JPH06173124A - 不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法およびその装置 - Google Patents

不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法およびその装置

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JPH06173124A
JPH06173124A JP24508392A JP24508392A JPH06173124A JP H06173124 A JPH06173124 A JP H06173124A JP 24508392 A JP24508392 A JP 24508392A JP 24508392 A JP24508392 A JP 24508392A JP H06173124 A JPH06173124 A JP H06173124A
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JP
Japan
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furnace
atmosphere
seal chamber
fiber layer
infusible
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JP24508392A
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Inventor
Kunio Fukamachi
邦男 深町
Kazuo Yoshida
和雄 吉田
Takeshi Kobayashi
健 小林
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大気開放部を設けず、連結部での熱損失を少
なくでき、炭化炉入口までに繊維層同伴の空気や酸化性
ガスを置換できる不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整装置
を提供する。 【構成】 不融化炉1の出口5と炭化炉2の入口6の間
に排気口11を有するシール室9を設け、該シール室9
に大気開放部を設けずに連結することを特徴とする不融
化炉と炭化炉間の雰囲気調整装置である。 【効果】 炭化炉の不活性ガスを酸化性ガスのパージに
有効利用することができ、不活性ガスの使用量が減少で
き、シール室内の酸化反応が即停止できるので、工程歩
留の低下が防げ、暴走反応の発生も防げ、安定生産が図
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ピッチ系炭素繊維形成
物質を溶融紡糸して得られる前駆体繊維を酸化性雰囲気
に保たれた不融化炉で比較的低温で加熱処理を行い、そ
の後、不活性雰囲気に保たれた炭化炉で加熱処理を行う
両炉をシール室を介して、大気開放せずに連結すること
を可能とする不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法およ
びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ピッチ系炭素繊維形成物質を溶融紡糸し
て得られる前駆体繊維は、不活性雰囲気中で急激に加熱
して炭化処理すると、該前駆体繊維は融断してしまう。
従って、こうした炭化処理を行う以前に、該前駆体繊維
を不融化炉を用いて、該炉内を移動するネットコンベア
上に該前駆体繊維を積載し、該不融化炉入口から出口に
ネットコンベアを走行させながら酸化性雰囲気で比較的
低温で加熱処理を行い、続いて炭化炉入口から出口にネ
ットコンベアを走行させながら不活性雰囲気で加熱して
炭化処理を行う必要があり、こうした方法として、ネッ
トコンベア上に該前駆体繊維をマット状に積載し、不融
化炉と不活性ガス焼成(炭化)炉内を移動させて処理す
る方法(特開昭55−90621号)が知られている。
【0003】しかしながら、上記方法によれば、不融化
炉と焼成炉間の雰囲気調整に関しては特に説明されてい
ないが、その図面から不融化炉と焼成炉間は大気開放さ
