JPH06122661A - N−ビニルホルムアミドの製造法 - Google Patents

N−ビニルホルムアミドの製造法

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JPH06122661A
JPH06122661A JP25126392A JP25126392A JPH06122661A JP H06122661 A JPH06122661 A JP H06122661A JP 25126392 A JP25126392 A JP 25126392A JP 25126392 A JP25126392 A JP 25126392A JP H06122661 A JPH06122661 A JP H06122661A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 粗N−ビニルホルムアミドにアルカリ土類金
属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩を添加後、蒸留し、次
いでN−ビニルホルムアミドを含む留出分に無機酸を該
留出分を5重量倍量の水で希釈した時のpHが4.5〜
8.5になるように添加し、再度蒸留することを特徴と
する安定性のよいN−ビニルホルムアミドの製造法。 【効果】 安定性の高いN−ビニルホルムアミドを効率
よく製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N−ビニルホルムアミ
ド(以下「NVF」と略す)の製造法に関する。詳しく
は、貯蔵、運搬時などの保存安定性に優れたNVFの製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】NVFは、重合性モノマー原料として利
用できる。特に、その重合体の変成物は、ビニルアミン
単位を有するカチオン性高分子として、近年、有機汚泥
の脱水用凝集剤、製紙用の薬剤などへの応用が期待され
ている。しかしながら、NVFは、貯蔵時、蒸留精製
時、あるいは反応時にその一部が変質し、品質劣化を招
きやすいことが知られている。そして、変質したNVF
を用いると、高粘度の重合体が安定して得られないなど
の問題が生じる。
【0003】従来、蒸留の際のN−ビニルホルムアミド
の分解、重合を抑える手段として以下のような方法が提
案されている。 特開昭62−195352号公報には、NVFを蒸
留精製する際に、NVFのpHを中性付近に調節するこ
とが提案されている。そして、NVFのpHが高い場合
には、硫酸、塩酸などの無機酸、または、酢酸、ギ酸な
どの有機酸を添加するとよいとされている。
【0004】 特開昭63−190862号公報に
は、粗NVFを弱酸性陽イオン交換樹脂で接触処理し、
NVFの分解を促進していると考えられる微量の塩基性
不純物を除いて蒸留する方法が記載されている。 特開昭61−289068号公報には、NVFの蒸
留精製時または貯蔵安定時などにおける安定剤として
は、従来よりビニル性化合物の安定剤として用いられて
いるハイドロキノン、フエノチアジン、フェニレンジア
ミンなどは効果が不十分であるが、チオ尿素類に限って
は効果があると記載されている。
【0005】 特開昭62−190153号公報に
は、NVFを蒸留精製する際に、NVF中に一定量のホ
ルムアミドを存在させる方法が提案されている。また、
NVFを安定に保存するための手段として以下の方法が
知られている。 特開昭63−264559号公報には、NVFを不
活性ガス雰囲気下、密封容器中で、保存することが提案
されている。また、同公報には、NVFを5重量倍量の
水で希釈した際のpHが6〜8になるようにアルカリ水
溶液などで調整した方が保存安定性が向上することが開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の〜の公知技
術はある程度の効果は認められるものの、なお、十分な
ものではなく、NVFの工業的利用を図るためには、な
お、いっそうの品質向上、あるいはNVFの安定化方法
の改良が求められる。例えば、やの方法は、NVF
