化合物
であるフルオスタチンAおよびBが得られた。フルオス
タチンAはフルオスタチンBから誘導によっても合成で
きる。 【効果】これらの化合物はジペプチジルペプチダーゼII
I を阻害する活性を有し、該酵素の阻害剤として、また
鎮痛剤として有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗ジペプチジルペプチダ
ーゼIII 作用を有する新規な生理活性物質フルオスタチ
ン(Fluostatin)AおよびB、その製造法およびその用
途に関する。
ーゼIII 作用を有する新規な生理活性物質フルオスタチ
ン(Fluostatin)AおよびB、その製造法およびその用
途に関する。
【0002】
【従来の技術】ジペプチジルペプチダーゼIII は細胞質
に局在する酵素である。
に局在する酵素である。
【0003】また、ジペプチジルペプチダーゼIII は、
エンケファリンおよびアンギオテンシンIIを基質とする
ことが報告されている〔Journal of Biological Chemis
try、第257巻、12043〜12050頁(1982年)〕。したがっ
て、ジペプチジルペプチダーゼIII に対する酵素阻害物
質は、鎮痛作用ならびに昇圧作用の持続および増強など
の生体内におけるこれらのペプチドホルモンの調節作用
が期待される。
エンケファリンおよびアンギオテンシンIIを基質とする
ことが報告されている〔Journal of Biological Chemis
try、第257巻、12043〜12050頁(1982年)〕。したがっ
て、ジペプチジルペプチダーゼIII に対する酵素阻害物
質は、鎮痛作用ならびに昇圧作用の持続および増強など
の生体内におけるこれらのペプチドホルモンの調節作用
が期待される。
【0004】ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害物質と
しては、オルトフェナンスロリン(o-Phenanthroline)
及び5,5′-ジチオビス-2-ニトロ安息香酸(5,5′-Dithio
bis-2-nitrobenzoic acid, DTNB)等が知られている〔C
hemical Pharmacological Bull.、第34巻、3333〜3340
頁(1986)〕。
しては、オルトフェナンスロリン(o-Phenanthroline)
及び5,5′-ジチオビス-2-ニトロ安息香酸(5,5′-Dithio
bis-2-nitrobenzoic acid, DTNB)等が知られている〔C
hemical Pharmacological Bull.、第34巻、3333〜3340
頁(1986)〕。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】オルトフェナンスロリ
ン及び5,5′−ジチオビス-2-ニトロ安息香酸等のジペプ
チジルペプチダーゼIII 阻害物質は、ジペプチジルペプ
チダーゼIII に対する特異性が低い。したがって、ジペ
プチジルペプチダーゼIII に対する特異性の高い阻害物
質が望まれている。本発明の目的は、そのような特異性
の高いジペプチジルペプチダーゼIII 阻害物質を有する
生理活性物質、その製造法及びその用途を提供すること
にある。
ン及び5,5′−ジチオビス-2-ニトロ安息香酸等のジペプ
チジルペプチダーゼIII 阻害物質は、ジペプチジルペプ
チダーゼIII に対する特異性が低い。したがって、ジペ
プチジルペプチダーゼIII に対する特異性の高い阻害物
質が望まれている。本発明の目的は、そのような特異性
の高いジペプチジルペプチダーゼIII 阻害物質を有する
生理活性物質、その製造法及びその用途を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は下記一般
式(I): (式中、−R1−R2−R3−はフルオスタチンAでは基−CO
−CH=C(CH3)−を示し、またフルオスタチンBでは基−
CH(OH)−CH(OH)−CH(CH3)−を示す)で表される化合物
である生理活性物質フルオスタチンA及びBおよびその
薬学的に許容し得る塩を提供するものである。
式(I): (式中、−R1−R2−R3−はフルオスタチンAでは基−CO
−CH=C(CH3)−を示し、またフルオスタチンBでは基−
CH(OH)−CH(OH)−CH(CH3)−を示す)で表される化合物
である生理活性物質フルオスタチンA及びBおよびその
薬学的に許容し得る塩を提供するものである。
【0007】式(I)で示される化合物のうち、フルオ
スタチンA〔一般式(I)中の−R1−R2−R3−が−CO−
CH=C(CH3)−である化合物〕は下記の式で示される。
スタチンA〔一般式(I)中の−R1−R2−R3−が−CO−
CH=C(CH3)−である化合物〕は下記の式で示される。
【0008】
【0009】フルオスタチンAの理化学的性質は下記の
通りである。
通りである。
【0010】(1)色及び形状:紫色粉末 (2)分子式:C18H10O5 (3)分子量:306 FAB-MS(Negative) m/z 307(M+2H-H)- (4)融点: 324〜327℃(dec.) (5)紫外線吸収スペクトル:添付図面の図1に示す。
【0011】(6)赤外線吸収スペクトル:添付図面の図
2に示す。
2に示す。
【0012】(7)水素核磁気共鳴スペクトル:添付図面
の図3に示す。
の図3に示す。
【0013】(8)炭素核磁気共鳴スペクトル:添付図面
の図4に示す。
の図4に示す。
【0014】(9)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタ
ノールに可溶であり、水に不溶である。
ノールに可溶であり、水に不溶である。
【0015】(10)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.55 シリカゲル(メルク社製Art.5715)薄層を用い、展開溶
媒としてクロロホルム−メタノール−酢酸(90:5:5)
を用いた。
媒としてクロロホルム−メタノール−酢酸(90:5:5)
を用いた。
【0016】式(I)で示される化合物のうち、フルオ
スタチンB〔一般式(I)中の−R1−R2−R3−が−CH(O
H)−CH(OH)−CH(CH3)−である化合物〕は下記の式で示
される。