れているものが開示されている。このように不融化炉と
焼成(炭化)炉間を大気開放する場合には、焼成(炭
化)炉入口繊維層は、空気(および酸性化ガス)を焼成
炉へ多量に同伴するため、以下のような課題を有してい
た。
【0004】同伴空気による繊維層の再酸化を防ぐた
め、繊維同伴空気のパージ用不活性ガス(窒素ガス)を
大量に供給する必要がある。
【0005】大気開放部で不融化炉で繊維とコンベア
に与えられた熱が放散するので、焼成炉でのエネルギー
消費が増加する。
【0006】焼成炉設備容量が大きくなり、設備費が
増加する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、新規な不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法および
その装置を提供する。さらに本発明の目的は、大気開放
部を設けず、連結部での熱損失を少なくでき、炭化炉入
口までに繊維層同伴の空気や酸性化ガスを置換でき、炭
化炉の設備容量への負担の少ない不融化炉と炭化炉間の
雰囲気調整方法および装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ピッチ系
炭素繊維の不融化炉と炭化炉間に大気開放部を設けずに
雰囲気調整する方法および装置について鋭意研究した結
果、不融化炉と炭化炉間をシール室で連結し、大気開放
部を造らない構造とし、不融化炉を出た直後のシール室
に排気口を設け、該排気口より、不融化炉から導かれ
る酸化性ガスを直ちに吸引し、系外に排出し、繊維層
同伴酸化性ガスは、排気口近傍に設けた不活性ガス供給
口より不活性ガスを吹きつけて該繊維層より追い出し、
排気口から系外に排出する(上記不活性ガス供給口を繊
維進行方向に複数段設け、該供給口と反対方向に排気口
(吸引口)を設けて不活性ガスをピストンフロー的に繊
維層に吹きつけて貫通させて同伴酸化性ガスを系外に排
出することで、酸化性ガスの除去能力を向上させること
ができる)。さらに無酸化雰囲気をつくるために炭化
炉に供給される不活性ガスの一部を、炭化炉入口から上
記シール室中に、繊維層方向と逆向きに流して、排気口
より系外に排出することにより、上記目的を達成できる
ことを知り、この知見に基づいて本発明を完成するに至
ったものである。
【0009】すなわち、本発明の目的は、不融化炉の出
口の開口部と炭化炉の入口の開口部の間に排気口を有す
るシール室を設け、該シール室に大気開放部を設けずに
連結することを特徴とする不融化炉と炭化炉間の雰囲気
調整装置により達成することができる。
【0010】また本発明の目的は、不融化炉の出口の開
口部と炭化炉の入口の開口部の間のシール室の排気口よ
り不融化炉の炉内ガスを吸引する構造において、該シー
ル室で不活性ガスを繊維層に吹きつけ、繊維層同伴酸化
性ガスをパージすると共に、炭化炉の炉内不活性ガスの
一部を該シール室を介して吸引することを特徴とする不
融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法により達成すること
ができる。
【0011】
【作用】次に本発明の実施態様を図面を用いて説明す
る。
【0012】図1は、本発明に係るピッチ系炭素繊維の
不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整装置の一実施態様を示
す概略側断面図である。
【0013】図1より、本発明の不融化炉と炭化炉間の
雰囲気調整装置においては、不融化炉1に続いて炭化炉
2の両中央部をそれぞれ連通してネットコンベア等の搬
送装置3が張設されており、不融化炉1の搬送装置入口
4、不融化炉1の搬送装置出口5と炭化炉2の搬送装置
入口6の間、および炭化炉2の搬送装置出口7には、そ
れぞれ外気と完全にシールされる形で第1のシール室
8、第2のシール室9、および第3のシール室10が設
けられ、それぞれ連結されている。
【0014】不融化炉1の搬送装置入口4および、不融
化炉1の搬送装置出口5と炭化炉2の搬送装置入口6の
間の両シール室8、9には、搬送装置3に対して互いに
対向する室壁面にそれぞれ少なくとも1個の排気口11
と不活性ガス供給口12とが設けられており、該排気口