中の微量塩基性成分の除去には有効であるが、蒸留して
得られる精製NVFの保存安定性が一定しないという問
題がある。の方法は、NVFの高温下での蒸留時の安
定化には優れているが、常温付近での貯蔵安定効果は十
分とはいえない。の方法についていえば、粗NVF中
には元々ホルムアミドが相当量含まれている方がむしろ
一般的であり、安定化効果は十分とはいいがたい。ま
た、粗NVFにホルムアミドを追加して蒸留を行えば、
その分だけNVFとホルムアミドとの分離の手間が増大
する。更に、のNVFの安定化方法は、工業的な取扱
上の制約も大きく、必ずしも満足のいくNVFの安定化
を達成することができない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、長年、N
VFの工業化を目的として、上記問題点の解決手段を含
むNVFの製造法、精製法、保存安定化について検討を
重ねた結果、NVFの品質劣化の現象において、NVF
の酸化分解により発生するとされるNVF中のごく微量
の酸成分、特にギ酸が重要な因子となっていることを見
い出した。
【0008】更に、本発明者等は、かかる知見を基本と
して鋭意検討を重ねた結果、粗NVF中の酸成分の除去
などをポイントとした蒸留精製による安定なNVFの製
造法を見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明の要
旨は、粗N−ビニルホルムアミドにアルカリ土類金属の
酸化物、水酸化物又は炭酸塩を添加後、蒸留し、次いで
NVFを含む留出分に、該留出分を5重量倍量の水で希
釈した時のpHが4.5〜8.5になるように無機酸を
添加し、再度蒸留することを特徴とする安定性のよいN
VFの製造法に存する。
【0009】本発明において対象となるNVFの合成方
法は特に限定はない。その合成方法としては、N−(α
−アルコキシエチル)ホルムアミドからアルコールを脱
離させる方法(米国特許明細書3,914,304
号)、ホルミルアラニンニトリルからシアン化水素を脱
離させる方法(特開昭61−134359)及びエチレ
ンビスホルムアミドを熱分解する方法(米国特許明細書
4,490,557号、同4,578,515号)など
がある。これらの方法は、いずれも、減圧下、100°
以上の高温で熱分解して、NVFを得るものである。こ
れらの方法のうち、NVFの収率が高く、また、シアン
化水素等の有害物質の副生がない点において、熱分解の
方法としては、N−(α−アルコキシエチル)−ホルム
アミドからアルコールを脱離させる方法が好ましい。そ
こで、以下、該方法を中心に説明する。
【0010】N−(α−アルコキシエチル)ホルムアミ
ドは、通常、N−(α−ヒドロキシエチル)ホルムアミ
ドとアルコールとのエーテル化反応によって得られる。
この場合のアルコールとしては一般的には、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等の一価の脂肪族低級ア
ルコールが使用される。得られたN−α−アルコキシエ
チルホルムアミド中には、特に原料成分が残っていても
支障はなく、通常、精製することなく、そのまま、次の
熱分解工程に供される。
【0011】熱分解の方法は、上記のエーテル化反応で
用いたアルコールの種類に応じて種々の条件が選択され
るが、例えば、50〜200mmHgの減圧下、20
0〜500℃で気相で熱分解し、生成物蒸気を凝縮回収
する方法、1〜20mmHgの減圧下、90〜200
℃に加熱し、生成物を留去しながら液相で熱分解する方
法が例示される。熱分解法により得られたNVFを含む
混合液は、N−ビニルホルムアミド、副生するアルコー
ルを主成分とするものである。
【0012】本発明における粗NVFとは、上記の熱分
解混合液、該熱分解混合液中のアルコールなどの軽沸分
を除去した液、および蒸留などにより一度精製されたN
VFであっても、保存中において純度が低下したものな
ど広くNVFを含む液を包含するものである。粗NVF
の典型的なものとしては、上記の熱分解混合液を単蒸留
あるいは減圧濃縮等により、NVFの純度が通常80重
量%以上としたものがあげられる。このような粗NVF