スタチンB〔一般式(I)中の−R1−R2−R3−が−CH(O
H)−CH(OH)−CH(CH3)−である化合物〕は下記の式で示
される。
【0017】
【0018】フルオスタチンBの理化学的性質は下記の
通りである。
通りである。
【0019】(1)色及び形状:橙色粉末 (2)分子式:C18H14O6 (3)分子量:326 FAB-MS(Negative) m/z 325(M-H)- (4)融点:266〜269℃(dec.) (5)比旋光度:〔α〕D 26 −6.4° (6)紫外線吸収スペクトル:添付図面の図5に示す。
【0020】(7)赤外線吸収スペクトル:添付図面の図
6に示す。
6に示す。
【0021】(8)水素核磁気共鳴スペクトル:添付図面
の図7に示す。
の図7に示す。
【0022】(9)炭素核磁気共鳴スペクトル:添付図面
の図8に示す。
の図8に示す。
【0023】(10)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタ
ノール、アセトンに可溶であり、水に不溶である。
ノール、アセトンに可溶であり、水に不溶である。
【0024】(11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.32 シリカゲル(メルク社 Art.5715)薄層を用い、展開溶媒
としてクロロホルム−メタノール−酢酸(90:5:5)を
用いた。
としてクロロホルム−メタノール−酢酸(90:5:5)を
用いた。
【0025】フルオスタチンA及びBはその薬学的に許
容し得る塩の形態にあってもよく、このような塩として
は、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアル
カリ金属およびカルシウムなどのアルカリ土類金属等と
の塩が挙げられる。
容し得る塩の形態にあってもよく、このような塩として
は、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアル
カリ金属およびカルシウムなどのアルカリ土類金属等と
の塩が挙げられる。
【0026】第2の本発明では、ストレプトミセス属に
属するフルオスタチンA及びB生産菌を栄養培地中で培
養し、その培養物から上記一般式(I)で表される生理
活性物質フルオスタチンA及びBを分離採取することを
特徴とする新規生理活性物質フルオスタチンA及びBの
製造法が提供される。
属するフルオスタチンA及びB生産菌を栄養培地中で培
養し、その培養物から上記一般式(I)で表される生理
活性物質フルオスタチンA及びBを分離採取することを
特徴とする新規生理活性物質フルオスタチンA及びBの
製造法が提供される。
【0027】本発明に使用されるフルオスタチンA及び
B生産菌の一例としては、本発明者らにより分離された
放線菌ストレプトミセス属sp.TA-3391(Streptomyces s
p. TA-3391)がある。
B生産菌の一例としては、本発明者らにより分離された
放線菌ストレプトミセス属sp.TA-3391(Streptomyces s
p. TA-3391)がある。
【0028】TA-3391株の菌学的性状は次の通りであ
る。本生産菌 TA-3391株は菌糸が約1ミクロン内外の放
線菌であり、光学顕微鏡下では放線菌の菌糸上の胞子鎖
は Retinaculipertiである。電子顕微鏡下では桿状の胞
子が観察され、その胞子表面は平滑である。細胞壁の構
成成分としては、L,L-ジアミノピメリン酸が検出され、
電子顕微鏡でも、胞子嚢やその他の特徴的な構造は認め
られない。以上より、本菌はストレプトミセス属の放線
菌と考えられる。本菌の培養性状、生理学的ならびに糖
の資化性能の有無を以下の表1、表2、表3に示す。な
お、各種培地における色の記載について示す標準はコン
ティナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー
・ハーモニー・マニュアルを用いた。全ての性状は27℃
において2週間培養後に判定した。
る。本生産菌 TA-3391株は菌糸が約1ミクロン内外の放
線菌であり、光学顕微鏡下では放線菌の菌糸上の胞子鎖
は Retinaculipertiである。電子顕微鏡下では桿状の胞
子が観察され、その胞子表面は平滑である。細胞壁の構
成成分としては、L,L-ジアミノピメリン酸が検出され、
電子顕微鏡でも、胞子嚢やその他の特徴的な構造は認め
られない。以上より、本菌はストレプトミセス属の放線
菌と考えられる。本菌の培養性状、生理学的ならびに糖
の資化性能の有無を以下の表1、表2、表3に示す。な
お、各種培地における色の記載について示す標準はコン
ティナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー
・ハーモニー・マニュアルを用いた。全ての性状は27℃
において2週間培養後に判定した。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】TA-3391株を工業技術院微生物工業技術研
究所に寄託申請し、平成4年7月6日に微工研菌寄第1
3048号として受託された。
究所に寄託申請し、平成4年7月6日に微工研菌寄第1
3048号として受託された。
【0033】TA-3391株は他の放線菌の場合に見られる
ように、その性状が変化しやすい。たとえば、TA-3391
株に由来する突然変異株(自然発生または誘発性)、形
質融合体または遺伝子組み換え体であっても、フルオス
タチンA及びBの生産能を有するストレプトミセス属の
菌はすべて本発明の方法に使用することができる。
ように、その性状が変化しやすい。たとえば、TA-3391
株に由来する突然変異株(自然発生または誘発性)、形
質融合体または遺伝子組み換え体であっても、フルオス
タチンA及びBの生産能を有するストレプトミセス属の
菌はすべて本発明の方法に使用することができる。
【0034】本発明の方法では、前記の菌を通常の微生
物が利用しうる栄養物を含有する培地で培養する。炭素
源としては、グルコース、水飴、デキストリン、シュク
ロース、でんぷん、糖蜜、動・植物油等を使用できる。
また、窒素源としては、大豆粉、小麦、小麦胚芽、コー
ンスティープ・リカー、綿実かす、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素
