JPH06173112A - ポリウレタン系弾性繊維 - Google Patents

ポリウレタン系弾性繊維

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JPH06173112A
JPH06173112A JP32559392A JP32559392A JPH06173112A JP H06173112 A JPH06173112 A JP H06173112A JP 32559392 A JP32559392 A JP 32559392A JP 32559392 A JP32559392 A JP 32559392A JP H06173112 A JPH06173112 A JP H06173112A
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Kenichi Katsuo
憲一 勝尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高弾性でしかも、膠着性の改善された解舒性
にすぐれたポリウレタン系弾性繊維を得る。 【構成】 第3級アミノ基含有ポリウレタンと、炭素数
が12〜22の飽和高級脂肪酸とエチレンジアミンとの
ジアミド化合物とをポリウレタン系ポリマーに含有せし
めて紡糸した、ポリウレタン系弾性繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高弾性を有するポリウレ
タン系弾性繊維の解舒性向上に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポリウレタン弾性繊維の膠着性
を防止するため、 ポリマー中に高級脂肪酸金属塩を0.3重量%以上
分散せしめ紡糸し膠着を紡糸する(米国特許4,29
6,174号)ものがある。 また、特公昭46−27874には排気ガスや燃焼
ガスにポリウレタンエラストマーが曝されたときの変色
を防止する目的で脂肪族アミド化合物をポリマーに添加
すると効果があるという記載がある。ここでいう脂肪族
アミド化合物が糸条の膠着性防止に効果があるかどうか
は不明である。 さらに、特開平2−199166には熱可塑性ポリ
ウレタンに雲母粉体と高級脂肪酸アミドを配合し粘着性
(ブロッキング性)を改善することができるという記載
がある。この場合は、熱可塑性ポリウレタンの溶融成型
における粘着性防止である。 弾性繊維の膠着性防止としては高級脂肪酸金属塩を0.
3重量%以上分散せしめることが有効であることがしら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る弾性繊維の膠着防止、とくに弾性繊維チーズ内層にお
ける糸条(繊維)の解舒性が改善された弾性繊維を提供
するものである。ポリマー中に高級脂肪酸金属塩を多量
に分散せしめるのは単に分散が困難になるのみでなく、
糸条の収束性に悪影響をおよぼす。すなわち通常、弾性
糸はマルチフィラメントとして紡糸され仮撚りの付与等
によって収束させられる。ここで収束が不十分である
と、整経・丸編み・カバリング工程等の後加工工程を通
過中にフィラメント静電気等により分割され糸が切断さ
れる。この観点から、ポリマー中に高級脂肪酸金属塩を
多量に分散せしめることは弾性糸にとって好ましいもの
ではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、第三級アミノ
基含有ポリウレタンを0.5〜6.0重量%、炭素数が
12〜22の飽和高級脂肪酸とエチレンジアミンとのジ
アミド化合物を0.1〜0.4重量%の割合でポリウレ
タン系ポリマーに含有せしめて紡糸し得られる膠着性の
改善されたポリウレタン系弾性繊維である。本発明で用
いられる第三級アミノ基含有ポリウレタンは次のように
して得られる。第三級アミノ基含有グリコールと有機ジ
イソシアネート化合物とを、非プロトン性極性溶媒中あ
るいは溶媒をもちいずに反応させて得られる。このとき
使用されるグリコールとしては、たとえば、N−アルキ
ル−3−アザ−ペンタン−1,5−ジオール、N−アル
キル−3−アザ−1,5−ジメチル−ペンタン−1,5
−ジオール、2−(N,N−ジアルキルアミノメチル)
−2−メチル−プロパン−1,3−ジオール等があり、
アルキル基として炭素数1から6の脂肪族あるいは脂環
式化合物がもちいられる。また有機ジイソシアネート化
合物としては、p,p'-ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,4−フ
ェニレンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネート等が挙げられる。とくに4,
4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好まし
い。
【0005】本発明で用いられる飽和高級脂肪酸として
は炭素数12から20の脂肪酸であり、とくにステアリ
ン酸が好ましい。さらに、好適例としてはエチレンビス
ステアリン酸アミドがもちいられる。また、糸条(繊
維)を構成するポリウレタン系ポリマーは例えば、数平
均分子量が600から5000のポリエーテルグリコー
ルまたはポリエステルグリコールと過剰モルの有機ジイ
ソシアネート化合物とを反応させて末端基にイソシアネ
ート基を有する中間重合体を得、該中間重合体を不活性
溶媒に溶解せしめたのち有機ジアミンを加えて反応させ
て得られる。このようにして得られたポリマー溶液にジ
アミド化合物等と必要により高級脂肪酸金属塩を0.1
〜0.3重量%の割合で含有せしめ該ポリマーを乾式紡
糸することで、本発明の効果が助長される。 上でも述
べたように、0.3重量%以上の高級脂肪酸金属塩をポ
リマー中に含有せしめると、フィラメントの分割等が発
生し後工程通過性が低下する。また0.1%以下では本
発明でもちいられる油剤との効果、本発明の効果が助長
されにくい。
【0006】ジアミド化合物の含有量は0.1〜0.4
重量%、好ましくは0.2〜0.3重量%である。0.
