JPH0617348B2 - N−ビニルホルムアミドの回収法 - Google Patents

N−ビニルホルムアミドの回収法

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JPH0617348B2
JPH0617348B2 JP3713486A JP3713486A JPH0617348B2 JP H0617348 B2 JPH0617348 B2 JP H0617348B2 JP 3713486 A JP3713486 A JP 3713486A JP 3713486 A JP3713486 A JP 3713486A JP H0617348 B2 JPH0617348 B2 JP H0617348B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、N−ビニルホルムアミドの回収法に関するも
のである。
(従来の技術) N−ビニルホルムアミドは、優れた凝集剤の水溶性ポリ
マーを与える重合性モノマーとして有用なものであり、
その製造法としては、例えば下記反応式で示すように、
アセトアルデヒドとホルムアミドとを反応させて得られ
るN−(α−ヒドロキシエチル)ホルムアミドをアルコ
ールによりエーテル化してN−(α−アルコキシエチ
ル)ホルムアミドとし、次いでこれを高温で熱分解する
ことによりN−ビニルホルムアミドを得る方法が知られ
ている。すなわち、下記反応式: 上述の方法においては、N−ビニルホルムアミドは、N
−(α−アルコキシエチル)ホルムアミドの熱分解によ
り得られるため、副生するアルコールとの熱分解混合物
として回収される。それ故、通常、この混合物を蒸留し
てN−ビニルホルムアミドを単離する必要がある。とこ
ろで、熱分解反応の方式は、エーテル化に用いるアルコ
ールの種類により異なるが、通常、N−(α−アルコキ
シエチル)ホルムアミドを気相で熱分解して得た上記の
熱分解混合物を凝縮回収する方法、又は、N−(α−ア
ルコキシエチル)ホルムアミドを液相で加熱下、生成す
るN−ビニルホルムアミドとアルコールとを留生しなが
ら熱分解させる方法が採用されるの、いずれの場合にお
いてもN−ビニルホルムアミドはアルコールとの混合物
として回収されることになる。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、従来、上記のようなN−ビニルホルムア
ミドとアルコールとの熱分解混合物を蒸留してN−ビニ
ルホルムアミドを回収した場合、蒸留途中でN−ビニル
ホルムアミドの一部が分解し、N−ビニルホルムアミド
の回収率が低下するばかりでなく、回収されたN−ビニ
ルホルムアミド中にその分解により生じた不純物が含有
されることとなり、しかもこの不純物はN−ビニルホル
ムアミドの重合性にも悪影響を与えるので、その含有量
をきるだけ少なく抑えることが望ましい、という問題点
があった。
本発明は、上記の従来の問題点を解決しうる、上記のよ
うなN−ビニルホルムアミドとアルコールとの熱分解混
合物の蒸留によるN−ビニルホルムアミドの回収法を提
供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、かかる目的を達成すべく種々検討した結
果、N−(α−アルコキシエチル)ホルムアミドの熱分
解では微量の塩基性不純物が副生し、この塩基性不純物
がN−ビニルホルムアミドとアルコールとの熱分解混合
物中に存在して蒸留時のN−ビニルホルムアミドの分解
を促進していること、しかもこの熱分解混合物に特定量
の酸を加えてpHを調節することにより高銃度のN−ビニ
ルホルムアミドが高収率で蒸留回収されることを初めて
見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明は、N
−(α−アルコキシエチル)ホルムアミドを熱分解して
得たN−ビニルホルムアミドを含む混合物を蒸留してN
−ビニルホルムアミドを回収するにあたり、あらかじめ
前記混合物に酸を加え、該混合物のpH(混合物を3倍量
の水で希釈したときの)を6〜8の範囲に調節すること
を特徴とするN−ビニルホルムアミドの回収法を要旨と
するものである。
まず、本発明の回収法の原料に供するN−ビニルホルム
アミドを含む従来の熱分解混合物、すなわち前記反応式
に示すように、N−(α−アルコキシエチル)ホルムア
ミドをアルコールとエーテル化反応させて得たN−(α
−アルコキシエチル)ホルムアミドを気相又は液相で熱
