JPH06184024A - グリセリンの製造方法 - Google Patents

グリセリンの製造方法

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JPH06184024A
JPH06184024A JP4354492A JP35449292A JPH06184024A JP H06184024 A JPH06184024 A JP H06184024A JP 4354492 A JP4354492 A JP 4354492A JP 35449292 A JP35449292 A JP 35449292A JP H06184024 A JPH06184024 A JP H06184024A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】石鹸を含有する粗グリセリン溶液のメタノール
濃度を40〜80重量%に、水濃度を0.5〜10重量
%に調整し、次いで酸を添加して酸分解し、析出した無
機塩を分離したのち、メタノールを蒸留して除去するこ
とを特徴とするグリセリンの製造方法。 【効果】本発明の方法によれば、粗グリセリン溶液中に
含まれるナトリウムイオン等の不純物を効果的に無機塩
として析出させることが可能となり、同時にその粒径を
大きくすることができる。その結果、濾過、遠心分離等
による無機塩の分離性を大幅に向上させることが可能で
あり、不純物の少ないグリセリン溶液を効率よく得るこ
とができる。従って、後工程であるグリセリン精製工程
への不純物の負荷量を低減できると共に熱安定性にすぐ
れた精製グリセリンを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油脂にメタノールをア
ルカリ触媒の存在下で反応させてメチルエステルを製造
する際に副生する、過剰のアルカリおよび石鹸を含む粗
グリセリン溶液からのグリセリンの製造方法に関する。
更に詳しくは、酸分解時に発生する無機塩の粗グリセリ
ン溶液中への溶解量を低減し、無機塩の除去を効果的に
行うことのできる粗グリセリン溶液からのグリセリン製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】油脂
にメタノールをアルカリ触媒の存在下で反応させて、メ
チルエステルを製造する際に副生する、過剰のアルカリ
及び石鹸を含む粗グリセリン溶液からのグリセリンの製
造方法に関しては、特開昭51−136607号公報、
特開平2−34692号公報に記載されている。
【0003】これらの技術は図1に示す様に、油脂にメ
タノールをアルカリ触媒の存在下で反応させてメチルエ
ステルを製造する際に副生する石鹸を含む粗グリセリン
溶液に酸を添加して無機塩を生成させ、次いでその無機
塩を濾過等の方法により分離し、さらにその後、過剰の
メタノールを蒸留等の方法により除去することを特徴と
している。しかしながら、これらの方法では、粗グリセ
リン溶液中の水分濃度が高い条件で酸分解が行なわれて
おり、従って酸分解工程で生成する芒硝等の無機塩が粗
グリセリン溶液中に多量に溶解するため、ナトリウムイ
オン等の不純物の除去が困難になるばかりでなく、後工
程であるグリセリン精製工程(例えばイオン交換法、蒸
発法)での負荷が大きくなり経済的でない。これらの公
報において開示されている粗グリセリン溶液中の水濃度
については特に特定されてはいないが、特開昭51−1
36607号公報では15重量%の水濃度、特開平2−
34692号公報では23重量%の例が開示されてい
る。また、芒硝等の無機塩が多量に溶解した粗グリセリ
ン溶液から、無機塩を分離する方法としては、蒸発法に
よるのが効果的である。しかしながら蒸発法は高温で処
理するために、得られる精製グリセリンの色調、熱安定
性等の品質の低下をまねくことがある。従って、本発明
は、粗グリセリン溶液に酸を添加し無機塩を生成させる
際の、粗グリセリン溶液中への無機塩の溶解量が少な
く、かつ生成した無機塩の濾過性が良好な、粗グリセリ
ン溶液から高品質グリセリンを製造する方法を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために酸分解時における粗グリセリン溶液の
メタノール濃度および水濃度について鋭意研究した結
果、本発明に至った。すなわち本発明は、石鹸を含有す
る粗グリセリン溶液のメタノール濃度を40〜80重量
%に、水濃度を0.5〜10重量%に調整し、次いで酸
を添加して酸分解し、析出した無機塩を分離したのち、
メタノールを蒸留して除去することを特徴とするグリセ
リンの製造方法に関する。以下、本発明について詳細に
説明する。