には、通常、NVF成分のほかに、NVFの製造工程よ
り由来する副生物成分として、熱分解しきれずに残存し
た原料化合物、ホルムアミド、アルコールなどが共存す
る。また、通常、数十ppmから数%程度の種々のアン
モニア、ピコリン、エチルピコリン、その他、構造不明
の塩基性不純物が存在している。該塩基性不純物の総量
は、定量的に把握することは困難であるが、NVF溶液
のpH値よりある程度の推定は可能であり、通常、数十
ppmから数%程度と思われる。そして、従来は、該塩
基性不純物が蒸留の際のNVFの分解を促進しているも
のと考えられていた。そして、前述のNVFを蒸留精
製する際に、NVFを硫酸、ギ酸などでpH調整するこ
とによりNVFの安定性が向上する理由は、該塩基性不
純物が酸で中和され、塩を形成することで不活化してい
るものと考えられていた。また、塩にした方が、NVF
中の塩基性不純物の分離除去効率が向上する。
【0013】ところが、本発明者等の検討によれば、貯
蔵時のNVFの純度低下と、NVF中の微量不純物であ
るギ酸量の増加との間には相関関係があり、これまで、
NVF中の塩基性不純物量では十分説明できなかった貯
蔵時のNVFの純度低下の様子が明らかとなった。NV
F中のギ酸の増加は、NVF中に混入する酸素により促
進され、更に、ギ酸濃度が所定量、具体的にはNVFに
対して約250重量ppmより大きくなると、NVFの
カチオン重合が起こりやすくなり、低分子量のポリNV
Fが生成し、結果として、NVFの純度が低下すること
が判明した。そして、NVF中のギ酸濃度が所定量より
大きくなると、特にNVFの保存安定性が低下し、従来
の公知のNVFの保存安定化の方法を実施しても効果が
ほとんどなくなる。
【0014】前記の純度が80重量%以上の粗NVF中
には、前の塩基性不純物とともにギ酸、酢酸などの酸性
不純物が含有されている。そして、酸性不純物の大部
分、通常90重量%以上がギ酸である。このギ酸は、反
応工程で副生混入する他、NVFが酸化的に分解して発
生するものと考えられる。ギ酸は、公知のNVFの精製
方法ではほとんど除去できず、従来、重合原料とされる
ような純度80重量%以上から、特に精製した純度95
重量%以上の種々のグレードのNVF中におけるギ酸
は、通常、数百〜1万重量ppmと推定される。NVF
中のギ酸は、多くは遊離ギ酸として、一部は塩基性不純
物との塩として各々存在しているものと考えられる。こ
れらのギ酸成分は、イオンクロマトグラフィーにより容
易に定量分析できるものであるが、従来、NVF中の不
純物としてのギ酸が、具体的に確認されたことは全くな
かった。ましてや、ギ酸がNVFの保存安定性に大きな
影響を及ぼす重要な因子であるというようなことは全く
の予想外のことであった。この如何に予想外でかあった
かは、前述の特開昭62−195352号公報におい
て、今回の検討ではNVFの保存安定性に悪影響を与え
るとされるギ酸を、逆にNVFに添加することがあると
の記載からも明らかである。
【0015】本発明のNVFの製造法は、粗NVF中の
不純物、特にギ酸などの酸性不純物と塩基性不純物を特
定の方法で蒸留除去し、極めて安定性のよいNVFを得
るものである。以下、本発明の蒸留操作につき説明す
る。粗NVF、例えば、前記のNVFを含有する熱分解
液は、その熱分解の方法や条件により、該液を5重量倍
量の水で希釈した時のpHが通常4〜9の広い範囲にあ
る。本発明では、酸性不純物、特にギ酸を除去すること
を目的として、粗NVF中に特定塩基性化合物を添加
し、前記の5重量倍量の水で希釈した液のpHが通常6
〜12、好ましくは8〜11になるように調整する。塩
基性化合物としては、アルカリ土類金属の酸化物、水酸
化物又は炭酸塩、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネ
シウム、酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウムなどが例示され、中でも酸化カ
ルシウムが好ましい。一般的には、塩基性化合物を添加
し、pHを高くすることはNVFの安定性という点を考