分解して得られる通常のN−ビニルホルムアミドとアル
コールとの混合物及びその蒸留法につき詳しく説明す
る。
N−(α−ヒドロキシエチル)ホルムアミドとアルコー
ルとのエーテル化反応は、通常、0〜100℃、好まし
くは10〜50℃の温度で、例えば硫酸、塩酸、リン酸
などの鉱酸触媒の存在下、原料のN−(α−ヒドロキシ
エチル)ホルムアミドの転換率が80%以上、好ましく
は90%以上となるまで実施される。ここで使用される
アルコールとしては、通常、メタノール、エタノール、
プロパノールなどの1価の脂肪族低級アルコール又はト
リエチレングリコール、ジエテレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−、1,4−あるいは2,3−
ブタンジオール、分子量300〜1,000のポリエチ
レングリコール又はポリプロピレングリコールなどの2
価の脂肪族アルコール等が挙げられる。このエーテル化
反応では、通常、アルコールを溶媒を兼ねて過剰量用い
るが、原料であるN−(α−ヒドロキシエチル)ホルム
アミドは反応系に殆んど溶解しないものの、エーテル化
反応生成物であるN−(α−アルコキシエチル)ホルム
アミドは溶解するので、反応終了時においては、完全な
均一混合溶液が得られる。
次いで、上記で得たN−(α−アルコキシエチル)ホル
ムアミドを熱分解してN−ビニルホルムアミドを含む混
合物を得るが、上記のエーテル化反応で用いたアルコー
ルの種類によりN−(α−アルコキシエチル)ホルムア
ミドの性状が異なるので、熱分解は、この種類に応じ
て、気相法又は液相法により行われる。熱分解の方法と
しては、N−(α−アルコキシエチル)ホルムアミド
を、通常、200mmHg以下、好ましくは50〜150
mmHgの減圧下で200〜400℃の温度で気相で熱分解
し、得られるN−ビニルホルムアミドとアルコールとを
含む蒸気を凝縮回収する方法、又は、20mmHg以下、
好ましくは1〜10mmHgの減圧下で90〜200℃、好
ましくは120〜180℃の温度に加熱し、生成するN
−ビニルホルムアミドとアルコールとを留去しながら液
相で熱分解する方法が挙げられる。
これらの熱分解方法ではいずれの場合でも、得られるN
−ビニルホルムアミドは副生するアルコールとの混合物
として回収される。したがって、N−ビニルホルムアミ
ドを単離するためには、これらの熱分解混合物を蒸留す
る必要がある。この蒸留は例えば、3mmHgにおけるN−
ビニルホルムアミドの沸点が約70℃であるので、分離
するアルコールの沸点に応じて、減圧下、50〜150
℃の温度にで適宜、その条件が選定される。
(作用) 本発明の回収法においては、以上のようにして得られた
従来のN−ビニルホルムアミドを含む熱分解混合物を蒸
留の原料とするが、蒸留にあたっては該原料を3倍量の
水で希釈したときのpHを6〜8、好ましくは6.5〜7.5の
範囲に調節することを必須の要件とするものである。す
なわち、上述の熱分解で回収されたN−ビニルホルムア
ミドを含む従来の熱分解混合物を3倍量の水で希釈した
ときのpH(以下、「前記pH」と略記する。)は約9〜1
0であって、これをそのまま蒸留に供した場合には、蒸
留途中でN−ビニルホルムアミドの一部が消失し、N−
ビニルホルムアミドの回収率が低下するばかりでなく、
回収されたN−ビニルホルムアミド中には重合に悪影響
を及ぼす微量の不純物が含まれる。という問題点があっ
た。ところが、このような従来の熱分解混合物の前記pH
を6〜8の範囲に調節することにより、これらの問題点
は解消されるのである。すなわち、熱分解混合物の前記
pHが6〜8の範囲を外れた場合には、蒸留時におけるN
−ビニルホルムアミドの一部の分解のため、N−ビニル
ホルムアミドを高収率で回収することができないばかり
でなく、N−ビニルホルムアミドの分解時に副生した、
重合に悪影響を及ぼす微量の不純物が蒸留回収されたN
−ビニルホルムアミド中に混入してその品質として必要
な重合性を損なうのである。
N−ビニルホルムアミドを含む熱分解混合物の前記pHを
調節する方法としては、通常、硫酸、塩酸、硝酸、リン
酸、スルフアミン酸などの無機酸、又は、酢酸、ギ酸な
どの有機酸を添加する方法が挙げられる。この場合、こ
れらの酸の添加により、一部、中和塩を生じるが、この
中和塩は蒸留により塔底に残留物として残ることにな
る。そのため、アルコールの沸点がN−ビニルホルムア
ミドよりも高い場合には、1回の蒸留で差し支えない
が、アルコールの沸点がN−ビニルホルムアミドよりも
