JPH06183478A

JPH06183478A - カスミ草入り包装体

Info

Publication number: JPH06183478A
Application number: JP4337086A
Authority: JP
Inventors: Kimikazu Kato; 公和加藤; Takahide Saito; 隆英斉藤
Original assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date: 1992-12-17
Filing date: 1992-12-17
Publication date: 1994-07-05

Abstract

(57)【要約】【構成】カスミ草を密封した有孔合成樹脂フィルムよ
りなるカスミ草入り包装体において、有孔合成樹脂フィ
ルムの開孔面積比率が２×１０^-6〜２×１０^-5％であ
り、カスミ草１００ｇあたりの袋内表面積が５００〜２
０００cm² であり、特に、その孔の平均孔径が１０μ〜
１５０μであり、またその孔の個数が１包装袋あたり複
数個であるカスミ草入り包装体。【効果】本発明の包装体は、嫌気呼吸に起因する死花
の発生、および過剰の酸素による萎れや輸送途中の開花
から長期間にわたって防ぐことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カスミ草が合成樹脂フ
イルムの包装袋により包装された後も、カスミ草が適正
な酸素雰囲気下で呼吸作用を継続させることによって、
鮮度保持をさせるための包装体に関するものである。さ
らに詳しくはカスミ草の呼吸作用に起因する低酸素状態
での嫌気呼吸をさせないような酸素雰囲気を保持しつ
つ、しかも酸素による酸化に起因する品質の劣化を抑え
るような条件を保持する包装体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カスミ草は収穫された後も呼吸作用を持
続する。このため収穫後の貯蔵・流通の間および消費者
に届くまでは、カスミ草の品質劣化を防止することが必
要である。また、カスミ草の生産形態は夏場には従来通
りの栽培、冬場には温室による栽培が行われている。カ
スミ草は品質の低下が早く、鮮度保持の為に通常は大型
の発泡スチロールの箱に５０〜１００本程度入れられ、
保冷輸送されている。しかし、発泡スチロールの箱は密
封されてはおり、カスミ草は嫌気性雰囲気中に置かれて
いるのと同じ状態となっている。又、生花市場などの輸
送の中継点では保冷が十分ではなく、カスミ草は通常の
常温の空気中に置かれたのとほぼ同じ状態となり、呼吸
が活発に行われ、カスミ草体内の水分と養分を消費した
り、輸送途中で開花してしまいこの結果品質の劣化や商
品価値の低下が早くなっている。また、カスミ草はかさ
比重が低く、重量の割には容積が大きく同じ重さの生花
に比べて輸送コストが割高になると言う問題がある。

【０００３】また、一般の野菜等の植物資材に関して、
酸素を供給し、鮮度を保つ方法として有孔フィルムを用
いる方法が提案されている(特開昭62ー148247号公報、特
開昭63ー119647号公報等)が、これらのフイルムは開孔面
積比率が２×１０^-2〜２×１０％と極めて大きく、これ
らのフイルムで包装しても袋内の酸素は殆ど大気状態と
変わらず、オープン状態と同じである。カスミ草につい
ても、このようなフィルムを用いて包装することが考え
られてきたが、これらのオープンに近い包装では、酸素
量が空気中と同等となってしまい、酸素量が多いためカ
スミ草の呼吸作用が活発となってしまい、カスミ草がさ
らに生育して養分が消費され、品質が低下してしまうと
いう問題、さらには水分の蒸散により萎れやすいといっ
た問題がある。従って、カスミ草の水々しさを残し、新
鮮な状態を保ったままで消費者に届ける事ができるよう
な包装材料や包装方法は、いまだ発明されていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カス
ミ草の鮮度を長時間保つための望ましい酸素濃度雰囲気
を形成し、死花が発生せず、萎れもない商品を供給する
ため、鋭意研究した結果なされたものであり、カスミ草
の生存に必要な最低量の酸素を供給し、カスミ草をいわ
ば冬眠状態に保つことにより、高酸素量の障害である養
分の低下と萎れを抑え、さらには包装体を脱気をするこ
とにより包装体の容積を小さくし、輸送コストを低減さ
せるカスミ草用包装袋およびカスミ草入り包装体を提供
する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、カスミ草を密
封した有孔合成樹脂フィルムよりなるカスミ草入り包装
体において、有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が２
×１０^-6〜２×１０^-5％であり、カスミ草１００ｇあた
りの袋内表面積が５００〜２０００cm² であることを特
徴とするカスミ草入り包装体であり、特に、その孔の平
均孔径が１０μ〜１５０μであり、またその孔の個数が
１包装袋あたり複数個であることが好ましく、前記包装
体にカスミ草を包装する際に、包装体内の空気を脱気し
ながら包装する方法である。