【0005】本発明に用いる粗グリセリン溶液は、例え
ば図1に示す様に油脂にメタノールをアルカリ触媒の存
在下に反応させてメチルエステルを製造する際に副生す
るもので、油脂のエステル交換反応後に水を添加するこ
となくメチルエステルを分離してグリセリン層として得
ることができる。この粗グリセリン溶液は、グリセリン
50〜80重量%、メタノール15〜35重量%、メチ
ルエステル0.1〜1.0重量%、アルカリ触媒による
原料油脂及び、メチルエステルのケン化分解から生成す
る石鹸(脂肪酸のアルカリ金属塩)3〜10重量%、原
料油脂の水分あるいは原料油脂中に含まれる脂肪酸とメ
タノールとのエステル化反応より生成する水0.5〜
2.0重量%、過剰のアルカリ0.1〜1.5重量%等
を含むpH11〜13の溶液である。また、油脂のエス
テル交換反応後に適当量の水を添加した後、メチルエス
テルを分離して、粗グリセリン溶液を得ることもでき
る。
【0006】本発明では、上記メチルエステル製造工程
より得られる粗グリセリン溶液のメタノール濃度を40
〜80重量%、好ましくは50〜70重量%に、より好
ましくは50〜60重量%に調整する。メタノール濃度
の調整により、後工程である酸分解工程で発生する無機
塩の調製グリセリン溶液中への溶解量が低下し、ナトリ
ウムイオン等の除去性が向上して、グリセリン精製工程
(例えばイオン交換法、蒸発法)での負荷を小さくする
ことが可能である。ここで、調製グリセリン溶液とは、
メタノール濃度と水濃度を所定の濃度に調整して得られ
るグリセリン溶液をいう。しかし、調製グリセリン溶液
中に含まれるメタノールは、酸分解後の蒸留処理により
除去するため、調整後のメタノール濃度が80重量%を
こえると経済的でなく、40重量%未満になると、メタ
ノールによる調製グリセリン溶液への無機塩の溶解性低
下の効果が小さく、ナトリウムイオン等の不純物の除去
性が低下する。
【0007】また、同時に粗グリセリン溶液の水濃度
は、0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重
量%に調整する。水濃度の調整により、酸分解工程で生
成する無機塩の結晶粒径を大きくすることが可能であ
り、生成した無機塩を例えば濾過等で分離・除去する場
合の分離性が向上する。しかし芒硝等の無機塩は水に溶
けやすく、水濃度調整後の調製グリセリン溶液の水濃度
が10重量%をこえると、酸分解工程で生成する無機塩
が調製グリセリン溶液に多量に溶解するため、後工程で
のナトリウムイオン等の不純物の負荷量が増大して好ま
しくない。水濃度が0.5重量%未満になると、酸分解
工程で発生する無機塩の結晶粒径が小さくなり分離性が
悪くなる。
【0008】粗グリセリン溶液のメタノール濃度および
水濃度の調整は、得られる粗グリセリン溶液の組成に応
じて、メタノール及び/又は水を添加することにより行
う。又、粗グリセリン溶液の組成によってはメタノール
あるいは水は必ずしも添加する必要はない。また、粗グ
リセリン溶液の水濃度の調整は、粗グリセリン溶液の水
濃度が0.5〜10重量%になるようにエステル交換後
に水を添加したのち、粗グリセリン溶液の分離を行なっ
てもよい。
【0009】本発明において酸分解工程で添加する酸と
しては、塩酸、硫酸、燐酸等の無機の酸があげられる。
酸の添加量は粗グリセリン溶液中に含まれるナトリウム
イオン等を中和して無機塩を形成するのに十分な量と
し、pH3〜6.5に調整することが好ましい。さらに
好ましくはpH3〜5とした方がよい。pHが6.5を
こえる場合、調製グリセリン溶液中に残存する石鹸のた
めに、メタノール回収の際に蒸留塔内で激しく泡がた
ち、メタノール回収を困難にさせる。またpH3未満の
場合は、メタノール回収後において酸分解で発生する脂
肪酸がグリセリン層に溶解しやすくなるとともに、過剰
の酸のためにグリセリン精製工程での負荷が大きくな
る。
【0010】さらに酸分解は温度5〜60℃、好ましく
は5〜30℃で行う。酸分解温度が60℃をこえると、
酸分解により生成した無機塩の調製グリセリン溶液への
溶解度が大きくなるため後工程での負荷が大きくなる。
また5℃未満の場合は、調製グリセリン溶液への無機塩
の溶解量という点においては少なくなるため有利といえ
るが、実設備においてそのような温度で運転することは
経済的でない。
【0011】また、本発明における酸分解反応は、バッ
チ式で行っても充分に良好な結果が得られるが、連続式
で行なうこともできる。連続式の反応器の型式は特に限
定されず、公知の管型、槽型、循環型、等いずれの型式
で行なってもよい。中でも図2に示すような槽型または
循環型反応器を用いて、調製グリセリン溶液と酸を連続