低い場合には、あらかじめアルコールを留去した後、残
留する混合物を更に、蒸留してN−ビニルホルムアミド
を回収する必要がある。
(実施例) 次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、
本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限
定されるものではない。なお、「%」は、とくに断らな
い限り、「重量%」を表す。
実施例1〜2及び比較例1〜3 (エーテル体の製造) 撹拌機及び温度調節器を備えた0.5ガラス製反応器
に、ホルムアミドとアセトアルデヒドとを炭酸カリウム
触媒の存在下で反応させて得たN−(α−ヒドロキシエ
チル)ホルムアミド(以下、「ヒドロキシ体」と言
う。)結晶(純度73%、ホルムアミド含量0.5%、K2C
O3含量0.5%)30gを仕込み、これにメタノール31.5
g(ヒドロキシ体に対して4モル倍)及び硫酸0.25g
(K2CO3の中和量+ヒドロキシ体に対して0.5モル%)を
加え、撹拌下、25〜40℃の温度で反応系内のヒドロキシ
体の残量が8%となるまでエーテル化反応を行い(反応
時間3時間)、次いで、これに20%苛性ソーダを加え
触媒を中和することによりpHを7とした。更に、この液
を50mmHgの減圧下で軽沸分を除いた後、3mmHgの減圧
にて、エーテル体を蒸留回収した。
(N−ビニルホルムアミドの製造) 上記で得たエーテル体を、ヒーターを備えた径10mm、
長さ500mmのステンレス管に、内温を400℃に保ち
ながら100mmHgの減圧下、2g/minの割合で供給
し、一方、排出されるガスを直ちに凝縮させることによ
り熱分解を行ない、下記組成の留出物23gを回収し
た。
N−ビニルホルムアミド 67% メタノール 31% その他有機成分 2% (N−ビニルホルムアミドを含む熱分解混合物の蒸留) 上記で得た熱分解混合物である留出物に硫酸を加えるこ
とにより、該熱分解混合物を3倍量の水で希釈したとき
のpHがそれぞれ下記第1表に示す値となるように調節
し、次いで、得られた5種の混合物を用い、各別々に5
0mmHgの減圧下、メタノールを除去した後、3mmHgの減
圧下、塔頂温度70℃で20分間蒸留を行うことによ
り、下記第1表の実施例1〜2及び比較例1〜3に示す
5種のN−ビニルホルムアミドを留出回収した。
ここで回収された5種のN−ビニルホルムアミドの回収
率とかま残にかける残留率を求めるとともに、回収N−
ビニルホルムアミドの重合性テストを行ない、重合開始
までの時間を測定し、それらの結果を下記第1表にまと
めて表示した。
(発明の効果) 以上の結果から明らかなように、本発明のN−ビニルホ
ルムアミドの回収法は、N−ビニルホルムアミドを含む
熱分解混合物に酸を加えてpHを特定の範囲内に調節する
ことによって、蒸留時のN−ビニルホルムアミドの安定
性を向上させてその分解をほとんど防止することがで
き、その結果、N−ビニルホルムアミドの蒸留回収率を
従来よりも大幅に高めうるばかりでなく、蒸留回収され
たN−ビニルホルムアミド中には、従来は蒸留時のN−
ビニルホルムアミドの分解により副生して混入して重合
反応に悪影響を及ぼす微量の不純物もほとんど存在しな
いので、重合性の良好なN−ビニルホルムアミドが極め
て容易に高収率で得られる、という工業的価値ある顕著
な効果を奏するものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−(α−アルコキシエチル)ホルムアミ
    ドを熱分解して得たN−ビニルホルムアミドを含む混合
    物を蒸留してN−ビニルホルムアミドを回収するにあた
    り、あらかじめ前記混合物に酸を加え、該混合物のpH
    (混合物を3倍量の水で希釈したときの)を6〜8の範
    囲に調節することを特徴とするN−ビニルホルムアミド
    の回収法。
JP3713486A 1986-02-21 1986-02-21 N−ビニルホルムアミドの回収法 Expired - Lifetime JPH0617348B2 (ja)

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JP3412167B2 (ja) * 1992-09-01 2003-06-03 ダイヤニトリックス株式会社 N−ビニルホルムアミド組成物
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