JP3132196B2 - 子供用シート付自動車用シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は幼児用クッションを内蔵
した子供用シート付自動車用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車に幼児を乗せる際、大人用
のシートベルトの着用が不可能であるため、いわゆるチ
ャイルドシートが使用されている。チャイルドシート
は、自動車の助手席あるいは後部座席に据え付けて使用
するため、大人が乗る際には邪魔になり、その都度、取
り付けたり、取り外したりしなければならなかった。こ
の為、チャイルドシートの必要性が認められているにも
かかわらず、着用率は以外と低いものであった。

【０００３】そこで、助手席シート等に、予めチャイル
ドシートを組み込んだ型式のものが、新たに開発されて
いる。図１３に示したものは、助手席シート１００に、
チャイルドシート１０１を一体に組み込んだもので、シ
ートクッション１０２とシートバック１０３から成る助
手席シート１００のシートバック１０３の一部を前方に
倒れるようにして、これを幼児が坐るクッション１０４
に利用したものである。このチャイルドシート１０１
は、前倒しにしたクッション１０４の上に幼児を座ら
せ、このクッション１０４とシートバック１０３の間に
内蔵した保護ベルト１０５を幼児に装着し、この保護ベ
ルト１０５に設けられた胸当て１０６の固定金具１０７
をクッション１０４に装着したバックル１０８に装着し
て使用される。また、大人が乗る際には、クッション１
０４を起こして通常のシートバック１０３として利用す
ることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術によると、クッション１０４を前倒しにした際
に図１４に示すように、クッション１０４後端部とシー
トバックとの間に隙間１０８が生じ、クッション１０４
に深く腰をかけることが出来なっかった。そこで、クッ
ション１０４の回動位置をシートバック１０３の凹部１
０９内に移動させると、凹部１０９の深さだけクッショ
ン１０４の長さが短くなってしまう。

【０００５】本発明は上記課題を解決し、チャイルドシ
ートとしての幼児用クッションの長さを拡大して座面を
充分にとることができる子供用シート付自動車用シート
を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、自動車用シートのシートバックに、下端部
を中心に回動して前方に倒れる幼児用クッションを内蔵
すると共に、幼児用クッションがシートバックに格納状
態では、幼児用クッションの裏面がシートバックの背も
たれを構成するようにした子供用シート付自動車用シー
トにおいて、上記幼児用クッションを前倒しした際に、
幼児用クッションの座面に同一高さで連続するようにシ
ートバックの幼児用クッション収納凹部内壁を形成した
ことにある。

【０００７】

【作用】幼児用シートを使用する場合には、幼児用クッ
ションを回動すると、シートバックの凹部の外側にクッ
ションが回動して倒れる。幼児用クッションの座面は、
シートバックの凹部内壁と同一高さに形成されているの
で、幼児用クッションの長さを実質的に延ばすことがで
きる。

【０００８】

【実施例】以下、リヤシートに適用した本発明の一実施
例を図面を参照しながら詳細に説明する。

【０００９】図１ないし図５において、１は自動車の車
体で、この車体１の前部にはフロントシート２が設けら
れ、車体１の後部には、子供用シート３として、幼児用
クッション４および学童用クッション５、５を内蔵した
リヤシート６が設けられている。

【００１０】このリヤシート６はシートクッション７と
シートバック８で構成され、このシートバック８の前面
中央部に、主に乳児から４才未満を対象にした幼児用ク
ッション４が前倒し可能に内蔵され、この幼児用クッシ
ョン４を挟んで、その両側に４才以上の児童を対象にし
た学童用クッション５、５が前倒し可能に内蔵されてい
る。

【００１１】上記リヤシート６のシートバック８には、
前面に凹部９が形成されており、この凹部９内に上記幼
児用クッション４および学童用クッション５、５が並べ
て収納され、この幼児用クッション４および学童用クッ
ション５、５の裏面が格納時に背もたれになるように構
成されている。

【００１２】幼児用クッション４の横幅Ｗ１は学童用ク
ッション５、５の横幅Ｗ２より狭く、Ｗ１＜Ｗ２に形成
され、かつ幼児用クッション４の長さＬ１は学童用クッ
ション５、５の長さＬ２より短く、Ｌ１＜Ｌ２に形成さ
れている。幼児用クッション４は、シートバック８と幼
児用クッション４との間に、幼児用の保護ベルト１０が
内装されており、幼児用クッション４の使用時に、幼児
に装着させるものである。