【０００６】本発明に用いる有孔フィルムとしては、カ
スミ草の包装に用いることのできるものであればどのよ
うなものであっても差し支えはないが、一般には無延伸
ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリ塩化ビニール、等が用いられるが、これ等以外のポ
リアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等のフイル
ム、さらにはこれらの複合フイルムであっても良く、さ
らには、これらのフイルム表面にシーラント層を設けた
ものでも、防曇処理したフイルムであっても何等差し支
えはない。また、これらのフイルムの厚さは通常２０〜
４０μのものが用いられる。さらに、これらのフイルム
は透明であっても、不透明であっても良く、また表面に
印刷を付したものであっても何等差し支えはない。

【０００７】本発明の有孔フイルムを用いた包装袋は、
包装するカスミ草の量によってその開孔面積比率が決め
られ、その開孔面積比率は２×１０^-6〜２×１０^-5％で
あることが必要である。この理由は包装袋中の酸素量お
よび炭酸ガス量をカスミ草の鮮度保持に適した条件に保
持するためのものであり、本発明者等の実験結果からは
酸素濃度が３％以上１５％以下が望ましく、これらの条
件を満たすための開孔面積比率は２×１０^-6〜２×１０
^-5％となる。開孔面積比率が２×１０^-6％以下となれば
カスミ草は包装後の呼吸作用により、流通過程中で無酸
素状態となり嫌気呼吸を始めてしまい、死花が発生す
る。また、開孔面積比率が２×１０^-5％以上となれば包
装袋中の酸素量が多くなりすぎ、カスミ草の呼吸作用が
活発化し、カスミ草が必要以上に生育して養分が消耗し
て萎れてしまうという問題が発生する。従ってカスミ草
の包装袋として用いられる有孔フイルムの開孔面積比率
としては２×１０^-6〜２×１０^-5％であることが必要で
あり、望ましくは５×１０^-6〜１×１０^-5％、特に望ま
しくは５×１０^-6〜９×１０^-6％の範囲にあることがさ
らに有効である。

【０００８】また、有孔フイルムにおける孔部の平均径
は出来るだけ小さいことが望ましく、一般的には２０〜
１５０μ程度、好ましくは３０〜１００μである。孔径
は出来るだけ小さいことが望ましいが、２０μ以下では
有孔フイルムの生産性が低下する。また、平均孔径が１
５０μ以上であれば、適正な開孔面積比率を得るに必要
な孔数が減少して、鮮度保持の品質精度に不安が生じ
る。また、孔の形状は、円形や四角または三角形など、
どのような形状であってもよく、長径方向の平均径が１
５０μ以下であれば何等差し支えはないが、円形が開孔
作業性等の面より望ましい。

【０００９】また、カスミ草包装袋に用いる有孔フイル
ムの袋当たりの孔の個数は開孔面積比率と平均孔径より
算出されるが、できる限り複数個とすることが望まし
い。内容物の付着や外的条件たとえば値段表の添付等で
孔がふさがれてしまう場合があるので、鮮度を保証する
には複数個の孔が好ましく、さらに袋あたり５個以上の
孔をもち、孔１個あたりの影響度を２０％以下にするこ
とが望ましい。また、カスミ草の包装袋としては、三方
シール袋、四方シール袋またはガゼット袋などの形態の
袋であっても何等差し支えなく、さらには、トレー、カ
ップ等にカスミ草を充填し、これを包装袋で包装する形
態のものであってもよい。

【００１０】カスミ草用包装袋の大きさはカスミ草１０
０ｇあたり袋内表面積が５００〜２０００cm² である必
要があり、好ましくは８００〜１２００cm² である。袋
の内表面積で規定しているのは、シール部分すなわちと
じ代が計算に含まれないようにするためである。カスミ
草１００ｇあたり袋内表面積が５００cm² より少ない
と、袋内のカスミ草の密度が高くなって萎れやすくな
り、前記の開孔面積比率では酸素不足になり嫌気呼吸に
陥り好ましくない。更に、カスミ草１００ｇあたり袋内
表面積が２０００cm² より多くなると、袋内のカスミ草
の密度が低くなり、袋内の初期の酸素量も多く、前記の
開孔面積比率では酸素供給量も多く、カスミ草の呼吸作
用が活発になり萎れやすくなり、カスミ草自体の養分を
消耗していまうことになる。またフィルムの使用量が多
いため袋のコストも高くなってしまう。