的にフィードし、一定pH、例えばpH4.5±0.5
の条件下で連続的に酸分解を行うと、反応系内に常時析
出塩が存在するため、この析出塩が種晶としての効果を
果たすことにより、析出塩の結晶粒径が大きく、且つ粒
度分布のシャープな結晶を得ることができる。これによ
って、濾過等による析出塩の分離が極めて良好になる。
このとき、調製グリセリン溶液の組成が同じであれば、
連続操作を行う場合と行わない場合とにおいて、調製グ
リセリン溶液への無機塩の溶解量は変わらない。なお、
槽型反応器の型式は特に限定されるものではなく、図2
に示した撹拌機の代わりに、ポンプ等により外部循環を
行なってもよい。また循環型反応器の型式も図2に示し
た型式に限定されるものではなく、例えば、管型の循環
ラインに槽を設置してもよい。
【0012】粗グリセリン溶液にメタノール、水および
酸を添加することにより発生する芒硝等の無機塩の析出
物の除去・分離方法としては、濾過、遠心分離、蒸発等
があげられるが、本発明においては調製グリセリン溶液
中に溶解する無機塩の量が少なく、かつ発生する無機塩
の粒径が大きいため濾過、遠心分離によるのが好まし
く、これにより蒸発法でみられるような高温での処理に
よるグリセリン品質の低下をも防ぐことが可能となる。
また、無機塩の分離除去後の調製グリセリン溶液中に含
まれるメタノールの除去は蒸留等により行い、その条件
は例えば大気圧下、85〜110℃程度が好ましい。メ
タノール除去後は、イオン交換法、蒸発法等公知の手順
によりグリセリンを精製する。このようにして得られる
精製グリセリンは、不純物が少なく、色調、熱安定性に
優れた高品質なものである。
【0013】本発明の方法は、アルカリによる油脂のケ
ン化分解において副生する石鹸を含有する粗グリセリン
溶液からグリセリンを精製する場合にも同様に適用する
ことができる。但し、この場合は、粗グリセリン溶液に
は前記のようなメタノールは含有されていないため、新
たにメタノールを添加してメタノール濃度を本発明にお
けるような40〜80重量%に調整すると同時に、水濃
度も前記と同様にして調整する。このようなメタノール
濃度と水濃度の調整後の工程は、前記と同様である。
【0014】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例により何ら限定されるものではな
い。 実施例1 原料パーム核油中に存在する遊離脂肪酸をエステル化し
たパーム核油にアルカリ触媒存在下メタノールを添加し
てエステル交換反応させて、メチルエステルの製造を行
った。そこから副生する粗グリセリン溶液として表1に
示す組成のものを得た。この粗グリセリン溶液にメタノ
ールおよび水を添加し調製グリセリン溶液を得、ついで
無水硫酸を用いて表2に示す条件で酸分解を行った。酸
分解時におけるpHの値と石鹸分解率、濾過・メタノー
ル蒸留後の粗甘水中の油分溶解量を表3に示す。表3か
ら明らかなように、石鹸分解率及び粗甘水中の油分の点
からpH3〜5が特に良好である。pHが3より低いと
石鹸の分解率は高いが脂肪酸が粗甘水に溶解し易くな
り、また過剰の酸のためにグリセリン精製工程の負荷が
大となるため好ましくない。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】実施例2 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールおよび水を添
加することにより、メタノール濃度53.2重量%、水
濃度3.5重量%の調製グリセリン溶液とし、攪拌しな
がら15℃まで冷却した。次いで、pHを測定しながら
無水硫酸を滴下して酸分解を行い、最終のpHが5にな
るまで硫酸を滴下した。一定速度で滴下し約30分を要
した。生成した芒硝は加圧濾過〔2kg/cm2 〕によ
って濾別し濾液についてはメタノール蒸留を行った後、
脂肪酸を分離して粗甘水とした。さらにその後、グリセ
リン精製の方法としてイオン交換精製を行い精製グリセ
リンを得た。濾液の分析値と精製グリセリンの品質評価
結果を表4に示した。
【0019】
【表4】
【0020】なお、濾過は濾過面積0.00126m2
の加圧濾過器を用い、東洋濾紙No.5Cを濾材として
2kg/cm2 Gで加圧濾過した。濾過速度は通液量
(単位濾過面積当りの濾液量)が0.5m3 /m2 まで
の平均濾過速度〔m3 /m2 H〕で示した。芒硝の平均
粒径はセイシン企業(株)製の光散乱測定装置で測定し
た。イオン交換精製はカチオン・アニオン・ミックス
(カチオンとアニオンの混合)の3塔で逐次行った。樹
脂量は50%グリセリン水溶液800gを通液するのに
対しカチオン樹脂40cc、アニオン樹脂80cc、ミ