【００１３】保護ベルト１０は、幼児用クッション４に
装着されたバックル１１と、シートバック８に装着され
た腹部保護パッド１２で構成されており、腹部保護パッ
ド１２はシートバック８の裏面側に配置されたリトラク
タ（図示せず）から左右一対の引き出し穴１３を通して
引き出された２本のベルト１４に装着されている。

【００１４】一方、学童用クッション５、５は、それぞ
れ両側面にベルトガイド１５が装着されており、使用時
には、図５に示すように、３点式のシートベルト１６の
ベルト１７をベルトガイド１５に掛けてからバックル１
８に留めることにより、学童の身体に合うようにしてい
る。２点式のシートベルトの場合も同様である。上記シ
ートバック８には幼児用クッション４および学童用クッ
ション５、５に合わせてヘッドレスト１９がそれぞれ設
けられている。

【００１５】次に幼児用クッション４および学童用クッ
ション５、５の構造について図６ないし図１０に従って
説明する。幼児用クッション４は、図６ないし図８に示
すように、補強プレート２０、２０を内蔵した二つのク
ッション本体２１、２２で構成されており、これら補強
プレート２０、２０に設けられた左右各一対のステー２
３、２４を互いに連結して構成されている。ステー２
３、２４は相互間にそれぞれブッシュ２５を介在して、
ネジ２６、ワッシャー２７、鍔付きナット２８を介して
締結されている。幼児用クッション４は、基端側のクッ
ション本体２２に設けられたステー２９をシートバック
８内の補強フレーム３０に装着されたアームレストブラ
ケット３１に、図８に示すように、ネジ３２、ワッシャ
ー３３、ブッシュ３４、鍔付きナット３５を介して回動
可能に締結されている。

【００１６】幼児用クッション４は、学童用クッション
５、５よりも座る位置が高くなるように回動位置を高く
設定しており、この幼児用クッション４の基端側の空間
部にシートバック８の下部３６が配置されるように構成
されている。このシートバック８の下部３６は幼児用ク
ッション４を前倒しにした際に、その内壁９ａが幼児用
クッション４の座面と同一高さで奥行き方向に連続する
ように幼児用クッション４のステー２９の回転中心位置
Ｏを設定している。これによって、幼児用クッション４
の長さＬ１に対して座面の長さＬ３が長くなり、幼児が
深く腰をかけることができる。

【００１７】幼児用クッション４は、先端側のクッショ
ン本体２１の裏面が格納時の背もたれになるような曲面
に形成し、かつクッション本体２１、２２相互間で折曲
げ可能に形成され、幼児が脚を斜め下方向に伸ばせるよ
うにしてある。クッション本体２１、２２は互いに重な
るように折り曲げてアームレストとして使用することが
できる。

【００１８】次に、学童用クッション５、５は図９およ
び図１０に示すように、クッション本体３７内に補強フ
レーム３８と、スプリング３９を内装し、上記補強フレ
ーム３８にステー４０が設けられている。この学童用ク
ッション５、５はシートバック８に設けられたアームレ
ストブラケット３１と、ヒンジアーム４１にステー４０
を介して支持されている。このステー４０はアームレス
トブラケット３１およびヒンジアーム４１に、図８と同
様に、ネジ３２、ワッシャー３３、ブッシュ３４、鍔付
きナット３５を介して締結されている。

【００１９】４２は幼児用クッション４とシートバック
８との間に設けられた保護用ネットであり、これは幼児
用クッション４を水平に保つものである。４３は保護ベ
ルト１０のベルト１７を巻き採るリトラクターである。

【００２０】上記構成による子供用シート付自動車用シ
ートの使用方法を説明する。大人がリヤシート６に坐る
場合は、幼児用クッション４および学童用クッション
５、５をシートバック８に格納して使用する（図１参
照）。

【００２１】次に、幼児を乗せて走行する場合には、幼
児用クッション４を前方に倒して、幼児用クッション４
に幼児を坐らせ、幼児の身体に保護ベルト１０を装着す
る（図４参照）。幼児用クッション４の後端部は、シー
トバック８の凹部９内壁９ａと同一高さで連続している
ので、幼児を深く座らせることができる。

