JPH0617628Y2 - 乳幼児用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、乳幼児用カーシートやベビーキャリア等に使
用できる乳幼児用シートに関する。

［従来の技術］ 従来の、乳幼児用カーシートとしては、例えば第４図に
示すようなものがある。

このものは、乳幼児を着座させるバケット形のシート本
体１と、このシート本体１の前側中央に下端部を軸支す
ることにより俯仰自在に取付けられた移動制限部材２
と、この移動制限部材２とシート本体１との間に掛け渡
された一対の肩ベルト３と、シート本体１の傾斜角度を
調整するための角度調整機構４とを備え、自動車に設置
されたシートベルトによってシート５に固定されてい
る。移動制限部材２はＴ字形をなしており、その上部の
胸当て部６は衝撃力を吸収できる軟らかい素材で覆われ
ていて、この胸当て部６と肩ベルト３とで乳幼児の移動
を制限して衝突による衝撃力から乳幼児を保護しようと
している。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、かかる従来の乳幼児用カーシートにあっ
ては、移動制限部材２と肩ベルト３とで乳幼児の身体を
支えてその移動を制限することはできるが、頭部を支え
るものがなくその移動を制限し得ない構造となっていた
ため、頭部の保護が不十分となり、安全性に掛けるとい
う課題があった。

なお、現在市場に出ている乳幼児用カーシートは、自動
車の進行方向に対して後向きに取付ける形式のものが多
く採用されており、これにより、最も激しく衝撃力を受
ける頭部を保護しようと考えられている。

ところが、カーシートを後向きに取付けても頭部を支え
るものがないという点では変わりがないため、頭部の保
護には不十分であり、上記安全性の課題を解決すること
ができない。さらに、カーシートを後向きに取付けた場
合、窓の外が見え難くなり、特に、幼児が最も興味を示
す進行方向前方の景色が全く見えなくなるという課題が
ある。

本考案は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであ
り、乳幼児を前向きに座らせた状態で頭部及び胸部を支
えることができる構造とすることにより、上記課題を解
決することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案における乳幼児用シ
ートは、乳幼児が着座できるシート本体と、このシート
本体の前側中央に下端部が軸支されて俯仰自在に取付け
られた移動制限部材と、この移動制限部材の上端部に一
端が固定され且つ他端が前記シート本体に着脱可能に固
定される支持ベルトとを備え、前記移動制限部材は、乳
幼児の胸部及び腹部の移動を制限するよう当該胸部及び
腹部と対向する位置に設けたボディガードと、乳幼児の
頭部の移動を制限するよう当該頭部と対向する位置に設
けたヘッドガードとを有し、前記ヘッドガードの中央に
は乳幼児の頭部を通過させない大きさの視界窓を設けた
ことを特徴としている。

［作用］ シート本体に乳幼児を着座させ、その状態で移動制限部
材を乳幼児側に倒して支持ベルトの先端をシート本体に
固定する。これにより、乳幼児の頭部の前には移動制限
部材のヘッドガードが位置し、胸部及び腹部の前には移
動制限部材のボディガードが位置するようになる。その
ため、乳幼児に衝撃力が加えられた場合にも、乳幼児の
頭部の移動はヘッドガードによって制限され、同じく胸
部及び腹部の移動はボディガードによって制限され、乳
幼児に加えられた衝撃力の大部分が移動制限部材により
吸収されて和らげられるため、乳幼児の安全性を確保す
ることができる。しかも、ヘッドガードの中央には視界
窓が設けられているため、乳幼児を前向きに座らせて進
行方向前方の景色を見せることができる。

［実施例］ 次に、本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すもので、自
動車のシートに設置される乳幼児用カーシートに適用し
た図である。

まず、構成を説明すると、図中、７はシート本体、８は
移動制限部材、９は支持ベルト、１０は角度調整機構で
ある。

シート本体７は、両サイドを深くして肘当て部１１を一
体に設けたバケット形をなしていて、腰掛け部１２の前
側中央には凹陥部１３を設けている。さらに、シート本
体７の全面は布等の軟らかい素材によって覆われてい
て、凹陥部１３内には移動制限部材８の下端が挿入さ
れ、その下端に設けた横軸１４をシート本体７によって
両端支持することにより、移動制限部材８をシート本体
７に対して俯仰自在に構成している。

移動制限部材８は、下端に上記横軸１４を有する脚体１
５と、この脚体１５の上部において乳幼児の胸部及び腹
部の移動を制限するよう当該胸部及び腹部と対向する位
置に展開して設けたボディガード１６と、このボディガ
ード１６の上部において乳幼児の頭部の移動を制限する
よう当該頭部と対向する位置に展開して設けたヘッドガ
ード１７とを備えている。そして、ヘッドガード１７の
中央には、乳幼児の頭部を通過させることはないが前方
の視界を十分に広く見ることができる大きさの視界窓１
８を設けている。

脚部１５とボディガード１６とは一体に形成されている
一方、ヘッドガード１７は高さ調整機構２０によりボデ
ィガード１６に対して高さ調整可能に構成されている。
高さ調整機構２０は、ヘッドガード１７に突設されたス
ライド軸２１と、このスライド軸２１が挿入される筒軸
２２と、この筒軸２２とスライド軸２１とを所定の位置
でロックできるロック機構２３とを備えている。筒軸２
２は、一端をボディガード１６の上端に臨ませていると
共に、ロック機構２３は、一部が筒軸２２の内部に入り
込むようにして、それぞれボディガード１６に埋設され
ている。