ックス樹脂24ccとした。精製グリセリンの熱安定性
試験は、試料を250℃、1時間加熱した時の色調をロ
ビボンド比色計で測定し、赤色(R)及び黄色(Y)で
表した。目標値は赤色(R)0.5以下、黄色(Y)
2.0以下である。
【0021】実施例3 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールおよび水を添
加することによりメタノール濃度55.9重量%、水濃
度3.3重量%に調整し、図2に示す完全混合槽型反応
器を用いて、温度15℃、pH4.7±0.2の条件下
で無水硫酸と連続的に反応させ酸分解品を得、生成した
芒硝を加圧濾過〔2kg/cm2 〕によって濾別し、以
下濾液について実施例2と同様にして精製グリセリンを
得た。濾液の分析値と精製グリセリンの品質評価結果を
表4に示した。また、酸分解反応における平均滞留時間
は60分とした。
【0022】実施例4 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールを添加するこ
とによりメタノール濃度59.2重量%、水濃度1.2
重量%に調整し、完全混合槽型反応器を用いて、実施例
3と同様の条件で酸分解を行い、生成した芒硝を加圧濾
過〔2kg/cm2 〕によって濾別し、以下実施例2と
同様にして精製グリセリンを得た。濾液の分析値と精製
グリセリンの品質評価結果を表4に示した。
【0023】実施例5 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールを添加するこ
とによりメタノール濃度60.0重量%、脱水により水
濃度0.6重量%に調整し、完全混合槽型反応器を用い
て、実施例3と同様の条件で酸分解を行い、生成した芒
硝を加圧濾過〔2kg/cm2 〕によって濾別し、以下
実施例2と同様にして精製グリセリンを得た。濾液の分
析値と精製グリセリンの品質評価結果を表5に示した。
【0024】
【表5】
【0025】実施例6 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールおよび水を添
加することによりメタノール濃度56.5重量%、水濃
度8.5重量%に調整し、完全混合槽型反応器を用い
て、実施例3と同様の条件で酸分解を行い、生成した芒
硝を加圧濾過〔2kg/cm2 〕によって濾別し、以下
実施例2と同様にして精製グリセリンを得た。濾液の分
析値と精製グリセリンの品質評価結果を表5に示した。
【0026】実施例7 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールおよび水を添
加することによりメタノール濃度54.3重量%、水濃
度3.8重量%に調整し、図2に示す循環型反応器を用
いて温度、pHは実施例3と同様の条件で酸分解を行な
った。平均滞留時間は30分とし、循環型反応器への供
給量(調製グリセリンと無水硫酸の合計量)に対して、
10倍量の流量で反応液の循環を行なった。生成した芒
硝を加圧濾過〔2kg/cm2 〕によって濾別し、以下
実施例2と同様にして精製グリセリンを得た。濾液の分
析値と精製グリセリンの品質評価結果を表5に示した。
【0027】比較例1 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールを添加するこ
とによりメタノール濃度63.8重量%、脱水により水
濃度0.3重量%に調整し、実施例2と同様の条件で酸
分解を行い、発生した芒硝を加圧濾過〔2kg/c
2 〕で濾別した後、以下実施例2と同様にして精製グ
リセリンを得た。濾液の分析値と精製グリセリンの品質
評価結果を表6に示した。
【0028】
【表6】
【0029】比較例2 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールおよび水を添
加することによりメタノール濃度46.2重量%、水濃
度21.0重量%に調整し実施例2と同様の条件で酸分
解を行い、発生した芒硝を加圧濾過〔2kg/cm2
で濾別した後、以下実施例2と同様にして精製グリセリ
ンを得た。濾液の分析値と精製グリセリンの品質評価結
果を表6に示した。
【0030】比較例3 表1に示す粗グリセリン溶液にメタノールおよび水を添
加することによりメタノール濃度30.2重量%、水濃
度49.2重量%に調整し、実施例2と同様の条件で酸
分解を行い、発生した芒硝を加圧濾過〔2kg/c
2 〕で濾別した後、以下実施例2と同様にした精製グ
リセリンを得た。濾液の分析値と精製グリセリンの品質
評価結果を表6に示した。
【0031】実施例2の結果を比較例1、2及び3と比