4重量%以上含有すると弾性糸のチーズ表面の安定性が
悪く、形状をたもつことが困難になる。また、0.1重
量%以下の含有量ではその効果が発現しがたい。ジアミ
ド化合物はまた本発明にしめしたような第三級アミノ基
含有ポリウレタンと併用することによってその効果があ
らわれる。第三級アミノ基含有ポリウレタンとの併用が
ない場合はジアミド化合物の効果は小さいものとなる。
このとき添加する第三級アミノ基含有ポリウレタンは
0.5〜6.0重量%、好ましくは1.5〜4.5重量
%である。第三級アミノ基含有ポリウレタン含有量が多
くなると弾性糸の加工工程でガイド・ローラー等にスカ
ムとなって析出し弾性糸の張力異常・切断等が発生す
る。本発明で使用される糸条形成用ポリウレタン系ポリ
マーに用いられる、ポリエーテルグリコールとしては、
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレ
ンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコー
ル等が挙げられる。ポリエステルグリコールとしては、
こはく酸、アジピン酸等の有機脂肪酸とエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオールまたはヘ
キサンジオール等の有機グリコールとを重縮合して得ら
れるものがある。好ましくは、数平均分子量1000か
ら3000のポリテトラメチレンエーテルグリコールが
使用される。
【0007】本発明で使用される糸条形成用ポリウレタ
ン系ポリマーに用いられる有機ジイソシアネート化合物
としては、p,p'-ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、2,4−トルエンジイソシアネート、1,4−フェ
ニレンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート等が挙げられる。とくに、p,
p'-ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。さ
らに、ポリエーテルグリコールまたはポリエステルグリ
コールと有機ジイソシアネート化合物は、イソシアネー
ト基と水酸基との比が1.3から2.6の間で使用され
る。有機ジアミンとしては、ヒドラジン、エチレンジア
ミン、1,2−プロピレンジアミン、1,4−ブチレン
ジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,3−
シクロヘキシルジアミン、4,4'-ジアミノジフェニル
メタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-
ジアミノジシクロヘキシルメタン、m−キシリレンジア
ミンおよびその水添物、p−キシリレンジアミンおよび
その水添物等のジアミンまたはそれらの混合物が挙げら
れる。ジアミンにかえて、ジオールを用いてもよいが、
本発明においてはジアミンによる鎖延長の場合の方がよ
り好ましく適応できる。重合反応のときに使用される不
活性溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N',N'-テト
ラメチル尿素、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフ
ォキシド等の極性溶媒が挙げられる。
【0008】また必要に応じて、酸化剤、紫外線吸収
剤、顔料等が加えられる。このようにして得られたポリ
マー溶液を通常の方法で例えば乾式紡糸し、仮撚り等の
方法でフィラメントを収束せしめ油剤が付与される。本
発明で使用される油剤は、たとえば特開昭53−817
98でしめされるものがある。油剤を付与された糸条
は、通常の方法でボビンに捲きとられる。このようにし
て得られた弾性糸は、ヤーンどうしの膠着が防止されチ
ーズからの弾性糸の解舒もスムースである。とくに、チ
ーズ内層からの弾性糸の解舒が改善される。
【0009】チーズからの弾性糸の解舒の評価は次のよ
うにしておこなわれる。チーズを直径10cmの梨地加
工されたローラー上にセットし、ローラーの表面速度が
毎分50mの速度になるように調製する。一方に同じ直