【００２２】また、幼児よりも少し成長した学童を乗せ
て走行する場合には、学童用クッション５、５を前方に
倒して、これに学童を坐らせる。学童には、車体に装備
されているシートベルト１６を装着する。シートベルト
１６のベルト１７は学童用クッション５、５に装着され
ているベルトガイド１５に引掛けてからバックル１８に
留める（図５参照）。こうして、学童はシートクッショ
ン７に坐るよりも視界が開け、かつシートベルト１６の
ベルト１７をベルトガイド１５に掛けて装着するので、
身体の適正位置にシートベルト１６を装着することがで
きる。

【００２３】次に幼児と一人または二人の学童を乗せて
走行する場合には、幼児用クッション４と学童用クッシ
ョン５、５の両方を前方に倒して使用する（図２参
照）。こうして、幼児と一人または二人の学童をリヤシ
ート６に乗せて走行することができる。

【００２４】また、幼児と共に大人がリヤシート６に坐
る場合には、幼児用クッション４を倒して幼児を坐ら
せ、大人はその横に坐ることができる（図４参照）。さ
らに、幼児と学童と共に大人が坐る場合には幼児用クッ
ション４と学童用クッション５を一つ倒して、三人で座
ることもできる。

【００２５】なお、上記幼児用クッション４はフロント
シートに適用する事ができるのは言うまでもない。

【００２６】

【発明の効果】以上述べたように、本発明による子供用
シート付自動車用リヤシートによれば、自動車用シート
のシートバックに、下端部を中心に回動して前方に倒れ
る幼児用クッションを内蔵すると共に、幼児用クッショ
ンがシートバックに格納状態では、幼児用クッションの
裏面がシートバックの背もたれを構成するようにした子
供用シート付自動車用シートにおいて、上記幼児用クッ
ションを前倒しした際に、幼児用クッションの座面に同
一高さで連続するようにシートバックの幼児用クッショ
ン収納凹部内壁を形成したので、幼児用クッションの座
面を拡大することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の子供用シート付自動車用シートを適用
した一実施例を示す自動車の室内斜視図である。

【図２】本発明の子供用シート付自動車用シートの使用
状態を示す斜視図である。

【図３】幼児用クッションおよび学童用クッションを収
納した状態の正面図である。

【図４】幼児用クッションの使用状態を示す斜視図であ
る。

【図５】一つの学童用クッション使用状態を示す斜視図
である。

【図６】幼児用クッションの基端部の取付構造を示す斜
視図である。

【図７】幼児用クッションの中間部の取付構造を示す斜
視図である。

【図８】幼児用クッションの基端部の取付構造を示す断
面図である。

【図９】学童用クッションの取付構造を示す斜視図であ
る。

【図１０】学童用クッションの平面図である。

【図１１】幼児用クッション格納状態を示す断面図であ
る。

【図１２】幼児用クッション前倒し状態を示す概念図で
ある。

【図１３】従来の子供用シート付自動車シートを示す斜
視図である。

【図１４】従来の子供用シート付自動車用シートを示す
概念図である。

【図１５】従来の子供用シート付自動車用シートを示す
概念図である。

【符号の説明】

１ 車体 ２ フロントシート ３ 子供用シート ４ 幼児用クッション ５ 学童用クッション ７ シートクッション ８ シートバック ９ 凹部 ９ａ 内壁 １０ 保護ベルト １１ バックル １２ 腹部保護パッド １３ ベルト通し穴 １４ ベルト １５ ベルトガイド １６ シートベルト １７ ベルト １９ ヘッドレスト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高根 均 静岡県浜松市西伊場町６−407 (56)参考文献 実開 昭62−60437（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−92543（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60N 2/00 - 2/72 B60R 22/10

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車用シートのシートバックに、下端
   部を中心に回動して前方に倒れる幼児用クッションを内
   蔵すると共に、幼児用クッションがシートバックに格納
   状態では、幼児用クッションの裏面がシートバックの背
   もたれを構成するようにした子供用シート付自動車用シ
   ートにおいて、上記幼児用クッションを前倒しした際
   に、幼児用クッションの座面に同一高さで連続するよう
   にシートバックの幼児用クッション収納凹部内壁を形成
   したことを特徴とする子供用シート付自動車用シート。