11は、連結管13によって排気装置14に接続されて
いる。
【0015】また炭化炉2の搬送装置出口7の第3のシ
ール室の出口15には、連結管13によって排気装置1
4に接続されてなる排気口16が併設されている。また
不融化炉1には、炉内を酸化性雰囲気で熱処理できるよ
うに、少なくとも1個の酸化性ガス供給口17a、17
bが設けられ、炉内に設けられた加熱装置(図示せず)
により所定の温度に置かれている。同様に、炭化炉2に
は、炉内を不活性雰囲気炭化(焼成)処理できるよう
に、少なくとも1個の不活性ガス供給口18が設けら
れ、炉内に設けられた加熱装置(図示せず)により所定
の温度に置かれている。
【0016】これらの各供給口12および排気口11
は、好ましくは、走行する搬送装置3上に積載された繊
維層19に対して影響の少ないようにシール室の壁底面
に不活性ガス供給口12を設け、対向する位置のシール
室の壁上面に排気口11を設け、該繊維層19に対して
ガス流を下から上にピストンフロー的に貫通させるよう
に構成されている。すなわち繊維層に対してガス流が渦
を作ったりすると、繊維同士が絡まったり、繊維層が崩
れたりするため好ましくなく、また不融化炉1の搬送装
置入口4において上から下へガス流をピストンフロー的
に貫通させた場合には、繊維層が潰れ嵩密度が増加し、
不融化炉内において繊維内部までガスが通り難くなり内
部温度が上昇し、暴走反応を生じ易くなるなど好ましく
ない。
【0017】さらに、これらの各不活性ガス供給口12
および排気口11は、いずれも不融化炉1に近接した位
置に設けることが好ましい。すなわち不融化炉1の搬送
装置入口4側では、不融化炉1内より送出される高温の
酸化性ガスにより該繊維層19が急激に加熱され暴走反
応を起こすのを防ぐのに効果的であり、また、不融化炉
1の搬送装置出口5と炭化炉2の搬送装置入口6の間で
は、不融化炉1内より送出される高温の酸化性ガスおよ
び該繊維層19に同伴された酸化性ガスに晒され続ける
ことにより不融化処理された該繊維層19が再酸化され
るのを防ぐのに効果的である。
【0018】特に不融化炉1の搬送装置出口5と炭化炉
2の搬送装置入口6の間の第2のシール室9に設けられ
る不活性ガス供給口12および排気口11は、該不活性
ガス供給口12を繊維進行方向に複数段設けることが好
ましい。これにより不活性ガス供給口12と対向する位
置に設けられた排気口11の間で不活性ガスをピストン
フロー的に繊維層に次々に吹きつけて貫通させることに
より、素早く、かつ充分に繊維層同伴酸化性ガスをパー
ジし、系外に排出することができ、これにより再酸化さ
れることもなく酸化性ガスの除去能力を向上させること
ができる。
【0019】またこれらの各シール室8、9、10の内
部には、該シール室長手方向と垂直に、ガス流れと直交
し、シール室内を移動する繊維層19の空間を確保でき
るように、少なくとも1個の抵抗体20a、20bが設
けられている。これらの抵抗体のうち、下部抵抗体20
bは、その上端が搬送装置3に接触しない程度で、搬送
装置3の下部にほぼ達するように設けられ、また上部抵
抗体20aは、固定式でもよいが、繊維層19の厚みに
応じて上下動自在に設けられることが好ましく、該繊維
層19に接しない程度に下げて運転することが好まし
い。
【0020】このような構成の不融化炉と炭化炉間の雰
囲気調整装置において、ピッチ系炭素繊維形成物質を溶
融紡糸して得られる前駆体繊維は、ネットコンベアのよ
うな搬送装置3に適当な厚さの層を成すように繊維層1
9の状態で積載され、不融化炉1の搬送装置入口4側の
第1のシール室8の入口から連続的に供給される。
【0021】該第1のシール室8内では、該シール室8
内を移動する繊維層19の空間を通じて外部および不融
化炉1の間に常時開口部が存在することから、該第1シ
ール室8に設けられた排気口11での圧力を不融化炉内
圧、不活性ガス供給圧および大気圧よりも低くなるよう
に排気装置14により排気量を調節してガス吸引を行な
うことにより、不融化炉1から不融化反応促進剤を含む
酸化性ガスを導く一方で、該第1のシール室8の入口か
ら大気ガスを吸引することにより、酸化性ガスの流れ方
向と逆向きの流れを大気ガスにより形成させると共に、