較すると、水濃度が極端に低い比較例1においては、実
施例2と同様に加熱試験後の着色の少ない高品質のグリ
セリンが得られるが、濾過速度が極めて遅く実用的には
不利である。また、水濃度が20%を越える比較例2及
び3の場合は、濾過速度が実施例2を越え無機塩の分離
に好都合であるが、得られた精製グリセリンの品質は実
施例2で得られた精製グリセリンの品質に比べてはるか
に劣ることが加熱試験から明らかである。すなわち、比
較例2と3は酸分解時の水濃度が21.0重量%と4
9.2重量%で高いために、濾液中の灰分(Na2 SO
4 )が多く、イオン交換精製においてイオン交換の負荷
が大きくなるためNa2 SO4 、その他のイオン性不純
物の除去率が低下し、得られたグリセリンの加熱試験に
よる着色が増大し、品質が好ましくない。
【0032】実施例3〜6においては、完全混合槽型反
応器を用いて温度15℃、pH4.7±0.2、平均滞
留時間60分の条件下で水濃度0.6〜8.5重量%に
調整した各種粗グリセリン溶液の無水硫酸による連続酸
分解反応を行った結果が示されているが、いずれも比較
例2及び3と比べて得られるグリセリンの品質は、着色
試験が示すように、はるかに良質であり、濾過速度も実
用上支障がない程に十分大きい。殊に、水濃度が1.2
重量%、3.3重量%及び8.5重量%の場合は、濾過
速度が十分大であるうえ、得られた精製グリセリンの品
質も優れている。特に水濃度が1.2重量%及び3.3
重量%の場合は、精製グリセリンの品質は最高であっ
た。
【0033】なお、調製グリセリン溶液の水濃度がほぼ
等しい実施例2と実施例3の結果の相違(濾過速度等)
は、使用した反応装置が回分反応器(バッチ式)と完全
混合槽型反応器(連続式)との相違によるものと思われ
る。先に述べたように、後者の場合は、反応系内に常時
析出塩が存在するため、この析出塩が種晶として機能
し、結晶粒径の大きな、粒度分布のシャープな結晶が生
ずることによるものであると思われる。
【0034】
【発明の効果】本発明のグリセリンの製造方法は、油脂
にメタノールをアルカリ触媒の存在下で反応させてメチ
ルエステルを製造する際に副生する、ナトリウムイオン
等の不純物を含んだ粗グリセリン溶液のメタノール濃度
および水濃度を調整し、次いで酸を添加して生成した無
機塩の結晶を除去することを特徴とするものであり、本
発明の方法によれば、粗グリセリン溶液中に含まれるナ
トリウムイオン等の不純物を効果的に無機塩として析出
させることが可能となり、同時にその粒径を大きくする
ことができる。その結果、例えば濾過、遠心分離等によ
る無機塩の分離性を大幅に向上させることが可能であ
り、不純物の少ないグリセリン溶液を効率よく得ること
ができる。従って、後工程であるグリセリン精製工程へ
の不純物の負荷量を低減できると共に熱安定性にすぐれ
た精製グリセリンを得ることができる。また、本発明の
方法はアルカリによる油脂のケン化分解反応において副
生する粗グリセリン溶液からグリセリンを精製する場合
にも同様に適用することができ、工業的に有利な方法で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、油脂からメチルエステルを製造する際
に副生する粗グリセリン溶液を用いてグリセリンを精製
する過程を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明方法で使用される槽型または循
環型反応器の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 ジャケット 3 攪拌機 4 ポンプ 5 調節弁 6 原料パイプ 7 〃

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石鹸を含有する粗グリセリン溶液のメタ
    ノール濃度を40〜80重量%に、水濃度を0.5〜1
    0重量%に調整し、次いで酸を添加して酸分解し、析出
    した無機塩を分離したのち、メタノールを蒸留して除去
    することを特徴とするグリセリンの製造方法。
  2. 【請求項2】 水濃度を1〜5重量%に調整する請求項
    1記載のグリセリンの製造方法。
  3. 【請求項3】 槽型または循環型反応器を用いて、pH
    3〜6.5の条件下で連続的に酸分解することを特徴と
    する請求項1又は2記載のグリセリンの製造方法。
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Cited By (12)

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