径10cmの梨地加工されたローラー上に捲取り用のボ
ビンをセットする。毎分50cmで送り出しされた弾性
糸を一方の捲取り用ボビンに捲取る。そのとき、送り出
された弾性糸が、チーズの回転方向にひきあげられない
最低の速度に捲取り用ローラーを調製する。その最低の
ローラーの表面速度を測定し、解舒性を次のようにあら
わす。 解舒性(%)=(S−S0 )/S0 ×100 ここで、S0 は弾性糸の送り出し速度(50m/分) S は弾性糸の最低の捲取り速度 すなわち解舒性が0%であるということは、弾性糸のチ
ーズからの解舒が無張力でできることをしめしている。
チーズ内層の解舒性が0%であるということはチーズの
形状を保持することが困難であることをしめしており、
津条0%以上の値をしめす。この解舒性の値が90%以
下、好適には70%以下の弾性糸チーズを得るのが本発
明の目的である。本発明を以下の実施例において説明す
る。なお、これら実施例は本発明を例示するものであっ
てなんらこれらに限定されるものではない。実施例中、
部は重量をしめし、解舒性の評価は上記の方法にしたが
ったものである。
【0010】
【実施例】
(実施例1)数平均分子量1950のポリレトラメチレ
ンエーテルグリコール975部と、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート250部とを重合フラスコに
とり、かき混ぜながら油浴上で70℃に加熱した1時間
加熱したのち油浴をとり去り、N,N−ジメチルアセト
アミド2450部を加え、氷水浴上で冷却しながら反応
混合物を溶解させた。内温が8℃に到達したところで、
エチレンジアミン22.8部、1,2−ジアミノプロパ
ン7.03部、N,N−ジエチルアミン1.73部を
N,N−ジメチルアセトアミド500部に溶解させた溶
液をかき混ぜながら徐々に滴下した。約400部を添加
したのち氷水浴をとり去り、さらにアミン溶液を滴下し
た。総量500部のアミン溶液を添加したのち、N,N
−ジエチルアミン6.8部、N,N−ジメチルアセトア
ミド30部の溶液を添加した。得られたポリマー溶液に
エチレンビスステアロアミド2.5部を加え、2−
(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−メチル−プロ
パン−1,3−ジオールと4,4’−ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネートとの重合体の50重量%N,N
−ジメチルアセトアミド溶液50部を加えて45分間か
き混ぜた。
【0011】このようにして得られたポリマー溶液を毎
分4.40gの割合いで2つの細孔を有する紡糸口金へ
供給し細孔から熱風中へ押し出し溶媒を蒸発させた。乾
燥された糸条は旋回する空気流を発生する仮撚り機にと
おし、仮撚りを付与したのちオイリングローラーに接触
させた。オイリングローラーへは、ポリエーテル変性シ
リコーン3部、レッドウッド粘度計で60秒の粘性を有
する鉱物油20部、10cstの粘性を有するジメチル
シロキサン77部から成る油剤を供給した。油剤の付着
量は糸条にたいして6重量%になるようにローラーの表
面速度を調節した。油剤を付与された弾性糸は毎分60
0mmの速度でボビンに捲きとった。400gの弾性糸
をボビンに捲きとって20デニール弾性糸チーズを得
た。得られたチーズを45℃の雰囲気で24時間放置し
たのち、チーズの表層および内層の解舒性を測定した。
その結果、表層17%、内層41%であった。また、得
られたチーズをカバリング機に仕掛け、毎分6mの速度
で弾性糸を送り出し、ナイロン加工糸を捲きつけ毎分2
1mで捲きとった。その結果、チーズからの弾性糸の解
舒は内層までチーズの回転方向にとられることはなかっ
た。さらに、得られたチーズをローラー上におき、毎分
200mの速度で送り出しナイロン加工糸と合わせたの
ち空気流で弾性糸とナイロン加工糸とを交絡させ、毎分
625mの速度で捲きとった。この結果でも、チーズか
らの弾性糸の解舒は内層までのチーズの回転方向にとら
れることなくおこなわれた。
【0012】(比較例1)実施例1において、エチレン
ビスステアロアミドを加えない他は同様におこなって弾
性糸チーズを得た。得られたチーズを実施例1と同様
に、解舒性、カバリング、交絡糸の評価をおこなった。