不活性ガス供給口12より不活性ガスを導入し、対向す
る排気口11に向けて不活性ガスによる気体シール層を
形成させる。
【0022】また、不融化炉1内との圧力差により導か
れてきた酸化性ガスは、気体シール層さらには大気ガス
流に逆らって進行することはできず、該第1のシール室
8から大気中に漏洩することはできない。これにより、
不融化反応促進剤(NO2 、Cl2 、SO2 等)を含む
酸化性ガスの外気への漏洩を防止することができ、環境
衛生面での安全性が確保できる。さらに、不活性ガス供
給口12および排気口11を不融化炉1に近接した位置
に設けることで、不融化炉1から導かれる酸化性ガスを
直ちに吸引して系外に排出できるために高温酸化性ガス
による該繊維層19の暴走反応を防ぐことができる。
【0023】また不融化炉1内に供給される繊維層19
は、該第1のシール室8の入口から排気口11までは大
気ガスを含んでいるが、不活性ガスによる気体シール層
部さらには排気口11を通過した時点で圧力差により不
融化炉1から送出される不融化反応促進剤を含む酸化性
ガスに置換され、不融化炉1内に供給される際には炉内
雰囲気に近似した状態になっており、大気ガスの侵入に
よる炉内雰囲気および温度外乱を防止することができ
る。
【0024】こうして該第1のシール室8を通過させる
ことで同伴大気ガスを置換された繊維層19は、不融化
炉1に送られ、炉内に設けられた少なくとも1個の酸化
性ガス供給口17より酸化性ガス(不融化反応促進剤と
してNO2 、Cl2 、SO2等を含む)が導入され、酸
化性雰囲気下で、炉内に設けられたヒータ等の加熱装置
により比較的低温の所定温度(約100〜300℃の範
囲で一定の温度勾配を形成するように制御されてい
る))に置かれた状態の炉内を走行する間に熱処理さ
れ、熱的に安定な不融性のものとされる。ここで供給さ
れる酸化性ガス供給口17は、炉内上面もしくは炉内壁
底面に設けられ、炉内に適当に設けられた循環ファン等
により酸化性ガスが炉内に所定の濃度勾配となるように
循環されることが望ましい。さらに該不融化炉1内にも
該炉内長手方向と垂直に、ガス流れと直交し、炉内を移
動する繊維層19の空間を確保できるように、少なくと
も1個の抵抗体(図示ぜず)が設けられていてもよい。
【0025】続いて不融化された繊維層19は、不融化
炉1の搬送装置出口5と炭化炉2の搬送装置入口6の間
の第2のシール室9に連続的に搬送される。
【0026】該第2のシール室9内では、該シール室9
に複数段(3段)に設けられた不活性ガス供給口12よ
り不活性ガスを導入し、繊維層19に対してガス流を下
から上にピストンフロー的に貫通させ、該供給口12に
対向する位置の排気口11より、不融化炉1の内圧、不
活性ガス供給圧および炭化炉2の内圧よりも低くなるよ
うに排気装置14により排気量を調節してガス吸引を行
なうことで、該繊維層19に同伴する高温の酸化性ガス
および不融化炉から送出される酸化性ガスを完全に追い
出して置換し、該酸化性ガスを排気口11より排出す
る。これにより該シール室9内での酸化性ガスによる該
繊維層19の酸化を防止し、過酸化による歩留損失を防
止し、さらに高温の酸化性ガスに長時間晒されることに
より生じる暴走反応による燃焼の発生を防止することが
できる。
【0027】さらに、該第2のシール室9内が連結管1
3を介して排気装置14により、不融化炉1内および連
結されている炭化炉2の内圧よりも低く保たれているこ
とから炭化炉2より高温の不活性ガスが該シール室9の
排気口11に向けて導入され、該排気口11より上記不
活性ガス供給口12からの不活性ガスや不融化炉1から
の酸化性ガスと共にガス吸引され、系外に排出される。
これにより、該排気口11より炭化炉2側では、不活性
雰囲気に置かれ、かつ該高温不活性ガスの熱によりシー
ル室9を移動する繊維層19も徐々に加熱され、炭化炉
2に送られる時点では、炭化炉2内の炭化処理条件に近
似した状態にされる。したがって、炭化炉2から導かれ
る不活性ガスは、繊維進行方向と逆向きに流れること
で、繊維層に同伴ガスされた酸化性ガスを完全に不活性
雰囲気に置換すると共に、酸化性ガスが炭化炉2に侵入
するのを防止することができる。
【0028】こうして、外気から完全にシールされた状