支持ベルト９は、基端がヘッドガード１７の上端に固定
されていて、連結具２５を介してシート本体７と連結さ
れる。連結具２５は、支持ベルト９の先端に固定された
連結片２６と、シート本体７の上端に固定された連結ホ
ルダ２７とからなり、連結片２６と連結ホルダ２７とは
着脱自在に構成されている。なお、移動制限部材８の全
体は、乳幼児に加えられた衝撃力を軟らかく吸収できる
ように布やスポンジ等の軟らかな素材で覆われている。

角度調整機構１０は、シート本体７の背面に設置された
フレーム２８と、このフレーム２８に対して姿勢変化可
能に取付けられたステー２９と、このステー２９及びフ
レーム２８間の姿勢を変化させて所定位置でロックする
ことができる固定具３０とを備えている。

次に、作用について説明する。

本実施例に係るカーシートは、従来の一般的なカーシー
トと同様に、自動車に設置されているシートベルトを用
いてシートに固定して使用する。この場合、本カーシー
トは後向きに設置してもよいが、前向きに設置するのが
好適である。

第２図に示すように、乳幼児は、移動制限部材８の脚体
１５を跨ぐようにしてシート本体７に座らせる。そし
て、移動制限部材８を乳幼児側に倒して連結片２６を連
結ホルダ２７に連結させることにより、連結具２５を介
して支持ベルト９をシート本体７に固定する。これによ
り、本カーシートのセッティングが完了する。

この状態から、急ブレーキ等によって乳幼児に進行方向
前後方向に向かう衝撃力が加えられると、その衝撃力に
よって乳幼児には前方へ向かう力が働き、乳幼児の身体
が前に移動しようとする。

しかしながら、乳幼児の頭部の前方にはヘッドガード１
７が、また、胸部及び腹部の前方にはボディガード１６
がそれぞれ位置し、両ガード１６，１７が頭部及び胸部
等をそれぞれ支えて乳幼児の移動を制限する。そのた
め、両ガード１６，１７によって乳幼児の前後移動を完
全に防止することができるため、激しい衝撃力に対し
て、乳幼児の胸部及び腹部のみならず頭部をも完全に保
護することができる。さらに、本実施例のようにシート
本体７をバケット形にして両サイドを深く設定すること
により、前後方向に衝撃力が作用する衝突や追突に対し
て安全であるばかりでなく、横からの側面衝突に対して
も安全性を確保することができる。

また、ヘッドガード１７には視界窓１８が形成されてい
て、その視界窓１８を介して乳幼児は進行方向前方を見
ることができるため、最も興味を引くことができる進行
方向前方の景色を安全に楽しませることができる。しか
も、乳幼児をシート本体７に固定する肩ベルトをなくし
たことから、乳幼児の動きに自由度を増すことができ
る。

第３図には、本考案の他の実施例を示す。

本実施例はベビーカーに適用したものであり、その主要
部の構成は前記実施例とほぼ同様であって、シート本体
３１と移動制限部材３２と支持ベルト３３と連結具３４
とを備え、シート本体３１をカーフレーム３５に固定し
ている。さらに、安全のために、移動制限部材３２のボ
ディガード３６とヘッドガード３７には補助ベルト３
８，３９をそれぞれ取付けており、これにより横方向か
ら乳幼児がこぼれ落ちるのを防止している。

［考案の効果］ 以上説明してきたように、本考案は上述のとおり構成さ
れているので、次に記載するような効果を奏する。

シート本体に座らせた乳幼児に、自動車の衝突や急ブレ
ーキのような衝撃力が加えられた場合、乳幼児の胸部及
び腹部をボディガードが支えてその移動を制限すると共
に、頭部をヘッドガードが支えてその移動を制限して衝
撃力を和らげ、両ガードによって乳幼児の前後移動を完
全に防止することができるため、乳幼児の胸部及び腹部
のみならず頭部をも完全に保護することができる。しか
も、ヘッドガードには視界窓を設けて乳幼児が進行方向
前方を見ることができる構造としているため、最も興味
を引くことができる進行方向前方の景色を安全に楽しま
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２図は同じ
く一部を断面して示す側面図、第３図は本考案の他の実
施例を示す斜視図、第４図は従来の乳幼児用カーシート
を示す斜視図である。 7,31：シート本体、8,32：移動制限部材 9,33：支持ベルト、16,36：ボディガード 17,37：ヘッドガード、18：視界窓 20：高さ調整機構

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】乳幼児が着座できるシート本体と、このシ
   ート本体の前側中央に下端部が軸支されて俯仰自在に取
   付けられた移動制限部材と、この移動制限部材の上端部
   に一端が固定され且つ他端が前記シート本体に着脱可能
   に固定される支持ベルトとを備え、前記移動制限部材
   は、乳幼児の胸部及び腹部の移動を制限するよう当該胸
   部及び腹部と対向する位置に設けたボディガードと、乳
   幼児の頭部の移動を制限するよう当該頭部と対向する位
   置に設けたヘッドガードとを有し、前記ヘッドガードの
   中央には乳幼児の頭部を通過させない大きさの視界窓を
   設けたことを特徴とする乳幼児用シート。