等を利用できる。その他、必要に応じ、ナトリウム、コ
バルト、塩素、硫酸、燐酸、及びその他のイオンを生成
することのできる無機塩類を添加することは有効であ
る。また、菌の生育を助け、生理活性物質フルオスタチ
ンA及びBの生産を促進するような有機及び無機物を適
当に添加することができる。
物が利用しうる栄養物を含有する培地で培養する。炭素
源としては、グルコース、水飴、デキストリン、シュク
ロース、でんぷん、糖蜜、動・植物油等を使用できる。
また、窒素源としては、大豆粉、小麦、小麦胚芽、コー
ンスティープ・リカー、綿実かす、肉エキス、ペプト
ン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素
等を利用できる。その他、必要に応じ、ナトリウム、コ
バルト、塩素、硫酸、燐酸、及びその他のイオンを生成
することのできる無機塩類を添加することは有効であ
る。また、菌の生育を助け、生理活性物質フルオスタチ
ンA及びBの生産を促進するような有機及び無機物を適
当に添加することができる。
【0035】培養法としては、好気的条件での培養法、
特に深部培養法が適している。培養に適当な温度は15〜
37℃であるが、多くの場合、26〜30℃付近で培養する。
生理活性物質フルオスタチンA及びBの生産は培地や培
養条件により異なるが、振盪培養、タンク培養とも通常
1〜10日の間でその蓄積が最高に達する。培養物中の生
理活性物質フルオスタチンA及びBの蓄積量が最高にな
った時に、培養を停止し、培養液から目的物質を単離精
製する。
特に深部培養法が適している。培養に適当な温度は15〜
37℃であるが、多くの場合、26〜30℃付近で培養する。
生理活性物質フルオスタチンA及びBの生産は培地や培
養条件により異なるが、振盪培養、タンク培養とも通常
1〜10日の間でその蓄積が最高に達する。培養物中の生
理活性物質フルオスタチンA及びBの蓄積量が最高にな
った時に、培養を停止し、培養液から目的物質を単離精
製する。
【0036】本発明によって得られるフルオスタチンA
及びBの培養液からの採取にあたっては、その性状を利
用した通常の分離手段を適宜組み合わせて抽出して精製
することができる。フルオスタチンA及びBは培養濾液
及び菌体の両方に存在する。培養濾液よりは、酢酸エチ
ル等の水不混和性の有機溶媒で抽出できる。菌体より
は、メタノール、アセトン等の有機溶剤で抽出後、抽出
液を減圧濃縮し、培養濾液と同様の方法で更に溶媒抽出
することができる。
及びBの培養液からの採取にあたっては、その性状を利
用した通常の分離手段を適宜組み合わせて抽出して精製
することができる。フルオスタチンA及びBは培養濾液
及び菌体の両方に存在する。培養濾液よりは、酢酸エチ
ル等の水不混和性の有機溶媒で抽出できる。菌体より
は、メタノール、アセトン等の有機溶剤で抽出後、抽出
液を減圧濃縮し、培養濾液と同様の方法で更に溶媒抽出
することができる。
【0037】上述の方法に加え、脂溶性物質の採取に用
いられる公知の方法、例えば吸着クロマトグラフィー、
ゲル濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー
よりのかき取り、高速液体クロマトグラフィー等を適宜
組み合わせ、あるいは繰り返すことによってフルオスタ
チンA及びBを純粋に単離することができる。
いられる公知の方法、例えば吸着クロマトグラフィー、
ゲル濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー
よりのかき取り、高速液体クロマトグラフィー等を適宜
組み合わせ、あるいは繰り返すことによってフルオスタ
チンA及びBを純粋に単離することができる。
【0038】フルオスタチンA及びBの薬学的に許容し
得る塩は、公知の方法によって製造することができ、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化カルシウムなどを含む溶液でフルオスタチン
A及びBを処理することによって得ることができる。
得る塩は、公知の方法によって製造することができ、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化カルシウムなどを含む溶液でフルオスタチン
A及びBを処理することによって得ることができる。
【0039】第3の本発明は、フルオスタチンA又は
B、またはその薬学的に許容し得る塩を有効成分とする
ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害剤である。
B、またはその薬学的に許容し得る塩を有効成分とする
ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害剤である。
【0040】その有効成分に混和される薬学的に許容で
きる液状又は固体担体は特に制限はなく、一般的に使用
されるものが使用できる。
きる液状又は固体担体は特に制限はなく、一般的に使用
されるものが使用できる。
【0041】この阻害剤組成物中の有効成分(フルオス
タチンA又はB)の割合はその剤形などにより異なるの
で一概にはいえないが、0.05〜99%(重量)程度まで広
範囲に使用することができ、通常、注射剤では 0.1〜50
%程度であり、その以外の製剤では1〜60%程度であ
る。残部は薬学的に許容できる担体である。
タチンA又はB)の割合はその剤形などにより異なるの
で一概にはいえないが、0.05〜99%(重量)程度まで広
範囲に使用することができ、通常、注射剤では 0.1〜50
%程度であり、その以外の製剤では1〜60%程度であ
る。残部は薬学的に許容できる担体である。
【0042】フルオスタチンA及びBは以下の試験例に
示すように細胞質に局在する酵素であるジペプチジルペ
プチダーゼIII を強く阻害し、弱い抗菌作用を有する
が、毒性を示さない。したがって、フルオスタチンA及
びBはジペプチジルペプチダーゼIII阻害剤として極め
て有用である。
示すように細胞質に局在する酵素であるジペプチジルペ
プチダーゼIII を強く阻害し、弱い抗菌作用を有する
が、毒性を示さない。したがって、フルオスタチンA及
びBはジペプチジルペプチダーゼIII阻害剤として極め
て有用である。
【0043】フルオスタチンA及びBは、通常、経口投
与あるいは静脈、皮内、筋肉内投与などの非経口投与な
どの投与でその有効量を投与することにより生体中のジ