態で該第2のシール室9を移動した繊維層19は、続い
て炭化炉2に送られ、炉内に設けられた少なくとも1個
の不活性ガス供給口18より主に窒素などの不活性ガス
が導入され、不活性雰囲気下で、炉内に設けられたヒー
タ等の加熱装置により所定の温度(300〜390℃)
に置かれた状態の炉内を走行する間に一次炭化処理され
る。
【0029】該炭化処理された繊維層19は、続いて炭
化炉2の搬送装置出口7の第3のシール室10に連続的
に搬送される。
【0030】該第3のシール室10内は、炭化炉2には
不活性ガス供給口18より不活性ガスが供給されてお
り、大気圧よりも高い状態に置かれており、該炭化炉2
の搬送装置出口7から該第3のシール室10の出口15
に向けて圧力勾配が形成されており、不活性ガスが圧力
拡散により該シール室10内に流れ込み、逆に大気中か
ら炭化炉2には圧力差から大気ガスは侵入しにくい構造
となっている。さらにシール室10の出口15には、連
結管13によって排気装置14に接続されてなる排気口
16が併設されおり、繊維層同伴の高温不活性ガスを該
シール室10の出口15で吸引し、大気中の空気と置換
する。これにより比較的短時間で該繊維層19内部を空
冷することができる。
【0031】また、各シール室8、9、10内の排気口
11、16部分の圧力レベルを下げる程、上述の如くシ
ール性は向上するが、反対に酸化性ガス、不活性ガスお
よび大気ガスの吸引量が増加し、炉内への供給ガスコス
ト、排気装置14の大型化を招き不経済であるため、で
きるだけガス排気量を低減することが好ましい。したが
って該シール室8、9、10の内部に、シール室長手方
向にガス流れと直交し、シール室内を移動する繊維層の
空間を確保できる抵抗体20a、20bを設けることに
より、該抵抗体20a、20bが酸化性ガス、不活性ガ
スおよび大気ガスのシール室8、9、10中での流れの
抵抗として働くので、少量の吸引量でも排気口11、1
6の圧力を低く保てる。また該抵抗体20a、20b
は、シール室8、9、10内を移動する繊維層19の空
間に影響を与えることなく非接触状態のまま繊維層19
の空間を確保できるように抵抗体20a、20bの高さ
が、繊維層19の上面に接しない範囲で繊維層高さに応
じて変更され、排気口11、16の圧力変動を小さくす
るように適宜決定されるものである。
【0032】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。
【0033】実施例1 図1に示す本発明の不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整装
置を用いて、搬送装置3としてネットコンベア上にピッ
チ系炭素繊維形成物質を溶融紡糸して得られる前駆体繊
維を充填密度が、0.03g/cm3 で層高さが、10
〜20cmの層を成すように積載した繊維層19を第1
のシール室8の入口から搬送速度2.5m/h(以後、
炭化処理が完了するまで同じ速度とした)で連続的に供
給し、該シール室8に該繊維層19に接しない程度に設
けられた抵抗体20a、20bにより該シール室8の長
手方向を等間隔(6等分)に区画されたうちの最も不融
化炉に近接した区画域の底壁面の1箇所に設けられた不
活性ガス供給口12より10m3 /hで窒素ガスを供給
し、同時に該不活性ガス供給口12に対向する位置に設
けられた排気口11の圧力が不融化炉1の圧力および大
気圧よりも低くなるように排気装置14により排気量を
150m3 /hに調節してガス吸引を行い、該シール室
8中の雰囲気調整を行った。
【0034】続いて不融化炉1において、炉内中央部の
底壁面の2箇所に設けられた酸化性ガス供給口17a、
17bより不融化反応促進剤(NO2 )を含む酸化性ガ
スA、Bをそれぞれ50m3 /hで補給する酸化性雰囲
気下で、炉内に内設されたヒータで、約100〜300
℃で4時間かけて搬送されて繊維層19の不融化処理を
行った。
【0035】つぎに不融化処理された繊維層19は、第
2のシール室9に搬送され、該シール室9に該繊維層1
9に接しない程度に設けられた抵抗体20a、20bに
より該シール室9の長手方向を等間隔(6等分)に区画
されたうちの不融化炉に近接した3区画にそれぞれ設け
