JPH0617631Y2 - 自動車用シートの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用シートの取付構造の改良に関する。

（従来の技術） 従来、自動車用シート、特にリヤシートのシートバック
を車体に取付けるには、該シートバックの上部と下部を
ボルト・ナットで車体に締結するようにしている。

ところで、近年、デザイン上などの観点から、シートバ
ックの上部を後方に長く伸長させたいという要請があ
り、このような大型のシートバックでは、組付時にドア
開口から車室内に搬入することができないので、シート
バックを上下に二分割する必要がある。

そして、かかるリヤシートでは、通常、上側シートバッ
ク、ついで、下側シートバック、最後に、シートボトム
をそれぞれ車体に取付けるという手順で取付けるが、特
に下側シートバックの上部を車体に取付けるに際して、
ボルト・ナットを用いると、組付け作業性が悪い等の問
題がある。

そこで、下側シートバックの上部背面に設けた逆Ｕ字状
のワイヤーを、車体の係止部材に嵌入して係止するよう
にすれば、下側シートバックの上部をワンタッチで車体
に取付けることができ、組付け作業性が向上する。

ところで、強度上の点から、通常、ワイヤーと係止部材
は、共に金属製であることから、走行振動などで接触し
て金属異音を発生する。

（考案が解決しようとする課題） このため、第８図及び第９図に示すように、ワイヤー１
に合成樹脂製の鞘状サイレンサー２を嵌合することが考
えられるが、組付け前にサイレンサー２がワイヤー１か
ら抜け落ちないように、サイレンサー２の内面に、内方
へ突出するアンダー部2a,2aを形成して、該アンダー部2
a,2aをワイヤー１に係止するようにしている。

しかしながら、鞘状サイレンサー２の内面に、内方へ突
出するアンダー部2a,2aを形成することは成形技術上困
難であり、また、アンダー部2a,2aを形成した部分は特
に弾力に乏しいので、ワイヤー１に係止する作業も困難
であるという問題があった。

本考案は上記問題を解決するためになされたもので、サ
イレンサーの抜け防止が簡単にできるようにすることを
目的とするものである。

（課題を解決するための手段） このため本考案はシートのシートバックが上下に二分割
されていて、下側シートバックの上部を上側シートバッ
クの下部に取付ける構造であって、上記下側シートバッ
クの上部背面に、上方に突出する逆Ｕ字状のワイヤーが
設けられ、上記車体に、上記ワイヤーを下方から嵌入し
て係止する嵌入凹部が設けられ、上記ワイヤーには、合
成樹脂製の鞘状サイレンサーが嵌合され、該サイレンサ
ーの一面には可撓性の係止舌片が形成され、他面には該
係止舌片を差込んで係止する係止孔が形成されているこ
と特徴とするものである。

（考案の作用・効果） 本考案は、下側シートバックの上部背面に設けたワイヤ
ーに嵌合するサイレンサーを、一面に形成された係止舌
片を他面に形成された係止孔に差し込んで係止するよう
にしたから、下側シートバックの組み付け前にサイレン
サーがワイヤーから抜け落ちなくなる。

また、サイレンサーの一面に係止片部を、他面に係止孔
を形成するだけであるから、成形も容易であり、さら
に、係止舌片は可撓性があるので係止孔に差込み係止す
る作業も容易に行える。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面について詳細に説明す
る。

第４図及び第５図に示すように、自動車のリヤシート１
０は、シートボトム１１とシートバック１２とで構成さ
れ、シートバック１２の上部には後方に長く伸長された
伸長部12aが設けられ、該シートバック１２は上下に二
分割されている。

上側シートバック12bの後部は、車体１３の上パネル13a
にボルトで固定され、上側シートバック12bの下部に
は、第６図に示すように、車体１３の傾斜パネル13bに
ボルト１４で取付けたブラケット１５で固定されてい
る。

また、下側シートバック12cの下部は、該下側シートバ
ック12cのフレーム12eから下方へ突出するＵ字状のワイ
ヤー12dが車体４の傾斜パネル13bにボルト１６で固定さ
れている。