ペプチジルペプチダーゼIII の阻害を行うことができ
る。従って本発明は場合によりジペプチジルペプチダー
ゼIII 阻害方法を提供する。投与量は投与する対象、投
与ルートなどによって変動するが通常0.5〜100mg/kg/
日、好ましくは1〜50mg/kg/日である。
与あるいは静脈、皮内、筋肉内投与などの非経口投与な
どの投与でその有効量を投与することにより生体中のジ
ペプチジルペプチダーゼIII の阻害を行うことができ
る。従って本発明は場合によりジペプチジルペプチダー
ゼIII 阻害方法を提供する。投与量は投与する対象、投
与ルートなどによって変動するが通常0.5〜100mg/kg/
日、好ましくは1〜50mg/kg/日である。
【0044】投与する際の製剤としては慣用的に用いら
れている剤形が挙げられる。経口投与の場合には、例え
ばデンプンなどの通常の賦形剤などとともに成型された
錠剤、顆粒剤、カプセル剤などが用いられる。非経口投
与の場合には例えば生理食塩水、溶解剤などを用いて製
剤化された通常の注射剤などが用いられる。
れている剤形が挙げられる。経口投与の場合には、例え
ばデンプンなどの通常の賦形剤などとともに成型された
錠剤、顆粒剤、カプセル剤などが用いられる。非経口投
与の場合には例えば生理食塩水、溶解剤などを用いて製
剤化された通常の注射剤などが用いられる。
【0045】更に、本発明のフルオスタチンA及びBま
たその薬学的に許容し得る塩は、試験例2に示すように
ジペプチジルペプチダーゼIII を阻害することにより生
体内の基質であるロイシル−エンケファリンの分解を阻
害することが知見された。その阻害は、ロイシル−エン
ケファリンによる鎮痛作用を持続及び増強させる効果を
有する。
たその薬学的に許容し得る塩は、試験例2に示すように
ジペプチジルペプチダーゼIII を阻害することにより生
体内の基質であるロイシル−エンケファリンの分解を阻
害することが知見された。その阻害は、ロイシル−エン
ケファリンによる鎮痛作用を持続及び増強させる効果を
有する。
【0046】従って、第4の本発明では、フルオスタチ
ンA又はB、またはその薬学的に許容し得る塩を有効成
分とする鎮痛剤が提供される。
ンA又はB、またはその薬学的に許容し得る塩を有効成
分とする鎮痛剤が提供される。
【0047】第2の本発明の方法において通常はフルオ
スタチンAがマイナー成分として単離されるが、フルオ
スタチンAを大量に得るために、フルオスタチンBまた
はその塩よりフルオスタチンAが誘導合成し得ることが
見出された。
スタチンAがマイナー成分として単離されるが、フルオ
スタチンAを大量に得るために、フルオスタチンBまた
はその塩よりフルオスタチンAが誘導合成し得ることが
見出された。
【0048】第5の本発明によると、フルオスタチンB
またはその塩をテトラアセチル化し、そのテトラアセチ
ル化生成物をアルカリ条件下で酸化することによりフル
オスタチンAを生成することを特徴とするフルオスタチ
ンAの製造法が提供される。本発明の合成法の原料化合
物として用いられるフルオスタチンBは、ストレプトミ
セス エスピー TA−3391株(微工研条第13048号)の培
養物から後述した実施例1に示す方法により得ることが
できる。
またはその塩をテトラアセチル化し、そのテトラアセチ
ル化生成物をアルカリ条件下で酸化することによりフル
オスタチンAを生成することを特徴とするフルオスタチ
ンAの製造法が提供される。本発明の合成法の原料化合
物として用いられるフルオスタチンBは、ストレプトミ
セス エスピー TA−3391株(微工研条第13048号)の培
養物から後述した実施例1に示す方法により得ることが
できる。
【0049】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明で
は新規な生理活性物質フルオスタチンA及びBが提供さ
れ、フルオスタチンA,Bはジペプチジルペプチダーゼ
III を強く阻害する。したがって、ジペプチジルペプチ
ダーゼIII 阻害剤として極めて有用である。
は新規な生理活性物質フルオスタチンA及びBが提供さ
れ、フルオスタチンA,Bはジペプチジルペプチダーゼ
III を強く阻害する。したがって、ジペプチジルペプチ
ダーゼIII 阻害剤として極めて有用である。
【0050】以下に、本発明を実施例及び試験例により
更に明細に説明する。
更に明細に説明する。
【0051】
【実施例】次に実施例によって本発明のフルオスタチン
A及びBの製造例及び試験例を示す。
A及びBの製造例及び試験例を示す。
【0052】実施例1 種培地として、グリセリン2.0%、バクトーソイトン
(ディフコ社製)2.0%、炭酸カルシウム0.4%を含む培
地を用いた。なお、殺菌前の培地はpH7.4に調整して使
用した。
(ディフコ社製)2.0%、炭酸カルシウム0.4%を含む培
地を用いた。なお、殺菌前の培地はpH7.4に調整して使
用した。
【0053】500ml容三角フラスコに110mlを分注した前
記種培地を120℃で20分間滅菌し、これにストレプトミ
セス エスピー TA−3391株(FERM P-13048)の斜面培
養の1〜2白金耳を接種し、30℃、180回転/分の回転式
振盪機にて3日間培養し種培養とした。ついで前述の培
地を 500ml容三角フラスコに110mlずつ分注し、120℃で
20分間滅菌し、前記種培養液1mlずつを移植し、27℃で
3日間振盪培養した。培養終了後、培養液を濾過し培養
濾液と菌体に分別した。
記種培地を120℃で20分間滅菌し、これにストレプトミ
セス エスピー TA−3391株(FERM P-13048)の斜面培
養の1〜2白金耳を接種し、30℃、180回転/分の回転式
振盪機にて3日間培養し種培養とした。ついで前述の培
地を 500ml容三角フラスコに110mlずつ分注し、120℃で
20分間滅菌し、前記種培養液1mlずつを移植し、27℃で
3日間振盪培養した。培養終了後、培養液を濾過し培養
濾液と菌体に分別した。
【0054】培養濾液6lをあらかじめ脱イオン水で充
填したダイヤイオンHP-20(三菱化成社製)、350mlのカラ
ムにかけ、脱イオン水で洗浄後、有効成分を50%アセト
ン水により溶出し、減圧濃縮によりアセトンを除去し
た。この濃縮液1lに酢酸エチル1lを加え、よく攪拌
して有効成分を抽出し、これを濃縮して褐色の粗物質1.