られた不活性ガス供給口12よりそれぞれ25m3 /h
で窒素ガスを供給し、同時に該シール室9の各不活性ガ
ス供給口12に対向する位置に設けられた3つの排気口
11の圧力が不融化炉1の圧力および炭化炉2の圧力よ
りも低くなるように排気装置14により排気量を200
3 /hに調節してガス吸引を行い、該シール室9中の
雰囲気調整を行った。
【0036】続いて炭化炉2において、炉内中央部の底
壁面の1箇所に設けられた不活性ガス供給口18より窒
素ガスを150m3 /hで補給する窒素雰囲気下で、炉
内に内設されたヒータで、約300〜390℃で1時間
かけて搬送されて繊維層19の炭化処理を行った。
【0037】つぎに炭化処理された繊維層19は、第3
のシール室10に搬送され、該シール室10に該繊維層
19に接しない程度に設けられた抵抗体20a、20b
により該シール室10の長手方向を等間隔(6等分)に
区画された区域を通過させ、該シール室10の出口15
に設けられた排気口16から排気装置14により排気量
を300m3 /hに調節してガス吸引を行い、該シール
室10中の雰囲気調整を行うことで、最終的に該シール
室10の出口15から繊維層19を取出して好適に不融
化および炭化された炭素繊維を得た。
【0038】また、本実施例において、溶融紡糸して得
られる前駆体繊維からなる繊維層19にシール室8に供
給する前に予め温度センサ(図示せず)を取付け、第1
のシール室8、不融化炉1および第2のシール室9を走
行する際の該繊維層19の温度変化を測定し、得られた
結果を図2に示す。
【0039】比較例1 実施例1で用いた装置から第2のシール室9を取り除
き、代わりに分割したシール室を設け、不融化炉と炭化
炉間を大気開放させて移動させること以外は、実施例1
と同様の不融化および炭化処理を行って炭素繊維を得
た。
【0040】以上の実験結果より、実施例1と比較例1
の実験を通して以下のことが確認できた。
【0041】比較例1では再酸化により炭素繊維の収率
が低下し、実施例1と同じ収率を得るためには繊維層に
同伴された酸化性ガスをパージするのに、実施例に用い
た不活性ガス(窒素ガス)量に比して約30%程度余分
に必要となることが分かった。
【0042】また、炭化炉に導入される時点での繊維層
温度は、実施例1では比較例1のように空冷され難いた
め比較例1に比して約200℃程度高くなっており、炭
化炉でこの顕熱に相当する搬送装置及び繊維加熱熱量が
大気開放に比べて低減できた。
【0043】比較例2 実施例1において、シール室8およびシール室9にそれ
ぞれ設けられた不活性ガス供給口12よりそれぞれ窒素
ガスを供給しなかった以外は、実施例1と同様の装置お
よび操作を用いて、不融化および炭化された炭素繊維を
得た。
【0044】本比較例2において、溶融紡糸して得られ
た前駆体繊維からなる繊維層19にシール室8に供給す
る前に予め温度センサ(図示せず)を取付け、第1のシ
ール室8、不融化炉1および第2のシール室9を走行す
る際の該繊維層19の温度変化を測定し、得られた結果
を図2に示す。
【0045】図2の結果より、比較例2では、シール室
8およびシール室9から排気口11を介して排気を行っ
たが、該シール室8およびシール室9には比較的シール
室内のガス流れ(循環)が悪いため、不融化炉1よりシ
ール室内に導出される高温の炉内ガスにより、該繊維層
19が酸化反応し、該反応で発生する酸化熱の除熱が不
十分で、異常昇温となった。
【0046】これに対して、実施例1では、不融化炉1
の近傍に設けられたシール室8およびシール室9の各不
活性ガス供給口12よりそれぞれ窒素ガスが供給される
ため、不融化炉1よりシール室8、9内にそれぞれ導出
される高温の炉内ガスによる該繊維層19との反応が発
生しても直ちに該窒素ガスによる置換により該繊維層1
9は冷却されており、酸化反応により生じた酸化熱の除
熱が十分に行われたために異常昇温しなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明に用いられるピッチ系炭素繊維の
不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法およびその装置で