慮すると必ずしも好ましくはないが、意外なことにアル
カリ土類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩において
は、ギ酸の除去効率が高く、かつ、NVFの分解の問題
も少ないのである。
【0016】該塩基性化合物の添加量は、粗NVF中の
酸性物質の量に依存するが、粗NVFに対して、通常
0.01〜3.0重量%である。添加量が粗NVF中の
酸性物質と比較して少なすぎる場合は、酸性物質の除去
効率が低くなるし、一方、過剰の場合は一般的にはNV
Fの安定性の面から好ましくない。但し、過剰に添加し
ても、液に溶解しきれず不溶状態で存在していれば特に
問題は少ない。塩基性化合物添加後は、粗NVFを、通
常−10〜30℃の温度条件下で通常0.1〜2時間混
合処理するとよい。
【0017】また、該添加混合後に生成したギ酸塩ある
いは過剰の不溶塩基性化合物はろ過しておくことが好ま
しい。なお、塩基性化合物の添加方法としては、特に制
限はないが、粉末をそのまま、あるいはメタノール溶液
として添加する方法が好ましい。また、粗NVFが、N
VFを含む熱分解液である場合、該熱分解液中の軽沸分
を必ずしも除去する必要はない。例えば、N−(α−ア
ルコキシエチル)−ホルムアミドの熱分解液中には、N
VFの他に多量のアルコールを含んでいるが、上記の塩
基性化合物処理においてこのアルコールは、粗NVF中
の酸性物質と塩基性化合物との反応を促進させている傾
向が認められるからである。
【0018】従って、例えば、一旦蒸留したNVFを粗
NVFとし、更に精製したいような場合、あるいはアル
コール類を副生しない方法で得られたNVFを含有する
熱分解液を粗NVFとして精製する場合には、該NVF
中にメタノール等のアルコールをむしろ添加した後、前
記塩基性化合物を添加する方法が好ましい。以上のよう
に粗NVFに特定の塩基性化合物を添加した後、蒸留を
行う。該蒸留により分離したNVFを含む留出分は酸性
物質が実質的に除去されたものであり、該留出分を5重
量倍量の水で希釈したときのpHが通常8〜11とな
る。該pHは、留出分中の塩基性物質の量に影響される
ものと考えられる。
【0019】本発明では、該留出分に少量の無機酸を添
加し、該留出分を5重量倍量の水で希釈したときのpH
が4.5〜8.5、好ましくは6.0〜8.0に調整す
る。無機酸としては、硫酸、リン酸、硝酸などが例示さ
れ、好ましくは硫酸である。このようにpH調整された
留出分液を、再度、蒸留することにより、粗NVF中の
塩基性不純物を除去することができる。
【0020】以上の2回の蒸留の態様は特に限定され
ず、多段塔による精度蒸留でも薄膜蒸留でもよい。薄膜
蒸留器は分離効率がフラッシュ蒸発と同程度であり、粗
NVF中のホルムアミドなどの不純物を分離することは
できないが、粗NVF中の微量の酸性及び塩基性不純物
を含む高沸点不純物を除去するには充分であり、また、
NVFのような熱安定性の高くない対象物を蒸発するの
に適している。薄膜蒸留器の構造は市販の装置と同様な
ものであって特別の構造を有する必要はなく、上昇薄膜
式、プレート型流下薄膜式、チューブ型流下薄膜式など
の形式のものが例示される。薄膜蒸留の操作条件として
は、通常1〜20Torr、好ましくは2〜10Tor
rの減圧下、蒸気温度として、通常60〜150℃、好
ましくは70〜120℃、液の平均滞留時間が通常30
秒〜10分、好ましくは1〜5分が示される。かかる条
件下で薄膜蒸留することにより、液の大部分が蒸発分と
して回収される。
【0021】以上の薄膜蒸留で粗NVFから酸性及び塩
基性不純物が除去されていれば、蒸留回収したNVF中
に、例えば、1〜20%程度のホルムアミドが混在して
いても、NVFの重合活性への影響はほとんどなく、ま
た、NVFの保存安定性に特に悪影響は及ぼさない。し
かしながら、更に要すれば、上記のNVF留分を、塔に
導びき精密蒸留することにより、より高純度のNVF
が、具体的には純度が通常95%以上のNVFを得るこ
ともできる。蒸留塔の操作条件は、回収するNVFの純
度への要求に応じて適宜選択されるが、塔の圧力が通常