25gを得た。
填したダイヤイオンHP-20(三菱化成社製)、350mlのカラ
ムにかけ、脱イオン水で洗浄後、有効成分を50%アセト
ン水により溶出し、減圧濃縮によりアセトンを除去し
た。この濃縮液1lに酢酸エチル1lを加え、よく攪拌
して有効成分を抽出し、これを濃縮して褐色の粗物質1.
25gを得た。
【0055】この粗物質をクロロホルム−酢酸(100:
1)で懸濁後、あらかじめ同混合溶媒で充填したシリカ
ゲル60(メルク社製、Art. 7734)、100mlのカラムにか
け、同混合溶媒で洗浄した。続いて、有効成分をクロロ
ホルム−メタノール−酢酸(99:1:1)で溶出し、濃縮
乾固することにより、フルオスタチンAを含む粗物質画
分1を101.6mg得た。更に、クロロホルム−メタノール
−酢酸(97:3:1)で溶出し、濃縮乾固することによ
り、フルオスタチンBを含む粗物質画分2を 288.1mg得
た。
1)で懸濁後、あらかじめ同混合溶媒で充填したシリカ
ゲル60(メルク社製、Art. 7734)、100mlのカラムにか
け、同混合溶媒で洗浄した。続いて、有効成分をクロロ
ホルム−メタノール−酢酸(99:1:1)で溶出し、濃縮
乾固することにより、フルオスタチンAを含む粗物質画
分1を101.6mg得た。更に、クロロホルム−メタノール
−酢酸(97:3:1)で溶出し、濃縮乾固することによ
り、フルオスタチンBを含む粗物質画分2を 288.1mg得
た。
【0056】粗物質画分1をあらかじめ酢酸を1%含有
する31.5%含水アセトニトリルで平衡化した高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)用カラム(資生堂社製、カプ
セルパックC18、20Φ×250mm、流速8ml/min)へ通
し、前記平衡液で溶出し、活性画分を濃縮乾固すること
により純粋なフルオスタチンAを 1.2mg得た。更に、フ
ルオスタチンAを飽和炭酸水素ナトリウム水−メタノー
ル(1:9)で溶解して、フルオスタチンAのナトリウ
ム塩0.9mg得た。
する31.5%含水アセトニトリルで平衡化した高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)用カラム(資生堂社製、カプ
セルパックC18、20Φ×250mm、流速8ml/min)へ通
し、前記平衡液で溶出し、活性画分を濃縮乾固すること
により純粋なフルオスタチンAを 1.2mg得た。更に、フ
ルオスタチンAを飽和炭酸水素ナトリウム水−メタノー
ル(1:9)で溶解して、フルオスタチンAのナトリウ
ム塩0.9mg得た。
【0057】また、粗物質画分2を30mlのメタノールに
溶解した後、脱イオン水を滴下することにより、純粋な
フルオスタチンBを236.7mgを得た。
溶解した後、脱イオン水を滴下することにより、純粋な
フルオスタチンBを236.7mgを得た。
【0058】純粋なフルオスタチンAのナトリウム塩及
びフルオスタチンBを用いて、紫外線吸収スペクトル、
赤外線吸収スペクトル、水素核磁気共鳴スペクトル及び
炭素核磁気共鳴スペクトルを測定した。フルオスタチン
Aのナトリウム塩の各種スペクトルは図1、図2、図3
及び図4に示した通りであり、フルオスタチンBの各種
スペクトルは図5、図6、図7及び図8に示した通りで
ある。
びフルオスタチンBを用いて、紫外線吸収スペクトル、
赤外線吸収スペクトル、水素核磁気共鳴スペクトル及び
炭素核磁気共鳴スペクトルを測定した。フルオスタチン
Aのナトリウム塩の各種スペクトルは図1、図2、図3
及び図4に示した通りであり、フルオスタチンBの各種
スペクトルは図5、図6、図7及び図8に示した通りで
ある。
【0059】フルオスタチンA及びBの培養工程ならび
に精製工程中での追跡は、抗ジペプチジルペプチダーゼ
III 活性の測定に基づいて行った。
に精製工程中での追跡は、抗ジペプチジルペプチダーゼ
III 活性の測定に基づいて行った。
【0060】その方法は、後述する試験例で示すジペプ
チジルペプチダーゼIII 阻害活性の測定法と同様の方法
を用いた。
チジルペプチダーゼIII 阻害活性の測定法と同様の方法
を用いた。
【0061】以下に、フルオスタチンA及びBがジペプ
チジルペプチダーゼIII 阻害活性を有することを試験例
により示す。
チジルペプチダーゼIII 阻害活性を有することを試験例
により示す。
【0062】試験例1 フルオスタチンA及びBのジペプチジルペプチダーゼII
I 阻害活性 ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害活性は、Analytical
Biochemistry、第119巻、418〜423頁(1982年)に記載
の方法の改良法で行った。
I 阻害活性 ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害活性は、Analytical
Biochemistry、第119巻、418〜423頁(1982年)に記載
の方法の改良法で行った。
【0063】即ち、3.2mMアルギニル−アルギニル−β
−ナフチルアミド0.025ml、30mMクエン酸三ナトリウム
を含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH9.0)0.1ml、検体を含
む水溶液0.05mlを加えた混合溶液を37℃、5分間加温し
た後、ヒト胎盤のホモジェネートより硫酸アンモニウム
塩析、DEAE−セファデックスカラムおよびセファデック
スカラムにより部分精製したジペプチジルペプチダーゼ
III 溶液0.025mlを加え、37℃、1時間反応させた。
−ナフチルアミド0.025ml、30mMクエン酸三ナトリウム
を含む0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH9.0)0.1ml、検体を含
む水溶液0.05mlを加えた混合溶液を37℃、5分間加温し
た後、ヒト胎盤のホモジェネートより硫酸アンモニウム