は、不融化炉と炭化炉の間を大気開放部をなくし、該シ
ール部に後続の炭化炉の不活性ガスを酸化性ガスのパー
ジに有効利用することができるので、不活性ガスの使用
量が減少できる。
【0048】また、シール室内の酸化反応が不融化炉の
入口および出口直近で即停止できるので、工程歩留の低
下が防げ、暴走反応の発生も防げるので、安定生産が図
れる。
【0049】また、非接触シール方式なので、繊維層に
直接ローラ等による圧力が加わらず、繊維層の押詰まり
がなく、反応が均一に行われるため暴走反応が回避で
き、繊維を傷めることなく、糸疵のない品質の優れた製
品が安定して製造できる。
【0050】さらにシール室内にそれぞれ抵抗体を設置
する事により、炉内の雰囲気成分および温度への外乱が
全くなく、また排気量を少量に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピッチ系炭素繊維の不融化炉と炭
化炉間の雰囲気調整装置の一実施態様を示す概略図であ
る。
【図2】本発明の実施例における不融化炉および不融化
炉の入口および出口に設けられたそれぞれのシール室を
走行する際の溶融紡糸して得られた前駆体繊維からなる
繊維層の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…不融化炉 2…炭化炉 3…搬送装置 4…不融化炉の搬
送装置入口 5…不融化炉の搬送装置出口 6…炭化炉の搬送
装置入口 7…炭化炉の搬送装置出口 8、9、10…シ
ール室 11、16…排気口 12、18…不活
性ガス供給口 13…連結管 14…排気装置 15…第3のシール室の出口 17…酸化性ガス
供給口 19…繊維層 20a、20b…
抵抗体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 和雄 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部設備技術センター内 (72)発明者 小林 健 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不融化炉の出口の開口部と炭化炉の入口
    の開口部の間に排気口を有するシール室を設け、該シー
    ル室に大気開放部を設けずに連結することを特徴とする
    不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整装置。
  2. 【請求項2】 前記不融化炉の出口の開口部と炭化炉の
    入口の開口部の間に排気口を有するシール室に少なくと
    も1個の不活性ガス供給口を設けてある請求項1に記載
    の雰囲気調整装置。
  3. 【請求項3】 前記不融化炉の入口の開口部に排気口を
    有するシール室を設けてある請求項1に記載の雰囲気調
    整装置。
  4. 【請求項4】 前記不融化炉の入口のシール室に少なく
    とも1個の不活性ガス供給口を設けてある請求項3に記
    載の雰囲気調整装置。
  5. 【請求項5】 前記炭化炉の出口の開口部にシール室を
    設けてある請求項1または2に記載の雰囲気調整装置。
  6. 【請求項6】 不融化炉の出口の開口部と炭化炉の入口
    の開口部の間のシール室の排気口より不融化炉の炉内ガ
    スを吸引する構造において、該シール室で不活性ガスを
    繊維層に吹きつけ、繊維層同伴酸化性ガスをパージする
    と共に、炭化炉の炉内不活性ガスの一部を該シール室を
    介して吸引することを特徴とする不融化炉と炭化炉間の
    雰囲気調整方法。
  7. 【請求項7】 不融化炉の入口のシール室の排気口より
    不融化炉の炉内ガスを吸引する構造において、該シール
    室で不活性ガスを繊維層に吹きつけ、繊維層同伴酸化性
    ガスをパージすることを特徴とする不融化炉と炭化炉間
    の雰囲気調整方法。
JP24508392A 1992-09-14 1992-09-14 不融化炉と炭化炉間の雰囲気調整方法およびその装置 Pending JPH06173124A (ja)

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