1〜20Torr、好ましくは2〜10Torr、塔頂
温度が通常60〜90℃、好ましくは70〜85℃、塔
の理論段数として、通常5〜50、好ましくは10〜3
0の条件である。また、塔内の構造は一般的な蒸留塔の
場合と同様であり、充填式、棚段式などが例示される。
【0022】本発明では、以上のような方法を実施する
ことにより、NVF中に存在するギ酸を、NVFに対し
て通常250重量ppm以下、好ましくは200重量p
pm以下、更に好ましくは150重量ppm以下のNV
Fを得ることができる。かかるNVFは、従来、公知の
NVF製品と比較して、格段に保存安定性が向上し、該
NVFを窒素雰囲下に保持すれば、室温で数ケ月保存し
ても純度低下や重合活性の低下はほとんど認められな
い。更に、重合性ビニル化合物の安定剤として知られて
いるハイドロキノン、フェニレンジアミンなどの酸化防
止剤を、NVFに対して、通常10〜10,000重量
ppm添加すれば、NVFの安定性をより一層向上させ
ることもできる。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。なお「%」は特に断らな
い限り、「重量%」を表す。
【0024】実施例1 (N−(α−メトキシエチル)ホルムアミド(以下「エ
ーテル体」と言う。)の構造)攪拌機及び温度調節器を
備えた5リットルガラス製反応器に、ホルムアミドとア
セトアルデヒドとを炭酸カリウム触媒の存在下で反応さ
せて得たN−(α−ヒドロキシエチル)ホルムアミド
(以下「ヒドロキシ体」と言う。)結晶(純度73%、
ホルムアミド含量0.5%、K2 CO3 含量0.5%)
3kgを仕込み、これにメタノール3.15kg(ヒド
ロキシ体に対して4モル倍)及び硫酸25g(K2 CO
3 の中和量+ヒドロキシ体に対して0.5モル%)を加
え、攪拌下、25〜40℃の温度で反応系内のヒドロキ
シ体の残量が1%となるまでエーテル化反応を行い(反
応時間3時間)、次いで、これに20%苛性ソーダを加
え触媒を中和することによりpHを7とした。更に、こ
の液を50mmHgの減圧下で軽沸分を除いた後、3m
mHgの減圧下にて、エーテル体を蒸留回収した。
【0025】(N−ビニルホルムアミドの製造)上記で
得たエーテル体を、ヒーターを備えた径10mm、長さ
500mmのステンレス管に、内温を400℃に保ちな
がら100mmHgの減圧下、2g/minの割合で供
給し、一方、排出されるガスを直ちに凝縮させることに
より熱分解を行ない、留出液2.3kg(NVF64
%、メタノール31%)を回収した。なお、該留出液を
5重量倍量の水に希釈した液のpHは4.5であった。
【0026】(NVFを含む熱分解混合液の蒸留)上記
留出液に酸化カルシウム2.9grを添加し10℃で1
時間攪拌下に保持し、次いで不溶物を濾別した。濾液を
5重量倍量の水に希釈したときのpHは9.9であっ
た。次に該濾液より圧力50Torr、50℃の条件下
においてメタノール等の軽沸点成分を除去した。
【0027】この液を、ガラス整流下薄膜蒸留器(伝熱
面直径50mm、高さ200mm)を用い、圧力3To
rr、蒸気温度125℃、混合液フィード量500g/
hr、混合液の平均滞留時間5分の条件にて、蒸発処理
を行なった。この結果、混合液の97%が蒸発した。蒸
発分の組成はN−ビニルホルムアミド69%、ホルムア
ミド3%、エーテル体1%であり、N−ビニルホルムア
ミドの回収率は97%であった。蒸発分を5重量倍量の
水に希釈したときのpHは9.7であった。一方、未蒸
発分は、薄膜蒸留器に循環させることなく系外に除去し
た。
【0028】次にこの回収蒸発1.49kgに1規定硫
酸のメタノール溶液を7ml添加した。該式を5重量倍
量の水に希釈してpHは6.5であった。この液につい
て、上記と同一の薄膜蒸留器、同一条件で蒸発処理を行
なった。供給液の95%が蒸発し蒸発分の組成は、NV
F95%、ホルムアミド4.5%、エーテル体0.5%
であり、NVFの回収率は96%であった。含有ギ酸量
をイオンクロマトグラフィーで分析したところ40pp
mであり該液を5重量倍量の水に希釈したときのpHは
6.8であった。