塩析、DEAE−セファデックスカラムおよびセファデック
スカラムにより部分精製したジペプチジルペプチダーゼ
III 溶液0.025mlを加え、37℃、1時間反応させた。
【0064】反応後、10%ポリオキシエチレン(20)ソ
ルビターンモノウレート(和光純薬工業製)および0.2
%ファーストガーネットGBC塩(Sigma Chemical Compan
y)を含む0.5Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.75)を0.1
ml加えて反応を停止し、525nmにおける吸光度(a)を測定
した。同時に検体を含まない緩衝液のみを用いた盲検の
吸光度(b)を測定し、ジペプチジルペプチダーゼIII 阻
害率を〔(b-a)/b〕x100により計算した。50%阻害率を
示す検体の濃度をIC50の値とした。この定量法で純粋な
フルオスタチンAは0.44μg/mlの濃度で、またフルオ
スタチンBは24.0μg/mlの濃度でジペプチジルペプチ
ダーゼIII を50%阻害した。
ルビターンモノウレート(和光純薬工業製)および0.2
%ファーストガーネットGBC塩(Sigma Chemical Compan
y)を含む0.5Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.75)を0.1
ml加えて反応を停止し、525nmにおける吸光度(a)を測定
した。同時に検体を含まない緩衝液のみを用いた盲検の
吸光度(b)を測定し、ジペプチジルペプチダーゼIII 阻
害率を〔(b-a)/b〕x100により計算した。50%阻害率を
示す検体の濃度をIC50の値とした。この定量法で純粋な
フルオスタチンAは0.44μg/mlの濃度で、またフルオ
スタチンBは24.0μg/mlの濃度でジペプチジルペプチ
ダーゼIII を50%阻害した。
【0065】試験例2 フルオスタチンAのジペプチジルペプチダーゼIII によ
るヒト ロイシル−エンケファリン加水分解阻害活性 ジペプチジルペプチダーゼIII によるヒト ロイシル−
エンケファリン加水分解阻害活性は、Journal of Biolo
gical Chemistry、第257巻、12043〜12050頁(1982年)
に記載の方法の改良法で行った。
るヒト ロイシル−エンケファリン加水分解阻害活性 ジペプチジルペプチダーゼIII によるヒト ロイシル−
エンケファリン加水分解阻害活性は、Journal of Biolo
gical Chemistry、第257巻、12043〜12050頁(1982年)
に記載の方法の改良法で行った。
【0066】即ち、0.45mMヒト ロイシル−エンケファ
リン(ペプチド研製)0.02ml、0.5Mリン酸緩衝液(pH
7.4)0.02ml、検体を含む水溶液0.15mlを加えた混合溶
液を37℃、10分間加温した後、試験例1に前述したジペ
プチジルペプチダーゼIII 溶液0.01mlを加え、37℃、1
時間反応させた。反応後、100℃、5分間加熱して反応
を停止し、0.01mlをあらかじめリン酸を0.1%含有する
20.0%アセトニトリルで平衡化した高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)用カラム(資生堂社製、カプセルパッ
クC18、0.46Φ×150mm、流速1.0ml/min)へ通し、前
記平衡液で溶出し、210nmにおける吸光度を測定した。
リン(ペプチド研製)0.02ml、0.5Mリン酸緩衝液(pH
7.4)0.02ml、検体を含む水溶液0.15mlを加えた混合溶
液を37℃、10分間加温した後、試験例1に前述したジペ
プチジルペプチダーゼIII 溶液0.01mlを加え、37℃、1
時間反応させた。反応後、100℃、5分間加熱して反応
を停止し、0.01mlをあらかじめリン酸を0.1%含有する
20.0%アセトニトリルで平衡化した高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)用カラム(資生堂社製、カプセルパッ
クC18、0.46Φ×150mm、流速1.0ml/min)へ通し、前
記平衡液で溶出し、210nmにおける吸光度を測定した。
【0067】添付図面の図9(a)に示すようにリテンシ
ョンタイム5.8分にはヒト ロイシル−エンケファリン
の加水分解物であるグリシル−フェニル−ロイシンのみ
が見いだされた。このグリシル−フェニル−ロイシンを
内部標準法によって定量した。検体を含む定量値(a)に
対して、検体を含まない緩衝液のみを用いた盲検の定量
値(b)を測定し、ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害率
〔(b-a)/b〕x100により計算した。50%阻害率を示す検
体の濃度をIC50の値とした。この定量法で純粋なフルオ
スタチンAは5.0μg/mlの濃度でジペプチジルペプチダ
ーゼIII を50%阻害した。図9(b)は、フルオスタチン
Aナトリウム塩、16μg/mlを含有させた条件で行った
時の結果を示す。
ョンタイム5.8分にはヒト ロイシル−エンケファリン
の加水分解物であるグリシル−フェニル−ロイシンのみ
が見いだされた。このグリシル−フェニル−ロイシンを
内部標準法によって定量した。検体を含む定量値(a)に
対して、検体を含まない緩衝液のみを用いた盲検の定量
値(b)を測定し、ジペプチジルペプチダーゼIII 阻害率
〔(b-a)/b〕x100により計算した。50%阻害率を示す検
体の濃度をIC50の値とした。この定量法で純粋なフルオ
スタチンAは5.0μg/mlの濃度でジペプチジルペプチダ
ーゼIII を50%阻害した。図9(b)は、フルオスタチン
Aナトリウム塩、16μg/mlを含有させた条件で行った
時の結果を示す。
【0068】試験例3 フルオスタチンA及びBの抗菌活性 寒天培地を用いて倍数希釈法で測定したときの本発明の
フルオスタチンA及びBの細菌、酵母およびカビに対す
る最小発育阻止濃度を表4に示した。表4に示す如く、