【００１１】なお、カスミ草の包装に限るものではない
が、青果物等の鮮度保持には、当然ながら、その流通過
程、および店頭における温度管理が重要なポイントであ
り、カスミ草の呼吸量も当然これらの温度に依存し、こ
れらの温度が高くなるにつれてその呼吸量も増加する
が、本発明はこれらの温度を３〜２５℃を想定したもの
である。

【００１２】

【実施例】

《実施例１》内寸が４００mm×１０００mmの、厚さ３０
μの延伸ポリプロピレンからなる包装袋に、開孔面積比
率が８．８×１０^-6％となるように平均孔径８０μの孔
を１４個明けた三方シール袋に、切り取ったカスミ草を
８００ｇ充填し（袋内表面積は４００×１０００×２＝
８０００００mm² であるから、カスミ草１００ｇあたり
の袋内表面積は１０００００mm² すなわち１０００cm²
である）、５℃で保存し、その７日後の鮮度を死花の発
生状況、萎れおよび開花状況を観察した結果を表１に示
す。

【００１３】《実施例２》実施例１と同サイズの３５μ
厚の延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が７．９
×１０^-6％となるよう平均孔径が４０μの孔を５０個明
けた包装袋を用い、実施例１で用いたと同様のカスミ草
を１０００ｇ充填し、実施例１と同様に７日後の鮮度を
調べた結果を表１に示す。

【００１４】《実施例３》実施例１と同サイズの２５μ
厚のポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとのラ
ミネートフィルムを用い、開孔面積比率が１．３×１０
^-5％となるよう平均孔径が４０μの孔を８０個明けた包
装袋を用い、実施例１で用いたと同様のカスミ草を１０
００ｇを充填し、実施例１と同様に７日後の鮮度を調べ
た結果を表１に示す。

【００１５】《実施例４》カスミ草の包装時に包装袋を
脱気した以外は実施例１と全く同様の方法で包装し、実
施例１と同様に７日後の鮮度を調べた結果を表１に示
す。

【００１６】《比較例１》内寸が４００mm×１０００mm
の厚さ２５μの無延伸ポリプロピレンからなる無孔の包
装袋に、実施例１で用いたと同様のカスミ草を８００ｇ
充填し、実施例１と同様に７日後の鮮度を調べた結果を
表１に示す。

【００１７】《比較例２》実施例１と同一サイズの３５
μの厚の延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が
９．０×１０^-7％となるよう平均孔径が２０μの孔を２
３個開けた包装体を用い、実施例１で用いたと同様のカ
スミ草を１０００ｇ充填し、実施例１と同様に７日後の
鮮度を調べた結果を表１に示す。

【００１８】《比較例３》実施例１と同一サイズの３５
μ厚の無延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が
４．９×１０^-5％となるよう平均孔径が１００μの孔を
５０個開けた包装袋を用い、実施例１で用いたと同様の
カスミ草を１２００ｇ充填し、実施例１と同様７日後の
鮮度を調べた結果を表１に示す。

【００１９】

【００２０】

【発明の効果】本発明の包装体は、カスミ草の嫌気呼吸
のため発生する死花を防ぎ、一方、過剰の酸素による養
分の消費および輸送途中での開花を防ぎ、カスミ草の鮮
度を保った状態で永く保存することができ、かつ脱気包
装することにより一度に運べるカスミ草の数量が多くな
るので、輸送コストを下げることができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】カスミ草を密封した有孔合成樹脂フィル
ムよりなるカスミ草入り包装体において、有孔合成樹脂
フィルムの開孔面積比率が２×１０^-6〜２×１０^-5％で
あり、カスミ草１００ｇ当りの袋内表面積が５００〜２
０００cm² であることを特徴とするカスミ草入り包装
体。
【請求項２】有孔合成樹脂フイルムの有する孔の平均
孔径が１０〜１５０μである請求項１記載のカスミ草入
り包装体。
【請求項３】１つの包装体に有する前記孔の数が複数
個である請求項１又は２記載のカスミ草入り包装体。
【請求項４】前記開孔面積比率が５×１０^-6〜１×１
０^-5％である請求項１、２または３記載のカスミ草入り
包装体。
【請求項５】カスミ草１００ｇ当りの袋内表面積が８
００〜１２００cm²である請求項１、２、３または４記
載のカスミ草入り包装体。
【請求項６】前記包装体にカスミ草を包装する際に、
包装体内の空気を脱気しながら包装することを特徴とす
るカスミ草の包装方法。