【0029】(安定性評価試験)得られたNVFを用い
て重合を行い水溶性ポリマーを製造し、得られたポリマ
ーの還元粘度を測定した。一方同時に、200mlのガ
ラス製密閉容器に、得られたNVF50mlを仕込み、
これに窒素ガス2リットルを10分間で液中に供給し、
系内を完全に窒素ガスで置換した後、そのままの状態で
密閉し、80℃の温度の恒温槽中で70分間、貯蔵の加
速モデルテストを行った。その後、このNVFの純度を
測定してから重合を行い水溶性ポリマーを製造し、得ら
れたポリマーの還元粘度を測定し加速モデルテスト前後
の値を比較した。結果を表−1に示す。なお、NVFの
重合及びそれによって得たポリマーの還元粘度の測定は
以下に記す方法で行なった。
【0030】(重合方法)NVFモノマー純度60%水
溶液に、重合開始剤として、2,2′−アゾピスアミジ
ノプロパン塩酸塩をモノマーに対して3000ppm添
加し、分散安定剤として0.5%のエチルセルロースを
溶解したシクロヘキサン媒体中で、70℃の温度で懸濁
重合を行なった。得られたポリマーを共沸により脱水し
た後濾別し、次いで減圧乾燥した。
【0031】(還元粘度の測定方法)上記の方法で得た
ポリマーを、1N食塩水を用いて0.1%濃度の溶液に
調製し、その溶液の還元粘度をオストワルド粘度計によ
り測定した。
【0032】実施例2 実施例1において、熱分解反応温度を550℃にした以
外は全く同様な条件で得、同様に安定性評価試験を実施
した。結果を表−1に示す。なお、安定性評価試験前の
NVFに含有されるギ酸量は150ppmであり、ま
た、5重量倍量の水で希釈したときのpHは6.4であ
った。
【0033】比較例1 実施例1で得た熱分解反応の留出液から直接メタノール
などの軽沸点成分を除去した後薄膜蒸留器を用いて、蒸
発処理してNVF留分を得た。該NVF留分のギ酸含有
量は2000ppmであり、また5重量倍量の水で希釈
したときのpHは4.5であった。次に、5容量倍量の
水希釈した時のpHが7.0となるように1/10N苛
性ソーダのメタノール溶液を添加した後、実施例1と同
様に安定性評価試験を実施した。結果を表−1に示す。
【0034】比較例2 比較例1において熱分解反応温度を550℃に変更した
以外は全く同様な条件でNVFを得、同様に安定性評価
試験を実施した。結果を表−1に示す。なお、安定性評
価試験前のNVFに含有されるギ酸量は、2500pp
mであり、また5重量倍量の水で希釈したときのpHは
8.8であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の方法によれば、数ケ月もの長期
保存においても純度低下が少なく、かつ、重合活性の低
下が少ない極めて安定なNVFを効率よく製造すること
ができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗N−ビニルホルムアミドにアルカリ土
    類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩を添加後、蒸留
    し、次いでN−ビニルホルムアミドを含む留出分に、該
    留出分を5重量倍量の水で希釈した時のpHが4.5〜
    8.5になるように無機酸を添加し、再度蒸留すること
    を特徴とする安定性のよいN−ビニルホルムアミドの製
    造法。
  2. 【請求項2】 粗N−ビニルホルムアミドにアルカリ土
    類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩を添加後、薄膜蒸
    留器にかけてN−ビニルホルムアミドを含む留出分を回
    収し、該留出分に、該留出分を5重量倍量の水で希釈し
    た時のpHが4.5〜8.5になるように無機酸を添加
    し、再度、薄膜蒸留器にかけてN−ビニルホルムアミド
    を含む留出分を回収し、該留出分を塔を用いて精密蒸留
    することを特徴とする安定性のよいN−ビニルホルムア
    ミドの製造法。
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