フルオスタチンAは2種の細菌および1種のカビに対し
て弱い抗菌活性を示し、フルオスタチンBは4種のカビ
に対して抗菌活性を示した。
フルオスタチンA及びBの細菌、酵母およびカビに対す
る最小発育阻止濃度を表4に示した。表4に示す如く、
フルオスタチンAは2種の細菌および1種のカビに対し
て弱い抗菌活性を示し、フルオスタチンBは4種のカビ
に対して抗菌活性を示した。
【0069】
【0070】試験例4 フルオスタチンA及びBの毒性 フルオスタチンA及びBをマウスに腹腔内投与してその
毒性を調べたところ、100mg/kg投与でも毒性を示さな
かった。
毒性を調べたところ、100mg/kg投与でも毒性を示さな
かった。
【0071】実施例2 あらかじめ減圧乾燥させたフルオスタチンB、100.3mg
をピリジン10.0mlに溶解し、無水条件下、室温で攪拌し
ながら無水酢酸(和光純薬工業製)0.628 mlを添加し
た。26時間後、メタノール3滴を加え攪拌し、アセチル
化反応を停止した。反応液を酢酸エチル抽出、減圧乾固
した後、アセトン5mlに溶解し、n-ヘキサン2mlを加え
て室温で結晶化したところ、純粋なフルオスタチンBの
テトラアセチル誘導体、113.4mgを得た。
をピリジン10.0mlに溶解し、無水条件下、室温で攪拌し
ながら無水酢酸(和光純薬工業製)0.628 mlを添加し
た。26時間後、メタノール3滴を加え攪拌し、アセチル
化反応を停止した。反応液を酢酸エチル抽出、減圧乾固
した後、アセトン5mlに溶解し、n-ヘキサン2mlを加え
て室温で結晶化したところ、純粋なフルオスタチンBの
テトラアセチル誘導体、113.4mgを得た。
【0072】続いて、該テトラアセチル誘導体を4℃で
メタノール 100mlに懸濁し、28%ナトリウムメチラート
(和光純薬工業製)0.245mlを添加、更に、二酸化マンガ
ン(アンドリッチ化学製)10mgを攪拌しながら添加し
た。68時間後、酢酸4滴を滴下して反応液を中和し、濾
過によって二酸化マンガンを除去し、酸化反応を停止し
た。反応液を減圧乾固した濃縮物102.8 mgには、誘導合
成されたフルオスタチンAが存在していた。
メタノール 100mlに懸濁し、28%ナトリウムメチラート
(和光純薬工業製)0.245mlを添加、更に、二酸化マンガ
ン(アンドリッチ化学製)10mgを攪拌しながら添加し
た。68時間後、酢酸4滴を滴下して反応液を中和し、濾
過によって二酸化マンガンを除去し、酸化反応を停止し
た。反応液を減圧乾固した濃縮物102.8 mgには、誘導合
成されたフルオスタチンAが存在していた。
【0073】フルオスタチンAを5mlのメタノールおよ
び0.5 mlの飽和炭酸水素ナトリウム水に溶解し、直ちに
100mlの水で希釈した後、ダイヤイオンHP-20(三菱化成
製)に吸着させた。10%アセトン水で洗浄した後30%ア
セトン水で溶出し、フルオスタチンAナトリウム塩を含
む画分を得た。この画分を減圧乾固した後、メタノール
中より結晶化したところ、純粋なフルオスタチンAナト
リウム塩15.1mgを得た。
び0.5 mlの飽和炭酸水素ナトリウム水に溶解し、直ちに
100mlの水で希釈した後、ダイヤイオンHP-20(三菱化成
製)に吸着させた。10%アセトン水で洗浄した後30%ア
セトン水で溶出し、フルオスタチンAナトリウム塩を含
む画分を得た。この画分を減圧乾固した後、メタノール
中より結晶化したところ、純粋なフルオスタチンAナト
リウム塩15.1mgを得た。
【図1】フルオスタチンAナトリウム塩の5μg/mlエタ
ノール溶液の紫外線吸収スペクトルを示す。
ノール溶液の紫外線吸収スペクトルを示す。
【図2】フルオスタチンAナトリウム塩の臭化カリウム
錠内での赤外線吸収スペクトルを示す。
錠内での赤外線吸収スペクトルを示す。
【図3】フルオスタチンAナトリウム塩の重ジメチルス
ルフォキシド中で測定した 400MHz水素核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
ルフォキシド中で測定した 400MHz水素核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
【図4】フルオスタチンAナトリウム塩の重ジメチルス
ルフォキシド中で測定した 100MHz炭素核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
ルフォキシド中で測定した 100MHz炭素核磁気共鳴スペ
クトルを示す。
【図5】フルオスタチンBの10μg/mlエタノール溶液の
紫外線吸収スペクトルを示す。
紫外線吸収スペクトルを示す。
【図6】フルオスタチンBの臭化カリウム錠内での赤外
線吸収スペクトルを示す。
線吸収スペクトルを示す。
【図7】フルオスタチンBの重ジメチルスルフォキシド
中で測定した400MHz水素核磁気共鳴スペクトルを示す。
中で測定した400MHz水素核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図8】フルオスタチンBの重ジメチルスルフォキシド
中で測定した100MHz炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
中で測定した100MHz炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図9】(a) 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用
いてジペプチジルペプチダーゼIIIによるヒト ロイシ
ル−エンケファリンの加水分解を210nmにおける吸光度
を測定したタイムチャートを示す。 (b) フルオスタチンAナトリウム塩、16μg/ml含有条
件でのタイムチャートを示す。
いてジペプチジルペプチダーゼIIIによるヒト ロイシ
ル−エンケファリンの加水分解を210nmにおける吸光度
を測定したタイムチャートを示す。 (b) フルオスタチンAナトリウム塩、16μg/ml含有条
件でのタイムチャートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 15/00 C12R 1:465) (72)発明者 高橋 良和 東京都多摩市桜ケ丘3丁目2番3号 (72)発明者 今田 千秋 埼玉県浦和市文蔵3丁目32番地15 (72)発明者 秋山 哲男 神奈川県横浜市緑区恩田町1133番地
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の一般式(I): (式中、−R1−R2−R3−はフルオスタチンAでは基−CO
−CH=C(CH3)−を示し、またフルオスタチンBでは基−
CH(OH)−CH(OH)−CH(CH3)−を示す)で表される化合物
である生理活性物質フルオスタチンAおよびB、又はそ
の薬学的に許容し得る塩。 - 【請求項2】 ストレプトミセス属に属するフルオスタ
チン生産菌を栄養培地中で培養し、その培養物からフル
オスタチンA又はBを採取することを特徴とする、生理
活性物質フルオスタチンA又はBの製造法。 - 【請求項3】 フルオスタチンA又はBまたはその薬学
的に許容し得る塩を有効成分とするジペプチジルペプチ
ダーゼIII 阻害剤。 - 【請求項4】 フルオスタチンA又はBまたはその薬学
的に許容し得る塩を有効成分とする鎮痛剤。 - 【請求項5】 フルオスタチンBまたはその塩をテトラ
アセチル化し、そのテトラアセチル化生成物をアルカリ
条件下で酸化してフルオスタチンAを生成することを特
徴とする、フルオスタチンAの合成法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5029654A JPH06219989A (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 新規生理活性物質フルオスタチンaおよびb、その製造法およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5029654A JPH06219989A (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 新規生理活性物質フルオスタチンaおよびb、その製造法およびその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06219989A true JPH06219989A (ja) | 1994-08-09 |
Family
ID=12282103
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5029654A Pending JPH06219989A (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | 新規生理活性物質フルオスタチンaおよびb、その製造法およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06219989A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005106486A3 (en) * | 2004-04-28 | 2006-02-02 | Bayer Healthcare Ag | Diagnostic and therapeutics for diseases associated with dipeptidyl-peptidase 3(dpp3) |
CN106831589A (zh) * | 2017-01-05 | 2017-06-13 | 中国科学院南海海洋研究所 | 抗生素pyrazolofluostatin A‑C及其制备方法和应用 |
CN108383806A (zh) * | 2018-04-13 | 2018-08-10 | 中国科学院南海海洋研究所 | 一种二聚fluostatins类抗生素的制备方法 |
JP2019520550A (ja) * | 2016-04-21 | 2019-07-18 | スフィンゴテック セラピューティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | Dpp3の定量方法および治療方法 |
-
1993
- 1993-01-27 JP JP5029654A patent/JPH06219989A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005106486A3 (en) * | 2004-04-28 | 2006-02-02 | Bayer Healthcare Ag | Diagnostic and therapeutics for diseases associated with dipeptidyl-peptidase 3(dpp3) |
JP2019520550A (ja) * | 2016-04-21 | 2019-07-18 | スフィンゴテック セラピューティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | Dpp3の定量方法および治療方法 |
CN106831589A (zh) * | 2017-01-05 | 2017-06-13 | 中国科学院南海海洋研究所 | 抗生素pyrazolofluostatin A‑C及其制备方法和应用 |
CN108383806A (zh) * | 2018-04-13 | 2018-08-10 | 中国科学院南海海洋研究所 | 一种二聚fluostatins类抗生素的制备方法 |
CN108383806B (zh) * | 2018-04-13 | 2020-06-30 | 中国科学院南海海洋研究所 | 一种二聚fluostatins类抗生素的制备方法 |
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