その結果、表層解舒性45%、内層解舒性136%であ
った。カバリング機に仕掛けたところ表層では弾性糸の
解舒はチーズの回転方向にとられることはなかったが内
層ではチーズの回転方向にとられるのがみられた。しか
し、弾性糸の切断にまではいたらなかった。交絡糸の場
合も同様に表層では弾性糸の解舒はチーズの回転方向に
とられることはなかったが内層ではチーズの回転方向に
とられ弾性糸が切断した。
【0013】(実施例2)実施例1と同様に重合した。
そして、ポリマー溶液に、二酸化チタンの30重量%
N,N−ジメチルアセトアミド分散液を167部加え、
さらに1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチル−ベンジル)イソシアヌル酸
12.5部、3−エチル−1,5−ジメチル−3−アザ
ペンタン−1,5−ジオールと4,4’−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネートとの重合体の50重量%
N,N−ジメチルアセトアミド溶液75部、エチレンビ
スステアロアミドを3部加えて45分間かき混ぜた。こ
のようにして得られたポリマー溶液を実施例1と同様に
紡糸し、400gの弾性糸をボビンに捲きとって20デ
ニール弾性糸チーズを得た。得られたチーズを45℃の
雰囲気で24時間放置したのち、チーズの表層および内
層の解舒性を測定した。その結果、表層10%、内層3
5%であった。また、得られたチーズを実施例1と同様
にカバリング機および空気流での交絡糸で評価した。カ
バリング機ではチーズからの弾性糸の解舒は内層までチ
ーズの回転方向にとられることはなかった。交絡糸でも
チーズからの弾性糸の解舒は内層までチーズの回転方向
にとられるとなくおこなわれた。
【0014】
【発明の効果】本発明の第3級アミノ基含有ポリウレタ
ンとジアミド化合物を添加含有せしめたポリウレタン系
ポリマーからのポリウレタン系弾性繊維は膠着性の改善
された、工程通過性のすぐれた繊維となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第三級アミノ基含有ポリウレタンを0.
    5〜6.0重量%、炭素数が12〜22の飽和高級脂肪
    酸とエチレンジアミンとのジアミド化合物を0.1〜
    0.4重量%の割合でポリウレタン系ポリマーに含有せ
    しめて紡糸し得られる膠着性の改善されたポリウレタン
    系弾性繊維。
  2. 【請求項2】 第三級アミノ基含有ポリウレタンが、第
    三級アミノ基含有グリコール化合物と有機ジイソシアネ
    ート化合物から主としてなる請求項1記載のポリウレタ
    ン系弾性繊維。
  3. 【請求項3】 融点が130〜180℃の範囲の、飽和
    高級脂肪酸とエチレンジアミンとのジアミド化合物をも
    ちいる請求項1記載のポリウレタン系弾性繊維。
JP32559392A 1992-12-04 1992-12-04 ポリウレタン系弾性繊維 Expired - Lifetime JP3226057B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6232374B1 (en) 1997-01-31 2001-05-15 E. I. Du Pont De Nemours And Company Spandex with low tackiness and process for making same
US6956074B1 (en) 1998-08-21 2005-10-18 Sumitomo Chemical Company, Ltd. Polyurethane composition

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6232374B1 (en) 1997-01-31 2001-05-15 E. I. Du Pont De Nemours And Company Spandex with low tackiness and process for making same
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