さらに、シートボトム１１の前部は、車体４の下パネル
13cにボルトで固定されている。

一方、第６図及び第７図にも示すように、下側シートバ
ック12cの上部背面には、該下側シートバック12cのフレ
ーム12eから上方に突出する逆Ｕ字状のワイヤー12f，
…，12fが設けられている。

上記上側シートバック12bの下部を固定するブラケット
１５には、下側シートバック12cの各ワイヤー12f，…，
12fを下方から嵌入可能な嵌入凹部15aが形成されてい
る。

該各ワイヤー12f，…，12fには、第３図に示すように、
合成樹脂製の鞘状サイレンサー１７，…，１７が嵌合さ
れている。

該サイレンサー１７の偏平な一面17aの下部には可撓性
の逆Ｔ字状係止舌片17bが一体形成されている。

また、該サイレンサー１７の偏平な他面17cの下部に
は、上記係止舌片17bを差込んで係止する係止孔17dが形
成されている。

そして、第１図及び第２図に示すように、係止片部17b
をたわませながら、下端のＴ字部を係止孔17dに斜め方
向から無理に差込むと、該Ｔ字部が係止孔17dの周縁に
引っ掛かって係止され、係止孔17dから外れなくなる。

上記のような構成であれば、リヤシート１０を車体１３
に取付けるには、まず、上側シートバック12bを車室内
に搬入し、上パネル13aと傾斜パネル13bに沿わせて、後
部をボルトで上パネル13aに固定し、下部をブラケット
１５で傾斜パネル13bに固定する。

つぎに、上部のワイヤー12fにサイレンサー１７を嵌入
係止した下側シートバック12cを車室内に搬入し、上側
シートバック12bと突き合わせながら、サイレンサー１
７を嵌入係止したワイヤー12fをブラケット１５の嵌入
凹部15aに下方から嵌入して係止させ、その後、下部の
ワイヤー12dをボルト１６で傾斜パネル13bに固定する。

そして、シートボトム１１を車室内に搬入し、下側シー
トバック12cと突き合わせ、下パネル13cに沿わせて前部
をボルトで下パネル4cに固定する。

このように、下側シートバック12cの上部はワイヤー12f
をブラケット１５の嵌入凹部15aに下方から嵌入して係
止させるだけであるから、組付け作業性が良好となる。

また、ワイヤー12fにはサイレンサー１７が嵌合され、
該サイレンサー１７の係止片部17bを係止孔17dに差込ん
で係止することにより、下側シートバック12cの組付前
にサイレンサー１７がワイヤー12fから抜け落ちること
もない。

さらに、サイレンサー１７に係止片部17bと係止孔17dを
一体形成するだけであるから、サイレンサー１７の成形
も容易であり、係止片部17bは可撓性があるから、係止
孔7dに差込み係止する作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るサイレンサーの係止状態の斜視
図、第２図は第１図の断面図、第３図はサイレンサーの
嵌合状態の斜視図、第４図はリヤシートの側面図、第５
図は第４図の正面図、第６図は第５図のＩ−Ｉ線拡大断
面図、第７図は下側シートバックの正面図、第８図は従
来のサイレンサーの係止状態の斜視図、第９図は第８図
の断面図である。 １０……リヤシート、１２……シートバック、 12b……上側シートバック、 12c……下側シートバック、 12f……ワイヤー、１５……ブラケット、 15a……嵌入凹部、１７……サイレンサー、 17a……一面、17b……係止片部、 17c……他面、17d……係止孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートのシートバックが上下に二分割され
   ていて、下側シートバックの上部を上側シートバックの
   下部に取付ける構造であって、 上記下側シートバックの上部背面に、上方に突出する逆
   Ｕ字状のワイヤーが設けられ、上記上側シートバックの
   下部に、上記ワイヤーを下方から嵌入して係止する嵌入
   凹部が設けられ、上記ワイヤーには、合成樹脂製の鞘状
   サイレンサーが嵌合され、該サイレンサーの一面には可
   撓性の係止舌片が形成され、他面には該係止舌片を差込
   んで係止する係止孔が形成されていることを特徴とする
   自動車用シートの取付構造。